JPH076855A - スパークプラグ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スパ−クプラグの着火性向上のために放電間
隙に充分な予熱効果を付与すると同時にヒータの耐久性
をも向上させるものである。 【構成】 中心電極と接地電極との間に構成される放電
間隙の近傍に、セラミックヒータを設け、更には、その
離間距離を５ｍｍ以下にしてなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、特に寒冷季における
着火効率を向上させるグロープラグ付きスパークプラグ
の構造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、寒冷季においてスパークプラグの
着火効率を向上させるために、着火に際して、事前に予
熱を付与する方法が提案されている。例えば、中心電極
内に電熱線を絶縁的に収納し、着火に際しては、事前に
その電熱線に低電圧を掛けることにより、スパークプラ
グの放電間隙周辺を予熱するものがある。しかしなが
ら、この構造を有するスパークプラグにおいては、シー
ズヒータを中心電極が兼用するため、中心電極の外径を
大きくせざるを得ず、そのため、絶縁体の発火脚部の径
も必然的に大きくなることから、熱価の設定が困難であ
るとともに、シーズヒータが中心電極でもあるため、発
熱部の大部分が絶縁体内部に位置するため、放電間隙周
辺を充分に予熱することが困難であった。

【０００３】そこで、実公昭５２ー９９５１号に示され
るような、中心電極とは別にシーズヒータをも主体金具
によって担持して、スパ−クプラグの放電間隙に隣接し
た位置にシーズヒータを突設させて、放電間隙周辺部を
予熱させる構造が提案された。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記考
案においては、シーズヒータを放電間隙により近接させ
た方が、より予熱効果を発揮させることができるもの
の、シーズヒータがメタルシーズヒータであり、又、ス
パ−クプラグ着火時には放電間隙に高電圧が印加される
とともに、燃焼室内において吸入混合気のスワールが生
ずることによって電極間に生ずる火花が左右方向へ流さ
れるため、メタルシーズヒータを放電間隙に近接させれ
ばさせる程、メタルシーズヒータと中心電極あるいは接
地電極間にスパークが発生し易く、スパ−クプラグの着
火効率を低下させるとともに、メタルシーズヒータ自体
を消耗させ、場合によってはメタルシーズヒータ自体の
破壊をもたらす危険があった。そのため、予熱効果の向
上と着火効率の向上及びシーズヒータの耐久性とが二律
背反の関係になり、全ての効果を充分に発揮させること
が困難であるという欠点があった。

【０００５】そこで、この発明は上記従来のものの有す
る欠点を改善するものであり、グロープラグ付きスパ−
クプラグにおいて、予熱効果を向上させるとともに着火
効率も向上させ、併せてグロープラグの耐久性をも向上
させるものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そのために、スパ−クプ
ラグの中心電極と接地電極との間に構成される放電間隙
の近傍に、セラミック内に発熱体全体が埋め込まれるセ
ラミックヒータを設け、更には、その離間距離を５ｍｍ
以下にしてなるものである。

【０００７】

【作用】上記構成を具えるので、スパ−クプラグの放電
間隙に予熱を付与するヒータとしてセラミックヒータが
形成されることから、このセラミックヒータによる放電
間隙への充分な予熱効果を付与するためにヒータを放電
間隙に極めて近接させ、しかも燃焼室内においてスワー
ルが生じていても、スパ−クプラグの中心電極あるいは
接地電極とヒータ間においてスパークが生ずることがな
い。その結果、中心電極あるいは接地電極とヒータ間に
おけるスパークによって、スパ−クプラグ自体の着火効
率が阻害されることもなく、又、ヒータ自体の損傷が生
ずることもなもないので、予熱効果の向上及び着火効率
の向上並びにグロープラグの耐久性の向上という、従
来、二律背反の関係にあって充分な効果を得ることがで
きなかった効果を、全て同時に達成することができる。

【０００８】

【実施例】この発明を図に示す実施例により更に説明す
る。（１）はこの発明の実施例を具えるスパ−クプラグ
であり、（２）は絶縁体であって、その内部の軸孔に中
心電極（３）を充填材（４）により封着固定し、（５）
は主体金具であって、その主体金具（５）の内腔（１
９）の段部（２０）にパッキン（２１）を介して絶縁体
（２）の段座（２２）を係止し、前記絶縁体（２）の上
部を板パッキン（６）、充填粉末（２３）を配して主体
金具（５）の後部端縁（２４）を加締めて固定し、
（７）は接地電極であって、主体金具（５）下端面に固
定され、中心電極（３）と対向して、放電間隙（８）を
構成する。（９）は支持孔であって、主体金具（５）内
の絶縁体（２）側方に、軸線に対して放電間隙（８）側
へ傾斜して貫通するよう設けられ、（１０）はセラミッ
クヒータであって、その先端（１８）が主体金具（５）
下端より突出して、放電間隙（８）近傍に位置するよう
に主体金具（５）の支持孔（９）内に嵌入固定され、後
部には円筒状の金具（１５）が取付けられている。（１
１）は通電用の中軸であって、セラミックヒータ（１
０）後端を閉塞するナット（１３）及び絶縁リング（１
２）を貫通した上、セラミックヒータ（１０）の金具
（１５）内部においてはガラス体（１４）によって被覆
され、セラミックヒ−タ（１０）の略中央部は銀蝋（２
５）により主体金具（５）の支持孔（９）内に固着さ
れ、また、窒化珪素によりセラミックヒータ（１０）の
本体（１７）を形成し、内部にその全体を本体（１７）
内に埋込んだ発熱体（１６）を有し、発熱体（１６）の
一端を中軸（１１）に他端を主体金具（５）に接地され
ている。

【０００９】この発明は上記構成を具えるので、放電間
隙（８）の長さをＥとし、放電間隙（８）とセラミック
ヒータ（１０）の主体金具（５）下端よりの突出部分と
の距離をＬとして、Ｅ＝１．０ｍｍ、Ｌ＝３．５ｍｍに
設定したスパ−クプラグ（１）において、排気量１６０
０ｃｃの４気筒エンジンに設置して６０００ｒｐｍ×４
／４．１０分間運転させるというテストを行った結果、
セラミックヒータ（１０）は中心電極（３）とも、また
接地電極（７）ともいずれともスパークを生ずることが
無いという好結果を得ることができた。これに対し、セ
ラミックヒータ（１０）の代わりに、従来提案されてい
るのと同じメタルシーズヒータを用い、その他の条件は
前記テストと同条件の下でテストを行ったところ、メタ
ルシーズヒータと中心電極あるいは接地電極との間でス
パークが散発される結果となった。

【００１０】これらの対比テストの結果から明らかなよ
うに、スパ−クプラグ（１）の着火性を向上させるため
に放電間隙（８）に対して予熱を付与する構成において
セラミックヒータ（１０）を用いれば、予熱効果を向上
させるためにセラミックヒータ（１０）を放電間隙
（８）に近接させても、その構成材質であるセラミック
の非電導性という特質により、スパ−クプラグ（１）着
火時に放電間隙（８）に高電圧が印加されるとともに、
燃焼室内に生ずる吸入混合気のスワールによって放電間
隙（８）に生ずる火花が左右方向へ流されても、セラミ
ックヒータ（１０）と中心電極（３）あるいは接地電極
（７）間にスパークが発生することはない。そのためス
パ−クプラグ（１）の着火効率の低下や、セラミックヒ
ータ（１０）自体の消耗あるいは上記ヒータ（１０）自
体の破壊をもたらす危険はなく、上記ヒータ（１０）の
耐久性ひいてはスパ−クプラグ（１）全体の耐久性を向
上させることができる。又、セラミックヒータ（１０）
はメタルシーズヒータに比較して昇温スピードを速く設
定することができるので、エンジンの低温始動時におけ
る待機時間を減少させることもできる。

【００１１】一方、放電間隙（８）とセラミックヒータ
（１０）の主体金具（５）下端よりの突出部分との距離
Ｌを５ｍｍ以下に設定しなければ、セラミックヒータ
（１０）による放電間隙（８）への予熱効果は充分では
ない。尚、主体金具（５）に嵌入されるセラミックヒー
タ（１０）は、取り外し可能な別体形式であっても、
又、取り外し不能の一体形式であってもよい。また、セ
ラミックヒ−タ（１０）の発熱体（１６）は高融点金属
線や導電性セラミックを埋設したものが適用できる。

【００１２】

【発明の効果】以上の通り、この発明はスパ−クプラグ
の放電間隙への予熱効果を充分に確保しつつ、同時に、
セラミックヒータと各電極間とのスパークを防止してス
パ−クプラグの着火性を向上させるとともに、ヒータ自
体の耐久性ひいてはスパ−クプラグ自体の耐久性をも向
上させ、さらにはヒータの昇温スピードを速めることに
よってエンジンの低温始動時の待機時間を減少させると
いう優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例をそなえるスパ−クプラグの
縦断面図である。

【符号の説明】

１ スパ−クプラグ ２ 絶縁体 ３ 中心電極 ４ 充填材 ５ 主体金具 ６ 板パッキン ７ 接地電極 ８ 放電間隙 ９ 支持孔 １０ セラミックヒータ １１ 中軸 １２ 絶縁リング １３ ナット １４ ガラス体 １５ 外筒 １６ 発熱体 １７ 本体 １８ 先端 １９ 内腔 ２０ 段部 ２１ パッキン ２２ 段座 ２３ 充填粉末 ２４ 後部端縁 ２５ 銀ろう

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主体金具内に絶縁体を有し、絶縁体を貫
   通する軸孔内に、一端を端子電極に接続し、他端発火部
   を絶縁体より突出する中心電極を収容し、上記中心電極
   の発火部が主体金具に接続する接地電極に対向してな
   り、上記中心電極と上記接地電極との間に構成される放
   電間隙の近傍に、セラミック内に全体が埋込まれる発熱
   体を具えるセラミックヒータを設けてなるスパ−クプラ
   グ。
2. 【請求項２】 中心電極と接地電極との間に構成される
   放電間隙とセラミックヒータとを、５ｍｍ以下の距離に
   おいて離間させて設けてなる請求項１記載のスパークプ
   ラグ。