JPH0782613A - 紡績装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ガイド部材の回りから繊維を供給し、旋回気流
で加撚する紡績装置において、簡単な装置で確実にスピ
ンドル中の糸を自転させ、繊維の巻付けを助長する。 【構成】ドラフト装置を出た繊維束に旋回気流を作用さ
せるノズル３を有するノズルブロック２と、静止する中
空スピンドル６と、その入口6aへ先端を向けて突出する
ガイド部材５とよりなる本体の下流に仮撚装置19を配す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ドラフト装置によっ
てドラフトされた無撚の短繊維束に旋回気流を作用させ
て加撚することにより紡績糸を製造する装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】紡績装置として、従来、図４に示すもの
が本出願人により先に提案され、出願されている。その
紡績装置は、ドラフト装置を出た繊維束に旋回気流を作
用させるノズル３を有するノズルブロック２と、回転す
る中空スピンドル６と、その入口６ａへ先端を向けて突
出するガイド部材５とよりなり、旋回気流により無撚の
短繊維束を加撚して紡績糸を製造するものである。

【０００３】このスピンドルの駆動部は、空気軸受けに
よって軸受ケーシング１４に支持したスピンドル６をエ
アータービンによって駆動するものである。

【０００４】空気軸受は、軸受ケーシング１４内に空気
溜１７ａに続いて空気噴出孔１７ｂを有する円筒状のブ
ッシュ１７が嵌め込まれ、軸受ケーシング１４にも空気
溜１７ａに連通する圧縮空気供給孔１４ｃが設けられた
ものである。なお、１８は軸受ケーシング１４のキャッ
プである。

【０００５】この空気軸受において、圧縮空気供給孔１
４ｃに接続された図示しないホースから圧縮空気が供給
されると、その圧縮空気は、空気溜１７ａ、空気噴出孔
１７ｂを通ってスピンドル６とブッシュ１７との僅かの
間隙を通って排出され、スピンドル６はブッシュ１７に
対して非接触状態となる。

【０００６】エアータービンは、軸受ケーシング１４内
に接線方向に開口する圧縮空気供給孔１６ａ及び空気排
出孔１６ｂを有する円筒状のブッシュ１６が嵌め込ま
れ、軸受ケーシング１４にも圧縮空気供給孔１６ａ又は
空気排出孔１６ｂに連通する圧縮空気供給孔１４ａ又は
空気排出孔１４ｂが設けられ、一方、圧縮空気供給孔１
６ａの開口部に対応するスピンドル６の外周面に噴出空
気流を受ける複数の半円状凹部６ｃが形成されたもので
ある。

【０００７】このエアータービンにおいて、圧縮空気供
給孔１４ａに接続された図示しないホースから圧縮空気
が供給されると、その圧縮空気は、圧縮空気供給孔１６
ａを通ってスピンドル６の凹部６ｃに当たり、スピンド
ル６を回転させる。スピンドル６を回転させた空気流
は、空気排出孔１６ｂ、１４ｂを通って排出される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】空気軸受けによって軸
受ケーシング１４に支持したスピンドル６をエアーター
ビンによって駆動する従来のものは、スピンドル６及び
ブッシュ１６、１７の孔が真円でないことに起因してス
ピンドル６の回転にバラツキが生じる。また、スピンド
ルの駆動部が複雑であるので、そのメンテナンスも大変
である。更に、エアースピンドルのためのコストも高
い。

【０００９】ところで、糸速を２５０ｍ／min にしてＺ
撚の糸を製造する場合、スピンドル６を１０万ｒｐｍで
回転させるときには、糸の自転数は９００００Ｔ／min
（Ｓ撚方向）であり、スピンドル入口６ａから反転分離
する繊維（単に、“反転分離繊維”という）の回転数は
１１．４万ｒｐｍ（Ｓ撚方向）である。一方、スピンド
ル６を回転させないときには、“反転分離繊維”の回転
数は９．９万ｒｐｍ（Ｓ撚方向）である。その結果、糸
の自転が“反転分離繊維”の回転を補助していると考え
ることができる。

【００１０】この発明は、ガイド部材の回りから繊維を
供給し、旋回気流で加撚する紡績装置において、簡単な
装置で確実にスピンドル中の糸を自転させ、繊維の巻付
けを助長することを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の紡績装置は、ドラフト装置を出た繊維束
に旋回気流を作用させるノズルを有するノズルブロック
と、静止する中空スピンドルと、その入口へ先端を向け
て突出するガイド部材とよりなる本体の下流に仮撚装置
を配したものである。

【００１２】

【作用】上記のように構成された紡績装置においては、
ドラフト装置を出た繊維束は、ノズルから噴出する空気
流の作用によって装置内に引き込まれ、繊維束の全ての
繊維の前端は、ガイド部材の周囲から、糸に形成されつ
つある繊維束に引かれてスピンドル内に導かれる。ま
た、繊維の後端側は、スピンドル入口から反転すると共
に各繊維に分離される。後端の分離した繊維は、ノズル
から噴出する旋回気流にさらされ、糸の走行に伴って、
糸に形成されつつある繊維束の周囲にらせん状に巻き付
いて実撚状の紡績糸となる。その際、スピンドル内に波
及する仮撚装置による解撚方向の撚によって、糸はノズ
ルの空気噴出方向と同方向に自転し、糸に間隙が生じ、
スピンドル入口から反転分離する繊維の糸への巻付けが
助長される。

【００１３】

【実施例】図１ないし図３を参照し、この発明の紡績装
置の実施例について説明する。

【００１４】この紡績装置は、本体の下流に仮撚装置１
９を配したものであり、本体Ｓは、ドラフト装置Ｄのフ
ロントローラーＲｆとデリベリーローラーＲｄとの間に
設けられており、概ね、ドラフト装置に続くケーシング
１の内部に配された、ノズル３を有するノズルブロック
２と、その入口部に位置し、ガイド部材５を有するガイ
ド部材支持体４と、入口側がケーシング１内に挿入され
るよう固定されたスピンドル６とよりなっている。

【００１５】ドラフト装置Ｄは、例えば、フロントロー
ラーＲｆ、エプロンを有するセカンドローラーＲ２、サ
ードローラーＲ３及びバックローラーＲｂとよりなるも
のを採用する。

【００１６】スピンドル６の中心には繊維束通路７が貫
通形成してあり、入口６ａの外径は充分に小さく、入口
６ａに続く部分は、外径が下流側に向けて増大する円錐
状部６ｂとしている。

【００１７】ノズルブロック２のスピンドル入口６ａ近
傍を覆う部分は、その外形に沿った小径円筒状の中空室
８としており、その上流側は、ノズルブロック２によっ
てスピンドル６の先端径よりも僅かに大径の円筒状にし
てある。中空室８に続く部分は、下部ケーシング１ａに
形成された環状の中空室９と、それに続く接線方向の空
気逃し孔１０が形成してある。

【００１８】上部ケーシング１ｂの内部には、ノズルブ
ロック２との間に中空の空気溜１１を形成している。ノ
ズルブロック２には、空気溜１１に連通し、スピンドル
６の入口６ａから僅か離れた下流に向き、かつ中空室８
に対して接線方向を向いた４つの空気噴射ノズル３が形
成してあり、空気溜１１には、孔１２を介して図示しな
いホースが接続してある。ノズル３より噴出する空気流
の方向は、上流側から見て反時計方向である。

【００１９】ホースから供給される圧縮空気は、空気溜
１１に流入した後、ノズル３から中空室８内に噴出し、
スピンドル入口６ａの近傍に高速の旋回気流を生じさせ
る。この空気流は、中空室８内部で旋回した後、中空室
９内をゆるく旋回しながらが外方へ拡散し、逃し孔１０
方向へと導かれ、排出される。同時に、この空気流は、
フロントローラーのニップ点からケーシング１の中空部
内へと流入する吸引空気流を発生させる。

【００２０】ガイド部材支持体４は、中心から外れた上
部に繊維束導入孔１３を有するキャップ状をしており、
上部中心には、ピン状のガイド部材５が固定されてい
る。

【００２１】ガイド部材５は、ガイド部材支持体４の上
部中心から突出して先端をフリー状態とし、スピンドル
６の入口６ａに臨ませている。

【００２２】仮撚装置１９は、図２に示すものでは、製
造される糸Ｙが傾いて進入するように配された回転ロー
ラーである。

【００２３】このローラー１９には、梨地加工した金属
製のもの、硬質ゴム製のもの等が用いられる。また、ロ
ーラー１９の前、後には、糸Ｙをローラー１９に接触さ
せるためのヤーンガイド２０、２１が設けてある。そし
て、ローラー１９より上流側の糸Ｙには、ある程度のテ
ンションがかけられる。

【００２４】このようなローラー１９をスピンドル６の
直後に設けると、糸Ｙはローラー１９に傾いて進入する
ので、ローラー１９の回転によって矢印方向に転がり、
上流側には糸のＺ撚を解撚させるＳ撚が、下流側にはＺ
撚が付与される。その上流側のＳ撚によって、糸Ｙは、
スピンドル６の通路７内でノズル３の空気噴出方向と同
方向に自転し、後述する後端の分離した繊維の糸への巻
付けを助長する。

【００２５】仮撚装置は、この他に、図３（１）に示
す、互いに交叉して走行するエンドレスのベルト２２、
２３よりなるニップツイスター、図３（２）に示す、平
行に配された軸２４、２５にディスク２６、２７、２
８、２９、３０が段違いに交互に固定されたフリクショ
ンツイスター、図３（２）に示す、駆動軸３１に固定さ
れたディスク３２と、駆動軸３１に連動して回転する若
干傾いた軸３３に軸回りに固定されると共に軸方向に摺
動可能に支持され、スプリング３５によってディスク３
２方向に付勢されたディスク３４とよりなるリングテッ
クス（登録商標）等がある。なお、フリクションツイス
ターは、糸の張力を大きくする必要がある。

【００２６】このように構成された紡績装置において
は、ドラフト装置を出た繊維束は、ノズル３から噴出す
る空気流の作用によって装置内に引き込まれ、繊維束の
全ての繊維の前端は、ガイド部材５の周囲から、糸に形
成されつつある繊維束に引かれて回転するスピンドル６
内に導かれる。また、繊維の後端側は、ノズル３から噴
出する空気流の軸方向分力が作用してスピンドル入口６
ａから反転すると共に各繊維に分離される。後端の分離
した繊維は、ノズル３から噴出する旋回気流にさらさ
れ、糸の走行に伴って、糸に形成されつつある繊維束の
周囲にらせん状に巻き付いて実撚状の紡績糸となる。そ
の際、スピンドル６内に波及する仮撚装置１９による解
撚方向の撚によって、糸Ｙはノズル３の空気噴出方向と
同方向に自転し、糸Ｙに間隙が生じ、スピンドル入口６
ａから反転分離する繊維の糸への巻付けが助長される。

【００２７】

【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成さ
れているので、以下に記載するような効果を奏する。

【００２８】即ち、非回転のスピンドル中で解撚方向に
糸を直接回転させるので、間隙の多い繊維束に巻付き繊
維が入りやすく、スピンドルが回転する従来のものと同
様に、巻付繊維量が極めて多く、外観、強力特性共にリ
ング糸に遜色のない糸を製造することができる。しか
も、仮撚装置が従来のスピンドルの駆動装置に比べて構
造が簡単、且つ、安価であり、信頼性が高い上、メンテ
ナンスも楽である。また、スピンドルを回転させないこ
とにより、ガイド部材の損傷も少ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の紡績装置本体、ドラフト装置及びデ
リベリーローラーの関係を示す側面図である。

【図２】この発明の紡績装置の断面図である。

【図３】仮撚装置を例示した斜視図又は正面図である。

【図４】従来の紡績装置の断面図である。

【符号の説明】 ２ ノズルブロック ３ ノズル ５ ガイド部材 ６ スピンドル ６ａ スピンドル入口 １９ 仮撚装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ドラフト装置を出た繊維束に旋回気流を作
   用させるノズルを有するノズルブロックと、静止する中
   空スピンドルと、その入口へ先端を向けて突出するガイ
   ド部材とよりなる本体の下流に仮撚装置を配した紡績装
   置。