JPH0785077B2 - 測定装置 - Google Patents

測定装置

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JPH0785077B2
JPH0785077B2 JP2247231A JP24723190A JPH0785077B2 JP H0785077 B2 JPH0785077 B2 JP H0785077B2 JP 2247231 A JP2247231 A JP 2247231A JP 24723190 A JP24723190 A JP 24723190A JP H0785077 B2 JPH0785077 B2 JP H0785077B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、超音波、電磁波その他の波動を用いた測定
装置に関するものである。
特に、パルス圧縮方式を用いた超音波非破壊検査装置な
どの測定装置に関するものである。
[従来の技術] 従来のこの種の測定装置については、例えば、次に掲げ
る文献A、B及びCに示されている。
文献A:ビー.ビー.リーとイー.エス.ファーガソン
「高速デジタル・ゴーレイコード探傷システム」ザ・ア
イトリプルイー超音波シンポジウムの議事録1981年,第
888頁〜第891頁。
(B.B.Lee and E.S.Furgason,「High−Speed Digital G
olay Code Flaw Detection System,」in Proceedings o
f the IEEE Ultrasonics Symposium,1981,pp.888−89
1) 文献B:ビー.ビー.リーとイー.エス.ファーガソン
「超音波エヌ.デー.イー相関探傷システムの評価」音
波及び超音波のアイトリプルイー会報vol.SU−29,no.6,
11月,1982年,第359頁〜第369頁。
(B.B.Lee and E.S.Furgason,「An Evaluation of Ultr
asound NDE Correlation Flaw Detection Systems,」IE
EE Transactions on Sonics and Ultrasonics,vol.SU−
29,no.6,November,1982,pp.359−369) 文献C:ビー.ビー.リーとイー.エス.ファーガソン
「高速デジタル・ゴーレイコード探傷システム」超音
波、7月、1983年、第153頁〜第161頁。
(B.B.Lee and E.S.Furgason,「High−Speed Digital G
olay Code Flaw Detection System,」Ultrasonics,Jul
y,1983,pp.153−161) 従来例の構成を第28図を参照しながら説明する。
第28図は、文献Cに示された従来の超音波を用いた測定
装置を示すブロック図である。
第28図において、従来の測定装置は、信号源(1)と、
この信号源(1)に接続されたデジタル遅延線(2)
と、信号源(1)及びデジタル遅延線(2)に接続され
たバイポーラ変換器(3)と、このバイポーラ変換器
(3)に接続されたトランスミッタ(4)と、同じく信
号源(1)及びデジタル遅延線(2)に接続されたバイ
ポーラ変換器(5)と、超音波探触子(6)と、この超
音波探触子(6)、トランスミッタ(4)及びバイポー
ラ変換器(5)に接続されたアナログ相関器(7)と、
このアナログ相関器(7)に接続された表示器(8)
と、システムコントロール(9)とから構成されてい
る。
なお、超音波探触子(6)は、水槽の水中に設置され、
超音波探触子(6)の対向する位置に真ちゅうのターゲ
ットSが配置されている。また、アナログ相関器(7)
は、超音波探触子(6)及びバイポーラ変換器(5)に
接続された掛算器(7a)、この掛算器(7a)に接続され
た積分器(7b)とから構成されている。さらに、信号源
(1)とバイポーラ変換器(3)及び(5)との間、デ
ジタル遅延線(2)とバイポーラ変換器(3)及び
(5)との間にはANDゲート等の論理回路が挿入されて
いる。システムコントロール(9)は、制御するために
上述した各機器、回路に接続されている。
つぎに、上述した従来例の動作を第29図及び第30図を参
照しながら説明する。
第29図及び第30図は、それぞれ、文献Bに示された従来
の測定装置の送信信号及び圧縮パルスを示す波形図であ
る。
第29図において、横軸はビット(BITS)の単位で表され
ているが、単位のビットに単位の時間を対応させれば、
横軸の単位は時間として読み替えることができる。文献
Bでは、単位のビットに対応させる単位の時間を記号δ
で表している。したがって、第29図に示す送信信号のパ
ルス幅は、63×δである。
この送信信号は、振幅が特殊な系列により符号化され
た、周波数帯がベースバンドの信号である。振幅の符号
化については、後述することとし、まず、使用されてい
る系列について説明する。
使用されている系列は、長さが63ビットの有限長系列で
あり、周期長が63ビットの周期系列であるm系列(maxi
mal length sequence)を、一周期で打ち切って作られ
ている。
m系列については、例えば「符号理論」宮川洋、岩垂好
裕、今井秀樹共著、昭和54年6月29日昭晃堂刊、第474
頁〜第499頁(以下、文献Dと略称する。)に詳しく述
べられている。
m系列は、長さが無限長の周期系列であり、系列をなす
成分が2つの要素からなる2値系列である。2つの要素
には、符号+と符号−が割り当てられる場合もあるし、
数値+1と数値−1、あるいは、数値1と数値0とが割
り当てられる場合もある。第29図の例では、周期長が63
ビットで、長さが無限長のm系列をもとにして、その一
周期を取り出して有限長系列を作っている。
次に、この有限長系列を用いた振幅の符号化について説
明する。
有限長系列をなす一方の要素に振幅+1を、他方の要素
に振幅−1を対応させて、系列の2つの要素の表れる順
番にしたがって、単位時間δ毎に振幅を相対値で±1に
変調している。このような信号は、振幅を符号化された
波形を有する信号と呼ばれる。
第30図において、第29図と同様に、横軸はビットの単位
で表示されているが、単位のビットに単位の時間δを対
応させれば、横軸の単位は時間として読み替えることが
できる。
この圧縮パルスは、長さ64ビットの有限長系列により振
幅符号化した送信信号を用いた場合の例である。この系
列は、第29図の送信信号を生成するときに用いた長さ63
ビットの有限長系列に、1ビットを付加して作られたも
のである。したがって、この送信信号のパルス幅は、64
×δである。エコーのパルス幅もこれとほぼ同等の長さ
である。
しかしながら、第30図で示すように、圧縮パルスのエネ
ルギーの大半は、図中、中央の(数ビット×δ)の時間
幅内に集中している。この中央の振幅の大きい信号部分
は、圧縮パルスの主ローブと呼ばれる。主ローブのパル
ス幅は短い。これは、送信信号のパルス幅と同等に長い
時間にわたってほぼ一様に分布していたエコーのエネル
ギーが、時間軸上のほぼ一点に圧縮されたことを意味し
ている。主ローブの両側における振幅の小さい信号部分
は、圧縮パルスのレンジサイドローブと呼ばれる。
さて、信号源(1)及びデジタル遅延線(2)から、バ
イポーラ変換器(3)及びトランスミッタ(4)を介し
て、第29図で示したような送信信号が生成される。この
送信信号により超音波探触子(6)がある送信繰り返し
周期で繰り返して駆動される。
超音波探触子(6)から水中に放射された超音波は、タ
ーゲットSにより反射され、再び超音波探触子(6)に
より受信される。超音波探触子(6)により受信された
エコーは、アナログ相関器(7)の掛算器(7a)に伝達
される。
上述したエコーのパルス幅は、送信信号と同等に長い。
すなわち、エコーのエネルギーは、送信信号のパルス幅
にほぼ相当する長い時間(第29図の送信信号の場合で
は、ほぼ63×δ、第30図に対応する送信信号の場合で
は、ほぼ、64×δ)にわたって、ほぼ一様に分布してい
る。
一方、前記送信信号と同じ信号が、デジタル遅延線
(2)及びバイポーラ変換器(5)を介して、アナログ
相関器(7)の掛算器(7a)に伝達される。
アナログ相関器(7)は、エコーと送信信号との間で相
関演算を実行する。この相関演算により、送信信号と同
等に長い時間にわたって、時間軸上にほぼ一様に広がっ
て分布していたエコーのエネルギーは、時間軸上のほぼ
一点に圧縮される。圧縮されて得られたパルスは、圧縮
パルスと呼ばれる。
アナログ相関器(7)により得られた圧縮パルスは、表
示器(8)に伝達され、最終結果として表示される。
上述した従来の測定装置の距離分解能は、圧縮パルスの
主ローブのパルス幅(以下、圧縮パルスのパルス幅と略
称する。)により決まる。送信信号のパルス幅が長いに
もかかわらず、圧縮パルスのパルス幅は上述したように
短い。したがって、もともとパルス幅の短い送信信号を
用いたパルスエコー法による測定装置の場合と同等の分
解能が得られる。
一方、S/N比(信号対雑音比)は、送信信号の平均送信
エネルギーが大きいほど高くなる。平均送信エネルギー
は、送信信号のパルス幅が長いほど大きい。したがっ
て、従来の測定装置は、もともとパルス幅の短い送信信
号を用いたパルスエコー法に比べ、高いS/N比が得られ
る。
以上のように、従来の測定装置は、分解能も優れ、S/N
比も高くとれる。
しかし、従来の測定装置では、第30図で示したように、
圧縮パルスにレベルの高いレンジサイドローブがある。
このレンジサイドローブのレベルが高いと、それが表れ
る時間に対応する試験体内の位置に反射体(欠陥など)
があるものと誤認する問題や、装置のダイナミックレン
ジがレンジサイドローブのレベルにより限定されてしま
う問題点などがある。
これらの問題点を避けるには、圧縮パルスのレンジサイ
ドローブのレベルを低くする必要がある。これを達成す
るには、送信信号の符号化に用いる系列の自己相関関数
のサイドローブレベルを低くする必要がある。言い換え
れば、送信信号の符号化に用いる系列として、自己相関
関数のサイドローブのレベルが低い系列を用いる必要が
ある。とくに、サイドローブが全く無い系列があれば最
良である。しかし、文献Dに述べられているように、サ
イドローブが全く無い2値有限長系列は存在しない。
しかし、同じく、文献Dに述べられているように、同じ
長さを有する2つの2値有限長系列の各々の自己相関関
数を加算すれば、加算後ではサイドローブが全く無くな
ることがある。このような特性をもつ、一種の対を構成
する2つの系列は、相補系列と呼ばれる。この相補系列
は、Golayの相補系列とも、あるいは略してGolayコード
とも呼ばれる。
文献A及びCでは、相補系列を用いた測定装置について
も述べられている。相補系列をなす2つの系列は、交互
に繰り返して用いられている。これについて、第31図、
第32図及び第33図を参照しながら説明する。
第31図及び第32図は、文献Cに示された第1及び第2の
圧縮パルスの計算機シミュレーション結果を示す波形図
である。第33図は、同じく文献Cに示された合成圧縮パ
ルスの計算機シミュレーション結果を示す波形図であ
る。
相補系列をなす2つの系列を、第1及び第2の系列と呼
ぶことにする。これら第1及び第2の系列を用いて、そ
れぞれ第29図の場合と同様にして生成した2つの送信信
号を、それぞれ、第1及び第2の送信信号と呼ぶことに
する。また、これら第1及び第2の送信信号により超音
波探触子(6)を駆動したときに得られる2つのエコー
を、それぞれ、第1及び第2のエコーと呼ぶことにす
る。さらに、これら第1及び第2のエコーを、それぞ
れ、第1及び第2の送信信号を用いて第30図の場合と同
様に相関処理して得られる2つの圧縮パルスを、それぞ
れ、第1及び第2の圧縮パルスと呼ぶことにする。
第1の送信信号及び第2の送信信号が、ある一定の周期
で交互に繰り返されている。第1の送信信号で超音波探
触子(6)が駆動される周期において、第1のエコーが
得られ、この第1のエコーは、第1の送信信号を用いて
相関処理され第1の圧縮パルスが得られている。同様
に、第2の送信信号で超音波探触子(6)が駆動される
周期において、第2のエコーが得られ、この第2のエコ
ーは、第2の送信信号を用いて相関処理され第2の圧縮
パルスが得られている。さらに、アナログ相関器(7)
の積分時間を送信繰り返し周期の2倍の時間よりも長く
することにより、第1の圧縮パルス及び第2の圧縮パル
スを加算する演算が行われている。
第1の圧縮パルスと第2の圧縮パルスとの加算結果を、
合成圧縮パルスと呼ぶことにする。この合成圧縮パルス
が、表示器(8)に表示される。
第31図及び第32図に示すように、第1及び第2の圧縮パ
ルスはともにレンジサイドローブのレベルが高い。しか
し、第33図に示すよに、合成圧縮パルスでは、中央に主
ローブのみ表れており、レンジサイドローブは全く無
い。
このように、相補系列を用いる従来の測定装置は、レン
ジサイドローブが無いという優れた利点をもっている。
ところで、上述したような従来の測定装置では、送信信
号をある送信繰り返し周期で繰り返し超音波探触子
(6)を駆動する。このとき、試験体S内で超音波が何
回も多重反射を繰り返し、送信信号を発生した送信繰り
返し周期よりも後の周期において、エコーとして受信さ
れることがある。このようなエコーは、残響エコーと呼
ばれる。
残響エコーは、試験体S内の反射体により1回反射さ
れ、送信信号を発生した送信繰り返し周期において受信
されたエコーと区別がつかない。従って、残響エコーは
検査の妨害となるものである。
そこで、残響エコーが検査に及ぼす影響の度合について
考えてみる。ここでは、残響エコーのレベルが最も高
く、最も問題になる場合、すなわち、残響エコーが送信
信号を発生した送信繰り返し周期の次の送信繰り返し周
期において受信された場合について検討してみる。以
下、第i番目の送信信号により生じた残響エコーを第i
番目の残響エコーと呼ぶことにする。
第34図は、相補系列を用いた従来の測定装置における残
響エコーを示す波形図である。
第34図において、第1の残響エコーは第2の送信信号を
発生する送信繰り返し周期において受信され、第2の残
響エコーは第1の送信信号を発生する送信繰り返し周期
において受信される。従って、エコーの信号処理過程に
おいて、第1の残響エコーは第2の送信信号との間で相
関演算が実施される。同様に、第2の残響エコーは第1
の送信信号との間で相関演算が実施される。さらに、こ
れら2つの相関演算結果が加算されて、最終結果として
表示されることになる。
第1及び第2の残響エコーは、それぞれ、第1及び第2
の系列により振幅符号化した送信信号に係わって生じた
エコーである。従って、第1の系列と第2の系列の相互
相関関数(以下、相互相関関数ρ12と呼ぶ。)と、第2
の系列と第1の系列の相互相関関数(以下、相互相関関
数ρ21と呼ぶ。)との加算結果であるρ12+ρ21(以
下、合成相互相関関数と呼ぶ。)のレベルが、第1の系
列の自己相関関数(以下、ρ11で表す。)と第2の系列
の自己相関関数(以下、ρ22で表す。)との加算結果で
あるρ11+ρ22(以下、合成自己相関関数と呼ぶ。)の
主ローブのピーク値に比べて大きければ大きいほど、残
響エコーが検査に及ぼす妨害の度合が大きくなるものと
考えられる。
そこで、従来装置として、以下に示す長さが4の相補系
列を用いた場合について考えてみる。
第1の系列=(+、+、+、−) 第2の系列=(+、+、−、+) これら第1及び第2の系列について、上述した合成相互
相関関数を計算し、次にこれを合成自己相関関数の主ロ
ーブのピーク値である8で割る計算を行ってみると、そ
の結果は、(0、1/8、3/8、3/8、3/8、1/8、0)とな
った。
なお、自己相関関数及び相互相関関数は、それぞれ、文
献Dの第475頁から第476頁に示されている式(17.4)及
び式(17.8)を修正した次の式及び式から計算し
た。
ρaa(k)=Σaj+kaj …式 (和は、jについて0〜(n−1)までとる。)ここで
ρaaは系列{a}の自己相関関数であり、kは整数であ
る。また、ajは系列{a}のj番目の要素(+1又は−
1)であり、nは系列の長さである。
ρab(k)=Σaj+kbj …式 (和は、jについて0〜(n−1)までとる。)ここで
ρabは同じ長さnを有する系列{a}と系列{b}の相
互相関関数であり、添字j、kについては、式と同一
である。なお、式及び式とも、それぞれ、文献D中
の式(17.4)の右辺及び式(17.8)の右辺を、単にn倍
しただけの式である。
上述したように、合成相互相関関数を合成自己相関関数
のピーク値で割った計算結果において、ピーク値は3/8
=0.375と大きい。
[発明が解決しようとする課題]上述したような従来の
測定装置では、レンジサイドローブが高いという問題点
や、レンジサイドローブを小さくすることができても、
残響エコーが最終結果である合成圧縮パルスに混入する
ため、測定結果の信頼性が欠けるという問題点があっ
た。この発明は、上述した問題点を解決するためになさ
れたもので、残響エコーが検査結果に及ぼす悪影響を取
り除くことができ、かつ、レンジサイドローブを小さく
することができる測定装置を得ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] この発明に係る測定装置は、第1から第Nの系列からな
り、各系列の自己相関関数を加算したときは各自己相関
関数のサイドローブが互いに打ち消し合わされ、相異な
る前記系列同士の相互相関関数の予め定められた組合せ
を加算したときには互いに打ち消し合わされる系列群を
発生するとともに、前記第1から第Nの系列に基づいて
それぞれ生成される第1から第Nの送信信号を予め定め
られた順序で発生する送信信号発生手段、前記第1から
第Nの送信信号により励振されて波動を対象物に送信す
る送信手段、前記第1から第Nの送信信号にそれぞれ対
応する第1から第Nのエコー信号を受信する受信手段、
前記第1から第Nの系列に基づいてそれぞれ生成される
第1から第Nの参照信号を用いて、前記第1から第Nの
エコー信号をそれぞれ相関処理する相関手段、及び前記
第1から第Nのエコー信号にそれぞれ対応する前記相関
手段の出力信号を加算する加算手段を備えたものであ
る。
[作用] この発明において、送信信号発生手段によって、第1か
ら第Nの系列からなり、各系列の自己相関関数を加算し
たときは各自己相関関数のサイドローブが互いに打ち消
し合わされ、相異なる前記系列同士の相互相関関数の予
め定められた組合せを加算したときには互いに打ち消し
合わされる系列群を発生するとともに、前記第1から第
Nの系列に基づいてそれぞれ生成される第1から第Nの
送信信号を予め定められた順序で発生される。また、送
信手段によって、前記第1から第Nの送信信号により励
振されて波動が対象物に送信され、受信手段によって、
前記第1から第Nの送信信号にそれぞれ対応する第1か
ら第Nのエコー信号が受信される。さらに、相関手段に
よって、前記第1から第Nの系列に基づいてそれぞれ生
成される第1から第Nの参照信号を用いて、前記第1か
ら第Nのエコー信号がそれぞれ相関処理される。そし
て、加算手段によって、前記第1から第Nのエコー信号
にそれぞれ対応する前記相関手段の出力信号を加算する
演算が施される。
[実施例] これから、この発明の9つの実施例を順次説明する。
まず、この発明の第1実施例の構成を第1図を参照しな
がら説明する。
第1図は、この発明の第1実施例を示すブロック図であ
り、超音波探触子(6)及び表示器(8)は第28図で示
した上記従来装置のものと全く同一である。
第1図において、この発明の第1実施例は、上述した従
来装置のものと全く同一のものと、送信信号発生器(1
A)と、この送信信号発生器(1A)及び超音波探触子
(6)に接続された相関器(7A)と、この相関器(7A)
に入力側が接続されかつ表示器(8)に出力側が接続さ
れたメモリ機能を含む加算器(10)と、送信信号発生器
(1A)に入力側が接続されかつ相関器(7A)に出力側が
接続された参照信号発生器(11)とから構成されてい
る。
なお、超音波探触子(6)は送信信号発生器(1A)にも
接続され、試験体Sに接触している。
つぎに、上述した第1実施例の動作を第2図から第13図
までを参照しながら説明する。
第2図はこの発明の第1実施例における第1の単位信号
を示す波形図、第3図、第4図、第5図及び第6図はこ
の発明の第1実施例における第1、第2、第3及び第4
の送信信号を示す波形図、第7図はこの発明の第1実施
例における前記4つの送信信号を示す波形図、第8図は
この発明の第1実施例における4つのエコーを示す波形
図、第9図はこの発明の第1実施例における第2の単位
信号を示す波形図、第10図、第11図、第12図及び第13図
はこの発明の第1実施例における第1、第2、第3及び
第4の参照信号を示す波形図である。
送信信号発生器(1A)は、第1の単位信号を発生する。
この第1の単位信号をgs(t)で表す。ただし、tは時
間である。また、第1の系列{a}、第2の系列
{b}、第3の系列{c}及び第4の系列{d}を発生
する。
さらに、送信信号発生器(1A)は、第1の系列{a}及
び第1の単位信号gs(t)により規定される第1の送信
信号、第2の系列{b}及び第1の単位信号gs(t)に
より規定される第2の送信信号、第3の系列{c}及び
第1の単位信号gs(t)により規定される第3の送信信
号、第4の系列{d}及び第1の単位信号gs(t)によ
り規定される第4の送信信号をそれぞれ発生する。第
1、第2、第3及び第4の送信信号を、それぞれsa
(t)、sb(t)、sc(t)及びsd(t)を表す。
第1の単位信号gs(t)は、第2図に示すように、矩
形波形を有する信号である。図中、δsは固定時間であ
る。
第1の送信信号sa(t)は、第3図に示すように、第
1の系列{a}として、長さnが4である、 {a}={a1、a2、a3、a4} ={+、+、+、−} を採用し、この系列と第2図に示した第1の単位信号g
s(t)とから、次に述べる手順にしたがって発生した
信号である。すなわち、第1の系列{a}の符号+には
第1の単位信号gs(t)を割り当て、符号−には第1
の単位信号gs(t)に−1を掛けて得られる信号−gs
(t)を割り当てて、第1の系列{a}の符号の現れる
順序にしたがって、±gs(t)が時間軸上に配列され
ている。第1の系列{a}の符号(±)と、信号±gs
(t)との間の関係をわかりやすくするため、図中、第
1の系列{a}の符号を合わせて記入してある。また、
図中、δは固定時間である。なお、固定時間δが固定時
間δsに等しい場合には、第1の送信信号は、従来と同
様に、振幅を符号化された波形を有する信号に等しい。
第2の送信信号sb(t)は、第4図に示すように、第
2の系列{b}として、長さnが4である、 {b}={b1、b2、b3、b4} ={+、+、−、+} を採用し、この系列と第2図に示した第1の単位信号g
s(t)とから、第1の送信信号の発生手順と同様の手
順にしたがって発生した信号である。第2の系列{b}
の符号(±)と、信号±gs(t)との間の関係をわか
りやすくするため、図中、第2の系列{b}の符号を合
わせて記入してある。
第3の送信信号sc(t)は、第5図に示すように、第
3の系列{c}として、長さnが4である。
{c}={c1、c2、c3、c4} ={−、−、−、+} を採用し、この系列と第2図に示した第1の単位信号g
s(t)とから、第1の送信信号の発生手順と同様の手
順にしたがって発生した信号である。第3の系列{c}
の符号(±)と、信号+gs(t)との間の関係をわか
りやすくするため、図中、第3の系列{c}の符号を合
わせて記入してある。
第4の送信信号sd(t)は、第6図に示すように、第
4の系列{d}として、長さnが4である、 {d}={d1、d2、d3、d4} ={+、+、−、+} を採用し、この系列と第2図に示した第1の単位信号g
s(t)とから、第1の送信信号の発生手順と同様の手
順にしたがって発生した信号である。第4の系列{d}
の符号(±)と、信号+gs(t)との間の関係をわか
りやすくするため、図中、第4の系列{d}の符号を合
わせて記入してある。
なお、第3の系列{c}は、第1の系列{a}におい
て、符号+と符号−を反転させて得られる系列に等し
い。また、第4の系列{d}は、第2に系列{b}に等
しい。
送信信号発生器(1A)は、上述した第1、第2、第3及
び第4の送信信号を、第7図に示すように、ある一定の
送信繰り返し周期Trで、順次繰り返して発生し、超音波
探触子(6)に伝達する。
超音波探触子(6)は、上述した4つの送信信号により
順次駆動されて、超音波を試験体S内へ送信する。そし
て、超音波探触子(6)は、試験体S内の欠陥などの反
射体により反射されたエコーを受信する。第1、第2の
第3及び第4の送信信号に対応するエコーを、第8図に
示すように、それぞれ、第1、第2、第3及び第4のエ
コーと呼ぶこととする。第1、第2、第3及び第4のエ
コーをそれぞれ、ta(t)、rb(t)、rc(t)及
びrd(t)で表す。なお、送信信号は受信回路側(相
関器(7A)側)に一部漏れ込むので、第8図ではその様
子も合わせて示している。
受信された第1、第2、第3及び第4のエコーは、相関
器(7A)に伝達される。
一方、参照信号発生器(11)は、第1、第2、第3及び
第4のエコーの相関処理にそれぞれ用いられる第1、第
2、第3及び第4の参照信号を発生し、同じく相関器
(7A)に伝達する。第1、第2、第3及び第4の参照信
号を、それぞれ、ua(t)、ub(t)、uc(t)及
びud(t)で表す。
第1の参照信号は、第1の系列と第2の単位信号により
規定される信号である。第2の単位信号は、第9図に示
すように、矩形波形を有する信号である。図中、δuは
固定時間である。第2の単位信号gu(t)で表す。
第1の参照信号ua(t)は、第10図に示すように、第
1の系列{a}と第2の単位信号gu(t)とから、第
1の送信信号の発生手段と同様の手順にしたがって発生
した信号である。すなわち、第1の系列{a}の符号+
には第2の単位信号gu(t)を割り当て、符号−には
第2の単位信号gu(t)に−1を掛けて得られる信号
−gu(t)を割り当てて、第1の系列{a}の符号の
現れる順序にしたがって、±gu(t)が時間軸上に配
列されている。第1の系列{a}の符号(±)と、信号
±gu(t)との間の関係をわかりやすくするため、図
中、第1の系列{a}の符号を合わせて記入してある。
図中、固定時間δが固定時間δuに等しい場合には、第
1の参照信号は、従来と同様に、振幅を符号化された波
形を有する信号に等しい。また、固定時間δが固定時間
δuに等しい場合には、第1の参照信号は第1の送信信
号に等しい。また、固定時間δuが固定時間δsに等し
い場合には、第1の参照信号は、第1の送信信号に等し
い。
第2の参照信号ub(t)は、第11図に示すように、第
2の系列{b}と第2の単位信号gu(t)とから、第
1の送信信号の発生手順と同様の手順にしたがって発生
した信号である。
第3の参照信号uc(t)は、第12図に示すように、第
3の系列{c}と第2の単位信号gu(t)とから、第
1の送信信号の発生手順と同様の手順にしたがって発生
した信号である。
第4の参照信号ud(t)は、第13図に示すように、第
4の系列{d}と第2の単位信号gu(t)とから、第
1の送信信号の発生手順と同様の手順にしたがって発生
した信号である。
第11図、第12図及び第13図において、それぞれ、第2の
系列{b}、第3の系列{c}及び第4の系列{d}の
符号(±)と、信号±gu(t)との間の関係をわかり
やすくするため、これらの系列の符号を合わせて記入し
てある。
相関器(7A)では、第1のエコーra(t)と第1の参
照信号ua(t)との間で相関演算を実行する。この相
関演算結果を、caa(t)で表し、第1の圧縮パルスと
呼ぶことにする。同様に、第2のエコーrb(t)と第
2の参照信号ub(t)との間、第3のエコーrc(t)
と第3の参照信号uc(t)との間、第4のエコーrd
(t)と第4の参照信号ud(t)との間で相関演算を
実行する。これらの相関演算結果を、それぞれ、cbb
(t)、ccc(t)及びcdd(t)で表し、第2、第3
及び第4の圧縮パルスと呼ぶことにする。
前記第1、第2、第3及び第4の圧縮パルスは、加算器
(10)に伝達され、記憶される。加算器(10)では、前
記第1、第2、第3及び第4の圧縮パルスを加算する。
すなわち、 caa(t)+cbb(t)+ccc(t)+cdd(t)の演
算を行う。この加算結果を、合成圧縮パルスと呼ぶこと
にする。
この合成圧縮パルスは、加算器(10)から表示器(8)
に伝達され、従来と同様に表示される。
つぎに、上述したこの発明の第1実施例の動作原理及び
効果を第14図から第18図までを参照しながら説明する。
第14図、第15図、第16図及び第17図はこの発明の第1実
施例の第1、第2、第3及び第4の圧縮パルスを示す波
形図、第18図は合成圧縮パルスを示す波形図である。
第3図で示した第1の送信信号sa(t)は、次の式で表
わされる。
sa(t)=Σaigs[t−(i−1)δ] (和はiについて1〜nまでとる。) …式 ここで、ai(i=1、2、…、n)の符号(±)は±1
(符号同順)と同一とみなして掛算している(以下同
様)。
第4図に示した第2の送信信号sb(t)、第5図に示し
た第3の送信信号sc(t)、及び第6図に示した第4
の送信信号sd(t)は、式の右辺において、第1の
系列の要素aiを、それぞれ、第2の系列の要素bi、第3
の系列の要素ci及び第4の系列の要素diで置き換えた式
で表わされる。ただし、時間原点は、第2、第3及び第
4の送信信号が発生された時間に取り直している(以
下、同様)。
第1のエコーra(t)は、次の式で表わされる。
ra(t)=C0× ∫sa(t1)h(t−t0−t1)dt1 [積分範囲:−∞〜∞] …式 ここで、C0定数を表す。また、h(t)は、送信信号発
生器(1A)の出力端から超音波探触子(6)、試験体S
の反射体、再び超音波探触子(6)を経由して、相関器
(7A)の入力端に至るまでの信号伝搬経路における周波
数応答特性の逆フーリエ変換を表わす。すなわち、前記
信号伝搬経路のインパルス応答を表わす。また、t0は試
験体S内の反射体まで超音波が往復するのに要する時間
である。
C0=1としても説明上、一般性を失わないので、以下C0
=1として説明する。
第2のエコーrb(t)、第3のエコーrc(t)及び第
4のエコーtd(t)は、式の右辺において第1の送
信信号sa(t)を、それぞれ、第2の送信信号sb
(t)、第3の送信信号sc(t)及び第4の送信信号
sd(t)で置き換えた式で表せる。
第10図で示した第1の参照信号ua(t)は、次の式で
表わされる。
ua(t)=Σaigu[t−(i−1)δ] (和はiについて1〜nまでとる。) …式 第11図に示した第2の参照信号ub(t)、第12図で示
した第3の参照信号uc(t)及び第13図で示した第4
の参照信号ud(t)は、式の右辺において、第1の
系列の要素aiを、それぞれ、第2の系列の要素bi、第3
の系列の要素ci及び第4の系列の要素diで置き換えた式
で表せる。
相関器(7A)の相関演算結果である第1の圧縮パルスC
aa(t)は、次の式で表わされる。
Caa(t)=∫ua(t2−t)ra(t2)dt2 [積分範囲:−∞〜∞] …式 第2の圧縮パルスCbb(t)は、式の右辺において、
第1の参照信号ua(t)を第2の参照信号ub(t)で
置き換えるとともに、第1のエコーra(t)を第2の
エコーrb(t)で置き換えた式で表せる。第3の圧縮
パルスCcc(t)は、式の右辺において、第1の参照
信号ua(t)を第3の参照信号uc(t)で置き換える
とともに、第1のエコーra(t)を第3のエコーrc
(t)で置き換えた式で表せる。第4の圧縮パルスCdd
(t)は、式の右辺において、第1の参照信号ua
(t)を第4の参照信号ud(t)で置き換えるととも
に、第1のエコーra(t)を第4のエコーrd(t)で
置き換えた式で表せる。
第1の圧縮パルスCaa(t)は、第1の系列{a}の自
己相関関係を、ρaa(i)、(i=0、±1、±2、
…、±(n−1))と表し、さらに、 A(t)=∫∫gs(t1)gu(t2) h(t+t2−t1)dt1dt2 [積分範囲:−∞〜∞] …式 とおけば、式〜式から次式に等しい。
Caa(t)=ρaa(0)A(t−t0)+ Σρaa(i)[A(t−t0−iδ) +A(t−t0+iδ)] (和はiについて1〜(n−1)までとる。) …式 第2の圧縮パルスCbb(t)、第3の圧縮パルスCcc
(t)、及び第4の圧縮パルスCdd(t)は、式の右
辺において、第1の系列{a}の自己相関関数ρaa
(i)を、それぞれ、第2の系列{b}の自己相関関数
ρbb(i)、第3の系列{c}の自己相関関数ρcc
(i)、及び第4の系列{d}の自己相関関数ρdd
(i)で置き換えた式で表せる。
したがって、第1、第2、第3及び第4の圧縮パルスの
加算結果である合成圧縮パルスは、次式に等しい。
caa(t)+cbb(t)+ccc(t)+cdd(t) =[ρaa(0)+ρbb(0)+ρcc(0) +ρdd(0)]A(t−t0) +Σ[ρaa(i)+ρbb(i)+ρcc(i) +ρdd(i)][A(t−t0−iδ) +A(t−t0−iδ)] (和はiについて1〜(n−1)までとる。) …式 第14図は、式から計算により求めた第1の圧縮パルス
caa(t)を示す。第14図では、第1の送信信号とし
て、第3図に示したものを用い、第1の参照信号とし
て、第10図に示したものを用いた。また、h(t)はデ
ルタ関数とした。また、第1の系列の自己相関関数にお
いて、ρaa(0)=4、ρaa(1)=1、ρaa(2)=
0、ρaa(3)=−1であることを用いた。さらに、δ
s=δu=δ/2とした。
第15図,第16図及び第17図は、それぞれ、同様の計算に
より求めた第2の圧縮パルスcbb(t)、第3の圧縮パ
ルスccc(t)及び第4の圧縮パルスcdd(t)であ
る。第2、第3及び第4の送信信号は、それぞれ、第4
図、第5図及び第6図に示したものを用い、第2、第3
及び第4の参照信号は、それぞれ、第11図、第12図及び
第13図に示したものを用いた。また、h(t)はデルタ
関数とした。また、第2、第3及び第4の系列の自己相
関関数において、 ρbb(0)=4、ρbb(1)=−1、ρbb(2)=0、
ρbb(3)=−1、 ρcc(0)=4、ρcc(1)=1、ρcc(2)=0、ρ
cc(3)=−1、 ρdd(0)=4、ρdd(1)=−1、ρdd(2)=0、
ρdd(3)=1、 であることを用いた。さらに、δs=δu=δ/2とし
た。
第14図、第15図、第16図及び第17図において、第1、第
2、第3及び第4の圧縮パルスとも、信号のエネルギー
の大半は、t=t0近傍に集中しているが、t≠t0におけ
る振幅(レンジサイドローブレベル)が高い。
しかし、第18図に示すように、第1、第2、第3及び第
4の圧縮パルスを加算して得られた合成圧縮パルスで
は、主ローブは強め合い、レンジサイドローブは相殺さ
れて、主ローブのみ残り、レンジサイドローブレベルは
零になっている。
なお、このレンジサイドローブの相殺効果は、δs=δ
u=δ/2の関係が成り立たない場合でも生じる。つま
り、この相殺効果は、δs及びδuがともに零以上の任
意の値の場合についても生じる。無論、δs≠δuであ
ってもよい。なお、δsあるいはδuが零の場合は、gs
(t)あるいはgu(t)がデルタ関数の場合に相当す
る。
すなわち、この発明の第1実施例においては、t=t0
傍にのみ大きな振幅(主ローブ)を有し、t≠t0におけ
る振幅(レンジサイドローブレベル)が零の合成圧縮パ
ルスが得られる作用、効果があることがわかった。
なお、上記第1実施例で用いた第1及び第2の系列にお
いて、 ρaa(0)=ρbb(0)、 ρaa(i)=ρbb(i)、 (i=±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。つまり、第1及び第2の系列は相補系列で
ある。言い換えれば、第1及び第2の系列は相補関係に
ある。また、第3及び第4の系列においても、 ρcc(0)=ρdd(0)、 ρcc(i)=−ρdd(i)、 (i=±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。つまり、第3及び第4の系列は相補関係に
ある。さらに、第1及び第3の系列において、 ρaa(i)=ρcc(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。つまり、第1の系列の自己相関関数と第3
の系列の自己相関関数は等しい。これは、前記したよう
に、第3の系列{c}が、第1の系列{a}において、
符号+と符号−を反転させて得られる系列に等しいこと
による。また、第2及び第4の系列において、 ρbb(i)=ρdd(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。つまり、第2の系列の自己相関関数と第4
の系列の自己相関関数は等しい。これは、前記したよう
に、第4の系列{d}が、第2の系列{b}に等しいこ
とによる。
すなわち、次に示す関係、 ρaa(0)+ρbb(0)、ρcc(0)+ρdd(0) =4ρaa(0)、 ρaa(i)+ρbb(i)、ρcc(i)+ρdd(i)=
0、 (i=±1、±2、…、±(n−1)) …式 が成り立つ。
式に示した関係が成り立つ場合には、式の右辺にお
けるA(t)がいかなる波形であっても、すなわち、A
(t)を規定する式の右辺における第1の単位信号g
s(t)、第2の単位信号gu(t)及びインパルス応答
h(t)が、いかなる波形であっても、式の右辺にお
いて、第2項は相殺されて零となるので、 caa(t)+cbb(t)+ccc(t)+cdd(t) =4ρaa(0)A(t−t0) …式 が成立する。したがって、レンジサイドローブレベルが
零の合成圧縮パルスが得られる作用、効果がある。
つづいて、この発明の第1実施例の別の効果について第
19図から第24図までを参照しながら説明する。
第19図はこの発明の第1実施例における4つの残響エコ
ーを示す波形図、第20図、第21図、第22図及び第23図は
この発明の第1実施例における第1、第2、第3及び第
4の残響エコーの相関演算結果を示す波形図、第24図は
この発明の第1実施例における残響エコーの相関演算合
成結果を示す波形図である。
第19図において、残響エコーが送信信号を発生した送信
繰り返し周期の次の送信繰り返し周期において受信され
た場合を示している。この場合が、残響エコーのレベル
が最も高く、一般に、最も問題となる。何故なら、送信
信号の発生時から、より遅れて受信される残響エコーほ
ど、より長い伝搬経路を通って後受信されるので、レベ
ルが小さくなるからである。以下、第19図に示すよう
に、第i番目の送信信号により生じる残響エコーを、第
i番目の残響エコーと呼ぶことにする。なお、送信信号
は、一部受信回路側に漏れ込むので、第19図では、この
様子も合わせて示してある。
第19図において、第1の残響エコーは、第2の送信信号
を発生した送信繰り返し周期において受信されている。
したがって、第1の残響エコーは、第2の参照信号との
間で相関演算が行われることになる。同様に、第2、第
3及び第4の残響エコーは、それぞれ、第3、第4及び
第1の参照信号との間で相関演算が行われることにな
る。そして、これら4つの相関演算結果が加算されて表
示されることになる。
第i番目の残響エコーは、第i番目の送信信号に係わっ
て生じたエコーであるから、第i番目の系列に関連した
エコーである。一方、第j番目の参照信号は、第j番目
の系列に関連した信号である。したがって、第1の系列
{a}と第2の系列{b}の相互相関関数ρab、第2の
系列{b}と第3の系列{c}の相互相関関数ρbc、第
3の系列{c}と第4の系列{d}の相互相関関数ρc
d、及び第4の系列{d}と第1の系列{a}の相互相
関関数ρdaの和である合成相互相関関数 ρab+ρbc+ρcd+ρda のレベルが、第1から第4の系列の自己相関関数の和で
ある合成自己相関関数 ρaa+ρbb+ρcc+ρdd のピーク値に比べ小さければ小さいほど、残響エコーが
検査結果に及ぼす影響は小さいものと考えられる。
そこで、これを確認するため、次に示す検討を行った。
第1の残響エコーをza(t)で表すと、za(t)は、
次の式で表せる。
za(t)=C1× ∫sa(t1)hz[t−tz−Tr)−t1]dt1 [積分範囲:−∞〜∞] ……式 ここで、C1は定数を表す。また、hz(t)は、送信信号
発生器(1A)の出力端から、超音波探触子(6)、試験
体Sの反射体、再び超音波探触子(6)を経由して、相
関器(7A)の入力端に至るまでの残響エコーの伝搬経路
における周波数応答特性の逆フーリエ変換を表わす。ま
た、tzは第1の送信信号を発生してから第1の残響エコ
ーが受信されるまでの時間である。Trは送信繰り返し周
期である。なお、式において、時間原点は、第2の送
信信号が発生される時間に取り直ししている。
C1=1としても説明上、一般性を失わないので、以下C1
=1として説明する。
第1の残響エコーza(t)は、第2の参照信号ub
(t)との間で相関演算が実行される。この相関演算結
果を、第1の残響エコーの相関演算結果と呼ぶことに
し、Cab(t)で表すと、Cab(t)は次の式で表わされ
る。
Cab(t)=∫ub(t2−t)za(t2)dt2 [積分範囲:−∞〜∞] …式 第1の残響エコーの相関演算結果cab(t)は、式、
第2の参照信号を表すように式を書き換えた式、式
及び式から、 Az(t)=∫∫gs(t1)gu(t2) hz(t+t2−t1)dt1dt2 [積分範囲:−∞〜∞] …式 とおけば、次式に等しい。
Cab(t)=Σρab(i)Az[t−(tz−Tr)+i
δ)] (和はiについて−(n−1)〜(n−1)までと
る。) …式 同様に、第2、第3及び第4の残響エコーを、それぞ
れ、zb(t)、zc(t)及びzd(t)で表すと、第
2の残響エコーzb(t)、第3の残響エコーzc(t)
及び第4の残響エコーzd(t)は、それぞれ、式の
右辺において、第1の送信信号sa(t)を、第2の送
信信号sb(t)、第3の送信信号sc(t)及び第4の
送信信号sd(t)で置き換えた式で表される。なお、
時間原点は、それぞれ、第3の送信信号、第4の送信信
号及び第1の送信信号が発生される時間に取り直しして
いる。
第2の残響エコーzb(t)と第3の参照信号uc(t)
との間の相関演算結果を第2の残響エコーの相関演算結
果と呼びcbc(t)で表すと、cbc(t)は、式の右
辺において、za(t)をzb(t)で置き換えるととも
に、ub(t)をuc(t)で置き換えた式で表される。
第3の残響エコーzc(t)と第4の参照信号ud(t)
との間の相関演算結果を第3の残響エコーの相関演算結
果と呼びccd(t)で表すと、ccd(t)は、式の右
辺において、za(t)をzc(t)で置き換えるととも
に、ub(t)をud(t)で置き換えた式で表される。
第4の残響エコーzd(t)と第1の参照信号ua(t)
との間の相関演算結果を第4の残響エコーの相関演算結
果と呼びcda(t)で表すと、cda(t)は、式の右
辺において、za(t)をzd(t)で置き換えるととも
に、ub(t)をua(t)で置き換えた式で表される。
さらに、第2、第3及び第4の残響エコーの相関演算結
果は、式の右辺において、ρab(i)を、それぞれ、
ρbc(i)、ρcd(i)及びρda(i)で置き換えた式
で表される。
したがって、第1から第4の残響エコーの相関演算合成
結果は、次の式に等しい。
cab(t)+cbc(t)+ccd(t)+cda(t) Σ[ρab(i)+ρbc(i)+ρcd(i)+ρda
(i)] Az[t−(tz−Tr)+iδ)] (和はiについて−(n−1)〜(n−1)までと
る。) …式 第20図は、式から計算により求めた第1の残響エコー
の相関演算結果cab(t)を示す。第20図では、第1の
送信信号として、第3図に示したものを用い、第2の参
照信号として、第11図に示したものを用いた。また、hz
(t)はデルタ関数とした。また、第1の系列と第2の
系列の相互相関関数において、 ρab(−3)=1、ρab(−2)=0、 ρab(−1)=1、ρab(0)=0、 ρab(1)=3、ρab(2)=0、 ρab(3)=−1 であることを用いた。また、δs=δu=δ/2とした。
第21図、第22図及び第23図は、それぞれ、同様の計算に
より求めた第2の残響エコーの相関演算結果cbc
(t)、第3の残響エコーの相関演算結果ccd(t)、
及び第4の残響エコーの相関演算結果cda(t)であ
る。第2、第3及び第4の送信信号は、それぞれ、第4
図、第5図及び第6図に示したものを用い、第3、第4
及び第1の参照信号は、それぞれ、第12図、第13図及び
第10図に示したものを用いた。また、hz(t)はデルタ
関数とした。また、第2の系列と第3の系列の相互相関
関数、第3の系列と第4の系列の相互相関関数、及び第
4の系列と第1の系列の相互相関関数において、 ρbc(−3)=1、ρbc(−2)=0、 ρbc(−1)=−3、ρbc(0)=0、 ρbc(1)=−1、ρbc(2)=0、 ρbc(3)=−1、 ρcd(−3)=−1、ρcd(−2)=0、 ρcd(−1)=−1、ρcd(0)=0、 ρcd(1)=−3、ρcd(2)=0、 ρcd(3)=1、 ρda(−3)=−1、ρda(−2)=0、 ρda(−1)=3、ρda(0)=0、 ρda(1)=1、ρda(2)=0、 ρda(3)=1 であることを用いた。また、δs=δu=δ/2とした。
第20図、第21図、第22図及び第23図において、第1、第
2、第3及び第4の残響エコーの相関演算結果では、信
号の振幅は零にはなっていない。すなわち、残響エコー
の影響が残っている。しかし、最終結果として、表示器
(8)に表示されるのは、これら4つの残響エコーの相
関演算結果の加算結果である残響エコーの相関演算合成
結果である。
第24図において、残響エコーの相関演算合成結果では、
第1、第2、第3及び第4の残響エコーの相関演算結果
において残っていた振幅は相殺されて、信号振幅が完全
に零になっている。
なお、この相殺結果は、δs=δu=δ/2の関係が成り
立たない場合でも生じる。つまり、この相殺結果は、δ
s及びδuがともに零以上の任意の値の場合についても
生じる。無論、δs≠δuであってもよい。
すなわち、この発明の第1実施例においては、残響エコ
ーは、検査結果に全く影響を及ぼさない作用、効果があ
ることがわかった。
なお、上記第1実施例で用いた第1から第4の系列にお
いて、 ρbc(i)=−ρba(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。これは、前記したように、第3の系列
{c}が、第1の系列{a}において、符号+と符号−
を反転させて得られる系列に等しいことによる。また、 ρcd(i)=−ρab(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。これは、前記したように、第3の系列
{c}が、第1の系列{a}において、符号+と符号−
を反転させて得られる系列に等しいこと、及び、第4の
系列{d}が、第2の系列{b}に等しいことによる。
また、 ρba(i)=ρba(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。これは、前記したように、第4の系列
{d}が、第2の系列{b}に等しいことによる。
したがって、iの値に依存せず常に、次に示す関係、 ρad(i)+ρbc(i)+ρcd(i)+ρda(i)=0
…式 が成り立つ。式に示す関係が成り立つ場合には、式
の右辺におけるAz(t)がいかなる波形であっても、す
なわち、Az(t)を規定する式の右辺における第1の
単位信号gs(t)、第2の単位信号gu(t)及びイン
パルス応答hz(t)が、いかなる波形であっても、 cad(t)+cbc(t)+ccd(t)+cda(t)=0
…式 が成り立つ。したがって、残響エコーの影響は完全に相
殺されて、残響エコーは、検査結果に全く影響を及ぼさ
ない作用、効果がある。
次に、この発明の第1実施例の他の効果について第25図
を参照しながら説明する。
第25図は、この発明の第1実施例における4つの残響エ
コーを示す波形図である。
第25図において、第i番目の残響エコーは、第i番目の
送信信号を発生した送信繰り返し周期から3周期後の送
信繰り返し周期において受信されている。試験体Sの形
状によっては、このような場合が生じることがある。こ
の場合、第1、第2、第3及び第4の残響エコーは、そ
れぞれ、第4、第1、第2及び第3の参照信号との間で
相関演算が行われることなる。そして、これら4つの相
関演算結果が加算されて表示されることになる。
そこで、第1の系列{a}と第4の系列{d}の相互相
関関数ρad、第2の系列{b}と第1の系列{a}の相
互相関関数ρba、第3の系列{c}と第2の系列{b}
の相互相関関数ρcb、及び第4の系列{d}と第3の系
列{c}の相互相関関数ρdcを計算してみると、これら
4つの相互相関関数の間には次の関係が成り立つ。
ρad(i)=ρab(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρcb(i)=−ρab(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρdc(i)=ρba(i) (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) したがって、iの値に依存せず常に、次に示す関係、 ρad(i)+ρba(i)+ρcb(i)+ρdc(i)=0
…式 が成り立つ。したがって、第19図に示した残響エコーに
関して行った上述の検討と同様の検討を、第25図に示す
残響エコーに関して行うと、第25図に示す残響エコーも
その影響は完全に相殺されて、検査結果に全く影響を及
ぼさない作用、効果があることがわかる。
なお、同様の検討により、mを整数として、送信信号を
発生した送信繰り返し周期から、(4m+1)周期後、及
び(4m+3)周期後の送信繰り返し周期において受信さ
れる残響エコーについても、その影響を完全に相殺され
て、検査結果に全く影響を及ぼさない作用、効果がある
ことがわかる。
つづいて、この発明の第2実施例を説明する。
第2実施例では、第1から第4の系列として、第1実施
例のものを次のように変えて用いる。すなわち、第1の
系列{a}及び第2の系列{b}として、上記第1実施
例と同じものを用いる。しかし、第3の系列{c}とし
て、第1の系列{a}と同じものを用い、第4の系列
{d}として、第2の系列において、符号+と符号−を
反転させて得られる系列を用いる。すなわち、 {a}={a1、a2、a3、a4} ={+、+、+、−} {b}={b1、b2、b3、b4} ={+、+、−、+} {c}={c1、c2、c3、c4} ={a} ={+、+、+、−} {d}={d1、d2、d3、d4} ={−、−、+、−} 第1から第4の送信信号には、それぞれ、第1の単位信
号と前記第1から第4の系列とから、第1実施例の場合
と同様な手順にしたがって発生させた信号を用いる。ま
た、第1から第4の参照信号には、それぞれ、第2の単
位信号と前記第1から第4の系列とから、第1実施例の
場合と同様の手順にしたがって発生させた信号を用い
る。
次に、上述したこの発明の第2実施例の動作原理及び効
果を説明する。
この発明の第2実施例において、第1の系列{a}及び
第2の系列{b}が相補関係にあること、かつ、第3の
系列{c}が第1の系列{a}と等しいこと、かつ、第
4の系列{d}が、第2の系列において、符号+と符号
−を反転させて得られる系列に等しいことから、第1か
ら第4の系列において、 ρaa(0)=ρbb(0)=ρcc(0) =ρdd(0)、 ρaa(i)=−ρbb(i)=ρcc(i) =−ρdd(i)、 (i=±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。したがって、式に示した関係が成り立つ
ので、式に示した関係が成立する。したがって、レン
ジサイドローブレベルが零の合成圧縮パルスが得られる
作用、効果がある。
一方、次の関係、 ρbc(i)=ρba(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρcd(i)=−ρab(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρda(i)=−ρba(i) (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。したがって、iの値に依存せず常に、式
に示した関係が成り立つので、式に示した関係が成立
する。さらに、次の関係、 ρad(i)=−ρab(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρcb(i)=ρab(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρdc(i)=−ρba(i) (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。したがって、iの値に依存せず常に、式
で示した関係が成り立つ。したがって、送信信号を発生
した送信繰り返し周期の1周期後及び3周期後の送信繰
り返し周期で受信される残響エコーの影響は完全に相殺
されて、残響エコーは、検査結果に全く影響を及ぼさな
い作用、効果がある。
以上のように、この発明の第2実施例においても、上記
第1実施例と同様の作用、効果がある。
つづいて、この発明の第3実施例を第26図を参照しなが
ら説明する。
第26図は、この発明の第3実施例における4つの残響エ
コーを示す波形図である。
第26図において、第i番目の残響エコーは、第i番目の
送信信号を発生した送信繰り返し周期から2周期後の送
信繰り返し周期において受信されている。試験体Sの形
状によっては、このようなケースも生じることがある。
この発明の第3実施例においては、第1の系列{a}は
上記第1実施例と同じものを用い、第2の系列{b}と
して、上記第1の系列{a}と等しいものを用い、第3
の系列{c}として、上記第1実施例における第2の系
列{b}と等しいものを用い、第4の系列{d}とし
て、上記第3の系列{c}において、符号+と符号−を
反転させて得られる系列を用いる。すなわち、 {a}={a1、a2、a3、a4} ={+、+、+、−} {b}={b1、b2、b3、b4} ={a} ={+、+、+、−} {c}={c1、c2、c3、c4} ={+、+、−、+} {d}={d1、d2、d3、d4} ={−、−、+、−} 第1から第4の送信信号には、それぞれ、第1の単位信
号と前記第1から第4の系列とから、第1実施例の場合
と同様な手順にしたがって発生させた信号を用いる。ま
た、第1から第4の参照信号には、それぞれ、第2の単
位信号と前記第1から第4の系列とから、第1実施例の
場合と同様の手順にしたがって発生させた信号を用い
る。
次に、上述したこの発明の第3実施例の動作原理及び効
果を説明する。
この発明の第3実施例において、第2の系列{b}が第
1の系列{a}と等しいこと、かつ、第3の系列{c}
と第1の系列{a}が相補関係にあること、かつ、第4
の系列{d}が、第3の系列{c}において、符号+と
符号−を反転させて得られる系列に等しいことから、次
の関係、 ρaa(0)=ρbb(0)=ρcc(0) =ρdd(0)、 ρaa(i)=ρbb(i)=−ρcc(i) =−ρdd(i)、 (i=±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。したがって、式に示した関係が成り立つ
ので、式に示した関係が成立する。したがって、レン
ジサイドローブレベルが零の合成圧縮パルスが得られる
作用、効果がある。
一方、次の関係、 ρac(i)=ρab(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρbd(i)=−ρab(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρca(i)=ρba(i) (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρdb(i)=−ρba(i) (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。したがって、iの値に依存せず常に、次に
示す関係、 ρac(i)+ρbd(i)+ρca(i)+ρdb(i)=0
…式 が成り立つ。第3実施例においては、第1の残響エコー
は第3の参照信号との間で、第2の残響エコーは第4の
参照信号との間で、第3の残響エコーは第1の参照信号
との間で、第4の残響エコーは第2の参照信号との間
で、それぞれ、相関演算が実行され、これら4つの相関
演算結果が加算されて表示されることになる。したがっ
て、第1から第4の系列の間の相互相関関数に関し、式
で示した関係が成り立てば、第1実施例の場合と同様
の検討を行うことにより、送信信号を発生した送信繰り
返し周期から2周期後の送信繰り返し周期において受信
される残響エコーの影響は完全に相殺されることがわか
る。すなわち、第3実施例においても、残響エコーは、
検査結果に全く影響を及ぼさない作用、効果がある。
以上のように、この発明の第3実施例においても、上記
第1実施例と同様の作用、効果がある。
なお、同様の検討により、mを整数として、送信信号を
発生した送信繰り返し周期から、(4m+2)周期後の送
信繰り返し周期において受信される残響エコーについて
も、その影響は完全に相殺されて、検査結果に全く影響
を及ぼさない作用、効果があることがわかる。
つづいて、この発明の第4実施例を説明する。
この発明の第4実施例においては、第1の系列{a}及
び第2の系列{b}は、上記第3実施例と同じものを用
い、第3の系列{c}として、上記第3実施例における
第4の系列{d}と等しいものを用い、第4の系列
{d}として、上記第3実施例における第3の系列
{c}と同じものを用いる。すなわち、 {a}={a1、a2、a3、a4} ={+、+、+、−} {b}={b1、b2、b3、b4} ={a} ={+、+、+、−} {c}={c1、c2、c3、c4} ={−、−、+、−} {d}={d1、d2、d3、d4} ={+、+、−、+} 第1から第4の送信信号には、それぞれ、第1の単位信
号と前記第1から第4の系列とから、第1実施例の場合
と同様な手順にしたがって発生させた信号を用いる。ま
た、第1から第4の参照信号には、それぞれ、第2の単
位信号と前記第1から第4の系列とから、第1実施例の
場合と同様の手順にしたがって発生させた信号を用い
る。
次に、上述したこの発明の第4実施例の動作原理及び効
果を説明する。
この発明の第4実施例において、第2の系列{b}が第
1の系列{a}と等しいこと、かつ、第4の系列{d}
と第1の系列{a}が相補関係にあること、かつ、第3
の系列{c}が、第4の系列{d}において、符号+と
符号−を反転させて得られる系列に等しいことから、次
の関係、 ρaa(0)=ρbb(0)=ρcc(0) =ρdd(0)、 ρaa(i)=ρbb(i)=−ρcc(i) =−ρdd(i)、 (i=±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。したがって、式に示した関係が成り立つ
ので、式に示した関係が成立する。したがって、レン
ジサイドローブレベルが零の合成圧縮パルスが得られる
作用、効果がある。
一方、次の関係、 ρac(i)=−ρab(i)、 (i=0、±1、±2、…、(n−1)) ρbd(i)=ρad(i)、 (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρca(i)=−ρba(i) (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) ρdb(i)=ρba(i) (i=0、±1、±2、…、±(n−1)) が成り立つ。したがって、iの値に依存せず常に、式
で示した関係が成り立つ。したがって、第4実施例にお
いても、第3実施例の場合と同様に、送信信号を発生し
た送信繰り返し周期から(4m+2)周期後の送信繰り返
し周期において受信される残響エコーの影響は完全に相
殺されることがわかる。すなわち、第4実施例において
も、残響エコーは、検査結果に全く残響を及ぼさない作
用、効果がある。
以上のように、この発明の第4実施例においても、上記
第3実施例と同様の作用、効果がある。
以上説明した各実施例においては、相補系列を基本とし
た4つの系列を用いた場合について説明したが、この発
明はこれに限らず、特願平1−203909号に示されている
複数補系列を基本とした4つあるいは4つ以外の個数の
系列を用いてもよい。以下、複数補系列を用いた実施例
を説明する。
この発明の第5実施例を説明する。
第5実施例においては、第1から第4の系列として、上
述した第1実施例におけるものに代えて、長さnが8で
ある次のものを用いる。
{a}={+、−、+、+、+、+、−、+} {b}={+、+、+、−、−、−、+、−} {c}={+、+、−、+、+、−、+、+} {d}={+、−、+、+、+、−、−、−} これら4つの系列から、どのような組合せで2つの系列
を選び出しても、それらは相補系列にはならない。
しかし、これら4つの系列は、複数補系列である。した
がって、式に示した関係が成立する。したがって、式
に示した関係が成立する。
一方、上記第1から第4の系列においては、式に示し
た関係が成立することが計算により確かめられる。した
がって、式に示した関係が成立する。すなわち、第5
実施例においても、第1実施例の場合と同様の作用、効
果がある。
なお、4つの系列からなる補数補系列として、第5実施
例と同様の作用、効果を奏するものには、例えば、 {a}={+、−、−、−、+、+、+、−} {b}={+、+、+、−、+、+、−、+} {c}={+、+、+、−、+、−、−、−} {d}={+、−、+、+、−、+、+、+} や、 {a}={−、+、−} {b}={+、−、−} {c}={+、+、−} {d}={−、−、−} などがある。また、これら以外にも多数存在する。
つづいて、この発明の第6実施例を説明する。
Mを整数とする。長さ2Mの複数補系列を、{a1}、
{a2}、{a3}、{a4}、…、{a2M}で表す。以下、
簡単のため、ある系列{a}において、符号+と符号−
を反転して得られる系列を{−a}で表すことにする。
第6実施例では、送信信号発生器(1A)により、次の第
1から第4Mの系列を発生する。
第1の系列{a1}、第2の系列{a2}、第3の系列
{a3}、第4の系列{a4}、…、第(2M−1)の系列
{a2M-1}、第2Mの系列{a2M}、第(2M+1)の系列
{−a1}、第(2M+2)の系列{a2}、第(2M+3)の
系列{−a3}、第(2M+4)の系列{a4}、…、第(4M
−1)の系列{−a2M-1}、第4Mの系列{a2M}。
送信信号発生器(1A)では、上述した第1実施例の場合
と同様の手順にしたがって、前記第1から第4Mの系列に
それぞれ基づいて生成した第1から第4Mの送信信号を、
ある一定の送信繰り返し周期で順次繰り返して発生し、
超音波探触子(6)に伝達する。超音波探触子(6)
は、前記第1から第4Mの送信信号により順次繰り返して
駆動されて、超音波を試験体S内へ送信し、そして、前
記第1から第4Mの送信信号にそれぞれ対応する第1から
第4Mのエコーを受信する。受信された前記第1から第4M
のエコーは相関器(7A)に伝達される。
一方、参照信号発生器(11)は、上述した第1実施例の
場合と同様の手順にしたがって、前記第1から第4Mの系
列にそれぞれ基づいて生成した第1から第4Mの参照信号
を発生し、相関器(7A)に伝達する。相関器(7A)で
は、第i番目のエコーと第i番目の参照信号との間の相
関演算を行って第i番目の圧縮パルスを求め、これを加
算器(10)に伝達する。加算器(10)では、第1から第
4Mの圧縮パルスを加算して合成圧縮パルスを求め、表示
器(8)に伝達する。
次に、上述したこの発明の第6実施例の作用、効果を説
明する。
第1から第2Mの系列は複数補系列であり、かつ、第(2M
+1)から第4Mの系列も複数補系列となることが簡単な
計算により確かめられるから、第1から第4Mの系列の自
己相関関数を加算すると、サイドローブが相殺されて零
となる。
一方、前記第1から第4Mの系列において、第i番目の系
列と第(i+1)番目の系列の相互相関関数を計算し、
これらをiについて1から4Mまで加算した合成相互相関
関数を計算してみると、合成相互相関関数は完全に零と
なることが確かめられる。
ただし、ここで、i及びjを整数として、系列の番号を
表す数値に関する加算(i+j)は、4Mを法として行っ
ている。例えば、4M+5は、4Mを法とすると5に等し
い。系列の番号に関してこの数え方は、前記第1から第
4Mの系列を順次繰り返して配列し、このようにして生成
した無限長の周期系列において、第i番目からjだけ後
に現れる系列の番号を数えていることに等しい。以下、
系列の番号を表す数値に関する加算は同様に4Mを法とし
て行うものとする。
同様に、pを奇数として、第i番目の系列と第(i+
p)番目の系列の相互相関演算を計算し、これらをiに
ついて1から4Mまで加算した合成相互相関関数も完全に
零となる。
したがって、第6実施例においても、レンジサイドロー
ブレベルが零の合成圧縮パルスが得られる作用、効果が
あるとともに、mを整数として、送信信号を発生した送
信繰り返し周期から(4Mm+p)周期後の送信繰り返し
周期において受信される残響エコーが検査結果に及ぼす
影響は完全に排除される作用、効果がある。
なお、これらの作用、効果は、第1実施例と第2実施例
との間の関係の場合と同様に、第1から第4Mの系列とし
て、 第1の系列{a1}、第2の系列{a2}、第3の系列
{a3}、第4の系列{a4}、…、第(2M−1)の系列
{a2M-1}、第2Mの系列{a2M}、第(2M+1)の系列
{a1}、第(2M+2)の系列{−a2}、第(2M+3)の
系列{a3}、第(2M+4)の系列{−a4}、…、第(4M
−1)の系列{a2M-1}、第4Mの系列{−a2M}を用いて
も同様である。
つづいて、この発明の第7実施例を説明する。
第7実施例では、第6実施例における第1から第4Mの系
列の代わりに、 第1の系列{a1}、第2の系列{a1}、第3の系列
{a2}、第4の系列{−a2}、第5の系列{a3}、第6
の系列{a3}、第7の系列{a4}、第8の系列{−
a4}、…、第(4M−3)の系列{a2M-1}、第(4M−
2)の系列{a2M-1}、第(4M−1)の系列{a2M}、第
4Mの系列{−a2M}を発生し、これを用いる。
次に、上述したこの発明の第7実施例の作用、効果を説
明する。
第1から第4Mの系列の自己相関関数を加算すると、第
1、第3、…、第(4M−1)の系列が複数補系列であ
り、かつ、第2、第4、…、第4Mの系列も複数補系列と
なることが簡単な計算により確かめられるので、サイド
ローブは相殺されて零となる。
一方、qを2、6、10、…として、第i番目の系列と第
(i+q)番目の系列の相互相関関数を計算し、これら
をiについて1から4Mまで加算して合成相互相関関数も
完全に零となる。
したがって、第7実施例においては、レンジサイドロー
ブレベルが零の合成圧縮パルスが得られる作用、効果が
あるとともに、送信信号を発生した送信繰り返し周期か
ら(4Mm+q)周期後の送信繰り返し周期において受信
される残響エコーが検査結果に及ぼす影響を完全に排除
できる作用、効果がある。
なお、これらの作用、効果は、第1から第4Mの系列とし
て、次のものを用いても同様に生じる。
(i) 第1の系列{a1}、第2の系列{−a1}、第3
の系列{a2}、第4の系列{a2}、第5の系列{a3}、
第6の系列{−a3}、第7の系列{a4}、第8の系列
{a4}、…、第(4M−3)の系列{a2M-1}、第(4M−
2)の系列{−a2M-1}、第(4M−1)の系列{a2M}、
第4Mの系列{a2M}。
(ii) Mが偶数の場合には、第1の系列{a1}、第2
の系列{a2}、第3の系列{a3}、第4の系列{a4}、
第5の系列{a5}、…、第(2M−1)の系列
{a2M-1}、第2Mの系列{a2M}、第(2M+1)の系列
{−a1}、第(2M+2)の系列{−a2}、第(2M+3)
の系列{a3}、第(2M+4)の系列{a4}、第(2M+
5)の系列{−a5}、第(2M+6)の系列{−a6}、
…、第(4M−3)の系列{a2M-3}、第(4M−2)の系
列{−a2M-2}、第(4M−1)の系列{a2M-1}、第4Mの
系列{a2M}。
(iii) Mが偶数の場合には、第1の系列{a1}、第
2の系列{a2}、第3の系列{a3}、第4の系列
{a4}、第5の系列{a5}、…、第(2M−1)の系列
{a2M-1}、第2Mの系列{a2M}、第(2M+1)の系列
{a1}、第(2M+2)の系列{a2}、第(2M+3)の系
列{−a3}、第(2M+4)の系列{−a4}、第(2M+
5)の系列{a5}、第(2M+6)の系列{a6}、…、第
(4M−3)の系列{a2M-3}、第(4M−2)の系列{a
2M-2}、第(4M−1)の系列{−a2M-1}、第4Mの系列
{−a2M}。
(iv) Mが偶数の場合には、第1の系列{a1}、第2
の系列{a2}、第3の系列{a3}、第4の系列{a4}、
第5の系列{a5}、…、第(2M−1)の系列
{a2M-1}、第2Mの系列{a2M}、第(2M+1)の系列
{a1}、第(2M+2)の系列{−a2}、第(2M+3)の
系列{−a3}、第(2M+4)の系列{a4}、第(2M+
5)の系列{a5}、第(2M+6)の系列{−a6}、…、
第(4M−3)の系列{a2M-3}、第(4M−2)の系列
{−a2M-2}、第(4M−1)の系列{−a2M-1}、第4Mの
系列{a2M}。
(v) Mが偶数の場合には、第1の系列{a1}、第2
の系列{a2}、第3の系列{a3}、第4の系列{a4}、
第5の系列{a5}、…、第(2M−1)の系列
{a2M-1}、第2Mの系列{a2M}、第(2M+1)の系列
{−a1}、第(2M+2)の系列{a2}、第(2M+3)の
系列{a3}、第(2M+4)の系列{−a4}、第(2M+
5)の系列{−a5}、第(2M+6)の系列{a6}、…、
第(4M−3)の系列{−a2M-3}、第(4M−2)の系列
{a2M-2}、第(4M−1)の系列{a2M-1}、第4Mの系列
{−a2M}。
つづいて、この発明の第8実施例を説明する。
第8実施例では、第1から第4Mの系列として、Mを偶数
とし、 第1の系列{a1}、第2の系列{a1}、第3の系列
{a2}、第4の系列{a2}、第5の系列{−a3}、第6
の系列{a3}、第7の系列{−a4}、第8の系列
{a4}、第9の系列{a5}、第10の系列{a5}、第11の
系列{a6}、第12の系列{a6}、…、第(4M−3)の系
列{−a2M-1}、第(4M−2)の系列{a2M-1}、第(4M
−1)の系列{−a2M}、第4Mの系列{a2M}を用いる。
次に、この発明の第8実施例の作用、効果を説明する。
第8実施例でも、第1から第4Mの系列の自己相関関数を
加算すると、サイドローブは相殺されて零となる。
一方、rを4、12、20、…として、第i番目の系列と第
(i+r)番目の系列の相互相関関係を計算し、これら
をiについて1から4Mまで加算した合成相互相関関数が
完全に零となる。
したがって、第8実施例ではレンジサイドローブレベル
が零の合成圧縮パルスが得られる作用、効果があるとと
もに、送信信号を発生した送信繰り返し周期から(4Mm
+r)周期後の送信繰り返し周期において受信される残
響エコーが検査結果に及ぼす影響を完全に排除できる作
用、効果がある。
以上、複数補系列を基本として用いた4つの実施例を説
明したが、補数補系列を用いると、送信信号を発生した
送信繰り返し周期から複数周期後の送信繰り返し周期に
おいて受信される残響エコーが検査結果に及ぼす影響を
完全に排除できるように、2M個の複数補系列から第1か
ら第4Mの系列を作り出す方法は、以上の各実施例のほか
にも多数存在する。
つづいて、この発明の第9実施例を説明するこの第9実
施例では、送信信号発生器(1A)により、長さが2の次
の2つの系列を発生する。すなわち、第1の系列{a}
として{+、−}、第2の系列{b}として{−、−}
を発生する。送信信号発生器(1A)では、上述した第1
実施例の場合と同様の手順にしたがって、前記第1およ
び第2の系列にそれぞれ基づいて生成した第1および第
2の送信信号を、ある一定の送信繰り返し周期で順次繰
り返して発生し、超音波探触子(6)に伝達する。超音
波探触子(6)は、前記第1および第2の送信信号によ
り順次繰り返して駆動されて、超音波を試験体S内へ送
信し、そして、前記第1および第2の送信信号にそれぞ
れ対応する第1および第2のエコーを受信する。受信さ
れた前記第1および第2のエコーは相関器(7A)に伝達
される。一方、参照信号発生器(11)は、上述した第1
実施例の場合と同様の手順にしたがって、前記第1およ
び第2の系列にそれぞれ基づいて生成した第1および第
2の参照信号を発生し、相関器(7A)に伝達する。相関
器(7A)では、第i番目のエコーと第i番目の参照信号
との間の相関演算を行って第i番目の圧縮パルスを求
め、加算器(10)では、第1と第2の圧縮パルスを加算
して合成圧縮パルスを求め、表示器(8)に伝達する。
次に、上述したこの発明の第9実施例の作用、効果を説
明する。第1と第2の系列は相補系列である。したがっ
て、第1と第2の系列の自己相関関数を加算するとサイ
ドローブが相殺されて零となる。一方、第1の系列と第
2の系列の相互相関関数と第2の系列と第1の系列の相
互相関関数を加算した合成相互相関関数を計算してみる
と、合成相互相関関数は完全に零になる。したがって、
第9実施例においても、レンジサイドローブが零の合成
圧縮パルスが得られる作用、効果があるとともに、残響
エコーが検査結果に及ぼす影響は完全に排除できる作
用、効果がある。なお、上述した第9実施例では、長さ
が2の相補系列を用いたが、長さが16までの全ての相補
系列について、上述と同様に、合成相互相関関数を計算
してみたところ、合成相互相関関数が零になる相関系列
は、長さが2の場合しかなかった。
ところで、上述した各実施例では、第1及び第2の単位
信号が矩形波形で、インパルス応答がデルタ関数の場合
について説明したが、第1及び第2の単位信号の波形、
及びインパルス応答の波形は、例えば、第27図(a)〜
(e)に示すように、矩形に近い波形や、正弦波形や、
滑らかな曲線部を有する波形や、振幅や零クロス点の間
隔が一定でない振動波形などを含む任意の波形でもよ
い。これらの場合についても、上述した各実施例の場合
と同様の作用、効果がある。
特に、第1の単位信号の波形として、位相を符号化した
波形を有する送信信号の場合のように、正弦波形や、こ
れに近い振動波形を用いた場合には、この発明と関連す
る特願平1−45316号及び特願平1−86383号からわかる
ように、信号の周波数特性を、超音波探触子(6)の送
受総合での周波数特性と、試験体Sの周波数特性と、試
験体S内の反射体の超音波反射に関する周波数特性を合
成した周波数特性に近付けることができるので信号エネ
ルギーの利用効率が高くなり、S/N比が向上する効果
が、上述した作用、効果に相乗することが期待できる。
さらに、参照信号として、エコーの波形と同一、又はこ
れに類似の波形を有する信号を用いれば、この発明と関
連する特願平1−45316号及び特願平1−86383号からわ
かるように、エコーの信号処理は、エコーを整合フィル
タ又は近似的整合フィルタに通す信号処理を行うことに
相当するので、S/N比をより改善できる効果が、上述し
た作用、効果に相乗することが期待できる。なお、参照
信号として、エコーと同一の波形を有する信号を用いる
場合には、第1実施例における第1の参照信号を例にと
って示すと、式及び式から ua(t)=∫sa(t1)h[t−t1]dt1 =Σai∫gs(t1)h[t−t1]dt1 [積分範囲:−∞〜∞、和はiについて1〜nまでと
る。] であるから、この式と式とを比較することにより、第
2の単位信号として、 gu(t)=∫gs(t1)h[t−t1]dt1 [積分範囲:−∞〜∞] を用いていることに相当する。もちろん、この式におけ
るh(t)が、式におけるh(t)と等しい場合が、
エコーを整合フィルタに通す信号処理を行うことに相当
し、近似的に等しい場合が、近似的整合フィルタに通す
信号処理を行うことに相当する。また、gu(t)は、
gs(t)を送信信号として用いて、試験体Sの表面エ
コーや底面エコーの測定から求めてもよいし、検査対象
としている試験体とは別の試験体を用いた測定結果から
求めてもよいし、信号伝搬経路の周波数応答特性に基づ
いて算出しても構わない。
さらに、上述した各実施例では、1つの超音波探触子
(6)を、超音波の送受信に兼用して用いた場合につい
て説明したが、この発明は、送信用の超音波探触子と受
信用の超音波探触子を各々個別に独立に用いる場合に適
用しても構わない。
また、以上説明した各実施例では、合成圧縮パルスのレ
ンジサイドローブが零になり、残響エコーの相関演算合
成結果が零になる場合について説明したが、合成自己相
関関数のサイドローブレベルが小さく、合成相互相関関
数のレベルが小さいN個の系列を用いれば、レンジサイ
ドローブが小さい合成圧縮パルスが得られ、また、残響
エコーの悪影響を低減できる作用、効果が得られる。こ
の発明の各実施例は、上述したように、レンジサイドロ
ーブの小さい合成圧縮パルスが得られ、また、残響エコ
ーの影響を軽減できるという効果を奏する。
残響エコーの影響を排除できることは、送信繰り返し周
期を短くできることに通じる。したがって、検査に要す
る時間を短縮できる効果がある。特に、自動探傷装置の
場合などのように、試験体を超音波探触子に対して相対
的に移動させながら検査する場合には、超音波探触子に
対する試験体の移動速度を大きくできるので、これによ
る検査時間の短縮効果は顕著である。
ところで、上記説明では、超音波探傷装置に利用する場
合について述べたが、その他の例えば超音波診断装置な
どにも利用できることはいうまでもない。
また、上記説明では、超音波探触子を試験体に接触させ
ている場合について述べたが、超音波探触子は接触させ
なくてもよい。この場合、超音波探触子と試験体との間
の超音波の送受信は、水などのカップリング媒体を介し
て行えばよい。さらに、この発明は、超音波アレイ探触
子を構成する個別の素子の超音波の送受信回路系に適用
してもよい。
さらに、上記説明では、波動として、超音波を用いる場
合について述べたが、超音波以外の波動、例えば、電磁
波を用いるシステムの送受信回路系に適用しても構わな
い。
[発明の効果] この発明は、以上説明したとおり、第1から第Nの系列
からなり、各系列の自己相関関数を加算したときは各自
己相関関数のサイドローブが互いに打ち消し合わされ、
相異なる前記系列同士の相互相関関数の予め定められた
組合せを加算したときには互いに打ち消し合わされる系
列群を発生するとともに、前記第1から第Nの系列に基
づいてそれぞれ生成される第1から第Nの送信信号を予
め定められた順序で発生する送信信号発生手段、前記第
1から第Nの送信信号により励振されて波動を対象物に
送信する送信手段、前記第1から第Nの送信信号にそれ
ぞれ対応する第1から第Nのエコー信号を受信する受信
手段、前記第1から第Nの系列に基づいてそれぞれ生成
される第1から第Nの参照信号を用いて、前記第1から
第Nのエコー信号をそれぞれ相関処理する相関手段、及
び前記第1から第Nのエコー信号にそれぞれ対応する前
記相関手段の出力信号を加算する加算手段を備えたの
で、サイドローブレベルが小の合成圧縮パルスを得られ
るとともに、残響エコーが検査結果を及ぼす影響を排除
できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の第1実施例を示すブロック図、第2
図はこの発明の第1実施例の第1の単位信号を示す波形
図、第3図、第4図、第5図及び第6図はこの発明の第
1実施例の第1、第2、第3及び第4の送信信号を示す
波形図、第7図はこの発明の第1実施例の4つの送信信
号を示す波形図、第8図はこの発明の第1実施例の4つ
のエコーを示す波形図、第9図はこの発明の第1実施例
の第2の単位信号を示す波形図、第10図、第11図、第12
図及び第13図はこの発明の第1実施例の第1、第2、第
3及び第4の参照信号を示す波形図、第14図、第15図、
第16図及び第17図はこの発明の第1実施例の第1、第
2、第3及び第4の圧縮パルスを示す波形図、第18図は
この発明の第1実施例の合成圧縮パルスを示す波形図、
第19図はこの発明の第1実施例の4つの残響エコーを示
す波形図、第20図、第21図、第22図及び第23図はこの発
明の第1実施例の第1、第2、第3及び第4の残響エコ
ーの相関演算結果を示す波形図、第24図はこの発明の第
1実施例の残響エコーの相関演算合成結果を示す波形
図、第25図はこの発明の第1実施例の他の4つの残響エ
コーを示す波形図、第26図はこの発明の第3実施例の4
つの残響エコーを示す波形図、第27図(a)〜(e)は
この発明の各実施例の他の第1の単位信号、他の第2の
単位信号又は他のインパルス応答を示す波形図、第28図
は従来の測定装置を示すブロック図、第29図は従来の測
定装置の送信信号を示す波形図、第30図は従来の測定装
置の圧縮パルスを示す波形図、第31図及び第32図は従来
の測定装置の他の圧縮パルスを示す波形図、第33図は従
来の測定装置の合成圧縮パルスを示す波形図、第34図は
従来の測定装置の2つの残響エコーを示す波形図であ
る。 図において、 (1A)……送信信号発生器、 (6)……超音波探触子、 (7A)……相関器、 (8)……表示器、 (10)……加算器、 (11)……参照信号発生器である。 なお、各図中、同一符号は同一、又は相当部分を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1から第Nの系列からなり、各系列の自
    己相関関数を加算したときは各自己相関関数のサイドロ
    ーブが互いに打ち消し合わされ、相異なる前記系列同士
    の相互相関関数の予め定められた組合せを加算したとき
    には互いに打ち消し合わされる系列群を発生するととも
    に、前記第1から第Nの系列に基づいてそれぞれ生成さ
    れる第1から第Nの送信信号を予め定められた順序で発
    生する送信信号発生手段、 前記第1から第Nの送信信号により励振されて波動を対
    象物に送信する送信手段、 前記第1から第Nの送信信号にそれぞれ対応する第1か
    ら第Nのエコー信号を受信する受信手段、 前記第1から第Nの系列に基づいてそれぞれ生成される
    第1から第Nの参照信号を用いて、前記第1から第Nの
    エコー信号をそれぞれ相関処理する相関手段、 及び 前記第1から第Nのエコー信号にそれぞれ対応する前記
    相関手段の出力信号を加算する加算手段 を備えたことを特徴とする測定装置。
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