JPH0755891Y2 - 猫用排泄物シーツ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、猫の排泄物を簡単に、
後始末でき、持運びが軽く、かつ焼却可能な猫用排泄物
シーツ関する。

【０００２】

【従来の技術】猫の排泄物処理には、猫砂といって砂、
海砂や吸水性の高い砂（ゼオライト、パーライト等）が
多用されている。しかしこの猫砂は、猫の多い家庭にあ
っては、一週間分の砂の量も多くなり重くて持運び難い
という問題と廃棄場の問題が生じる。又、家庭によって
は燃えるゴミと一緒に出すため都市等の焼却炉において
は、猫砂が炉の底に多量に溜り焼却能力の低下の問題を
惹き起こしている。このため軽くて焼却可能なパルプ等
の紙類をまるめたものも使用され始めている。

【０００３】猫の排泄物処理のために考案された紙をま
るめたものは、軽い、焼却可能という利点があるが、軽
いため周囲へ飛散し易く、猫にくっついて室内に散らば
り室内が汚れるという欠点がある。又、実開平２−１２
７１５５号公報は、吸収体の上面にはがれる性質のエン
ボス加工された不織布を密着し、不織布が水分を吸収す
ると吸水体からはがれる。又、実開平３−１３１７２号
公報は、尿の吸収を早くするために、２枚の吸水性紙の
間に解繊パルプ層を介在したものであるが前記の欠点を
除くことはできない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、後者の方法
を用いる場合に、多数の猫を飼育している家庭では、使
用する猫砂の量も多くなるので、たとえ、１週間毎とは
いえ、廃棄する猫砂の量も膨大なものとなる。そのた
め、汚れた猫砂を新しい猫砂と交換する度に重い猫砂を
運搬しなければならないという問題が生ずる。

【０００５】又、飼主によっては、汚れた猫砂を、例え
ば、自己の敷地内に埋めたり、家庭用菜園等の堆肥とし
て使用する等、独自に廃棄対策を講ずることなしに、ご
みの回収日に、通常の可燃性のごみと共に所定のごみ回
収箇所に搬出する者もいる。そのため、ごみ回収車によ
って可燃性のごみと共に清掃工場に運搬された上記猫砂
は、清掃工場のごみ焼却炉の底部に多量に堆積すること
となってしまい、ごみ焼却炉の焼却能力が低下するとい
う不具合も生ずることとなる。

【０００６】そこで、上記に鑑みて、猫砂の代わりに例
えば人間用使い捨てオムツの平版タイプのごときパルブ
材からなる軽量で且つ可燃性の材料を使用する方法が提
案された。

【０００７】しかしながら、実際にこの方法を採用して
猫に排泄行為をさせた所、猫は人間用使い捨てオムツを
嫌がり、この人間用使い捨てオムツのシートを引っくり
返して、該シートが置いてあった箇所（畳や床）に排泄
したり、該シートを爪で引き裂いて該シート内部のパル
プ材や高分子吸収剤粉末を、排泄物とともに周囲に捲き
散らしてしまい、室内が汚れて不衛生であるばかりでな
く、清掃が大変であるという問題点が生じた。

【０００８】本考案は、上述した課題を解消するために
なされたもので、その目的は、猫が暴れたりすることな
く、好んで排泄行為を行ない、排泄物や排泄物付着物等
が猫の行動によって周囲に散乱することがなく、交換、
廃棄等取扱が簡単な、軽量、可燃性の猫用排泄物シーツ
を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本考案は、猫が興味を惹くような破れ易いもの、ちら
ちらするもの、動き易いものすなわちスリット等を入れ
た吸水紙の一部を不織布を介してパルプ材の表面に接着
しパルプ材の裏面にポリエチレンフィルムを接着した使
い捨て猫用排泄物シーツである。

【００１０】

【作用】上記構成の猫用排泄物シーツは、可燃性のシー
ト状漏出防止部材を下側に、スリットを入れた可燃性の
吸水紙を上側にした状態で、室内等の適宜箇所に置かれ
る。猫が上記シーツを見つけて、可燃性の吸水紙上に乗
り込み、前足等で該吸水紙のスリットを引掛けたりする
と、これによって該吸水紙は前記パルプ材から容易に破
れたり或いは上方へ捲れた状態となり捲れた部分が動き
易くなる。前記吸水紙が破れたり上方へ捲れた状態とな
ると、これが猫の本能を刺激し、猫の興味は上記剥離し
たりちらちらするように捲れた状態となった吸水紙に引
き付けられる。

【００１１】このようにして猫の興味が上記吸水紙に引
き付けられている間は、該猫は、上記シーツ上に止まっ
ているので、その間に排泄が行なわれると、排泄物の殆
どは上記シーツ上に排泄され、この排泄物は、吸水紙を
介して可燃性のパルプ材上に保持される。上記排泄物中
の液状物質は、上記可燃性の吸水紙によって吸収される
が、この吸収された液状物質は、シート状漏出防止部材
によって上記シーツから漏出するのを防止されているの
で、上記可燃性のシーツ状部材の下方に漏出することは
ない。

【００１２】上述した本考案猫用排泄物シーツを用いれ
ば、猫の興味が前述の吸水紙に引き付けられるために、
従来、人間用使い捨てオムツの平版タイプを用いたとき
のように、猫がシーツを引っくり返してシーツ外に排泄
したり、シーツを前足の爪等で引き裂いてシーツ内部の
不織布やパルプ材や高分子吸収剤粉末をまき散らすがご
とき行動を惹き起すことが殆どなくなった。又、前記可
燃性の吸水紙は、その一部分を接着剤等で前記不織布を
介し又は直接パルプ材に接着すればよいから、複雑な手
間のかかる作業を要することなく簡単に製造でき、然も
コスト高となることはない。

【００１３】

【実施例】以下、図面により本考案の一実施例について
説明する。

【００１４】図２は、本考案の一実施例に従う猫用排泄
物シーツの全体的な構成を示した斜視図である。本考案
の一実施例に従う猫用排泄物シーツは、図２に示すよう
に、吸水紙１を始め、接着剤２、不織布３、パルプ材４
及びシート状漏出防止部材であるポリエチレンフィルム
５を備えた構成となっている。

【００１５】上記構成について更に詳述すると、パルプ
材４は、全体として矩形で略平板形状を呈するように形
成されたシーツの芯部であり、その肉厚は略均一で且つ
吸水紙１、不織布３及びポリエチレンフィルム５の各肉
厚よりもかなり厚肉に設定されている。上記パルプ材４
は、浸入してきた液状の排泄物が略完全に吸収されるよ
うに、高分子吸水剤（図示しない）を担持している。本
実施例では、上述した高分子吸水剤にポリアクリル酸系
等が用いられている。上記パルプ剤４は、軽量で柔らか
く且つ燃焼し易い。

【００１６】上述したパルプ材４の一方の面、即ち、図
２における上側の面には、肉厚が上記パルプ材４よりも
かなり薄肉で上記パルプ材４と略同一形状、同一大きさ
の不織布３が密着せしめられている。上記不織布３は、
周知のように糸の形態を経ずに、糸よりもかなり細い繊
維から成る繊維シート（ウエブ）を機械的・化学的・熱
的に処理し、接着剤や繊維自身の融着力で接合して作る
布である。上記不織布３は、一般に、縮んだりしわにな
ることが少なく、通気性にすぐれ、柔らかく軽い。又、
上記不織布３は燃焼し易い。本実施例では、上述した不
織布３にポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン
等が用いられている。

【００１７】上述したパルプ材４の他方の面、即ち、上
述したパルプ材４の上記不織布３が密着せしめられてい
る面と反対側の面（図２における下側の面）には、肉厚
が上記不織布３よりもかなり薄肉で上記不織布３やパル
プ材と略同一形状、同一大きさのポリエチレンフィルム
５が密着せしめられている。このポリエチレンフィルム
５は、上述したパルプ材４が吸収した液状の排泄物が、
パルプ材４から漏出するのを防止するために設けられて
いるものである。ポリエチレンフィルム５を形成してい
る材料であるポリエチレンは、周知のように、合成樹脂
の１つであり、エチレンを重合させて作られるもので、
熱可塑性、軽量、耐薬品性が強い、加工し易い、軟化し
易く可燃性であるという特徴があり、安価である。

【００１８】上記内容と図２とから明らかなように、不
織布３、パルプ材４、ポリエチレンフィルム５は、不織
布３とポリエチレンフィルム５とによってパルプ材４を
挟んだ積層構造を形成している。

【００１９】更に、本考案の一実施例に従えば、前記不
織布３の図２の上側の面には、前述したパルプ材４より
もかなり薄肉で前記不織布３、パルプ材４、ポリエチレ
ンフィルム５と略同一形状、同一大きさでスリット１ａ
をあけた吸水紙１が、設けられている。本実施例では、
上記吸水紙１は、接着剤２によって前記不織布３の上面
に接着せしめられている。

【００２０】図１、図２を参照して明らかなように、本
実施例に従う吸水紙１は、互いに略平行に複数のスリッ
ト１ａが形成されたものが採用されている。このよう
に、上記複数のスリット１ａが略平行に形成された吸水
紙１を用い、且つこの吸水紙１を上述のように接着剤２
で不織布３の面上に接着することとした理由は、本実施
例に従う猫用排泄物シーツを図２のごとき態様で室内の
適宜箇所に設置し、上記吸水紙１上に猫が乗り込んで爪
を立てたときに、この猫の行為に起因して吸水紙１が容
易にスリット１ａの部分から部分的に破れたり、接着剤
２によって接着されている四隅の部分のうちのいずれか
が引きちぎれて吸水紙１の全体が不織布３から破れたり
或いは部分的、全体的に上方へ捲れてちりちりの状態と
なるようにするためである。即ち、猫の行為により、吸
水紙１が上述した状態となれば、これが猫の本能を刺激
し、猫の興味は、上記状態の吸水紙１に引き付けられ、
猫はこれによって上記シーツで排泄行為を行なうことと
なるのみならず、本実施例に従うシーツを引きちぎった
り排泄物や排泄物付着物を室内にばら撒いたりするよう
な行動は起こさなくなるからである。上記吸水紙１の剥
離したり捲れたりした部分が、室内の空気の流動等に起
因して揺動したりすれば、更に猫の本能を刺激するのに
効果的である。勿論上記吸水紙１は、吸水力があり軽量
で軟質で且つ燃焼し易いという特徴がある。

【００２１】本実施例では、猫の行為によって容易に破
れたり捲れたりするように、複数のスリット１ａが形成
された吸水紙１を使用することとしたが、本考案に係る
吸水紙１は、上記態様のみに限定されるものではなく、
例えば、スリット１ａに代えて円形孔が複数個形成され
たものを用いてもよい。又、上記吸水紙１の不織布３へ
の接着の態様についても、前記内容のみに限定されな
い。

【００２２】上記構成の猫用排泄物シーツを、図２のご
とき態様で、吸水紙１が上になるように、ポリエチレン
フィルム５が下になるようにして室内の適宜箇所に置
く。猫が上記シーツを見つけて吸水紙１の上に乗り込
み、吸水紙１の表面に爪を立てると、これによって吸水
紙１は、前述したごとき態様で破れたり、或いは上方へ
捲れたりちらちらする状態となる。このように吸水紙１
が破れたり捲れたりちらちらする状態となると、これが
猫の本能を刺激し、猫の興味は上記剥離したり捲れたり
ちらちらする状態となった吸水紙１に惹き付けられる。

【００２３】このようにして猫の興味が上記吸水紙１に
惹き付けられている間は、該猫は、上記シーツ上に止ま
っているので、その間に排泄が行なわれると、排泄物の
殆どは、上記シーツ上に排泄され、この排泄物は、吸水
紙１を通して不織布３上に保持される。上記排泄物中の
液状物質は、不織布３を通してパルプ材４によって吸収
されるが、この吸収された液状物質は、ポリエチレンフ
ィルム５によってパルプ材４から漏出するのを防止され
ているので、パルプ材４から室内の畳や床等に漏出する
ことはない。

【００２４】上述した動物の排泄物シーツを用いれば、
猫の興味が前記吸水紙１に引き付けられるために、従
来、人間用使い捨てオムツの平版タイプを用いたときの
ように、猫がシーツを引っくり返してシーツ外に排泄し
たり、シーツを爪で引き裂いてシーツ内部のパルプ材４
や高分子吸収剤粉末をまき散らすがごとき行動を惹き起
すことが殆どなくなった。又、前記吸水紙１は、その一
部分を接着剤２によって接着すればよいから、複雑な手
間のかかる作業を要することなく簡単に製造でき、然も
低コストである。更に、軽量で軟質で丸めたりし易く且
つ焼却し易いから廃棄処理が容易に行なえる。

【００２５】なお、本実施例に従う動物の排泄物シート
は、室内の畳や床面に直接に置かずに、例えば、上蓋の
ない箱形のプラスチック容器中に敷いて用いることとし
てもよい。又、上記実施例では、猫を例に挙げて説明し
たが、本考案は猫のみに適用されるものではなく、犬や
その他のペットにも適用が可能である。

【００２６】

【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
パルプ材の、シート状漏出防止部材が密着せしめられて
いる面と反対側の面に、猫の爪立てに起因して前記パル
プ材から部分的に剥離或いは捲れ或いはちりちりの状態
になって猫の興味をそそるように、吸水力があり軟質で
且つ可燃性の薄肉吸水紙を設けることとしたので、猫が
暴れたりすることなく、落ちついて好んで排泄行為を行
ない、排泄物や排泄物付着物等が猫の行動によって周囲
に散乱することがなく、交換、廃棄等取扱いが簡単な、
軽量、可燃性の猫用排泄物シーツを提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に従う動物の排泄物シーツに
適用される吸水紙を示した平面図。

【図２】本考案の一実施例に従う猫の排泄物シーツの全
体的な構成を示した斜視図。

【符号の説明】

１ 吸水紙 １ａ スリット ２ 接着剤 ３ 不織布 ４ パルプ材 ５ ポリエチレンフィルム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スリットを入れた吸水紙の一部を不織布
   を介してパルプ材の表面に接着しパルプ材の裏面にポリ
   エチレンフィルムを接着してなる猫用排泄物シーツ。