JPH08103903A - 絹フィブロインによる木材の改質法 - Google Patents
絹フィブロインによる木材の改質法Info
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Abstract
法安定性等を向上させること。 【構成】 木材を染色する際に絹フィブロインの水系溶
媒を木材に含浸又は塗布して硬化させ、絹フィブロイン
と木材とを複合化させることからなる絹フィブロインに
よる木材の改質法。 【作用および効果】 絹フィブロインが木材細胞壁の空
隙中に浸透又は表面に定着して硬化することにより木材
との複合化を生じ、染料の染着性や耐光性が改善されか
つ木材の寸法安定性も向上する。絹フィブロインはくず
繭などの産業廃棄物からの再利用によって得られ、絹フ
ィブロイン自体は易分解性の天然蛋白質であるためこの
改質処理によって廃液処理や木材製品の廃棄時に問題を
生じることが少ない。
Description
染色された木材の耐光性や寸法安定性等を向上させる木
材の改質法に関する。
する際の染料は塩基性染料やその他一部のものに限定さ
れ、かつ現在用いられているこれらの染料は退色性の傾
向が大きいため染色木材に対して何等かの手段によって
染色性(耐光性)を向上させることが望まれている。ま
た木材の染色加工等に際してはその寸法安定性が製品の
利用用途において大きな影響を与えるので、前記染色性
に加えて寸法安定性等を改善することが重要な課題であ
る。
ど開発されておらず、たとえばスルホフタル酸等の芳香
族スルホポリカルボン酸類とピロガロールとの反応生成
物を含む組成物等が提案されているが(特公昭60−3
3855号)、このような合成化学薬品類による改質は
その工程中に生じる廃液の処理や改質によって耐候化さ
れた木材製品の廃棄等に問題が生じ環境の汚染、破壊に
つながるおそれがある。このため環境に与える負荷の少
ない易分解性の天然物質の利用が考えられるが、染色に
用いられる染料や天然物質である木材のとの親和性にす
ぐれた改質剤は木材に関しては未だ知られておらず、木
材パルプを主材とする複合紙やセルロースせん維を主材
とする複合シート等の分野等でキトサンやキチンを混合
してその改質や易分解性の改善が試みられている程度に
すぎない(特開平4−183307号、特開平6−18
81号等)。
対して親和性があり、水系溶媒に可溶でかつ溶媒の蒸発
後に硬化することに着目して木材の染色加工時にかゝる
絹フィブロインを用いて木材を処理することに着目し、
試験・研究を重ねた結果本発明を完成するに到った。
来技術の課題は木材に絹フィブロインの水系溶液を含浸
又は塗布して硬化させ、絹フィブロインと木材とを複合
化させることからなる絹フィブロインによる木材の改質
法によって達成される。
ンの水溶液を含浸又は塗布して硬化させ、絹フィブロイ
ンと木材とを複合化させ、次いでこれを染色することか
らなる木材の改質法が提供される。
後、絹フィブロインの水溶液を含浸又は塗布して硬化さ
せ、フィブロインと木材とを複合化させることからなる
絹フィブロインによる木材の改質法が提供される。
フィブロインの水溶液に浸漬する。フィブロインは分子
量約35〜37万のせん維状蛋白質であり、生糸をアル
カリ処理してセリシンを除くことによって得られるが、
本発明の実施に際してはくず繭等の産業廃棄物がその原
料として好ましく用いられる。このようなフィブロイン
はたとえば塩化カルシウム・メタノール水溶液に加熱溶
解した後透析することによって分子量の低減した(たと
えば1,000〜50,000)のいわゆる再生フィブ
ロインとなる(本願明細書中における絹フィブロインと
は別記しない限りこのような再生フィブロインを指
す)。木材を前記フィブロイン水溶液に常温で浸漬して
絹フィブロインを木材に含浸させ、次いで乾燥等により
硬化させて絹フィブロインと木材とを複合化させる。
をたとえば酸性染料又は食用色素で染色し乾燥させる
と、その染色性や寸法安定性が明らかに増大する。これ
は前記複合化処理にともなって前記染料等に親和性のあ
る絹フィブロインが分子量の程度に応じて木材の細胞壁
の内部に浸透し又はその表面に定着した状態で硬化して
(複合化)染料を安定化しかつ木材の構成部分の動きを
抑止することによるものと考えられる。
るので木材染色に際してフィブロイン処理を施すことに
より、たとえば単独では木材に対する染着性が良好でな
い耐光性の高い酸性染料等も絹フィブロインを媒介とし
て使用が可能となり染料選択の範囲が広大する。
0mm x 1mmのブナロータリー単板を用い、この試料
を絹フィブロイン(アイエス興産(株)製:公称分子量
50,000)の約5%水溶液に浸漬して、減圧および
加圧下に含浸させ次いで100℃で約2時間乾燥させて
染色用試片とした。
染色用試片を、1.0x10-3 mol/リットルの染料溶
液に常温で1時間浸漬した。染色には食用色素として B
rilliant Blue FCF (青色1号)、Tartrazine(黄色4
号)および New Coccine(赤色102号)ならびに酸性
染料としてC.I. Acid Yellow 38 (Yellow O)、C.I.Ac
id Blue 140 (Blue 2RW)および、C.I. Acid Orange
7(Orannge II)を用いた。尚対象試料として絹フィブ
ロイン無処理の染色材を前記食用色素および酸性染料で
夫々染色した試片を夫々調製した。
ンテスタXF−180:島津製作所製)で96時間処理
した。退色過程の測色は測色分光光度計(CMC:村上
色彩研究所製)を用い、24時間毎に分光立体反射率曲
線、L*、a*、b*および無処理時間からの色差(△
E*ab)を測定した。結果を食用色素について図1
に、酸性染料について図2に夫々示す。図に示す色差
(△E*ab)の経時変化から明らかなように、使用し
た全ての試料について絹フィブロイン処理材の耐光性が
無処理の対象材に比較して向上しており絹フィブロイン
処理による複合化効果が示されている。
00)の水系溶媒にヒノキの被処理材を減圧下に1時間
浸漬後、常温で24時間風乾させ、その後75%メタノ
ール水溶液中に1時間浸漬してフィブロインを硬化させ
木材と複合化させて実験に供した。
10-3mol/リットルの溶液中に常温で1時間浸漬した後
風乾し、実施例1と同様な方法で色差(△E*ab)を
測定した。食用色素として実施例1と同様青色1号、赤
色102号および黄色4号を用い、対象試料として絹フ
ィブロイン無処理の木材試料を前記各食用色素で染色し
たものを調製して同様に供試した。結果を図3に示す。
これらの図から明らかなように複合化処理木材の方が耐
光性に優れている。
E)および重量増加率(WPG)を検討するため、前記
の複合化処理を施したヒノキ(全乾比重0.32)20
x20x5mmの木口面試料を用い、まず23℃50%
RHと8時間水中浸漬による飽水状態でのR(半径)方
向およびT(接線)方向の寸法変化からASE(%)を
算出した。また同試料の処理前後の全乾質量の差(フィ
ブロイン含浸量)からWPG(%)を求めた。
る複合化処理を施した木材試料のWPGは10.2%で
であり、T方向のASEは5.5%であった。一方分子
量1,000の絹フィブロインによる複合化処理を施し
た木材試料のWPGは8.6%であり、T方向のASE
は19.2%であった。
含浸量WPGが大きくかつ寸法安定性の向上することが
示された。
(R)mmの試料について、粘弾性スペクトロメータ(岩
本製作所製)を用いて位相差法によって動的粘弾性を測
定した。予めP2 O5 上で減圧乾燥させた試料を装置の
チャックに80℃で1時間保持して充分乾燥させて試料
を全乾状態とした。次いで−130℃まで窒素置換を行
いながら温度を制御し、引張りモードでの貯蔵弾性率
E’および損失弾性率E”を測定し損失係数tanδを
算定した。結果を図4、5に示す。
材のE’が増加しており、その度合いは処理に用いた絹
フィブロインの低分子量のものほど大きくなっている。
また図5に示すように木材のtanδについての副分散
は絹フィブロインの複合化によって高温側に移動してい
る。
の副分散は木材構成々分の側鎖の運動に起因するとされ
ており、複合化処理木材では導入された絹フィブロイン
が前記側鎖の運動を抑制したゝめに副分散の高温側への
移動が生じたものと考えられる。この効果は絹フィブロ
インの分子量が小さいほど大きく現れており、これらの
ことから複合化処理の際に比較的低分子量の絹フィブロ
インが木材の膨潤によって生じる細胞壁の空隙中に浸透
し壁中で硬化することによって複合化が生じるものと考
えられる。
色加工等の際に絹フィブロインの水溶液を含浸させて複
合化することにより、染料の選択の幅が拡大しかつ染色
性(耐光性)が著しく向上すると共に寸法安定性や塗装
性等にも改善がみられる。この処理に用いる絹フィブロ
インは自然分解しやすい天然のせん維蛋白質であって、
改質処理および木材製品の廃棄の際に環境に与える負荷
が少なく、かつそれ自体はくず繭等の産業廃棄物を再利
用する形態で入手できる。
て複合化処理した木材を食用色素で染色した際の耐光性
ΔE*abを示す図である。
て複合化処理した木材を酸性染料で染色した際の耐光性
ΔE*abを示す図である。
よって複合化処理した木材を食用色素で染色した際の耐
光性ΔE*abを示す図である。
よって複合化処理した木材の貯蔵弾性率E’を示す図で
ある。
よって複合化処理した木材の損失係数tanδを示す図
である。
Claims (4)
- 【請求項1】 木材に絹フィブロインの水溶液を含浸又
は塗布して硬化させ、フィブロインと木材とを複合化さ
せることからなる絹フィブロインによる木材の改質法。 - 【請求項2】 前記絹フィブロインが繭系フィブロイン
を水系溶媒に溶解・透析して得られる再生フィブロイン
である請求項1記載の木材の改質法。 - 【請求項3】 木材に絹フィブロインの水溶液を含浸又
は塗布して硬化させ、絹フィブロインと木材とを複合化
させ、次いでこれを染色することからなる木材の改質
法。 - 【請求項4】 木材を染色した後、絹フィブロインの水
溶液を含浸又は塗布して硬化させ、フィブロインと木材
とを複合化させることからなる絹フィブロインによる木
材の改質法 。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6261027A JP3052178B2 (ja) | 1994-10-01 | 1994-10-01 | 絹フィブロインによる木材の改質法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP6261027A JP3052178B2 (ja) | 1994-10-01 | 1994-10-01 | 絹フィブロインによる木材の改質法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08103903A true JPH08103903A (ja) | 1996-04-23 |
JP3052178B2 JP3052178B2 (ja) | 2000-06-12 |
Family
ID=17356037
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP6261027A Expired - Fee Related JP3052178B2 (ja) | 1994-10-01 | 1994-10-01 | 絹フィブロインによる木材の改質法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3052178B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20010016605A (ko) * | 2000-12-20 | 2001-03-05 | 황보훈 | 식용색소로 염색한 박판지(우스이다) |
WO2021201103A1 (ja) * | 2020-04-01 | 2021-10-07 | Spiber株式会社 | 難燃性材料及びその製造方法 |
-
1994
- 1994-10-01 JP JP6261027A patent/JP3052178B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20010016605A (ko) * | 2000-12-20 | 2001-03-05 | 황보훈 | 식용색소로 염색한 박판지(우스이다) |
WO2021201103A1 (ja) * | 2020-04-01 | 2021-10-07 | Spiber株式会社 | 難燃性材料及びその製造方法 |
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---|---|
JP3052178B2 (ja) | 2000-06-12 |
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