JPH0779715B2 - Nadh又はnadphのペルオキシダ−ゼによる定量法 - Google Patents

Nadh又はnadphのペルオキシダ−ゼによる定量法

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JPH0779715B2
JPH0779715B2 JP9818187A JP9818187A JPH0779715B2 JP H0779715 B2 JPH0779715 B2 JP H0779715B2 JP 9818187 A JP9818187 A JP 9818187A JP 9818187 A JP9818187 A JP 9818187A JP H0779715 B2 JPH0779715 B2 JP H0779715B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、NADHにジアホラーゼを使用させるか又はNADP
Hに旧黄色酵素を作用させることによって過酸化水素を
生成させ、この過酸化水素をペルオキシダーゼによって
酸化発色させてNADHやNADPHを定量する方法であって、
特にNADHやNADPHの過酸化水素への転換効率を向上させ
ると共に酸化発色収率を向上させた方法に関するもので
ある。
[従来の技術] ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)やニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチド燐酸(NADP+)は、
デヒドロゲナーゼによって触媒される非常に多くの酸化
還元反応に関与することが知られている。従って、これ
らの補酵素が酵素反応に関与して生じる還元型(NADH,N
ADPH)を定量することは、酵素活性や基質量を測定する
という観点からも重要なことであり、従来からもNADHや
NADPHを定量する為の各種の方法が提案されている。特
に、近年はNADHをジアホラーゼやフェナジンメトサルフ
ェート(PMS)等によって過酸化水素を発生させ、この
過酸化水素によってペルオキシダーゼの酸化発色を行な
わせる方法が検討されている。この方法によれば、還元
性発色色素に導くホルマザン発色法と比べて、分析機器
を汚染するという問題が回避でき、又分子吸光係数の面
から高感度化が達成されると共に、現在普及しているペ
ルオキシダーゼによる酸化発色法の統一化を図るという
面からも有利である。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、この方法においても下記の様な若干の問
題が残されている。
上記の方法ではNADHやNADPHから過酸化水素を発生させ
る過程において、その反応系内で部分的に電子還元が進
行してスーパーオキサイド(O2 -)が生じるのである
が、ペルオキシダーゼを反応系に共存させておくと、前
記O2 -がペルオキシダーゼと結合してコンプレックスIII
と呼ばれる複合体を形成する。この様な複合体形成反応
は、水素供与体である色原体の共存下において著しく促
進される傾向があり、ここに形成された複合体は、カタ
ラーゼ作用を発揮してO2 -を分解する性質を有してい
る。従って反応系にO2 -が生成する場合には、このO2 -
ペルオキシダーゼのカタラーゼ作用の為に迅速に消費さ
れてしまい、その結果過酸化水素を生成させる為のO2 -
が不足するのでNADHやNADPHの全てが消費されて過酸化
水素を発生するとは限らず、理論上期待されるレベルの
酸化発色が得られないという問題があった。換言するな
らば上記方法ではペルオキシダーゼによるカタラーゼ作
用が、O2 -の過酸化水素への自然不均化反応よりも速く
進行してしまい、期待通りの効果が得られないことが多
い。この様な不都合を回避する手段として、例えばペル
オキシダーゼの添加時期を上記自然不均化反応が終了し
た後にするということも考えられるが、自然不均化反応
は必ずしもそれほど早く進行する訳ではなく、又作業を
2段階で行なう必要があるので繁雑である。
本発明はこうした従来技術のもつ問題点を解決する為に
なされたものであって、その目的とするところは、NADH
やNADPHから過酸化水素への発生効率を向上させると共
に酸化発色収率を向上させ、NADHやNADPHを迅速且つ高
感度に定量し得る様な方法を提供することにある。
[問題点を解決する為の手段] 上記目的を達成し得た本発明とは、NADHにジアホラーゼ
を作用させるか又はNADPHに旧黄色酵素を作用させ、生
成する過酸化水素に色原体及びペルオキシダーゼを作用
させて酸化発色させ、この発色強度を測定することによ
りNADH又はNADPHを定量する方法において、前記ペオキ
シダーゼに不均化反応促進剤を共存させた点に要旨を有
するNADH又はNADPHのペルオキシダーゼによる定量法で
ある。
[作用] 本発明は上述の如く構成されるが、要は上記一連の反応
系においてペルオキシダーゼに不均化反応促進剤を共存
させることにより、ペルオキシダーゼによるカタラーゼ
作用の反応よりも、O2 -の過酸化水素への不均化反応の
進行を促進させたものである。このことによってNADHや
NADPHから迅速に過酸化水素を発生せしめると共に、酸
化発色収率を向上させることに成功したものである。
NADHから過酸化水素を発生するにはジアホラーゼの存在
が必要であるが、このジアホラーゼはその起源によって
NADHオキシダーゼ作用に違いが認められる。例えば豚心
臓由来のジアホラーゼは上記作用が強いことが知られて
いる。
そこで本発明者らは自然不均化反応を促進させるという
趣旨のもとで、NADHオキシダーゼ作用の強いジアホラー
ゼをNADHに作用させることをまず試みた。しかしながら
この場合においてもペルオキシダーゼと色原体を共存さ
せた状態では、得られる酸化発色量は依然としてNADHの
酸化量に対応しないものであった。この知見は、既知量
の過酸化水素を添加して分子吸光係数を調べたり、或は
ペルオキシダーゼを自然不均化反応終了後に加えて酸化
発色させること等によって確認できた。但し自然不均化
反応終了後にペルオキシダーゼを添加させる方法は、本
発明方法と比べて時間的にも能率的にも劣ることは既に
述べた通りである。
次に、本発明者らは不均化反応促進剤としてスーパーオ
キサイドジスムターゼ(SOD)を選び、この促進剤を含
む下記の組成の試薬を用い、NADHの過酸化水素変換によ
る酸化発色反応を行なった。即ち下記組成の試薬に0.1m
lのNADH(1mM)を添加し、波長553nmにおける吸光度の
増加によって酸化発色反応を検討した。
(試薬) N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピ
ル)−m−トルイジンナトリウム(TOOS:0.2%)…0.6m
l 4−アミノアンチピリン(4−AA:0.2%) …0.3ml ペルオキシダーゼ(90U/ml) …0.1ml ジアホラーゼ(豚心臓由来:200U/ml) …0.1ml SOD(100U/ml) …0.1ml Tris−HCl緩衝液(0.1M,pH8.1) …1.7ml 尚比較の為に、自然不均化反応終了後に(NADH添加5分
後)にペルオキシダーゼを添加した場合、及び促進剤と
してのSODを添加しない場合についても同様に実験し
た。
これらの結果を第1図に示すが、第1図中のトレースC
は本発明方法に従った場合であり、トレースBはSODを
添加しない場合、トレースAは自然不均化反応終了後に
ペルオキシダーゼを添加した場合の夫々の結果を示して
いる。
第1図の結果から下記の様な知見が得られる。トレース
Aの結果は、酸化発色のレベルが自然不均化反応後の過
酸化水素量を反映したものであるが、このトレースAの
結果に比べトレースBの結果は明らかに酸化発色のレベ
ルが低いものであった。尚SODを添加しない場合につい
ては、色原体量、ジアホラーゼ量及びペルオキシダーゼ
量を変えて種々検討したが、トレースBの結果とほぼ同
様の結果しか得られなかった。
これに対しトレースC(本発明方法による場合)の結果
は、酸化発色のレベルがトレースAとほぼ同様のレベル
に達しており、過酸化水素はペルオキシダーゼの共存下
においても充分に生成していることが理解される。尚ト
レースAの結果については、波長340nmにおける吸光度
によってNADH減少量と酸化発色量について調査したが、
両者に対応した値を示していることが確認された。
この様に本発明方法では反応系に不均化反応促進剤を共
存させることによって従来の不都合を解消し得たもので
あるが、用いる不均化反応促進剤としては上記SOD以外
に、ガラクトースオキシダーゼ,Fe−EDTA,Mn−EDTA,銅
イオン及びペプタイド結合性銅イオン等が挙げられる。
但し本発明はこれらの種類に限定されるものではない。
これらの不均化反応促進剤はいずれか1種を選んで用い
ればよいが、場合によっては2種以上を組合わせて用い
る様にしてもよい。
又緩衝液に関しても上記Tris−HCl緩衝液に限らず、従
来から用いられている適当な緩衝液を用いればよい。更
に上記実験では色原体としてTOOSや4−AA等を用いた場
合について示したが、本発明で用いる色原体に関しても
上記のものに限らず、他のものを選んで適宜反応系を設
定すればよい。
上記実験例ではNADHについてのみ述べたが、本発明はNA
DPHを定量する場合についても適用できるものであり、
その場合にはジアホラーゼの代りに旧黄色酵素を上記実
験におけるジアホラーゼと同程度の単位数で添加すれば
よい。NADPHに作用させる旧黄色酵素としては、イース
ト菌由来のものが例示できる。
本発明は基本的にはNADHやNADPH等を定量する為の方法
であるが、これらの生成に関与する脱水素酵素を共存さ
せることも可能であり、このことによって脱水素酵素活
性や基質等を測定することができる。
一方本発明で用いる試薬の各組成の濃度範囲についても
何ら限定するものではなく、例えば脱水素酵素を共存さ
せる場合にはその酵素の至適反応条件によって適宜設定
すればよい。
次に、本発明者らが不均化反応促進剤としてのSODの効
果について検討した結果を第2図に示す。これはSOD以
外は上記試薬組成に従い、SODについてはその濃度を変
化させて添加(添加量は同じ)したものである。又NADH
添加量に関しても上記実験と同様である。
第2図の結果から明らかな様に、50U/ml以上のSODの添
加で酸化発色は飽和状態を示した。しかもこの発色量
は、第1図のトレースAに一致するものであった。
[実施例] SOD(50U/ml最終濃度)を加えた場合と加えない場合と
について、下記の反応組成でNADHを定量した。
(反応組成) (TOOS:0.2%) …0.6ml 4−AA:(0.2%) …0.3ml ペルオキシダーゼ(90U/ml) …0.1ml ジアホラーゼ(200U/ml) …0.1ml SOD(1500U/ml) …0.1ml Tris−HCl緩衝液(0.1M,pH8.1) …1.7ml 上記反応組成(SODを添加しない場合はSODを含まないも
の)に、0.1mlの各種濃度のNADHを添加した。
その結果を第3図に示すが、第3図の結果から明らかな
様に、SODを添加した場合(○印)に比べてSODを添加し
ない場合(●印)ではその発色量が少ない。尚第3図に
おける縦軸は波長553nmにおける吸光度を示し、横軸は
添加量0.1ml中のNADH濃度を示している。この様にSODの
添加によって、NADHの酸化に対応する発色量が得られ
た。
[発明の効果] 以上述べた様に本発明法によれば、反応系中にSOD等の
不均化反応促進剤を共存させることによって、NADHやNA
DPHからの過酸化水素形成効率を向上させると共に酸化
発色収率を向上させ、NADHやNADPHを迅速且つ高感度に
定量し得る様になった。
【図面の簡単な説明】
第1図は各種条件下におけるNADHの酸化発色の吸光度変
化を示すグラフ、第2図はSOD添加量と発色度との関係
を示すグラフ、第3図はSODを加えた場合と加えない場
合においてNADHを測定した結果を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】NADHにジアホラーゼを作用させるか又はNA
    DPHに旧黄色酵素を作用させ、生成する過酸化水素に色
    原体及びペルオキシダーゼを作用させて酸化発色させ、
    この発色強度を測定することによりNADH又はNADPHを定
    量する方法において、前記ペルオキシダーゼに不均化反
    応促進剤を共存させたことを特徴とするNADH又はNADPH
    のペルオキシダーゼによる定量法。
  2. 【請求項2】前記不均化反応促進剤が、スーパーオキシ
    ドジスムターゼ,ガラクトースオキシダーゼ,Fe−EDTA,
    Mn−EDTA,銅イオン及びペプタイド結合性銅イオンから
    選ばれる1種又は2種以上である特許請求の範囲第1項
    に記載の定量法。
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