JPH0791100B2 - コンクリ−トやモルタルの劣化防止方法 - Google Patents

コンクリ−トやモルタルの劣化防止方法

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JPH0791100B2
JPH0791100B2 JP61292498A JP29249886A JPH0791100B2 JP H0791100 B2 JPH0791100 B2 JP H0791100B2 JP 61292498 A JP61292498 A JP 61292498A JP 29249886 A JP29249886 A JP 29249886A JP H0791100 B2 JPH0791100 B2 JP H0791100B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、コンクリートあるいはモルタルにおいて、骨
材成分とセメント成分との化学反応によって起こるコン
クリートやモルタルの劣化を防止する方法に関する。
〔発明の背景〕
最近、骨材とセメント成分との化学反応によって、コン
クリートやモルタルが短い期間に劣化する現象が目立っ
ており、建設業界において大きな問題となっている。
例えば、骨材中にクリストバライト、トリジマイト、玉
髄、オパール等のシリカ鉱物、玻璃あるいは微細な絹雲
母、黒雲母、バーミキュライト、加水雲母等のシリケー
ト鉱物が含まれると、これらがセメント系アルカリと反
応して膨脹し、コンクリートあるいはモルタルに亀裂を
生じさせたり、剥離あるいは、ポップ・アウト現象を発
生させたりすることがある。
また、骨材中にモンモリロナイトが存在すると、モンモ
リロナイトとセメント系のカルシウムとの化学反応によ
って、収縮現象を起こし、コンクリートあるいはモルタ
ルに亀裂を発生させたり、剥離現象を発生させる。
骨材中にローモンタイトが存在すると、ローモンタイト
とセメント系のカルシウムとの化学反応によって、コン
クリートあるいはモルタルに剥離、ポップ・アウト、崩
壊等の現象が発生する。
骨材中に硫化鉱が存在する場合には、例えば黄鉄鉱は、
Ca(OH)2の存在する雰囲気において加水分解し易い為、
硫酸や硫酸鉄に変化膨脹し、コンクリートあるいはモル
タルに亀裂発生、爆裂、ポップ・アウト現象等が発生す
る。
セメントの硬化反応抑制剤は市販されているが、この種
の混和剤は、骨材とセメント系成分との化学反応を抑制
する効果はない。
かゝる問題を解消しようとする方法の提案が、特開昭60
−187512号公報に記載されている。この方法は、コンク
リートを調合する際、セメントを水洗、脱水処理した後
に用いて、セメント中のアルカリ成分を除くものであ
る。しかしこの方法にはセメントの水洗、脱水処理が煩
雑であるという欠点がある。
また建設省では、アルカリ骨材反応を問題視し、昭和61
年10月1日にアルカリ骨材反応対策暫定指針を出してい
る。しかしこの指針は、アルカリ骨材反応を起こす可
能性のある砂利を使わない低アルカリセメントを使う
一単位のコンクリートが含むアルカリ分を一定基準以
下にするアルカリ骨材反応を抑制する効果のあるセメ
ントを使う、という消極的なものであった。
出願人は、この問題を解決する為に、下記の発明をなし
且つ昭和61年11月18日に特許出願した: それは、コンクリートあるいはモルタルの混練調整の際
に、混練用水中に鉱油及び界面活性剤を混入するもので
ある。しかしこの発明の方法では、鉱油および界面活性
剤を骨材およびセメントに均一に混和することが困難で
ある場合もあり、鉱油および界面活性剤のコンクリート
又はモルタル中の分布に偏りが生じ易い。
〔発明の課題〕
本発明の課題は、上記特許出願の方法を改善して、コン
クリートあるいはモルタルにおいて、それの一般的な骨
材に含まれるシリカ鉱物、玻璃、モンモリロナイト、ロ
ーモンタイト又は硫化鉱とセメント系成分との化学的反
応によって起こるコンクリートやモルタルの膨張または
収縮による体積変化、即ち、このことに基づく亀裂発
生、剥離、爆裂、ポップ・アウト現象等を従来技術と異
なり積極的に抑制し、効率的に且つ均一に劣化を防止す
ることにある。
〔発明の構成〕
かゝる課題は、鉱油及び場合によっては界面活性剤の為
の固体媒体を用いることによって達成できる。この固体
媒体としては、鉱油及び場合によっては界面活性剤を内
包し得るマイクロカプセルまたは鉱油及び場合によって
は界面活性剤を含浸し得る多孔質物質がある。
本発明で用いるマイクロカプセル又は多孔質物質に場合
によっては内包又は含浸される界面活性剤の量は、鉱油
を基準として0.01〜10重量%の範囲内であり、鉱油と界
面活性剤との合計量がセメントを基準として0.05〜5重
量%の範囲内である場合が特に有利である。
本発明で用いるマイクロカプセルは、その径が100Åか
ら5mmの範囲内であるものが有利である。マイクロカプ
セルに内包される鉱油および場合によっては界面活性剤
は、それぞれ別々のマイクロカプセルに内包されていて
も又は互いに混合状態で内包されていてもあるいは水と
のエマルジョン状態で内包されていてもよい。
マイクロカプセルの膜材は、有機物又は無機物であり、
骨材およびセメントと充分に混練される以前に破損しな
い程度の強度を有し且つ打設後のコンクリート又はモル
タルの硬化期間内の適切な時間に破壊あるいは溶解し、
その硬化反応に悪影響を及ぼさないものを用いる。例と
しては、ゼラチン;天然ゴム;ポリアミド、例えばポリ
フェニルフタルアミド、ポリフタロイルピペラジン、ポ
リフタロイルジメチルピペラジン、ポリヘキサメチレン
フタルアミド、ポリヘキサメチレンセバカミド等;ビニ
ル系重合体、例えばポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルホル
マール等;セルロース類、例えばエチルセルロース、ニ
トロセルロース、酢酸セルロース、酢酸ブチルセルロー
ス等;ポリメチルメタクリレート;ポリエステル;共重
合体、例えば塩化ビニル−酢酸ブチルセルロース、アク
リロニトリル−スチレン共重合体、塩化ビニリデン−ア
クリルニトリル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の
有機系膜材並びにシリカ、二酸化チタン、炭酸カルシウ
ムの如き無機系膜材がある。膜は、例えばゼラチンとア
ラビアゴムとの複合膜の如き多層構造を有していてもよ
い。
マイクロカプセルの製造方法は、従来から公知であり、
本発明のマイクロカプセルを製造する場合にもこれら公
知の方法、例えば特にコアセルベーション法を用いるこ
とができる。
本発明で用いる鉱油は、軽油、灯油、ガソリン、スピン
ドル油等である。
本発明の特に有利な実施形態は、鉱油及び場合によって
は界面活性剤を内包し且つ比重を骨材およびセメント等
のそれに近いものに調整されたマイクロカプセルを又は
鉱油及び場合によっては界面活性剤を含浸し且つ比重が
骨材およびセメント等のそれに近い多孔質物質を用いる
場合である。
鉱油の比重は、例えば軽油は0.91〜0.96で、灯油は0.8
〜0.83であり、膜材となる有機物の比重は、例えばゼラ
チンで1.27であり通常1.1〜1.5の範囲にある。これに対
して、骨材およびセメントの比重は一般に平均2.6およ
び3.15である。このことから、上記の有利な実施形態に
おいてはマイクロカプセルはその膜材に又は芯物質に比
重調整物質として、比重の高い物質、例えば鉄粉等の如
き金属粉末、酸化鉄、酸化チタンの如き金属酸化物、フ
ェロシリコンの如き金属珪化物、硫酸バリウムの如き金
属塩あるいは磁性粉の少なくとも一種類を含有してい
る。これら比重調整物質の比重は、4〜10である。例え
ば鉄粉は7.9の比重をそしてFe2O3は5.1〜5.2の比重を有
している。
鉱油および場合によっては界面活性剤を含浸する本発明
で用いる多孔質物質には、珪質粘板岩(比重2.6〜2.
7)、軽石(比重0.9〜1.5)がある。上記の特に有利な
実施形態において用いる多孔質物質は、骨材およびセメ
ントの比重に近い比重の珪質粘板岩等である。珪質粘板
岩および軽石の径は数μmから1mmの範囲であり、その
多孔質の孔の径が100Åから数μmの範囲であるのが有
利である。
本発明で場合によって用いる界面活性剤は、鉱油を混練
用水中に分散し得るものであればよいのであるが、特に
ソルビタン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エス
テル、ポリグリセリンソルビタン脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテル、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル燐酸塩等である。
アルカリ骨材反応を起こす岩石は、各地に産するが、そ
の内、山形県南部に産する第三紀の安山岩は玻璃とクリ
ストバライトとを併せて30%程度含む。
また、他のアルカリ骨材反応を起こす砂利は、新潟県南
部に産する安山岩、粘板岩、砂岩を主体とする陸砂利
で、玉髄と玻璃を併せて30%程度含む。
モンモリロナイトを含む岩石は各地で産するが、山形県
西部ではモンモリロナイトを35%含む第三紀の玄武岩が
産出し、この岩石を通常のコンクリート骨材として使用
すると、コンクリートは数カ月内にセメント系カルシウ
ムとの化学反応によって収縮現象を起こし、亀裂が発生
する。
ローモタイトを含む岩石も各地に産し、群馬県南部に
は、ローモタイトを10%程度含む第三紀の安山岩が産出
する。この岩石を通常のコンクリート骨材として使用す
ると、セメント系カルシウムとの化学反応によって1年
以内にコンクリートが崩れだす。
黄鉄鉱を含む岩石も各地に多く、岐阜県中部では、黄鉄
鉱を4%程度含む古生代の砂岩が産出する。この岩石を
通例のコンクリート骨材として使用すると、黄鉄鉱とセ
メント系のカルシウムと空気中の酸素とが反応し、膨脹
反応が起こり、数カ月以内にコンクリートに亀裂が発生
したり、ポップ・アウト現象が現れる。
アルカリ骨材反応を試験する方法としては、ASTM C 227
セメント−骨材の潜在性アルカリ反応試験方法(モルタ
ルバー法)が知られている。この試験は、モルタルバー
供試体を37.8±1.7℃(100±3゜F)の温度に保ち、定期
的に長さ変化を測定して、骨材とセメント系のアルカリ
との膨張反応を調べることを目的としている。この試験
で材令3ケ月において膨張率0.05%以上、6ケ月では0.
1%以上の値を示した場合には、有害なアルカリ骨材反
応の潜在的可能性があると判断する。現在の日本国内で
は、この試験はセメントのアルカリ量をNa2O換算で1.2
%として試験するのが一般的である。
モンモリロナイトやローモンタイト、黄鉄鉱等を含む骨
材とセメント系成分との化学反応によるコンクリートや
モルタルの劣化を試験する方法は未だ定められたものは
ない。ただし、劣化変質現象は、材令数カ月以内に現れ
るので、コンクリート供試体やモルタル供試体を作製
し、野外暴露して変化を観察すればよい。
以下において本発明を比較例及び実施例によって更に説
明する。
比較例1 山形県南部に産する、玻璃とクリストバライトを約30%
含む第三紀の安山岩を破砕して砂利を調製し、ASTM C 2
27の試験の供試体作製方法に従って以下の供試体を作製
した。
破砕安山岩(5〜0.15mm) 675g セメント 300g フロー値 112 使用したセメントのアルカリ量(Na2O換算)は、0.81%
であり、これに水酸化ナトリウムを加えてセメント系の
アルカリ量が1.2%になるように調整した。
モルタル供試体の大きさは、1インチ×1インチ×11・
1/2インチのバーである。
供試体をASTM C 227の養生方法に従って、37.8±1.7℃
の温度で養生したところ、材令3ケ月の膨張率は0.41%
となり、供試体に曲がりが生じて、試験を継続できなく
なった。
実施例1 上記の比較例1と同様の組成の供試体を作製する。但
し、モルタル混練時に混練用水に軽油を内包する下記構
成のマイクロカプセルをセメントを基準としてして1重
量%混入する。マイクロカプセルの直径は平均約50μm
で膜の厚さは平均約2μmであり、マイクロカプセル中
に内包される軽油の量は、セメントを基準として約0.23
重量%である。
この供試体を比較例と同様に養生したところ、材令3ケ
月の膨張率は0.136%であって比較例1に比べて明らか
に低い膨脹率を示し、アルカリ骨材反応が軽油を包含す
るマイクロカプセルの混和によって抑制されたことが明
瞭である。
実施例2 上記の比較例1と同様の組成の供試体を作製する。但
し、モルタル混練時に混練用水に軽油および比重調整物
質を内包する下記構成のマイクロカプセルをセメントを
基準としてして1重量%混入する: マイクロカプセル: 膜材:ゼラチン、 芯材:軽油(セメントを基準として0.2重量%)、 比重調整物質としての鉄粉(軽油を基準として25容量
%) 直径:約50μm: 膜厚さ:5.1μm: 全体の比重:2.38 この供試体を比較例と同様に養生したところ、材令3ケ
月の膨張率は0.127%であって比較例1に比べて明らか
に低い膨脹率を示し、アルカリ骨材反応が軽油を包含す
るマイクロカプセルの混和によって抑制されたことが明
瞭である。
この実施例の場合には、実施例1の場合と比較してモル
タル混練時の混和性が更に優れていた。
比較例2 比較例1と同じ破砕安山岩を用い、比較例1と同様に以
下の供試体を作製した。
破砕安山岩(5〜0.15mm) 675g セメント 300g フロー値 117 比較例1と同様にASTM C 227の養生方法で養生したとこ
ろ、材令3ケ月の膨張率は0.45%であり、供試体に曲が
りが生じ、試験が継続できなくなった。
実施例3 上記と同様の組成の供試体を作製する。但し、モルタル
混練時に混練用水に、軽油および界面活性剤を含浸する
下記構成の珪質粘板岩の細粒をセメントに対して1.5重
量%混入する: 粘板岩: 細粒の直径:3μm〜600μm、 含浸軽油:(セメントを基準として0.2重量%) 含浸界面活性剤:分子量約800のモノオレイン酸ソルビ
タン・エステルのポリエチレンオキサイド縮合体(軽油
を基準として0.5重量%) 全体の比重:2.75 混和物は、珪質粘板岩を撹拌浴中にセメントおよび骨材
と一緒に導入し約30分撹拌することによって作りそして
比較例1と同様に供試体を作製した。
この供試体を比較例と同様に養生したところ、材令3ケ
月の膨張率は0.141%であって比較例2に比べて明らか
に低い膨脹率を示し、アルカリ骨材反応が軽油と界面活
性剤とを含浸する粘板岩の混和によって抑制されたこと
が明瞭である。
比較例3 新潟県南部に産する安山岩、粘板岩、砂岩を主体とし、
玉髄と玻璃を併せて30%程度含む陸砂利を破砕して砕砂
を調整し、ASTM C 227の試験の供試体作製方法に従って
以下の供試体を作製した。
陸砂利破砕砂(5〜0.15mm) 675g セメント 300g フロー値 111 使用したセメントは市販のポルトランドセメントで、ア
ルカリ量(Na2O換算)が0.81%であり、これに水酸化ナ
トリウムを加えてセメント系のアルカリ量が1.2%にな
るように調製した。
モルタル供試体の大きさは、1インチ×1インチ×11・
1/2インチのバーである。
供試体をASTM C 227の養生方法に従って、37.8±1.7℃
の温度で養生したところ、材令3ケ月の膨張率は0.057
%と大きな値が得られた。
実施例4 上記の比較例3と同様な組成の供試体を作製する。但
し、モルタル混練時に軽油および比重調整物質を包含す
る下記構成のマイクロカプセルを、セメントを基準とし
て0.5重量%添加した: マイクロカプセル: 膜材:ゼラチン、 芯材:軽油(セメントを基準として約0.24重量%)、 直径:約100μm〜1mm: 膜厚さ:8.0μm: この供試体を比較例2と同様に養生したところ、材令3
ケ月の膨張率は0.024%である。
比較例3に比べて明に低い膨脹率であり、アルカリ骨材
反応が軽油と界面活性剤との混和によって抑制されたこ
とは明瞭である。
実施例5 上記の比較例3と同様な組成の供試体を作製する。但
し、モルタル混練時に軽油および比重調整物質を包含す
る下記構成のマイクロカプセルを、セメントを基準とし
て0.5重量%添加した: マイクロカプセル: 膜材:ゼラチン、 芯材:軽油(セメントを基準として0.2重量%)、 比重調整物質としての鉄粉(軽油をを基準として28容量
%) 直径:約100μm〜1mm: 膜厚さ:8.2μm: 全体の比重:2.41 この供試体を比較例2と同様に養生したところ、材令3
ケ月の膨張率は0.019%である。
比較例3に比べて明に低い膨脹率であり、アルカリ骨材
反応が軽油と界面活性剤との混和によって抑制されたこ
とは明瞭である。
この実施例の場合には、実施例4に比較してモルタル混
練時の混和性が優れていた。
比較例4 群馬県南部に産するローモンタイトを10%程度含む第三
紀の安山岩を破砕し、砕砂を調製し、モルタル供試体を
作製した。砕砂の粒度は、土木学会標準範囲に入るもの
である。モルタルの配合は次の通りである。
砕砂(比重2.35、吸水率7.74) 1,321kg/m3 セメント 480kg/m3 水 184kg/m3 混和剤(ポゾリスNo.8;リグニンスルホン酸化合物)0.2
5重量%(セメントを基準とする) 空気量 8% 供試体は、4cm×4cm×16cmの大きさのものを10本作製し
た。脱型後に、これらの供試体を20℃の温度の水中で14
日間養生した。これらの供試体を野外暴露試験したとこ
ろ、全ての供試体に3ケ月でポップ・アウト現象が現
れ、6カ月で微細な亀裂が生じ、角が欠けた。
実施例6 上記の比較例4と同様な組成の供試体を10本作製する。
但しこの実施例では、下記構成のマイクロカプセルをセ
メントに対して0.2重量%混和する: マイクロカプセル: 膜材:ゼラチン、 芯材:軽油(セメントを基準として0.2重量%)、 比重調整物質として直径数百Åの鉄粉(軽油を基準とし
て30容量%)、 直径:約0.5mm: 膜厚さ:約0.05mm 全体の比重:2.45 これらの供試体を水中養生後に野外暴露したが、一年間
経過後も、全てのモルタル供試に目立った変化は認めら
れなかった。骨材中の黄鉄鉱とセメントのCa(OH)2並び
に酸素との化学反応が当然予想されるにもかかわらず、
この様な結果が得られたのは、軽油を包含するマイクロ
カプセルが劣化変質反応を抑制したことを意味する。
比較例5 岐阜県中部に産する黄鉄鉱を4%程度含む古生代の砂岩
を破砕し、砕砂を調製して、モルタル供試体を作製し
た。砕砂の粒度は、土木学会標準範囲に入るものであ
る。
モルタルの配合は次の通りである。
砕砂(比重2.72、吸水率0.85) 1,311kg/m3 セメント 480kg/m3 水 203kg/m3 混和剤(ポゾリスNo.8;リグニンスルホン酸化合物)0.2
5重量%(セメントを基準とする) 空気量 7.7% 供試体は、4cm×4cm×16cmの大きさのものを10本作製し
た。脱型後に、これらの供試体を20℃の温度の水中で14
日間養生した。これらの供試体を野外暴露試験したとこ
ろ、全ての供試体に4ケ月経過した頃から亀裂やポップ
・アウト現象、モルタル表面の褐色の汚れが目立ち始
め、角も欠けた。一年経過後、亀裂は成長し、表面の剥
離も著しく、劣化が目立った。
実施例7 上記の比較例5と同様な組成の供試体を10本作製する。
但しこの実施例では、モルタル混練時に、軽油と界面活
性剤(分子量約500のモノオレイン酸ソルビタン・エス
テルのポリエチレングリコール)との60%濃度水中エマ
ルジョンを包含する下記構成のマイクロカプセルを混和
する: マイクロカプセル: 膜材:ゼラチン、 重量調整剤としての直径数百Åの鉄粉(ゼラチンを基準
として15重量%)、 芯剤:軽油(セメントを基準として0.2重量%)、 界面活性剤として上記の化合物(軽油を基準として3重
量%) 水(軽油を基準として約50容量%) 比重調整物質として直径数百Åの鉄粉(軽油を基準とし
て25容量%)、 直径:約0.5mm: 膜厚さ:約0.055mm 全体の比重:2.36 水中養生後に野外暴露したが、一年経過後も、全てのモ
ルタル供試体に目立った変化は認められなかった。骨材
中の黄鉄鉱とセメントのCa(OH)2並びに酸素との化学反
応が当然予想されるにもかかわらず、この様な結果が得
られたのは、かゝる反応を軽油と界面活性剤とより成る
水性エマルジョンを包含するマイクロカプセルが抑制し
たことを意味する。
〔発明の効果〕
上記の各比較例と各実施例との比較から判る様に、本発
明によれば、鉱油と場合によっては界面活性剤を内包す
る又は含浸する混練調整の容易なマイクロカプセル又は
多孔質物質の添加によって、コンクリート又はモルタル
中で起こる骨材とセメント系成分との各種の悪い化学反
応を著しく抑制することができ、コンクリートあるいは
モルタルの劣化を防止できる。
更に、比重調整されたマイクロカプセルおよび、骨材お
よびセメントの比重に近い比重の多孔質物質を用いた場
合には、特に優れた効果が達成されるので、かゝる効果
は達成する本発明の方法は、その技術的意義が絶大であ
る。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンクリートあるいはモルタルの混練調製
    時に鉱油及び場合によっては界面活性剤を混入すること
    によって、骨材とセメント系成分との化学反応によって
    起こるコンクリートやモルタルの劣化を防止する方法に
    おいて、鉱油および場合によっては界面活性剤の為の固
    体媒体を用いることを特徴とする、上記方法。
  2. 【請求項2】固体媒体が鉱油及び場合によっては界面活
    性剤を内包し得るマイクロカプセル及び/又は、鉱油及
    び場合によっては界面活性剤を含浸し得る多孔質物質で
    ある特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】鉱油及び場合によっては界面活性剤を内包
    し且つ比重を骨材およびセメント等のそれに近いものに
    調整されたマイクロカプセル及び/又は、鉱油及び場合
    によっては界面活性剤を含浸し且つ比重が骨材およびセ
    メント等のそれに近い多孔質物質を用いる特許請求の範
    囲第1項または第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】マイクロカプセル又は多孔質物質に場合に
    よっては内包又は含浸されている界面活性剤の量が鉱油
    を基準として0.01〜10重量%の範囲内であり、鉱油と界
    面活性剤との合計量がセメントを基準として0.05〜5重
    量%の範囲内である特許請求の範囲第1〜3項の何れか
    一つに記載の方法。
  5. 【請求項5】マイクロカプセルの径が100Åから5mmの範
    囲内である特許請求の範囲第1〜4項に何れか一つに記
    載の方法。
  6. 【請求項6】マイロカプセルに包含される鉱油および場
    合によっては界面活性剤が水とのエマルジョン状態であ
    る特許請求の範囲第1〜5項の何れか一つに記載の方
    法。
  7. 【請求項7】マイクロカプセルの膜材が有機物又は無機
    物である特許請求の範囲第1〜6項の何れか一つに記載
    の方法。
  8. 【請求項8】マイクロカプセルの膜材が多層膜である特
    許請求の範囲第1〜3項及び第7項の何れか一つに記載
    の方法。
  9. 【請求項9】マイクロカプセルの比重を骨材およびセメ
    ント等のそれに近いものにする為に、マイクロカプセル
    の比重調整物質として該マイクロカプセルの芯物質およ
    び/または膜材に比重の高い微小物質を含有せしめる特
    許請求の範囲第3〜8項の何れか一つに記載の方法。
  10. 【請求項10】比重調整物質が鉄粉等の如き金属粉末、
    酸化鉄、酸化チタンの如き金属酸化物、フェロシリコン
    の如き金属珪化物、硫酸バリウムの如き金属塩あるいは
    磁性粉の少なくとも一種類である特許請求の範囲第9項
    記載の方法。
  11. 【請求項11】多孔質物質が珪質粘板岩および/または
    軽石である特許請求の範囲第1〜3項の何れか一つに記
    載の方法。
  12. 【請求項12】珪質粘板岩および軽石の径が数μmから
    1mmの範囲内であり、孔の径が100Åから数μm範囲内で
    ある特許請求の範囲第1〜3項および第11項の何れか一
    つに記載の方法。
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