JPH0756521B2 - 耐溶剤性および耐摩耗性に優れた調光レンズおよびその製造方法 - Google Patents

耐溶剤性および耐摩耗性に優れた調光レンズおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH0756521B2
JPH0756521B2 JP61142816A JP14281686A JPH0756521B2 JP H0756521 B2 JPH0756521 B2 JP H0756521B2 JP 61142816 A JP61142816 A JP 61142816A JP 14281686 A JP14281686 A JP 14281686A JP H0756521 B2 JPH0756521 B2 JP H0756521B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
lens body
layer
light control
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP61142816A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS62299803A (ja
Inventor
康文 藤井
則之 荒川
克一 町田
輝夫 阪上
Original Assignee
呉羽化学工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 呉羽化学工業株式会社 filed Critical 呉羽化学工業株式会社
Priority to JP61142816A priority Critical patent/JPH0756521B2/ja
Publication of JPS62299803A publication Critical patent/JPS62299803A/ja
Publication of JPH0756521B2 publication Critical patent/JPH0756521B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Eyeglasses (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、フォトクロミッタ物質であるスピロオキサジ
ン化合物による調光機能を有する、耐溶剤性および耐摩
耗性に優れた調光レンズに関するものである。
〔従来技術〕
ある種の化合物に日光あるいは水銀灯の光のような紫外
線を含む光の照射,除去がなされたときに当該化合物に
おいて可逆的な色変化が生ずる現象はフォトクロミズム
といわれ、その機能をレンズに応用したものが調光レン
ズとして一般に知られており、その応用が広くサングラ
ス、度付眼鏡、ゴーグル灯に図られている。そしてこの
ようなフォトクロミック機能を示す化合物としてはハロ
ゲン化銀化合物のほか、ジチゾン水銀化合物、フルギド
化合物、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物
などの有機フォトクロミック化合物が知られている。
一般に無機ガラスをレンズ基材とする調光レンズにおい
ては、フォトクロミック物質としてハロゲン化銀が最も
よく利用されており、その呈色の波長範囲の広さ、発色
の強度、並びに呈色・褪色の繰り返し寿命の長さの点に
おいて優れたものが得られている。
一方近年における光学材料の分野においては、無機ガラ
スに比して軽量で加工し易く更に衝撃に対してより大き
な強度を有し従って安全な樹脂材料が広くレンズとして
使用されるようになっている。そしてこのような樹脂レ
ンズに対しても調光機能を付与することが種々検討され
てはいるが、実用化は殆どなされていないのが現状であ
る。その理由は、ハロゲン化銀粒子のような無機物質は
樹脂に対する相溶性が低く、そのためにレンズ基材とし
ての樹脂中に十分な量のものを均一に分散させることが
できず、また樹脂に対する相溶性が高いと考えられる有
機フォトクロミック化合物の中には、安定でかつ有用な
ものが少ないためである。
例えば最も一般的な有機フォトクロミック化合物である
スピロピラン化合物は、有機溶媒中であれば有用なフォ
トクロミズムを示すけれども、光学材料として広く使用
される比較的高い2次転移温度を有する高分子物質中に
おいては褪色の速度が極めて遅く、そのために得られる
調光材料は用途において大きな制限を受ける。
一方、スピロオキサジン化合物は優れた有機フォトクロ
ミック物質であることが知られており、高分子量物質中
に配合されたときにも、その2次転移温度の如何にかか
わらず、例外的に良好なフォトクロミズムを示すレンズ
が得られることが、例えば特公昭45−28892号公報、特
公昭49−6865号公報、特開昭55−36284号公報などによ
って知られている。
しかしながら、スピロオキサジン化合物を樹脂製レンズ
の材料である樹脂組成物中に分散させると、当該樹脂組
成物中に含有される重合開始剤や重合時の高温の影響に
よって、所期のフォトクロミック機能が十分に発揮され
ないことが往々にしてあった。
またスピロオキサジン化合物は、一般に自然に環境下に
おける光の照射及び除去に伴う呈色および褪色の繰り返
し変化を伴う使用、特に太陽光の下での長期間にわたる
使用では、その良好なフォトクロミック機能が低下し光
照射による呈色能が低下するという問題点がある。例え
ば、スピロオキサジン化合物を含む調光機能層がレンズ
表面に存在する場合には、大気中の水分、人体よりの汗
等と接触することによって加水分解するようになり、最
初は無色透明であったものが徐々に黄色若しくは赤色に
変化し、そのフォトクロミック機能が低下する問題点が
あった。
このような問題点を解決するため、調光機能を有するレ
ンズ体の表面あるいはレンズ体上に設けた調光層の表面
に、更にハードコート層を形成して保護することが有効
であると考えられる。しかしハードコート層を、蒸着法
やスパッタリング法によって形成する場合には、ハード
コート層の成分とレンズ体あるいは調光層の熱膨張係数
とが互いに相違することからハードコート層の密着性が
悪く、形成されるハードコート層に微小クラックが発生
したり、ハードコート層の剥離が容易に生ずるようにな
る。一方、ハードコート層の形成をハードコート液を用
いた浸漬法等によって行う場合には、使用する溶剤を相
当に厳しく選択する必要があり、そうでないとレンズ体
あるいは調光層に含有せしめたスピロオキサジン化合物
が滲み出したり、レンズ体あるいは調光層中に溶剤が滲
み込み、これにより調光機能が悪影響を受け、結局ハー
ドコート層の形成によって調光性レンズ体の調光機能が
阻害されることとなる。
本発明は、以上のような問題点を解決し、フォトクロミ
ック物質としてスピロオキサジン化合物を用い、自然環
境下においても光の照射および除去に伴って呈色および
褪色が繰り返し変化する機能を長期間にわたって維持す
ることができ、ハードコート層を有していて大きな耐久
性を有し、しかもスピロオキサジン化合物による優れた
調光機能が確実に発揮される耐溶剤性および耐摩耗性に
優れた樹脂製の調光レンズおよびその製造方法を提供し
ようとするものである。
〔問題点を解決する手段および作用〕
本発明調光レンズは、下記一般式(I)で示されるスピ
ロオキサジン化合物を樹脂レンズ体に含有せしめてなる
調光性レンズ体、またはそのようなスピロオキサジン化
合物を含有する樹脂からなる調光層を樹脂レンズ体の表
面に設けてなる調光性レンズ体の表面に、水溶性樹脂層
およびハードコート層をこの順に積層して設けたことを
特徴とする。そして調光層を設ける場合においては、当
該調光層を構成する樹脂が三次元網状構造を有するもの
であることが好ましい。
また本発明方法によれば、下記一般式(I)で示される
スピロオキサジン化合物を含有する樹脂レンズ体よりな
る調光性レンズ体または下記一般式(I)で示されるス
ピロオキサジン化合物を含有する樹脂からなる調光層を
樹脂レンズ体に設けてなる調光性レンズ体の表面に、水
溶性樹脂の水溶液を塗布し乾燥して水溶性樹脂層を形成
し、更にこの水溶性樹脂層上にハードコート剤を塗布し
てハードコード層を形成することによって調光レンズを
製造する。
一般式(I) 〔式中、R1,R3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、
炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコ
キシ基(R1とR3は同じであっても異なっていてもよ
い。)、R2は炭素数1〜6のアルキル基、CH2 nCOO
H、CH2 nCN、CH2 nCOORを示す。ただしRは炭素
数1〜6のアルキル基、nは1〜4の整数を示す。〕 本発明によれば、スピロオキサジン化合物が含有された
調光部分の表面には、まず水溶性樹脂層が形成され、そ
の後においてハードコート層が形成される。このため、
水溶性樹脂層の形成時においては、水溶性樹脂の水溶液
を用いた浸漬法等によって形成する場合でも、調光部分
に含有されたスピロオキサジン化合物が水溶液中に滲み
出したり、調光部分に水が滲み込むようなことはない。
そして、ハードコート層の形成時には調光部分が水溶性
樹脂層によって覆われた状態であり、従ってハードコー
ト液中の溶剤が滲み込んだり調光部分のスピロオキサジ
ン化合物が滲み出したりすることが防止される。よって
調光性レンズ体のスピロオキサジン化合物による優れた
調光機能が阻害されることがなく、またハードコート層
の形成に伴って調光層の色むら等が生ずることもなく。
勿論、更にハードコート層によっても被覆されることに
よって調光部分の表面が外面に露出しない状態となるた
め、大気中の水分や人体の汗などに直接接触することが
なく、このためスピロオキサジン化合物の加水分解によ
る劣化が防止され、この結果スピロオキサジン化合物の
有する優れた呈色・褪色のフォトクロミック機能を長期
間にわたって安定に得ることができる。そして最外面に
はハードコート層を備えることにより耐溶剤性および耐
摩耗性に優れたものとなる。
以下本発明について具体的に説明する。
本発明において用いられるスピロオキサジン化合物は、
上述の一般式(I)で表わされるものである。斯かるス
ピロオキサジン化合物の代表的な例としては、 1,3,3−トリメチルスピロ〔インドリン−2,3′−ナフト
〔2,1−b〕(1,4)−オキサジン〕、1,3,3,5−テトラ
メチルスピロ〔インドリン−2,3′−ナフト〔2,1−b〕
(1,4)−オキサジン〕、 5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔インドリン−
2,3′−ナフト〔2,1−b〕(1,4)−オキサジン〕、 5−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔インドリン
−2,3′−ナフト〔2,1−b〕(1,4)−オキサジン〕、 1−イソプロピル−3,3−ジメチルスピロ〔インドリン
−2,3′−ナフト〔2,1−b〕(1,4)−オキサジン〕 を挙げることができるが、勿論これらのみに限定される
ものではない。
これらのスピロオキサジン化合物は、各種置換基を有す
る1,3,3−トリメチル−2−メチレンインドリンと、2
−ニトロソ−1−ナフトールのエタノール等による等モ
ル溶液とを窒素ガス雰囲気下で還流して反応させること
によって合成することができる。また、上記メチレンイ
ンドリン化合物に対応するヨウ化インドリニウムをトリ
エチルアミン等の塩基化合物及び2−ニトロソ−1−ナ
フトールと共に還流することによっても合成することが
可能である。
これらのスピロオキサジン化合物は1種のみを用いても
よいが2種以上を混合して用いることもできる。
以上のスピロオキサジン化合物による調光性レンズ体を
得るためには、当該スピロオキサジン化合物を樹脂より
なるレンズ体に直接含有せしめてもよいが、当該スピロ
オキサジン化合物を含有する樹脂よりなる調光層をレン
ズ体の表面に設けてもよい。
レンズ体にスピロオキサジン化合物を含有せしめる方法
としては、スピロオキサジン化合物を含有する溶液中に
レンズ体を浸漬せしめる方法が好ましい。ここに溶剤と
しては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等
を好ましく用いることができ、具体的な溶液の濃度、浸
漬条件等は適宜選択することができる。
なお、スピロオキサジン化合物をレンズ体の材料である
重合性組成物中に分散させておき、これを重合すること
によってスピロオキサジン化合物が含有されたレンズ体
を得る方法は、スピロオキサジン化合物が重合開始剤や
重合に要する高温の影響を受け易いので好ましくない。
スピロオキサジン化合物を含有する樹脂からなる調光層
をレンズ体の表面に形成せしめる方法としては、次の方
法が好ましい。
すなわち、調光層を形成する樹脂またはその前駆体(モ
ノマー、オリゴマーなどであって熱、その他の重合手段
によって重合若しくは硬化して樹脂物質を与えるもの)
と、適宜のスピロオキサジン化合物とを、溶剤の存在下
にあるいは溶剤を用いずに、混合して調光層形成用塗布
液を調製し、この塗布液をレンズ体の表面に塗布する。
ここに溶剤としては、イソプロパノール、メチルエチル
ケトン、アセトン、エチルセロソルブ等を好ましく用い
ることができ、樹脂前駆体が液状であるときには特に溶
剤を必要としない場合もある。そして塗布後加熱乾燥す
れば調光層が形成される。調光層形成用塗布液に樹脂前
駆体を用いる場合には加熱により硬化させて三次元網状
構造の樹脂を得ることができる。
以上のスピロオキサジン化合物を含有する調光層を形成
するための樹脂としては、溶解可能な透明な樹脂が用い
られる。例えばポリメチルメタクリレートを代表とする
各種のアクリル樹脂若しくはメタクリル樹脂、ポリスチ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の熱可塑性
樹脂を挙げることができる。また樹脂の前駆体を用いる
場合においては、加熱により硬化する熱硬化型樹脂であ
る例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹
脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂等の樹脂の前駆体を用
いることができる。このうち特にエポキシ樹脂が好まし
い。また後述するハードコート層に使用されるシリコー
ンハードコート剤の樹脂も使用することができる。そし
て特に以上の熱硬化性樹脂若しくはシリコーン樹脂は三
次元網状構造を有するため、スピロオキサジン化合物の
フォトクロミック機能を十分に発揮させることができる
ので好ましい。
以上のような調光層の形成においては、各種の添加剤を
加えることも勿論可能である。斯かる添加剤としては、
スピロオキサジン化合物による呈色を良好なものとする
ために、大きな極性を有するフェノール系化合物の添加
が特に有効である。
また調光層におけるスピロオキサジン化合物と以上の樹
脂との割合は、用いるスピロオキサジン化合物の種類お
よび樹脂の種類によっても異なるが、樹脂100重量部に
対してスピロオキサジン化合物が3〜60重量部の範囲で
あることが好ましい。調光層の厚さは通常0.2〜200ミク
ロン程度であることが好ましい。
以上のような調光性レンズ体の表面、即ちスピロオキサ
ジン化合物を含むレンズ体の表面またはレンズ体に設け
た調光層の表面には、水溶性樹脂層が設けられるが、こ
の水溶性樹脂層の材料としては、塗膜形成能を有する高
分子量物質が用いられる。この水溶性樹脂層は、既述の
ように、ハードコート液中の溶剤が滲み込んだり調光部
分のスピロオキサジン化合物が滲み出したりすることを
防止するためのものであるので、当該水溶性樹脂層上に
塗布されるハードコート液が含有する有機溶剤によって
変質したり溶解したりするものであってはならない。
水溶性樹脂層の具体的材質としては、スルフォン化ポリ
エチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリ
ビニルピロリドン、メチルセルローズ、ポリヒドロキシ
エチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、その
他を挙げることができるが、勿論これらのみに限定され
るものではない。このうち、スルフォン化ポリエチレン
テレフタレートは、調光性レンズ体との接着性が良好で
あることから、特に好ましいものである。水溶性樹脂層
の厚みは、その目的が達成し得る限り小さいことが好ま
しく、通常0.1〜50μとされる。
上記水溶性樹脂層の上には、ハードコート層が設けられ
る。このハードコート層は、通常ハードコート剤が塗布
乾燥されて形成される。そしてハードコート層を形成す
るためのハードコート剤としては、シリコーンハードコ
ート剤、シリカゾルハードコート剤、有機ハードコート
剤等が好ましく使用される。
本発明において、シリコーンハードコート剤としては、
次式に示すように、オルガノアルコキシシランの加水分
解によりシラノールを経て自己縮合によりオルガノポリ
シロキサンとなって多次元架橋構造を作るものであれ
ば、いずれのものをも用いることができる。
そしてハードコート剤として表面硬度改良に用いられる
ものは、主に の如き三官能以上のポリシロキサン骨核を有するものが
適当であり、本発明においてもそのようなものが使用さ
れる。上記の式中、Rは−CH=CH2−CH2NH2、−OOC−C(CH3)=CH2、−CH2Cl、−CH2SH
などの有機性の官能基、−H、−Cl、−OHなどの加水分
解縮合に対して活性な基、脂肪族、または芳香族炭化水
素残基であり、nは2以下の整数である。またR′は脂
肪族または芳香族炭化水素残基、その他である。
具体的に好ましいシリコーンハードコート剤としては、
メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、メタクリロキシトリエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキ
シ)シラン、その他を挙げることができる。勿論これら
の例に限定されるものではない。
有機ハードコート剤としては、加熱により強度の大きい
層が得られる三次元構造を有するメラミン、ウレタン、
アルキド、エポキシ、フェノール樹脂系のハードコート
剤が用いられる。
また紫外線によって硬化させることのできる多官能アク
リル系若しくはメタアクリル系ハードコート剤を用いる
こともできる。
ハードコート層の厚みは0.1〜200μ、好ましくは0.5〜1
00μの範囲が好適である。
本発明においてレンズ体の材料としては特に限定され
ず、種々のものを用いることができる。例えばポリメチ
ルメタクリレート、ジエチレングリコールビスアリルカ
ーボネート樹脂(例えば「CR−39」)、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン等の従来よりプラスチックレンズの材
料として用いられている材料、並びに最近急速に用いら
れ始めた高屈折率を有するナイロン系、ポリアクリロレ
イン系、ブロム置換芳香族メタクリレート系樹脂等を用
いることができる。
本発明においては、次のようにして調光レンズを製造す
る。先ず前記スピロオキサジン化合物を含有する樹脂レ
ンズ体よりなる調光性レンズ体または前記スピロオキサ
ジン化合物を含有する樹脂からなる調光層を樹脂レンズ
体に設けてなる調光性レンズ体を作製する。その方法は
既述したところである。そしてこの調光性レンズ体の表
面、具体的にはレンズ体の表面あるいは調光層の表面に
水溶性樹脂の水溶液を塗布し乾燥して水溶性樹脂層を形
成する。ここに水溶性樹脂の溶剤である水は調光性レン
ズ体に対して不活性であるので、調光性レンズ体に含有
されているスピロオキサジン化合物が水溶液中に滲み出
したり、調光性レンズ体に水が滲み込むようなことはな
い。その後ハードコート剤を含む溶液を塗布し加熱乾燥
してハードコート層を形成し、これによって調光レンズ
を得る。水溶性樹脂の水溶液には調光層中のスピロオキ
サジン化合物等の滲み出し、調光層への滲み込みが生じ
ない範囲で適当な有機溶剤を少量加えることができる。
ハードコート剤の溶液を得るための溶剤としてはイソプ
ロパノール、メチルエチルケトン、アセトン、エチルセ
ロソルブ等を好ましく用いることができ、具体的な溶液
の濃度、あるいは加熱、乾燥の条件等はその目的に応じ
て適宜選択することができる。
水溶性樹脂の水溶液あるいはハードコート剤の溶液を塗
布するための方法としては、浸漬法、スピンコーティン
グ法、スプレー吹きつけ法等の方法が用いられる。
本発明方法においては、水溶性樹脂層を形成するときに
は、水溶性樹脂の溶剤である水が調光層等に対して不活
性であるため、スピロオキサジン化合物が水溶液中に滲
み出したり、調光層等に水が滲み込むことはなく、ハー
ドコート層を形成するときには、スピロオキサジン化合
物による調光層等が既に水溶性樹脂層によって被覆され
ているため、ハードコート層の形成によって当該調光層
等が悪影響を受けることが防止され、結局当初に作製し
た調光性レンズ体の優れた調光機能を阻害することな
く、所期のハードコート層を設けることができる。従っ
て、スピロオキサジン化合物による良好な呈色・褪色の
フォトクロミック機能を比較的長期にわたって安定して
得ることが可能となると共に、上記のように水溶性樹脂
層を設けることによって調光層あるいはレンズ体に含有
せしめたスピロオキサジン化合物に影響を与えることな
くハードコート層を形成することができ、大きな耐溶剤
性および耐摩耗性を付与することができる。
本発明の調光レンズは、サングラス、度付眼鏡、各種の
ゴーグル等に利用することのできる有用なものである。
〔実施例〕
以下本発明の実施例について説明するが、本発明がこれ
らに限定されるものではない。
実施例1 精製した1,3,3−トリメチルスピロ〔インドリン−2,3′
−ナフト〔2,1−b〕(1,4)−オキサジン〕10重量部
を、エポキシ樹脂前駆体「エポニックス#1100クリア
ー」(大日本塗料(株)社製)溶液100重量部中に溶解
して調光層用塗布液を得た。この調光層用塗布液中に、
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂「CR
−39」を材質とするレンズ体を30分間浸漬した後、室温
で30分間予備乾燥し、更に温度80℃で3時間加熱乾燥さ
せて厚みが50μの調光層を形成し、調光層レンズ体を作
製した。
この調光性レンズ体の調光層上に、スルフォン化ポリエ
チレンテレフタレートよりなる水溶性樹脂塗布液「フラ
スコートZ−448EF」(互応化学工業(株)社製)を浸
漬法によって塗布し、室温で30分間予備乾燥し、更に温
度80℃で3時間加熱乾燥させて厚み7μの水溶性樹脂層
を形成した。更にシリコーン系ハードコート剤「X−12
−2309」(信越化学工業(株)社製)を浸漬法によって
塗布し、30分間室温度で放置して予備乾燥させた後、温
度80℃で3時間乾燥硬化させ、厚みが5μのハードコー
ト層を形成し、もって無色透明の本発明調光レンズを製
造した。
この調光レンズを太陽光に当てたところ、直ちに色むら
なく呈色し、またその表面硬度は鉛筆硬度で3Hと優れた
耐摩耗性を示し、また種々の溶剤によっても損なわれ
ず、安定で優れたフォトクロミック機能を発揮した。
またこの調光レンズを試料としてウェザーメーター「ス
ーパーロングライフ・サンシャイン・ウェザーメータ
ー」(スガ試験機社製)により促進曝露テストを行った
ところ、60時間経過後においても無色透明の状態を有し
かつ初期の殆ど同様の優れたフォトクロミック作用を発
揮することが認められた。
実施例2 実施例1において、調光層用塗布液のエポキシ樹脂前駆
体に、更にビスフェノールA13.3重量部と、ポリエチレ
ングリコール(重量平均分子量1000のもの)10重量部を
添加したほかは、実施例1と同様にして調光性レンズ体
を得、更に実施例1と同様にして水溶性樹脂層およびハ
ードコート層を形成して本発明調光レンズを製造した。
この調光レンズを太陽光に当てたところ、直ちに色むら
なく呈色し、またその表面硬度は鉛筆硬度で3Hと優れた
耐摩耗性を示し、また種々の溶剤によっても損なわれ
ず、安定で優れたフォトクロミック機能を発揮した。
比較例1および比較例2 実施例1および実施例2において、各々水溶性樹脂層の
形成を省略した以外は実施例1および実施例2と同様に
して調光レンズの製造を行ったところ、ハードコート層
の形成において、調光層中のスピロオキサジン化合物が
滲み出して液だれが生じた。そして得られた調光レンズ
を太陽光に当てたところ、呈色に色むらが生じ、またそ
の表面硬度は鉛筆硬度でB〜Hと耐摩耗性の劣ったもの
であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−45224(JP,A) 特開 昭60−214302(JP,A) 特開 昭57−140162(JP,A) 特開 昭58−34437(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示されるスピロオキサ
    ジン化合物を含有する樹脂レンズ体よりなる調光性レン
    ズ体または下記一般式(I)で示されるスピロオキサジ
    ン化合物を含有する樹脂からなる調光層を樹脂レンズ体
    に設けてなる調光性レンズ体の表面に、水溶性樹脂層お
    よびハードコード層をこの順に積層して設けたことを特
    徴とする耐溶剤性および耐摩耗性に優れた調光レンズ。 一般式(I) 〔式中、R1,R3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、
    炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコ
    キシ基(R1とR3は同じであっても異なっていてもよ
    い。)、R2は炭素数1〜6のアルキル基、CH2 nCOO
    H、CH2 nCN、CH2 nCOORを示す。ただしRは炭素
    数1〜6のアルキル基、nは1〜4の整数を示す。〕
  2. 【請求項2】調光性レンズ体が調光層を有し、当該調光
    層の樹脂が三次元網状構造を有するものである特許請求
    の範囲第1項記載の調光レンズ。
  3. 【請求項3】下記一般式(I)で示されるスピロオキサ
    ジン化合物を含有する樹脂レンズ体よりなる調光性レン
    ズ体または下記一般式(I)で示されるスピロオキサジ
    ン化合物を含有する樹脂からなる調光層を樹脂レンズ体
    に設けてなる調光性レンズ体の表面に、水溶性樹脂の水
    溶液を塗布し乾燥して水溶性樹脂層を形成し、更にこの
    水溶性樹脂層上にハードコート剤を塗布してハードコー
    ト層を形成することを特徴とする耐溶剤性および耐摩耗
    性に優れた調光レンズの製造方法。 一般式(I) 〔式中、R1,R3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、
    炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコ
    キシ基(R1とR3は同じであっても異なっていてもよ
    い。)、R2は炭素数1〜6のアルキル基、CH2 nCOO
    H、CH2 nCN、CH2 nCOORを示す。ただしRは炭素
    数1〜6のアルキル基、nは1〜4の整数を示す。〕
JP61142816A 1986-06-20 1986-06-20 耐溶剤性および耐摩耗性に優れた調光レンズおよびその製造方法 Expired - Lifetime JPH0756521B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61142816A JPH0756521B2 (ja) 1986-06-20 1986-06-20 耐溶剤性および耐摩耗性に優れた調光レンズおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61142816A JPH0756521B2 (ja) 1986-06-20 1986-06-20 耐溶剤性および耐摩耗性に優れた調光レンズおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS62299803A JPS62299803A (ja) 1987-12-26
JPH0756521B2 true JPH0756521B2 (ja) 1995-06-14

Family

ID=15324293

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61142816A Expired - Lifetime JPH0756521B2 (ja) 1986-06-20 1986-06-20 耐溶剤性および耐摩耗性に優れた調光レンズおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0756521B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011186292A (ja) * 2010-03-10 2011-09-22 Hoya Corp フォトクロミックレンズ

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57140162A (en) * 1981-02-24 1982-08-30 Nippon Sheet Glass Co Ltd Coating polycarbonate group resin shape article
JPS6045224A (ja) * 1983-08-23 1985-03-11 Seiko Epson Corp 合成樹脂製フォトクロミックレンズ
JPS60214302A (ja) * 1984-04-11 1985-10-26 Seiko Epson Corp 高屈折率プラスチツクレンズ

Also Published As

Publication number Publication date
JPS62299803A (ja) 1987-12-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4756973A (en) Photochromic lens
AU2005223188B2 (en) Photochromic optical article and method for producing same
US6042737A (en) Process for improving adhesion of coatings to polymeric substrates and articles produced thereby
JPH0736064B2 (ja) ホトクロミックコーティングを有する光学要素
WO1995016731A1 (en) Coating composition and articles having a cured coating
US20020061407A1 (en) Abrasion resistant coating composition and coated articles
US20110189462A1 (en) Encapsulated photochromic dyes
JP4606215B2 (ja) フォトクロミック性光学物品及びその製造方法
JPH11513055A (ja) ホトクロミックな用途のための高分子材料
JPS6321605A (ja) 調光作用を有する偏光性樹脂製光学部材
JPS6122327A (ja) ホトクロミツク性成形品
JPH0756521B2 (ja) 耐溶剤性および耐摩耗性に優れた調光レンズおよびその製造方法
JPH0396901A (ja) 調光作用を有する偏光性樹脂製光学部材
JP2006502423A (ja) プラスチック調光レンズ及びこの製造方法
JPS6210604A (ja) 調光レンズ
KR100682821B1 (ko) 광변색 렌즈용 코팅액 조성물
JPH0338310B2 (ja)
JPS62299802A (ja) 耐溶剤性および耐摩耗性に優れた調光レンズ
CA1295122C (en) Photochromic lens
WO2004011964A1 (en) Photochromic contact lens and method for preparation thereof
JPH0336408B2 (ja)
JPS62198801A (ja) 耐久性の優れた調光レンズ
KR20040011702A (ko) 조광콘택트렌즈용 코팅액 조성물
KR20040011703A (ko) 조광렌즈의 제조방법
JP2564063B2 (ja) フォトクロミック成形体