JPH0761489B2 - 圧延用複合ロール - Google Patents

圧延用複合ロール

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JPH0761489B2
JPH0761489B2 JP11468789A JP11468789A JPH0761489B2 JP H0761489 B2 JPH0761489 B2 JP H0761489B2 JP 11468789 A JP11468789 A JP 11468789A JP 11468789 A JP11468789 A JP 11468789A JP H0761489 B2 JPH0761489 B2 JP H0761489B2
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B27/00Rolls, roll alloys or roll fabrication; Lubricating, cooling or heating rolls while in use

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱間または冷間圧延用の連続肉盛鋳造製複合
ロールに関し、特に高強度で軸方向の残留応力が小さな
軸部を有する複合ロールに関する。
〔従来の技術〕
近年、合理化の目的で一度に多量の圧延を行うことや、
圧延材の寸法精度を向上するために、圧延用のロールに
対する要求レベルが高くなっている。
圧延材の寸法精度向上のためにロールの圧延によるたわ
みと逆方向にロールの軸部に曲げを加えることや、より
少ないスタンド数で圧延を完了するために一つの圧延ス
タンドで大きな圧下力をかけることなどから、ロールの
軸部にかかる曲げ応力は大きくなり、ロール軸部の強さ
の向上も必要になってきている。
このような状況において、あらかじめ形成した鋳鋼又は
鍛鋼からなる鋼製軸材の周囲に外層材の溶湯を溶着凝固
させることにより、複合ロールを製造するいわゆる鋳造
肉盛方法が注目され、これを用いて製造した種々の外層
材及び軸材の組合せによる複合ロールが提案され実用化
されている。
このような肉盛鋳造製複合ロールの軸材のとしては通常
クロム・モリブデン鋼(SCM材)や構造用炭素鋼(S45C
等)が使用されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、複合ロールの製造工程における熱処理では、
ロール外層の強さ及び耐摩耗性を強化することを主目的
にして焼入れ、焼戻しを行うが、熱応力及び外層と軸材
の膨張率や変態特性の差によって焼入れ中に外層に割れ
の発生することがあるため、焼入れ速度をある程度以上
に速くすることができない。従って、外層材に比べて焼
入れ性が小さいクロム・モリブデン鋼や構造用炭素鋼を
軸材として用いた場合、軸材の硬度及び強さを上げるこ
とができないという問題がある。
またこのような複合ロールでは、外層及び軸材ともに弾
性係数が高い材質となっており、焼入れ、焼戻しの時の
熱応力及び外層と軸材の膨張率や変態特性の差により高
い残留応力が発生する。すなわち、ロール冷却時にまず
軸材において変態膨張が起きる。このとき外層は冷却に
伴う収縮をしているので、軸材は外層により締めつけら
れることとなり、軸方向に伸びるように塑性変形を受け
る。この軸材の変態膨張は比較的高い温度で起きるので
外層による塑性変形の度合いは大きい。
さらにロールが冷却すると、今度は比較的低温で外層に
おいて変態膨張が起こる。これにより外層が軸材を引張
ることになり、残留応力が発生する。この引張り応力が
軸材に大きいまま残ると、ロールに繰り返しのベンディ
ング荷重をかけた時、金属疲労により折損する可能性が
あり問題となる。
一方外層においてはヒートクラック低減のために軸方向
及び円周方向の圧縮残留応力を高い状態に保持したい
が、軸方向及び円周方向の圧縮残留応力が高ければ高い
ほど半径方向の引張応力が高くなるため、外層剥離等の
危険性が大きくなる。
したがって、本発明の目的は、高強度で、かつ残留応力
の少ない軸材を有し、もって信頼性の高い連続肉盛鋳造
ロールを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、軸材にNiを含有する鋼
材を用い、焼入処理の冷却時に起きる軸材での変態膨張
の開始温度を下げることにより、軸の強度を上げ、かつ
軸材の残留応力を減少できることを発見し、本発明を完
成させた。
すなわち、本発明の複合ロールは、連続肉盛鋳造法によ
り製造された複合ロールであって、その軸材はC0.3〜1.
0重量%及びNi3重量%以下を含有する鋳鋼あるいは鍛鋼
からなり、ロール鋳造後に900〜1200℃の温度からその
温度の半分の温度(450〜600℃の範囲内)が0.3〜7時
間の速度で焼入が施されており、前記焼入処理において
軸材で起こる変態膨張の開始温度が700℃以下であるこ
とを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
まずNiを含む鋼材を軸材に用いる理由を説明する。
Niを鋼材に加えることにより焼入れ硬化性を著しく改善
し、軸材の強度は向上する。またNiの存在により焼入れ
の冷却時に軸材でおこるオーステナイトからパーライト
への変態温度が低下する。Niの量が3重量%を超えると
軸材基地中に残留オーステナイトが増加するのでNiの含
有量は3重量%以下とする。
炭素の存在は硬さ、強さの向上に効果があるが、炭素の
含有量が0.3%未満では焼入れ、焼戻しなどの熱処理が
有効とならない。また1.0%を超えると共晶炭化物の量
が増加し好ましくない。従って、Cの量は0.3〜1.0重量
%とする。
上記したようにNiの存在により軸材の変態温度が下がる
が、焼入れ時の冷却スピードを上げることによってもこ
の変態温度は低くなる。しかしながら冷却スピードを上
げすぎると外層の収縮に比して内層はあまり収縮しない
ために、外層が割れることがある。したがって焼入れは
900〜1200℃から半冷時間が0.3〜7時間の速度で行なう
のが良い。
このようにNiを3重量%以下含有する軸材を用い、上記
の焼入れ条件で熱処理を行うことで、軸材で起こるオー
ステナイトの変態温度は700℃以下となる。
ここで、上記の条件の熱処理(焼入れ)によりまずオー
ステナイトからフェライト及びパーライトの変態が起こ
るが、一部はベーナイトへ変態し、最終的には軸材はフ
ェライトと、パーライトと、ベーナイトとの3層混合と
なる。これにより軸材は高い強度を有することとなる。
また外層には、硬さを得るために焼入れ性の大きい材質
を適用するので、軸材が変態膨張する温度で外層は変態
膨張しない。従って、軸材は、変態膨張する時に外層に
よって締めつけられて弾性変形及び塑性変形するが、軸
材の変態膨張する温度が高いほど塑性変形の比率が高く
なる。
軸材の変態膨張が完了した時点では塑性変形により軸材
の内部応力は小さいが、ロールが更に冷却していくと、
今度は外層が変態膨張する。外層の変態膨張が完了した
時点(熱処理完了後)では、外層と軸材の接合部分にお
いて外層の軸方向、円周方向、半径方向の寸法は、内層
の同じ部分の寸法より相対的に大きくなろうとするが、
両者が強固に接合されているため、内外層の負荷がつり
あう条件の寸法となる。その結果、軸材は外層によって
軸方向、円周方向、半径方向に引っ張られ、外層は軸材
によって軸方向、円周方向に圧縮され、半径方向に引っ
張られる形となる。
このように外層には軸方向、円周方向に圧縮残留応力が
付与されるため、圧延中のロール表面に発生する熱亀裂
等が伝播し難くなる。しかし、逆に軸材には引張残留応
力が付与されているため、強さ、特に疲労強さが低下す
る。特に、軸材の境界近くの部分は焼入れ中に外層から
大きな塑性変形を受けているため、引張残留応力が大き
く、また圧延によって受ける負荷も大きいため、強度上
の問題が起きる。
そこで軸材に変態温度の低い材質を用いると、焼入れ中
の軸材の変態膨張時の塑性変形量が少なくなるため、軸
材の外層との境界近く部分での熱処理後の引張り応力を
低下させることができる。
従って、本発明のロールでは以下の組成の軸材を使用す
ることができる。すなわち、化学成分が重量比でC0.36
〜0.43%、Si0.15〜0.35%、Mn0.60〜0.90%、P0.030%
以下、S0.030%以下、Ni1.60〜2.00%、Cr0.60〜1.00
%、Mo0.15〜0.30%で残留実質的にFeからなる軸材であ
る。このような化学組成を持ったいわゆるニッケル・ク
ロム・モリブデン鋼(SNCM)はクロム・モリブデン鋼や
構造用鋼よりも焼入れ性が大きいため、外層材の特性に
合わせた比較的遅い焼入れ冷却速度でも高強度が得られ
る。またそのNiの含有により変態温度も低く、前述した
条件の焼入れを施すことによって残留応力が小さな高強
度の軸材となる。
なお軸材の各成分の限定理由は以下の通りである。
C:0.36〜0.43重量% Cについては前記した理由により軸材に加えるが、より
好ましい量は0.36〜0.43重量%である。この範囲にCを
限定することにより、強靭な鋼を得ることができる。
Si:0.15〜0.35重量% Siは脱酸剤として必要な元素であり、少量で基地の強さ
及び耐熱性を高める。しかし、その量は多くなると脆化
しやすくなる。従って、0.15〜0.35重量%とするのがよ
い。
Mn:0.60〜0.90重量% Mnは脱酸作用とともに不純物であるSとMnSとして固定
する作用がある。その量が0.6重量%未満では脱酸性に
乏しい。また0.9重量%を超えると、残留オーステナイ
トが生じやすくなり、十分な硬さを維持できない。
P:0.030重量%以下、S:0.030重量%以下 PとSは不純物として混入するが、ともに多量に存在す
ると基地の脆化をまねく。従って、P、Sともに0.030
重量%以下であるのがよい。
Ni:1.60〜2.00重量% Niのより好ましい量は1.60〜2.00重量%である。Cr、Mo
等の他の金属と共存することで少量でも硬さと強さを増
す。その量が1.60重量%未満のときには十分な効果は得
られない。また2.00%を超すと、Cr、Mo等の他の金属の
共存のために残留オーステナイトの増加を招きやすい。
Cr:0.60〜1.00重量% CrはNiと共存することによって、基地の耐食性、耐熱性
を相乗的に向上させる。その量が0.60重量%未満では効
果があらわれず、1.00を超えても効果に変化はみられな
いので、0.60〜1.00重量%とする。
Mo:0.15〜0.30重量% Moは鋼の強靭性を増加し、焼入れの質量効果を減少し、
また焼戻し脆化を防ぐ効果がある。その量が0.15重量%
では効果が出ず、0.30重量%を超えても効果に変化はみ
られないので、0.15〜0.30重量%とする。
なお、これらの成分を有する鋼はJIS規格にあり、軸材
を調達するときに好都合でもある。
次に、本発明の複合ロールでは軸材の軸方向の残留応力
の最大値σcmaxは以下の式を満足している。すなわち たたしk=Ec・Ac/Es・Asで、Ec及びEsはそれぞれ軸材
及び外層材の縦弾性係数で、Ac及びAsはそれぞれロール
軸方向に垂直な断面における軸材及び外層の断面積で、
νは軸材及び外層のポアソン比である。
軸材での残留応力のうち軸方向の残留応力が一番大きく
ロールの強度に関係するので、これを規定する。なお残
留応力を数値で限定する理由は次のことによる。残留応
力は内部応力であるから外層と軸材の比率が変わると応
力値が変化する。特にロールは外層を削って使用するた
め、同一ロールでも製造直後のロールと外層を削った後
のロールとでは応力値が異なってくる。したがってロー
ル外層を削ることによる寸法のちがいによらず、応力の
範囲を規定しておくことによりロールの信頼性を見るこ
とができる。このため以下の仮定を用い弾性計算による
近似的な補正を行なう。
(a)ロールは一般的に軸方向に細長い形状をとるが、
胴長と胴径の比が1.5を超えるロールであればロール胴
体の中央部では近似的に無限円筒と考えて良い。
(b)外層と軸材の変態特性が大きく異なるため、残留
応力が零となる位置はロールの境界部である。
(c)外層と軸材の材質が決まれば残留応力分布の基本
的なパターンはほぼ同じであり、外層と軸材の比率が変
われば、応力分布の定性的なパターンはそのままで残留
応力の絶対値が一定の比率で変化する。
以上の三つの仮定により得られるのが(1)式である。
なお外層としては、その化学成分が重量比で、C1.5〜.
3.5%、Si0.3〜3.0%、Mn0.3〜1.5%、Cr2〜7%、Ni5
%以下、Mo9%以下、W20%以下、V5〜15%、P0.08%以
下、S0.06以下、残部Fe及び不純物元素からなる鋼とす
るのが好ましい。このような外層は耐摩耗性、耐肌荒性
及び強靭性にすぐれており、また、このような外層と前
記した軸材とを用い、連続肉盛鋳造法によりロールを製
造すると、両者間の接合部を強力な金属的な結合とする
ことができ、もって信頼性の高い複合ロールとすること
ができる。
ここで外層の組成の限定理由は以下の通りである。
Cは耐摩耗性向上のための炭化物の形成に必要である。
その量が1.5%未満の場合、晶出炭化物量が少ない、耐
摩耗性の点で十分でない。またVとのバランスにおい
て、下限値未満では炭化物が粒界に網目状に析出して靭
性および耐肌荒性においても本発明の目的を達成できな
い。一方Cが3.5%を超えるとVとのバランスがくず
れ、VCが均一に分布した組織形態がくずれ、耐肌荒性及
び強靭性の点で劣るようになる。
Siは脱酸剤として必要な元素であり、またM6C炭化物中
に固溶してW、Mo等の高価な元素を置換し,節減するの
に有効である。その量が0.3%未満の場合、脱酸効果が
なく、鋳鉄材において鋳造欠陥を生じやすい。また3.0
%を超えると脆化が生じやすくなる。
Mnは脱酸作用とともに不純物であるSをMnSとして固定
する作用がある。その量が0.3%未満では脱酸性に乏し
い。しかし1.5%を超えると残留オーステナイトが生じ
やすくなり、安定して十分な硬さを維持できない。
Crは2%未満では焼入れ性に劣り、また7%を超えると
クロム系炭化物が過多となるため不都合である。すなわ
ちCr系炭化物例えばM23C6はMC、M4C3、M6C、M2Cと比較
して硬さが低く、耐摩耗性を低下させる。
Moは焼入れ性と高温硬さを得るために必要であるが、9
%を超えるとCとVとM0とのバランスにおいてM6C系炭
化物が増加し、靭性および耐肌荒性の点で好ましくない
ので、M0含有量の上限は9%である。
Wは高温硬さの維持の点で必要であるが、20%を超える
とM6C系炭化物が増加して靭性及び耐肌荒性の点で好ま
しくないので、上限を20%とする。
Vは耐摩耗性の向上に効果のあるMC系炭化物を形成する
ための必須元素である。従って5%未満では十分な効果
がなく、また15%より多いと、上記Cの範囲とのバラン
スでMC系炭化物が均一に分布しにくくなる。
Niは焼入れ性を向上する作用を有する。従って5%以下
の量添加することができる。しかしそれより多いと残留
オーステナイトの増加を招き、割れや圧延中の肌荒れ等
の問題が生ずるので最大5%まで含有する。
上記元素以外、鉄基合金は不純物元素を除いて鉄からな
る。不純物元素の主なものとしてはP及びSがあるが、
Pぱ脆化防止のため0.08%以下であり、Sは同様に0.06
%以下であるのがよい。
なお、本発明において用いる上記の鉄基合金は必要に応
じて5%以下のNbやCo等を含有してもよい。
〔作 用〕
複合ロールの軸材にC0.3〜1.0重量%及びNi3重量%以下
を含有する鋼材を用い、900〜1200℃から半冷時間が0.3
〜7時間の速度で焼入れを施すことにより、軸材で起こ
る変態膨張の開始温度を700℃以下にすることができる
ので、本発明のロールの軸材は、高強度でかつ軸方向の
残留応力の小さなものとなる。これは変態膨張が比較的
低温で起こるので外層の収縮による軸材の塑性変形が小
さくなり、もって残留応力が小さな軸材となるからであ
る。
〔実施例〕
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1 軸材としてSNCM439を用い、外層材には高速度工具鋼
(組成を第1表に示す)を用いて、通常の連続肉盛鋳造
法により複合ロールを製造した。
鋳型の内径は380mmで、軸材の径は260mm、また内盛の長
さは1000mmとし、鋳造後の熱処理前加工で胴体外径が34
0mm、胴長を600mmとした。このとき外層と軸材との境界
は、ロール中央から125mmの位置(軸材の径が250mm)に
あった。これは鋳造時に軸材の一部が溶け込んだためで
ある。
次にこのロールを1050℃から放冷で焼入れを施し、その
後に500〜550℃で2回の焼戻しをした。焼入れの冷却時
に軸材及び外層で起こる変態膨張の開始温度を実験室的
に再現して求めた。それらはそれぞれ680℃及び350℃で
あった。
次にロール軸材から引張試験片を4本採取した。その採
取位置は4本ともにロール外層の両端部に近い軸材部分
で、軸材表面から50mmの深さであり、また試験片は軸方
向となるように採取した。
引張試験の結果を第2表に示す。
さらにロールを335mm径で590mm長に加工後、歪ゲージに
より残留応力を測定した。ロールの胴体表面の中央に軸
及び円周方向に歪ゲージを貼り、ロールの中心に穴をあ
け、順次その穴を加工して大きくして、そのたびに歪ゲ
ージにより表面の歪を測定した。その結果を用いてザッ
クスの式によりロールの軸方向及び円周方向の残留応力
分布、さらには半径方向の残留応力の分布を計算で求め
た。結果を第1図に示す。
比較例1 比較のために、SCM440を軸材とし、第1表に示す組成の
高速度工具鋼を外層として、実施例と同様に複合ロール
を作成した。さらに実施例と同様の加工及び熱処理を施
し、同じく同様に引張試験及び残留応力測定を行った。
焼入れの冷却時において軸材及び外層で起こる変態膨張
の開始温度を実施例1と同様にして求めた。それらは、
それぞれ720℃及び350℃であった。
引張試験の結果を第2表に、残留応力測定の結果を第2
図にそれぞれ示す。
まず第2表からわかるように、本実施例のロールは従来
のロールである比較例のロールに比べて大きな軸強さを
有している。
また軸材における軸方向の残留応力値は第1図及び第2
図からわかるように本実施例ではσmax=35kg/mm2であ
り比較例のロールではσmax=52kg/mm2であった。今回
作成のロールでは Es=2.3×104kg/mm2 Ec=2.1×104kg/mm2 As=390.3cm2 Ac=490.6cm2 ν=0.3 であるので K=1.147となり (1)式は となる。
本実施例のロールにおいては、確かに軸方向の残留応力
は上記の値(41kg/mm2)より小さくなっており、比較例
のロールにおいては大きくなっている。
〔発明の効果〕
本発明のロールの軸材は高強度で特に軸方向の残留応力
の小さなものとなるので、大きな曲げ応力に対して信頼
性の高いロールとなる。またロールの外層にはある程度
の圧縮応力が残っているので、ヒートクラックの防止に
もすぐれたロールとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例によるロール軸部の残留応力
分布を表わすグラフであり、 第2図は比較例のロール軸部の残留応力分布を表わすグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/00 301 38/08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続肉盛鋳造法により製造された圧延用複
    合ロールにおいて、その軸材はC0.3〜1.0重量%、及びN
    i3重量%以下を含有する鋳鋼あるいは鍛鋼からなり、ロ
    ール鋳造後に900〜1200℃の温度から、その半分の温度
    まで冷却する時間が0.3〜7時間となるような冷却速度
    で焼入れが施されており、前記焼入処理において軸材で
    起こる変態膨張の開始温度が700℃以下であることを特
    徴とする複合ロール。
  2. 【請求項2】連続肉盛鋳造法により製造された圧延用複
    合ロールにおいて、化学成分が重量比で、C0.36〜0.43
    %、Si0.15〜0.35%、Mn0.60〜0.90%、P0.030%以下、
    S0.030%以下、Ni1.60〜2.00%、Cr0.60〜1.00%、Mo0.
    15〜0.30%で、残部実質的にFeからなる軸材を有し、ロ
    ール鋳造後に900〜1200℃の温度から、その半分の温度
    まで冷却する時間が0.3〜7時間となるような冷却速度
    で焼入れが施されており、前記焼入処理において軸材で
    起こる変態膨張の開始温度が700℃以下であることを特
    徴とする複合ロール。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の圧延用複合ロール
    において、前記焼入処理により軸部にフェライト、パー
    ライト及びベーナイトが変態生成されたことを特徴とす
    る複合ロール。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかの項に記載の圧
    延用複合ロールにおいて、熱処理後の軸材における胴長
    方向の引張残留応力の最大値σcmaxが式 (ただしk=Ec・Ac/Es・Asで、Ec及びEsはそれぞれ軸
    材及び外層材の縦弾性係数で、Ac及びAsはそれぞれロー
    ル軸方向に垂直な断面における軸材及び外層の断面積
    で、νは軸材及び外層のポアソン比である。)を満足す
    ることを特徴とする複合ロール。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかの項に記載の圧
    延用複合ロールにおいて、外層の化学成分が重量比で、
    C1.5〜3.5%、Si0.3〜3.0%、Mn0.3〜1.5%、Cr2〜7
    %、Ni5%以下、Mo9%以下、W20%以下、V5〜15%、P0.
    08%以下、S0.06%以下、残部Fe及び不純物元素からな
    ることを特徴とする複合ロール。
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