JPH076849A - 圧着機用高さ調節装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧着機用高さ調節装置において、電気端子の
圧着バレルの圧着高さを複数に選定可能とする。 【構成】 高さ調節装置１０は例えば略円板状のキャリ
ア１２を有する。このキャリア１２は中心に軸受用中心
開口１９とその周囲に複数のスペーサ挿入孔１６を有す
る。このスペーサ挿入孔１６には高さ（または長さ）の
異なるスペーサ１４が挿入保持される。異なるスペーサ
１４の両端面はキャリア１２の両面からの突出寸法が異
なる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ベースの近くに移動可
能なラムを有し、そのベースとラムの間に工作物を挟む
圧着（crimping）または他のプレス機械の分野に関し、
より詳しくは、プレス機械においてベースに対するラム
の最近接位置を調節するための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】工業界では、工作物に対する予備成形作
業に様々な種類のプレス機械が使用されている。プレス
機械は一般的に、ベースに向かって、およびベースから
遠ざかるように往復運動するラムを有し、ベースとラム
の間に工作物を挟む。プレス機械の一形態は、端子を電
気導体に圧着するための自動圧着機械である。

【０００３】様々な型の端子を電気導体の回りで変形ま
たは圧着（crimp)し、その間を電気的に接続することが
できる。端子圧着機械(terminal crimping machine）は
一般的に、機械のベースに向かって、およびベースから
遠ざかるように往復運動する圧着ダイス(crimping die)
を支える工具ラム(tooling ram) を含む。圧着ダイスは
ベースに取り付けたアンビルと協働し、圧着ダイスがア
ンビルに接近した時に、その間に配置された端子を変形
させる。

【０００４】変形後の端子の高さを圧着高さ(crimp hei
ght)と呼ぶ。圧着高さは、圧着された接続部の品質の重
要な指針である。圧着高さが大きすぎると、安定した、
信頼性のある接続が得られず、圧着高さが小さすぎる
と、過剰の変形を引き起こし、端子および／または導体
が弱くなる、あるいは破損し、そのうえ、機械を駆動す
るエネルギーの浪費となる。

【０００５】圧着高さ(crimp height)は機械の圧着高さ
(shut height）（すなわち圧着ダイスがアンビルダイス
に最も接近した時の圧着ダイスとアンビルダイスの間の
寸法）の関数である。圧着高さは、異なった圧着高さを
必要とする様々な大きさおよび種類の端子および／また
は導体を収容するために変えなければならない場合があ
る。また、圧着高さは、工具の摩耗、交換部品の寸法的
公差、および温度変動による寸法変化などを補償するた
めに調節を必要とすることがある。

【０００６】自動圧着機の圧着高さを調節する装置は公
知である。Sitz所有の米国特許第３，１８４，９５０号
は、圧着ダイスを支える工具ラムをアンビルダイスに向
けて駆動するパワーまたはプレスラムを有する自動圧着
機械のための圧着高さ調節装置を記載している。この調
節装置は、プレスラムと工具ラムの間に配置された回転
ディスクを含む。ディスクの、プレスラムに面した側
は、複数の、異なった高さのボス対を有する。プレスラ
ムの圧着行程中、プレスラムの接触アームが選択された
ボス対に突き当たり、それによってプレスと工具ラムの
間の間隔が調節される。ディスクは回転して、接触アー
ムと噛み合うように異なったボス対を選択的に配置する
ことができ、それによって機械のラムと圧着高さの間隔
を変えることができる。選択したボスが確実に接触アー
ムと整列し、異なった選択がなされるまでその位置に維
持されるように、もどり止め機構が設けられている。Si
tzの装置は十分に機能するが、このディスクは、一体化
された金属装置であり、ボスを狭い寸法公差で機械加工
する必要があるので、高価である。ボスの一つを不精確
に機械加工すると、ディスク全体が損なわれることがあ
り、使用中にボスが摩耗すると、ディスク全体を正確な
寸法に機械加工した新しいディスクと交換しなければな
らない。さらに、１個のディスクには４つの異なった圧
着高さを与える４対のボスしかなく、広範囲な圧着高さ
に対応するためには複数のディスクを在庫しなければな
らない。

【０００７】Boutcher, Jr. 所有の米国特許第４，７９
０，１７３号は、プレスラムに固定された取り付けブロ
ックおよび取り付けブロックと工具ラムの間に回転でき
るように設置されたダイアルを含む圧着高さ調節装置を
開示している。取り付けブロックとダイアルの向き合っ
た表面は対向するらせん状の傾斜部を形成する。ダイア
ルの角度位置が変化することにより、傾斜部が重なり、
それによってダイアルがプレスラムに対して軸方向で移
動し、機械の圧着高さが変化する。Boutcher,Jr. の装
置は、上限と下限の間で圧着を無限調節することができ
る。しかし、この装置は、角度のついた傾斜部が、分離
された異なった圧着高さに関連する本質的な区域を与え
ないので、特定の圧着高さを迅速に、容易に選択するこ
とはできない。所望の圧着高さは、試験製造により所望
の圧着高さをゼロに合わせ、一連の調節を行った後に得
ることができる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】調節が容易で、試験製
造を行わずに多くの異なった圧着高さを与えることがで
き、先行技術の圧着高さ調節装置よりも安価に製造でき
る、プレス用の圧着高さ調節装置が必要とされている。
さらに、圧着高さ調節装置は、損傷した、または摩耗し
た部品を交換することにより、容易に修理できるべきで
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、電気端子を導
体に圧着接続する圧着機用高さ調節装置において、中心
開口の周囲に複数のスペーサ挿入孔が貫通形成された平
板状のキャリアと、該キャリアの前記スペーサ挿入孔に
挿入保持され、前記キャリアの両主面からの突出寸法が
異なる長さの複数のスペーサとを備え、該スペーサが挿
入保持された前記キャリアをベースおよびラム間に間挿
して前記電気端子の圧着高さを選択可能にすることを特
徴とするものである。

【００１０】本発明は、一定の前進および後退行程に沿
って移動可能なプレスラム、およびプレスラムに接続さ
れた、前進および後退行程の際にそれぞれベースに向か
って、およびベースから遠ざかるように移動する工具ラ
ムを有するプレス用の圧着高さ調節装置に関する。プレ
スラムおよび工具ラムは、少なくとも前進行程ではある
間隔を置いている。この圧着高さ調節装置は下記の通り
である。

【００１１】複数のスペーサ、および複数のスペーサを
取り外しできるように保持する手段を有するキャリアを
設ける。各スペーサは、各スペーサの長さを精確に画定
する対向する両端面を有し、異なったスペーサは異なっ
た長さを有する。少なくとも１個のスペーサが、プレス
ラムと工具ラムの対向する接触部分の間に挟まれ、プレ
スラムの前進行程の際、少なくとも１個のスペーサの対
向する両端面が対応する接触部分と係合するようにする
ことができる。

【００１２】それによって、少なくとも１個のスペーサ
の長さがラム間の間隔を限定し、キャリアを変位させて
接触部分間に異なったスペーサを配置し、ラム間の間隔
を調節することができる。

【００１３】以下に、添付の図面を参照しながら、実施
例により本発明を説明する。

【００１４】

【実施例】本発明の圧着機用高さ調節装置は、図８に示
すような端子圧着プレスに有用である。このプレスは、
ベース５６に向かう、およびベースから遠ざかる、前進
および後退行程を通して移動できるプレスラム５０を有
する。プレスラム５０は、ベルト６４によりはずみ車６
６に接続されたプーリー６２を有するモーター６０を含
む、駆動手段により前進および後退行程を通して駆動さ
れる。単回転クラッチ６８は、はずみ車６６に選択的に
接続し、単一の上下サイクルで接続棒７２を往復運動さ
せるように運転することができる。棒７２の運動は、ピ
ボット接続リンク７４、７６を通してプレスラム５０に
伝達され、それによってクラッチ６８の１回転がプレス
ラム５０を１回前進および後退させる。当業者には、本
発明の圧着高さ調節装置が別の型のプレスにも使用でき
ることは明らかである。

【００１５】工具ラム７０はプレスラム５０に接続され
ており、前進および後退行程の際にそれぞれベース５６
に向かって、およびベースから遠ざかるように移動す
る。図９〜１１により分かり易く示すように、拡大ヘッ
ド３６を有するポスト３５が工具ラム７０に捩じ込まれ
ている。拡大ヘッド３６はプレスラム５０のフック状末
端５２の間に横滑りできるように受け入れられ、それに
よって工具ラム７０を交換することができる。ワイヤ圧
着部材４２および絶縁圧着部材４４が工具ラム７０に支
持されている。ワイヤ圧着部材４２は、工具ラム７０か
ら伸びている位置合わせダボ９６を受け入れる穴８６を
有する。絶縁圧着部材４４は、絶縁圧着部材４４が工具
ラム７０に対して限定的に横滑り移動できるように、ね
じ山の付いたファスナー８２を受け入れるスロット８８
を有する。ファスナー８２は、ワイヤ圧着部材４２中の
キャビティ８４を通して伸び、工具ラム７０に接続され
ている。

【００１６】本発明の圧着高さ調節装置（圧着機用高さ
調節装置）１０は、プレスラム５０と工具ラム７０の間
で、ポスト３５に回転できるように取り付けられる。図
１〜５に示すように、圧着高さ調節装置１０は、ポスト
３５を受け入れる中心開口１９を有するキャリア１２を
含む。キャリア１２は、複数のスペーサ１４を回転でき
るように保持するための手段を有する。図に示す好まし
い実施態様では、その回転できるように保持する手段
は、キャリア１２の中心開口１９により限定される回転
軸１３に対して同心状に配置された複数の開口（スペー
サ挿入孔）１６を含む。各開口１６は、キャリア１２の
対向する端面（主面）を貫通して伸びる、略円筒状の壁
１７を有する。図５に詳細に示すように、壁１７は、等
角度で間隔を置いて配置された３個の隆起部１８により
中断されており、各隆起部１８は、角度のついた傾斜部
２２および直角の水平部２４により形成されている。隆
起部１８は、円筒状壁１７の周辺部で、壁の軸方向の長
さに沿った中間位置に配置されている。キャリア１２
は、本質的に堅いプラスチック材料から成形されている
が、以下に説明するように、スペーサ１４を取り外しで
きるようにある程度の柔軟性を有するのが好ましい。キ
ャリア１２は、壁の柔軟性を高めるために、開口１６の
壁１７に通気孔２６を有するように成形することができ
る。

【００１７】代表的なスペーサの一つを図４に示す。ス
ペーサ１４は、略円筒形の周辺部１５を有し、開口１６
のいずれかの円筒状壁１７の中に滑らせて挿入できる寸
法を有する。スペーサー１４の円筒状周辺部は、角度が
付いた部分４および直角方向に伸びるシート５により分
断されており、これらが周方向の溝６を画定している。
スペーサ１４は、スペーサの長さＬを精確に限定する、
一対の対向する端面７、８を有する。スペーサ１４は工
具鋼または他の硬質材料から機械加工されており、別の
スペーサ１４は異なった長さＬに精確に、厳密な公差で
機械加工されているが、長さＬは、キャリア１２中の開
口１６の軸方向の長さより常に大きい。溝６は好ましく
は、対向する端面７、８がキャリアの外側表面より外に
位置するように、開口１６の軸方向の長さに沿った隆起
部１８の中間位置に対応する、長さＬに沿った中間位置
に配置されている。

【００１８】図６および７は、キャリア１２の開口１６
中に配置された、異なった長さＬを有する２個のスペー
サ１４を示す。これらの図では、分かり易くするために
長さＬの違いを誇張してある。使用する際、キャリア１
２は、直径方向で対向する開口１６の対の中に、４対の
スペーサ１４を保持し、スペーサ対のそれぞれは同じ長
さＬを有し、他の対からは長さが０．０００５インチ
（０．００１２７ｃｍ）ずつ異なっている。

【００１９】スペーサ１４は、隆起部１８と溝６の間の
噛み合わせにより、開口１６の中に取り外しできるよう
に保持されている。圧着高さ調節装置１０を手で保持
し、端面７を指で押すことにより、スペーサ１４を開口
１６から取り外すことができるが、その際、角度のつい
た部分４が傾斜部２２に突き当たり、キャリア１２の柔
軟性のために隆起部１８が半径方向で外側にそらされ、
それによってスペーサ１４が一つの軸方向で開口１６か
ら外れる。スペーサ１４は、直角方向に伸びるシート５
が直角方向の水平部２４に突き当たるので、他の軸方向
で取り外すことはできない。

【００２０】図９〜１１において、プレスラム５０の下
側は、フック状末端５２の下方に一対の接触部分５４を
形成する。圧着高さ調節装置１０はポスト３５に回転で
きるように取り付けられているので、直径方向で対向す
るスペーサ１４の対を接触部分５４の対の下に選択的に
移動させることができ、それによってプレスラム５０の
前進行程中、選択されたスペーサ１４の対の端面７が接
触部分５４と係合する。本発明を一般的なプレスの圧着
高さ調節に使用する場合、工具ラム７０の上側は、選択
されたスペーサ１４の対の端面８と係合するのに適した
接触部分７８を形成する。しかし、本発明は、端子圧着
機でワイヤ上に圧着した端子の圧着高さを調節するのに
特に好適である。図面に示すように、端子圧着機は絶縁
圧着ディスク２０、圧着高さ調節装置１０と工具ラム７
０の間に配置されたラムウォッシャー５８および張り合
わせウォッシャー５９を含む。絶縁圧着ディスク２０
は、ディスクの下側表面上に異なった高さを有する複数
のボス２８を含む。ディスク２０は回転可能で、絶縁圧
着部材４４の上表面４６の上に異なったボス２８を選択
して配置することができる。絶縁ワイヤに圧着作業を行
う際、プレスラム５０が下降すると、絶縁圧着ダイス９
２がワイヤ上の絶縁材に接触し、それによって、上表面
４６が選択されたボス２８に接するまで、絶縁圧着部材
４４が上方向に移動し、スロット８８の中のファスナー
８２に接する。このようにして、絶縁圧着ディスク２０
は、調節装置１０により調整される端子圧着高さに対し
て絶縁圧着高さを調整する。当業者には、本発明の調節
装置は絶縁圧着ディスク２０の代替品としても使用でき
ることは明らかである。

【００２１】プレスラム５０の前進行程中、同じ長さＬ
を有するスペーサ１４の選択された対は、プレスラム５
０の接触部分５４と、ウォッシャー５８および５９を載
せた工具ラム７０の接触部分７８との間に挟まれる。こ
のように、選択されたスペーサ対の長さＬが、少なくと
も前進行程の際には、ラム５０および７０の間の間隔を
定める。調節装置１０を回転させ、接触部分５４および
７８の間に、異なった長さＬを有するスペーサ１４の異
なった対を配置することにより、ラム５０および７０の
間隔を調節することができる。

【００２２】調節装置１０は、異なったスペーサ１４の
対を接触部分５４と整列させるために、ポスト３５の周
りで、異なった角度方向でキャリア１２を割り出す(ind
ex）ための手段を含むのが好ましい。図１〜３および１
１に示すように、割り出し手段は、ポスト３５の上の一
連の窪み３７と協働してキャリア１２を選択された角度
方向で保持する、複数の突起３を備えた複数の弾性片持
アーム２１を有するキャリアを含む。キャリア１２の外
周は、割り出し手段により与えられる偏位に抗してキャ
リア１２を回転させるために作業員が掴む摩擦表面を与
える鋸歯状の部分２を含む。キャリア１２の外周には、
異なった圧着高さに対応する記号９も付いている。

【００２３】以上、本発明を説明したが、当業者には多
くの変形が明らかである。本発明には、上記の好ましい
実施態様ならびに妥当な範囲の変形が含まれるが、独占
的な権利を請求する本発明の範囲を判断するには、上記
実施例の説明ではなく、請求項を参照する必要がある。

【００２４】

【発明の効果】本発明の、交換可能なスペーサを有する
圧着高さ調節装置は、一体になった材料から機械加工さ
れた従来の調節装置に比して幾つかの長所がある。従来
の装置は、各装置に広範囲な機械加工が必要とされるた
めに、製造コストが高くなる。本発明の装置は、キャリ
アがプラスチック材料の成形品であるために、安価に製
造できる。本発明の装置は、摩耗した、または損傷した
スペーサを単に交換するだけで容易に修理でき、通常の
摩耗および裂け目が生じた場合に、高価な装置全体を交
換せずに済む。スペーサは個別部品として機械加工され
るので、機械加工の際に、不注意により意図した長さよ
りも短く製作してしまったスペーサは、異なった長さの
スペーサとして使用できる。最後に、先行技術では作業
員が高価なディスクを在庫する必要があるのに対し、本
発明により、作業員はすべての圧着高さに対応するスペ
ーサを在庫すればよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の圧着高さ調節装置の上面全体図

【図２】本発明の圧着高さ調節装置用のキャリアおよび
１個のスペーサの上面全体分解組立図

【図３】キャリアの上面図

【図４】スペーサの側面図

【図５】図の線５−５に沿って見た、キャリアの開口の
断面図

【図６】キャリアに配置された、代表的な長さを有する
スペーサの断面図

【図７】キャリアに配置された、異なった長さを有する
スペーサの断面図

【図８】端子圧着プレスに設置された圧着高さ調節装置
を示す図

【図９】圧着高さ調節装置および関連する図８のプレス
の工具の拡大図

【図１０】圧着高さ調節装置および関連する図９の工具
の部分断面図

【図１１】圧着高さ調節装置および関連する工具の分解
組立て図

【符号の説明】

７、８ 端面 １０ 圧着高さ調節装置 １２ キャリア １４ スペーサ １６ 開口（スペーサ挿入孔） １９ 中心開口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電気端子を導体に圧着接続する圧着機用
   高さ調節装置において、 中心開口の周囲に複数のスペーサ挿入孔が貫通形成され
   た平板状のキャリアと、 該キャリアの前記スペーサ挿入孔に挿入保持され、前記
   キャリアの両主面からの突出寸法が異なる長さの複数の
   スペーサとを備え、 該スペーサが挿入保持された前記キャリアをベースおよ
   びラム間に間挿して前記電気端子の圧着高さを選択可能
   にすることを特徴とする圧着機用高さ調節装置。