JPH0762905B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0762905B2
JPH0762905B2 JP60244636A JP24463685A JPH0762905B2 JP H0762905 B2 JPH0762905 B2 JP H0762905B2 JP 60244636 A JP60244636 A JP 60244636A JP 24463685 A JP24463685 A JP 24463685A JP H0762905 B2 JPH0762905 B2 JP H0762905B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、真空蒸着やスパッタリング等の真空薄膜形成
技術等の手法により非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を
磁性層として形成した、いわゆる強磁性金属薄膜型の磁
気記録媒体に関するものである。
〔発明の概要〕
本発明は、非磁性支持体上に強磁性金属薄膜を磁性層と
して形成してなる磁気記録媒体において、 磁性層である強磁性金属薄膜にパーフルオロアルキルカ
ルボン酸エステル及び脂肪族アルコールまたはそのアル
コキシドを潤滑剤として披着し、 広範な使用温度条件に亘り走行性,耐摩耗性,耐久性を
改善するものである。
〔従来の技術〕
従来より磁気記録媒体としては、非磁性支持体上にγ−
Fe2O3,Coを含有するγ−Fe2O3,Fe3O4,Coを含有するFe3O
4,γ−Fe2O3とFe3O4とのベルトライド化合物,Coを含有
するベルトライド化合物,CrO2等の酸化物強磁性粉末あ
るいはFe,Co,Ni等を主成分とする合金磁性粉末等の粉末
磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体,ポリエ
ステル樹脂,ポリウレタン樹脂等の有機バインダー中に
分散せしめた磁性塗料を塗布・乾燥することにより作製
される塗布型の磁気記録媒体が広く使用されている。
これに対して、高密度磁気記録への要求の高まりととも
に、Co−Ni合金等の強磁性金属材料を、メッキや真空薄
膜形成技術(真空蒸着法やスパッタリング法,イオンプ
レーティング法等)によってポリエステルフィルムやポ
リイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接披着した、
いわゆる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体が提案され、
注目を集めている。この強磁性金属薄膜型磁気記録媒体
は、抗磁力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性
に優れるばかりでなく、磁性層の厚みを極めて薄くする
ことが可能であるため記録減磁や再生時の厚み損失が著
しく小さいこと、磁性層中に非磁性材である有機バイン
ダーを混入する必要がないため磁性材料の充填密度を高
めることができること等、数々の利点を有している。
しかしながら、上述の強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体
では、磁性層表面の平滑性が極めて良好であるために、
実質的な接触面積が大きくなり、凝着現象(いわゆるは
りつき)が起こり易くなったり摩擦係数が大きくなる
等、耐久性や走行性等に欠点が多く、その改善が大きな
課題となっている。一般に磁気記録媒体は磁気信号の記
録・再生の過程で磁気ヘッドとの高速相対運動のもとに
おかれ、その際走行が円滑に、かつ安定な状態で行われ
なければならない。また、磁気ヘッドとの接触による摩
耗や損傷はなるべく少ないほうがよい。
そこで例えば、上記磁気記録媒体の磁性層、すなわち強
磁性金属薄膜表面に潤滑剤を塗布して保護膜を形成する
ことにより、上記耐久性や走行性を改善することが試み
られている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、上述のように潤滑剤を塗布して保護膜を形成
した場合には、この保護膜が磁性層である強磁性金属薄
膜に対して良好な密着性を示し、かつ高い潤滑効果を発
揮することが要求される。また、これら密着性や潤滑効
果は、熱帯,亜熱帯地方等のように高温多湿の条件下で
も、寒冷地のように低温の条件下でも優れたものでなけ
ればならない。
しかしながら、従来広く用いられている潤滑剤の使用温
度範囲は限られており、特に、0〜−5℃のような低温
下では固体または凍結するものが多く、充分にその潤滑
効果を発揮させることができなかった。
そこで本発明は、如何なる使用温度条件下においても密
着性や潤滑性が保たれ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性や
走行性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、上述の目的を達成せんものと鋭意研究の
結果、パーフルオロアルキルカルボン酸のエステル部に
長鎖のアルキル基,あるいは二重結合を有するアルキル
基,さらには枝分かれしたアルキル基の何れかを導入し
たパーフルオロアルキルカルボン酸エステルと、脂肪族
アルコールまたは脂肪族アルコールのアルコキシドと組
み合わせることにより、単独で用いる場合と比較して優
れた潤滑作用が発揮され、同時に使用温度帯域の拡大を
図ることが可能であることを見出し本発明を完成するに
至ったものであって、非磁性支持体上に強磁性金属薄膜
を形成し、前記強磁性金属薄膜にパーフルオロアルキル
カルボン酸エステル及び脂肪族アルコールまたはそのア
ルコキシドを含む潤滑剤層を披着したことを特徴とする
ものである。
本発明に使用されるパーフルオロアルキルカルボン酸エ
ステルは、一般式 CnF2n+1COOR (ただし、式中nは6〜10の整数を表し、Rは炭素数1
〜25の炭化水素基を表す。) で示されるものであって、パーフルオロアルキルカルボ
ン酸と相当するアルコールとを反応させることによって
容易に合成することができる。
上記パーフルオロアルキルカルボン酸エステルにおい
て、パーフルオロアルキルカルボン酸部の炭素数nは、
6〜10の範囲であることが好ましい。この炭素数nが6
未満であると、潤滑効果が不足し、逆に炭素数が10を越
えると低温域で凝固するようになり、したがって低温条
件下での潤滑効果が低下する。また、エステル部の炭化
水素基の炭素数においても同様で、先の一般式中、炭化
水素基Rの炭素数が1〜25であることが好ましく、炭素
数9〜25であることがより好ましい。炭化水素基Rの炭
素数が9未満であると、潤滑効果が不足し、25を越える
と低温での潤滑効果がなくなる。なお、この炭化水素基
Rは長鎖のアルキル基であってもよいし、枝分かれした
アルキル基や二重結合を有するアルキレン鎖であっても
よい。
一方、本発明に用いられる脂肪族アルコールとしては、
n−ヘキシルアルコール,メチル−tert−ブチルカルビ
ノール,ジメチルイソプロピルカルビノール,ペンタメ
チルエチルアルコール,ノニルアルコール,ドデシルア
ルコール,トリデシルアルコール,テトラデシルアルコ
ール,ペンタデシルアルコール,ヘキサデシルアルコー
ル,ヘプタデシルアルコール,オクタデシルアルコー
ル,ノナデシルアルコール,エイコシルアルコール,等
の直鎖あるいは分枝の飽和高級アルコール、あるいはド
デセノール,テトラデセノール,ヘキサデセノール,オ
クタデセノール(オレイルアルコール),リノールアル
コール,リノレニルアルコール,2,4−ヘキサジエノー
ル,等の直鎖あるいは分枝の不飽和アルコール(オレフ
ィン系またはジオレフィン系アルコール)等が挙げられ
る。
また、本発明に用いられるアルコキシドは、前述の脂肪
族アルコールの水酸基の水素原子を、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロン
チウム、バリウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜
鉛、アルミニウム、鉛等で置換したものが挙げられる。
上述したパーフルオロアルキルカルボン酸エステルと脂
肪族アルコール(または脂肪族アルコールのアルコキシ
ド)の配合比としては、重量比で30:70〜70:30であるの
が好ましい。なお、上述のパーフルオロアルキルカルボ
ン酸エステル及び脂肪族アルコール(または脂肪族アル
コールのアルコシシド)の他、従来周知の潤滑剤を併用
してもよい。
これらパーフルオロアルキルカルボン酸エステル及び脂
肪族アルコール(または脂肪族アルコールのアルコキシ
ド)を含有する潤滑剤層を強磁性金属薄膜に付着させる
方法としては、上記潤滑剤を溶媒に溶解して得られた溶
液を強磁性金属薄膜の表面に塗布もしくは噴霧するか、
あるいは逆にこの溶液中に強磁性金属薄膜を浸漬し乾燥
すればよい。
ここで、その塗布量は、0.5mg/m2〜100mg/m2であるのが
好ましく、1mg/m2〜20mg/m2であるのがより好ましい。
この塗布量があまり少なすぎると、摩擦係数の低下、耐
摩耗性・耐久性の向上という効果が顕れず、一方あまり
多すぎると、摺動部材と強磁性金属薄膜との間ではりつ
き現象が起こり、却って走行性が悪くなる。
本発明が適用される磁気記録媒体は、非磁性支持体上に
磁性層として強磁性金属薄膜を設けたものであるが、こ
こで非磁性支持体の素材としては、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル類、ポリエチレン,ポリプロ
ピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテー
ト,セルロースダイアセテート,セルロースアセテート
ブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル,ポ
リ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネー
ト,ポリイミド,ポリアミドイミド等のプラスチック、
アルミニウム合金,チタン合金等の軽金属、アルミナガ
ラス等のセラミックス等が挙げられる。この非磁性支持
体の形態としては、フィルム,シート,ディスク,カー
ド,ドラム等のいずれでもよい。
また、上記磁性層である強磁性金属薄膜は、真空蒸着法
やイオンプレーティング法,スパッタリング法等の真空
薄膜形成技術により連続膜として形成される。
上記真空蒸着法は、10-4〜10-8Torrの真空下で強磁性金
属材料を抵抗加熱,高周波加熱,電子ビーム加熱等によ
り蒸発させ、ディスク基板上に蒸発金属(強磁性金属材
料)を沈着するというものであり、一般に高い抗磁力を
得るため基板に対して上記強磁性金属材料を斜めに蒸着
する斜方蒸着法が採用される。あるいは、より高い抗磁
力を得るために酸素雰囲気中で上記蒸着を行うものも含
まれる。
上記イオンプレーティング法も真空蒸着法の一種であ
り、10-4〜10-3Torrの不活性ガス雰囲気中でDCグロー放
電,RFグロー放電を起こして、放電中で上記強磁性金属
材料を蒸発させるというものである。
上記スパッタリング法は、10-3〜10-1Torrのアルゴンガ
スを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし、生じ
たアルゴンガスイオンでターゲット表面の原子をたたき
出すというものであり、グロー放電の方法により直流2
極,3極スパツタ法や、高周波スパッタ法、またはマグネ
トロン放電を利用したマグネトロンスパッタ法等があ
る。このスパッタリング法による場合には、CrやW,V等
の下地膜を形成しておいてもよい。
なお、上記いずれの方法においても、基板上にあらかじ
めBi,Sb,Pb,Sn,Ga,In,Cd,Ge,Si,Tl等の下地金属層を披
着形成しておき、基板面に対して垂直方向から成膜する
ことにより、磁気異方性の配向がなく面内等方性に優れ
た磁性層を形成することができ、例えば磁気ディスクと
する場合には好適である。
このような真空薄膜形成技術により金属磁性薄膜を形成
する際に、使用される強磁性金属材料としては、Fe,Co,
Ni等の金属の他に、Co−Ni合金,Co−Pt合金,Co−Ni−Pt
合金,Fe−Co合金,Fe−Ni合金,Fe−Co−Ni合金,Fe−Co−
B合金,Co−Ni−Fe−B合金,Co−Cr合金あるいはこれら
にCr,Al等の金属が含有されたもの等が挙げられる。特
に、Co−Cr合金を使用した場合には、垂直磁化膜が形成
される。
このような手法により形成される磁性層の膜厚は、0.04
〜1μm程度である。
〔作用〕
パーフルオロアルキルカルボン酸エステルと脂肪族アル
コールまたはそのアルコキシドとを含む潤滑剤層は、強
磁性金属薄膜に強固に付着し、良好な潤滑効果を発揮し
て摩擦係数を低減する。特に、パーフルオロアルキルカ
ルボン酸エステルは低温下においても良好な潤滑効果を
発揮し、脂肪族アルコールまたはそのアルコキシドは常
温で良好な潤滑性を発揮するので、使用温度範囲の拡大
が図られる。
〔実施例〕
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
合成例1. ノナデカフルオロデカン酸イソステアリルエステル イソステアリルアルコールとノナデカフルオロデカン酸
をトルエン中、p−トルエンスルホン酸を触媒としてエ
ステル反応を行った。すなわち、1時間加熱還流後、3
時間かけて溶媒中の水分を除去し、さらにトルエンを減
圧下,エバポレータを用いて除き、真空蒸留して精製し
た。(なお、イソステアリルアルコールは、市販のイソ
ステアリン酸をn−ブチルエステル化後、水素化リチウ
ムアルミニウムで還元して合成した。) 得られた留分の沸点bpは140〜145℃/0.2mmHgであった。
また、生成物の確認は、赤外分光分析(IR),該磁気共
鳴分析(NMR),質量分析(MASS)によって行った。そ
の結果、1210〜1380cm-1にかけてCF結合特有の吸収、17
80cm-1にエステルの吸収、2910cm-1にCHの伸縮振動によ
る吸収が見られ、また化学イオン法によるマススペクト
ルでは、分子イオンピークM+が765に見られることか
ら、この構造を決定した。
合成例2. ペンタデカフルオロデカン酸イソステアリルエステル 先の合成例1と同様の方法により、イソステアリルアル
コールとペンタデカフルオロオクタン酸をトルエン中、
p−トルエンスルホン酸を触媒として反応させた。
bp 120〜134℃(0.2mmHg) IR 1200〜1400cm-1 1780cm-1 2920cm-1 M+ 665 合成例3. ペンタデカフルオロオクタン酸イソノニルエステル (CH33C(CH2)CH(CH3)CH2CH2OCO(CF26CF3 先の合成例1と同様の方法により、イソノニルアルコー
ルとペンタデカフルオロオクタン酸をトルエン中、p−
トルエンスルホン酸を触媒として反応させた。
bp 94℃(0.2mmHg) IR 1210〜1390cm-1 1785cm-1 2850〜2960cm-1 M+ 539 合成例4. ペンタデカフルオロオクタン酸リノレイルエステル CH3(CH2(CH2CH=CH)(CH28OCO(CF26CF3 先の合成例1と同様の方法により、リノレイルアルコー
ルとペンタデカフルオロオクタン酸をトルエン中、p−
トルエンスルホン酸を触媒として反応させた。
bp 135〜139℃(0.2mmHg) IR 1210〜1380cm-1 1780cm-1 2850〜3020cm-1 M+ 663 実施例 14μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに斜め
蒸着法によりCoを披着させ、膜厚1000Åの強磁性金属薄
膜を形成した。
次に、この強磁性金属薄膜表面に、第1表に示すパーフ
ルオロアルキルカルボン酸エステル(先の合成例で合成
したもの)と脂肪族アルコールまたはそのアルコキシド
(重量比1:1)を溶媒(フレオン)で希釈した溶液を塗
布量が10mg/m2となるように塗布し、1/2インチ幅に裁断
してサンプルテープを作製した。
作製された各サンプルテープについて、温度25℃,相対
湿度(RH)50%、および−5℃の各条件下での動摩擦係
数及びシャトル耐久性を測定した。この動摩擦係数は、
材質がステンレス(SUS304)のガイドピンを用い、一定
のテンションをかけ5mm/secの速度で送り、試験したも
のである。また、シャトル耐久性は、1回につき2分間
のシャトル走行を行い、出力が3dB低下までのシャトル
回数で評価した。スチル耐久性はポーズ状態での出力の
−3dBまでの減衰時間を評価した。なお、比較例とし
て、全く潤滑剤を披着しないブランクテープについても
測定した。結果を第2表に示す。
この表からも明らかなように、本発明の各実施例は、常
温,低温の各条件下で動摩擦係数が小さく、走行が極め
て安定しており、また100回往復走行後もテープ表面の
損傷は全く見られなかった。また、耐久性も極めて良
く、150回シャトル走行を行っても出力の−3dB低下は見
られなかった。これに対して、潤滑剤層のない比較例の
テープでは、摩擦係数が往復走回数が多くなるにつれて
大となり、走行も不安定でテープの摩耗が見られ、耐久
性も悪いものであった。
〔発明の効果〕
以上の説明からも明らかなように、本発明においては強
磁性金属薄膜型の磁気記録媒体の潤滑剤としてパーフル
オロアルキルカルボン酸エステル及び脂肪族アルコール
またはそのアルコキシドを用いているので、如何なる温
度条件下においても動摩擦係数を小さくすることがで
き、走行安定性や耐摩耗性に磁気記録媒体とすることが
できる。
特に、パーフルオロアルキルカルボン酸エステルの凝固
点温度が低いことから、低温下での使用時に効果が大き
い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に強磁性金属膜を形成し、
    前記強磁性金属薄膜上にパーフルオロアルキルカルボン
    酸エステル及び脂肪族アルコールまたはそのアルコキシ
    ドを含む潤滑剤層を披着したことを特徴とする磁気記録
    媒体。
  2. 【請求項2】パーフルオロアルキルカルボン酸エステル
    が一般式CnF2n+1COOR(ただし、式中nは6〜10の整数
    を表わし、Rは炭素数9〜25の炭化水素基を表わす。)
    で示される化合物であることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の磁気記録媒体。
JP60244636A 1985-10-31 1985-10-31 磁気記録媒体 Expired - Fee Related JPH0762905B2 (ja)

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