JPH0764065B2

JPH0764065B2 - 画像記録装置

Info

Publication number: JPH0764065B2
Application number: JP61067301A
Authority: JP
Inventors: 孝一斉藤; 義彦藤村; 七穂井上
Original assignee: Fuji Xerox Co Ltd
Current assignee: Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date: 1986-03-27
Filing date: 1986-03-27
Publication date: 1995-07-12
Anticipated expiration: 2010-07-12
Also published as: JPS62225388A

Description

【発明の詳細な説明】「産業上の利用分野」本発明は、インク等の液状着色剤を飛翔させて、記録部
材上に画像の記録を行う画像記録方法および画像記録装
置に関する。

「従来の技術」いわゆるノンインパクト記録法は、記録時に発生する騒
音が少ないことから、電気信号化された画像情報をハー
ドコピー化する方法として関心を集めている。

それらのなかで、普通紙を使用することができ、しか
も、定着というような特別の処理無しに記録のできるイ
ンクジェット法は、きわめて有用な記録方法とされてい
る。

従来、実用化されているインクジェット法は、インクを
密閉した容器に収容しこれに圧力パルスを印加して、容
器の吐出口（オリフィス）からインクを噴射させて記録
するものであった。この方法は、動作機構上、インク吐
出装置を小型化する事ができないために、必要な画像密
度の記録を行おうとすると、インク吐出装置を機械的に
走査する必要があった。従って、記録速度の低速化を招
いていた。

一方、上述のインクジェット法の欠点を改良し、高速記
録を可能にする方法として、いくつかの技術が提案され
ている。

磁性電極アレイ近傍に磁性インクを配置し、磁界による
インクの盛り上がりを利用して、画素に対応するインク
吐出状態を形成し、静電界で磁性インクを飛翔させる磁
性インクジェット法もその一つである。この方法は、電
子走査が可能なため、高速記録が可能であるが、インク
の選定が容易でなく、インクジェット本来の特徴である
カラー化が難しい欠点を有している。

これとは別に、電極アレイと平行なスリット状のインク
溜めにインクを配し、記録紙を介して、対向する電極と
電極アレイ間に形成される電界パターンに応じて、イン
クを飛翔させる、いわゆる平面インクジェット法という
方法もよく知られている。この方法は、インクを溜める
ための微細なオリフィス等が不要となり、インク目詰ま
りを改善できるが、インク飛翔のためにかける電圧が高
いため、隣接、近傍電極間の電圧リークを防止するため
に、電極アレイを時分割駆動する必要があって、それ程
高速化が図れない欠点があった。

また、熱エネルギによって吐出口からインクを吐き出さ
せる、いわゆる熱バブルジェット法も提案されている。
この方法では、インクが急激に加熱されて膜面沸騰を生
じ、オリフィス内に気泡（バブル）が急激に形成される
事による圧力上昇で、インクをオリフィスから噴射する
ものである。ところが、膜面沸騰を起こす温度が500〜6
00゜と高温であるため、インクの熱変質や、加熱手段と
して設けられている発熱抵抗体保護層の熱劣化を生じ易
いという実用上の欠点を有していた。

「発明が解決しようとする問題点」以上のように、従来開発されているインクジェット法
は、それぞれ記録速度を十分に高速化することが困難で
あること、特殊なインクを使用すること、駆動のために
一定の工夫を要すること、あるいはインクや加熱手段に
熱的な劣化が生じること等の問題点があり、いずれの方
法も実用化面で解決しなければならない問題点を残して
いた。

本発明は以上の点に着目してなされたもので、インクの
選定が容易で、高速記録を可能とした画像記録装置を提
供することを目的とするものである。

「問題点を解決するための手段」本発明では、液状着色材を収容するとともにこれを飛翔
させるための吐出部を備えた収容手段と、この収容手段
に収容された液状着色剤を一様に加熱する加熱手段と、
液状着色剤を飛翔させるとき吐出部にある液状着色剤の
液面をその飛翔させる方向に向かって通過する電界を形
成する電界形成手段とを画像記録装置に具備させてい
る。

「作用」本発明の画像記録装置は、液状着色剤に電気エネルギと
熱エネルギを印加して、両者が共に印加された領域にあ
る液状着色剤を飛翔させるものである。

まず、液状着色剤を一様に加熱して粘性抵抗や表面張力
を低下させておき、これに局部的に電界を加える。これ
によって、この電界の印加された領域の液状着色剤が飛
翔する。例えば、複数の電界形成素子をアレイ状に配列
しておく。そして液状着色剤を一様な温度に加熱してお
き、記録画素に対応する位置にある電界形成素子により
選択的に電界を形成する。こうして記録部材に向けて液
状着色剤を飛翔させる。１回の飛翔で１子の画素が記録
できる。

これをくり返して、ライン状に画素列の記録を行いさら
に、上記記録部材を走査すれば、画像の記録を行うこと
ができる。

「実施例」（動作原理）本発明の記録動作原理を、第１図を用いて説明する。

まず、第１図ａに示すように、液状着色剤１をベース電
極２と対向電極３の間に配置する。液状着色剤１には、
例えば適当な電気抵抗を付与するよう配合を調整され
た、常温で液体のインクを使用する。以下、液状着色剤
１を単にインク１と表現して説明を続ける。ベース電極
２と対向電極３とは、いずれも導電性の板である。

この両電極２、３の間に直流電源４により所定の電圧を
印加する。このとき、インク１には一定の静電界が加わ
り、その静電誘導作用によって、インクの自由表面に
は、ここに生ずる誘導電荷と静電界の積で与えられるク
ーロン力が作用する。この力によって、インク１は矢印
５方向へ飛翔しようとする。

一方、ここには、インクの表面張力、界面張力、および
飛翔しようとするインクに対する粘性抵抗が抗力として
作用する。第１図ａは、上記クーロン力よりもこの抗力
が大きく、インク液面が水平に保たれている状態を示し
ている。

ここで、このインク１を局部的に加熱する。すなわち、
図中、領域S1の温度T1が他の領域の温度T0よりも高温に
される（第１図ｂ）。その結果、領域S1において、第１
図ｂに示すように、そのインク液面が盛り上がる。すな
わち、この領域S1において、インクの温度上昇により上
記抗力が低下して、局部的にクーロン力の作用が増大す
る。盛り上がったインク１′には、電界が集中し、さら
にクーロン力が強く作用する。こうして、ついには、第
１図ｃに示すように、領域S1にあったインク１′の一部
が柱状に成長し、ちぎれて対向電極３に向かって飛翔す
る。

この現象は、インクを膜面沸騰のような相変化に近いほ
ど急激に加熱しなくても引き起こすことができる。

すなわち、インクには上記電界によって電気エネルギが
印加され、さらに加熱によって熱エネルギが印加され
る。この、両エネルギを共に印加した領域でのみインク
の飛翔が生じるよう、印加する電気エネルギおよび熱エ
ネルギの量を選定する。これによって、インクの飛翔場
所および飛翔タイミングの実用的な制御が可能となる。

なお、この原理は次のような実験で実証することができ
た。

まず、第１図ａに示したようにインク１をベース電極２
上に配置し、その温度を一定に保ったまま、電源４の電
圧を徐々に上昇させていく。この電圧がある電圧を越え
ると、インク液面から第１図ｃに示したようなインク柱
１′が無秩序に対向電極３に向かって成長する。

この現象は、例えばJ.R.MELCHER著（米国M.I.T.PRESS社
発行）「FIELD・COUPLED SURFACE WAVES」（P61〜P66）に記
載された、不安定な電気流体力学波の成長現象と解釈す
ることができる。

すなわち、インク液面に垂直に、上方向に作用するクー
ロン力と下方向に作用する抗力とが一定の均衡を保って
いる場合に、自然に生じ得るある摂動（液面の変形や電
界の局部的な不均一さ）によって、クーロン力が局部に
集中する。そこで、クーロン力が抗力に打ち勝ってイン
ク柱が成長するのである。

これは、熱と電界の関係を逆にしても成立する。すなわ
ちインクを一様に加熱しておき、局部的に電界を加え、
液面にクーロン力を作用させれば、その部分にインク柱
が成長される。

本発明においては、インクを一様に加熱しておき、その
表面張力や粘度等を低下させておき、電界を局部的に印
加したインク柱を成長させている。

こうして飛翔したインクを、記録用紙等の記録部材の表
面に導けば、１つのドットを記録することができる。さ
らに、このドットを規則的に配列すれば、画像の記録を
行うことができるのである。

（インクの飛翔条件）本発明は、液状着色剤に電気エネルギと熱エネルギを印
加してこれを飛翔させるものであるから、このインクの
飛翔する条件および、インクの飛翔な安定な制御を行う
ことができる限界値（閾値）を明確にする必要がある。

第２図はこの閾値を見出すために行った実験の結果を示
すグラフである。

第２図ａに示したデータによれば、インクの温度が上昇
する程、閾電界の値が低下していくことがわかる。

また、第２図ｂによれば、インクの粘度は、カーブを描
いているものの、上記閾電界と同様に、インクの温度上
昇と共に低下している。表面張力（同図ｃ）と体積抵抗
率（同図ｄ）についても同様の傾向がみられる。

従って、これらが、上記閾電界の値に大きく関与してい
ることが明白となっている。

すなわち、インクの粘度、表面張力および電気伝導等の
物性値が変化する複合的な効果によって、閾電界の値が
温度上昇と共に低下していくものと考えられる。

このことから、インクに一様に熱を加えてその粘性や表
面張力を低下させておき、局部的に電界を印加すると、
熱と静電界の共同作用によってインクの飛翔が生じ、画
素状の記録を行うことができるのである。

（記録ヘッドの実施例）第３図は、本発明の一実施例における画像記録装置の記
録ヘッドの要部を表わしたものである。一対の壁部材3
0、31はその一縁を記録部材12方向へ向けて配置されて
いる。記録部材12は、一般の複写器等において記録に使
用される普通紙である。

一対の壁部材30、31は、所定の間隔をあけて配置されて
おり、その間に図示しない液状着色剤が収容されてい
る。壁部材30、31は、記録部材12と対向する一縁に、紙
面と垂直方向に一定の幅を持つスリットが形成されてい
る。この部分を本発明において、吐出部と呼んでいる。
液状着色剤はこの吐出部においてその表面張力により凸
曲面を形成している。

図において、一対の壁部材31、31のうち、その一方31の
内面には、多数の電界形成用電極33がアレイ状に配列さ
れている。これらの壁部剤30、31の間には、図示しない
インクが収容されるが、これは、図示しない熱エネルギ
印加手段により一様に加熱される。

また、記録部材12の背面には対向電極21が設けられ、こ
れと上記電界形成用電極33との間に電圧を印加する電源
34が接続されている。この電源34は、画像信号に応じ
て、多数の電界形成用電極33に選択的に所定の電圧を印
加する。これによって、電圧が印加された電界形成用電
極33と対向電極21との間にインクの飛翔が生じる程度の
電界が形成される。こうして、記録部材12上に画像信号
に応じた記録を行うことができる。ここでは一対の壁部
材30、31の間隔を100μｍに、吐出部と記録部材12との
間隔を200μｍに選定してある。また、電源34によって
印加する電圧＋1500Vに設定されている。

この実施例において、液状着色剤としては流動パラフィ
ン中にカーボンブラック顔料を約15重量パーセント分散
させたインクを使用した。その20℃における体積抵抗率
は1.0×10⁶Ω・cm、粘度は300cp、表面張力は70dyne/cm
であった。このようなインクを一様に加熱しておき、電
界を局部的に印加することでその領域のインクを飛翔さ
せ、画素状の記録を行うことができる。インクを一様に
加熱することで、周囲温度の影響をによるインクの粘性
抵抗の変動を少なくでき、電界を印加する時期によって
インクを飛翔させるタイミングを正確に制御することが
できる。

（熱エネルギ印加手段の変形）第４図に、本発明の画像記録装置の記録ヘッドの要部
の、さらに別の実施例を示した。

この実施例では、水平に配置した基板40上に第３図と同
様に電界形成用素子16がアレイ状に配列されている。イ
ンク13は、その左右に設けられた堰状部材41、42によっ
て、電界形成用素子16の上方に保持されている。

このインク13の上方に記録部材12が、その記録面を下に
向けて配置されている。記録部材12の背面側には図示し
ない対向電極が配置されており、記憶部材12に向かって
液面を通過する電界が電界形成用素子16との間に形成さ
れるようになっている。さらに、図示しない熱エネルギ
印加手段によってインクは一様に加熱されている。

このような記録ヘッドにおいて電界形成用素子16に電圧
が印加されると、先に説明したと同様の原理でインク13
が垂直方向に飛翔し、記録部材12に記録を行うことがで
きる。このような構成によっても、本発明を実施するこ
とができる。

「発明の効果」以上説明した本発明の画像記録装置によれば、加熱手段
によって液状着色剤を一様に加熱しておき、飛翔させる
ときに電界を加えることによって液状着色剤を飛翔させ
ている。液状着色剤を予め加熱することで、周囲温度の
影響をによる液状着色剤の粘性抵抗の変動を少なくで
き、電界を印加する時期によって液状着色剤を飛翔させ
るタイミングを正確に制御することができる。さらに、
吐出部にある液状着色剤の液面をその飛翔させる方向に
向かって通過するように電界を形成しているので、飛翔
のために電界を効果的に併用させることができる。ま
た、熱と電界の双方の作用によって液状着色剤を飛翔さ
せているので、液状着色剤や発熱体に著しい熱劣化が生
じない程度の温度と、電極間のリークが生じない程度の
電界によって飛翔させることができ、高速高密度の記録
が可能であるとともに駆動回路等の小型化を図ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の画像記録方法の原理を説明する概略
図、第２図は電界の閾値の温度依存性と、インクの特性
を表わすグラフ、第３図は本発明の画像記録装置に使用
する記録ヘッドの要部を表わした斜視図、第４図は他の
実施例の縦断面図である。 12……記録部材、 13……液状着色剤、 21……対向電極、 30、31……壁部材、 33……電界形成用素子、 34……電源。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｂ４１Ｍ 5/00 ＡＨ０４Ｎ 1/23 ＺＢ４１Ｊ 3/04 １０１Ｚ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】液状着色材を収容するとともにこれを飛翔
させるための吐出部を備えた収容手段と、この収容手段に収容された液状着色剤を一様に加熱する
加熱手段と、前記液状着色剤を飛翔させるとき前記吐出部にある液状
着色剤の液面をその飛翔させる方向に向かって通過する
電界を形成する電界形成手段とを具備することを特徴とする画像記録装置。
【請求項２】前記電界形成手段は、前記液状着色剤を飛
翔させる方向に設けられた第１の電極と、前記吐出部に
ある液状着色剤の液面をその飛翔させる方向に向かって
局部的に通過する電界を第１の電極との間に形成するた
めの複数の電界形成用素子と、液状着色剤を飛翔させる
とき第１の電極とこれら電界形成用素子との間に電圧を
選択的に印加する電圧印加手段とを具備することを特徴
とする請求項１記載の画像記録装置。