JPH0759914B2 - スタ−リングエンジン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ） 発明の分野 本発明は機械室がシリンダ室と連通した機械室高圧型の
スターリングエンジンに関するものである。

（ロ） 従来技術 第１図は従来のスターリングエンジンを示す断面図で、
（１）はヘリウム、チッ素、アルゴン、空気等の作動ガ
スが封入され後述する連動機構（２）で往復運動するデ
ィスプレイサー（３）及びパワーピストン（４）を収納
したシリンダ室、（５）は該室の加熱壁（６）とディス
プレイサー（３）の上方との間に形成される膨張空間、
（７）は該空間と連通し加熱壁（６）と共にバーナー等
の外部熱源（８）で加熱される加熱パイプ、９は該パイ
プと連通され多孔質の金網又は焼結体が入れてある熱再
生器、（10）は冷却水の入口（11）及び出口（12）を有
し、熱再生器（９）からの冷却器（13）内作動ガスを外
方から冷却するジャケット、（14）はディスプレイサー
（３）とパワーピストン（４）との間に形成された圧縮
空間（15）と連通開放され作動ガスを流入出させる開口
である。

而して前述の連動機構（２）は機械室（16）内に収納さ
れており、ディスプレイサー（３）の駆動用ロッド（1
7）より両方に張り出た左右張出部（18a）（18b）と夫
々一端が揺動自在に枢支された一対のディスプレイサー
（３）用コンロッド（19a）（19b）と、前記ロッド（1
7）に対し左右対称に位置し前記コンロッド（19a）（19
b）の他端が回動自在に枢支された一対のピン（20a）
（20b）と、該ピンと夫々一端が回転自在に枢支され他
端がパワーピストン（４）の左右両側部（21a）（21b）
と揺動自在に枢支された一対のパワーピストン（４）用
コンロッド（22a）（22b）と、前記ピン（20a）（20b）
が夫々回転自在に偏心枢支され相互に噛み合いながら逆
方向に回転する一対のタイミングギアー（23a）（23b）
とから形成されている。

（ハ） 従来技術の問題点 斯かる構造に於いて、一般にスターリングエンジンはシ
リンダ室（１）の背圧空間（24）と機械室（16）との区
画壁（25）とパワーピストン（４）との隙間（26）をロ
ッドシールで密封してシリンダ室（１）のみに作動ガス
封入し機械室（16）内を大気圧としたエンジンタイプ
と、区画壁（25）にシリンダ室（１）と機械室（16）と
を連通させる連通孔を設けて機械室（16）内にも作動ガ
ス充満させた機械室高圧型のエンジンタイプとに区分さ
れるが、前者タイプはメカニカルシールによる密封作用
に限度があり、機械室（16）内への作動ガス漏れによる
エンジン出力低下が避けられず、又、後者タイプは運転
時外部熱源（８）より高温となったシリンダ室（１）内
の作動ガスが機械室（16）内へ移動する為シリンダ室
（１）内の作動ガス量減少によりエンジン出力が封入圧
力に対し低いという欠点を有していた。

（ニ） 発明の目的 本発明は上述した前者タイプでは作動ガス漏れをロッド
シールで完全に食い止めることが実用上不可能である点
に鑑み、後者タイプを改良して出力アップを図った機械
室高圧型のスターリングエンジンを提供するものであ
る。

（ホ） 発明の要点 外部熱源の排気ガスが排気ガス路を経て導入され機械室
内の作動ガスを加熱する補助加熱部を備え、この排気ガ
ス路にはシリンダ室から連通口を経て機械室へ作動ガス
が移動するのを抑えるために開き、機械室内の温度を設
定温度以下に抑えるために閉じる制御弁を設けることに
より、シリンダ室から機械室へ移動する作動ガス量を減
らしてエンジン出力のアップを図るようにしたものであ
り、さらには、補助加熱部を機械室の外周に設けること
により、機械室を加熱してスターリングエンジンの出力
アップを図るのに高圧の機械室が大型にならないように
したものである。

（ヘ） 発明の実施例 第２図は本発明の実施例を示す断面図で、第１図と同一
部分は同一符号で付記して説明は省略する。

（27）は加熱壁（６）と加熱パイプ（７）とを外方から
覆い、入口（28）から導入される空気と混合させながら
外部熱源（８）で燃焼させた排気ガスを出口（29）から
排出するコンバスタ、（30）は該コンバスタ内の高温排
気ガスを一部機械室（16）の外周壁に設けたジャケット
からなる補助加熱部（31）内に導入する排気ガス路、
（32）は該ガス路中に介在され機械室（16）内の温度を
50〜120℃に制限する制御弁、（33）は補助加熱部（3
1）から排気ガスを排出する出口、（34）はシリンダ室
（１）と機械室（16）とを連通させる連通口である。

尚、スターリングエンジンの機構及び動作は第１図の従
来例と同様であり、衆知の等温膨張、等容放熱、等温圧
縮、等容吸熱行程を経る運転サイクルにより機械室（1
6）の連動機構（２）から出力が外部へ取り出される。

斯かる機械室（16）高圧型のスターリングエンジンに於
いて更に詳述すると、一般にこのエンジンは膨張空間
（５）、圧縮空間（15）、背圧空間（24）に加熱パイプ
（７）、熱再生器（９）、冷却器（13）の内容積を加味
したシリンダ室（１）と、機械室（16）とが1:10の内容
積比率となっており、両室（１）（16）内に一体に封入
した作動ガスは常温ではこの1:10の内容積比率と比例し
た分布状態となっている。

しかし外部熱源（８）の加熱によりエンジンが運転開始
されると、シリンダ室（１）全体の温度が上昇して内部
ガス圧力も上昇するのに対し、機械室（16）は内容積が
シリンダ室（１）の10倍と大きく且つ機械室（16）温度
が略一定（連動機構（２）の摩擦熱やシリンダ室（１）
からの伝熱で常温よりも昇温しているが）であることか
らシリンダ室（１）から機械室（16）へと前述の如く作
動ガスが移動する。

斯かる点に鑑い、外部熱源（８）の排熱を排気ガス路
（30）より補助加熱部（31）に導入して機械室（16）を
加熱することにより両室（１）（16）の温度差を減らし
て極力シリンダ（１）から機械室（16）への作動ガス移
動を抑え、シリンダ室（１）の内部ガス圧力を高く維持
してエンジンの出力をアップさせるようにしたものであ
る。また、補助加熱部（31）を機械室（16）の外周に設
けることにより、機械室（16）を加熱してスターリング
エンジンの出力アップを図る上で、高圧の機械室（16）
が大型にならないようにしたので、高圧部分の容積を極
力小さくして安全性を維持するとともに、高圧を保持す
るための材料や重量が嵩まないようにできる。

尚、機械室（16）内のオイルの劣化を防止する為に機械
室（16）の温度やエンジン回転数又は加熱パイプ（７）
の温度等を検出して機械室（16）温度が設定温度120℃
を超えないよう制御弁（32）で調整する必要がある。勿
論、外部熱源（８）の排熱を利用しないでヒータ等の別
熱源を用いて補助加熱部（31）を形成しても良いが、上
記実施形態による排熱利用方式が最も好ましいことは言
う迄もない。

而して上記実施形態に基づき、シリンダ室（１）内容積
が300cc、機械室（16）内容積が3000ccある機械室（1
6）高圧型のスターリングエンジンを運転しつつ機械室
（16）温度を補助加熱部（31）で20℃昇温させた結果、
エンジン出力が８％アップしたことが立証された。

（ト） 発明の効果 機械室内の作動ガスを加熱する補助加熱部へ外部熱源の
排気ガスを導入する排気ガス路に、シリンダ室から通通
口を経て機械室へ作動ガスが移動するのを抑えるために
開き、機械室内の温度を設定温度以下に抑えるために閉
じる制御弁を設けたので、機械室がシリンダ室と連通し
た機械室高圧型のスターリングエンジンの出力をアップ
させることができると共に機械室内のオイル劣化を防止
することができ、さらには、補助加熱部を機械室の外周
に設けることにより、機械室を加熱してスターリングエ
ンジンの出力アップを図る上で、高圧の機械室が大型に
ならないようにしたので、高圧部分の容積を極力小さく
して安全性を維持するとともに、高圧を保持するための
材料や重量が嵩まないようにできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示すスターリングエンジンの断面図、
第２図は本発明の実施例を示すスターリングエンジンの
断面図である。 （１）……シリンダ室、（２）……運動機構、（３）…
…ディスプレイサー、（４）……パワーピストン、
（８）……外部熱源、（31）……補助加熱部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】作動ガスが封入されたシリンダ室及び機械
   室と、外部熱源と、この外部熱源で加熱された作動ガス
   の圧力で駆動され前記シリンダ室を往復運動するディス
   プレイサー及びパワーピストンと、前記外部熱源の排気
   ガスが排気ガス路を経て導入され前記機械室内の作動ガ
   スを加熱する補助加熱部とを有し、シリンダ室と機械室
   とを区画する区画壁にシリンダ室と機械室とを連通させ
   る連通口を設けて機械室内を高圧にしたスターリングエ
   ンジンであって、前記補助加熱部は前記機械室の外周に
   設けられ、前記排気ガス路にはシリンダ室から前記連通
   口を経て機械室へ作動ガスが移動するのを抑えるときに
   開き、機械室内の温度を設定温度以下に抑えるときに閉
   じる制御弁を設けたことを特徴とするスターリングエン
   ジン。