JPH0793863B2 - バックプラー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、屠体処理装置の一部に
組み込まれるバックプラー（首・背骨除去装置）に関
し、更に詳しくは食鳥（ブロイラー等）の解体作業に際
し、前工程でハーフカットされた屠体を胸肉部と股肉部
に完全に分離し、胸肉部より首及び背骨を除去する装置
であって、屠体処理の最終処理において、龍骨部から胸
肉、ササミ及び手羽を正確且つ歩留まり良く連続的に採
取出来る様にする為の必須の前処理装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、食鳥の解体作業は、処理工場にお
ける屠殺、脱毛、中抜き（内蔵除去）、次いで冷却され
た屠体の大バラシ、更にモモ肉、胸肉、ササミ、手羽等
に分ける工程からなっている。上記工程における大バラ
シは、手さばき（人手）の場合、懸鳥、内股筋入れ、関
節外し、背十字ナイフ入れ、スプーン入れ、モモ落と
し、手羽胸落とし、ササミ筋入れ、ササミ取り等の工程
に更に別れている。上記解体作業のうち大バラシ工程は
従来は人手によっていたが、本願出願人はこれを効率よ
く行うことが出来る自動装置を開発（特願平２−４１５
４０６号、同３−１５６９５号、同３−１５６９６号及
び同３−１９９８０８号明細書等を参照）し、現在好評
を博している。この方法で大バラシの前工程が済んだ屠
体は、最終的に龍骨から胸肉、ササミ及び手羽を分離解
体するが、その前にハーフカットされた屠体から、首及
び背骨を取り外すことが必須の工程になっており、この
解体工程は従来は人手によって行われているが、人手不
足及び効率の点から機械化、特に自動化が検討されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとしている問題点】しかしながら、
従来の自動化においては解体対象である屠体を種々の処
理工程に連続して送り、且つ各工程で屠体を特定の部分
に解体することが要求されるが、屠体は複雑な形状を有
し且つサイズにバラツキがあり、その上柔らかい為装置
に屠体を正確に固定することが困難であって、屠体中に
残っている皮や筋等を固定カッターに正確に位置合わせ
を行って切断することが困難である。従って、最終的に
廃棄される龍骨には胸肉やササミの一部が残り、有用肉
部の採取効率が低いという問題がある。従って本発明の
目的は、食鳥の解体作業、特に胸肉、ササミ、手羽落と
し工程を迅速且つ効率よく行う為の前処理装置であるバ
ックプラーを提供することである。

【０００４】

【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、装置全体を支え
るベースプレートと、食鳥屠体の胸部の胴体内に導入さ
れ、該屠体の胸肉部をバックプラーへ案内する水平部と
それに続く傾斜部からなるガイドバーと、上記屠体を股
肉部と胸肉部とに切断分離する左右一対の分離用丸刃
と、ガイドバーによって案内された屠体の背側の背骨の
両側に切り込み筋を入れる２枚一組の背側筋入れ丸刃
と、胸肉部排出用チエーンコンベアと、首・背骨排出用
チエーンコンベアと、分離用丸刃及び背側筋入れ丸刃を
駆動するモーターと、上記両コンベアへの動力伝達系か
ら構成され、上記ガイドバーは先端が丸い中実丸棒で形
成され、傾斜部の下端に矩形の板が設けられ、その末端
の矩形の板が湾曲して幅広くなっており、上記分離用丸
刃は、該屠体がガイドバーの水平部に沿って進行する間
に、該屠体を股肉部と胸肉部に切断できる位置に、ガイ
ドバーの水平部より上方に、ガイドバーを挟んで左右対
象に水平に配置され、胸肉部排出用チエーンコンベア
は、分離された胸肉部を掴む爪をチェーンに有し、ガイ
ドバーの傾斜部より下方に、これと平行に、該胸肉部を
ガイドバーの傾斜部に従って下方へ送ることができる位
置に配置され、背側筋入れ丸刃は、ガイドバーの傾斜部
より上方の、分離された胸肉部がガイドバーの傾斜部に
従って胸肉部排出用チェーンコンベアによって下方へ送
られる間に、分離された胸肉部の背側の背骨に筋入れが
できる位置にガイドバーに平行に配置され、首・背骨排
出用チエーンコンベアは、筋入れされた背側を掴む爪を
チェーンに有し、ガイドバーの傾斜部より上方に、、該
傾斜部と平行に、該背側をガイドバーの傾斜部に従って
下方へ送ることができる位置に配置され、上記ガイドバ
ーは先端が丸い中実丸棒で形成され、傾斜部の下端に矩
形の板が設けられ、その末端の矩形の板が湾曲して幅広
くなっていることを特徴とするバックプラーである。

【０００５】

【作用】ハーフカットされた屠体の胸肉部を、特定形状
のガイドバーで案内し、胸肉部排出用チエーンコンベア
で胸部を固定移動し、背骨の両側に切り込み筋を入れる
と共に、首・背骨排出用チエーンコンベアで背骨及び首
を固定移動させることによって、屠体の胸肉部から背骨
及び首部が容易に剥離される。

【０００６】

【実施例】次に図面に示す好ましい実施例を参照して本
発明を更に詳しく説明する。本発明のバックプラーは、
自動食鳥解体装置の後半の一部を構成するものであっ
て、前工程でハーフカットされた屠体を胸肉部と股肉部
に完全に分離し、胸肉部より首及び背骨を除去する装置
であり、この処理によって次工程のブレストプロセッサ
ーにおける龍骨部から胸肉、ササミ及び手羽を正確且つ
歩留まり良く連続的に採取出来る様にすることが出来
る。図１は、自動食鳥解体装置の全体を示す正面図であ
り、図２はその平面図である。この実施例の自動食鳥解
体装置は、装置全体を支える装置フレーム、該フレーム
に取り付けられチェーンホイールを駆動させる駆動モー
ター、チェーンホイールによって駆動されるオーバーヘ
ッドコンベアチェーン、フレームに懸垂されシャックル
ガイドフレームに沿って一定の速度で移動する等間隔・
複数本のシャックル（屠体の足を固定し屠体を運ぶ装
置）、屠体の尾部を切断除去するテールカッター、屠体
をハーフカットするハービング装置、本発明の対象とな
っているバックプラー及レッグプロセッサーを主たる構
成要素としている。

【０００７】図３は本発明のバックプラーの正面図であ
り、図４はその平面図である。この実施例のバックプラ
ーは、支持棒によって装置フレームに固定され、本発明
の装置全体を支えるベースプレートと、前工程でハーフ
カットされ、シャックルによって懸垂され一定速度で送
られてくる屠体の胸肉部をバックプラー内に案内するガ
イドバーと、上記屠体のハーフカット部分を完全に切断
分離する左右一対の分離用丸刃と、ガイドバーによって
案内された屠体の背側の背骨の両側に切り込み筋を入れ
る２枚一組の背側筋入れ丸刃と、胸肉排出用チエーンコ
ンベアと、首・背骨排出用チエーンコベアと、分離用丸
刃を駆動するモーターと、背側筋入れ丸刃を駆動するモ
ーターと、駆動モーター（図２）の動力を上記両コンベ
アに伝達する動力伝達系とから構成されている。

【０００８】各構成部材を図３〜９図を参照して更に詳
しく説明する。本発明のバックプラー全体を支えるベー
スプレートは、支持棒によって図１及び図２に示す装置
フレームに、上下調節可能のブラケットを介して取り付
けられ、このベースプレートには、必要な各部材、即
ち、ガイドバー、左右一対の分離用丸刃、２枚一組の背
側筋入れ丸刃、胸肉排出用チエーンコンベア、首・背骨
排出用チエーンコンベア及び下部プレートが設けられて
いる。ガイドバーは、図３及び図８に示す様に、その一
方の端部が下部プレートに固定されていて、中実丸棒の
水平部と、下端に矩形の板状体（ａ）が設けられた傾斜
部とからなり、その末端の矩形の板が湾曲して幅広く
（ｂ）なっている。水平部は先端が丸くなっていて胸肉
部が入り易くなっている。傾斜部の板状体（ａ）は、胸
肉部内の龍骨部中央の凹部を下方に押え込む作用をし、
この様に押え込むことで胸肉部の外部の龍骨部の凸部
は、胸肉部排出用コンベアのチエーンの中央部に正しく
乗り（図８）、胸肉部の固定を良好にしている。又、首
・背骨部が剥離される際、屠体に強制力が作用するが、
この際の屠体のガタツキが防止される。又、この板状体
（ａ）は、胸肉部排出用コンベアの終端部付近におい
て、そのコンベアのチエーンホイールと同心円状に拡大
されて幅広くなっていることで、胸肉と首・背骨の剥離
を容易にしている。

【０００９】左右一対の分離用丸刃は、モーターによっ
て水平回転され、屠体のハーフカット部を切断する。２
枚一組の背側筋入れ丸刃は、モーターによって垂直回転
され、胸肉部排出用コンベアで搬送される屠体の背側の
背骨の両側に切り込み筋を入れる。この切り込み筋によ
って、背骨及び首を剥離する際に、屠体の皮が胸肉部の
方に残る様になっている。胸肉排出用チエーンコンベア
は、図８に示す様に、コンベア固定軸とチエーンガイド
プレートとコンベアチエーンからなっていて、テンショ
ンピース（図６）によってチエーンが常に緊張されてい
る。チエーンには一定間隔で屠体を固定して移動させる
為の爪が設けられれている。このコンベアは、図９の動
力伝達系によって、図１及び図２の装置コンベアチエー
ンから動力が伝達され、該コンベアチエーンと同調して
回転させられ、爪のピッチはシャックルのピッチと同一
であって、爪が確実に屠体の胸肉部を捕捉する様になっ
ている。首・背骨排出用チエーンコベアは、胸肉部排出
用コンベアと同様な構造を有し且つ同様に駆動される
が、チエーンには鋸刃アタッチメント（図７）が設けら
れ、このアタッチメントによって胸肉部排出用コンベア
によって搬送されている屠体の背骨及び首部を固定移動
させる。

【００１０】上記本発明のバックプラーの作用を更に詳
しく説明する。先ず、図３〜図８に示す様に、シャック
ルに懸垂されたハーフカット屠体は、一定速度でガイド
バーの前面に至り、屠体の上半身である胸部の胴体内に
ガイドバーの先端から導入される。ガイドバーに添って
前進する屠体のハーフカットされた部分に、回転してい
る１対の分離用丸刃が当たり、屠体は２分割される。シ
ャックルに懸垂されている屠体の下半身（股肉部）は、
シャックルに懸垂されたまま進行し、次の処理工程てあ
るレッグプロセッサーに送られる。一方、分離された胸
肉部は、ガイドバーが、図示の如く進行方向に斜めに下
降しており、このガイドバーによって案内されると共
に、胸肉排出用コンベアチエーンに一定間隔に設けられ
た爪によって胸部前面が捕捉され、ガイドバーに従って
斜めに下降する。その途中において胸肉部の背側には、
適当な位置に設けられ、回転している一対の背側筋入れ
丸刃が当たり、背骨の両側に切り込み筋が２本入れられ
る（図６参照）。

【００１１】屠体が更に進行すると、図７に示す様に、
屠体の背側には首・背骨排出用コンベアが当たり、コン
ベア表面に設けられた鋸刃アタッチメントが背骨及び首
をしっかりと捕捉する。屠体が更に進行すると、胸肉排
出用コンベアの末端近くでは、ガイドバーはその下端が
図７及び図８に示す様に傾斜部において下端に板状体
（ａ）が設けられ、且つこの板状体は、胸肉部排出用コ
ンベアの末端で、そのチエーンホイールと同心円状に幅
広に拡大（ｂ）しているので、屠体の胸肉部は、胸肉排
出用チエーンコンベアによる移動と爪による固定によっ
て、ガイドバーから下方に引っ張られる。一方、屠体の
背側においては、背骨及び首部が鋸刃アタッチメントに
よって固定されながら、ガイドバーに添って斜め下方に
送られる為、背骨及び首部は胸肉部から強制的に剥離さ
れる。以上の様に分離された胸肉部と背骨及び首部は下
方に落下し、胸肉部は次の処理工程であるブレストプロ
セッサーに送られる。

【００１２】

【発明の効果】以上の如き本発明によれば、ハーフカッ
トされた屠体の胸肉部を、特定形状のガイドバーで案内
し、胸肉部排出用チエーンコンベアで胸部を固定移動
し、背骨の両側に切り込み筋を入れると共に、首・背骨
排出用チエーンコンベアで背骨及び首を固定移動させる
ことによって、屠体の胸肉部から背骨及び首部が容易に
剥離される。従って、屠体処理の最終処理において、龍
骨部から胸肉、ササミ及び手羽を正確且つ歩留まり良く
連続的に採取出来る様にすることが出来る。又、以上の
本発明のバックプラーを採用することによって、従来の
自動食鳥解体装置の場合には最大でも処理能力は２，０
００羽／時間程度であったが、その処理能力を４，００
０羽／時間とすることが出来た。又、処理能力はライン
速度を調節することによって処理工場の能力に自在に合
わせることが出来た。

【００１３】

【図面の簡単な説明】

【図１】屠体処理装置全体の正面図。

【図２】屠体処理装置全体の平面図。

【図３】バックプラーの正面図。

【図４】バックプラーの平面図。

【図５】屠体の分離を説明する図。

【図６】背側筋入れを説明する図。

【図７】首・背骨剥離を説明する図。

【図８】背側筋入れを説明する図。

【図９】コンベア駆動を説明する図。

【符号の説明】

なし

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 装置全体を支えるベースプレートと、食
   鳥屠体の胸部の胴体内に導入され、該屠体の胸肉部をバ
   ックプラーへ案内する水平部とそれに続く傾斜部からな
   るガイドバーと、上記屠体を股肉部と胸肉部とに切断分
   離する左右一対の分離用丸刃と、ガイドバーによって案
   内された屠体の背側の背骨の両側に切り込み筋を入れる
   ２枚一組の背側筋入れ丸刃と、胸肉部排出用チエーンコ
   ンベアと、首・背骨排出用チエーンコンベアと、分離用
   丸刃及び背側筋入れ丸刃を駆動するモーターと、上記両
   コンベアへの動力伝達系から構成され、上記ガイドバー
   は先端が丸い中実丸棒で形成され、傾斜部の下端に矩形
   の板が設けられ、その末端の矩形の板が湾曲して幅広く
   なっており、上記分離用丸刃は、該屠体がガイドバーの
   水平部に沿って進行する間に、該屠体を股肉部と胸肉部
   に切断できる位置に、ガイドバーの水平部より上方に、
   ガイドバーを挟んで左右対象に水平に配置され、胸肉部
   排出用チエーンコンベアは、分離された胸肉部を掴む爪
   をチェーンに有し、ガイドバーの傾斜部より下方に、こ
   れと平行に、該胸肉部をガイドバーの傾斜部に従って下
   方へ送ることができる位置に配置され、背側筋入れ丸刃
   は、ガイドバーの傾斜部より上方の、分離された胸肉部
   がガイドバーの傾斜部に従って胸肉部排出用チェーンコ
   ンベアによって下方へ送られる間に、分離された胸肉部
   の背側の背骨に筋入れができる位置にガイドバーに平行
   に配置され、首・背骨排出用チエーンコンベアは、筋入
   れされた背側を掴む爪をチェーンに有し、ガイドバーの
   傾斜部より上方に、、該傾斜部と平行に、該背側をガイ
   ドバーの傾斜部に従って下方へ送ることができる位置に
   配置され、ことを特徴とするバックプラー。