JPH0799670B2 - 真空素子 - Google Patents

真空素子

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JPH0799670B2
JPH0799670B2 JP5071404A JP7140493A JPH0799670B2 JP H0799670 B2 JPH0799670 B2 JP H0799670B2 JP 5071404 A JP5071404 A JP 5071404A JP 7140493 A JP7140493 A JP 7140493A JP H0799670 B2 JPH0799670 B2 JP H0799670B2
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J21/00Vacuum tubes
    • H01J21/02Tubes with a single discharge path
    • H01J21/06Tubes with a single discharge path having electrostatic control means only
    • H01J21/10Tubes with a single discharge path having electrostatic control means only with one or more immovable internal control electrodes, e.g. triode, pentode, octode
    • HELECTRICITY
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    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J21/00Vacuum tubes
    • H01J21/02Tubes with a single discharge path
    • H01J21/18Tubes with a single discharge path having magnetic control means; having both magnetic and electrostatic control means

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気信号伝達のための
金属配線が有する機能と、電気信号加工のためのトラン
ジスタなどが有する能動機能とを備え、演算や増幅ある
いは発振などに用いられる真空素子に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置はその高集積化が進み、超L
SIなどにおけるようにチップ上の非常に多くの半導体
素子を駆動するためには、それらの素子間を電気的に結
合する手段である配線技術が非常に重要となってきてい
る。最近は、高温超伝導体のような新材料が新たに配線
に利用されるようになるとともに、従来の金属配線で
は、線幅が0.25μm程度の微細なものが容易に得ら
れるようになった。
【0003】一方、電子を高速に移送する手段として真
空デバイスが提案されている。例えば、光照射によって
真空中に発生した電子を二次元的に蓄積し、その電子を
トランジスタなどのキャリアとして使用するデバイスが
特開平4−236466(特願平3−16906)号公
報に開示されている。図6にその断面図を示す。絶縁性
基板25と絶縁性壁部材26とで囲まれた気密空間部2
4の両端にそれぞれ、ソース電極21およびドレイン電
極23が設けられ、その間の領域に空間部24内のキャ
リア密度を変調するためのゲート電極22が設けられて
いる。そしてそれらとは独立に、真空(空間部24)に
電気伝導性を持たせるためのキャリアである二次元電子
を発生する手段を有している。このデバイスは、光励起
によって得られる電子の集団に対して、ソース・ドレイ
ン電極間にバイアス電圧を加えることでその電子集団に
運動エネルギーを与え、かつゲート電圧により信号変調
を加える構成になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】半導体装置の高集積化
が進むにつれて、金属配線にはさらに信頼性や機能の向
上が望まれているものの、金属配線には以下に示すよう
な種々の問題が存在することから、従来用いられている
ような配線方法では今後の超LSIに適応することが困
難である。すなわち、 1.長い距離にわたって電子の位相を保つことが困難で
ある。
【0005】2.エネルギーの消費が大きい。
【0006】3.信号遅延が大きい。
【0007】4.配線間のクロストークが避けられな
い。
【0008】5.電流密度の増加にともないマイグレー
ションが顕著に起こる。
【0009】6.トランジスタなどの能動素子と配線等
の受動素子とはその機能が完全に区別されており、各々
独立に存在することが必要であるので、面積縮小に限度
がある。
【0010】7.金属中の電子の移動速度は電磁波速度
と比較できないほど遅いので、電子と電磁波との直接相
互作用を利用した増幅器(進行波管等)を作ることが不
可能である。
【0011】一方、前述の公報に開示された従来の真空
デバイスにも問題点が残っている。すなわち、 1.電子波の通路を指定できないので、超LSIのよう
に狭い空間しか確保できない場合に、真空中に放出され
た複数の電子波に対してそれぞれを分離して伝播するこ
とができない。
【0012】2.真空中に均一に電子を存在させること
ができない。 等である。特に図6に示したようなデバイスにおいては
外部からの光入力を必要とするので、デバイスの動作に
複雑な付帯装置と大きな電力が必要であるという欠点が
ある。また、一つ一つのデバイスが個別に気密領域(空
間部24)を必要とするので、製造プロセス中で気密を
確保するための蓋となる絶縁体(壁部材26)を堆積す
る際に、高度の真空を各デバイスに均一に実現する必要
がある。そのため製造が非常に困難でデバイス特性が大
きくばらついてしまう。
【0013】本発明の目的は、高移動度の配線機能と高
速な能動機能とを備え、配線,演算増幅あるいは発振素
子として機能する真空素子を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の真空素子は、領
域を形作る面の少なくとも一つが絶縁性を備えるように
構成された真空領域と、前記真空領域に電子を放出する
少なくも一つ以上の電子放出源と、前記真空領域の前記
絶縁性の一つの面を構成する絶縁体に接して設けられ、
それぞれ、外部から与えられたバイアス電圧に応じて前
記絶縁体の前記真空領域側の表面ポテンシャルを制御す
ることにより、前記電子放出源のそれぞれから放出され
た電子の空間的位置および走行経路を制御する導電体と
を含んでいる。
【0015】
【作用】電子は電荷が負であるので、正の静電ポテンシ
ャルが存在するとそれにしたがって電子のエネルギーが
低くなるように誘導される。すなわち、基板上に設けら
れた絶縁体の表面ポテンシャルに勾配を設けることによ
って、電子をそのポテンシャルエネルギーが最も低くな
る場所に集めることが可能である。このポテンシャル分
布は、光を与えたり絶縁体の下に設けられた導電体にバ
イアス電圧を印加してバイアスすることによって得るこ
とが出来る。もちろん、磁場分布を利用して電子の分布
に変調を掛けることも可能である。
【0016】また、電子がこれらポテンシャルを実際に
感じる強さは距離の関数であるので、基板にバイアスを
与える手段が均一のバイアスしか与えられなくとも、絶
縁体の膜厚を変化させ見かけのポテンシャル分布を変化
させることで電子の通路を指定できる。
【0017】電子は一般に、フェルミ粒子なので、多数
の電子が存在する際にポテンシャルの勾配を設けると、
電子通路の形状の関数として与えられるエネルギー準位
の順番に異なった位置をとる様になる。従って、エネル
ギー準位のつまり方を情報単位として電子の独立した情
報を伝播することが可能となる。
【0018】また、電子波の経路中に分岐を有するデバ
イスでは、時間に依存したポテンシャル分布を分岐部に
与えることにより、電子波の進む方向の指定,他の電子
波との構成あるいは分離を行うことができる。この機能
により、通常のトランジスタ同様の論理計算が出来る。
【0019】
【実施例】次に、本発明の好適な実施例について図面を
参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施例の断
面図および平面図を示す。本実施例は、電子の通路を平
坦な絶縁体で作った例である。図1(a)に示したよう
に、本実施例の構成は、金属薄膜1とその上に絶縁体薄
膜2を設け、絶縁体薄膜2の表面を真空領域3にするこ
とである。電子は、この絶縁体薄膜2の表面に沿って伝
播する。絶縁体薄膜2の下の金属薄膜1は絶縁体薄膜2
表面のポテンシャルを制御するためのバイアス電極とし
て機能する。図1(b)に示す電子放出源5から真空領
域3中に放出された電子が存在するときに、この電極
(金属薄膜1)が適当にプラスの電位を持つように制御
すれば、絶縁体表面の電子が絶縁体によせ集められる。
逆に、マイナスに帯電すれば、電子は遠ざかる。バイア
ス電極(金属薄膜1)を従来の超LSIにおける金属配
線状に布線することによって、従来の意味で言う配線が
絶縁体表面上に形成される。電子は電子放出源5から飛
び出した際の速度を有しているので、この慣性により絶
縁体薄膜2上を移動する。
【0020】次に、図2(a)に、絶縁体薄膜をVの字
状に整形した本発明の第2の実施例を示した。この様に
すると前述(〔作用〕の項参照)のように、絶縁体薄膜
2の下に設けたバイアス電極(金属薄膜1)が均一のバ
イアスしか発生しない場合にも、絶縁体薄膜2がVの字
状に整形されているので、薄膜2内にポテンシャルの勾
配が生じ電子はバイアス電極(金属薄膜1)に最も近い
Vの時の底に誘導される。従って、各々のVの字の近傍
に別々の電子放出源(図1(a)参照)をおけばそこで
発生した電子を別々に送ることが可能であり、複数のV
の字を設けることによって複数の電子の通路とすること
が出来る。当然、この電子発生源に光ファイバーから入
力されたレーザー光による励起電子を利用してもよい。
【0021】次に、図2(b)に本発明の第3の実施例
の断面図を示した。この例は、絶縁体薄膜2をホース状
に中空状態にしたという構造上の特徴を持つ。絶縁体薄
膜2中央部に形成した中空を真空領域3にし、その周囲
に真空領域3のポテンシャルを変調するための金属薄膜
1を配置している。この例は、見かけが通常の金属配線
と同じもので、極限では超小型の導波路と等しくなる。
【0022】次に、図2(c)に本発明の第4の実施例
の断面図を示した。この例では、前述の第3の実施例と
は逆に、絶縁体薄膜2の中心領域に絶縁体表面のポテン
シャルを変調するための金属薄膜1を配置していること
に特徴がある。この場合は、絶縁体薄膜2の外周領域が
真空領域3となる。見かけは通常の金属配線に絶縁体が
被覆してあるように見える。しかし、この絶縁体被覆金
属配線の外は真空なので電子はその配線の外側に沿って
移動する。
【0023】次に、図3(a)に本発明の第5の実施例
の断面図を示した。この例では絶縁体10に溝が階段状
に作られている。バイアスするための電極である金属薄
膜1は階段状絶縁体10の下に配置する。この様にする
と、電子は、波ではあるが同じ量子状態を複数の電子が
とることが出来ないので、結果的にエネルギーを変えて
存在することになる。従って、電子はエネルギーの低い
順から底に詰まり、エネルギーが異なることによって空
間上の異なる位置を占めるようになる。すなわち、本実
施例では、1つの通路に多くの異なったエネルギー状態
の電子を伝播可能である。又、空の準位も形成可能であ
り、準位の詰まり具合を情報として活用できる。電子の
位置は、当然、加えるポテンシャルの関数であるから、
ポテンシャルを変調することにより電子の相互作用を制
御可能であり、演算が可能となる。また、電子の分布は
絶縁体10の高さの関数でもあるので、絶縁体10の階
段形状を工夫することで種々の演算が出来る。この場
合、電子の分布は電子がスピンを持つので、磁場によっ
ても影響を受ける。従って、絶縁体10中に磁石、ある
いは電磁ポテンシャルを変化させる材料を混入すること
により、スピンによる位置変化を起こさせることもでき
る。
【0024】次に、図3(b)に本発明の第6の実施例
の平面図を示した。本実施例では、溝が分岐を有してい
ることが特徴である。トランジスタは電流の流れる量を
ゲートで制御することに特徴があり、この制御機能はバ
ルブの開け閉めに相当する作用を利用したものである。
それに対して本実施例では、分岐に設けた第1電極6A
あるいは第2電極6Bのポテンシャルを変化させること
により、第3電極6Cの方面から入射してくる電子波の
透過率を変化させてスイッチングすることに特徴があ
る。通常のトランジスタは増幅機能を有しているが、演
算を行うためには必ずしもその機能は不必要である。数
学的には、位置を動かすことが演算の一種である。
【0025】次に、図4(a)に本発明の第7実施例に
よる高周波増幅器の断面図を示す。通常、ギガヘルツを
超えるマイクロ波以上の高周波の増幅器には半導体装置
が使えないので、進行波管などのような電子管が利用さ
れる。これらの電子管では、トランジスタがバルブの開
閉によって増幅作用を示したのとは異なり、電子と電磁
波が直接相互作用を行うことによって増幅が行われる。
電磁波は電子に対してポテンシャルであるので、電子の
速度が電磁波の作るポテンシャルの影響を受けて変化す
るという集群現象が起こる。この現象は、電子の速度が
電磁波の速度に近いときに大きな効果を示す。一般に、
電子デバイスで作ることの可能な電子波の速度は光速以
下であるので、電子から電磁波にエネルギーを注入し電
磁波を増幅するには、電磁波の伝播速度を見かけ上小さ
くし電子波の速度よりも僅かに小さくする必要がある。
そこで、電磁波を折れ曲がった通路を迂回させるなどし
てその速度が見かけ上電子波の進行速度より小さくなる
ような工夫がされている。これが遅波回路である。
【0026】本実施例では、電子波の通過する真空領域
3上部に、薄い絶縁体薄膜2Aを介して電磁波導波路7
である遅波回路を設けた。この様にすると、電子波と電
磁波とを非常に小さな空間で相互作用させることが可能
でありトランジスタで問題となる入力容量によるスイッ
チング速度の制限を受けないので、非常に高い周波数領
域まで増幅を行うことができる。また、従来の進行波管
に比較して著しく小型にできる。本実施例では、絶縁体
薄膜2Aで電子の伝導路と電磁波の通路とが区切られて
いるが、全体を真空にする場合にはこの絶縁体薄膜2A
による境界は不要である。この場合、電子波が通過でき
れば良いので、電子波チャネルに半導体や超伝導体を利
用することもできる。電磁波が光である場合には当然な
がら、図4(b)に示すように、遅波回路として蛇行し
た光ファイバー8を利用することが出来る。通常の伝送
用光ファイバーは光が外に逃げられないようにされてい
るが、ここで利用するものは、電子と相互作用を持つ領
域で光が染み出すような性質を有しているものが利用さ
れる。
【0027】次に、図4(c)に本発明の第8の実施例
の断面図を示した。この場合には、電子の通路上に磁気
薄膜ウィグラー9が配置されていることが特徴である。
加速された電子はウィグラーと相互作用を起こし、ウィ
グラー間隔で決定される強力な電磁波を放出する。この
電磁波を共振器に導けば、良く知られた自由電子レーザ
ーが得られる。特に、本実施例では、従来の大型装置で
はなく非常に小型のものが実現可能である。
【0028】磁場は、電子の通路上に設けられた磁気薄
膜より供給される。例えば、希土類の磁石を利用すると
効率が良い。磁気薄膜は、当然のことながら、外部から
の磁力によって磁化することが可能であるので、磁気記
録技術で利用される磁気ヘッドを用いて書き込みが可能
である。そのため、従来では想像できないほどの微小な
間隔を有する任意のウィグラーを形成することが可能で
ある。又、その強度や位置は、温度を加えたり外部バイ
アスを加えることで変化させることが出来る。従って、
電気信号で可変波長の自由電子レーザーが得られる。
次に、図5(a)に本発明の第9の実施例の斜視図を示
した。本実施例では、真空領域3中に絶縁体で被覆され
たバイアス電極11を多数アレー上に配列したことが特
徴である。この様に配列すると各々の柱状のバイアス電
極11はあたかも1つの原子のように機能する。従っ
て、各々のバイアス電極11のバイアス電圧を適当に保
つことによって通常の原子の持つ電子雲の形状を変形す
ることが出来る。すなわち、バイアス電圧の大きさによ
って隣同士の電子雲の重なり程度が変化し結果的に伝導
度が変調される。例えば、6角形の細密構造とかグラフ
ァイトのような電子構造を実現できる。
【0029】このデバイスは通常の金属内部で行われて
いる電子輸送現象のマクロモデルであると考えられるの
で、このモデルを使用することで電気伝導の理解を深め
ることができる。電子の散乱状態を外部からのバイアス
電圧によって制御できるので、種々の電子波干渉による
演算が出来る。
【0030】次に、図5(b)に本発明の第10の実施
例の斜視図を示した。この例では、先ほどの例とは逆
に、真空領域3中の絶縁体10に溝12を細かく開ける
ことでその領域のポテンシャルが低くなるようになって
いる。この場合、溝12の中の電子ポテンシャルが他の
領域よりも小さくなるので、そこに電子の溜りが生じ疑
似的に原子と同じ機能を持たせることが出来る。この溝
12に入りきれずにあふれた電子が金属での自由電子に
相当する。従って、この入れ物の大きさを適当に決める
ことでその電子伝導の性質を変化させることができる。
【0031】以上の実施例では主に直線状に並べられた
ものが示されているが、どの様な形であっても構わな
い。例えば、溝や穴を円形にすることも出来る。この様
にすれば、通常の原子と同じ構造を持たせる事が出来
る。又、電子の基底状態の振動モードを規定するため
に、振動モードを反映した形を導入することが出来る。
一方、6角形の様な細密充填にふさわしい構造を導入す
ることも出来る。この様にすればベンゼン環と同じ働き
を行い、有機化学で言うところのπ電子を実現すること
が出来る。従って、超伝導体の機構解明にも非常に役に
立つ。
【0032】
【発明の効果】本発明を利用すると、従来の金属配線に
代って、真空と絶縁体表面で構成される領域を配線ある
いは電子の停留所として利用することが可能となる。従
って、従来の配線で起こるエネルギー損失,遅延あるい
はマイグレーションなどの不具合が原理的に起こらな
い。
【0033】また、従来の真空デバイスでは配線と言う
概念がないため、真空の空間に1つの電子波しか伝播す
ることが許されなかったが、本発明では空間的に分離し
たりエネルギー的に分離できるので、同時に複数の電子
の情報のやり取りを実現できる。
【0034】また、配線の分岐に加えられるポテンシャ
ルを変調することにより、演算を行うことができる。配
線の形状を工夫することで、同じ配線にエネルギーの異
なった複数の電子状態を伝播可能となる。従って、エネ
ルギー準位のつまり具合によって情報を伝播できる。ま
た、電子のエネルギーを位置の関数として制御できる。
逆に、ポテンシャルエネルギーの変化によって電子の位
置を変化できる。ポテンシャルとしては、静電ポテンシ
ャルや磁場,電磁場あるいは電磁波が利用できる。
【0035】真空素子内にポテンシャルの変調構造を設
けることで、電子波の干渉を利用した種々の演算が実行
できる。真空領域に隣接して、電磁波の遅波回路を設け
ることで進行波管を構成できるので、非常に高い周波数
をもつ信号の増幅が出来る。溝構造が電子の波長と同程
度の大きさを有するとき、その領域は量子細線と同様の
効果をもつ、従って、従来は半導体あるいは金属の量子
細線しか知られていなかったが、この発明では、絶縁体
上に溝を掘るだけで量子細線を作ることができる。電子
の基底状態の振動モードあるいは振動モードの順番を溝
の形状を変えることで実現できる。
【0036】電子の通路に、ウィグラーを置くことによ
りレーザー発振を実現可能であり、極めて小さな自由電
子レーザーを生成できる。ウィグラーは磁気薄膜などで
作成可能であり、磁気記録技術を利用して任意の間隔の
物を得ることができる。又、このウィグラー間隔は外部
からの磁気信号によってその間隔あるいは強度を変調可
能であり、周波数可変の自由電子レーザーが容易に得ら
れる。
【0037】又、電子波の経路を周期構造のあるドット
で構成することにより、疑似的な原子構造を作成可能で
あり、マクロスケールな原子を作ることが可能となる。
従って、電子伝導の理解を深めるための実験、電子散乱
の局所的な性質の研究が可能となる。又、ポテンシャル
はドット毎あるいは特定の周期構造毎に変調可能である
から、実際のデバイス構造を変化させずに見かけ上マク
ロ原子の構成を変化させたような状態を実現できる。例
えば、マクロ的にはポテンシャルの変調によって真空領
域に存在する伝導電子の密度が変調される。又、ミクロ
的には、ある特定の方向から入射された電子波の散乱状
態を外部からのバイアス変調によって変化できる。従っ
て、入力される電子波を本発明による可変周期ポテンシ
ャルで散乱し、散乱される電子波の干渉パターンを検出
することで演算をすることが出来る。
【0038】電子源に光ファイバーによって搬送された
レーザー光線を利用することで、光パルスに対応したタ
イミングを有する電子放出を行うことが可能である。従
って、種々のタイミングで発生した電子を相互に干渉さ
せることにより演算を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分図(a)は、本発明の第1の実施例の平面図
である。分図(b)は、本発明の第1の実施例の平面図
である。
【図2】分図(a)は、本発明の第2の実施例の断面図
である。分図(b)は、本発明の第3の実施例の断面図
である。分図(c)は、本発明の第4の実施例の断面図
である。
【図3】分図(a)は、本発明の第5の実施例の断面図
である。分図(b)は、本発明の第6の実施例の断面図
である。
【図4】分図(a)は、本発明の第7の実施例の一例の
断面図である。分図(b)は、本発明の第7の実施例の
他の例の断面図である。分図(c)は、本発明の第8の
実施例の断面図である。
【図5】分図(a)は、本発明の第9の実施例の断面図
である。分図(b)は、本発明の第10の実施例の断面
図である。
【図6】従来の真空デバイスの断面図である。
【符号の説明】
1 金属薄膜 2,2A,2B 絶縁体薄膜 3 真空領域 4 基板 5 電子放出源 6A,6B,6C 電極 7 電磁波導波路 8 光ファイバー 9 磁気薄膜ウィグラー 10 絶縁体 11 バイアス電極 12 溝 21 ソース電極 22 ゲート電極 23 ドレイン電極 24 空間部 25 基板 26 壁部材

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 領域を形作る面の少なくとも一つが絶縁
    性を備えるように構成された真空領域と、 前記真空領域に電子を放出する少なくも一つ以上の電子
    放出源と、 前記真空領域の前記絶縁性の一つの面を構成する絶縁体
    に接して設けられ、それぞれ、外部から与えられたバイ
    アス電圧に応じて前記絶縁体の前記真空領域側の表面ポ
    テンシャルを制御することにより、前記電子放出源のそ
    れぞれから放出された電子の空間的位置および走行経路
    を制御する導電体とを含んでなる真空素子。
  2. 【請求項2】 一つの電子走行経路が、少なくとも二つ
    以上の電子走行経路に分岐し、分岐したそれぞれの電子
    走行経路を通過する電子の走行がそれぞれ独立に制御可
    能であるように構成されていることを特徴とする請求項
    1記載の真空素子。
  3. 【請求項3】 前記絶縁体の前記真空領域側の前記表面
    ポテンシャルが、前記絶縁体の前記電子の走行経路に垂
    直な断面の形状に依存するように構成したことを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の真空素子。
  4. 【請求項4】 前記絶縁体の前記真空領域側の面に、前
    記電子の走行経路に沿った、断面V字型の溝を設けたこ
    とを特徴とする請求項3記載の真空素子。
  5. 【請求項5】 前記絶縁体の前記真空領域側の面に、前
    記電子の走行経路に沿った、断面階段状の段差を設けた
    ことを特徴とする請求項3記載の真空素子。
  6. 【請求項6】 前記真空領域の前記絶縁体に対向する側
    の外部に、電磁波遅延回路を設けたことを特徴とする請
    求項1記載の真空素子。
  7. 【請求項7】 前記電磁波遅波回路が、光ファイバーで
    あることを特徴とする請求項6記載の真空素子。
  8. 【請求項8】 前記真空領域の前記絶縁体に対向する側
    の外部に、磁気薄膜ウィグラーを形成し、前記磁気薄膜
    ウィグラーを絶縁膜で覆ったことを特徴とする請求項1
    記載の真空素子。
  9. 【請求項9】 前記ウィグラーは、その間隔および磁場
    強度の少なくとも一つが外部からの信号により制御可能
    な構成であることを特徴とする請求項8記載の真空素
    子。
  10. 【請求項10】 前記絶縁体の前記真空領域側の表面ポ
    テンシャルが空間的な周期性を有するように構成したこ
    とを特徴とする請求項1記載の真空素子。
  11. 【請求項11】 内部に真空領域を内包する絶縁体と、
    前記真空領域に電子を放出する電子放出源と、前記絶縁
    体を覆い、外部から与えられたバイアス電圧に応じて前
    記絶縁体の前記真空領域側の表面ポテンシャルを制御す
    ることによって前記電子の走行経路を制御する導電体と
    を含んでなる真空素子。
  12. 【請求項12】 真空領域と、 前記真空領域に電子を放出する少なくとも一つ以上の電
    子放出源と、 前記真空領域に設けられ、それぞれの内部に含んだ導電
    体に加えられるバイアス電圧によりその表面ポテンシャ
    ルを制御されて前記電子の位置および走行経路を制御す
    る、少なくとも一つ以上の絶縁体とを含んでなる真空素
    子。
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