JPH0762552A - 鉄鋼表面の塗装下地処理剤 - Google Patents

鉄鋼表面の塗装下地処理剤

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JPH0762552A
JPH0762552A JP20618893A JP20618893A JPH0762552A JP H0762552 A JPH0762552 A JP H0762552A JP 20618893 A JP20618893 A JP 20618893A JP 20618893 A JP20618893 A JP 20618893A JP H0762552 A JPH0762552 A JP H0762552A
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Yukio Hayashi
行男 林
Akio Shibata
昭男 柴田
Taketoshi Furusawa
武敏 古澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄鋼表面の塗装下地処理剤に関する。 【構成】 燐酸10〜20wt/V%水溶液に過酸化水
素及びフッ素系界面活性剤を配合してなる鉄鋼表面の塗
装下地処理剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉄鋼表面の錆や溶接部の
ヒートスケールを除去し、かつ除去後の鉄鋼表面に燐酸
鉄皮膜化成を一液、一工程で処理可能な塗装下地処理剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼材による各種製品及び船体ブロック
のような大型構造物で特に製作及び保管時において発生
する錆あるいは溶接部のヒートスケールは塗装に際して
下地との密着性、防錆性をよくするために十分に除去す
る必要がある。従来それらの錆やヒートスケールの除去
方法はショットブラストや回転式スチールブラシ等によ
る機械的手段によっていたため、作業環境面からの作業
性は悪く、かつ工程短縮及びコスト面からも改善が望ま
れていた。
【0003】また船体ブロックのように大型構造物につ
いては50〜60℃の10%燐酸水溶液で酸洗した後、
更に燐酸鉄系の溶液で化成処理する塗装下地処理方法も
ある。しかし、この方法は酸洗液が燐酸のみの水溶液で
あるため、鉄鋼表面の錆や溶接部のヒートスケール等を
完全に早く溶解除去するためには酸洗液の温度を50℃
以上に昇温する熱源を必要としたり、また酸洗時の鉄鋼
面に化成する燐酸鉄皮膜が十分でないために、酸洗後、
更に化成処理する等、二液、二工程の繁雑な処理工程を
必要としていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記技術水準
に鑑み、鉄鋼材からなる各種製品及び船体ブロック大型
構造物等の表面の錆や溶接部のヒートスケールを除去
し、かつ除去後の鉄鋼面に燐酸鉄皮膜化成を一液、一工
程で処理可能とし、下地との密着性を良好にする塗装下
地処理剤を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は燐酸10〜20
wt/V%水溶液に過酸化水素及びフッ素系界面活性剤
を配合してなることを特徴とする鉄鋼表面の塗装下地処
理剤である。
【0006】本発明の塗装下地処理剤の成分と、その濃
度について詳述すると、燐酸の濃度は10wt/V%未
満では錆及びヒートスケール等の酸化スケール量が軽度
の場合はよいが、強度の場合は常温では単位時間当りの
除去性に欠け、20wt/V%を越えても酸化スケール
の除去効果はそれ以上顕著に向上しないので10〜20
wt/V%とする。
【0007】酸化スケールの除去促進剤及び燐酸鉄皮膜
化成助長剤として添加される前記過酸化水素の濃度は
0.2wt/V%未満では酸化スケールの除去促進効果
に欠け、0.6wt/V%を越すと酸化スケールの除去
促進は向上するが、鉄面を受働態化し、かえって皮膜化
成を阻害することがあるので、0.2〜0.6wt/V
%とするのが好ましい。
【0008】また下地処理液の湿潤、浸透力を増して前
記燐酸及び過酸化水素との相乗効果助長剤として添加さ
れるフッ素系界面活性剤の濃度は0.005wt/V%
未満では湿潤、浸透力効果が小さく相乗効果に欠け、
0.03wt/V%を越えても酸化スケール除去に及ぼ
す相乗効果はそれ以上顕著に向上しないので0.005
〜0.03wt/V%とするのが好ましい。
【0009】本発明でいうフッ素系界面活性剤とは完全
にフッ素化されたパーフルオロカーボンチエインをもつ
界面活性剤のことを総称したもので、主要な化学物質名
としてはパーフルオロアルキル(C8 〜C12)トリメチ
ルアンモニウム塩〔C9 19CONH(CH2 3
(CH3 3 I〕、N−パーフルオロオクタンスルホニ
ルグルタミン酸ジナトリウム、N−〔3−(パーフルオ
ロオクタンスルホンアミド)プロピル〕−N,N−ジメ
チル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、
パーフルオロアルキル(C7 〜C13)カルボン酸、パー
フルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、パー
フルオロアルキル(C4 〜C12)スルホン酸塩(K,N
a)、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パ
ーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアル
キル(C6 〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチル
アンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6 〜C10
−N−エチルスルホニルグリシン塩(K)等がフッ素系
界面活性剤として販売されており、使用できる。
【0010】本発明の塗装下地処理剤の塗布方法は処理
対象物が大きい場合はスプレー方式の方が効率的に好ま
しく、小さい場合は下地処理剤に直接浸漬してもよい。
また下地処理時の処理温度は処理対象物の鉄鋼表面の錆
が軽度の場合は、下地処理剤が凍結しない程度であれば
十分適用可能であるが、もし錆の程度が強度の場合は温
度が高いほど錆の除去及び燐酸鉄皮膜の化成は促進され
るので、下地処理剤のスプレー又は浸漬に当っては25
〜30℃程度が好ましい。
【0011】
【作用】本発明の塗装下地処理剤は燐酸水溶液に所定量
の過酸化水素及びフッ素系界面活性剤を配合してなるも
ので、本発明の下地処理剤により鉄鋼表面の錆や溶接部
のヒートスケールを除去し、かつ除去後の鉄鋼面に燐酸
鉄皮膜化成を一液、一工程で処理可能となる作用につい
て、以下説明する。
【0012】燐酸水溶液に過酸化水素及びフッ素系界面
活性剤を併用添加することにより、燐酸単独水溶液に比
べて鉄鋼表面の錆や溶接部のヒートスケールの溶解除去
は著しく促進され、かつ錆除去後の鉄鋼面には塗膜の付
着性を向上させる緻密な燐酸鉄皮膜が化成される。錆や
ヒートスケールの溶解除去促進作用機構については明ら
かではないが、燐酸水溶液に過酸化水素のみを併用した
場合及びフッ素系界面活性剤のみを併用した場合に比べ
て両者併用の方がさらに除去効果の大きいことから、酸
化剤である過酸化水素と湿潤力、浸透力がハイドロカー
ボン系界面活性剤と比較してはるかに高いフッ素系界面
活性剤との相乗効果によるものと考えられる。
【0013】また錆除去後の鉄鋼面に燐酸鉄皮膜が生成
する機構は、洗浄された鉄鋼面がスプレーまたは浸漬に
より塗装下地処理液と接触すると、式に示すように鉄
鋼面から Fe+2H3 PO4 →Fe(H2 PO4 2 +H2 式 3Fe(H2 PO4 2 →Fe3 (PO4 2 +4H3 PO4 式 鉄が溶解し燐酸を消費する。このため鉄鋼面と処理液界
面でpHが上昇し、式で生成したFe(H2 PO4
2 が式によって分解し、不溶性燐酸鉄〔Fe 3 (PO
4 2 〕が鉄鋼面に析出固着すると考えられる。この場
合処理液に含有している過酸化水素は式によって鉄鋼
面から発生する水素を酸化(H2 +H2O→2H2 O)
して水とし、鉄鋼面から早く消去することで式の反応
を促進し、その相乗効果により皮膜化成時間も短縮可能
となる。
【0014】一方、処理液に含有しているフッ素系界面
活性剤は鉄鋼面の汚染に対する抵抗性及び浸透性を増加
させる働きもあって、これによる相乗効果も加わり、塗
膜の付着性を向上させる緻密な燐酸鉄皮膜が化成される
ものと考えられる。
【0015】
【実施例】
(実施例1)試験片(材質:熱間圧延鋼板SPHC、寸
法:50mm×50mm×2.3mm)を570℃以上
の高温処理によって緻密なミルスケール(平均スケール
量4mg/cm2 )を生成させた試験片を表1に示す塗
装下地処理液125ミリリットルを入れたビーカに浸漬
し、25℃に保持してミルスケールの除去時間を目視判
定により測定した。その後に行った防錆力効果試験は次
の方法によって実施した。ミルスケール除去後の試験片
をそのままの状態で屋内に懸垂状態で20日間放置した
後の錆発生状況を目視により判定し、表1にその結果を
併せて示した。実施例で使用したフッ素系界面活性剤は
パーフルオロアルキル(C8 〜C12)トリメチルアンモ
ニウム塩である。パーフルオロアルキル(C8 〜C12
とあるのは炭素数8から12までのアルキル基混合物に
よってパーフルオロアルキル化(C9 19)したことを
表わしている。
【0016】
【表1】
【0017】(実施例2)試験片(材質:SS41鋼
板、寸法:200mm×50mm×3.2mm)の片面
にCO2 のMIG溶接(200mm長さの中心部に50
mm溶接)して溶接ビードを施し、ビード部のスラグを
除去した後、3ケ月間屋外暴露して全面赤錆を発生させ
た。このようにして発錆させた試験片1を図1に示すよ
うに、透明プラスチック製容器(300×200×40
0mm)2内に設けた試験片架台3に設置し、塗装下地
処理液4を2500ミリリットル入れた後、ケミカルポ
ンプ(イワキ製:MD−80)5を起動してフルコーン
スプレーノズル(ノズル穴:直径2.4mm)6からの
下地処理液噴射量が4.8リットル/分になるようにス
ライドトランス(山菱電機:S−130−10)7で電
圧調整して試験片1に下地処理液を吐出圧力1kg/c
2 で噴射し、赤錆スケールの除去時間を目視判定によ
り測定し、表2の如き結果を得た。
【0018】その後に行った下地処理後の塗料との密着
性試験は次の方法によって実施した。赤錆スケール除去
後の試験片をそのままの状態で自然乾燥した後、JIS
K5400(塗料一般試験方法)に準じてタールエポ
キシ塗料をエアレススプレー塗りしてから室温で7日間
乾燥後、表3に示す60℃の劣化促進液(社団法人日本
造船研究協会採用)に30日間浸漬後の外観(錆、膨れ
%)及びJIS K5400に準じて塗料の付着性試験
を行い表3の如き結果を得た。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【発明の効果】本発明の塗装下地処理剤を使用すること
により、塗装を必要とする鉄鋼材からなる各種製品及び
大型構造物等の鉄鋼表面のミルスケール、赤錆、溶接部
のヒートスケールが除去され、かつ除去後の鉄鋼面に防
錆性の燐酸鉄皮膜が化成されるので、塗装に際して必要
不可欠とされる下地に対する塗料の密着性を向上させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄鋼表面の塗装下地処理剤の効果を測
定する装置の概略図。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燐酸10〜20wt/V%水溶液に過酸
    化水素及びフッ素系界面活性剤を配合してなることを特
    徴とする鉄鋼表面の塗装下地処理剤。
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