JPH08114083A - トンネルのリーミング方法およびその装置 - Google Patents

トンネルのリーミング方法およびその装置

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JPH08114083A
JPH08114083A JP25232394A JP25232394A JPH08114083A JP H08114083 A JPH08114083 A JP H08114083A JP 25232394 A JP25232394 A JP 25232394A JP 25232394 A JP25232394 A JP 25232394A JP H08114083 A JPH08114083 A JP H08114083A
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義徳 山元
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 施工費用の高騰や施工期間の長期化を抑制す
るとともに、機器の大型化を抑制し得るトンネルのリー
ミング方法を提供することを目的とする。 【構成】 破砕や掘削をなすリーミング装置10を既設
のトンネル坑壁Wに支持させて、このリーミング装置の
トンネルの径方向における移動を拘束し、この径方向へ
の移動が拘束された状態のリーミング装置によって前記
破砕や掘削を行ないつつ、このリーミング装置を既設の
トンネル側へ付設移動装置で漸次移動させることによ
り、既設のトンネルの拡幅を行なうことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、既設のトンネル坑壁を
破砕して、このトンネルの内径を拡幅するようにしたト
ンネルのリーミング方法およびその装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、既設のトンネル、たとえば、上下
水道、発電所の導水路、鉄道、人道、あるいは、道路に
利用されているトンネルにおいて拡幅を行なう場合、図
1に示すようなリーミング方法が採られている。この方
法は、拡幅する形状に合わせた掘削領域を有するトンネ
ルボーリングマシン(以下、TBMと略称する)1を用
い、このTBM1によって既設のトンネルTの坑壁を破
砕して拡幅を行ないつつ掘進させることにより、既設ト
ンネルの一端側から他端部へ向けて順次拡幅するように
したものである。そして、破砕によって発生したずり
は、コンベアー2によってTBM1の内部を経て、その
後方に待機させられているずり搬送台車3へ積載され
て、前記TBM1が挿入された側の端部から坑外へ排出
するようにしている。
【0003】また、このTBM1には、掘進方向後方
に、操縦室4、TBM1を駆動するための作動油の供給
をなす油圧ユニット5、電気機器への電力供給をなす変
圧器6、および、配管延長装置7等が連設され、その後
方に、前記ずり運搬鋼車3やバッテリー機関車8が配置
されている。
【0004】ところで、このような従来におけるTBM
1を用いた既設トンネルのリーミング方法であると、T
BM1の掘削領域が固定されていて、掘削領域の変更へ
対応できないといった問題点を有しているとともに、T
BM1自体が大型であり、現場への搬入作業が大掛かり
なものとなるばかりでなく、分割搬入を余儀なくされ
て、搬入後における組立作業が必要となる。また、付随
する機器が多くあることや、リーミング用特殊カッター
ヘッドは汎用性がなく、リーミング作業後に廃棄してし
まうことから、全体としての費用が嵩むといった不具合
がある。
【0005】さらに、通常、トンネルが形成されている
範囲において地質が一定であることは極めて稀であり、
地質が変化する度にその掘削方法を変更する必要が生じ
るが、前述した従来のリーミング方法であると、TBM
1に装着されている掘削機がローラービット1種類であ
り、かつ、その掘削機の変更が困難であることから、前
述した地質の変化に対応した掘削方法の変更が困難であ
る。
【0006】また、TBM1の後方に種々の多くの機器
が付随していることにより、これらの機器の通過後でな
ければ、支保工や覆工の構築作業が行なえず、施工期間
の長期化を招くおそれがある。
【0007】そして、このような掘削方法の変更への対
応処置としては、TBM1自体を入れ替えるしかない
が、実際問題として、このような処置は不可能である。
【0008】一方、このようなTBM1を用いたリーミ
ング方法における諸問題点を解消し得るリーミング方法
として、たとえば、自由断面掘削機やブレーカー、ある
いは、バックホー等を用いて既設トンネルTの坑壁を破
砕し、また、地山を掘削することにより、既設トンネル
Tの拡幅を行なうことが考えられる。このようなリーミ
ング方法によると、破砕領域や掘削領域が比較的自由に
変更できること、また、リーミング装置自体が小型であ
るとともに、付随する機器が少なく、かつ、現場やトン
ネル内への搬入搬出が容易なことから、前述の不具合が
軽減される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような自由断面掘削機やブレーカー、あるいは、バッ
クホー等を用いたリーミング方法においても、なお、つ
ぎのような改善すべき問題点が残されている。
【0010】すなわち、前述した自由断面掘削機やブレ
ーカー、あるいは、バックホー等においては、その殆ど
が破砕時や掘削時の反力が、機械の重量によって支持さ
れるものであるから、その能力が制限されてしまう。そ
して、このような問題点を解消するためには、機械の重
量を大きくしなければならないために、その利点が損な
われてしまう。
【0011】本発明は、前述した従来の問題点に鑑みて
なされたもので、施工費用の高騰や施工期間の長期化を
抑制するとともに、機器の大型化を抑制し得るトンネル
のリーミング方法およびその装置を提供することを目的
とする。また、本発明の他の目的は、施工領域の変更等
に容易に対応することができるトンネルのリーミング装
置を提供することにある。さらに、本発明の他の目的
は、地質の変化に応じた施工方法の変更を容易に行なう
ことができるトンネルのリーミング装置を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
のトンネルのリーミング方法は、前述した目的を達成す
るために、既設のトンネル坑壁を破砕しあるいは地山を
掘削して、このトンネルの内径を拡幅するようにしたト
ンネルのリーミング方法であって、破砕や掘削をなすリ
ーミング装置を既設のトンネル坑壁に支持させて、この
リーミング装置のトンネルの径方向における移動を拘束
し、この径方向への移動が拘束された状態のリーミング
装置によって前記破砕や掘削を行ないつつ、このリーミ
ング装置を既設のトンネル側へ付設移動装置で漸次移動
させることにより、既設のトンネルの拡幅を行なうこと
を特徴とする。
【0013】本発明の請求項2に記載のトンネルのリー
ミング方法は、請求項1において、破砕や掘削によって
発生したずりを、既設トンネルの反対側へ排出すること
を特徴とする。
【0014】また、本発明の請求項3に記載のトンネル
のリーミング装置は、既設のトンネル坑壁を破砕しある
いは地山を掘削して、このトンネルの内径を拡幅するよ
うにしたトンネルのリーミング装置であって、既設トン
ネル内に、その長さ方向に沿って移動可能に設置される
基台と、この基台に、この基台の走行方向と直交する面
内において回転可能に取り付けられた回転部材と、この
回転部材に、その回転半径方向に沿って往復動可能に取
り付けられた可動部材と、この可動部材と前記回転部材
との間に介装されて、前記可動部材の往復移動をなすア
クチュエーターと、前記可動部材に取り付けられて、前
記既設トンネルの坑壁を破砕しあるいは地山を掘削する
リーミングヘッドと、前記基台に取り付けられて前記回
転部材を回転させる回転駆動機構と、前記基台に取り付
けられて、前記既設のトンネル坑壁に当接させられるこ
とにより、前記基台をトンネル坑壁に係止する係止機構
とを備えていることを特徴とする。
【0015】さらに、本発明の請求項4に記載のトンネ
ルのリーミング装置は、請求項3において、前記リーミ
ングヘッドが可動部材に着脱可能に取り付けられている
とともに、機能の異なる複数のリーミングヘッドからな
り、これらの複数種類のリーミングヘッドが選択的に前
記可動部材に取り付けられるようになされていることを
特徴とする。
【0016】
【作用】本発明の請求項1に記載のトンネルのリーミン
グ方法によれば、リーミング装置を既設のトンネル坑壁
に支持させることにより、リーミング装置の、トンネル
の径方向への相対移動を拘束した状態で、前記既設のト
ンネル坑壁の破砕や地山の掘削を行なう。これによっ
て、前記破砕や掘削時における反力が既設のトンネル坑
壁によって支持されることとなり、十分な反力が得られ
るとともに、リーミング装置による直接的な反力支持が
回避されることから、このリーミング装置の小型化が可
能となる。
【0017】また、リーミング装置を既設のトンネル側
へ移動させつつ、移動方向後方において破砕や掘削を行
なうものであるから、リーミング装置の殆どが既設のト
ンネル内に位置させられた状態で作業が行なわれ、この
結果、破砕位置や掘削位置に機器が突出することが軽減
される。したがって、支保工作業や覆工作業等に用いら
れる機器が、前記リーミング装置の至近位置に位置させ
られることとなり、これらの作業を、拡幅作業後、直ち
に実施することが可能となって、工期の長期化が抑制さ
れる。
【0018】本発明の請求項2に記載のトンネルのリー
ミング方法によれば、リーミング装置による破砕や掘削
によって発生させられたずりを、既設トンネルの反対側
すなわちリーミング装置の移動方向後方側へ排出するこ
とにより、ずりを積み込み搬送するための機器を、より
一層リーミング装置側へ近付けられる。これによって、
後工程の実施時期がさらに早められる。
【0019】また、本発明の請求項3に記載のトンネル
のリーミング装置によれば、基台が、リーミングヘッド
が取り付けられた側を後にして既設トンネル内に挿入さ
れる。そして、基台に設けられている係止機構が作動さ
せられて既設トンネルの坑壁に当接させられることによ
り、前記基台が係止機構を介して既設トンネルの径方向
における移動が拘束された状態で既設トンネル内に固定
される。これより、アクチュエーターによって可動部材
がトンネルの径方向に伸張させられることにより、この
可動部材に取り付けられているリーミングヘッドが、既
設のトンネルの坑壁へ向けて移動させられる。
【0020】ついで、前記リーミングヘッドが作動させ
られるとともに、アクチュエーターによる移動が継続し
て行なわれることにより、前記リーミングヘッドによる
既設トンネルの坑壁が破砕され、さらに、必要に応じて
坑壁外周面に位置する地山の掘削が行なわれる。そし
て、前記可動部材が取り付けられている回転部材が回転
駆動機構によって回転させられることにより、リーミン
グヘッドが既設トンネルの周方向に所定間隔で移動され
つつ前述した作業が行なわ、これによって、既設トンネ
ルの周方向の拡幅が行なわれる。ここで、リーミング装
置の殆どが既設トンネル内に位置され、唯一、作業領域
に位置させられるリーミングヘッドも、破砕や掘削後に
おいて、既設トンネルの未処理の坑壁の端面から、破砕
や掘削を行なった領域分しか突出されないこととなる。
したがって、作業領域側に突出する部分が極めて少な
く、この結果、後工程に用いられる諸機器が、リーミン
グ装置に近い位置へ位置させられることとなる。
【0021】また、前述した周方向の拡幅作業が完了す
ると、前記係止機構が作動させられることにより、基台
と既設トンネルとの係止状態が解除され、その後に、基
台が既設トンネルの、前記拡幅された側と逆側へ向けて
所定距離移動させられる。この移動が完了した時点で、
前述した操作が繰り返し行なわれることにより、既設ト
ンネルの拡幅作業がトンネルの長さ方向に沿って行なわ
れる。このような作業の進行に際して、基台が順次未処
理の既設トンネル内へ向かって移動させられることか
ら、常時、基台が既設トンネルの坑壁に確実に固定され
る。したがって、既設トンネルのほぼ全長に亘って安定
した支持体が確保され、リーミングヘッドの反力の支持
が十分に行なわれる。また、可動部材の移動距離によっ
て、リーミングヘッドによる施工深さが調整可能である
ことから、施工領域の変更が容易に行なわれる。
【0022】さらに、本発明の請求項4に記載のトンネ
ルのリーミング装置によれば、リーミングヘッドが、目
的とする作業に応じた機能によって選択的に可動部材に
装着されて作業に供される。これによって、地質が変化
した場合において拡幅の方法を変更しなければならない
場合において、作業の形態に応じた機能を有するリーミ
ングヘッドへ取り替えることによって、迅速な対応が可
能となる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例について説明する。
まず、本発明のトンネルのリーミング方法の説明に先立
って、このリーミング方法を好適に実施し得るリーミン
グ装置について図2ないし図5に基づき説明する。
【0024】図2および図3中、符号10は本実施例に
係わるトンネルのリーミング装置を示し、このリーミン
グ装置10は、既設のトンネルTの坑壁Wを破砕しある
いは地山Aを掘削して、このトンネルTの内径を拡幅す
るようにしたリーミング装置であって、前記既設トンネ
ルT内に、その長さ方向に沿って移動可能に設置される
基台11と、この基台11に、この基台11の走行方向
と直交する面内において回転可能に取り付けられた回転
部材12と、この回転部材12に、その回転半径方向に
沿って往復動可能に取り付けられた可動部材13と、こ
の可動部材13と前記回転部材13との間に介装され
て、前記可動部材13の往復移動をなすアクチュエータ
ー14と、前記可動部材13に取り付けられて、前記既
設トンネルTの坑壁Wを破砕しあるいは地山Aを掘削す
るリーミングヘッド15と、前記基台11に取り付けら
れて前記回転部材12を回転させる回転駆動機構16
と、前記基台11に取り付けられて、前記既設のトンネ
ルTの坑壁Wに当接させられることにより、前記基台1
1をトンネルTの坑壁Wに係止する係止機構17とを備
えた概略構成となっている。
【0025】ついで、これらの詳細について説明すれ
ば、前記基台11は、本実施例においては円筒状に形成
されており、その下方には、図2および図3に示すよう
に、長さ方向および半径方向に間隔をおいた4箇所に車
輪18が回転自在に装着されており、前記トンネルTの
下部内面に敷設されている一対のレール19上に走行可
能に載置されるようになっている。これらの一対のレー
ル19は、前記トンネルTの下端内壁面に沿うようにし
て配設されたベースプレート20上に一体に取り付けら
れているとともに、このベースプレート20とともに、
前記トンネルTの長さ方向に移動可能となされている。
【0026】また、前記基台11の内側前方には、図1
に示すように、基台11の軸線と直交する方向に沿う支
持プレート21が取り付けられており、この支持プレー
ト21の中央部には軸受け22が一体に取り付けられ、
この軸受け22に、駆動シャフト23が回転自在に挿通
されている。
【0027】そして、前記駆動シャフト23の一端部に
前記回転部材12が一体に取り付けられているととも
に、他端部と前記軸受け22との間に前記回転駆動機構
16が設けられている。
【0028】この回転駆動機構16は、前記軸受け22
に取り付けられた油圧モータ24と、この油圧モータ2
4の回転を前記駆動シャフト23へ伝達する動力伝達機
構25と、前記駆動シャフト23とによって構成されて
いる。この動力伝達機構25は、たとえば、前記油圧モ
ータ24の回転軸におよび駆動シャフト23とのそれぞ
れに取り付けられたスプロケットと、これらのスプロケ
ット間に卷回されたチェーン等によって構成される。あ
るいは、油圧モータ24の回転軸と駆動シャフト23と
の間に噛合状態で介装される複数のギヤ群によって構成
される。
【0029】前記可動部材13は、本実施例において
は、前記回転部材12に、回転半径方向に沿って取り付
けられた一対のガイド部材26内に、それぞれ摺動自在
に装着されているとともに、これらの可動部材13が、
前記各ガイド部材26から、径方向で、相互に逆向きに
突出させられるようになっている。
【0030】そして、これらの可動部材13の移動をな
す前記アクチュエーター14は、本実施例においては油
圧シリンダーが用いられており、前記ガイド部材26の
内部に取り付けられている。
【0031】また、前記リーミングヘッド15は、本実
施例においては、ローラービットが用いられており、前
記可動部材13へ、図4に示すように、アタッチメント
Jを介して着脱可能に取り付けられている。
【0032】このアタッチメントJは、前記可動部材1
3の先端部に固定されたベースプレート27と、前記リ
ーミングヘッド15の取り付け基部に固定されて、前記
ベースプレート27に係止される係合部材28とを備え
ている。そして、前記ベースプレート27には、リーミ
ング装置10の走行方向後方、および、可動部材13の
突出方向へ開口する蟻溝状の係止溝27aが形成されて
いるとともに、その平行な一対の辺の内の一方の辺側に
は、ロックブロック29が配置されている。このロック
ブロック29は、前記係止溝27aの他方の辺と協働し
て、前述した蟻溝を構成するようになっているととも
に、この係止溝27a内において、前記他方の辺に対し
て接近離間可能となされている。
【0033】また、前記ベースプレート27の側壁に
は、複数のロックボルト30が貫通状態で螺着されてお
り、これらの固定ボルト30の先端部が、前記ロックブ
ロック29に回転自在に連結されている。したがって、
このロックブロック29は、前記各ロックボルト30の
回転によって、前記ベースプレート27を支持体とし
て、前記他方の辺に対して接近離間させられるようにな
っている。
【0034】一方、前記リーミングヘッド15に取り付
けられた係合部材28の下面には、前記ベースプレート
27の係止溝27a内に、その長さ方向から嵌合させら
れる係合突条28aが一体に設けられている。この係合
突条28aは、その長さ方向と直交する面に沿った断面
形状が、前記係止溝27aの、その長さ方向と直交する
面に沿った断面形状に対し相似形となされている。した
がって、前記係合突条28aは、前記係止溝27a内に
挿入された状態において、その両側部に形成されている
傾斜面が、前記係止溝27aの他方の辺およびロックブ
ロック29に形成されている傾斜面にそれぞれ対向させ
られるようになっている。かつ、前記ロックブロック2
9が、前記係止溝27aを狭めるように移動させられる
ことにより、前記係合突条28aが、その両傾斜面の作
用によりベースプレート27側へ押圧され、これによっ
て、係合部材28がベースプレート27へ固定されるよ
うになっている。
【0035】また、前記係止機構17は、本実施例にお
いては、図3に示すように、前記基台11の周方向に一
定間隔おいた4箇所に放射状に設けられているととも
に、図2に示すように、基台11の長さ方向両端部に設
けられている。
【0036】そして、これらの係止機構17は、前記基
台11にブラケット31を介して取り付けられた油圧ジ
ャッキ32と、この油圧ジャッキ32のロッドの先端に
球面軸受け(図示略)を介して取り付けられた支持脚3
3とによって構成されている。
【0037】さらに、前記基台11の後部には、図2に
示すように、前記アクチュエーター14、リーミングヘ
ッド15、回転駆動機構16、係止機構17等へ圧油を
供給する油圧ポンプ34と、作動油が貯留されたオイル
タンク35とが設けられている。
【0038】ついで、このように構成されたリーミング
装置10の作用とともに、トンネルTのリーミング方法
の一実施例について説明する。まず、トンネルTの内部
底面に、レール19をトンネルTの先端部から所定長さ
敷設したのちに、リーミング装置10を、その基台11
側からトンネルT内へ搬入するとともに、下部に設けら
れている車輪18を前記レール19へ載せることによっ
て、リーミング装置10をレール19上に設置する。こ
の状態において、各係止機構17の油圧ジャッキ32は
縮められた状態に保持されており、前述したリーミング
装置11の設置に際して障害となることはない。
【0039】これより、基台11を適宜移動させて、リ
ーミングヘッド15をトンネルTの坑口の内面に対向さ
せる。このとき、前記各リーミングヘッド15は、基台
11の中心側へ移動させられている。
【0040】このようにリーミング装置10の位置決め
が完了すると、各係止機構17の油圧ジャッキ32が作
動させられることにより、各支持脚33がトンネルTの
坑壁Wへ向けて移動させられ、これらの支持脚33が坑
壁Wに当接させられて、その押圧力が所定値に達した時
点で油圧ジャッキ32の作動が停止される。これによっ
て、基台11がトンネルTに対して、このトンネルTの
径方向並びに長さ方向の移動が拘束された状態で、所定
位置に固定される。
【0041】このような基台11の固定がなされると、
つぎに、リーミングヘッド15、アクチュエーター1
4、および、回転駆動機構16が作動させられることに
より、この回転駆動機構16によって、各リーミングヘ
ッド15が回転部材12とともにトンネルTの周方向に
沿って移動させられ、かつ、アクチュエーター14によ
って各リーミングヘッド15が、トンネルTの坑壁Wへ
向けて移動させられる。そして、前述したリーミングヘ
ッド15の径方向への移動が継続して行なわれることに
より、これらの各リーミングヘッド15がトンネルTの
坑壁Wへ押し付けられて、この坑壁Wの破砕が開始され
る。
【0042】ここで、トンネルTの周方向および径方向
におけるリーミングヘッド15の移動量や、両方向間に
おける移動のタイミングが調整されて、前記坑壁Wが所
定の破砕深さで全周に亘って破砕される。このような作
業が継続して行なわれることにより、坑壁Wの全てが破
砕され、この坑壁Wの除去後に、必要に応じて前記作業
が継続されることにより、坑壁Wの外面に位置させられ
ている地山Aの掘削が開始され、この地山Aの掘削が全
周に亘って所定深さに行なわれることにより、図2に示
すように、この位置における拡幅作業が完了する。
【0043】そして、前述した拡幅作業によって発生す
るずりが、適宜の機器によって坑口から外部へ排出され
る。この排出は、たとえば、リーミング装置10を搬入
した側(すなわち、拡幅作業が行なわれた側)の坑口か
ら行なう方法と、拡幅が行なわれていない側の他の坑口
から行なう方法とに分けられる。拡幅が行なわれていな
い側の坑口からずりを排出する場合には、このずりを、
リーミング装置10の内部を経て、リーミング装置10
の進行方向前方へ送り出さなければならないから、その
ための搬出装置をリーミング装置10に設ける必要があ
る。
【0044】このような拡幅作業に際して、前記基台1
1が各係止機構17を介して既設のトンネルTの坑壁W
に支持されていることから、リーミングヘッド15の破
砕時ないしは掘削時における反力が、基台11および係
止機構17を介して前記坑壁Wへ伝達されて、この坑壁
Wにおいて支持される。したがって、十分な反力の支持
が行なわれることとなり、この結果、リーミング装置1
0が軽量ないしは小型であっても、確実な破砕や掘削が
可能となる。
【0045】また、前記既設トンネルTの未拡幅部分か
ら拡幅済み部分へ突出する機器が、前記リーミングヘッ
ド15のみであるから、拡幅済みの部分に位置させられ
る機器が最小限度に止められるとともに、その突出させ
られるリーミングヘッド15の作動がトンネルTの径方
向に集約されていることから、拡幅済みの部分における
機器による占有容積が少なくて済む。したがって、支保
工や覆工等の後工程において使用される機器を、リーミ
ング装置10の近くに設置することが可能となり、拡幅
作業の終了時から、それに続く後工程の作業開始までの
間隔が狭められる。
【0046】さらに、アクチュエーター14による可動
部材13のストロークの調整により、リーミングヘッド
15による破砕深さや掘削深さの変更が容易に行なえ、
これによって、拡幅範囲の変更への迅速な対応が可能と
なる。
【0047】一方、前述した基台11を固定した状態で
の拡幅作業が完了すると、各係止機構17が作動させら
れて、油圧ジャッキ32が後退させられることにより、
各支持脚33が坑壁Wから離間させられて、前記基台1
1の坑壁Wに対する固定が解除される。これとともに、
前記各アクチュエーター14が作動させられることによ
り、可動部材13がガイド部材26内へ引き込まれるよ
うに移動させられ、これによってリーミングヘッド15
が基台11の中心近傍へ後退させられる(図2および図
3参照)。
【0048】これより、リーミング装置10が既設トン
ネルTの未拡幅側へ所定距離(たとえば、前記両リーミ
ングヘッド15による破砕ないしは掘削作業領域幅)移
動させられたのちに、前述した作業が繰り返し行なわれ
る(この移動は、図示しない付設の移動装置によって行
なわれる)。そして、このようなリーミング装置10の
移動操作、固定操作、および、リーミングヘッド15に
よる拡幅作業が、既設トンネルTの他方の坑口に至るま
で反復して行なわれることにより、既設トンネルTが全
長に亘って拡幅される。
【0049】そして、前述したように、拡幅作業に際し
て、基台11が既設トンネルTの坑壁Wによって支持さ
れていることから、その位置が前記坑壁Wとの相対関係
から一義的に算出される。したがって、その位置決めや
拡幅量の検出が高精度に行なわれることとなり、これに
伴って、遠隔操作が可能となる。
【0050】一方、拡幅作業の進行に伴って、地山Aの
地質の変化等により拡幅作業の内容を変更しなければな
らなくなった場合、既設のローラービットでは、変更さ
れた作業を実施できなくなることがある。
【0051】しかしながら、本実施例においては、前記
リーミングヘッド15がアタッチメントJを介して可動
部材13に着脱可能に取り付けられていることから、こ
のアタッチメントJのロックボルト30を緩めて、ロッ
クブロック29を係合部材28の係合突条から離間させ
ることによって、前記ローラービットを取り外し、この
可動部材13に、前記ローラービットに代えて、他の機
能を有するリーミングヘッド(たとえば、図5に符号3
6で示すブレーカーや、符号37で示す削岩機、あるい
は、ブームヘッダ等)を取り付けることにより、前述し
た作業内容の変更への迅速な対応が可能となる。
【0052】そして、前述した各種のリーミングヘッド
自体小型なものであるから、その作業現場への搬入搬出
が容易であるとともに、アタッチメントの操作のみによ
って付け替えが行なわれるから、全体として簡素で円滑
な付け替え作業となる。したがって、この点からも拡幅
の作業内容の変更が迅速に行なわれる。
【0053】なお、前記実施例おいて示した各構成部材
の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき
種々変更可能である。たとえば、前記実施例において
は、既設のトンネルTの底部にレール19を配置して、
基台11をレール19上を走行させるようにして移動さ
せる例について示したが、これに代えて、基台11に設
けられている車輪18を直接既設のトンネルTの坑壁W
へ接触させて走行させるようにしてもよいものである。
【0054】また、前記実施例においては、複数設けら
れている係止機構17の全てにおいて、その支持脚33
を坑壁Wへ当接させることにより、基台11のトンネル
Tに対する固定を行なうようにした例について示した
が、たとえば、前記実施例においては、基台11の下部
が、車輪18およびレール19を介して坑壁Wへ当接さ
せられていることから、上部に設けられている係止機構
17のみを作動させて、その支持脚33を坑壁Wへ当接
させることによっても、基台11の、トンネルTの径方
向への相対移動が拘束される。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に記載のトンネルのリーミング方法は、破砕や掘削をな
すリーミング装置を既設のトンネル坑壁に支持させて、
このリーミング装置のトンネルの径方向における移動を
拘束し、この径方向への移動が拘束された状態のリーミ
ング装置によって前記破砕や掘削を行ないつつ、このリ
ーミング装置を既設のトンネル側へ付設移動装置で漸次
移動させることにより、既設のトンネルの拡幅を行なう
ことを特徴とするもので、つぎのような優れた効果を奏
する。
【0056】拡幅作業に際して、前記基台既設のトンネ
ルの坑壁に支持させることにより、リーミングヘッドの
破砕時ないしは掘削時における反力を、基台および係止
機構を介して前記坑壁に支持させ、これによって、反力
に対する十分な支持を確保することができ、確実な拡幅
作業を実施することができる。
【0057】また、リーミング装置自体によって反力を
直接支持する必要がなくなり、これに伴い、リーミング
装置の軽量化ないしは小型化を図ることができるととも
に、既設のトンネル内への搬入・搬出作業を容易なもの
とすることができることと相俟って、拡幅作業のコスト
の低減を図ることができる。
【0058】さらに、前記既設トンネルの未拡幅部分か
ら拡幅済み部分へ突出する部分が、前記リーミングヘッ
ドのみとなり、これによって、拡幅済みの部分に位置さ
せられる機器を最小限度に止めて、拡幅済みの部分にお
ける機器による占有容積を減少させることができる。こ
の結果、支保工や覆工等の後工程において使用される機
器を、リーミング装置の近くに設置することが可能とな
り、拡幅作業の終了時から、それに続く後工程の作業開
始までの間隔を狭めて、工期の長期化を抑制することが
できる。
【0059】また、リーミング装置をトンネルの長さ方
向に移動させつつ、トンネルの拡幅作業を順次行なうこ
とにより、トンネルを長さ方向全長に亘って拡幅するの
であるが、このようなリーミング装置の移動に際して
も、その移動が既設のトンネルの坑壁によって案内さ
れ、かつ、この坑壁によって固定位置が一義的に決定さ
れることから、リーミング装置の位置決めやその検出を
高精度に行なうことができる。したがって、リーミング
装置による拡幅量の制御も容易かつ精度よく行なうこと
ができる。この結果、拡幅の作業現場から離れた位置に
おける遠隔操作による操作が可能となる。
【0060】本発明の請求項2に記載のトンネルのリー
ミング方法は、請求項1において、破砕や掘削によって
発生したずりを、既設トンネルの反対側へ排出すること
を特徴とするもので、つぎのような優れた効果を奏す
る。
【0061】拡幅が行なわれた領域において、ずりを積
み込み搬送するための機器を、リーミング装置に近付け
ることにより、後工程の開始可能な時期を早めて、一
層、工期を短縮をすることができる。
【0062】また、本発明の請求項3に記載のトンネル
のリーミング装置は、既設トンネル内に、その長さ方向
に沿って移動可能に設置される基台と、この基台に、こ
の基台の走行方向と直交する面内において回転可能に取
り付けられた回転部材と、この回転部材に、その回転半
径方向に沿って往復動可能に取り付けられた可動部材
と、この可動部材と前記回転部材との間に介装されて、
前記可動部材の往復移動をなすアクチュエーターと、前
記可動部材に取り付けられて、前記既設トンネルの坑壁
を破砕しあるいは地山を掘削するリーミングヘッドと、
前記基台に取り付けられて前記回転部材を回転させる回
転駆動機構と、前記基台に取り付けられて、前記既設の
トンネル坑壁に当接させられることにより、前記基台を
トンネル坑壁に係止する係止機構とを備えていることを
特徴とするもので、つぎのような優れた効果を奏する。
【0063】係止機構をトンネルの坑壁に当接させるこ
とにより、基台をトンネルの所定位置に容易かつ正確に
固定することができる。これによって、トンネル坑壁に
対する基台の不要な動きを確実に防止して、請求項1な
いし請求項2に記載のリーミング方法を好適に実施する
ことができる。
【0064】また、アクチュエーターによる可動部材の
ストロークの調整により、リーミングヘッドによる破砕
深さや掘削深さの変更を容易に行なうことができる。こ
れによって、作業領域の変更へ迅速かつ確実に対応する
ことができる。
【0065】さらに、本発明の請求項4に記載のトンネ
ルのリーミング装置は、請求項3において、前記リーミ
ングヘッドが可動部材に着脱可能に取り付けられている
とともに、機能の異なる複数のリーミングヘッドからな
り、これらの複数種類のリーミングヘッドが選択的に前
記可動部材に取り付けられるようになされていることを
特徴とするもので、つぎのような優れた効果を奏する。
【0066】可動部材に、異なる機能を有する複数のリ
ーミングヘッドを選択的に取り付けることにより、破砕
あるいは掘削の作業内容を変更する必要が生じた場合に
おいて、確実に対応することができる。
【0067】そして、各種のリーミングヘッド自体小型
なものであるから、その作業現場への搬入搬出が容易で
あるとともに、取り替え作業が簡素なものとなり、この
点からも拡幅の作業内容の変更を迅速に行なうことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来におけるトンネルのリーミング方法を説明
するための概略図で、トンネル内部を示す縦断面側面図
である。
【図2】本発明の一実施例を示すもので、切羽部分の拡
大縦断面側面図である。
【図3】本発明の一実施例を示すもので、図2における
II矢視図である。
【図4】本発明の一実施例を示すもので、リーミングヘ
ッドの取り付け部分を示す要部の分解斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例を示すもので、切羽部分の
拡大縦断面側面図である。
【符号の説明】
10 リーミング装置 11 基台 12 回転部材 13 可動部材 14 アクチュエーター 15 リーミングヘッド 16 回転駆動機構 17 係止機構 A 地山 J アタッチメント T (既設)トンネル W 坑壁

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既設のトンネル坑壁を破砕しあるいは地
    山を掘削して、このトンネルの内径を拡幅するようにし
    たトンネルのリーミング方法であって、破砕や掘削をな
    すリーミング装置を既設のトンネル坑壁に支持させて、
    このリーミング装置のトンネルの径方向における移動を
    拘束し、この径方向への移動が拘束された状態のリーミ
    ング装置によって前記破砕や掘削を行ないつつ、このリ
    ーミング装置を既設のトンネル側へ付設移動装置で漸次
    移動させることにより、既設のトンネルの拡幅を行なう
    ことを特徴とするトンネルのリーミング方法。
  2. 【請求項2】 破砕や掘削によって発生したずりを、既
    設トンネルの反対側へ排出することを特徴とする請求項
    1に記載のトンネルのリーミング方法。
  3. 【請求項3】 既設のトンネル坑壁を破砕しあるいは地
    山を掘削して、このトンネルの内径を拡幅するようにし
    たトンネルのリーミング装置であって、既設トンネル内
    に、その長さ方向に沿って移動可能に設置される基台
    と、この基台に、この基台の走行方向と直交する面内に
    おいて回転可能に取り付けられた回転部材と、この回転
    部材に、その回転半径方向に沿って往復動可能に取り付
    けられた可動部材と、この可動部材と前記回転部材との
    間に介装されて、前記可動部材の往復移動をなすアクチ
    ュエーターと、前記可動部材に取り付けられて、前記既
    設トンネルの坑壁を破砕しあるいは地山を掘削するリー
    ミングヘッドと、前記基台に取り付けられて前記回転部
    材を回転させる回転駆動機構と、前記基台に取り付けら
    れて、前記既設のトンネル坑壁に当接させられることに
    より、前記基台をトンネル坑壁に係止する係止機構とを
    備えていることを特徴とするトンネルのリーミング装
    置。
  4. 【請求項4】 前記リーミングヘッドが可動部材に着脱
    可能に取り付けられているとともに、機能の異なる複数
    のリーミングヘッドからなり、これらの複数種類のリー
    ミングヘッドが選択的に前記可動部材に取り付けられる
    ようになされていることを特徴とする請求項3に記載の
    トンネルのリーミング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001082071A (ja) * 1999-09-13 2001-03-27 Shimizu Corp トンネル拡幅工法および装置
JP2007315144A (ja) * 2006-05-29 2007-12-06 Komatsu Ltd 拡径掘削機
JP2009121158A (ja) * 2007-11-16 2009-06-04 Shimizu Corp トンネル拡張用掘削装置

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