JPH075182A - 微小プローブ及びこれを用いた原子間力顕微鏡 - Google Patents

微小プローブ及びこれを用いた原子間力顕微鏡

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JPH075182A
JPH075182A JP8395093A JP8395093A JPH075182A JP H075182 A JPH075182 A JP H075182A JP 8395093 A JP8395093 A JP 8395093A JP 8395093 A JP8395093 A JP 8395093A JP H075182 A JPH075182 A JP H075182A
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JP8395093A
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Inventor
Takehiko Kawasaki
岳彦 川崎
Tsutomu Ikeda
勉 池田
Yuji Kasanuki
有二 笠貫
Masahiko Miyamoto
雅彦 宮本
Harunori Kawada
春紀 河田
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 物質の表面を高分解能観察するための微小プ
ローブ提供する。 【構成】 微小変位を光てこ方式により計測するための
微小プローブであって、カンチレバー上に金錯体溶液中
の金錯体を分解処理することにより形成された平板状金
単結晶からなる光反射面を有するカンチレバー型微小プ
ローブ。 【効果】 非常に平滑性の高い反射面を設けたことによ
り光の乱反射が低減され、反射光による変位測定を高精
度で行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物質の表面を高分解能
観察するための微小プローブ及びこれを用いた原子間力
顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】近年において、導体の表面原子の電子構
造を直接観察できる走査型トンネル顕微鏡(以下「ST
M」と略す)が開発され(G.Binning et.
al.,Phys.Rev.Lett.49(198
2)57)、単結晶、非晶質を問わず実空間像を著しく
高い分解能(ナノメートル以下)で測定できるようにな
った。
【0003】STMは金属のプローブと導電性物質の間
に電圧を加えて、1nm程度の距離まで近づけるとトン
ネル電流が流れることを利用している。この電流は両者
の距離変化に非常に敏感で指数関数的に変化するので、
トンネル電流を一定に保つようにプローブを走査するこ
とにより実空間の表面構造を原子オーダーの分解能で観
察することができる。
【0004】しかしながら、STMによる観察は、導電
性のサンプルに限られ、絶縁性のサンプルの観察には向
かないという問題点があった。そこで、新たに、原子間
力顕微鏡(Atomic Force Microsc
ope;以下「AFM」と記す)というアイディアが提
唱された(Binning他 Phys.Rev.Le
tt.56(1986)1930)。
【0005】AFMは、物質間に働く力によって物質表
面の形状を二次元的に観察するものであり、STMと異
なり、電気伝導性のない材料表面や有機分子をナノメー
トルスケールで観察できることから広範な応用が期待さ
れている。AFMは一般に先端径の小さなプローブ(探
針)を持つカンチレバー部と、このカンチレバーの曲が
りを測定する変位測定部から構成される。このプローブ
は、カンチレバーの自由端に取り付けて作製される場合
や、カンチレバー自体を試料面と傾けて設置することに
よりカンチレバーの自由端をプローブとして用いる場合
等がある。
【0006】一般に物質表面間において、比較的遠距離
では分散力による微弱な引力が、近距離では斥力が働
く。カンチレバーの曲がりはこの作用する力に比例する
ので、この曲がりを測定することによって、プローブ先
端とこれに数nm以内に近接する試料表面間に働く微弱
で局所的な力を検出することが可能となる。さらに試料
を走査することで試料表面の力の2次元的情報が得られ
る。さらに、カンチレバーの曲がりを一定にするように
フィードバックをかけながら走査することにより、試料
表面の微小な凹凸形状を観察できる。
【0007】AFMによる分解能は試料面に平行な方向
に1nm以下であるので試料表面に10nm程度の間隔
で凹凸を形成し、それをAFMで読み出すことによっ
て、1012ビット/cm2近い超高密度のメモリを作製
することも可能である。
【0008】また、カンチレバーの曲がりを検出する方
法としては、STMを応用する方式、試料とカンチレバ
ー間の電気容量を検出する方式、光の干渉を用いる方
式、カンチレバーにレーザー光を入射しその反射角の変
化から曲がりを読み取る光てこ方式などがあるが、操作
性、検出感度を考慮して光てこ方式が一般的である。
【0009】図2にこのような光てこ方式のAFM装置
の概略図を示す。201は上部支持台で、その上にレー
ザー202、2分割フォトダイオード203が取りつけ
られており、前記上部支持台201にカンチレバー20
4がカンチレバー支持部205を介して取りつけられて
いる。206は上部支持台201と下部支持台207と
をつなぐ接続部でり、下部支持台207の上に、3次元
駆動可能な円筒ピエゾ208が取りつけられ、その上部
に試料209が固定されている。
【0010】上記構成のAFMにおいて、円筒ピエゾ2
08を2次元に移動させることにより、カンチレバー2
04が試料209に相対的に2次元に走査し、試料20
9の表面の凹凸に応じてカンチレバー204が、曲がる
ので、その曲がりをレーザー光210の反射角の変化と
して2分割フォトダイオード203で検出する。
【0011】図3にこのような光てこ方式のAFM装置
に用いられるカンチレバーの拡大図を示す。図3(a)
は上面図であり、図3(b)は断面図である。カンチレ
バー204はSiウエハー301上に作製されている。
レーザー光210の照射される面には反射層302が形
成されている。カンチレバー204の材料としては一般
にSi34、SiO2等が用いられ、反射層302の材
料としてはAuの蒸着薄膜が用いられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では以下に示す問題点があった。
【0013】図3に示したカンチレバーにおいては、カ
ンチレバー204の材料としては一般にSi34、Si
2等が用いられ、反射層302の材料としてはAuの
蒸着薄膜が用いられるが、Si34やSiO2上にAu
の蒸着薄膜を形成した場合、この薄膜は数十nmから数
百nm程度の粒径を持つ微小な結晶の集合体である多結
晶膜となる。このような多結晶膜は多数の結晶粒界を持
ち、そのため微視的に見ると非常に凹凸が大きい。その
ため入射したレーザー光はこの凹凸により乱反射され、
反射光のスポットはブロードなものとなり、測定精度に
悪影響を与えていた。さらにAFMを用いた超高密度メ
モリ等に好適な、集積化したカンチレバー型微小プロー
ブとした場合、乱反射光によるカンチレバー間の相互干
渉が生じ、読み取り精度に悪影響があった。
【0014】本発明は上記問題点を鑑みてなされたもの
で、本発明の目的は、光てこ方式のAFM等に用いられ
るカンチレバーのレーザー光の反射面に凹凸の少ない材
料を用いることにより、測定精度の高いカンチレバー型
微小プローブ及びこれを用いた原子間力顕微鏡を提供す
ることである。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するために成された本発明は、第1に、カンチレバー上
に反射面を有し、該反射面に照射された光の反射光を検
出することで前記カンチレバーの変位が計測される微小
プローブであって、前記反射面が平板状金単結晶で形成
されていることを特徴とするカンチレバー型微小プロー
ブであり、第2に、前記平板状金単結晶が、金錯体溶液
中の金錯体を分解処理することにより形成されたもので
あることを特徴とする上記第1のカンチレバー型微小プ
ローブであり、第3に、上記第1又は第2のカンチレバ
ー型微小プローブを具備する原子間力顕微鏡である。
【0016】先ず、本発明のカンチレバー型微小プロー
ブの構成及び作製方法の概略の例、金錯体溶液中の金錯
体を分解処理することで平板状金単結晶を形成する過程
の例、所望の位置に平板状金単結晶を成長させ反射面を
形成する方法、及びその他の実施態様の例について述べ
る (1)カンチレバー型微小プローブの構成及び作製方法
の概略の例 図1に、本発明のカンチレバー型微小プローブの構成及
び作製方法の代表的な例の概略を示す。
【0017】まず、図1(a)に示すように、マイクロ
ティップとなる突起102を形成したSi(100)ウ
エハ101上の上下面に、SiO2膜103及び104
を形成する。
【0018】続いて、図1(b)に示すように、ウエハ
101下面のSiO2膜104にレジストを塗布した
後、通常のフォトリソグラフィーによりカンチレバー部
を形成するためのパターンを形成し、このパターンをマ
スクとしてKOH水溶液をエッチャントとしたSiの異
方性エッチングにより、ウエハ101上面のSiO2
103が露出するまでエッチングを行い、カンチレバー
105を形成する。
【0019】これに続いて、図1(c)に示すように、
カンチレバー105下面の所望の位置にシード106を
形成した後、後述の方法で選択的に平板状金単結晶10
7を成長させ光反射面を形成し、本発明のカンチレバー
型微小プローブを作製する。このカンチレバー型微小プ
ローブを反射面側から見た図を図1(d)に示す。
【0020】(2)平板状金単結晶を形成する過程の例 次に平板状金単結晶の基板上への形成方法について、金
錯体として[AuI4-及び[AuI2-、分解処理手
段として揮発処理を用いるものとして説明する。
【0021】まず、蒸留水にヨウ化カリウム及びヨウ素
を投入してヨウ素水溶液を形成した後、金を投入し撹拌
溶解させ、[AuI4-及び[AuI2-を含有する金
錯体溶液を形成する。このとき溶液中には、金錯体の
他、I3 -、K+が存在するものと考えられる。
【0022】次いで、基板の表面を金錯体溶液に接した
後、該溶液を30〜100℃に昇温し、この温度を保ち
ヨウ素成分の揮発を促進させる。
【0023】この時、溶液系内では、I3 -の状態で存在
するヨウ素成分の揮発による溶液系内の平衡状態の維持
の為、[AuI4-及び[AuI2-からのI成分の解
離による分解、又は[AuI4-及び[AuI2-の形
で存在する錯体中のヨウ素成分の直接の揮発による分解
が進行し、結果として金が過飽和状態となり基板表円に
核として析出する。
【0024】この後、核の形成は、しばらく続くが、あ
る程度の数の核が形成されると、核の増加が止まり、核
が自己整合的に単結晶成長する。
【0025】図4にこのようにして作成した金単結晶群
の代表的な光学顕微鏡写真を示す。この金単結晶群は通
常の多結晶薄膜と異なり、それぞれの結晶が基板の面内
方向の粒径に対する垂直方向の厚さのアスペクト比の小
さな(おおよそ100:1〜200:1)平板状金単結
晶の集合である。なお、この平板状金単結晶は、基板に
対して(111)方位が優先配向したものである。ま
た、この平板状金単結晶の基板の面内方向の粒径は、作
成条件を変えることで1μm以下から数100μm以上
まで任意に変えることが可能である。また、溶液中から
の成長であるため、さまざまな形の基板の面に結晶を成
長可能である。
【0026】このようにして作成した平板状金単結晶の
大きな特徴のひとつとして、表面が非常に平滑であるこ
とがある。STMによる観察で2μm口内での凹凸はお
よそ1nm以下であり、さらに位相差光学顕微鏡による
観察でこの平滑性はひとつの結晶粒内でほぼ均一に得ら
れており、結晶粒界や欠陥は観察されない。この様に、
蒸着薄膜では得がたい大面積の平滑面が容易に作成でき
る。このため、光てこ方式の変位測定に用いるようなス
ポット状のレーザー光を入射した場合でも凹凸による乱
反射が少なく、シャープな反射光のスポットが得られ
る。
【0027】尚、金錯体の種類、分解の手法が異なるも
のの、このような金錯体の分解による溶液内の金過飽和
現象を利用して、導電性金ペースト用の金粉末を系内に
浮遊状態で析出させる技術が特開昭56−38406、
特開昭55−54509に開示されている。
【0028】(3)所望の位置に平板状金単結晶を成長
させる方法 次に、反射面を形成しようとする所望の位置のみに選択
的に平板状金単結晶を形成する方法について説明する。
【0029】様々な基板表面、錯体の種類、形成条件に
よる、平板状金単結晶の平均粒径および、1/(平均粒
径の2乗)で与えられる核形成密度の実験値を表1に示
す。
【0030】表1によって明らかなように、核形成密度
は、基板表面材料の種類、錯体の種類、形成条件により
異なるが、特に基板表面材料の種類には強く依存する。
特に、金属等の導電体の表面では大きく、絶縁体の表面
では小さい。
【0031】このことを利用することで、所望の位置の
みから平板状金単結晶を形成することができる。すなわ
ち、結晶の成長を行いたい部分のみに核形成密度の大き
い材料からなるシードを形成し、それ以外の部分は絶縁
体等の核形成密度の低い面とすることである。
【0032】本発明においては、カンチレバー本体をS
34、あるいはSiO2等の絶縁体で構成し、反射面
を形成しようとする所望の位置のみにAu、Ag等の金
属等でシードを形成し、その後で前述の平板状金単結晶
の成長を行うことで、所望の位置に、平板金単結晶を形
成することができる。
【0033】(4)その他の実施態様の例 また、本発明は、前述した実施態様の例以外にもさまざ
まな態様にて実施可能である。
【0034】カンチレバーの材料としては前述のSi3
4、SiO2の他にもSiON、Si等の材料も用いら
れ特に限定されるものではない。さらにはZnO等の圧
電材料と電極を積層し、逆圧電効果により屈曲変位をす
るカンチレバー等に応用することも可能であり、カンチ
レバーの形状も特に問わない。またマイクロティップに
ついても材料、作成方法は解くに問わない。特に意図的
にマイクロティップを作らずに、カンチレバーの先端等
の先鋭化した部分を利用する方法もある。
【0035】金錯体としては、[AuI4-、[AuI
2-、[AuCl4-、[Au(CN)2-、[Au
(CN)3-などが用いられる。
【0036】金錯体の分解処理手段としては、加熱によ
る揮発や、還元剤を用いる方法等がある。還元剤として
は例えば、ハイドロキノン、ピロガロール、パイロカテ
キン、グクシン、メトールハイドロキノン、アミドー
ル、メトール、亜硫酸ソーダ、チオ硫酸ナトリウム、水
酸化ナトリウム等、溶液中で還元作用を有する各種の物
質が用いられる。
【0037】反射面を形成しようとする所望の位置のみ
に平板状金単結晶を成長させる方法としては、前述のシ
ードによる方法が簡便である。シードとして用いる材料
は、カンチレバーの他の部分より十分に核形成密度が高
いものであれば使用可能である。カンチレバーにSi3
4、SiO2その他の絶縁材料を用いる場合は、前述の
Au、AgのほかにもTi、W、Pt、Al、Cu、等
の金属や、Si等の半導体も用いることが可能である。
シードの形成方法としては、蒸着してフォトリソグラフ
ィーによるパターニングを行う方法、各金属のペースト
を付ける方法等がある。あるいは、比較的核形成密度の
大きな材料を下地に用い、シードとしたい部分以外に核
形成密度の低い材料の被覆を形成し、平板状金単結晶の
成長を行う方法もある。
【0038】本発明のカンチレバー型微小プローブによ
れば、光反射面に非常に平滑性の高い平板状金単結晶を
用いることで、反射面の凹凸による光の乱反射が低減さ
れ、反射光による変位測定を高精度で行うことができ
る。このため、本発明のカンチレバー型微小プローブを
具備した原子間力顕微鏡は、分解能の向上が図られる。
【0039】また、原子間力顕微鏡の原理を用いた超高
密度メモリ等に好適な集積化したカンチレバー型微小プ
ローブとした場合でも、乱反射光によるカンチレバー間
の相互干渉が防止でき、読み取り精度の向上が図れる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。
【0041】−実施例1− 図1に、本実施例のカンチレバー型微小プローブの構成
及び作成方法の概略を示す。
【0042】まず、図1(a)に示すように、マイクロ
ティップとなる突起102を形成したSi(100)ウ
エハ101上の上下面に、SiO2膜103及び104
を形成した。SiO2膜103及び104の薄膜は1.
5μmとした。
【0043】続いて、図1(b)に示したように、ウエ
ハ101下面SiO2膜104にレジストを塗布した
後、通常のフォトリソグラフィーによりカンチレバー部
を形成するためのパターンを形成し、このパターンをマ
スクとしてKOH水溶液をエッチャントとしたSiの異
方性エッチングにより、ウエハ101上面のSiO2
103が露出するまでエッチングを行い、カンチレバー
105を形成した。カンチレバー105の形状は、長さ
が300μm、開口部の長さが150μmとなるような
図1(d)に示したような開口部を持つ三角形となるよ
う、別途パターニングした。
【0044】これに続いて、図1(c)に示したよう
に、カンチレバー105下面の所望の位置にシード10
6を形成した後、選択的に平板状金単結晶107を成長
させ、光反射面を形成し、本実施例のカンチレバー型微
小プローブを作成した。シード106は、Auペースト
を付けて加熱によりバインダーを蒸散させることで、お
よそ3μmの径に形成した。その後、以下に述べる方法
でシード106上に平板状金単結晶107を成長させ
た。
【0045】蒸留水500mlにヨウ化カリウム40g
及びヨウ素6gを投入して撹拌溶解させた。この溶液に
金を2g投入して撹拌溶解させた。溶解後、この溶液か
ら100ml分取して反応容器にいれ、ここにさらに蒸
留水を100ml加えて撹拌し結晶成長用溶液とした。
このようにして作成した結晶成長用溶液を、約90℃に
加熱した後、該溶液に前述の様にしてシード106を形
成したカンチレバーを投入し、温度を保ったまま1時間
放置した。この様にすることで、シード106上に選択
的に平板状金単結晶107を成長した。なお、平板状金
単結晶107の大きさは、基板の面内方向の結晶粒径が
150μmで、厚さは1.5μmであった。
【0046】本実施例のカンチレバー型微小プローブを
反射面側から見た図を図1(d)に示す。
【0047】本実施例のカンチレバー型微小プローブの
平板状金単結晶からなる光反射面に、光てこ方式の変位
測定に用いるスポット状のレーザー光を入射したとこ
ろ、乱反射による反射光の広がりは観測されずシャープ
な反射光のスポットが得られた。このため、精度の高い
変位測定が可能となった。さらに本実施例のカンチレバ
ー型微小プローブを図2に示したような光てこ方式のA
FM装置の試料観察用カンチレバーとして用いたとこ
ろ、高分解能で試料表面の形状観察が可能であった。
【0048】−実施例2− 図5に、本実施例のカンチレバー型微小プローブの構成
及び作製方法の概略を示す。
【0049】まず、図5(a)に示すように、マイクロ
ティップとなる突起502と、シード506を形成した
Si(100)ウエハ501上の上下面に、Si34
503及び504を形成した。シード506は、クラス
ター・イオンビーム蒸着法によりAgを0.1μm堆積
したものをフォトリソグラフィーによるパターニングを
行い、1.5μmの径のドット状に形成した。また、S
34膜503及び504の膜厚は1.0μmとした。
【0050】続いて、図5(b)に示すように、ウエハ
501下面のSi34膜504にレジストを塗布した
後、通常のフォトリソグラフィーによりカンチレバー部
を形成するためのパターンを形成し、このパターンをマ
スクとしてKOH水溶液をエッチャントとしたSiの異
方性エッチングにより、ウエハ501上面のSi34
503が露出するまでエッチングを行い、カンチレバ−
505を形成した。カンチレバ−505の形状は、長さ
が200μm、開口部の長さが100μmとなるような
図5(d)に示すような開口部を持つ三角形となるよ
う、別途パターニングした。
【0051】これに続いて、図5(c)に示すように、
以下に述べる方法でシード506上に選択的に平板状金
単結晶507を成長させ、光反射面を形成し、本実施例
のカンチレバー型微小プローブを作製した。
【0052】蒸留水500mlにヨウ化カリウム40g
及びヨウ素6gを投入して撹拌溶解させた。この溶液に
金を2g投入して撹拌溶解させた。溶解後、この溶液か
ら100ml分取して反応容器にいれ、ここにさらに蒸
留水を100ml加えて撹拌し結晶成長用溶液とした。
このようにして作成した結晶成長用溶液にハイドロキノ
ン100mgを溶解し、該溶液に前述の様にして形成し
たシード付きのカンチレバーを投入し2時間放置した。
この様にすることで、シード506上に選択的に平板状
金単結晶507を成長した。なお、平板状金単結晶50
7の大きさは、基板の面内方向の結晶粒径が100μm
で、厚さは1.0μmであった。
【0053】本実施例のカンチレバー型微小プローブを
反射面側から見た図を図5(d)に示す。
【0054】本実施例のカンチレバー型微小プローブの
平板状金単結晶からなる光反射面に、光てこ方式の変位
測定に用いるスポット状のレーザー光を入射したとこ
ろ、乱反射による反射光の広がりは観測されずシャープ
な反射光のスポットが得られた。このため、精度の高い
変位測定が可能となった。さらに本実施例のカンチレバ
ー型微小プローブを図2に示したような光てこ方式のA
FM装置の試料観察用カンチレバーとして用いたとこ
ろ、高分解能で試料表面の形状観察が可能であった。 −実施例3− 本実施例は、本発明のカンチレバー型微小プローブを1
枚の基板上に複数個並べて作成し、AFMを利用した高
密度の記録再生等に好適な、集積化したプローブの例で
ある。図6に集積化した本実施例のカンチレバーの概略
図を示す。
【0055】まず、実施例2と同様にして、図5(a)
〜(b)に示したようにして、平板状金単結晶の選択成
長のためのシード506を形成したカンチレバー505
の作成を行った。ただし、本実施例においては、カンチ
レバー505は、1枚の基板上に複数個並べて集積化し
て作成し、その形状は実施例2よりやや小さい、長さが
100μm、開口部の長さが50μmとなるような図5
(d)に示したような開口部を持つ三角形となるよう、
別途パターニングして作成した。
【0056】これに続いて、図5(c)に示したよう
に、やはり実施例2と同様にして、シード506上に選
択的に平板状金単結晶507を成長させ、光反射面を形
成し、本実施例の集積化カンチレバー型微小プローブを
作成した。ただし、本実施例においては集積化のため
に、それぞれのカンチレバーの大きさをやや小さくした
ため、平板状金単結晶507もやや小さく形成した。こ
のため実施例2においては成長時間を2時間としていた
ものを、本実施例では1時間とし、平板状金単結晶50
7の大きさは、基板の面内方向の結晶粒径が50μm
で、厚さは、0.5μmとなるようにした。
【0057】以上のようにして作成した本実施例の集積
化カンチレバー型微小プローブを反射面側から見た図を
図6に示す。
【0058】本実施例による集積化カンチレバー型微小
プローブによれば、乱反射光によるカンチレバー間の相
互干渉が防止でき、AFMの原理を用いた超高密度メモ
リに用いた場合、読み取り精度の向上が図れる。
【0059】−実施例4− 図7に、本実施例のカンチレバー型微小プローブの構成
及び作製方法の概略を示す。本実施例は、圧電材料と電
極を積層し、逆圧電効果により屈曲変位をするカンチレ
バーの光反射面に、平板状金単結晶を用いた例である。
【0060】まず、図7(a)に示すように、シード7
06を形成したSi(100)ウエハ701上の上下面
に、Si34膜703及び704を形成した。シード7
06は、クラスター・イオンビーム蒸着法によりAuを
0.1μm堆積したものをフォトリソグラフィーによる
パターニングを行い、1.5μmの径のドット状に形成
した。また、Si34膜703及び704の膜厚は1.
0μmとした。
【0061】続いて、図7(b)に示すように、Si3
4膜703上に、下電極膜708/圧電膜709/上
電極膜710の順で積層して堆積した。下電極膜708
及び上電極膜710の材料としてはPtを用い、イオン
ビームスパッタ法によりいずれも0.1μmの厚さに堆
積した。また、圧電膜709の材料としてはZnOを用
い、RFスパッタ法により0.4μmの厚さに堆積し
た。
【0062】続いて、図7(c)に示すように、ウエハ
701下面のSi34膜704にレジストを塗布した
後、通常のフォトリソグラフィーによりカンチレバー部
を形成するためのパターンを形成し、このパターンをマ
スクとしてKOH水溶液をエッチャントとしたSiの異
方性エッチングにより、ウエハ701上面のSi34
703が露出するまでエッチングを行い、カンチレバー
705を形成した。カンチレバー705の形状は、長さ
が200μm、幅が50μmとなるよう、別途パターニ
ングした。
【0063】これに続いて、図7(d)に示すように、
以下に述べる方法でシード706上に選択的に平板状金
単結晶707を成長させ、光反射面を形成し、本実施例
のカンチレバー型微小プローブを作製した。
【0064】蒸留水500mlにヨウ化カリウム40g
及びヨウ素6gを投入して撹拌溶解させた。この溶液に
金を2g投入して撹拌溶解させた。溶解後、この溶液か
ら100ml分取して反応容器にいれ、ここにさらに蒸
留水を100ml加えて撹拌し結晶成長用溶液とした。
このようにして作成した結晶成長用溶液を、約90℃に
加熱した後、該溶液に前述の様にしてシード706を形
成したカンチレバーを投入し、温度を保ったまま1時間
放置した。この様にすることで、シード706上に選択
的に平板状金単結晶707を成長した。なお、結晶成長
を行うに当って、カンチレバーの材料であるZnOを保
護し、かつ電極膜上等の不要な場所に平板状金単結晶が
成長するのを防止するために、不図示のポリイミド系レ
ジストによる保護膜を形成し、結晶成長終了後これを除
去した。なお、平板状金単結晶707の大きさは、基板
の面内方向の結晶粒径が50μmで、厚さは0.5μm
であった。
【0065】さらに、本実施例のカンチレバー型微小プ
ローブに図7(e)に示すようにマイクロティップ70
2を形成したものも作製した。マイクロティップ702
は、Ti、Pt等の金属片の接着、あるいは薄膜の堆積
を行った後、エッチング等で針状に加工して形成した。
【0066】本実施例のカンチレバー型微小プローブの
平板状金単結晶からなる光反射面に、光てこ方式の変位
測定に用いるスポット状のレーザー光を入射したとこ
ろ、乱反射による反射光の広がりは観測されずシャープ
な反射光のスポットが得られた。このため、精度の高い
変位測定が可能となった。
【0067】
【発明の効果】本発明のカンチレバー型微小プローブに
よれば、光反射面に非常に平滑性の高い平板状金単結晶
を用いることで、反射面の凹凸による光の乱反射が低減
され、反射光による変位測定を高精度で行うことができ
る。このため、本発明のカンチレバー型微小プローブを
具備した原子間力顕微鏡は、分解能の向上が図れる。
【0068】また、原子間力顕微鏡の原理を用いた超高
密度メモリ等に好適な集積化したカンチレバー型微小プ
ローブとした場合でも、乱反射光によるカンチレバー間
の相互干渉を防止でき、読み取り精度の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の概略を示す図である。
【図2】光てこ方式のAFM装置の概略図である。
【図3】光てこ方式のAFM装置に用いられる従来例の
カンチレバーの拡大図である。
【図4】本発明に用いる平板状金単結晶群の代表的な光
学顕微鏡像である。
【図5】本発明の第2の実施例の概略を表す図である。
【図6】本発明の第3の実施例の概略を表す図である。
【図7】本発明の第4の実施例の概略を表す図である。
【符号の説明】
101 ウエハ 102 マイクロティップとなる突起 103,104 SiO2膜 105 カンチレバー 106 シード 107 平板状金単結晶(反射面) 201 上部支持台 202 レーザー 203 2分割フォトダイオード 204 カンチレバー 205 カンチレバー支持部 206 接続部 207 下部支持台 208 円筒ピエゾ 209 試料 210 反射光 301 Siウエハ 302 反射層 501 ウエハ 502 マイクロティップとなる突起 503,504 Si34膜 505 カンチレバー 506 シード 507 平板状金単結晶(反射面) 701 ウエハ 702 マイクロティップ 703,704 Si34膜 705 カンチレバー 706 シード 707 平板状金単結晶(反射面) 708 下電極膜 709 圧電膜 710 上電極膜
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の概略を示す図である。
【図2】光てこ方式のAFM装置の概略図である。
【図3】光てこ方式のAFM装置に用いられる従来例の
カンチレバーの拡大図である。
【図4】本発明に用いる平板状金単結晶郡の代表的な光
学顕微鏡写真である。
【図5】本発明の第2の実施例の概略を表す図である。
【図6】本発明の第3の実施例の概略を表す図である。
【図7】本発明の第4の実施例の概略を表す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C30B 19/00 Z 29/02 8216−4G G01B 21/30 Z 9106−2F (72)発明者 宮本 雅彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 河田 春紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カンチレバー上に反射面を有し、該反射
    面に照射された光の反射光を検出することで前記カンチ
    レバーの変位が計測される微小プローブであって、前記
    反射面が平板状金単結晶で形成されていることを特徴と
    するカンチレバー型微小プローブ。
  2. 【請求項2】 前記平板状金単結晶が、金錯体溶液中の
    金錯体を分解処理することにより形成されたものである
    ことを特徴とする請求項1に記載のカンチレバー型微小
    プローブ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のカンチレバー型
    微小プローブを具備する原子間力顕微鏡。
JP8395093A 1993-03-19 1993-03-19 微小プローブ及びこれを用いた原子間力顕微鏡 Withdrawn JPH075182A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6211532B1 (en) * 1997-01-13 2001-04-03 Canon Kabushiki Kaisha Microprobe chip for detecting evanescent waves probe provided with the microprobe chip and evanescent wave detector, nearfield scanning optical microscope, and information regenerator provided with the microprobe chip

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6211532B1 (en) * 1997-01-13 2001-04-03 Canon Kabushiki Kaisha Microprobe chip for detecting evanescent waves probe provided with the microprobe chip and evanescent wave detector, nearfield scanning optical microscope, and information regenerator provided with the microprobe chip

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