JPH0750583B2 - パツフア形ガスしや断器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は、パッファ形ガスしゃ断器の消弧室に関する。

（従来の技術） 送電系統の大容量化に伴ない、変電所や開閉所に用いら
れるしゃ断器に要求されるしゃ断容量も増大し、かつ高
い信頼性が要求されている。しゃ断器の信頼性を高める
ためには、部品数を少なく、構造を簡単化することが重
要である。そのため、しゃ断器のしゃ断点数の減少がは
かられている。従がって、しゃ断器の１点当りのしゃ断
容量を増加させることが必要である。

従来の一般的パッファ形ガスしゃ断器において、しゃ断
性能を高めるためにはパッファ室のガス圧力を高めるこ
とが必要であり、この為、大型のパッファシリンダーを
速い開極スピードで動かし、パッファ室内のガスを高圧
にしてアークに吹きつければしゃ断容量を増加させるこ
とができる。

しかし、そのような方法では、消弧室の寸法が大きくな
ってしまうばかりでなく、大きな駆動装置が必要とな
り、しゃ断器の製造および運用の経済性が失なわれる。

（発明が解決しようとする問題点） 以上のような経済的損失を抑え、効率的にパッファ室内
のガス圧力を高める方法として、アークの熱エネルギー
を利用する方法が提案されている。この熱エネルギーを
巧みに利用すれば、パッファ室内のガスの圧力を高める
ことができ強力なアーク吹付けが得られるのでしゃ断性
能を高めることができることがわかってきた。しかし、
駆動ロッド中空部の排熱路を通して熱ガスが吹き出す穴
が直接パッファ室の内面に対向しているためその内面が
熱ガスにより損傷し、繰り返し使用するとカジリ等の不
完全動作が生じるという欠点があった。

一方高速度再閉路動作及び引続くしゃ断動作時には、操
作ロッドの穴より排気された熱ガスが投入時に再びパッ
ファシリンダ内に取り込まれる為、二度目のしゃ断時に
性能が低下するという欠点があった。

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、上記しゃ断
時のアークの熱エネルギーを有効に利用し、排熱ガスに
より損傷せず、高速度再投入動作も十分行なえて長寿
命，小形でしかも小さな駆動エネルギーで、高いしゃ断
性能が得られるパッファ形ガスしゃ断器を提供すること
が、本発明の目的である。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段） 操作ロッドの中空部に設けた穴からパッファピストンと
パッファシリンダによって圧縮せしめたガスをアークに
吹きつけ消弧せしめ、その排ガスを排気するパッファ形
ガスしゃ断器において、排気ガスが通過するパッファピ
ストンの穴明き部に概円筒状の部材を取りつけたことを
特徴とする。

（作用） 本発明は上記の如く構成することにより、排気ガスが直
接パッファシリンダに当らず、またパッファピストンと
パッファシリンダで構成されるパッファ室に排気ガスが
入り込まない。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を第１図，第２図を参照して説
明する。

（構成） 第１図は本発明による消弧性のしゃ断動作初期の状態
を、第２図はしゃ断動作後期の状態を示す。

第１図，第２図において、１は固定接触子部であり、固
定アーク接触子４および固定通電接触子３とから構成さ
れる。また２は可動接触子部であり、中空の操作ロッド
５にパッファシリンダー６、可動アーク接触子８、可動
通電接触子９、絶縁ノズル10が固定されている。可動接
触子部２において、パッファシリンダー６は、固定部
（図示せず）に固定されているパッファピストン７と
で、パッファ室11を形成している。また可動接触子部２
において、操作ロッド５の中空部5bとその外部を連通す
る穴5aは、第１図に示すように、しゃ断動作初期におい
ては、操作ロッド５中空部5bとパッファ室11内を連通す
るように加工されている。（第１図） この穴5aは第２図に示す如く、しゃ断動作後期におい
て、パッファピストン７の内径端部7aを通りすぎると、
操作ロッド５の中空部5bと周囲ガス空間を連通するよう
に構成されている。操作ロッド５の中空部5bの後端部に
は軸方向のガスの流れを穴5aにスムーズに導く為の凸部
5cが設けられている。

パッファピストン７の支持部には穴5aからのガスを容器
内へ放出する為に穴5aの位置に対向して切欠き穴7bが開
いている。更にパッファピストン７の支持部にその径が
増加又は等しくその長さは、パッファピストン７の隔壁
外部7dと動作時に摺動する、パッファシリンダ内側摺動
範囲6aが開路状態に於て、ロッドの穴5aより排出される
熱ガスを直接受けぬような長さの円筒形隔壁14が、パッ
ファピストンの切欠き穴7bに対向して取付られている。
またパッファピストン７の隔壁部には、閉路時にパッフ
ァ室11に容器よりガスを十分取り込む為にパッファ室11
と容器内の圧力差により開閉するチェックバルブ15が設
けてある。

（作用） 次に第１図、第２図、第３図により本発明の作用を説明
する。第１図は前述したように、しゃ断動作初期の状態
を示す。この状態において、アーク13は大きな熱を発生
している。また図に示すしゃ断状態において、操作ロッ
ド５の穴5aは、まだ、パッファピストン７の端部7aを過
ぎないので穴5aは、パッファ室11内と連通している。

一方、このようなしゃ断初期においては、パッファ室11
内の圧力は、あまり上昇していないので、アーク13から
のガスの膨脹流は、操作ロッド５の中空部5bを通った流
れ12bとなり、急激にパッファ室11内に流れ込む。膨脹
流12cは従来のパッファ形ガスしゃ断器でも生ずるが、
熱による流れ12bは非常に大きく、従って、パッファ室1
1内のガスに有効に熱を与え得る。これが、パッファピ
ストン７とパッファシリンダ６の本来の圧縮動作に加わ
るので、パッファ室11内の圧力は更に高くなる。

その後第２図に示すように穴5aは、パッファピストン７
の端部7aを通過して、周囲に連通する。従って操作ロッ
ド５の中空部5bは周囲のガス部に開放され、アークから
の熱が放出される。

穴5aは、しゃ断初期では熱ガスをパッファ室11内に取り
入れるが、しゃ断中期以後、熱ガスを排気する。

この排気された熱ガスは円筒状隔壁14がないとパッファ
シリンダ６の内面に当り損傷を与える。この損傷により
パッファシリンダ６の内面とパッファピストン７との間
の気密性が低下し、パッファ室11内の圧力を十分高める
ことが出来なくなったり、摺動の際傷による摩擦の増加
からかじりの原因になったりする。

更に、高速度投入動作（いわゆる−０−θ−C0動作）時
に、最初のしゃ断時の熱ガスがパッファシリンダ付近に
残っていて、次の投入動作時にこの熱ガスをチェックバ
ルブ15よりパッファ室11内へ取り込む為、パッファ室内
のガス密度が低下し、かつ新鮮なガスでない為、２度目
のしゃ断時のしゃ断性能が低下することがあるが、この
隔壁14を設けることにより、ロッドの穴5aよりの排熱ガ
スはこの隔壁14に当る為、パッファシリンダ６の内面は
全く損傷することがないばかりでなく、排熱ガスを隔壁
14がガイドして外部ガス部へと排出し、一方投入時はこ
の隔壁の外側の空間より新鮮なガス16をチェックバルブ
15を通してパッファ室11内へ取込む為、最初のしゃ断動
作による熱ガスの影響を大きく低減することができ、２
度目のしゃ断動作での性能が向上する。

（他の実施例） 本実施例は、パッファピストン７と円筒状隔壁14を別々
に設けたが、 他の実施例について第３図を用いて説明する。

パッファピストン７を支持する支持部7cを円筒状隔壁14
の位置に設けると共にこれを前記隔壁14と同一形状に
し、パッファシリンダの内側摺動範囲6aの対向する範囲
には切欠きを設けず、すその部分に切欠き穴7bを設け
て、パッファピストンの支持部7cを隔壁14と兼ねること
により非常に経済的となる。他の構成部品については本
実施例と同様であり、同一の作用をする。

〔発明の効果〕

以上述べた如く、本発明によれば、従来例に比べ、パッ
ファ室内で高い圧力上昇が得られるので、小形の消弧室
でしかも小さい駆動装置により、高いしゃ断性能のパッ
ファ形ガスしゃ断器を提供することができる。

さらに熱ガス防護壁を設けた結果、熱ガスがパッファシ
リンダ内面に吹き付けられて損傷することによるパッフ
ァピストンとのカジリなどのトラブルが発生せず、高速
度再閉路とこれに引き続くしゃ断動作時の熱ガスによる
性能低下も防ぐことができ、その結果信頼性の高いパッ
ファ形ガスしゃ断器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例のしゃ断動作初期の状態を示
す断面図、第２図は本発明一実施例のしゃ断動作後期の
状態を示す断面図、第３図は本発明の他の実施例のしゃ
断動作後期の状態を示す断面図である。 １……固定接触子部、２……可動接触子部 ３……固定通電接触子、４……固定アーク接触子 ５……駆動ロッド、5a……駆動ロッド穴部 5b……駆動ロッド中空部、5c……凸部 ６……パッファシリンダ 6a……パッファシリンダ内面摺動範囲 ７……パッファピストン 7a……パッファピストン端部 7b……パッファピストン切欠き穴 7c……パッファピストン支持部 7d……パッファピストン隔壁外部 ８……可動アーク接触子、９……可動通電接触子 10……絶縁ノズル、11……パッファ室 12……ガス流 12a,12b,12c……熱ガス流 13……アーク、14……円筒状隔壁 15……チェックバルブ、16……投入時のガス流

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】消弧性ガスを充填した容器内に、接離可能
   な固定接触子と可動接触子とを有し、可動接触子部に設
   けられたパッファピストンと先端部が中空の操作ロッド
   により駆動させるパッファシリンダとからなるパッファ
   室を圧縮することによって、パッファ室内のガスを圧縮
   してノズル部に導びき、しゃ断器のしゃ断動作に伴い固
   定、可動アーク接触子間に発生しているアークに吹きつ
   けアークを冷却して消弧せしめ、上記パッファシリンダ
   を駆動する操作ロッドの中空部に穴を設け、しゃ断動作
   初期は前記操作ロッドの中空部と前記パッファ室とを前
   記穴を介して連通させ、しゃ断動作後期は前記操作ロッ
   ドの中空部と前記パッファ室とを前記パッファピストン
   により隔離するように構成したパッファ形ガスしゃ断器
   において、前記パッファピストンの前記パッファ室と反
   対側に、前記パッファピストン付近はその径が小さく、
   遠ざかるに従い径が等しいか増加するような概円筒状部
   材を設けたことを特徴とするパッファ形ガスしゃ断器。
2. 【請求項２】前記パッファピストンの支持部材が概円筒
   形で、前記パッファピストン付近はその径が小さく遠ざ
   かるに従い径は等しいか増加し、前記パッファピストン
   外周部との間で摺動しながら前記パッファ室内圧力を高
   める前記パッファシリンダ内面の摺動部分が、開極状態
   に於て対向する位置には、前記パッファピストンの支持
   部材は穴を有していないことを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載のパッファ形ガスしゃ断器。