JPH0775563B2 - スキー靴用インナーブーツ及びそのフィッティング方法 - Google Patents

スキー靴用インナーブーツ及びそのフィッティング方法

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JPH0775563B2
JPH0775563B2 JP3061590A JP3061590A JPH0775563B2 JP H0775563 B2 JPH0775563 B2 JP H0775563B2 JP 3061590 A JP3061590 A JP 3061590A JP 3061590 A JP3061590 A JP 3061590A JP H0775563 B2 JPH0775563 B2 JP H0775563B2
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JP
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boot
fitting
ski
foot
temperature
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岡田  隆
崇司 芳賀
敏晴 福島
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    • A43FOOTWEAR
    • A43BCHARACTERISTIC FEATURES OF FOOTWEAR; PARTS OF FOOTWEAR
    • A43B5/00Footwear for sporting purposes
    • A43B5/04Ski or like boots
    • A43B5/0405Linings, paddings or insertions; Inner boots

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  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、シェルとインナーブーツとからなるスキー靴
のフィッティング方法に係り、−15℃〜+40℃の温度範
囲においてショアー硬度(A型)が90〜10の範囲内にあ
り、ガラス転位温度が−15℃以下、メルトフローレート
が300g/10min以上、示差走査熱量測定法による熱分析で
の融点測定の結果がピーク温度+30〜80℃で、融解終了
温度+40〜+90℃を示し、かつ+25℃から融解終了温度
までの融解熱エネルギーが50cal/g以下である熱可塑性
エラストマーを予めインナーブーツに取り付け、ついで
このインナーブーツをシェルに挿入し、この状態でイン
ナーブーツを加熱してこれに取り付けられた熱可塑性エ
ラストマーを流動可能な状態にし、ついでインナーブー
ツ内に足を挿入し、スキー靴を締めて冷却し、前記熱可
塑性エラストマーを固化させることによって、スキー靴
を強く締め付けなくても足とスキー靴との間の力の伝達
が良好であるようにしたものである。
更に本発明は、スキー靴の硬質なシェルと足との間に介
在し、足の形状に対応して足を苦痛の無い状態でシェル
内に保持するインナーブーツに係り、フィッティング材
として、内側にスポンジを、外側に−15℃〜+40℃の温
度範囲においてショアー硬度(A型)が90〜10の範囲内
にあり、ガラス転位温度が−15℃以下、メルトフローレ
ートが300g/10min以上、示差走査熱量測定法による熱分
析での融点測定の結果がピーク温度+30〜80℃で、融解
終了温度+40〜+90℃を示し、かつ+25℃から融解終了
温度までの融解熱エネルギーが50cal/g以下であるエラ
ストマーを配置することによって、スキー靴を強く締め
付けなくても足とスキー靴との間の力の伝達が良好であ
るようにしたものである。
「従来の技術」 第12図は、シェル1とインナーブーツ2とからなるスキ
ー靴の一例を示すものである。シェル1はスキーヤーの
脚部の運動をスキー板に直ちに伝え得るように硬質に形
成されている。ところがこのシェル1内に収容される足
の形状には個人差があり、その形状の違いを吸収し、足
を苦痛無く保持することを目的としてシェル1と足との
間にインナーブーツ2が介在されている。
この種のスキー靴のフィッティング方法としては、従来
ウレタンフォーミングによる方法、エアー圧を利用した
方法、およびガムパッドを用いた方法などが行なわれ、
またそれらの方法を実現させるものがある。
ウレタンフォーミングによる方法は、インナーブーツ2
をシェル1に収め足を挿入した状態で、2種類の反応液
を混合しこれらを発泡圧でインナーブーツ2に注入し、
第13図に示すように、インナーブーツの内皮3と外皮4
との間に軟質発泡ウレタン層5を形成し収容するもので
ある。
エアー圧を利用したフィッティング方法は、第14図に示
すようにインナーブーツの内皮3と外皮4との間にエア
ーバック7を収容しておき、ここにエアーを高圧注入し
てフィッティングさせてなるものである。
またガムパッドを利用したフィッティング方法は、第15
図に示すように粘性流体(以下、ガムと記す)が袋に充
填されてなるガムパッド8をインナーブーツ2に収容し
ておき、体温でガムを流動容易な状態にしてフィッティ
ングさせるものである。ガムとしては、低融点パラフィ
ンワックスとシリカとの混合物、天然ゴムとコルクとの
混合物等が提供されている。
「発明が解決しようとする課題」 前記ウレタンフォーミングによる構造では、反応液をシ
ェル1と足との間に注入するときに流れのバランスが崩
れると足がシェル1内で偏って保持される状態になるう
え、一度硬化するとその形状が固定されてしまい修正で
きないので、フィッティング処理に高度な熟練が要求さ
れる問題があった。
またこのフィッティング方法では足とシェル1の形状の
違いを吸収して部分的に強く当たるのを防ぐために発泡
ウレタン層5をある程度厚く形成する必要がある。とこ
ろがこのため軟質発泡ウレタン層5の圧縮変形量が増し
て、足とスキー靴との間の力の伝達が損なわれてしまう
問題がある。またこれを解消するためにスキー靴を強く
締め付けると、足がうっ血して痛くなる問題がある。
前記エアー圧を利用したフィッティング方法による構造
では、エアーが変形容易なので、スキー靴を強く締め付
けなければ足からスキー靴への力の伝達が十分行なわれ
ず、やはりうっ血による痛みが強い問題があった。
前記ガムパッドを用いたフィッティング処理方法による
構造においても、スキー靴の締め付けが弱いと、スキー
を操作するために足を動作させたときに力の加わる部分
から加わらない部分にガムが流動して足からスキー靴へ
の力の伝達が損なわれるため、やはりスキー靴を強く締
め付ける必要があり、うっ血による痛みが強い問題があ
った。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、スキー靴を
強く締め付けなくても足とスキー靴との間の力の伝達が
良好に行なわれるフィッティング方法、すなわちうっ血
による足の痛みの解消と力の伝達性の向上を同時に実現
できるスキー靴のフィッティング処理方法その方法に供
されるインナーブーツ、フィッティング材、フィッティ
ングパッドを提供することを目的とする。
「課題を解決するための手段」 本発明のスキー靴のフィッティング方法では、−15℃〜
+40℃の温度範囲においてショアー硬度(A型)が90〜
10の範囲内にあり、ガラス転位温度が−15℃以下、メル
トフローレートが300g/10min以上、示差走査熱量測定法
による熱分析での融点測定の結果がピーク温度+30〜80
℃で、融解終了温度+40〜+90℃を示し、かつ+25℃か
ら融解終了温度までの溶融熱エネルギーが50cal/g以下
である熱可塑性エラストマーを予めインナーブーツに取
り付け、ついでこのインナーブツをシェルに挿入し、こ
の状態でインナーブーツを加熱してこれに取り付けられ
た熱可塑性エラストマーを流動可能な状態にし、ついで
インナーブーツ内に足を挿入し、スキー靴を通常覆く状
態に締めて冷却し、前記熱可塑性エラストマーを固化さ
せることによって前記課題を解決した。
また更に本発明のスキー靴用インナーブーツでは、フィ
ッティング材として、インナーブーツの内皮側にスポン
ジを配置し、外皮側に−15℃〜+40℃の温度範囲におい
てショアー硬度(A型)が90〜10の範囲内にあり、ガラ
ス転位温度が−15℃以下、メルトフローレートが300g/1
0min以上、示差走査熱量測定法による熱分析での融点測
定の結果がピーク温度+30〜80℃で、融解終了温度+40
〜+90℃を示し、かつ+25℃から融解終了温度までの溶
融熱エネルギーが50cal/g以下であるエラストマーを配
置することによって前記課題の解決を図った。
ここで−15℃〜+40℃の温度範囲におけるショアー硬度
(A型)が90〜10の範囲内にあるとは、ショアー硬度と
温度の関係を示す曲線が、第9図中斜線で示す範囲内を
通過することを示す。ショアーA硬度が90を越える熱可
塑性エラストマー(以下エラストマーと記す)は硬すぎ
て、使用時に足に苦痛を感じる。またショアーA硬度が
10未満のエラストマーは柔らかすぎて、足とスキー靴と
の間の力の伝達が十分行なわれない問題が生じる。
エラストマーはインナーブーツの全面に取り付けられて
も良いが足の形状の個人差の大きな部分のみでも良い。
又、エラストマーはインナーブーツの外面に取り付けら
れても良いが、インナーブーツの内皮と外皮との間の空
間に取り付けられることが望ましい。
このインナーブーツでは、足をホールドする部分を少な
くとも3層以上の構造にすると共に、各層をなす材料と
して、内層から外層に向かって漸次弾性率の高い材料を
用いることが望ましい。
前記エラストマーの厚さは、このエラストマーの配置さ
れた部分におけるインナーブーツの厚さの80%以下であ
ることが望ましい。エラストマーの厚さが80%を越える
と、スポンジの部分が薄くなって、エラストマーが直接
足に当たるような違和感が強くなったり、汗がたまり易
くなる不都合が生じる。通常エラストマーが配置される
部分では、シェルと足との間の間隙が10mm程度になるよ
うに設計されるので、エラストマーの厚さは8mm以下に
設定されることが望ましい。またこの部分でのスポンジ
の厚さは、2〜7mm程度に設定されることが望ましい。
加えてこのフィッティング方法で用いるエラストマー
は、ガラス転移温度が−15℃以下、メルトフローレート
が300g/10min以上、示差走査熱量測定法による熱分析で
の融点測定の結果がピーク温度+30〜80℃で、融解終了
温度+40〜+90℃を示し、かつ+25℃から融解終了温度
までの溶解熱エネルギーが50cal/g以下のものである。
ガラス転移温度が−15℃を越えると、スキー靴の使用中
にエラストマーがガラス化してゴム状弾性を示さない変
形し難い状態となり、足に苦痛を感じる。即ち第10図に
示すように、一般に熱可塑性エラストマーは、ガラス転
移温度Tgを境にそれよりも冷却されると貯蔵弾性率が急
激に増大する。従って、スキー靴使用時にインナーブー
ツ外面における予想最低温度、約−15℃よりもガラス転
移温度を下げる必要がある。
さらにエラストマーのメルトフローレートが300g/10min
未満になると、スキー靴をフィッティング処理するとき
にエラストマーが十分流動せず、特にエラストマーの周
縁部を徐々に薄くすることが困難になり、フィット感が
損なわれる問題が生じる。
また示素走査熱量測定法による熱分析で、融点測定を行
うと、一般に第11図に示すようなデータが得られる。第
11図中T2はピーク温度を示し、T3は融解終了温度を示し
ている。そして本発明のフィッティング方法に用いるエ
ラストマーは、ピーク温度T2が+30℃〜80℃、融解終了
温度T3が+40℃〜+90℃の範囲にあるものである。(こ
れらの値は、昇温速度5℃/分が測定された値であ
る。) ピーク温度が+30℃未満あるいは融解終了温度が+40℃
未満になると、エラストマーが体温でも流動可能な状態
となるため、スキー靴を使用している間にエラストマー
が流動して下部に流下したり、スキー靴と足との間の力
の伝達が十分行われない状態になる恐れが生じる。他方
ピーク温度が+80℃を越えたりあるいは融解終了温度が
+90℃を越えると、フィッティング処理のための加熱で
シェルが変形する事故が起こる恐れが生じる。
またエラストマーは、+25℃から融解終了温度までの溶
解熱エネルギーが50cal/g以下でなければならない。溶
解熱エネルギーが50cal/gを越えると、エネルギーの耐
熱温度(通常180〜200℃)以下でフィッティング処理す
るのに時間がかかり過ぎる(例えば約30分以上)不都合
が生じる。
このような特性を有するエラストマーとしては、例えば
酢酸ビニル、アクリル系成分あるいは酢酸ビニル、アク
リル系成分と、エチレンとが主体となって構成された共
重合体を例示できる。
ここでアクリル系成分とは、メチルアクリレート、メチ
ルメタクリレート、エチルアクリレートなどで代表され
るアクリル酸およびメタクリル酸とのその誘導体を示
す。またこの共重合体には、エチレン、酢酸ビニル、ア
クリル系成分に加えて、さらに他の単量体、例えばブタ
ジエンなどを共重合させることにより改質されたものも
含まれる。この種の共重合体においては、エチレン以外
の成分の割合が20重量%以上であることが望ましい。ま
たその数平均分子量Mnは3万以下であることが望まし
い。
この種の共重合体の具体例としては、エチレン−メチル
メタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メチ
ルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレ
ート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体
などを挙げることができる。
またこのエチレン等からなる共重合体には必要に応じて
液状可塑剤を添加し、硬度等の物性を適宜調整する。液
状可塑剤としてはジオクチルフタレート(DDP)などの
二塩基酸エステル系のものが好適に利用できるが、リン
酸エステル系、セバシン酸エステル系、アジピン酸エス
テル系、ポリエステル系等のものなど、種々のものを利
用できる。
「作用」 本発明のフィッティング方法では、インナーブーツを加
熱した後足を入れてスキー靴を締めると、インナーブー
ツに取り付けられた−15℃〜+40℃の温度範囲において
ショアー硬度(A型)が90〜10の範囲内にあり、ガラス
転位温度が−15℃以下、メルトフローレートが300g/10m
in以上、示差走査熱量測定法による熱分析での融点測定
の結果がピーク温度+30〜80℃で、融解終了温度+40〜
+90℃を示し、かつ+25℃から融解終了温度までの溶融
熱エネルギーが50cal/g以下である熱可塑性エラストマ
ーが流動して足の形状にならって変形する。そして、こ
の後冷却すると足型を写し取った状態で固化する。
このように足型にならった熱可塑性エラストマーは、全
体が足と均一に接することになる。またこの熱可塑性エ
ラストマーは再び加熱処理されなければ変形しない。
また更に本発明のインナーブーツは、フィッティング材
として、内皮側にスポンジが配置され、外皮側に−15℃
〜+40℃の温度範囲においてショアー硬度(A型)が90
〜10の範囲内にあり、ガラス転位温度が−15℃以下、メ
ルトフローレートが300g/10min以上、示差走査熱量測定
法による熱分析での融点測定の結果がピーク温度+30〜
80℃で、融解終了温度+40〜+90℃を示し、かつ+25℃
から融解終了温度までの溶融熱エネルギーが50cal/g以
下であるエラストマーが配置されたものなので、足を動
作させるとこの動作は直ちにエラストマーに伝わり、エ
ラストマーは瞬時に反力を生じる。よってこのインナー
ブーツによれば、足を強く締め付けなくても足からスキ
ー靴へ力が良好に伝達する。また同様にスキーの受ける
力も足に良好に伝わる。
また本発明のインナーブーツに用いられたフィッティン
グ材においては、流動可能な材料からなるフィッティン
グ層の間に可撓性シートが配置されているので、フィッ
ティング層をなす材料が可撓性シートに粘り着いて、フ
ィッティング層をなす材料の流下が阻まれる。
「実施例」 以下、実施例に沿って本発明のスキー靴のフィッティン
グ方法及びその方法に供されるインナーブーツを詳しく
説明する。
(実施例1〜4) 第1図および第2図は、本発明のフィッティング方法を
実施するのに好適なスキー靴のインナーブーツを示すも
のである。
このインナーブーツ16は、内皮3と外皮4との間にフィ
ッティング材としてのスポンジ10とエラストマー11が収
容されるようになっている。
スポンジ10は、軟質発泡ウレタンからなるもので、内皮
3の外面全体に積層されている。
エラストマー11は厚さ2mmの板状のもので、その厚み方
向の中間には、第3図に示すような可撓性を有する網状
の可撓性シート13が挟まれている。
前記可撓性シート13には、エラストマー11が流動可能な
温度でも流動化することのない材料で形成されている。
そのような可撓性シート13としては、耐熱性の高い合成
樹脂からなるものや、布製、革製あるいは紙製のものな
ど各種のものを例示できる。またこの可撓性シート13は
平滑でなものであっても良いが、多数の孔が設けられた
り表面に凹凸が形成されたものであっても良い。
多数の孔が形成された可撓性シート13としては、網状に
編まれたものや、シートに後から孔が穿設されたものな
どを利用できる。可撓性シート13として、多孔性のもの
を用いる場合、個々の孔の開口面積は1〜100mm2、特に
20〜30mm2程度であることが望ましい。
可撓性シート13の孔が大き過ぎると、高温下でエラスト
マー11が流動しすぎて、還元しにくくなるという不都合
が生じる。また孔が小さ過ぎるとフィッティング時の流
動が不足するという不都合が生じる。
このエラストマー11は、第4図に示すように、中央部が
湾曲した略Ω形に形成されており、第2図中破線で示す
ように、足の外側部からアキレス腱の部分を経て内側部
にわたる部分を覆うように配置されている。そしてこの
エラストマー11は、該エラストマー11よりも1回り大き
な袋状でかつ薄いフィルムからなる外包材14に内に収容
されフィッティングパット20とされた状態で、インナー
ブーツ16に収容されるようになっている。
このフィッティングパッド20をフィッティング処理する
には、まずフィッティングパット20のエラストマー11が
溶融する温度まで加熱する。溶融したエラストマー11
は、加わる圧力によって流動し足型等にならう。このフ
ィッティングパッド20では、外包材14がエラストマーよ
りも1回り大きく形成されているので、エラストマー11
の周囲と外包材14との間に余裕空間が存在する。このた
めフィッティング処理の際に押し退けられたエラストマ
ー11の余剰分は、周囲の余裕空間に薄く広がる。
このスキー靴のフィッティング処理は次のように行われ
る。
まずインナーブーツ16の内皮3と外皮4との間にフィッ
ティングパット20を収める。必要に応じて、このとき、
フィッティングパット20を粘着剤、マジックファスナー
等を用いて位置ずれしないように固定する。
次にこのインナーブーツ16をシェル1に挿入した後、こ
のシェル1を第5図に示すように加熱処理用のボックス
18に収める。
そして、インナーブーツ16内に熱風を吹き込んで、エラ
ストマー11を流動可能な温度まで加熱する。この後直ち
にインナーブーツ16に足を挿入して、シェル1のバック
ルを締め、この状態でエラストマー11が非流動状態にな
るまで冷却する。
このようなフィッティング方法で処理されたインナーブ
ーツをパネル試験に供した。エラストマー11には第1表
に示す物性を有するものを用いた。
比較のためにエラストマー11の代わりに、第1表に示し
た特性を有するパラフィンワックス製ガムパッド8を用
いたフィッティング方法で処理されたスキー靴と、硬質
なエチレン−酢酸ビニル共重合体製フィッティング材を
インナーブーツ16に収めてフィッティング処理したスキ
ー靴を同様の試験に供した。
その結果、実施例のフィッティング方法で処理されたス
キー靴は、うっ血による足の痛みを解消できると共に、
足とスキー靴との間の力の伝達が良好であることが確認
された。
これに対してパラフィンワックス製ガムパッド8を用い
たフィッティング方法で処理した比較例1のものは、シ
ェル1のバックルをきつく締めても足からスキー靴への
力の伝達に遅れを感じ、足の痛みの解消および操作性共
に不満が多かった。また比較例2のものも、足に当たっ
て短時間で足が痛くなった。
またパネル試験の際にインナーブーツ16内の形状を調べ
たところ、実施例のフィッティング方法で処理されたス
キー靴は長時間使用しても最初の形状を保っていること
が確認された。これに対してガムパッド8を用いてフィ
ッティング処理されたものは、使用するごとに形状が変
化していた。
またパネル試験により、実施例のものは、フィッティン
グ処理が短時間で完了し、かつ何度でもフィッティング
処理をやり直しできることを確認できた。
特にDOPが加えられたエラストマーを用いた場合(実施
例3,4)はフィッティング処理が容易であった。これに
対して比較例のものは、フィッティングにかなりの時間
を要した。
ついで実施例のインナーブーツ16…からエラストマー11
を取り出して観察したところ、第6図および第7図に示
すようにその周縁部が徐々に薄く伸ばされていた。
次に実施例1〜4で用いたエラストマーを取り出してピ
ーク温度まで加熱したところ、これらの樹脂は力が加え
られると変形し、力が解除されると再びゲル様になるチ
キソトロピー様の現象を示した。
(実施例5) 第8図に示すようにインナーブーツ16の内皮3と外皮4
との間の空間全体にエラストマー11を注入してフィッテ
ィング処理を行った。
このフィッティング方法においても、前記実施例1〜4
の場合と同様に良好なフィッティング状態が得られた。
「発明の効果」 以上説明したように本発明のフィッティング処理方法及
びそれに供されるインナーブーツにおいては、−15℃〜
+40℃の温度範囲においてショアー硬度(A型)が90〜
10の範囲内にあり、ガラス転位温度が−15℃以下、メル
トフローレートが300g/10min以上、示差走査熱量測定法
による熱分析での融点測定の結果がピーク温度+30〜80
℃で、融解終了温度+40〜+90℃を示し、かつ+25℃か
ら融解終了温度までの溶融熱エネルギーが50cal/g以下
である熱可塑性エラストマーを予めインナーブーツに取
り付け、ついでこのインナーブーツをシェルに挿入し、
この状態でインナーブーツを加熱してこれに取り付けら
れた熱可塑性エラストマーを流動可能な状態にし、つい
でインナーブーツ内に足を挿入し、スキー靴を締めて冷
却し、前記熱可塑性エラストマーを固化させる方法なの
で、インナーブーツの内面が足の形状に良好にフィット
するうえ、その形状が使用中に変化することがない。
従って本発明のフィッティング方法及びそれに供される
インナーブーツによれば、足を強く締め付けなくても足
とスキー靴との間の力の伝達が良好に行われる状態にフ
ィッティングでき、うっ血による足の痛みの解消と、力
の伝達性の向上を同時に実現できる。
さらに本発明のフィッティング方法及びそれに供される
インナーブーツでは熱可塑性エラストマーを最初からセ
ットしておくので、スキー靴内の適切な箇所に足を位置
させた状態でフィッティング処理を行なえる。
またさらに本発明のフィッティング方法では熱可塑性エ
ラストマーを用いているので、フィッティング状態が不
満であれば再度加熱処理からくり返すことによりフィッ
ティングをやり直しできる。従って本発明のフィッティ
ング方法は、熟練しなくても実施でき、多くのスキー愛
好者の要望に応じることができる利点がある。
また本発明のインナーブーツは、フィッティング材とし
て内皮側にスポンジが配置され、外皮側に−15℃〜+40
℃の温度範囲においてショアー硬度(A型)が90〜10の
範囲内にあり、ガラス転位温度が−15℃以下、メルトフ
ローレートが300g/10min以上、示差走査熱量測定法によ
る熱分析での融点測定の結果がピーク温度+30〜80℃
で、融解終了温度+40〜+90℃を示し、かつ+25℃から
融解終了温度までの溶融熱エネルギーが50cal/g以下で
あるエラストマーが配置されたものなので、足を動作さ
せるとこの動作は直ちにエラストマーに伝わり、エラス
トマーは瞬時に反力を生じる。よってこのインナーブー
ツによれば、足を強く締め付けなくても足からスキー靴
への力の伝達が良好に行なわれる。また同様にスキーが
受ける力も良好に足に伝わる。従ってこのインナーブー
ツによれば、うっ血による足の痛みの解消と、力の伝達
性の向上を同時に実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のスキー靴のフィッティング方法を実施
するのに好適なインナーブーツを示す断面図、 第2図は同インナーブーツを示す斜視図、 第3図は同インナーブーツに取り付けられるエラストマ
ーに挟み込まれた多孔性シートを示す平面図、 第4図は同インナーブーツに取り付けられるエラストマ
ーが外包材に包まれた状態を示す平面図、 第5図は実施例で用いた加熱ボックスを示す斜視図、 第6図および第7図は同実施例でフィッティング処理し
た後のエラストマーの状態を示すもので、第6図は平面
図、第7図は断面図、 第8図は本発明のフィッティング方法を実施するのに好
適なインナーブーツの他の例を示す断面図、 第9図は本発明のフィッティング方法に用いる熱可塑性
エラストマーのショアー硬度(A型)の範囲を示す図、 第10図は熱可塑性エラストマーの温度と貯蔵弾性率との
一般的な関係を示すグラフ、 第11図は示差走査熱量測定法によって得られる一般的な
データを示すグラフ、 第12図はインナーブーツを有するスキー靴を示す斜視
図、 第13図ないし第15図はそれぞれ従来のフィッティング方
法を実施したインナーブーツを示す断面図である。 1……シェル、10……スポンジ、11……熱可塑性エラス
トマー、13……可撓性シート、14……外包材、16……イ
ンナーブーツ、18……加熱処理用ボックス、20……フィ
ッティングパット。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内皮と外皮との間にフィッティング材が収
    容されたスキー靴用インナーブーツであって、 前記フィッティング材として、内皮側にスポンジが配置
    され、外皮側に−15℃〜+40℃の温度範囲においてショ
    アー硬度(A型)が90〜10の範囲内にあり、ガラス転位
    温度が−15℃以下、メルトフローレートが300g/10min以
    上、示差走査熱量測定法による熱分析での融点測定の結
    果がピーク温度+30〜80℃で、融解終了温度+40〜+90
    ℃を示し、かつ+25℃から融解終了温度までの溶融熱エ
    ネルギーが50cal/g以下であるエラストマーが配置され
    たことを特徴するスキー靴用インナーブーツ。
  2. 【請求項2】スキー靴のシェル内に挿入されて足を覆う
    インナーブーツであって、 足をホールドする部分が少なくとも3層以上の構造とさ
    れ、各層をなす材料として、内層から外層に向かって漸
    次弾性率の高い材料が用いられたことを特徴とする特許
    請求の範囲第1項記載のスキー靴用インナーブーツ。
  3. 【請求項3】流動可能な材料からなるフィッティング層
    の間に、多孔性のものでありかつ個々の孔の開口面積が
    1〜100mm2である可撓性シートが配置されてなるフィッ
    ティング材を用いた特許請求の範囲第1項又は第2項記
    載のスキー靴用インナーブーツ。
  4. 【請求項4】熱可塑性材料からなるフィッティング材
    が、該フィッティング材よりも1回り大きな袋状の外包
    材に収容されたことを特徴とするフィッティングパッド
    を用いた特許請求の範囲第1項、第2項又は第3項記載
    のスキー靴用インナーブーツ。
  5. 【請求項5】足を覆うインナーブーツと該インナーブー
    ツが収容されるシェルとからなるスキー靴のフィッティ
    ング処理方法であって、 −15℃〜+40℃の温度範囲においてショアー硬度(A
    型)が90〜10の範囲内にあり、ガラス転位温度が−15℃
    以下、メルトフローレートが300g/10min以上、示差走査
    熱量測定法による熱分析での融点測定の結果がピーク温
    度+30〜80℃で、融解終了温度+40〜+90℃を示し、か
    つ+25℃から融解終了温度までの溶解熱エネルギーが50
    cal/g以下である熱可塑性エラストマーを予めインナー
    ブーツに取り付け、ついでこのインナーブーツをシェル
    に挿入し、この状態でインナーブーツを加熱してこれに
    取り付けられた熱可塑性エラクトマーを流動可能な状態
    にし、ついでインナーブーツ内に足を挿入し該スキー靴
    を締めて冷却し、前記熱可塑性エラストマーを固化させ
    ることを特徴とするスキー靴のフィッティング方法。
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