JPH08110395A - 放射性廃液処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】廃液のろ過処理に繊維ろ過器と活性炭ろ過器を
設置すると共に、遠心脱水機と精密ろ過機を設けて、脱
水液中の微細浮遊物質や活性炭も除去できる放射性廃液
処理装置を提供する。 【構成】請求項１記載の発明に係る放射性廃液処理装置
は、収集タンク３に収集した放射性物質を含む廃液の洗
濯廃液１およびシャワードレン２等をろ過する処理装置
が、繊維ろ過器５とこの後段に活性炭ろ過器16を設けた
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、原子力プラント等で発
生する放射性廃液および洗濯廃液およびシャワードレン
のろ過処理を行う放射性廃液処理装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に原子力発電所や放射性廃棄物の再
処理施設等の放射性物質を取り扱うプラントで発生する
洗濯廃液については、濃縮蒸留を施しており、洗剤成分
および洗濯等により洗濯物から廃液に移行した汚れ成分
を分離捕捉して濃縮する。

【０００３】ここで分離された蒸留処理水はプラント内
で再使用するか、或いはプラント外へ排出し、前記濃縮
した濃縮廃液は乾燥処理後に焼却炉で焼却処理される。
また、シャワードレンの処理については、一般に放射性
物質濃度が極めて低いので、毛髪等を簡易ろ過した後に
プラント外へ排出していた。

【０００４】しかしながら、環境影響調査書等によりプ
ラント外へ放出する排水の水質が規制されており、これ
に準拠して各プラントでは管理値を定めて懸濁固形物
（ＳＳ）濃度、化学的酸素要求量（ＣＯＤ）濃度、ｎ−
ヘキサン抽出物濃度、ｐＨ等が定められた管理値以下に
なるようにしている。

【０００５】したがって、この管理項目の内にある毛
髪、繊維、垢等の浮遊物質が未処理では管理値は満足で
きないために、この廃液処理装置としては高分子繊維を
砂ろ過処理の原理を活用して層状に充填してろ材とし、
このろ材に洗濯廃液およびシャワードレンを通過させる
ことにより浮遊物質を捕捉して除去している。

【０００６】従来の廃液処理装置は図５の系統構成図に
示すように、洗濯廃液１およびシャワードレン２は収集
タンク３に収集され、廃液ポンプ４を介して繊維ろ過器
５を通過させる。ここで浮遊物質はろ材により捕捉さ
れ、ろ液はサンプルタンク６へ回収して、ろ液ポンプ７
により排水８される。なお、繊維ろ過器５において浮遊
物質を捕捉した高分子繊維ろ材は、水切り後に焼却処理
がされる。

【０００７】繊維ろ過器５については図６の縦断面模式
図に示すように、缶胴９の内部にろ材充填筒10があり、
この中にろ材11としてポリプロピレンの繊維を層状に充
填されていて、このろ材11はろ材押さえ板12で押さえら
れている。

【０００８】廃液の洗濯廃液１およびシャワードレン２
は液入口13からろ材11の上部に供給され、ろ材を通過す
るろ液は缶胴９の下部より排出されるが、ろ材11の目詰
り等により通過流量が所定値に低下した場合、または、
ろ過処理されたろ液の水質が管理値を満足しなくなった
場合はろ材11を交換するが、このろ材交換は繊維ろ過器
５の上部の蓋15を開き、ろ材充填筒10内に充填されてい
るろ材11を取り出して、代わりに新規のろ材11を充填す
る。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】最近のプラントにおい
ては、環境に影響を及ぼす廃液に対する水質の管理値が
より厳しくなる傾向にあり、この場合には従来の繊維ろ
過器５によるろ過処理のみでは、化学的酸素要求量濃度
等が環境影響調査書等の規定する水質を満足できないと
いう支障が生じる。この対策として従来から設置されて
いた繊維ろ過器５により廃液中の懸濁固形物を捕捉した
後に、化学的酸素要求量濃度に係わる成分について、活
性炭ろ過器でろ過吸着する廃液処理装置を開発した。

【００１０】しかしながら、化学的酸素要求量濃度に係
わる成分を除去するために用いた粒状活性炭の廃棄処理
としては、遠心脱水機で脱水してからドラム缶に充填し
た後に焼却処理をするが、この遠心脱水機においては粒
状活性炭の脱水はできるが、前記の繊維ろ過器５を通過
した一部の微細な浮遊物質は分離が難しい。また、遠心
脱水機における粒状活性炭の脱水処理に際して、粒状活
性炭の一部が破砕されて微粉末となり、これが脱水液中
に移行して水質を低下させるという不具合があった。

【００１１】本発明の目的とするところは、廃液のろ過
処理に繊維ろ過器と活性炭ろ過器を設置すると共に、遠
心脱水機と精密ろ過機を設けて、脱水液中の微細浮遊物
質や活性炭も除去できる放射性廃液処理装置を提供する
ことにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項１記載の発明に係る放射性廃液処理装置は、収集
タンクに収集した放射性物質を含む廃液の洗濯廃液およ
びシャワードレン等をろ過する処理装置が、繊維ろ過器
とこの後段に活性炭ろ過器を設けたことを特徴とする。

【００１３】請求項２記載の発明に係る放射性廃液処理
装置は、前記活性炭ろ過器における使用済み粒状活性炭
を脱水処理する遠心脱水機を設けたことを特徴とする。
請求項３記載の発明に係る放射性廃液処理装置は、前記
遠心脱水機により分離された脱水液をろ過処理するため
の精密ろ過機を設けたことを特徴とする。請求項４記載
の発明に係る放射性廃液処理装置は、前記精密ろ過機に
よりろ過されたろ液を前記収集タンクに回収することを
特徴とする。

【００１４】

【作用】請求項１記載の発明は、先ず繊維ろ過器により
洗濯廃液およびシャワードレン中の浮遊物質である懸濁
固形物を捕捉し、この後に活性炭ろ過器において化学的
酸素要求量濃度に係わる成分を吸着処理するので、外部
排水の水質を向上することができる。請求項２記載の発
明では、活性炭ろ過器における使用済み粒状活性炭は、
遠心脱水機により脱水して放射性廃液を少なくしてか
ら、別途廃棄物としての処理を行う。

【００１５】請求項３記載の発明では、繊維ろ過器およ
び活性炭ろ過器において除去しきれずに脱水液に含まれ
た微細な懸濁固形物、あるいは微粉末の活性炭を精密ろ
過機によりろ過分離してケークとして除去する。

【００１６】請求項４記載の発明では、精密ろ過機によ
りろ過されたろ過液を収集タンクに回収すして、再びろ
過されるので排水の水質を低下させることがない。

【００１７】

【実施例】本発明の一実施例について図面を参照して説
明する。放射性廃液処理装置は図１の系統構成図に示す
ように、洗濯廃液１およびシャワードレン２を受け入れ
る収集タンク３には、廃液である洗濯廃液１およびシャ
ワードレン２を送り出す廃液ポンプ４と、この洗濯廃液
１およびシャワードレン２をろ過処理する繊維ろ過器５
と、その後段に活性炭ろ過器16が結合されている。

【００１８】また、この活性炭ろ過器16には、ろ過され
たろ液を回収するサンプルタンク６と、このろ液を外部
に排水８するろ液ポンプ７が接続され、さらに活性炭ろ
過器16には、使用済みの粒状活性炭の脱水処理をする遠
心脱水機17と、脱水分離した粒状活性炭を受ける排出ホ
ッパ18、この使用済み粒状活性炭を充填するドラム缶19
が接続してある。

【００１９】遠心脱水機17には脱水液を回収する脱水タ
ンク20と、脱水ポンプ21および精密ろ過機22が接続さ
れ、精密ろ過機22のケーク排出口には、脱水液よりろ
過、脱水された浮遊物質および活性炭等によるペースト
状のケークを排出するケーク排出弁23と、このケークを
充填するドラム缶24が接続されている。また、精密ろ過
機22と前記廃液の収集タンク３の間には、ろ過されたろ
過液を回収するための戻し配管25が接続されて構成して
いる。

【００２０】活性炭ろ過器16については図２の縦断面模
式図に示すように、缶胴26内に粒状活性炭27が充填され
ていて、上部に液入口28ａ、内部の下部にインターナル
管29と液出口28ｂが設けてある。繊維ろ過器５からの給
液は液入口28ａより入り、粒状活性炭27において化学的
酸素要求量濃度に係わる成分がろ過吸着され、下部のイ
ンターナル管29にて収液されて液出口28ｂよりろ液とし
て排出する。

【００２１】ここで、ろ過処理流量が所定の流量に低下
した場合、または処理水質を満足しなくなった場合に
は、粒状活性炭27の交換をするが、使用済み粒状活性炭
は、活性炭ろ過器16の下部より注入した移送水によって
流動化させ、スラリーとしての濃度を低くしてスラリー
出口30より遠心脱水機17へ押し流す。

【００２２】遠心脱水機17については、例えば図３の縦
断面模式図に示すように、活性炭ろ過器16から排出され
た使用済み粒状活性炭のスラリーを、給液管31より回転
しているバスケット32内に供給し、このバスケット32の
内面に張られているスクリーン33上で遠心力により固形
分と脱水液にろ過分離する。

【００２３】ここでろ過分離された固形分は、スクリュ
34により円錐ボール35まで搬送され、円錐ボール35で堰
止めして遠心力により更に脱水させ、ケーク（固形物）
としてスクリュ34で搬送してケーク排出口36より排出す
る。なお、固形分が除去された脱水液は脱水口37より脱
水タンク20へ流出する。

【００２４】精密ろ過機22について図４の縦断面模式図
により説明する。この精密ろ過機22は連続運転が可能な
ロータリーフィルタ型を例にする。耐圧構造のろ過室38
内に撹拌板39とろ過板40とが狭い間隔で相互に配列さ
れ、撹拌板39はろ過運転時に回転軸41により一定の速度
で回転される。ろ過板40は下部にろ過液排出機構42を有
し、板の両面にろ布が張ってある。

【００２５】脱水タンク20からの脱水液は液入口43より
入り、ろ過室38の一方へ加圧供給されて、ろ過板40の間
隙を縫って移動する間にろ過脱水される。この時に脱水
されたケークは、ろ過室38の他方に設けたケーク排出弁
23から固いペースト状になって排出される。

【００２６】一方ろ過液は、ろ過板40のろ過液排出機構
42から液出口44を経て外部に排出され、戻し配管25を経
由して収集タンク３へ回収される。なお、撹拌板39を回
転される回転軸41は、駆動電動機等を介してトルク制御
装置45によりトルクが制御されるように構成されてい
る。

【００２７】次に上記構成による作用について説明す
る。廃液の洗濯廃液１またはシャワードレン２は、収集
タンク３内に収集され、この収集タンク３からのバッチ
処理毎に廃液ポンプ４により送出され、繊維ろ過器５を
通過することにより、洗濯廃液１中の糸屑、毛髪、垢等
の浮遊物質の懸濁固形物が除去される。

【００２８】この懸濁固形物が除去されたろ液は、活性
炭ろ過器16を通って洗剤成分および洗濯物から洗濯廃液
１に移行した汚れ成分を、粒状活性炭27により捕捉され
ることによりろ過される。このように、繊維ろ過器５に
て放射性物質を含む懸濁固形物を、さらに活性炭ろ過器
16にて化学的酸素要求量濃度に係わる成分を除去された
後に、ろ液はサンプルタンク６に収集されてろ液ポンプ
７により外部に排水８される。

【００２９】活性炭ろ過器16で使用された後の粒状活性
炭27である使用済み粒状活性炭の処理は、活性炭ろ過器
16から移送水によりスラリーとして遠心脱水機17に押し
出され、遠心脱水機17で脱水された粒状活性炭27は、排
出ホッパ18に回収されてドラム缶19に充填される。

【００３０】また分離された脱水液には、繊維ろ過器５
を通過した微細な浮遊物質の一部や、遠心脱水機17にお
いて脱水時に破砕された微粉末の活性炭を含んでおり、
これらを分離処理する必要があるが、一旦、脱水液タン
ク20に受け入れ、脱水液タンク20のバッチ処理毎に精密
ろ過機22に供給する。

【００３１】精密ろ過機22としては連続運転が可能なロ
ータリフィルタ型が適しており、この精密ろ過機22で
は、脱水液に含まれた微細な浮遊物質、および破砕され
た活性炭の微粉末を捕捉し、さらに脱水してケークとす
る。このケークはケーク排出弁23を介してドラム缶24に
充填される。

【００３２】精密ろ過機22で微細物がろ過されたろ過液
は、戻し配管25により収集タンク３に回収されて、再び
繊維ろ過液５と活性炭ろ過器16によりろ過された後に、
サンプルタンク６に回収されて外部に排水８される。こ
れによりサンプルタンク６に回収されて排水８されるろ
液は、前記繊維ろ過器５と活性炭ろ過器16との両方で、
再びろ過される。

【００３３】したがって、本発明では従来繊維ろ過器５
のみにより捕捉漏れした懸濁固形物の微細成分と、活性
炭ろ過器16において使用済み粒状活性炭の脱水処理時に
生じる微粉末等が、精密ろ過機22により捕捉されて、ろ
液の水質が向上するので、プラントの廃液を外部に排出
する際に環境に悪影響を与えず、管理値を十分満足する
排水の水質を良好に維持することができる。

【００３４】

【発明の効果】以上本発明によれば、原子力発電プラン
ト等における放射性廃液の排出に際して、外部環境に影
響を与えることが少なく、したがって規定された水質基
準値を満足できる水質を容易に維持させる効果がある。
また、活性炭ろ過器で用いられた使用済み粒状活性炭等
についても、遠心脱水機と精密ろ過機により粒状活性炭
および微粉末の活性炭を脱水状態で分離し、ろ過液は再
び系統内でろ過処理されるので水質低下を生じさせな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施例の放射性廃液処理装置の
系統構成図。

【図２】本発明に係る一実施例の活性炭ろ過器の縦断面
模式図。

【図３】本発明に係る一実施例の遠心脱水機の縦断面模
式図。

【図４】本発明に係る一実施例の精密ろ過機の縦断面模
式図。

【図５】従来の放射性廃液処理装置の系統構成図。

【図６】従来の繊維ろ過器の縦断面模式図。

【符号の説明】

１…洗濯廃液、２…シャワードレン、３…収集タンク、
４…廃液ポンプ、５…繊維ろ過器、６…サンプルタン
ク、７…ろ液ポンプ、８…排水、９，26…缶胴、10…ろ
材充填筒、11…ろ材、12…ろ材押え板、13，28ａ，43…
液入口、14，28ｂ，44…液出口、15…蓋、16…活性炭ろ
過器、17…遠心脱水機、18…排出ホッパ、19，24…ドラ
ム缶、20…脱水タンク、21…脱水ポンプ、22…精密ろ過
機、23…ケーク排出弁、25…戻し配管、27…粒状活性
炭、29…インターナル管、30…スラリー出口、31…給液
管、32…バスケット、33…スクリーン、34…スクリュ、
35…円錐ボール、36…ケーク排出口、37…脱水出口、38
…ろ過室、39…撹拌板、40…ろ過板、41…回転軸、42…
ろ液排出機構、45…トルク制御装置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 里美 神奈川県川崎市幸区堀川町66番２ 東芝エ ンジニアリング株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 収集タンクに収集した放射性物質を含む
   廃液の洗濯廃液およびシャワードレン等をろ過する処理
   装置が、繊維ろ過器とこの後段に活性炭ろ過器を設けた
   ことを特徴とする放射性廃液処理装置。
2. 【請求項２】 前記活性炭ろ過器における使用済み粒状
   活性炭を脱水処理するための遠心脱水機を設けたことを
   特徴とする請求項１記載の放射性廃液処理装置。
3. 【請求項３】 前記遠心脱水機の脱水処理により分離さ
   れた脱水液をろ過処理するための精密ろ過機を設けたこ
   とを特徴とする請求項２記載の放射性廃液処理装置。
4. 【請求項４】 前記精密ろ過機によりろ過されたろ液を
   洗濯廃液およびシャワードレンの収集タンクに回収する
   ことを特徴とする請求項１乃至請求項３記載の放射性廃
   液処理装置。