JPH0796466B2 - 離型性を有する防水剤組成物 - Google Patents

離型性を有する防水剤組成物

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JPH0796466B2
JPH0796466B2 JP9463687A JP9463687A JPH0796466B2 JP H0796466 B2 JPH0796466 B2 JP H0796466B2 JP 9463687 A JP9463687 A JP 9463687A JP 9463687 A JP9463687 A JP 9463687A JP H0796466 B2 JPH0796466 B2 JP H0796466B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は離型性を有する防水剤組成物に関するものであ
る。さらに詳しくは、セメント、コンクリート加工品、
石膏製品に用いる防水剤として、分散性、耐水性、強度
にすぐれ、かつ上記製品の離型剤としてもすぐれた離型
性を有し、それを単独で離型剤としても用い得る組成物
に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、セメント、コンクリート加工品、石膏製品に用い
る防水剤としては、塩化カルシウム、ケイ酸カルシウ
ム、シリカアルミナ粉末等の無機系防水剤及びステアリ
ン酸、オレイン酸等のアンモニウム塩又はカルシウム、
アルミニウム等の金属石鹸、或いはステアリン酸ブチル
等のエステル類、パラフィンやアスファルトのエマルジ
ョン、合成樹脂や合成ゴムのエマルジョン、水溶性高分
子等より成る有機系防水剤が知られている。
セメント、コンクリート用としては、古くから金属石鹸
が用いられている。(1)(例えば油脂化学製品便覧63
3頁、日刊工業新聞社昭和38年発行)または石膏用に
は、石膏、セメント、金属石鹸、繊維(有機高分子系又
は無機質系)の混合物と水とより成るスラリーを用いる
方法(2)(特公昭52−39408)や、脂肪酸と金属化合
物(3)(特公昭54−10974)、脂肪酸と塩基性酢酸ア
ルミニウム(4)(特公昭47−40693)、アルキル第一
アミンの水溶性酸塩(5)(特公昭48−7685)、或いは
アミド基含有の第四級アンモニウム塩とPVAなどのポリ
マー等の組合せ物質を使用する方法(6)(特公昭48−
7685)、また石膏と少量の金属石鹸、水酸化カルシウム
の混合物に酢酸ビニルやアクリル樹脂エマルジョンを加
えて得られる耐水性吹付塗料を用いる方法(7)(特開
昭50−110432)などが提案されている。
また、石綿セメント板、パルプセメント板、ケイ酸カル
シウム板などが耐火性の内外装用建材として広く用いら
れているが、これらの建材の防水剤としては脂肪酸の金
属石鹸(8)(特開昭52−130814)などが用いられてい
る。
また、従来、無機成形加工品の製造に際し、離形剤とし
て鉱物油をそのまま、あるいはアスファルト、石油ピッ
チ、カップグリース、シリコンオイル、リン酸エステル
などを鉱物、ナフサに添加したものが広く使用されてい
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
すなわち、従来無機系の防水剤として上に挙げたものが
用いられているが、これらの防水剤は一部セメント、コ
ンクリート等の原料や組成に含まれるものもあり、強度
が弱く、また疎水性が高くないため、耐水性の劣るもの
が多く、またこれら無機系の防水剤の表面を疎水性有機
物質で被覆しても、一時的な効果しか得られず、有機系
のものに比較して、どうしても耐水性が劣っている。
また、金属石鹸を用いるものは、撥水性が高いがセメン
ト、石膏中における分散性が悪く、従って混合条件等に
よって効果が十分発揮できないことがある。効果を上げ
るためには添加量を増加すると、成型品の強度が低下す
ると云う欠点が生じてくる。
脂肪酸と塩基性アルミニウムを用いた場合(4)、脂肪
酸が、セメントスラリー中でCa塩となるのに時間がかか
るため均一な分散が難しく、また脂肪酸が、生成したCa
塩で被覆されてしまい、それが強度の低下、着色、発臭
の原因となりやすい。
アルキル第一アミンの水溶性酸塩を用いる方法(5)は
高温、高圧、高湿度の下で長時間(14〜16時間)成型す
るALCに用いると、分解が起ると云う欠点がある。
アミド基含有の第四級アンモニウム塩とPVAとを組合わ
せる方法(6)では、用いられる乳化剤が制限されるた
めに、耐水性が劣り、また高温高圧下で長時間の養生を
行う、ALC等の成型法では、添加剤の分解が起り、防水
効果の低下が見られるばかりか、強度の低下、着色、発
臭等の起る原因にもなる。また(7)のポリマーエマル
ジョンを含む吹付塗料を用いる方法では、エマルジョン
化に用いる乳化剤が、酢ビやアクリル樹脂本来の接着性
を著しく低下させるため、一時的な防水効果は得られる
が、防水塗料として耐久性、耐候性が悪く、空気の乾燥
や風雨、振動等により表面にき裂を生じるため、表面の
剥離や硬化不良が発生しやすい。
また、金属石鹸を石綿セメント板等の耐火性の内外装用
建材に用いる方法(8)は、撥水性は得られるが、セメ
ント等への分散性が悪く、十分効果を得難い欠点があ
る。
また、従来の防水剤は離型性を全く有していないのであ
るが、上に挙げた従来の離型剤は塗膜の強度が低く、強
度を上げようとすると、塗膜を厚くしなければならず、
従って塗布量が増えるため、加工コストが高くなる欠点
を有している。また従来水系の離型剤は発錆性が高く、
型枠に発錆する等の欠点を有している。
以上述べた様にセメント、コンクリート等の成型品の製
造において防水剤が使われると同時に、成型の型枠には
必ず離型剤が塗布されて用いられているが、両方の目的
に同一のものが用いられることはなく、その様な例も知
られていない。しかし両方の用途の性能を有し、その両
方の効果を発揮するとするならば、離型剤として塗布す
ることの工程の必要がなくなったり、防水剤としての添
加が必要ないと言ったメリットが生じてくる。
以上の様な従来技術の問題点に着目して本発明を完成す
るに到ったものである。
〔問題点を解決するための手段〕
すなわち本発明は、(A)炭素数7〜23のアルキル基又
は及びアルケニル基を有する高級脂肪酸がエステルとし
て結合して成るモノグリセリド(以下(M)と略記す
る)、ジグリセリド(以下(D)と略記する)、トリグ
リセリド(以下(T)と略記する)が、重量比にてM:D:
T=5〜10:25〜55:35〜70の割合に混合して成るグリセ
リドと、(B)炭素数7〜23のアルキル基またはアルケ
ニル基を有する高級脂肪酸との、(A)、(B)を重量
にて(A):(B)=2〜7:3〜8の比より成る混合物
を用いることを特徴とする離型性を有する防水剤組成物
であり、本発明の組成物を防水剤としてセメントスラリ
ー中に混合して用い、乾燥後防水性を発揮すると共に、
この防水剤を加えたセメントスラリーを型枠に流し込ん
で成型するに際して、離型剤を用いずに容易に離型する
ことの出来る新規な特長を有するものである。また本発
明の組成物を離型剤として、型枠に塗布し、離型剤とし
てのみ用いることも出来る。
また本発明の組成物は水系の離型剤の発錆性に対して、
防錆性が高いため他の防錆剤を加えることなく、型枠の
錆の発生を防ぐと共に、廃水を汚すことの少ない利点を
有している。
本発明で用いる(M)、(D)、(T)の混合物である
(A)成分は、炭素数7〜23のアルキル基またはおよび
アルケニル基を有する高級脂肪酸がグリセリンとエステ
ル結合により結合して成るグリセリンエステルで、脂肪
酸モノグリセリド(M)、脂肪酸ジグリセリド(D)、
脂肪酸トリグリセリド(T)が、各々重量比にて5〜1
0、25〜55、35〜70より成る混合物であり、その製造法
には、(I)方法:(M)、(D)、(T)を各々別々
にグリセリンと脂肪酸とより合成し、上記比率に混合し
て(A)成分を得るか、(II)方法:トリグリセリドよ
り成る油脂にグリセリンと触媒を加え、エステル交換反
応を行って、上記比率の(A)成分を得る方法がある。
後者の方法において、エステル交換反応によりM、D、
Tの比率が上記の範囲に入らない場合には、(I)の方
法または、エステル交換反応により得られたモノグリセ
リド、ジグリセリド、モノグリセリドとジグリセリドの
混合物、或いは油脂を加えて上記比の範囲に入るように
調節する。
(I)方法のグリセリンと脂肪酸とよりエステル化反応
により、グリセリンエステルを合成する条件は、撹拌
機、分留装置の付いた反応器に、グリセリン1モルに対
し、0.3〜4モルの脂肪酸を触媒として、塩酸、硫酸、
パラトルエンスルホン酸等の酸性触媒、または苛性ソー
ダ、苛性カリ等のアルカリ性触媒の存在下、窒素ガス等
の不活性ガス気流下で、100〜300℃の温度下で反応を行
う。(M)、(D)、(T)の各々は、脂肪酸のモル数
を調節することにより得られる。
ここに用いる高級脂肪酸としては、カプリン酸、ペラル
ゴン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキン酸、シ
トロネル酸、ウンデセン酸、オレイン酸、エライジン
酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、リノレン
酸、リシノレイン酸、ペンタコサン酸、およびそれらの
混合脂肪酸、および動植物油脂から製造される脂肪酸、
およびオキソ法などにより製造される炭素数8〜24の合
成脂肪酸が挙げられ、これらの高級脂肪酸から選ばれた
少なくとも1種をグリセリンと反応して用いる。
またエステル交換反応により製造する場合はヤシ油、パ
ーム油、大豆油、ナタネ油、ヒマワリ油、サフラワー
油、牛脂、ラード、魚油などの動植物油脂およびこれら
の水添油脂、エステル交換油脂も包含し、これらから選
ばれた少なくとも1種にグリセリンを配合し、ソジィウ
ムメチラート、水酸化ナトリウム、生石灰などの塩基性
触媒の存在下に100℃〜250℃の温度に2〜5時間反応す
る。
次に(B)成分としての炭素数7〜23のアルキル基また
はおよびアルケニル基を有する高級脂肪酸の石鹸には、
(A)成分の(M)、(D)、(T)の合成に用いたと
同じ脂肪酸をアルカリ性物質で中和して得られた石鹸を
用いる。
ここに用いるアルカリ性物質としては、苛性ソーダ、苛
性カリ、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニ
ア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が
挙げられ、これらのアルカリ性物質から選ばれた少なく
とも1種を、上記の高級脂肪酸から選ばれた少なくとも
1種と、常法により中和反応を行う。通常、これ等の中
和反応に於けるモル比は、高級脂肪酸:アルカリ性物質
=1:1.05〜1.5であるが、中和反応の終了した後に、過
剰のアルカリ性物質の除去を特に必要としない。
本発明(A)、(B)の各成分に用いる脂肪酸の鎖長
は、炭素数7〜23のアルキル基またはおよびアルケニル
基であるが、炭素数が7以下であると、(A)成分にお
いては、親水性が高くなり、防水性が低下すると共に、
加水分解が起り易くなる。また(B)成分においては、
アルカリ石鹸がカルシウム石鹸等に変っても親水性が高
く、防水性が極めて劣る。また炭素数が23以上になる
と、防水性は高くなるが、水溶液や乳化液として用いる
場合の分散性が低く、油分が分離してくる。
以上のようにして得られた(A)及び(B)成分を、
(A):(B)=2〜7:3〜8の重量比に混合し、それ
に必要により水、鉱油、乳化剤を加えて、それを本発明
の目的に用いるのであるが、(A)と(B)成分のみよ
り成る場合には、得られる組成物は、粉末状またはフレ
ーク状の固体またはペースト状の半固体となる。また
(A)プラス(B)成分に水、鉱油、乳化剤を加えた時
には、水、鉱油の添加量にもよるが、ペースト状の半固
体または、透明な溶液や不透明な乳化液として得られ
る。
本発明の組成物は、以上に述べた方法により得られる外
に、動植物油脂のアルカリ精製で副生する湯滓(いわゆ
るフーツ)やアルカリ精製工程で生じる廃白土から回収
した回収油、または脱臭工程で水蒸気と共に留出する脱
臭スカム等の油脂・脂肪酸成分をアルカリ性物質で中和
した物を利用することもできる。
本発明の組成物を防水剤として用いるには、コンクリー
ト、モルタル、石膏等の水を除く組成物に対して、本発
明組成物を無水物換算にて0.1〜2重量%になるように
添加し、よく混合したのち、型に流し込んで成形して用
いるが、本発明の組成物はコンクリート等に対する分散
性、耐水性にすぐれ、かつ、製品の強度を低下させない
と云う長所を有する。また本発明組成物は、セメント、
コンクリート、石膏等の製品の成形における離型剤とし
て用いて、すぐれた離型性を与える効果を有する。
〔実施例〕
以下実施例により本発明を説明する。
測定例1〜15 (M)、(D)、(T)及び(B)成分を次のようにし
て得たのち、表−1のように(A)成分、(B)成分を
調合して、以下に述べる試験に供した。
イ)(A)成分(M、D、T)の合成 i)(M)の合成:撹拌機、ヘンペル型分留管を取り付
けた反応器に、グリセリン239.2g(2.6モル)、蒸留大
豆脂肪酸282g(1モル)とパラトルエンスルホン酸(以
下「PTSA」と称す)2gを仕込み、200〜220℃で4時間、
エステル化反応を行い、2.5モルの水の留出を確認後、9
0℃に急冷し、同温度で、40%の芒硝水で4回洗浄し、
分液後、加熱脱水し、活性白土を用いて濾過を行い粗生
成物を得た。それを分子蒸溜により、モノグリセリド留
分を得た。その純度をガスクロマトグラフ法で検定した
結果94.2%であった。
ii)(D)の合成:上記と同様の装置にグリセリン110.
4g(1.2モル)、ステアリン酸(98%純度)283g(1モ
ル)とPTSA2gを仕込み、190〜215℃に5時間反応を行
い、次いで分子蒸溜を行い、ジグリセリド留分を得た。
その純度は96.8%であった。
iii)(T)の合成:上記と同様の装置に、グリセリン9
2g(1モル)ラウリン酸734.4g(3.6モル)とPTSA5.1g
を仕込み、200〜225℃に7時間反応し、次いで過剰のラ
ウリン酸を留出せしめ、36%食塩水で3回洗浄した後、
脱水、濾過してラウリン酸トリグリセリドを得た。
iv)(M、D、T)の性状:以上のようにして得られた
M、D、Tの各々の性状を表−1に示した。
ロ)(B)成分の合成 反応容器に20%苛性ソーダ水溶液384gを入れ、70〜80℃
に加熱撹拌しながら、70℃に加熱した蒸留牛脂脂肪酸
(中和価205.3、ヨウ素価44)500gを滴下し、中和し、
よく混練後、冷却しながら加水し、石鹸の濃度が20%に
なるように調整した。得られた石鹸の性状は石鹸含有量
20.2%、脂肪酸炭素数14〜18であった。
ハ)(A)(B)成分の混合 上で得られた(M、D、T)より(A)成分の調製と、
それと(B)成分との混合を表−2に示すような比率で
行い、得られた15個の(AB)の混合物の30重量%水溶液
または水分散液とした。
ニ)セメントへの調合と性能試験 上で得た(AB)混合物の水溶液または水分散液の各々
を、次の軽量気泡コンクリート(ALC)の配合に、
(A)+(B)を無水物換算にて、セメント組成に対し
て0.1〜2.0重量%(表−2)になるように水道水を加
え、200重量部の水溶液とし、それを用い、セメントス
ラリーを調製し、次いでALC成型品を次のようにして得
た。
i)セメント配合組成比と成型品の製造 普通ポルトランドセメント 45 重量部 工業用生石灰粉末 45 〃 工業用珪石粉末 160 〃 工業用アルミニウム粉末 0.2 〃 以上のセンメント原料を良く混合し、これに水道水200
重量部または、上記(AB)の混合物を溶解(または分
散)した水溶液200重量部を、少しずつ添加して撹拌
し、スラリーを3分間混練して成型枠に流し込み、それ
を成型枠のまま、相対湿度90%、温度50℃の恒温恒湿槽
に5時間静置した。発泡して型枠の上部にハミ出したコ
ンクリートをピアノ線でカットし、次いで、側枠をはず
した後、180℃、10kg/cm2の高温高圧水蒸気中で10時間
オートクレーブ養生を行った。成型品を切断して、防水
性、曲げ強度、圧縮強度の測定に用いる試験片を得た。
ii)試験方法 イ)セメントスラリーの分散性:上記のセメント配合組
成比のうち、アルミニウム粉末を含まない配合に、試料
をセメント組成全量に対し、無水物換算で1%添加した
水溶液200重量部を加え、3分間撹拌して得たスラリー
の撹拌停止30分後の分散状態を次の基準によりチェック
した。
◎:スラリー全体が均一である。
○:上部表面にスカム様のものが、僅かに浮上してい
る。
△:上部表面にスカム様のものが、かなり浮上してい
る。
×:上部表面に油状スカムが浮上し、スラリーも不均一
である。
ロ)防水性:100mm立方体の試験片を、容器の底面より2c
mの高さに置き、水を立方体の上面より3cmまで入れて、
25℃に24時間静置し、試験前後の重量より吸水量を求
め、それの試験前重量に対する百分率により防水性を示
した。
ハ)曲げ強度:100×100×400(mm)の試験片を用いJIS
A−5416に記載の方法により試験を行った。
ニ)圧縮強度:100mm立方体の試験片を用い、JIS A−5
416に記載の方法により試験を行った。
ホ)測定結果:上記の試験方法により測定した防水性、
曲げ強度、圧縮強度の結果を表−2に示す。防水性にお
ける試料の添加量は、0.1、0.3、0.5、1.0、2.0重量%
の5点に、無添加のものを加え、測定に用いた。また曲
げ強度、圧縮強度は、添加量0.5、2.0%の2点で、各々
無添加を加えた。
実施例1 (A)成分の合成:測定例の(A)で用いた反応装置
に、蒸留硬化ヤシ油脂肪酸(C10〜14、中和価275、沃
素価0.6)502g(2.46モル)、グリセリン92g(1モル)
と酸化カルシウム3.5gを加え195〜210℃で4時間反応し
たのち、80℃に冷却し、次いで活性白土5.5gを加えて脱
色し、濾過した。得られた生成物のM、D、Tの含有量
をGC分析により測定の結果、M:D:T=7:35:50の比であ
り、鹸化価248.2、IV0.2であった。
(B)成分の合成:測定例の(B)と同じ装置に、蒸留
硬化ナタネ油脂肪酸(C16〜22、中和価173.5、沃素価
1.5)324g(1モル)とトリエタノールアミン163.9g
(1.1モル)とを用い80℃で中和反応し、冷却しなが
ら、水分を調整し、20%石鹸水溶液を得た。
(A)+(B)成分の調製:(B)成分1kg(石鹸分200
g)を70℃に加熱し、それに(A)成分200gを添加し、
混合溶解したのち10℃迄撹拌しながら冷却し、(A):
(B)=1:1の混合物の33%水溶液を得た。
実施例2 (A)成分の合成:上記と同じ装置に精製牛脂(C
14〜18、酸価0.1、沃素価44)820g(1モル)を仕込み6
0℃に加熱しておく。それに予めグリセリン106.7g(1.1
6モル)に苛性ソーダ3.5gを溶解しておいたものを加
え、200〜210℃に3時間加熱して、エステル交換反応を
行った。GC分析の結果、M:D:T=8:42:52の比であり、鹸
化価189.4、沃素価18.3の性状であった。
(B)成分の合成:実施例1の(B)と同じ脂肪酸324g
(1モル)と、苛性カリ61.7g(1.1モル)の20%水溶液
とを用いて中和し、水分を調整して20%カリ石鹸溶液を
得た。
(A)(B)成分の混合:(B)成分1kg(石鹸分200
g)と(A)成分133gを混合して、29%混合物溶液を得
た。
実施例3 (A)成分の合成:実施例1(A)と同じ装置に、蒸留
硬化ヤシ油脂肪酸(C10〜14、中和価275、沃素価0.6)
510g(2.5モル)、グリセリン92g(1モル)とPTSA2.2g
を仕込み、180〜190℃で3時間エステル化反応を行い、
脱水量が47ccになったのち、70℃に急冷し、炭酸ソーダ
3gを添加して、酸性を中和し、次いで活性白土5.6gを用
いて濾過して、M:D:T=9.2:41:35.3の比の生成物を得
た。その生成物500gと測定例で用いた(T)ラウリン酸
トリグリセリド207gを80℃で混合した。その混合物はM:
D:T=6.5:29:50の比を有し、それを(A)成分として用
いた。
(B)成分の合成:実施例1(B)と同じ装置に蒸留オ
レイン酸(C14〜18、中和価204、沃素価78.2)275g
(1モル)を仕込み、25%アンモニア水74.8g(1.1モ
ル)で中和し、水を加え調整して、20%アンモニア石鹸
液を得た。
(A)(B)成分の混合:(B)成分1kgに(A)成分1
00gを加え、溶解し、水分を調整して、25%混合物溶液
を得た。
実施例4 (A)成分の合成:実施例1(A)と同じ装置に、蒸留
大豆油脂肪酸(C16〜18、中和価199、沃素価131.5)67
7g(2.4モル)とグリセリン92g(1モル)をPTSA3gの存
在下に190〜200℃、4時間エステル化反応を行なったの
ち、80℃に急冷し、炭酸ソーダ5gを用いて中和後、活性
白土7.3gを加え、濾過して、M:D:T=7:38:42の比より成
り、鹸化価183.5、沃素価50.4の(A)成分を得た。
(B)成分の合成:蒸留硬化ヤシ油脂肪酸(C10〜14
中和価275、沃素価0.6)204g(1モル)に、95℃にて酸
化カルシウム62g(1.1モル)を10%濃度水スラリーとし
て加え、撹拌後60分間静置し、得られたカルシウム石鹸
を分離し、それを熱水でくり返し洗浄し、濾過後乾燥し
て、水分0.1%の粉末状石鹸を得た。
(A)(B)成分の混合:2のビーカーにホモジナイザ
ーをセットし、それに熱水400ccを入れ、撹拌しなが
ら、(A)成分35gと(B)成分65gの混合物(130℃で
加熱混合しておく)を加え、95〜98℃で10分間撹拌し、
次いで冷却して15℃にて撹拌を止め、20%の(AB)の混
合物溶液を得た。
実施例5 (A)成分の合成:実施例1(A)と同じ装置に実施例
1(B)に用いたと同じ蒸留硬化菜種油脂肪酸808g(2.
49モル)、グリセリン92g(1モル)と酸化カルシウム
8.5gを仕込み、210〜220℃で2時間エステル化反応を行
い、60℃に急冷し、M:D:T=7:40:60の比の組成と鹸化価
162、沃素価0.62の(A)成分を得た。
(B)成分の合成:実施例1(B)と同じ装置に、実施
例1(A)に用いたと同じ蒸留硬化ヤシ油脂肪酸408g
(2モル)と酸化マグネシウム44.3g(1.1モル)より、
実施例4の(B)成分の合成方法に準じて水分0.08%の
粉末状マグネシウム石鹸を得た。
(A)(B)成分の混合:実施例4と同じ装置に熱水40
0ccを入れ、撹拌しながら、(A)成分40gと(B)成分
70gを加え、乳化液とし、水分を調整して20%の乳化液
を得た。
実施例6 実施例1〜5で得られた(AB)混合物を測定例で行った
と同じALC用のセメント原料組成に添加し、測定例と同
様に、セメントスラリー分散性、防水性、曲げ強度、圧
縮強度を測定した。その結果を表−3に示す。対象に比
較例1として市販のカルシウム石鹸系防水剤、「カルシ
ュームステアレートD」(日本油脂(株)製)を、また
比較例2として、ワックス系防水剤「セロゾール#651
A」(中京油脂(株)製)を用い、同様に測定を行っ
た。
実施例7 実施例1〜5で得られた(AB)混合物を無水物換算にて
5%の水溶液または乳化液として、鉄板を組み合わせて
作成した200×100×100mmの型枠の内側に塗布し、これ
に測定例のALC用の組成のセメントスラリーを打設し、
相対湿度80%、温度30℃に調整された室内に4時間放置
する。発泡により型枠上部よりハミ出したセメント体
を、ピアノ線でカットしたのち、柄枠を脱型し、180
℃、10kg/cm2の高温高圧水蒸気中で8時間オートクレー
ブ養生を行い、離型性能を次の評価方法により、離型
性、型取られ、表面状態、鉄板の錆の発生状況をチェッ
クした。
評価方法 (1) 離型性………鉄板と成型物との剥れ易さ ◎……極めて剥れ易い ○……剥れ易い △……やや剥れ難い ×……剥れ難い (2) 型取られ……鉄板を外した際、剥離したセメン
トの鉄板表面への付着の有無 ◎……鉄板表面への付着は無く、成形品の表面も平滑 ○……鉄板表面への付着は無し △……鉄板表面への付着が若干認められる ×……鉄板表面への付着は大、成形品の表面が荒れてい
る (3) 表面状態……成形品表面を爪でこすり、硬さを
測定 ◎……表面は硬く、傷がつかない ○……表面に傷がつき難い △……表面に傷がつき易い ×……表面に傷がつき易く、欠け易い (4) 鉄板の錆……鉄板の錆の発生の有無、成型品へ
の錆の移行 ◎……鉄板に錆の発生は無く、成形品の表面の着色無し ○……鉄板に錆の発生はほとんど無し △……鉄板に錆の発生がわずかに有り ×……鉄板に錆が発生し、成形品表面が錆により着色し
ている 測定結果を表−4に示す。対象として比較例3に市販の
加里石鹸系ペースト離型剤「加里石鹸HY」(第一工業製
薬(株)製)、比較例4に市販の特殊脂肪酸誘導体エマ
ルジョン系離型剤「セロゾール#920」(中京油脂
(株)製)を用い、試験を行い評価し、表−4に示し
た。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)炭素数7〜23のアルキル基またはお
    よびアルケニル基を有する高級脂肪酸がエステルとして
    結合してなるモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリ
    セリドが各々重量比にて5〜10、25〜55、35〜70の割合
    にて混合して成るグリセリドと、 (B)炭素数7〜23のアルキル基またはおよびアルケニ
    ル基を有する高級脂肪酸の石鹸との(A)、(B)を重
    量にて(A):(B)=2〜7:3〜8の比に混合して用
    いることを特徴とする離型性を有する防水剤組成物。
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