JPH076744B2 - 熱間等方圧加圧装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、熱間等方圧加圧装置に係り、より具体的に
は、被処理体を高圧容器の下開口部より装入取出する型
式の熱間等方圧加圧装置に関する。

（従来の技術） 1000〜2000kgf/cm²にも達するガス圧力下で、被処理体
を数百〜2000℃もの高温にして圧縮処理する技術は、熱
間等方圧加圧法（Hot Isostatic Pressing、以下HIPと
略す）と呼ばれ、ガス圧をもちいるために被処理体が大
形あるいは異形であるとを問わず、内部まで均一に圧縮
され、高温であることとあいまって、真密度化にきわめ
て有効なものとして、1960年代に工業化されている。

この装置の要部を第５図を参照して概説すると、高圧容
器１の上下開口部1A,1Bにはそれぞれ上蓋２と下蓋３と
がプレス軸力を担持可能（この手段は、上下蓋を開口部
にそれぞれネジ結合するものと、上下蓋を開口部にそれ
ぞれシールを介して気密状に挿嵌するとともに、上下蓋
の外端面に方形開口部を有する走行形又は旋回形のプレ
スフレームの方形開口部を前記外端面に重合するもの
と、がある。）として装着されている。

被処理材８を下開口部1Bより高圧容器１内に挿入取出を
行なうため、下蓋３はリング形状とされた外下蓋3Aとこ
の外下蓋3Aのリング開口部に挿嵌される挿脱自在な内下
蓋3Bとからなる組合形の下蓋３とされている。

高圧容器１内には倒立コップ形状の断熱層４が配置され
ており、この断熱層４は下蓋３の外下蓋3Aに支持脚4Aを
介して支持されている。

また、断熱層４および下蓋３で画成される処理室７には
加熱要素９が配置されており、下蓋３の内下蓋3Bに支持
台６を介して載置された被処理材８を加熱するようにし
ている。

すなわち、上蓋２側からアルゴンなどの不活性ガスを圧
力媒体として供給し、通常1000kgf/cm²以上の圧力と加
熱要素９による1000℃以上の温度との相乗効果を利用し
て被処理材８を等方圧で加熱被処するものである。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、第５図に示された前述構成の従来技術にあっ
ては、被処理材８の挿入取出は下蓋３における外下蓋3A
は高圧容器１に固定しておき、内下蓋3Bを図外の昇降装
置によって昇降することによってなされる。

この場合、被処理材８および加熱要素９とが互いに接触
することによって損傷したり、支持台６に整然と配置さ
れている被処理材８が倒れたりして被処中に相互に固着
するおそれがある。

これらは、下蓋３は２重構造の複雑さとともに、被処理
材８の支持部分が小さいことに起因するものである。

これらを回避するため、被処理材８を上方取出形式にす
ると、上蓋２を上開口部1Aより抜き、その後、断熱層４
を上開口部1Aを介して取出してからの被処理材８の取出
となり、これはきわめて不便である。

本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、被処理材８
を下方取出形にしたにも拘らず加熱要素９および被処理
材８の損傷とかをなくすとともに、高圧容器１の利用効
率を高くし、かつ操作性の向上を図った熱間等方圧加圧
装置の提供を目的とするのである。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、高圧容器１の上下開口部1A,1Bにプレス軸力
を担持可能として上蓋２と下蓋３とがそれぞれ装着さ
れ、前記高圧容器１の内部に加熱要素９と前記上蓋２側
に吊持された倒立コップ形状の断熱層４とが配置され、
前記下蓋３側に載置されている被処理材８をガス圧媒を
介して等方的に圧縮処理する熱間等方圧加圧装置におい
て、前述の目的を達成するために、次の技術的手段を構
じている。

すなわち、本発明は、前記下蓋３が下開口部1Bに挿脱自
在に嵌合され、前記断熱層４を高圧容器１内部に残した
状態で前記下蓋３とすべての加熱要素９とが一体的に高
圧容器１に対して挿入取出可能とされていることを特徴
とするものである。

（作用） 第１図に示されるように、処理室17に装入された被処理
材８の加圧処理は、前述した従来技術と基本的には同じ
であり、1000〜2000kgf/cm²にも達するガス圧力下で、
被処理体８を数百〜2000℃もの高温にして等方的に圧縮
処理されるのである。

被処理材８の処理室７への挿入と取出は、下蓋３を図外
の昇降装置により高圧容器１の下開口部1Bに対して挿脱
することによってなされ、下蓋３とともにすべての加熱
要素９が一体的に挿入取出されるものであり、断熱層４
は上蓋２側に支持させておき、被処理材８の挿入取出の
さいには処理室７に残置されているのである。

（実施例） 第１図から第４図を参照して本発明の実施例を詳述す
る。

第１図を参照すると明らかなように、本発明の装置を構
成する部材、部品は基本的には前述した従来の技術（第
５図に示した）と同じであり、共通する部材の構成は共
通符号で示している。

従って、以下では改良部分につき詳述すると、倒立コッ
プ形状の断熱層４は懸垂部材５を介して上蓋２側に支持
されている。

支持台６に加熱要素９が備えられるが、この加熱要素９
のエレメントは第３図、第４図に示す如く蛇行部9Aを有
して平面視においてアコーディオン形、つまり蛇腹形状
に屈曲された筒状体であり、電源への接続部9Bの一対を
有する。

斯る形状にすることにより、ヒータ表面積を拡大してい
るのであり、斯る構造の加熱要素９は、本装置以外にも
例えば真空炉にも利用可能である。

支持台６は第２図で示す如く被処理材８の載置部6Aの中
心に貫通孔10が形成され、筒部6Bには放射方向の貫通孔
11が形成されているとともに筒部6Bの外周に形成された
周溝12に、加熱要素９が周設されているのであり、加熱
要素９の上下端は載置部6A及びフランジ部6Cにそれぞれ
絶縁体13を介して取付けられており、接続部9Bが図外の
電極に手動又は自動の着脱機構を介して接続されてい
る。

このように、加熱要素９を支持台６に備えて所謂ベース
ヒータ方式とすることで、加圧処理中においてガス圧媒
は処理室７内で自然対流することにより、被処理材８を
等方圧で均一に圧縮処理することになる。

また、加熱要素９を支持台６に備えていることから、処
理室７の容積が従来の技術のものに対して1.5〜２倍に
することができる。

更に、高圧容器１内部に断熱層４を残した状態で下蓋３
とすべての加熱要素９とが一体的に高圧容器１に対して
挿入取出可能とされている。

なお、支持台６はこれに処理室測温用の測温機構を設け
ることが望ましい。

そして、支持台６は下蓋３に着脱固定自在とされている
のである。

（発明の効果） 本発明によれば、下蓋３はモノブロック構造とすること
ができ構造が単純化され、製作も容易であり、高圧容器
１の下開口部1Bに対する気密性が向上できる。

また、被処理材８は下蓋３の高圧容器１に対しての挿脱
で挿入取出ができ、このとき、すべての加熱要素９が一
体的に挿入取出されることから、被処理材８と加熱要素
９とが互いに接触することによって損傷するおそれもな
く、操作性が大幅に向上できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は装置要部の断面
図、第２図は加熱要素を有する支持台（炉床）の断面
図、第３図は加熱要素（ヒーターエレメント）の概略平
面図、第４図は同じく一部省略の展開図、第５図は従来
例の断面図である。 １…高圧容器、1A,1B…上下開口部、２…上蓋、３…下
蓋、４…断熱層、９…加熱要素。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高圧容器（１）の上下開口部（1A）（1B）
   にプレス軸力を担持可能として上蓋（２）と下蓋（３）
   とがそれぞれ装着され、前記高圧容器（１）の内部に加
   熱要素（９）と前記上蓋（２）側に吊持された倒立コッ
   プ形状の断熱層（４）とが配置され、前記下蓋（３）側
   に載置されている被処理体（８）をガス圧媒を介して等
   方的に圧縮処理する熱間等方圧加圧装置において、 前記下蓋（３）が下開口部（1B）に挿脱自在に嵌合さ
   れ、前記断熱層（４）を高圧容器（１）内部に残した状
   態で前記下蓋（３）とすべての加熱要素（９）とが一体
   的に高圧容器（１）に対して挿入取出可能とされている
   ことを特徴とする熱間等方圧加圧装置。