JPH08111182A - 進行波管の遅波回路構体及びその製造方法 - Google Patents

進行波管の遅波回路構体及びその製造方法

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JPH08111182A
JPH08111182A JP12997795A JP12997795A JPH08111182A JP H08111182 A JPH08111182 A JP H08111182A JP 12997795 A JP12997795 A JP 12997795A JP 12997795 A JP12997795 A JP 12997795A JP H08111182 A JPH08111182 A JP H08111182A
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slow
wave
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circuit structure
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勝弘 権瓶
Hitoshi Hirata
仁 平田
Katsutoshi Fujita
勝利 藤田
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    • H01J23/00Details of transit-time tubes of the types covered by group H01J25/00
    • H01J23/16Circuit elements, having distributed capacitance and inductance, structurally associated with the tube and interacting with the discharge
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、長時間の動作でも誘電体支持棒
の表面への帯電を抑制し、再現性及び組立て性に優れる
進行波管の遅波回路構体及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 この発明は、遅波線路13を支持する誘電体
支持棒12が、この支持棒の母材表面から所定の深さま
で母材と異なる元素が所定濃度で注入されて表面の電気
抵抗が母材自体の電気抵抗よりも小さい値を有してなる
進行波管の遅波回路構体である。また、製造方法の発明
は、誘電体支持棒の表面から所定の深さまで上記の元素
を所定打ち込み量でイオン注入し、その後これを非酸化
性雰囲気中で熱処理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、マイクロ波を増幅す
る電子管として知られる進行波管の遅波回路構体に係わ
り、とくにその遅波線路を支持する誘電体支持棒及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】進行波管は、周知のように、集束された
電子ビ−ムと,例えばらせん状遅波線路を伝搬するマイ
クロ波との相互作用を利用する電子管である。すなわ
ち、マイクロ波がらせん状遅波線路を伝搬する時、マイ
クロ波はらせん状遅波線路に隣接する電子ビ−ムと相互
作用して電子ビ−ムのエネルギ−の一部がマイクロ波に
伝達され、マイクロ波は増幅される。したがって、陰極
に近接したらせん状遅波線路の入力端に加えられたマイ
クロ波は増幅されてらせん状遅波線路の出力端に現れ、
マイクロ波出力として外部回路に取り出される。そし
て、マイクロ波と相互作用した電子ビ−ムはコレクタ電
極に捕集され、熱に変換される。
【0003】細長いらせん状遅波線路は、通常、金属製
の細長いパイプ状真空容器の中に挿入され、両端がマイ
クロ波を入力、及び出力する例えば同軸線路の中心導体
に電気的に接続されている。さらにこのらせん状遅波線
路は、例えば3本の誘電体支持棒によって真空容器の中
心軸上に安定に支持されている。したがって、これら誘
電体支持棒は、真空容器の内面とらせん状遅波線路の外
面に同時に接している。
【0004】この誘電体支持棒の材料としては、電気的
特性、機械的特性、熱的特性などの要求から、通常、酸
化ベリリウムや酸化アルミニウム、或いは石英などの物
質が使用されている。これらの中で毒性があり機械的に
脆い欠点はあるものの、電気絶縁性に優れ、誘電体損失
も少なく、且つ耐熱性、熱伝導特性が良い酸化ベリリウ
ムが広く使用されてきた。
【0005】一方、近年は誘電体支持棒として窒化硼素
も実用になりつつある。その一例として例えば熱分解窒
化硼素(Pyrolytic Boron Nitri
de;以下、PBNと記す)がある。このPBNは、酸
化ベリリウムに比べて機械的柔軟性に富み、誘電率も小
さく、組立て性に優れた材料である。しかし、PBN
は、二次電子放出係数が1以下で小さいために、その近
傍を通過する電子の一部が衝突するとこのPBN製支持
棒の表面が帯電しやすいという問題がある。
【0006】進行波管の陰極から射出された電子ビ−ム
は、進行波管の外部に配設された磁石の集束作用により
らせん状遅波線路の中空部分を通過し、コレクタ電極に
到達する。しかし、電子ビ−ムは速度分布を有し有限の
広がりを持って進行するので、少量ではあるが、ある程
度の電子がらせん状遅波線路及び誘電体支持棒に衝突す
ることは避けられない。これら電子の衝突や二次電子放
出などにより、誘電体支持棒の表面が正もしくは負に帯
電し、帯電量が著しく大きければ、進行波管の正常な動
作を妨げる原因になる。すなわち、誘電体支持棒の表面
に局所的に電荷が帯電した場合、静電集束作用や静電偏
向作用などにより、電子ビ−ムが変動を受け、らせん状
遅波線路や誘電体支持棒に衝突する電子の数が増大し、
マイクロ波との相互作用が不十分でマイクロ波の増幅が
十分行われなくなる。らせん状遅波線路及び誘電体支持
棒への電子の衝突は、帯電の増加を促進するともに、ら
せん状遅波線路に流れる電流を増大させるので、その結
果、進行波管内の温度上昇をもたらし、進行波管の破壊
に至らしめる場合もある。
【0007】誘電体支持棒の表面への帯電を低減する方
法としては、支持棒の表面に酸化マグネシウムや酸化チ
タン等の被膜を形成することが知られている。このよう
な技術は、例えばUSP5038076、USP507
1055、ドイツ公開特許3235753、特開平5−
89788号公報等に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、誘電体支持
棒の表面帯電を抑制する上記のような酸化物被膜を被覆
することは、マイクロ波出力電力が比較的小さい進行波
管の場合には有効であるが、進行波管内の温度が高温に
なりやすく、且つ電子の誘電体支持棒への衝突エネルギ
が大きい高出力の進行波管に適用する場合は、その信頼
性が問題となる。
【0009】誘電体支持棒の表面に酸化物被膜を被覆し
た場合、長時間の高温動作や激しい温度変化に伴なっ
て、酸化物被膜の例えば還元や厚さの変化、クラックの
発生等の物理的、化学的な状態変化を起こしやすい。そ
れによって、帯電防止効果が変化又は劣化してしまうお
それがある。また、酸化物被膜が誘電体支持棒の表面か
ら剥離するおそれもあり、さらに、被覆する際の酸化物
被膜の高精度の制御や安定化が困難である。
【0010】この発明は、以上のような不都合を解消
し、長時間の動作でも誘電体支持棒の表面への帯電を抑
制し、再現性及び組立て性に優れる進行波管の遅波回路
構体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、遅波線路を
支持する誘電体支持棒にこの支持棒の母材表面から所定
の深さまで母材と異なる元素が所定濃度で注入されて表
面電気抵抗が母材の電気抵抗よりも小さい値に低下させ
た進行波管の遅波回路構体である。
【0012】また、製造方法の発明は、誘電体支持棒の
表面から所定の深さまで支持棒母材と異なる元素を所定
濃度でイオン注入し、その後これを非酸化性雰囲気中で
熱処理することを特徴とする。
【0013】
【作用】この発明によれば、誘電体支持棒の母材の表面
から所定の深さまで所定の濃度でイオン注入した元素に
より、誘電体支持棒の表面電気抵抗が支持棒母材自身の
もつ電気抵抗よりも低くなり、動作中の支持棒表面への
帯電を防止することができる。そして、誘電体支持棒の
母材とイオン注入元素との安定な元素結合が得られ、表
面抵抗の変化が少なく、進行波管の安定な動作を維持す
ることができ、且つ再現性よく高精度に製造することが
できる。
【0014】
【実施例】以下この発明の実施例を図面により説明す
る。なお、同一部分は同一符号であらわす。図1の
(a)は進行波管のらせん状遅波回路構体の概略横断面
図であり、同図の(b)はその誘電体支持棒の横断面を
示す模式図である。内部が真空とされる細長いパイプ状
のステンレス製真空容器11の内側に、3本の誘電体支
持棒12が約120度間隔で配置され、それらの内側に
例えばモリブデンのテ−プをらせん状に巻いた遅波線路
13が支持固定されている。これら真空容器、誘電体支
持棒及び遅波線路は、互いの接触部が機械的に密着又は
ろう接されて良好な伝熱経路を構成している。進行波管
の動作中、らせん状遅波線路13の中心部を電子ビーム
eが進行して、電磁波と相互作用する。
【0015】そこで、遅波線路を支持する誘電体支持棒
12は、その母材表面から所定の深さまで所定の濃度で
この母材と異なる元素が注入されている。この元素が注
入された領域を、同図の(b)に符号Mであらわしてお
り、これは誘電体支持棒12の遅波線路に接する面12
a及びテーパ状の両側面12bに、それぞれ表面から所
定の深さにわたって存在している。
【0016】誘電体支持棒12は、上述したPBNのよ
うな窒化硼素(BN)や、進行波管の遅波線路を支持す
る誘電体として知られている例えばベリリア(Be
O)、アルミナ(Al23 )、窒化アルミニウム(A
lN)、窒化硅素(Si34 )等のセラミックス、石
英(SiO2 )、或いは他の耐熱ガラス等、種々の誘電
体を使用できる。また、イオン注入して表面電気抵抗を
下げる元素は、誘電体支持棒の母材を構成する元素とは
異なる元素で、水素や、アルゴン等の不活性ガスを除く
元素を使用する。
【0017】次に、最初の具体例を好ましい製造方法に
したがって説明する。誘電体支持棒12の母材として、
上述したものと同様の熱分解法で製造したPBNを容易
した。このPBNは、既に述べた通り、六方晶系であ
り、機械的、熱的、及び電気的特性として強い異方性を
持った層状の窒化硼素である。このPBNは、電気的に
高抵抗で且つ低誘電損失という特徴があり、さらに熱伝
導性に優れ、機械的にはしなやかで折れにくい特徴を有
する。
【0018】このPBNを母材とする誘電体支持棒12
を、図1に示したような横断面形状で、一辺の長さが約
1mm、長さが約150mmの細長い棒に加工した。そ
して、注入イオン種となる元素の例として、周期律表の
II族の元素であるマグネシウム(Mg)を用い、誘電体
支持棒12の母材表面から所定の深さまでMgイオンを
打ち込んだ。イオン注入装置は、イオン源、質量分離
器、後段加速管、ビ−ム走査器、打込み室から構成され
ており、Mgをイオン源のイオン室内で蒸発させ、電子
と衝突させてイオン化させた後にイオン室からこのイオ
ンを引き出し、集束作用によりイオンビ−ムを成形す
る。その後、質量分離器にイオンビ−ムを導入しMgイ
オンだけを質量分離器から取り出し、例えば180kV
のイオン加速電圧でPBN母材にMgイオンを例えば
2.0×1014(原子/cm2)の量で打ち込んだ。
【0019】こうして形成したPBN母材表面近傍のM
gイオン注入領域MのMg濃度分布は、図2に点線Aで
示すように、PBN母材の表面から1μm以下の深さの
領域で最大で、それより深くなるにつれて徐々に低下す
る分布となった。
【0020】次にこのMgイオンを注入したPBN製支
持棒12を、真空中で約900度Cの温度で、約1時間
の熱処理をした。この熱処理によって、PBN母材表面
部にイオン注入したMgは活性化され、PBN母材表面
の電気抵抗値が熱処理前に比べて約2桁低下し、109
(Ω−cm2 )台の値になっていることが確認された。
これは、熱処理によって、PBN母材の結晶性の回復が
なされた結果、Mgが硼素(B)の一部と置換して正孔
伝導を示すようになったためであると考えられる。そし
て、この表面抵抗は、真空中での長時間の高温動作でも
ほとんど変化しないことが確認された。そしてこの熱処
理後のPBN母材表面近傍のMg濃度は、図2に実線B
で示すように、最大濃度は元の点線Aの値よりも下がる
一方で、表面とその直下の濃度が約1桁上がり、また、
より深い領域に拡散して広い分布を示していることが確
認された。このことからも、Mgイオンを表面部に注入
したPBN製支持棒の表面電気抵抗は、熱処理によって
低下することが裏付けられている。しかも、この熱処理
により長期にわたる高温動作中の表面抵抗の変化を防止
でき、安定な動作を保証することができる。こうして、
誘電体母材の表面から所定の深さまで所定の元素のイオ
ン注入領域Mを持つ遅波回路支持棒を得た。
【0021】上述のように製作した誘電体支持棒を電子
顕微鏡内に取り付け、加速電圧として、10kV、15
kV、20kVの各条件で電子ビ−ムを5分間にわたっ
て誘電体支持棒に照射し続けて、誘電体支持棒の表面へ
の電子の帯電の有無を定量的に調べた結果、いずれの条
件でもこの発明による誘電体支持棒への帯電はほとんど
認められなかった。
【0022】この発明によれば、注入するイオン種を自
由に選択でき且つイオンの個数を計測しながら注入でき
るので、イオン注入量の精度が極めて高く、表面の電気
抵抗値を正確に制御することができる。また、イオンが
誘電体支持棒の内部に注入されるので、従来の支持棒表
面への酸化物等の被膜のめっきや蒸着等に比べて熱的、
化学的又は機械的な耐性にすぐれている。また、誘電体
支持棒の表面上に他の抵抗被膜を付着させる構成ではな
いため、誘電体支持棒の寸法変化がなく、高精度の設計
及び組立てができる。
【0023】上述の実施例は、PBN母材にII族の元素
であるMgをイオン注入した例であるが、それに限ら
ず、誘電体支持棒であるBN母材にII族の他の元素(B
e、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg)の中から選
択した少なくとも一つを適当量イオン注入してもよい。
【0024】或いはまた、IV族の元素(Ti、Zr、H
f、C、Si、Ge、Sn、Pb)、若しくはVI族の元
素(Cr,Mo,W,O,S,Se,Po)中から選択
した少なくとも一つを適当量イオン注入してもよい。
【0025】次の具体例として、PBNからなる誘電体
支持棒にIV族の元素であるSiをイオン注入した例を延
べる。イオン種として、フッ化シリコン(SiF4 )の
ガスを用い、これを放電によりイオン化してPBN母材
にSi元素を注入した。
【0026】PBN母材の表面部にSiイオンを1×1
14(原子/cm2 )の打ち込み量で注入した試料、同
じく2×1014(原子/cm2 )で注入した試料、及び
5×1014(原子/cm2 )で注入した試料を、いずれ
も真空中で約900度C、約1時間熱処理した。こうし
て得た試料について、電子顕微鏡で表面電位を測定し
た。その結果、電子顕微鏡のビーム加速電圧を10kV
とした時の上記各試料の表面電位は、それぞれ、6.6
kV、8.0kV、及び9.7kVとなり、Siイオン
の注入量が多いほど帯電量が少なくなることが確認でき
た。なお、この測定方法においては、表面電位が加速電
圧と同じ10kVであれば帯電量は零ということにな
る。
【0027】なお、イオン種としてSiを用いると、飽
和蒸気圧が比較的低いので、進行波管の製造中及び完成
品の動作中に、PBN製支持棒の表面からSi元素が蒸
発するおそれがほとんどなく、長期にわたり安定な性能
を維持することができる。
【0028】イオン注入する元素は、誘電体支持棒の母
材との関係で熱処理後の支持棒表面部に所定の高抵抗の
電気伝導性をあらわす任意の元素を選択することができ
る。そして一般的には、物理的、化学的に安定性を得や
すい金属元素を使用することが好ましい。また、誘電体
支持棒の母材が窒化硼素(BN)の如く III−V族の化
合物である場合には、注入するイオン種としては、II族
の元素、IV族の元素、或いはVI族の元素の中から選択し
た少なくとも一つの元素を用いることが望ましい。そし
て、既に述べたように、イオン注入した後に非酸化製雰
囲気中で熱処理し、母材を構成する元素の一部を注入元
素で置換し、電気的に安定に活性化してBN製支持棒表
面の電気抵抗を低下させ安定化させることが望ましい。
【0029】なお、イオン打ち込み量は、1.0×10
12(原子/cm2 )から、1.0×1016(原子/cm
2 )の範囲が望ましい。また、イオン注入後の熱処理
は、真空中に限らず、窒素又はアルゴン等の不活性ガス
雰囲気中、若しくはその他の非酸化性雰囲気中で行なっ
てもよい。また、この熱処理温度は、比較的高いほう
が、短時間で反応を安定化させ得るので好ましいが、実
用上は、600度Cから1200度Cまでの範囲の温度
がよい。上記よりも高温で熱処理すると、注入した元素
が急激に蒸発、消失してしまい、所用の濃度が得られな
くなる。
【0030】図3に示す実施例は、BN製誘電体支持棒
12の一部に設ける高周波減衰部をもイオン注入により
形成したものである。すなわち、誘電体支持棒12の表
面部に注入する金属元素の濃度を、遅波線路13を伝搬
する高周波を最大に減衰させるべき最大減衰領域ATT
で最も高くし、その両側は徐々に低くなって前述のよう
に帯電防止効果が得られる濃度の分布となるようにして
ある。それにより、誘電体支持棒の表面抵抗値は、同図
の下部の曲線Rのように、最大減衰領域ATTで高周波
を十分吸収する値に、その両側で徐々に高くなる分布に
なっている。
【0031】この実施例によれば、高周波減衰部の表面
抵抗分布を、イオン注入量の制御によりきわめて精密な
分布にすることができる。また、従来一般的に知られる
高周波減衰材料の蒸着被膜や塗布膜と異なり、剥がれや
変質が起こるおそれが少ないし、高周波減衰部とその他
の領域との境界の電気的な不連続も解消することができ
る。さらにまた、帯電防止のためのイオン注入の工程で
この高周波減衰部も形成できるので、製造工程が簡略に
なる。
【0032】なお、この発明を適用できる遅波線路は、
らせん状遅波線路に限らず、二重らせん形、或いはリン
グ・アンド・バー形等、誘電体支持棒に支持されるもの
を広く含む。
【0033】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
窒化硼素からなる誘電体支持棒の表面への帯電を防止で
き、再現性よく高精度に製造することができる。また、
剥がれや変質のおそれが少なく、進行波管の長期にわた
る安定な動作を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の要部を示す横断面図。
【図2】図1の誘電体支持棒の表面から深さ方向のイオ
ン注入元素の濃度分布を示すグラフ。
【図3】この発明の他の実施例を示す要部縦断面図及び
表面抵抗分布図。
【符号の説明】
11…真空容器 12…誘電体支持棒 13…らせん状遅波線路 M…金属元素イオン注入領域 ATT…高周波最大減衰領域

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遅波線路を誘電体支持棒により支持する
    進行波管の遅波回路構体において,前記誘電体支持棒
    は、誘電体母材の表面から所定の深さまで前記母材と異
    なる元素が所定濃度で注入されて表面の電気抵抗が母材
    自体の電気抵抗よりも小さい値を有してなることを特徴
    とする進行波管の遅波回路構体。
  2. 【請求項2】 誘電体支持棒の母材は窒化硼素である請
    求項1記載の進行波管の遅波回路構体。
  3. 【請求項3】 注入元素は、周期律表のII族、IV族、或
    いはVI族の元素の中から選択された少なくとも一つの元
    素である請求項2記載の進行波管の遅波回路構体。
  4. 【請求項4】 誘電体支持棒の一部に高周波減衰部が設
    けられ、この高周波減衰部が所定濃度分布で注入された
    元素により構成されている請求項1記載の進行波管の遅
    波回路構体。
  5. 【請求項5】 遅波線路を誘電体支持棒により支持する
    進行波管の遅波回路構体の製造方法において,上記誘電
    体支持棒の誘電体母材に該母材の表面から所定の深さま
    で前記母材と異なる元素を所定打ち込み量でイオン注入
    し、その後これを非酸化性雰囲気中で熱処理することを
    特徴とする進行波管の遅波回路構体の製造方法。
  6. 【請求項6】 誘電体支持棒の母材として、窒化硼素を
    使用する請求項5記載の進行波管の遅波回路構体の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 注入するイオン種は、周期律表のII族、
    IV族、或いはVI族の元素の中から選択された少なくとも
    一つの元素を含む請求項6記載の進行波管の遅波回路構
    体の製造方法。
  8. 【請求項8】 イオン打ち込み量を、1.0×10
    12(原子/cm2 )から1.0×1016(原子/cm
    2 )の範囲で行なう請求項5記載の進行波管の遅波回路
    構体の製造方法。
  9. 【請求項9】 熱処理温度は、600度C乃至1200
    度Cの範囲である請求項5記載の進行波管の遅波回路構
    体の製造方法。
JP12997795A 1994-08-17 1995-05-29 進行波管の遅波回路構体及びその製造方法 Pending JPH08111182A (ja)

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