JPH0784085B2 - 輪転謄写機用版胴 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本発明は、同時に２色以上の色彩の印刷インキを使用し
て、印刷し得る輪転謄写機用版胴に関するものである。

（ロ）従来の技術 従来周知の輪転謄写機用版胴は、例えば特開昭58−6908
6号公報に示されるように、円筒体の内部には連続する
単一の空間が形成されており、印刷に際しては、常時同
一色の印刷インキが供給されるように構成されている。

従って、２色以上の色彩の印刷物を得るには、各色毎に
版胴を着脱交換し、１枚の用紙に対して色彩の数だけ印
刷を繰返す必要があった。

なお、単一の版胴の内容に、複数色の印刷インキを供給
することは不可能ではないが、印刷しているうちに、各
色が混色され、いずれ単色に変化してしまい、同時に２
色以上の色彩の印刷インキで印刷することはできない。

（ハ）発明が解決しようとする問題点 前述のように、従来の輪転謄写機用版胴では、その内部
が連続する単一の空間になっているので、２色以上の印
刷インキを同時に供給することはできず、２色以上の色
彩の印刷物を得るには、各色毎に版胴を着脱交換して色
彩の数だけ印刷を繰返す必要があった。

従って、色彩の色数が増加すれば、それに従って印刷コ
ストが増加するという問題点を有していた。

特に、版胴を交換する作業は煩わしいので、各色毎に専
用の輪転謄写機を用意する場合があるが、斯る場合に
は、輪転謄写機が多数台必要となり、そのコストが高く
なるばかりでなく、広い設置面積をも要するという問題
点を有していた。

本発明は、斯る従来の技術の帯有する問題点に鑑みてな
されたもので、単一の版胴に２色以上の色彩の印刷イン
キを供給し、同時に２色以上の色彩のカラー印刷を可能
とする輪転謄写器用版胴である。

（ニ）問題点を解決するための手段 本発明は、円筒体の内部が、その中心軸線の延在方向に
沿って、これと交差する方向に展在する面を有する隔壁
によって複数のインキ貯留室に区画されている輪転謄写
機用版胴である。

（ホ）作 用 本発明では、円筒体が、その中心軸線の延在方向に沿っ
て複数のインキ貯留室に区画されているので、各インキ
貯留室に、色彩の異なる印刷インキを供給し、印刷動作
を実行すると、印刷用紙には、前記各色彩に着色された
書画像が同時に印刷形成される。

なお、この際、印刷される書画像は、印刷時の吸紙方向
と直行する方向に沿って色分けされることになる。

（ヘ）実施例 図面はいずれも本発明の実施例を示し、第１図は一部断
面を示す斜視図で、第２図は縦断面図である。また、第
３図は隔壁の正面図である。

これらの図において、（１）は円筒体であって、その非
印刷領域（1a）を形成している部分と、左右の環状の端
面（1b）（1b）を有している部分は、不飽和ポリエステ
ル等の所謂エンジニアリングプラスチックにて一体的に
形成されている。前記環状の端面（1b）（1b）の中央開
口（1c）（1c）には、この開口（1c）（1c）を閉塞する
ための１対の円板状のカバー（２）（２）がねじ（３）
…にて固着されている。

前記カバー（２）（２）の中央には、フランジ部（2a）
（2a）が夫々外方に突出形成されており、このフランジ
部（2a）（2a）の中央に、回転軸（４）が挿通されてい
る。この回転軸（４）と前記カバー（２）（２）は、キ
ー（５）（５）にて回転力が伝達されるように結合され
ている。（2b）…はカバー（２）（２）の外側面に設け
られた放射状リブである。

前記円筒体（１）の内部には、この内部空間を４個のイ
ンキ貯留室（6a）（6b）（6c）（6d）に区画するため
の、エンジニアリングプラスチック製の隔壁（７）
（７）（７）が備えられている。この隔壁（７）は、第
３図に示すように、中央にフランジ（7a）が突設され、
このフランジ（7a）の中央には前記回転軸（４）が挿通
されるための透孔（7b）が穿設されている。前記隔壁
（７）の周側縁部の圧さは10mm程度が適当である。隔壁
（７）の周側縁部とフランジ（7a）との間に、補強用の
リブ（7c）…が放射状に形設されている。

第３図から明らかなように、隔壁（７）の、非印刷領域
（1a）に対応する縁部の曲率半径は、印刷領域（1d）に
対応する縁部の曲率半径よりも大なるように構成されて
いる。これは、前記円筒体（１）の非印刷領域（1a）
に、後述する栓体や原紙保持ピン等が植設されるが、こ
の栓体等の印刷領域（1d）よりも遠心方向に突出し、プ
レスロール等に接触することを防止するため、円筒体
（１）の非印刷領域（1a）の曲率半径が、印刷領域（1
d）のそれよりも大なるように構成されているのであ
る。

前記各インキ貯留室（6a）（6b）（6c）（6d）の、非印
刷領域（1a）には、このインキ貯留室（6a）（6b）（6
d）内へ印刷インキを注入するための注入口（8a）（8
b）（8c）（8d）が開設されており、この注入口（8a）
（8b）（8c）（8d）に栓体（9a）（9b）（9c）（9d）が
着脱可能に螺着されている。

前記円筒体（１）の印刷領域（1d）には、印刷インキの
透過を許容する無数の透孔が穿設されたパンチングスク
リーン（10）が、円筒体（１）の端面（1b）（1b）およ
び前記隔壁（７）（７）（７）の周側縁部にねじ（11）
…にて固着されている。なお、前記パンチングスクリー
ン（10）の、隔壁（７）（７）（７）に対応する部位に
は、透孔は穿設されていない。

前記パンチングスクリーン（10）の外周には、両端縁部
にスクリーンバー（12a）（12b）が固設されているシル
クスクリーン（13）が巻着されている。前記一方のスク
リーンバー（12b）は、円筒体（１）の非印刷領域（1
a）に植設されているピン（14）（14）に係合され、他
方のスクリーンバー（1a）は前記非印刷領域（1a）に装
着されている調整ねじ（15）（15の端部に螺着されてい
る。従って、この調整ネジ（15）（15）を締込むと、シ
リクスクリーン（13）はパンチングスクリーン（10）上
に張着されることになる。

前記シルクスクリーン（13）の外周側の、前記各隔壁
（７）（７）（７）の周側端縁部に対応する部位には、
幅が3mm程度のステンレス鋼帯（16）（16）（16）が巻
回緊締され、このステンレス鋼帯（16）（16）（16）の
両端部は、夫々前記スクリーンバー（12a）（12b）に固
定されている。

斯様に、シルクスクリーン（13）がステンレス鋼帯（1
6）（16）（16）にて巻回緊締されていると、このシル
クスクリーン（13）の、ステンレス鋼帯（16）（16）
（16）にて巻回緊締されている部位の組織が密となっ
て、印刷インキが含有されず、このステンレス鋼帯（1
6）（16）（16）を挾んで隣接する領域の、印刷インキ
が相互に混合されることはない。また、ステンレス鋼帯
（16）（16）（16）が充分緊締されていると、シルクス
クリーン（13）に喰い込み、印刷中にプレスローラ（1
7）に接触することはない。

なお、前記ステンレス鋼帯（16）は必ずしも巻回緊締す
る必要はない。

第４図は他の実施例の一方のスクリーンバー（12b）の
近傍を示す斜視図である。この実施例では、前記各イン
キ貯留室（6a）（6b）（6c）（6d）の夫々の印刷領域
（1a）に対応する部位に、各別のシルクスクリーン（13
a）（13b）（13c）（13d）が装着されている。斯様に格
別のシルクスクリーン（13a）（13b）（13c）（13d）が
装着されていると、前述のようなステンレス鋼帯（16）
（16）（16）は必要ではない。

而して、前記各インキ貯留室（6a）（6b）（6c）（6d）
に、夫々の注入口（8a）（8b）（8c）（8d）から、色彩
の異なる印刷インキを注入し、例えば第１のインキ貯留
室（6a）に赤色の印刷インキを、第２のインキ貯留室
（6b）に青色の印刷インキを、また第３のインキ貯留室
（6c）に赤色の印刷インキを、更に第４のインキ貯留室
（6d）に黒色の印刷インキを注入して印刷を行なうと、
第５図に示すように、印刷時の給紙方向と直行する方向
に沿って、前記色彩に色分けされた印刷物（18）を得る
ことができる。

なお、この際各色間には、幅が6mm程度の非像形成部（1
9）（19）（19）が生じ得る場合があるが、原稿を適宜
工夫して制作することによって、この問題は解決し得
る。

また、図示はしていないが、円筒体（１）の非印刷領域
（1a）には孔版原紙を固定するためのピンやクランパが
装着されている。

本発明に係る版胴にて印刷する場合の原稿作成に際して
は、本件出願人が既に出願している実願昭55−172734号
明細書および図面に記載されているような、前記版胴の
各インキ貯留室（6a）（6b）（6c）（6d）に対応する部
位に裏面から原稿作成位置が指定される原稿用紙を使用
すれば便利である。

（ト）発明の効果 本発明では、単一の版胴の内部が、複数のインキ貯留室
に区画されており、各インキ貯留室に色彩の異なる印刷
インキを供給しても、混色されないので、単一の版胴を
使用し、しかも１回の印刷動作で複数色のカラー印刷物
を得ることができる。

従って、色彩の数が増加しても、印刷コストは殆んど増
加せず、安価なカラー印刷物を得ることができる。

また、多数の輪転謄写機を必要とせず、一台分の設置面
積があれば充分である。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明の一実施例を示し、第１図
は一部破断斜視図、第２図は縦断面図、第３図は隔壁の
正面図である。 第４図は他の実施例の一部を示す斜視図である。 第５図は印刷物の平面図である。 （１）……円筒体、（1a）……非印刷領域、（1d）……
印刷領域、（４）……回転軸、（6a）（6b）（6c）（6
d）……インキ貯留室、（７）……隔壁、（8a）（8b）
（8c）（8d）……注入口、（10）……パンチングスクリ
ーン（印刷インキの浸透を許容する部材）、（13）……
シルクスクリーン（印刷インキの浸透を許容する部
材）、（16）……ステンレス鋼帯（帯状の部材）、（1
8）……印刷物。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】周側面の少なくとも印刷領域に印刷インキ
   の浸透を許容する部材が装着されている円筒体を含む、
   輪転謄写機用版胴において、 前記円筒体の内部は、その中心軸線の延在方向に沿って
   これと交差する方向に展在する面を有する隔壁によっ
   て、複数のインキ貯留室に区画されていることを特徴と
   する輪転謄写機用版胴。
2. 【請求項２】各インキ貯留室の非印刷領域に、前記イン
   キ貯留室内に印刷インキを注入するための、注入口が開
   設されている特許請求の範囲第１項に記載の輪転謄写機
   用版胴。
3. 【請求項３】相互に隣接するインキ貯留室に、色彩の異
   なる印刷インキが注入される特許請求の範囲第１項若し
   くは第２項に記載の輪転謄写機用版胴。
4. 【請求項４】印刷インキの浸透を許容する部材の、隔壁
   の周側縁に対応する部位に、帯状の部材が巻回緊締され
   ている特許請求の範囲第１項ないし第３項のいずれかに
   記載の輪転謄写機用版胴。
5. 【請求項５】各インキ貯留室の夫々の印刷領域毎に、各
   別の、印刷インキの浸透を許容する部材が装着されてい
   る特許請求の範囲第１項ないし第３項のいずれかに記載
   の輪転謄写機用版胴。