JPH0798763B2 - 1,2―ジクロルエタンの熱分解方法 - Google Patents

1,2―ジクロルエタンの熱分解方法

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JPH0798763B2
JPH0798763B2 JP14806389A JP14806389A JPH0798763B2 JP H0798763 B2 JPH0798763 B2 JP H0798763B2 JP 14806389 A JP14806389 A JP 14806389A JP 14806389 A JP14806389 A JP 14806389A JP H0798763 B2 JPH0798763 B2 JP H0798763B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、1,2−ジクロルエタン(以下、EDCと省略す
る)の熱分解方法に関する。より詳しくは、ECDを熱分
解して、塩化ビニルモノマー(以下、VCMと省略する)
および塩化水素を製造するに際し、EDCの熱分解率を迅
速かつ連続的に算出し、この値を用いて安定的にECDの
熱分解を制御する方法に関する。
[従来の技術] 従来、VCMの製造法として、精製した液状のEDCを蒸発器
で蒸発させ、この蒸気を熱分解炉に導いて470〜530℃の
温度でEDCを熱分解する方法が知られている。このプロ
セスのフローシートを第2図に示す。
熱分解炉(206−2)の熱分解反応管(206−1)から流
出する高温の分解ガスには、分解で得られたVCMおよび
塩化水素ならびに未分解のEDCが含まれるが、通常は急
冷塔(207)で分解ガスが有する多量の熱を除去した
後、塩酸塔(210)で塩化水素を、塩ビ塔(211)でVCM
および未分解EDCを分離、回収する。
急冷塔における除熱は、急冷塔の出口に設けた凝縮器
(208)で冷却水により系外へ熱を排出する方法による
が、分解ガス中の比較的凝縮し易い主としてEDCおよびV
CMの一部はこの除熱の際に液状となる。この液の一部を
還流液としてタンク(209)から急冷塔へ戻し、その残
部は凝縮しない塩化水素およびVCMと共に後工程の塩酸
塔へ送る。一般に、熱分解炉へ導入したEDCの熱分解率
は、最終的に塩ビ塔から得られるVCMの品質および熱分
解反応管内に生成する強固なコークス量等との関連で決
定する。
工業的にVCM生産量の増大および熱分解に要するエネル
ギー効率の向上を図るために高い熱分解率で操業する試
みがなされるが、熱分解率を高めることにより、VCMを
重合する際に問題となるブタジエンやメチルクロライド
などの分解副反応によるVCM中の不純物の生成量が増加
し、得られるVCMの品質が低下するという問題が生じ
る。更に、熱分解反応管内でのコークスの生成が促進さ
れて圧力損失が次第に増大し、熱分解炉の運転を比較的
短い期間で停止してコークス除去を行う必要が生じ、そ
のため直接的、間接的な製造費用の増加と熱分解炉の安
定運転期間の短縮を余儀なくされることとなる。熱分解
率を可能な限り高く保持することが望ましいにも拘わら
ず、このような問題点があること、また熱分解率は通常
比較的大幅に変動し易いことも考慮して、実際の運転で
は50〜60%の熱分解率、最も一般的には53〜56%の熱分
解率が採用されている。
EDCの熱分解率は、通常、熱分解炉における熱分解反応
温度によって制御されるが、熱分解炉に供給するEDCの
純度、即ち、含有する不純物によって影響を受けること
が知られている。例えば、四塩化炭素はEDCの熱分解反
応を促進する作用を有し、熱分解反応温度が一定の場
合、四塩化炭素含量が増えるに従い熱分解率は高くな
る。一方、クロロプレン、含酸素塩素化炭化水素などは
逆の作用を有して熱分解反応を抑制するので、これら不
純物の含量の増加により熱分解率は低下する。
熱分解炉に供給するEDCは、予め前処理工程で精製する
が、その純度は通常99〜99.7%であり、不純物の濃度も
変動する。熱分解反応温度により熱分解率を制御する
が、実際には熱分解反応温度のほかに上述のような条件
も加わり熱分解率の所定値に対して2〜3%程度変動す
るので所望する高い熱分解率で常時安定的に運転するこ
とは難しいのが実状である。
熱分解率は、一般に熱分解炉に供給したEDC量に対する
塩ビ塔から最終的に回収されたVCM量によって算出され
る。従って、双方の計量値の間には工程の位置の違いに
よる時間差、いわゆる時間遅れが2〜3時間存在し、熱
分解炉へ供給するEDCの品質と分解炉の運転条件との関
係を迅速に把握することができないので、安定した熱分
解率を保持するのは困難である。
このような問題点を解決する方法の1つに、熱分解炉へ
供給するEDCの純度すなわち不純物の組成及び量をでき
るだけ一定にする方法も提案されているが、前工程にお
ける運転操作が煩雑で、またエネルギーコストも増大す
ることになるので実用的でない。
一方、熱分解率の算出方法にとして、熱分解炉を出る分
解ガスを分析測定する時間遅れの生じない方法なども知
られているが、分解ガスが高温であり、また多量の塩化
水素を含む点などから連続的なサンプリングおよび分析
が困難であるので実際的でない。
[発明が解決しようとする課題] 上述のような熱分解率を高めることによりVCM中の不純
物の増加および熱分解反応管内のコーキング促進などを
避けなければならないという制約下ならびに熱分解炉へ
供給したEDCの品質および熱分解炉の運転条件により熱
分解率が容易に変動するという条件下に可能な限り高い
熱分解率で安定したEDCを熱分解するために、熱分解率
を迅速かつ精度良く算出し、その結果をフィードバック
することによって熱分解温度を制御する方法を見出すこ
とが強く望まれた。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上述のような従来技術の問題点を解決す
るため鋭意検討を行った結果、後工程の塩ビ塔から回収
されるVCM量を用いることなく、熱分解炉直後の急冷塔
の塔頂部の圧力および温度の実測値ならびに塔頂部に戻
す還流液の温度または流量の実測値から、容易にかつ精
度良く熱分解率を算出できることを見出し、その結果、
安定した高い熱分解率でEDCを熱分解できることを見出
した。
即ち、本発明は、EDCを熱分解炉で熱分解してVCM、塩化
水素および未分解EDCなどを含む分解生成物を熱分解炉
直後に位置する急冷塔にて急冷するEDCの熱分解方法に
おいて、急冷塔のまわりの物質収支および熱収支ならび
に急冷塔の塔頂部における気液平衡関係に基づいて、急
冷塔の塔頂温度および塔頂圧力ならびに急冷塔の留出ガ
スの凝縮液の一部分であって急冷塔に戻す還流液の温度
または還流量の3つの実測値を使用してEDCの熱分解率
を算出し、算出した熱分解率と所望の熱分解率との偏差
に基づいて熱分解温度を変更することによりEDCの熱分
解率を制御することを特徴とするEDCの熱分解方法を提
供する。本発明において、熱分解率の算出にあたり使用
する圧力、温度および流量の実測は、工業的に一般に用
いられる計測機器および方法によればよい。EDCを熱分
解してVCMおよび塩化水素を製造するプロセスのフロー
シートである第1図によって、本発明においてEDCの熱
分解率を算出し制御する方法を詳細に説明する。
最初に、EDCの熱分解率を算出する。
いま、熱分解炉からの分解ガスを急冷する急冷塔および
急冷した液を溜めるタンクが定常状態で操作されている
状態を想定して急冷塔のまわり(第1図の一点鎖線で囲
む部分A)における物質収支および熱収支を考える。
物質収支においては、急冷塔に供給される分解ガス量お
よびタンクから戻される還流量の和は、急冷塔の塔頂か
ら留出するガスの量に等しい。
同様に、熱収支においては、急冷塔に供給される分解ガ
スのエンタルピーおよびタンクから戻される還流液のエ
ンタルピーの和は、急冷塔の塔頂から留出するガスのエ
ンタルピーに等しい。
このような物質収支および熱収支が各成分、即ち、VC
M、EDCおよび塩化水素について成り立つ。従って、以下
の6つの独立した等式が得られる。
(物質収支) V1+V2=V3 (1) H1+H2=H3 (2) E1+E2=E3 (3) [式中、VはVCMの流量、Hは塩化水素の流量、EはEDC
の流量であり、数字の1は急冷塔に供給される分解ガ
ス、2は還流液、3は留出するガスを意味する。] 急冷塔に供給される分解ガスの流量は、分解炉の熱分解
率(X)により一義的に定まる。従って、式(1)〜
(3)は、熱分解率(X)、還流液および急冷塔塔頂か
ら留出するガスの各成分の流量(V2、H2、E2、V3、H3お
よびE3)の関数となる。
(熱収支) Q(V1)+Q(V2)=Q(V3) (4) Q(H1)+Q(H2)=Q(H3) (5) Q(E1)+Q(E2)=Q(E3) (6) [式中、Qは括弧内の成分のエンタルピーを意味す
る。] 各成分の比熱については、適当な温度の関数の近似式を
適用すると、式(4)〜(6)は、急冷塔に供給される
分解ガスの温度(T1)、還流液温度(T2)、急冷塔塔頂
温度(T3)および各成分の流量(V2、H2、E2、V3、H3お
よびE3ならびに熱分解率(X)の関数となる。
更に、急冷塔の塔頂では、気液平衡関係が成立してい
る。即ち、塔頂から留出するガスは、塔頂温度(T3)お
よび塔頂圧力(P0)の下、急冷塔の塔頂部に存在する液
相と平衡状態にある。
EDC、塩化水素およびVCMの3成分系の気液平衡関係につ
いては、ラ・ウールの法則を適用でき、また、分圧の法
則および理想気体の法則を適用しても工業的には問題が
ないことが判っている。更に、各成分の飽和蒸気圧は、
一般に温度の関数として与えらえるので、平衡比K(気
相中のモル分率/液相中のモル分率)を塔頂温度(T3)
のみの関数として表現できる。
いま、留出ガス中の各成分(VCM、塩化水素およびEDC)
のモル分率をVM3、HM3およびEM3とし、急冷塔塔頂部の
液相のモル分率をVLM、HLMおよびELMとすると、 K(V)=P(V)/P0=VM3/VLM (7) K(H)=P(H)/P0=HM3/HLM (8) K(E)=P(E)/P0=EM3/ELM (9) [式中、Kは括弧内の成分の平衡比(気相中のモル分率
/液相中のモル分率)、Pは括弧内の成分の飽和蒸気圧
(塔頂温度T3の関数)である。] の3つの独立した式が得られる。留出ガス中の各成分の
モル分率は、流量(V3、H3およびE3)から算出できるの
で、式(7)〜(9)は、留出ガスの各成分の流量(V
3、H3およびE3)、塔頂温度(T3)、塔頂圧力(P0)お
よび塔頂部の液相の各成分のモル分率(VLM、HLMおよび
ELM)の関数となる。更に、 VLM+HLM+ELM=1 (10) である。
以上をまとめると、急冷塔のまわりの物質収支および熱
収支ならびに塔頂部分の気液平衡関係から独立した10の
式(1)〜(10)が得られる。これらの式中の変数は、
熱分解率(X)、急冷塔に供給される分解ガスの温度
(T1)、還流液の各成分の流量(V2、H2およびE2)およ
び温度(T2)、急冷塔から留出するガスの各成分の流量
(V3、H3およびE3)および温度(T3)、急冷塔塔頂圧力
(P0)ならびに急冷塔塔頂部の液相のモル分率(VLM、H
LMおよびELM)であり、全部で変数は14である。
従って、これらの変数の内のいずれかの5つ(1つは目
的とする熱分解率(X))を含む式が得られる。
本発明では、これらの変数の内、工業的プラントにおい
て精度の高いデータとして容易に得られるものを選択す
るのが好ましく、例えば温度、圧力または流量を選択す
る。特に好ましい態様では、温度および圧力を選択す
る。即ち、急冷塔に供給される分解ガスの温度(T1)、
急冷塔への還流液の温度(T2)および急冷塔塔頂部から
の留出ガスの温度(T3)ならびに塔頂圧力(P0)であ
る。
従って、本発明の最も好ましい態様では、EDCの熱分解
率(X)は、温度(T1、T2およびT3)および塔頂圧力
(P0)の関数となる。即ち、 X=fn(T1,T2,T3,P0) [式中、fnは関数を意味する。] 従って、上記温度および圧力の実測値があれば、熱分解
率を算出できることになる。
本発明の好ましい態様のひとつは、分解ガスの温度(T
1)を平均的な値に固定しておくことで、この場合、他
の温度(T2およびT3)ならびに圧力(P0)の実測値から
熱分解率を算出できる。即ち、 X=fn′(T2,T3,P0) [式中、fn′は関数を意味する。] そこで、予め、想定される塔頂温度(T3)および還流液
温度(T2)ならびに塔頂圧力(P0)に対して熱分解率
(X)を計算しておくと、第3図に示すようなチャート
が得られる(分解ガスの温度(T1)を480℃、塔頂圧力
(P0)を9.7atmで計算)。そして、このチャートに基づ
いて、逆に、塔頂温度(T3)および塔頂圧力(P0)なら
びに還流液温度(T2)の実測値から熱分解率を求めるこ
とができる。
第3図から明らかなように、熱分解率(X)を直線で近
似することができる。即ち、熱分解率は、一般式: X=[A]・[B]+C [式中、[A]はEDCの圧力に対する飽和温度と急冷塔
塔頂温度との差、[B]は急冷塔塔頂温度と熱分解率の
関係における急冷塔還流液の各温度における直線の勾
配、Cは定数である。] により、工業的には十分に満足すべき精度をもって即時
に算出できる。
上述の態様は最も簡単に熱分解率を算出できる態様であ
るが、気液平衡関係にラ・ウールの法則を適用しないで
実測データを適用したり、比熱や蒸気圧などについても
実測データを使用し、数値計算することにより更に精度
の高い熱分解率を算出することも可能である。
また、本発明の別の態様では、急冷塔に戻す還流液の温
度の代わりに、還流量(R=V2+H2+E2)の実測値を使
用して熱分解率(X)を算出することも可能である。即
ち、 X=fn″(T2,T3,R) [式中、fn″は関数を意味する。] 工業的に通常使用される流量計は温度計より一般的に精
度がやや劣るので、上述のように還流液の温度の実測値
を使用するのが最も好ましい。しかしながら、算出すべ
き熱分解率の要求される精度により、あるいは精度のよ
り良い流量計を使用する場合では、還流液の温度に代え
て還流量の実測値を使用することも可能である。この態
様においても、先に説明したように数値計算することに
より更に精度の高い熱分解率を算出できる。
熱分解率は基本的には上述のように第3図のチャートか
ら求めることができるが、工業的にはコンピューターに
よる数値計算により容易かつ迅速に算出することが可能
である。
次に、上述のようにして算出された熱分解率と所望の熱
分解率との偏差から、偏差を無くすべき新たなEDCの熱
分解温度を決定する。
この決定は、例えば比例制御、積分制御もしくは微分制
御またはこれらの適当な組み合わせにより行うことがで
きるが、本発明においては、式: Y=−Kp[Z+(1/T)∫Zdt] [式中、Yは熱分解温度変更量、Kpは比例ゲイン、Zは
熱分解率の偏差信号、Tは積分時間、tは時間であ
る。] に基づいて行う。
即ち、熱分解率の偏差信号から熱分解温度の変更量を求
めることにより行う。比例ゲインおよび積分時間につい
ては、プロセスの操作変数に関する動特性解析、熱分解
反応解析などにより得られる反応温度と熱分解率との相
関関係および実装値から得られる応答特性により決定す
ることができる。このようにして算出された熱分解温度
の変更量をもって新たに熱分解温度を設定する。
本発明の実施態様としては、上述の熱分解率の算出およ
び新たな熱分解温度の決定を、熱分解率を算出して指示
するとともに、算出値と所定熱分解率との差から新たな
熱分解温度を算出して出力する熱分解率指示調節計(XI
C106)により自動的に行い、この調節計からの出力信号
が熱分解温度指示調節計(TIC106)の熱分解温度設定値
を新たな熱分解温度に自動的に変更することが最も好ま
しい。
実際的な熱分解温度の変更は、熱分解炉に供給される燃
料の量を変えることにより行うのが特に好ましいので、
熱分解温度指示調節計(TIC106)と燃料供給量指示調節
計(FIC106)とを連動させることにより新たな熱分解温
度に変更するのが好適である。
熱分解温度としては、プラントの運転監視上選ばれる任
意の位置における温度を使用できる。例えば、熱分解反
応管の出口付近でも中央付近の温度であってもよい。
本発明では、熱分解炉直後の急冷塔において熱分解率を
算出でき、熱分解炉に供給されるEDCの品質や熱分解炉
の運転条件などにより変化する熱分解率の変動を迅速か
つ高精度に、また連続的に算出できる。そのため熱分解
率が所定の値と異なっている場合、自動的に熱分解温度
を変更して迅速に熱分解率を修正することができる。
添付図面を参照して、本発明の方法を更に詳細に説明す
る。
第1図に本発明のEDCの熱分解方法を適用したVCMの製造
プロセスの一具体例を示す。
EDCは、熱分解炉(106−2)の熱分解反応管(106−
1)に供給され、一部熱分解されてVCMおよび塩化水素
となり、未分解EDCと共に急冷塔(107)で急冷される。
急冷された分解生成物および未分解EDCは、急冷塔の塔
頂より留出してその一部が凝縮器(108)で凝縮してタ
ンク(109)に溜る。一方、塩化水素およびVCMを主成分
とする未凝縮ガスは塩酸塔(110)に全量供給される。
タンク中の凝縮液は一部急冷塔に還流され、残部は塩酸
塔に供給される。
塩酸塔の塔頂から塩化水素が回収され、塔底から抜き取
られたVCMおよびEDCは塩ビ塔(111)に送られる。
本プロセスにおいて、凝縮器の出口圧力は塩酸塔へ供給
する未凝縮ガスの流量をタンク気相圧力指示調節計(PI
C109)により調節することにより、また凝縮器の出口温
度は凝縮器に供給する冷却水量を凝縮液温度指示調節計
(TIC108)により調節することにより制御される。
また、このプロセスでは、EDC熱分解率(X)は、急冷
塔塔頂圧力指示計(PI107)および急冷塔塔頂温度指示
計(TI107)ならびに急冷塔還流液温度指示計(TI109)
または急冷塔還流液量指示計(FI107)の指示値から熱
分解率指示調節計(XIC106)により算出され、熱分解温
度指示調節計(TIC106)に入力される。
[効果] 本発明のEDCの熱分解方法によれば、時間遅れの少ないE
DCの熱分解率を算出でき、この値と所望の熱分解率との
偏差に基づいて熱分解温度を制御することにより、所望
の熱分解率を安定に保持でき、また変動が生じた場合で
あっても短時間に所望の熱分解率に戻すことが可能とな
る。
その結果、EDCの熱分解に要する燃料の消費効率の大幅
な向上、VCM品質の安定化、更に熱分解反応管のコーキ
ング進行の抑制が図れる。
次に実施例および比較例により本発明を具体的に説明す
る。
実施例1 本発明のEDCの熱分解方法に必要な計装機器を組み込ん
だ第1図に示すVCM製造プロセスにおいて、熱分解炉に
四塩化炭素濃度が500ppmのEDCを53t/hr供給して、熱分
解温度(TIC106)を475℃に設定し、熱分解率を55%で
安定させた後、熱分解率指示調節計(XIC106)および熱
分解温度指示調節計(TIC106)を自動制御とした。その
後数時間、熱分解率は55±0.5%程度で推移した。
次に、EDC中の四塩化炭素濃度を500ppmから1500ppmに増
加させたところ、熱分解温度の設定値が約4℃(475℃
から471℃)下方に自動的に変更させ、熱分解率は一時
的に56%に上昇したが、約1時間後には55%に戻った。
このとき、燃料供給量およびVCM中の1,3−ブタジエン濃
度の変動は僅かであった。
比較例1 第2図に示すように、塩ビ蒸留塔(211)で分離されるV
CM量(FI210)および供給するEDC量(F1C205)の実測値
を用いて従来法によりEDCの熱分解率を算出するように
計装機器を組み込んだEDC熱分解プロセスにおいて、実
施例1と同様の条件で熱分解温度(TIC206)を475℃に
設定し、熱分解率を55%で安定させた。
その後、数時間の運転において、所定の熱分解率に対し
て1%を越える変動が生じた際、通常の方法によって熱
分解温度を変更し熱分解率の変動を抑制しようと試みた
が、熱分解率は55%の所定値に対し2%の変動で推移し
た。
次にEDC中の四塩化炭素濃度を500ppmから1500ppmに増加
させたところ、熱分解率は約3%急上昇した。そこで熱
分解温度の設定値を徐々に変更し、最終的に471℃にす
ることによって熱分解率を所定の値に戻した。この際、
熱分解炉に供給するEDCおよび塩ビ塔から分離、回収す
るVCM量より熱分解率を算定しながら操作し、熱分解率
を55%に戻し安定させるために約5時間を要した。
この間、燃料供給量は990kg/hrから1150kg/hrと大きく
変動し、また4.0ppm前後であったVCM中の1,3−ブタジエ
ン濃度が一時的に5.5ppmに増加した。
実施例1および比較例1の結果を第1表および第4図に
示す。
実施例2 実施例1と同様に本発明の方法を採用したプロセスにお
いて、熱分解温度を478℃に設定して熱分解率を58%に
安定させた後、熱分解率指示調節計(XIC106)および熱
分解温度指示調節計(TIC106)を自動制御とし、EDC供
給量を48t/hrから53t/hrに増加させた。
熱分解率は一時的に56%に下がったが、約1時間後、熱
分解温度の設定値が478℃から482℃に自動的に変更さ
れ、熱分解率は58%に戻った。
この間、燃料供給量は、1000kg/hrから1100kg/hrに一時
的に増加したが、その後の変動は僅かであった。また、
VCM中の1,3−ブタジエン濃度の変動も僅かであった。
比較例2 比較例1と同様に従来方法を採用したプロセスにおい
て、熱分解温度を58%で安定させた後、EDC供給量を48t
/hrから53t/hrに増加させた。
熱分解温度が一時的に478℃から474℃に下がったが、従
来の熱分解温度制御方法により約1時間後、熱分解温度
は自動的に478℃に戻った。
しかしながら、熱分解率が58%から54%に下がったた
め、熱分解温度の設定値を手動操作により徐々に高め最
終的に483℃に変更することによって熱分解率を58%に
戻した。
この間、比較例1と同様の方法で熱分解率を算出しなが
ら所定の値に戻し安定化させるまでに約6時間を要し
た。なお、燃料供給量は実施例2と同様に1000kg/hrか
ら最終的に1100kg/hrに増加したが、その間変動も大き
く、安定化させるまで約6時間を要した。
実施例2および比較例2の結果を第2表および第5図に
示す。
実施例3 実施例1および2と同様に本発明の方法を採用したプロ
セスにおいて、EDC供給量53t/hr、熱分解率58%の条件
下での熱分解反応管内のコークス生成状況を観るため、
熱分解反応管のコークス除去を行った後、数3ケ月間に
亘り熱分解反応管の圧力損失を測定した。
1ケ月を経過した後の圧力損失は1.8kg/cm2であった
が、更に1ケ月後では2.05kg/cm2、2ケ月後では2.3kg/
cm23ケ月後では2.55kg/cm2となった。
2ケ月間における平均上昇率は0.0083kg/cm2・日であっ
た。
比較例3 比較例1および2と同様に従来方法を採用したプロセス
において、EDC供給量53t/hr、熱分解率56%の条件下で
の熱分解反応管の圧力損失を測定した。
コークス除去を行った後運転を開始し、実施例3と同様
に1ケ月を経過した時圧力損失は1.75kg/cm2であった
が、更に1ケ月後では2.1kg/cm2、2ケ月後では2.35kg/
cm2となった。
2ケ月間における平均上昇率は0.01kg/cm2・日であっ
た。
次に、熱分解率を58%まで上げて1ケ月稼動させたとこ
ろ圧力損失は2.35kg/cm2から2.71kg/cm2となった。この
1ケ月における平均上昇率は0.012kg/cm2・日であっ
た。
実施例3および比較例3の条件および結果を第3表およ
び第6図に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のEDC熱分解方法を適用したVCM製造プロ
セスのフローシート、第2図は従来のEDC熱分解方法を
適用したVCM製造プロセスのフローシート、第3図は熱
分解率、急冷塔塔頂温度および還流液温度の関係を示す
チャート、第4図〜第6図は実施例および比較例の結果
を示すグラフである。 106−1……熱分解反応管、106−2……熱分解炉、107
……急冷塔、108……凝縮器、109……タンク、110……
塩酸塔、111……塩ビ塔、206−1……熱分解反応管、20
6−2……熱分解炉、207……急冷塔、208……凝縮器、2
09……タンク、210……塩酸塔、211……塩ビ塔、FIC105
……EDC供給流量指示調節計、FIC106……燃料供給量指
示調節計、PI107……急冷塔塔頂圧力指示計、TIC106…
…熱分解温度指示調節計、FI107……急冷塔還流液量指
示計、TI107……急冷塔塔頂温度指示計、XIC106……熱
分解率指示調節計、TIC108……凝縮液温度指示調節計、
TI109……急冷塔還流液温度指示計、PIC109……タンク
気相圧力指示調節計、FI110……VCM製品流量指示計、FI
C205……EDC供給流量指示調節計、FIC206……燃料供給
量指示調節計、TIC206……熱分解温度指示調節計、TI20
8……凝縮液温度指示計、FI210……VCM製品流量指示
計。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1,2−ジクロルエタンを熱分解炉で熱分解
    して未分解1,2−ジクロルエタンを含む分解生成物を熱
    分解炉直後に位置する急冷塔にて急冷する塩化ビニルモ
    ノマーおよび塩化水素の製造方法において、 急冷塔のまわりの物質収支および熱収支ならびに急冷塔
    の塔頂部における気液平衡関係に基づいて、急冷塔の塔
    頂温度および塔頂圧力ならびに急冷塔の留出ガスの凝縮
    液の一部分であって急冷塔に戻す還流液の温度の3つの
    実測値を使用して1,2−ジクロルエタンの熱分解率を算
    出し、算出した熱分解率と所望の熱分解率との偏差に基
    づいて熱分解温度を変更することにより1,2−ジクロル
    エタンの熱分解率を制御することを特徴とする1,2−ジ
    クロルエタンの熱分解方法。
  2. 【請求項2】還流液の温度に代えて還流量の実測値を使
    用することを特徴とする請求項1記載の1,2−ジクロル
    エタンの熱分解方法。
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