JPH0795722A - デジタル形距離継電器 - Google Patents

デジタル形距離継電器

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JPH0795722A
JPH0795722A JP23657493A JP23657493A JPH0795722A JP H0795722 A JPH0795722 A JP H0795722A JP 23657493 A JP23657493 A JP 23657493A JP 23657493 A JP23657493 A JP 23657493A JP H0795722 A JPH0795722 A JP H0795722A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電力系統からの入力信号の周波数が変動して
も、また歪波でも特性の良いデジタル形距離継電器。 【構成】一定間隔でサンプリングされた電圧及び電流を
デジタル変換し、電圧のサンプリング値と1サンプリン
グ時間遅延させたサンプリング値の加算値と、電流のサ
ンプリング値と1サンプリング時間遅延させたサンプリ
ング値の減算値を求め、電圧と電流値の積、電流の自
乗、加算値と減算値の積、減算値の自乗を求め、その振
動成分を除去し、電圧と電流値の積を電流の自乗で除し
て系統の抵抗を、加算値と減算値の積を前記減算値の自
乗で除してインダクタンスに対応する値を算出する手
段。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力系統の保護制御を
行なう装置に係り、特に系統の抵抗およびインダクタン
スを算出して電力系統の状態を判断するデジタル形距離
継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】系統の電圧や電流をサンプリングし、デ
ジタル変換した値を用いて種々の演算を行うアルゴリズ
ムは、「電気共同研究 第41巻第4号 デジタルリレ
ー」(社団法人 電気共同研究会)にまとめられたもの
が一般的に使用されている。これらのデジタル形継電器
の多くはサンプリング周波数が入力信号周波数の12倍
(例えば50Hz系統では600Hz)であり、また、
その入力信号は高調波を含まない正弦波であることが前
提であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来技術
では、入力信号の周波数が変化した場合、大きな誤差を
生じるという問題がある。これに対して、入力信号周波
数の変化に影響されないものもあるが、その場合は高調
波を含んだ歪波に対しては誤差が大きくなるという問題
があった。また入力信号が小さい場合や周波数が低くな
ると誤差が大きくなるという問題もある。
【0004】また、特願昭61−166174号公報
は、電流の微分値を用いることでインダクタンスを算出
しているが、アナログ入力部を有し、温度や経年による
特性変化を生じるうる微分処理回路を専用に付加せねば
ならないという問題点がある。
【0005】本発明の目的は、専用の微分処理回路を付
加することなく、入力信号の周波数が変化しても、高調
波を含んだ歪波に対しても、十分な精度で電力系統の抵
抗およびリアクタンスの算出ができるデジタル形距離継
電器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、電力系統の電圧及び電流値を一定時間間隔でサンプ
リングし、そのサンプリング値をアナログデジタル変換
した値を用いて前記電力系統の抵抗及びインダクタンス
を求めるデジタル形距離継電器において、時間間隔T
で、サンプリングした電圧および電流のn回目のサンプ
リングにおける電圧をV(n)および電流をI(n)で
表し、V(n)×I(n)で表される時系列データとI
(n)×I(n)で表される時系列データのそれぞれ振
動成分を除去処理した値の比を求めて前記電力系統の抵
抗を算出し、{V(n)+V(n−1)}×{I(n)
−I(n−1)}で表される時系列データと{I(n)
−I(n−1)}×{I(n)−I(n−1)}で表さ
れる時系列データのそれぞれ振動成分を除去処理した値
の比を求めて前記電力系統のインダクタンスを算出する
ことを特徴とするデジタル形距離継電器としたのであ
る。
【0007】前記振動成分の除去処理は、系統周波数の
半サイクルの整数倍時間の間それぞれ積算処理する手段
であることが好ましく、また、低域通過特性を持つデジ
タルフィルタで処理してもよい。
【0008】
【作用】このように構成することにより、本発明によれ
ば次の作用により上記の目的が達成される。
【0009】先ず、電力系統の電圧および電流の入力信
号を一定時間間隔Tでサンプリングしたデータをデジタ
ル変換し、t=nTでの値を、電圧をV(n)、および
電流をI(n)と表す。
【0010】入力信号であるV(n)およびI(n)が
正弦波の場合、そのサンプリングデータは次の数式1及
び数式2で表される。
【0011】
【数1】V(n)=Asin(ωnT+θ)
【0012】
【数2】I(n)=Bsin(ωnT) ここで、 V(n):時刻nTにおける電圧の瞬時値 I(n):時刻nTにおける電流の瞬時値 A :電圧の振幅値 B :電流の振幅値 θ :電流と電圧の位相差 ω :電圧および電流の角周波数 T :サンプリング周期 n :サンプリング回数で整数 抵抗Rは、数式1を数式2で除して求めることができる
が、その場合は、ωを含んだ関数となり、電力系統の周
波数の影響をうけるので、次の数式3乃至数式5の演算
処理によった。
【0013】
【数3】 V(n)×I(n) =AB{cosθ−cos(2ωnT+θ)}/2 =AB(cosθ)/2−ABcos(2ωnT+θ)/2
【0014】
【数4】 I(n)×I(n) =B2{1−cos(2ωnT)}/2 =B2/2−B2cos(2ωnT)/2 数式3、数式4において、第1項は定常成分、第2項は
振動成分であり、振動成分除去処理により振動成分を除
去して比を取れば、すなわち第1項の比を求めれば数式
5に表されるように抵抗Rがえられる。
【0015】
【数5】ABcosθ/B2=(A/B)cosθ=R 抵抗を求める関数のなかに周波数の項がない。その結
果、周波数の変化によって抵抗の算出精度が影響されな
いのである。
【0016】さらに、インダクタンスLについては、電
圧・電流の位相差の正弦値sinθおよび周波数ωに反
比例したゲイン補正などを実施するためのアナログ部電
流微分回路を省くために、以下の数式6乃至数式10に
示すように、1サンプリング前のサンプリング値を利用
した演算処理により、定常分と振動成分を求めることが
できた。
【0017】
【数6】 V(n)+V(n−1) =2Acos(ωT/2)sin(ωnT−ωT/2+θ)
【0018】
【数7】 I(n)−I(n−1) =2Bsin(ωT/2)cos(ωnT−ωT/2) 数式6と数式7の積から次の数式8が得られる。
【0019】
【数8】 {V(n)+V(n−1)}×{I(n)−I(n−1)} =ABsin(ωT){sinθ+sin(2ωnT−ωT+θ)} =ABsin(ωT)(sinθ)+ ABsin(ωT)sin(2ωnT−ωT+θ) 数式7を自乗して次式を得る。
【0020】
【数9】 {I(n)−I(n−1)}×{I(n)−I(n−1)} =2B2sin2(ωT/2){1+cos(2ωnT−ωT)} =2B2sin2(ωT/2)+ 2B2sin2(ωT/2)cos(2ωnT−ωT) ここで、抵抗Rの場合と同様に、数式8と数式9の振動
成分を除去して比をとる、すなわち定常項である第1項
の比を取ると数式10が得られる。
【0021】
【数10】 ABsinθsin(ωT)/2B2sin2(ωT/2) =(A/B){sinθ/tan(ωT/2)} ここで、上式のtan(ωT/2)は、ωT/2が小さ
い時、すなわちサンプリング周期が短い時、ωT/2に
近似されるので、数式10にT/2を乗ずると(A/
B)(sinθ)(1/ω)となり、インダクダンスL
を得ることができる。
【0022】このように、入力信号V(n)およびI
(n)が正弦波の場合、インダクタンスは周波数が変化
しても精度よく算出できるのである。さらに、インダク
タンス算出のための電圧・電流の位相差の正弦値sin
θおよび周波数ωに反比例したゲイン補正がデジタル部
での演算で実施されるため、アナログ部に電流微分を行
なう等の専用回路を設ける必要が無い。
【0023】次に、入力信号に高調波を含んだ歪波の場
合であるが、基本波が、数式1、数式2で表されると
き、i次の高調波は下記となる。
【0024】
【数11】V(n)=KiAsin(iωnT+φ)
【0025】
【数12】I(n)=kiBsin(iωnT+ε) ただし、系統定数R一定であるから、電圧重畳率をK
i、電流重畳率をkiとし、数式5と同様にRを求め、
それらを等しくおけば数式13が得られる。
【0026】
【数13】Kicos(φ−ε)=kicosθ 数式3および数式4と同様に、数式14と数式15を求
める。
【0027】
【数14】 V(n)×I(n)=KikiAB{cos(φ−ε) −cos(2iωnT+φ+ε)}/2 =KikiAB{cos(φ−ε)}/2 −KikiAB{cos(2iωnT+φ+ε)}/2
【0028】
【数15】 I(n)×I(n)=ki22{1−cos(2iωnT+2ε)}/2 =ki22/2−ki22cos(2iωnT+2ε)/2 数式8および数式9と同様に、数式16と数式17を求
める。
【0029】
【数16】 {V(n)+V(n−1)}×{I(n)−I(n−1)} =KikiABsin(ωT){sin(φ−ε) +sin(2iωnT−ωT+φ+ε)}
【0030】
【数17】 {I(n)−I(n−1)}×{I(n)−I(n−1)} =2ki22sin2(ωT/2){1−cos(2iωnT−ωT+2ε)} ここで、数式14、数式15式の振動成分を除去して第
1項の比を求め、数式13に示された関係を用いると、
【0031】
【数18】 KikiABcos(φ−ε)/ki22 =ki2Acosθ/ki2B=(A/B)cosθ=R 同様に、数式16、数式17の第1項の比に、数式13
を用いると、
【0032】
【数19】 KikiABsin(φ−ε)sin(ωT)/2ki22sin2(ωT/2) =ki2Asinθ/tan(ωT/2)ki2B =(A/B)sinθ/(ωT/2)=(2/T)L となり、高調波についても抵抗RとインダクタンスLが
求められる。
【0033】また、次数の異なる高調波の積について
は、h次の正弦波とj次の正弦波の積は{(h−j)次
余弦波−(h+j)次余弦波}となり、h次の正弦波と
j次の余弦波の積は{(h+j)次正弦波+(h−j)次
正弦波}となり、いずれも振動成分である。
【0034】従って、基本波に複数の整数次高調波(次
数i、電圧重畳率Ki、電流重量率ki、電流と電圧の
位相差θi:iは2以上の任意の整数)が重畳した歪波
に対して、上述と同じ演算処理を行うと、
【0035】
【数20】 {ABcosθ+Σ(kiKiABcosθi)}/{B2+Σ(ki22) } =(A/B)cosθ=R
【0036】
【数21】 {ABsinθ+Σ(kiKiABsinθi)}sin(ωT)/ 2{B2+Σ(ki22)}sin2(ωT/2) =(A/B)sinθ/(ωT/2)=(2/T)L となり、高調波を含んだ歪波に対しても抵抗Rとインダ
クタンスLが周波数の影響をうけず求められる。
【0037】上記の演算式において、基本波の角周波数
ωに対して振動成分の最低角周波数は、基本波のみ又は
奇数次高調波重畳の歪波の場合は2ω、偶数次高調波重
畳の歪波の場合はωである。従って、振動成分を除去し
定常成分のみを得るには、基本波の半サイクルの整数倍
時間の間、上述の時系列データの積算を行えば良い。ま
た、この方法は、積算時間が固定されているため、基本
波の角周波数が変化しない場合は有効であるが、基本波
の角周波数が変化すると振動成分が残り、上記の演算に
よる抵抗およびインダクタンスの算出値に誤差を生じ
る。これは、積算による振動成分除去は、除去すべき振
動成分の1周期分のデータの総和が零であることを条件
にしているためであり、この場合は低域通過特性を持つ
デジタルフィルタ処理により、角周波数ωより高い振動
成分を減衰させて定常成分を得ることで解決される。
【0038】求められた抵抗RとインダクタンスLを継
電器特性処理部へ入力すれば所望の継電器特性を得るこ
とができる。
【0039】
【実施例】本発明の一実施例を図1により説明する。
【0040】系統の電圧および電流信号はアナログフィ
ルタ1で処理された後、サンプリングホールド/アナロ
グーデジタル変換処理部2によりサンプリングデータV
(n)およびI(n)に変換される。V(n)およびI
(n)は加算減算処理部3において各々1サンプル前の
データと加算および減算される。ここで、アナログフィ
ルタ1はサンプリングによる折り返し誤差を防止するこ
とを主な目的とし、サンプリング周波数の半分以上の周
波数で十分な減衰を持つものであって、かつ、電圧信号
及び電流信号に対して同じ特性を持つものである。サン
プリングホールド/アナログーデジタル変換処理部2お
よび加算減算処理部3は、tan(ωT/2)をωT/
2に近似するために高速で処理する。
【0041】表1は、サンプリング周波数と入力信号周
波数の比と近似誤差の関係を示したものである。表に示
すように、近似誤差は、サンプリング周波数が入力信号
周波数に比べて高いほど小さくなるが、例えば、誤差5
%を目標とするときは両者の比が10以上となるサンプ
リング周波数を用いればよい。
【0042】
【表1】
【0043】サンプリングホールド/アナログーデジタ
ル変換処理部2および加算減算処理部3の出力であるV
(n),I(n),V’(n)=V(n)+V(n−
1),I’(n)=I(n)−I(n−1)のデータは
乗算処理部4へ送られ乗算処理される。ここで、サンプ
リングホールド/アナログーデジタル変換処理部2およ
び加算減算処理部3から乗算処理部4へのデータ転送
は、上述したように全てのサンプリングタイミングにつ
いて行う必要はなく、間引きして、例えばサンプリング
5回毎にその時点でのデータを送っても良い。乗算され
たデータはRL算出処理部5において上述の積算処理ま
たはフィルタ処理により、振動成分を除去された後それ
ぞれ比が取られ、抵抗RおよびインダクタンスLが算出
される。
【0044】継電器特性処理部6は前段で算出された抵
抗RおよびインダクタンスLを用いて、所望の継電器特
性を作る部分であり、例えばある特定の周波数ωで最大
感度角Θ、インピーダンスZ1、Z2のオフセットモー継
電器は、 (Z1cosΘ−R)(Z2cosΘ−R) +(Z1sinΘ−ωL)(Z2sinΘ−ωL)<0 の時、動作信号を出力することで実現される。
【0045】以上処理単位に説明したが、加算減算処理
部3から継電器特性処理部6はメモリーとマイクロプロ
セッサーからなる演算処理装置7のソフトウェア処理と
して実現される。
【0046】図2及び図3はサンプリングホールド/ア
ナログーデジタル変換処理部2の出力データV(n),
I(n)を用いて抵抗RおよびインダクタンスLを得る
までのソフトウェア処理の手順の例であり、図2は振動
分の除去に積算処理を用いた例、図3はディジタルフィ
ルタを用いた例である。
【0047】図2で処理8は電圧、電流の現時点データ
のメモリーへの保存であり、処理9で現時点データと1
サンプル前のデータを電圧は加算、電流は減算する。処
理10で現時点データと処理9で得たデータの積を求
め、得られた結果は処理11でメモリーへ保存する。処
理12は振動成分を除去するための積算処理であり、こ
の結果を用いて処理13で抵抗とインダクタンスを算出
する。
【0048】処理12でS[P(n)]およびS[Q
(n)]は、それぞれP(n)およびQ(n)を積算処
理することを示している。
【0049】所望の精度で抵抗およびインダクタンスを
算出する必要のある電圧および電流の角周波数をωとす
ると、2次以上の高次高調波の重畳した歪波についても
振動成分の最低角周波数はω以上であるので、角周波数
ω以上で十分な減衰を持つ低域通過デジタルフィルタ処
理を行うことで定常成分が得られる。従って、電圧およ
び電流の角周波数がω以上の範囲においては、上記のフ
ィルタ処理を行って得られた定常成分の比を取ること
で、抵抗R=(A/B)cosθおよびインダクタンス
L=(1/ω)(A/B)sinθが得られる。
【0050】ここで用いるデジタルフィルタの周波数特
性は、特定の周波数以外では減衰の小さいものであって
はならず、高周波数域で連続して十分に減衰が大きくな
るものでなければならない。
【0051】積算処理によってこのような特性を得よう
とすると積算時間を長くする必要があり、これは積算用
のデータ保存のためのメモリーが増加するという欠点が
ある。従って、メモリーが少くてすみ、かつ高周波数域
で十分な減衰を得るためには再帰形デジタルフィルタ処
理が適している。
【0052】図3では図2の積算処理12の代わりにデ
ジタルフィルタ処理14を用いる。処理14でF[P
(n)]およびF[Q(n)]は、それぞれP(n)お
よびQ(n)をデジタルフィルタ処理することを示して
いる。処理14で行なうデジタルフィルタ処理の例とし
て再帰形デジタルフィルタを図4に示す。図4中の処理
15はデータの1サンプル遅延を示し、処理16〜20
は定数を乗じることを示す。再帰形デジタルフィルタの
特性は処理16〜20の定数によって定まる。
【0053】図5及び図6は積算処理、再帰形デジタル
フィルタ処理のゲインと周波数特性の関係を示した例で
ある。図中ゲインGは、「出力の大きさ/入力の大き
さ」であり、周波数ωは入力信号周波数、ωB は基本周
波数である。図5の実線21はサンプリング周波数が基
本波周波数の12倍であり、基本波半サイクル分のデー
タを積算処理した特性である。同図で破線22は基本波
周波数の2倍の周波数にノッチ点を持たせたローパスノ
ッチ特性を再帰形デジタルフィルタ処理で行った特性で
ある。図6の実線23は基本波1サイクル分のデータを
積算した特性であり、破線24は基本波周波数にノッチ
点を持たせた特性である。
【0054】前述した様に、入力電圧及び電流が基本波
又は基本波に奇数次の高調波が重畳した歪波の場合、振
動成分の周波数は基本波の偶数倍となり、偶数次の高調
波が重畳した歪波の場合、振動成分の周波数は基本波の
奇数倍となる。従って、図5の特性を持つ処理を行った
場合、基本波に奇数次の高調波が重畳しても振動成分を
十分に減衰させられ、図6の特性を持つ処理を行えば、
さらに基本波に偶数次の高調波が重畳しても振動成分を
十分に減衰させられる。さらに、入力電圧及び電流の周
波数が基本波周波数からはずれると、積算処理では振動
成分を十分に減衰させられないが、再帰形デジタルフィ
ルタ処理を用いれば、振動成分を十分に減衰させること
ができる。
【0055】図7および図8は図2の算出手順による計
算機シミュレーション結果の例であり、図9および図1
0は図3の算出手順による計算機シミュレーション結果
の例である。ここで、図2の処理12及び図3の処理1
4は図5の特性を持たせてある。図7乃至図10におい
て、入力電流は25,29,33,37、入力電圧は、
26,30,34,38、抵抗値は27,31,35,
39、インダクタンス値は28,32,36,41で示
されている。抵抗R及びインダクタンスLの理論値は、
それぞれR=(3/√2)cos45°およびL=(3/
√2)(50/f1)sin45°となる様に電圧と電流を
設定すると共に、図3の処理13で定数倍してある。
【0056】図7及び図9は入力電圧及び電流を基本波
に第3次高調波を重畳した歪波としたもので、抵抗及び
インダクタンスの算出値は理論値±1%となっている。
図8及び図10は入力電圧及び電流の周波数を45Hz
としたもので、図8に示される様に積算処理を用いた場
合、抵抗及びインダクタンスの算出値は大きな誤差を持
つが、図10に示される様に再帰形デジタルフィルタを
用いた処理では理論値±1%で算出されている。また、
積算処理やフィルタ処理、抵抗Rおよびインダクタンス
Lを求める演算はデータを間引くことでサンプリング数
回分の時間で行ってもよい。
【0057】さらに、インダクタンス算出のための電圧
電流の位相差の正弦値及び周波数に反比例したゲイン補
正がデジタル部での演算で実施されるため、アナログ部
に電流の微分を行なう等の専用回路を設ける必要が無
い。
【0058】以上、本発明により抵抗Rとインダクタン
クLが得られることを述べたが、ここで、V(n)+V
(n−1)および、I(n)−I(n−1)の演算はt
an(ωT/2)をωT/2に近似できるごく短いサン
プリング時間で毎回行わねばならないが、振動成分除去
のための積算処理やフィルタ処理はデータを間引いてサ
ンプリング複数回に1回実行することが可能であること
は明らかである。
【0059】以上述べたように、上記の手法で特定の周
波数の基本波の半サイクルの整数倍時間の積算により振
動成分を除去すれば、基本波に対してだけでなく整数次
高調波の重畳した歪波に対しても、抵抗Rおよびインダ
クタンスLが精度良く得られる。また、低域通過デジタ
ルフィルタ処理により振動成分を除去すれば、振動成分
を除去するのに十分な減衰を持つ周波数範囲において、
基本波に対してだけでなく歪波に対しても、抵抗Rおよ
びインダクタンスLが精度良く得られる。
【0060】
【発明の効果】特定の周波数の基本波電圧および電流に
対してだけでなく整数次高調波の重畳した歪波に対して
も、専用の微分処理回路を付加することなく精度良く電
力系統の抵抗RおよびインダクタンスLが得られるの
で、歪波特性の良いデジタル形距離継電器を得る効果を
生じる。
【0061】また、電圧の和データおよび電流の差デー
タを得るまでは高速サンプリングするが、それ以後の処
理は間引きデータを用いて低速で行うことができるの
で、高速サンプリングデータを扱うことによるデータ量
の多さや処理時間不足などの問題を解決できる効果を生
じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるデジタル形距離継電器
の構成の例をブロックで記した図である。
【図2】RとLの算出に積算処理によるソフトウェアフ
ローの1例を示した図である。
【図3】RとLの算出に再帰形デジタルフィルタ処理に
よるソフトウェアフローの1例を示した図である。
【図4】再帰形デジタルフィルタ処理の1例を示す図で
ある。
【図5】振動分除去処理のゲイン周波数特性の1例を示
す図である。
【図6】振動分除去処理のゲイン周波数特性の他の例を
示す図である。
【図7】積算処理のフローでRとLを求めたシミュレー
ション結果の1例を示す図である。
【図8】積算処理のフローでRとLを求めたシミュレー
ション結果の他の例を示す図である。
【図9】再帰形デジタルフィルタ処理のフローでRとL
を求めたシミュレーション結果の1例を示す図である。
【図10】再帰形デジタルフィルタ処理のフローでRと
Lを求めたシミュレーション結果の他の例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 アナログフィルタ 2 サンプルホールド/アナログーデジタル変換処理部 3 加算減算処理部 4 乗算処理部 5 抵抗・インダクタンス算出処理部 6 継電器特性処理部 7 演算処理装置 8 データ保存処理 9 電圧和演算/電流差演算 10 電圧電流積演算 11 データ保存処理 12 積算処理 13 抵抗・インダクタンス演算 14 デジタルフィルタ処理 15 データ1サンプル遅延処理 16〜20 定数倍処理 21,23 積算処理ゲインー周波数特性 22,24 再帰形デジタルフィルタ処理ゲインー周波
数特性 25,29,33,37 入力電流 26,30,34,38 入力電圧 27,31,35,39 算出抵抗値 28,32,36,40 算出インダクタンス値

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電力系統の電圧及び電流値を一定時間間隔
    でサンプリングし、そのサンプリング値をアナログデジ
    タル変換した値を用いて前記電力系統の抵抗及びインダ
    クタンスを求めるデジタル形距離継電器において、時間
    間隔Tでサンプリングした電圧および電流のn回目のサ
    ンプリングにおける電圧をV(n)および電流をI
    (n)で表し、V(n)×I(n)で表される時系列デ
    ータとI(n)×I(n)で表される時系列データのそ
    れぞれ振動成分を除去処理した値の比を求めて前記電力
    系統の抵抗を算出し、{V(n)+V(n−1)}×
    {I(n)−I(n−1)}で表される時系列データと
    {I(n)−I(n−1)}×{I(n)−I(n−
    1)}で表される時系列データのそれぞれ振動成分を除
    去処理した値の比を求めて前記電力系統のインダクタン
    スを算出することを特徴とするデジタル形距離継電器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記振動成分の除去
    処理が、系統周波数の半サイクルの整数倍時間の間の積
    算処理であることを特徴とするデジタル形距離継電器。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記振動成分の除去
    処理が、低域通過特性を持つデジタルフィルタでの処理
    であることを特徴とするデジタル形距離継電器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1996001515A1 (fr) * 1994-07-01 1996-01-18 Kabushiki Kaisha Toshiba Systeme de relais protecteur a filtre differentiel spatial et a filtre sommateur
WO2014050792A1 (ja) * 2012-09-25 2014-04-03 日本電産株式会社 永久磁石同期モータのインダクタンスの測定方法および測定装置、並びに、永久磁石同期モータ

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