JPH08102414A - 超電導装置 - Google Patents

超電導装置

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JPH08102414A
JPH08102414A JP25962494A JP25962494A JPH08102414A JP H08102414 A JPH08102414 A JP H08102414A JP 25962494 A JP25962494 A JP 25962494A JP 25962494 A JP25962494 A JP 25962494A JP H08102414 A JPH08102414 A JP H08102414A
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superconducting
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 超電導コイルのクエンチの発生を確実に検
出することの出来る小型で信頼性の高い超電導装置を提
供すること。 【構成】 所定の温度範囲に温度制御された容器に収
納された超電導コイルと、該超電導コイルに外部電源か
ら電力を供給する電流リードと、該外部電源と超電導コ
イルとの間に配置される超電導コイル運転制御/保護回
路と、超電導コイルの超電導体に接続されている電圧計
測リードを備えた超電導装置において、該電圧計測リー
ド用のリード線が、絶縁性部分と導電性部分とを少なく
とも有する絶縁性構造部材からなる絶縁構造体内部に該
絶縁性部分とリード線とが対面した状態で収納され、且
つ該導電性部分が超電導コイルが収納されている容器と
同電位となっていることを特徴とする超電導装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導コイルを利用し
た、エネルギー貯蔵、磁場発生、各種磁気計測等に応用
することの出来る超電導装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超電導コイルを利用した超電導装置の従
来の概念構成図を、図11に示す。図11において、1
は外部電源7から超電導コイル2に電力を投入する為の
電流リードであり、3、4及び5は超電導コイル2の電
圧を測定する為の計測リードであり、3は超電導コイル
2の巻初め、5は巻終り、4は超電導コイル2の中央
(リード線3と5の取り付け位置の間の超電導線の長さ
が1/2になる位置)に夫々取り付けてある。
【0003】この様な装置における超電導コイルの動作
について説明する。先ず、永久電流スイッチ8を“of
f”にして、外部電源7から電流を通電する。所定の電
力を投入した後、永久電流スイッチ8を“on”にし
て、外部電源7からの通電を終了する。通電中に超電導
コイル2にクエンチが発生した場合には、保護抵抗器9
に超電導コイル2からの電流を流し、超電導コイル2の
破損を防止する。クエンチの発生は、電圧計測リード用
のリード線3と4、4と5間の電圧差から感知し、検出
することが出来、制御器6によって必要な処置が行われ
る。ここで電圧計測リードは、同一の配管11内に収納
されている。クエンチが発生しない場合には、この様な
構成であってもよいのであるが、クエンチが発生した場
合には、電圧計測リード3と4或いは4と5の間、或い
はリード線とその周辺部との間には高電圧が発生する。
この時に、リード間に発生する電圧Vは、例えば、超電
導コイル2の自己インダクタンスが4H、超電導線2−
1に流れる電流の減衰が600A/sec とすると、
V=(1/2)×4(H)×600(A/sec)=
1,200(V)になる。この電圧は、例え、電圧計測
リードの取り付け部の温度が77に冷却されていたとし
ても、ヘリウムガスのコロナ放電開始電圧Vaが約40
0V/cmであるから、リード線と隣接する放電可能な
部位との距離は3cm以上としなければならない。
【0004】しかし、現実には、上記の取り付け部付近
の温度はヘリウムガスの流量によっては300K近くに
もなることもある。ここで、300KにおけるVaは約
200V/cmであるから、計測リード線同士或いはリ
ード線と周辺部との間で少なくとも6cm以上離さない
と放電が起こり、超電導コイル2の焼損事故に繋がるこ
とが考えられる。クエンチ時における電流の減衰は、超
電導コイル2により異なり、上記の減衰量よりも数倍以
上大きな減衰量のコイルが使用されることも多い。この
為に、リード線同士或いは周辺の放電の可能性のある部
位との距離は、前述の距離よりも1桁程度大きくしなけ
ればならない。これに対し、4.2Kにおけるヘリウム
ガスのVaは約1,000V/cmであるから、取り付
け部を4.2Kに冷却すれば、配管外管を小型化するこ
とは理論上可能であるが、取り付け部をこの様な極低温
にするには、現実には完全な断熱を要する為に、計測用
のリード線の取り付け部に大きなスペースを必要とし
た。これに対し、この放電を防止する為に、例えば、特
開昭62−176108号公報では、中間部の電圧計測
リード4を他のリード線3及び5と異なる計測配管に配
置することで対応していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開昭6
2−176108号公報の内容は、放電を防止する為に
放電の可能性のある部位の間の距離を大きくしたことと
基本的には同じであり、電圧計測リードを取り付ける為
には複数の取り付け部が必要になり、低温容器12は複
雑な形状となってしまい結果的には大型化するという問
題があった。又、超電導コイル2への熱侵入が増大する
可能性も高くなる。更に、計測リード間での放電を防止
することは出来ても、中間計測リード4と超電導コイル
2を収納している低温容器12への計測リード取り付け
部付近での放電を防止する手段については、何も開示さ
れていない。この為、従来の超電導装置では、超電導コ
イルのクエンチを確実に検出することが出来る小型で信
頼性の高い超電導装置は得られていなかった。従って、
本発明の目的は、超電導コイルのクエンチの発生を確実
に検出することの出来る小型で信頼性の高い超電導装置
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決する為の手段】上記の目的は、下記の本発
明によって達成される。即ち、本発明は、所定の温度範
囲に温度制御された容器に収納された超電導コイルと、
該超電導コイルに外部電源から電力を供給する電流リー
ドと、該外部電源と超電導コイルとの間に配置される超
電導コイル運転制御/保護回路と、超電導コイルの超電
導体に接続されている電圧計測リードを備えた超電導装
置において、該電圧計測リード用のリード線が、絶縁性
部分と導電性部分とを少なくとも有する絶縁性構造部材
からなる絶縁構造体内部に該絶縁性部分とリード線とが
対面した状態で収納され、且つ該導電性部分が超電導コ
イルが収納されている容器と同電位となっていることを
特徴とする超電導装置である。
【0007】
【作用】本発明では、所定の温度範囲に温度制御された
容器に収納された超電導コイルと、この超電導コイルに
並列に接続された永久電流スイッチと、超電導コイルに
外部電源から電力を供給する為の電流リードと、外部電
源と超電導コイルとの間で超電導コイルと並列に接続さ
れた超電導コイルの運転制御或いは保護回路として機能
する保護抵抗器と、超電導コイルの超電導線材に接続さ
れている複数の電圧計測リードとを基本構成要素として
超電導装置を構成し、且つ超電導コイルにクエンチが発
生した場合における放電を防止する為に、電圧計測用リ
ード線を、絶縁性部分と導電性部分とを少なくとも有す
る絶縁性構造体の内部の絶縁性部分からなる中空部分
に、絶縁性部分に対面させた状態でリード線を収納し、
且つ超電導コイルが収納されている容器と上記の絶縁性
構造体を構成する導電性部分の電位を同電位とすること
によって、放電防止を可能とする。
【0008】
【好ましい実施態様】次に、好ましい実施態様を挙げて
本発明を更に詳細に説明する。先ず、本発明での装置構
成、動作及び放電防止の原理を、図1を参照しながら説
明する。装置の基本構成は、図11に示した従来のもの
とほぼ同じであるが、本発明においては電圧計測用リー
ド線3、4及び5が、中空の外管11に内設されている
絶縁構造体Aの構成部材である絶縁性構造部材内に夫々
独立に挿設されている。尚、図1では、絶縁構造体Aの
内部に収納されていないリード線3、4及び5の部分の
長さを大きく図示してあるが、これは図1が構成を説明
する原理図である為であり、クエンチにより予想される
電圧の値によっては、超電導コイル2の出来るだけ近く
まで絶縁構造体Aを設け、この中にリード線を収納した
方がよい場合がある。又、図では外管11と絶縁構造体
Aを構成する各絶縁性構造部材10の長さはほぼ同じに
なっているが、必ずしも同じである必要がないことは勿
論である。又、後述する様に、リード線3、4及び5
は、必ずしも絶縁性構造部材内に夫々独立に挿設されな
ければならないものでもない。
【0009】上記した様な絶縁構造体Aの内部に収納さ
れる電圧計測用リード線は、所定の温度範囲に温度制御
された容器12に超電導コイル等と共に取り付けられ
る。本発明で用いられる該容器12としては、例えば、
液体窒素や液体ヘリウム等を冷媒としたり、冷却したヘ
リウムガスを循環させること等により容器内部の温度を
所望の温度範囲に制御することが可能であれば、形状及
び材質はいかなるものでもよい。又、外部からの熱侵入
を防止する為に、例えば、真空断熱部分を該容器12の
外周に設けたものであってもよい。又、図2に、図1に
おける絶縁構造体Aの内部に収納された電圧計測用リー
ド線の3、4及び5の低温容器12への取り付け部付近
を拡大して示したが、この図では、各電圧計測リード線
3、4及び5は、説明の為に平行に並べて表示してある
が、勿論、各リード線の相対位置に制限はない。
【0010】ここで、リード線3、4及び5は、図3に
示した様な断面を有する絶縁性構造部材10内に夫々独
立に収納されている。即ち、図3に示した例では、絶縁
性構造部材10は、中空部分にリード線を挿設すること
が出来る様に中空管形状をしており、且つリード線を挿
設した場合にリード線が絶縁体と対面した状態で収納さ
れる様に、その最内層は、絶縁体からなる中空管形状の
絶縁性部分16であり、更にその外周には導電性材料が
積層されて導電性部分17が設けられ、中空部分を有す
る積層構造を有している。尚、図3では絶縁性部分16
と導電性部分17とは、夫々1層で構成されているが、
本発明はこれに限定されず、目的により各層の厚さ及び
数を変化させてもよいし、図3の様な構造で、直径の異
なるのものを内部或いは外部に配置して各導電性材料を
何らかの方法で接続したものであってもよい。
【0011】本発明においては、図2に示す様に、上記
の絶縁性構造部材10を構成する導電性部分17が上記
した低温容器12と同電位となる様に配置される。又、
上記の様な構成の絶縁構造体Aは、図1に示した電圧検
出制御器6との接続端子14(電圧計測用リード線の取
り付けフランジの役割も果たす)に接続されている。
又、絶縁構造体Aの外側には電圧計測リードの配管外管
11が設けられており、且つ配管外管11には、外部か
らの熱侵入を防止する為の超電導コイル2の冷却用冷媒
の蒸発ガスの排気口15が設けられている。尚、配管外
管11は、場合によっては使用する必要がなく、又、ガ
ス排気口15の設置場所にも何ら制限はなく、更に、配
管外管に必ず設けなければならないものでもない。
【0012】上記した様に、本発明では、絶縁性構造部
材10を構成する絶縁性部分16からなる中空部分に、
電圧計測リード線3、4及び5が絶縁性部分16に対面
した状態で夫々独立に収納されている為に、超電導コイ
ル2にクエンチが発生してリード線間に高電圧が生じて
も、リード線間での放電が起きることはない。又、各絶
縁性構造部材10の電位は、前述した様に、絶縁性構造
部材を構成する導電性部分17の存在によって低温容器
12と同じになっている。尚、図1では省略してある
が、低温容器12が接地されていることは言うまでもな
い。この為、仮に絶縁構造体Aに電荷が蓄積したとして
も、速やかに低温容器12側に電荷を放出することが出
来、放電が防止される。本発明では、例え、超電導コイ
ル2の冷却ガスの温度が室温近くになったとしても、放
電開始電圧は絶縁構造体Aの耐電圧でほぼ決定されるこ
とになる。本発明では、絶縁構造体Aを構成する絶縁性
構造部材10は互いに接触していてもよく、又、その大
きさはリード線を内部に収容することが出来るだけの内
径であれば制限はなく、例えば、1〜1,000mm程
度とする。又、絶縁性構造部材10の肉厚も通常は0.
1〜10.0mm程度であればよいから、電圧計測リー
ドの取り付け部をきわめて小型にすることが出来る。更
に、電圧計測リードと電流リードを同じフランジで容器
に取り付けることも可能であるから、多くの取り付けフ
ランジを有する従来の超電導装置よりも簡単な構造とす
ることも出来る。
【0013】
【実施例】以下、具体的実施例を挙げて本発明を更に詳
細に説明する。ここでは、超電導コイルは1つとし、コ
イルの両端とコイルの中央の3ヵ所でコイルを形成して
いる超電導線に電圧計測用リード線が取り付けられてい
る場合について説明する。しかし、本発明はこれに限定
されず、超電導コイルは複数使用してもよく、又、1つ
のコイルに取り付けられる電圧計測用リード線の部所
は、上記の場所に限定されるものではなく、必要により
適宜に変化させることが出来ることは言うまでもない。
【0014】実施例1 図1に、本実施例の超電導装置の構成概念図を示す。1
は外部電源7から超電導コイル2に通電する為の電流リ
ード、8は、超電導コイルに並列に接続された永久電流
スイッチであり、9は保護抵抗器、3、4及び5は電圧
計測用のリード線であり、3と5は、超電導コイル2を
形成する巻線である超電導線2−1の巻初めと巻終り、
4は超電導線2−1の中央に取り付けられたリード線で
ある。リード線3、4及び5は中空形状の絶縁性構造部
材10の内部に夫々挿入されており、且つ電圧検出制御
器6に接続されている。又、上記の様にして形成された
絶縁性構造部材3本からなる絶縁構造体Aは、電圧計測
リードの配管外管11の内部に収納されている。
【0015】本実施例における電圧計測リードの低温容
器12への取り付け部の断面構造図を図2に示した。1
3は絶縁フランジであり、不図示の取り付け部品(例え
ば、ボルト等)で、電圧検出制御器6との接続端子14
及び配管外管11等と共に低温容器12に固定される。
又、絶縁性構造部材10の内部に夫々挿入されている電
圧計測用リード線3、4及び5は、平行に並べられて、
配管外管11の内部に夫々収納される。尚、前述した様
に、各リード線の相対位置関係はこれに限定されるもの
ではない。本実施例で使用する各絶縁性構造部材10を
構成する導電性部分17は、お互いに同電位となる様
に、図2に示した様に、導電性材料17’で夫々を結ん
で接続する。尚、この接続方法にも何ら限定はなく、例
えば、各絶縁性構造部材10を構成する夫々の導電性部
分17を互いに接触させてもよいし、接続端子部14で
互いが電気的に結合される様に構成してもよい。
【0016】本実施例で使用した絶縁性構造部材10の
断面形状を図3に示したが、形成方法としては、先ず、
絶縁材料であるAl23を冷間静水圧(CIP)法で加
圧成型した後、空気中、1,000℃で10時間熱処理
して絶縁性部分16を形成した後、その外側に導電性材
料であるCu薄膜を真空蒸着法により積層して導電性部分
17を形成した。この結果、内部に絶縁性部分からなる
中空部分が形成され、該絶縁性部分16の外周に導電性
部分17が積層された、中空部分を有する積層構造の絶
縁性構造部材10が形成される。この様にして形成され
た絶縁性構造部材10の内径は約5mmであり、外径は
約9mmであった。
【0017】次に、上記の様にして形成した絶縁性構造
部材10の中空部分に、電圧計測用リード線であるCu
線を夫々入れたものを3本配管し、外管11内に収納し
た。夫々のリード線は、図1に示す様に、超電導コイル
2を形成している超電導線2−1に所定の位置で取り付
け、各電圧計測リード線とした。絶縁構造体Aを収納す
る配管外管11はFRP製であり、該配管外管11は、
図2に示す様に、低温容器12に、絶縁フランジ13及
び絶縁性構造部材10と共に不図示の取り付け部品によ
り取り付けた。この際、各絶縁性構造部材10は、電圧
検出制御器6への接続端子14に密着して取り付けてあ
る為、各電圧計測用リード線は、隣接している他のリー
ド線或いは取り付け部での導電性部位と直接相対するこ
とがない。この為、本実施例においては、電圧計測リー
ドからの放電開始電圧を大幅に高くすることが可能であ
る。
【0018】上記の様な構成の本実施例の超電導装置に
おける絶縁性構造部材10の放電防止性能を、図4に示
す様な装置を作成して調べた。図4中、16aは、本実
施例の絶縁性構造部材10の絶縁性部分16を形成する
際に使用したものと同じ方法で作成した1cm×3cm
の大きさで厚さ約2mmの絶縁材料であり、17aは、
導電性材料である銅薄膜である(図4では、銅薄膜の厚
さが実際に使用したよりも厚目に示されている)。又、
18’は、厚さ2mmの銅製の板であり、上記銅薄膜1
7aと接触している。18は、実施例で使用した各電圧
計測用リード線3、4及び5に代わるものとして銅板を
用いたが、該銅板は、図に示す如く放電し易い様に先端
を細くしてある。
【0019】上記した様な装置を使用して、銅板18の
先端と絶縁材料16aとの距離を0.5mmにし、電源
19によって0〜10kVまでの電圧を印加して放電の
有無を調べた。電源による電圧印加時間は0.1秒と
し、0.2秒間隔で5回電圧印加を繰り返した。この結
果、室温下、ヘリウムガス雰囲気で電圧を印加すると、
絶縁性構造部材10がない場合には、100〜150V
程度の電圧で放電してしまうが、絶縁性構造部材10を
使用した場合には、印加電圧が3kV程度でも放電が全
く観測されなかった。このことから、本発明の放電防止
機能が優れていることが確認された。尚、本実施例で
は、図1に示す様に、電圧計測用リード3、4及び5と
電流リード1とを異なるフランジで容器12に取り付け
たが、これらを同じフランジで取り付けても、同じ特性
を示す超電導装置が得られる。
【0020】実施例2 図5に、本実施例の装置の電圧計測用リード線3、4及
び5の低温容器12への取り付け部の断面構成図を示し
たが、本実施例における超電導装置全体の構成要素は図
1と同様である。図5において、絶縁性構造部材10
は、Al23とY23の90:10(重量比)の混合物
を用いて絶縁部分16を形成し、導電性材料である銅を
用いて導電性部分17を形成したが、本実施例では、図
5に示す様に夫々が各2層となる様に構成した。本実施
例における絶縁性構造部材10の形成方法としては、型
材を利用して上記した絶縁物の粉末と銅板とを用い、最
初、冷間静水圧(CIP)法で加圧成型して円筒を作成
した。次に、同じ様にして作成した4本の円筒の絶縁性
構造部材10を図5の様な形状となる様に組み合わせ
て、これをArガス雰囲気下で1000気圧、500℃
で熱処理して、全ての絶縁性構造部材10を一体成型し
た。この結果、本実施例で使用する図5に示す様な、3
箇所に絶縁性部分で周囲が形成された中空部分を有する
絶縁構造体Aが作成された。
【0021】上記の様にして得られた絶縁構造体Aが使
用された本実施例の超電導装置の放電防止性能を、図6
に示した様な装置で調べた。先ず、上記で作製した絶縁
構造体Aの中空部分の中に電圧計測用リード線3、4及
び5を挿入し、夫々のリード線の一端を図の様なコネク
ター20で接続した。又、絶縁構造体Aの外部には絶縁
構造体Aの導電性部分17と電気的に接続されている銅
製の加工体18’(接地してある)を設置した。この様
な装置を用い、スイッチ21を切り替えて、各リード線
間、リード線と外部銅加工体18’との間での放電の有
無を調べた。ヘリウムガス雰囲気下で、電源19により
15kVまでの電圧(電圧パルス幅が0.01〜1.0
sec、パルス間隔を1sec)を印加した。
【0022】この結果、本実施例の絶縁構造体Aを使用
した場合には、5kVまでの印加電圧では、いずれの場
合も放電は全く観測されなかった。15kVでパルス幅
が1.0secになると、試験した10個の本実施例の
絶縁構造体Aの内、1個の絶縁構造体Aがリード線と外
部銅板との間で放電した。しかし、放電が発生してもそ
の次の電圧印加で連続して放電を生じることはなかっ
た。これは、絶縁材料に回復型絶縁材料であるY23
混合している為に、放電が発生してもその放電が連続的
でなければ、絶縁特性を回復する為であると考えられ
る。これに対し、Al23の様な非回復型絶縁材料だけ
を使用した場合には、1度放電してしまうと絶縁特性が
回復しない為に構造体自身を交換する必要があるが、本
実施例の場合には交換の必要がない。
【0023】又、リード線を絶縁構造体Aの中空部分の
中心に位置させると、リード線と外部銅加工体18’と
の最短間隔は約5mmであるので、比較の為、上記の装
置を用い間隔をこれと同じにして、絶縁構造体Aがない
場合についても同じ様に放電特性を調べた。この場合に
は、100〜200Vの電圧で放電が見られ、本実施例
の絶縁構造体10を使用することにより、放電電圧の低
いヘリウムガス雰囲気下でも電圧計測用リード線の放電
を極めて高い信頼性で防止することが出来ることが確認
された。
【0024】実施例3 図7に、本実施例における電圧計測用リード線を内部に
収納する為の絶縁構造体Aの構成原理図を示した。尚、
図7では、絶縁構造体Aを構成する3本の絶縁性構造部
材10の内の1本だけを示しているが、他の2本は、低
温容器12に固定してもよいし、図7に示したと同様
に、絶縁部分16が導電性材料からなる加工部材17’
で低温容器12に接続されていてもよい。本実施例で使
用する絶縁性構造部材10の絶縁部分16はFRP製の
円筒であり、その外周に導電性材料である銅線17を螺
旋状に巻つけてある。尚、銅線17はエポキシ系の接着
剤で絶縁部分16に固定されている。又、銅線17は、
その表面が冷却ガスに接触していてもよいし、銅線全体
が接着剤で覆われ、FRP製の円筒16と接着剤である
エポキシ樹脂との間に事実上埋め込まれた状態であって
もよい。銅線17と低温容器12とは、図に示す様な断
面形状の導電性材料からなる加工体17’で電気的に接
続されるが、該加工体17には低温容器12の外部から
の熱侵入を少なくする為に、断面積が小さくなる部分が
設けられている。
【0025】上記の様な構成の絶縁構造体Aを使用した
場合の放電防止性能を、図6の様な装置で調べた。上記
絶縁構造体Aの中に電圧計測リード線を挿入して収納
し、その一端を図の様にコネクター20で接続した。
又、絶縁構造体10の配置は自由であるが、図では説明
の関係で一列に並べて示した。接地してある銅加工体1
8’を銅線17と接続した。そして、スイッチを切り替
えて、リード線間、リード線と外部銅板の間での放電の
有無を調べた。室温においてヘリウムガスを絶縁構造体
Aの内外に200ml/secの割合で流し、電源によ
り15kVまでの電圧(電圧パルス幅は0.01〜1.
0sec、パルス間隔を0.5〜2.0secとした)
を印加した。この結果、本実施例の絶縁構造体を使用し
た場合には、3.5kVまでの電圧では放電は全く観測
されなかった。
【0026】実施例4 本実施例の超電導装置の電圧計測リードの低温容器12
への取り付け部付近の構成原理図を図8に示した。絶縁
性構造部材10は2本であり、一方には超電導コイルの
超電導線の両端に接続した電圧計測用リード線3及び5
を、他方には超電導コイルの中央の超電導線に接続した
電圧計測用リード線4を収納した。絶縁性構造部材10
を構成する絶縁性部分16としては、Al23とY23
の95:5(重量比)の混合物を型材に入れ、冷間静水
圧(CIP)法で加圧成型して円筒を作成し、これをA
rガス雰囲気で1,000気圧、850℃で熱処理して
形成した。又、導電性部分17としては、この外周に溶
射法により、Cu膜を約300μmの厚さで形成した。
超電導コイルの両端からのリード線3及び5は、内径が
6mmの絶縁性構造部材10に入れ、超電導コイルの中
央からのリード線4は、内径が4mmの絶縁性構造部材
10中に収納した。これらの2本の絶縁性構造部材10
は、図8に示す様に、独立に導電性の材料物17’で機
械的に固定し、電気的にも接続した。しかし、これに限
定されず互いに接触させてもよいのは勿論である。又、
本実施例においては、冷却ガスの排気口15は取り付け
部をより小型化する為に、接続端子14に取り付けた。
【0027】上記の様な構造とすることにより、取り付
け部の大きさ(低温容器12に貫通させる穴の直径)
は、図11に示した様な従来の超電導装置では、約50
cm程度であったが、本実施例では20cm程度であ
り、従来のものに比べて1/2以下にすることが出来
た。又、本実施例で得られた超電導装置の放電防止性能
を調べる為に、実施例1の場合と同様に、図4に示した
装置で評価した。この際、絶縁構造体として、断面厚さ
が上記の絶縁性構造部材10と同じになる様に作成した
板状のものとし、銅板18’と銅膜17とが接触する様
に配置した。リード線の代用としては、タングステン板
を加工したもの18を使用した。試験は、このタングス
テン板18の先端と絶縁体16との距離を2mmとし
て、電源19より電圧を印加して評価を行った。又、5
0Hzの交流電圧を2秒間隔で1秒間印加し、これを1
0回繰り返して放電特性を調べた。この結果、ヘリウム
ガス雰囲気下でも本実施例と同様の構成の絶縁構造体A
を用いた場合には、5kVまでは放電が観測されなかっ
た。しかし、絶縁構造体Aを取り除くと、100V以下
でも放電が観測された。
【0028】実施例5 図9に本実施例の超電導装置の構成原理図を示した。図
中、超電導装置に必要な永久電流スイッチ、保護抵抗、
外部電源等は省略してある。図において絶縁性構造部材
10は、テフロンチューブ(内径3mm、外径4mm)
の外周全面にカプトンテープを巻付けて絶縁性部分16
を形成し、その上に更に幅2mm、厚さ300μmの銀
テープを巻回して導電性部分17を形成し、これを接着
材で固定して形成した。この様な絶縁性構造部材10の
内部に、電圧計測用リード線3、4及び5を夫々独立に
入れ、これらを配管外管11の中に電流リード1と共に
挿入して低温容器12に取り付けた。絶縁性構造部材1
0の導電性部分を構成している銀テープは、低温容器1
2と電気的に接続されている。上記の様な構成で使用す
る本実施例の絶縁性構造部材10は、室温では変形可能
である為に、図9に示した様に超電導コイル2との接点
の近くまで自由に伸ばすことが出来る。各絶縁性構造部
材10の配置は、本実施例では、図9に示す様に一列に
並べたが、本発明は、これに限定されず、配置にあたっ
て特段の制限は全くなく、絶縁性構造部材10を自由な
配置で不図示の電圧計測制御器との接続端子14に接続
することが出来る。更に、本実施例では、電流リード1
に比べて電圧計測リード3、4及び5の外径が細い為
に、電流リード1の配管外管11の隙間にこれらを挿入
することが出来、取り付けフランジを少なくすることも
出来る。
【0029】図10の様な装置で本実施例の効果を調べ
た。本実施例の絶縁性構造部材10の中に電圧計測用リ
ード線3を挿入し、絶縁性構造部材10と、低温容器の
代用物であるCu板18’を接続した。一方、超電導コ
イルに電力を供給する電流リード用の導体3’を、銅板
18’と反対側に設け、超電導コイルへの通電時におけ
る放電特性も調べた。電圧計測リード線3と銅板18’
の距離は、約2mmであり、リード線3と3’の距離は
約6mmとした。先ず、電源19’により、100A
の直流電流をリード線3’に流した状態で、電源19に
より電圧計測リード線3に0.01〜1秒のパルス幅
で、2秒間隔で電圧を印加した。この結果、室温のヘリ
ウムガスを300ml/minの割合で流して放電の有
無を調べたが、3kVの印加電圧では放電は見られなか
った。又、電源19’からの通電をしない場合にも放電
しなかった。しかし、本実施例で使用した絶縁性構造部
材10を取り除くと、リード線3’に通電してもしなく
ても50V程度でも放電が起きてしまった。
【0030】
【発明の効果】以上、説明した様に本発明によれば、絶
縁性部分と導電性部分とを少なくとも有し、且つ該導電
性部分が超電導コイルが収納されている容器と同電位と
なっている絶縁構造体を使用することにより、電圧計測
用リード周辺での異常放電を、ほぼ完全に防止すること
が出来、極めて信頼性の高い超電導装置が得られる。更
に、本発明によれば、取り付け部分の大きさも、放電防
止が可能になった為に従来よりも大幅に小さくすること
が出来、又、電流リードと同じフランジにより電圧計測
リードを取り付けることも出来る為、小型の極めて信頼
性の高い超電導装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超電導装置の構成原理図である。
【図2】本発明の電圧計測リード取り付け部の構成原理
図である。
【図3】図2で使用している絶縁構造体の構成原理図で
ある。
【図4】本発明で使用した放電特性測定装置の概略構成
図である。
【図5】本発明の電圧計測リード取り付け部の構成原理
図である。
【図6】本発明で使用した放電特性測定装置構成図であ
る。
【図7】本発明の電圧計測リード取り付け部の構成原理
図である。
【図8】本発明の電圧計測リード取り付け部の構成原理
図である。
【図9】本発明の超電導装置の構成原理図である。
【図10】本発明で使用した放電特性測定装置構成図で
ある。
【図11】従来の超電導装置の構成原理図である。
【符号の説明】
1:電流リード 2:超電導コイル 2−1:超電導コイルの超電導線 3、3’、4、5:リード線 6:電圧計測制御器 7:超電導コイルの外部電源 8:永久電流スイッチ 9:保護抵抗回路 10:絶縁構造体 11:配管外管 12:容器 13:絶縁フランジ 14、20:接続端子 15:ガス排気口 16:絶縁性部分 17:導電性部分 17’、18、18’:導電性部材(加工体) 19、19’:電源 21:スイッチ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の温度範囲に温度制御された容器に
    収納された超電導コイルと、該超電導コイルに外部電源
    から電力を供給する電流リードと、該外部電源と超電導
    コイルとの間に配置される超電導コイル運転制御/保護
    回路と、超電導コイルの超電導体に接続されている電圧
    計測リードを備えた超電導装置において、該電圧計測リ
    ード用のリード線が、絶縁性部分と導電性部分とを少な
    くとも有する絶縁性構造部材からなる絶縁構造体内部に
    該絶縁性部分とリード線とが対面した状態で収納され、
    且つ該導電性部分が超電導コイルが収納されている容器
    と同電位となっていることを特徴とする超電導装置。
  2. 【請求項2】 絶縁構造体が、少なくとも1層の絶縁体
    からなる絶縁性部分と少なくとも1層の導電性材料から
    なる導電性部分とを有する積層構造の絶縁性構造部材か
    らなり、且つ電圧計測リード用のリード線を収納する為
    の絶縁性部分からなる中空部分が形成されている請求項
    1に記載の超電導装置。
  3. 【請求項3】 超電導コイルの両端に夫々接続されてい
    る電圧計測リード用のリード線と超電導コイルの中間部
    に接続されている電圧計測リード用のリード線とが異な
    る中空部分に収納されている請求項2に記載の超電導装
    置。
  4. 【請求項4】 絶縁構造体が、絶縁体からなる中空体形
    状の絶縁性部分と該中空体表面の一部分に覆設された導
    電性材料からなる導電性部分とからなり、且つ該絶縁性
    の中空体内部に電圧計測リード用のリード線が収納され
    ている請求項1に記載の超電導装置。
  5. 【請求項5】 中空体形状の絶縁性部分が室温で変形可
    能な物質から構成され、且つ該絶縁性の中空体の外周に
    超電導コイルが収納されている容器と同電位であって且
    つ室温で変形可能な導電性材料からなる導電性部分が設
    けられている請求項4に記載の超電導装置。
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