JPH074958U - 環状パッキン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】工場やビルの給水配管などの継手部に用いられ
る、シール性の高い環状パッキンを提供する 【構成】 弾性材料で構成された環状パッキンで、環状
パッキン１の一方の端面には環状溝１１ａが形成されて
おり、また、その外周面及び内周面の少なくとも一方に
は、周方向に連続した一つ以上のリップ部Ｌが形成され
ている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、工場やビルの給水配管等の継手部に用いられる環状パッキンに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

従来、給水配管などの流体移送用の管路の継手部には一般にフランジ継手が用 いられており、両方の管端部にそれぞれ溶接等で取り付けられたフランジどうし の当接面に環状のパッキンを挟み込んだ状態で相互のフランジをボルトで連結し て継手部の水密性を保っている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、管端にあらかじめ取り付けられたフランジ継手どうしを連結す る従来構造の継手部では、配管作業の際に両方の管が真っ直ぐに接続されないと パッキンとフランジの間に隙間ができて水漏れを生じる恐れがあり、またパッキ ンのフランジの当接面への密着力は管内の圧力と関係しないため、管内圧力が高 くなった場合にシール性能が低下する問題点があった。 本考案は、上記のような問題点を解決する新規な環状パッキンを提供すること を目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記問題点を解決するための本考案の環状パッキンは、弾性材料で構成されて 環状をなし、その一方の端面には環状溝が形成されているとともに、その外周面 及び内周面の少なくとも一方には、周方向に連続した一つ以上のリップ部が形成 されているもので、一方の管端に設けた継手本体の内周面と他方の管端の外周面 との間をシールする構造の継手部に用いられるものである。

【０００５】

【作用】 弾性変形しやすく柔軟なリップ部が、管の外周面や継手本体側のパッキン収容 部の内周面の形状に沿って変形して常時密着して隙間を無くし、管内の圧力が低 い場合はリップ部の弾性反力で確実に止水し、また管内の圧力が高い場合には、 環状溝に加わる内圧とリップ部の弾性反力とが合成されてシール効果が増加する 。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案の実施例について、図面を参照して説明する。 図１は本考案の一実施例である環状パッキンを適用した管継手部の斜視切欠 断面図、図２は部分断面図であって、１は本考案の適用される管継手本体であり 、接続される一方の管８の管端に溶接部Ｗで溶接されている。 接続される管８としては例えば腐食を防止するためにステンレス管が用いられ る。

【０００７】 管継手本体１は、接続される管８と同種類の材料とすることが防錆上好ましく 、ステンレス等で鍛造などにより形成される。 継手本体１には、ソケット部２が設けられており、その内面には、管嵌合部４ 、パッキン収容部５が管８側から順に形成されており、パッキン収容部には本考 案の一実施例としての環状パッキン１１が嵌装されている。

【０００８】 一方、管８と接続される管９の先端部分は、環状パッキン１１を貫通して上記 管嵌合部４に嵌合されている。 継手本体１には、管９側の端部にフランジ部３が形成されている。 フランジ部３には、合フランジ６が複数のボルト７によって固定されている。

【０００９】 合フランジ６は継手本体１と同質の材料例えばステンレスで形成されており、 その中心部には、管９を貫通するための孔６ａが設けられ、フランジ部３側は、 管８側に向かって拡開する係合面６ｂとなっている。

【００１０】 また、係合面６ｂの端部には、環状パッキン１１と当接する環状突起部６ｃが 形成されている。 管９には、その管端付近にバルジ加工等により膨出部１０が形成されており、 この部分が合フランジ６の係合面６ｂと当接し、管９が抜けないように保持され ている。

【００１１】 次に、本考案の環状パッキンの一実施例を図３により詳述する。 環状パッキン１１は、同図に示すように断面略矩形状でエチレンプロピレンゴ ムなどの弾性を有する材料により成形されており、受圧部１１Ａ、中間部１１Ｂ 、着座部１１Ｃから構成されている。

【００１２】 このうち受圧部１１Ａは環状パッキン１の一側の端面付近の断面略Ｕ字状ない しＶ字状をした環状溝１１ａが形成されて部分であり、環状溝１１ａは、そこに 管路内の圧力が加わったときに拡開されて、その内外の周面をパッキン嵌合部５ の内周面及び管９の外周面に密着するために設けられている。 この環状溝１１ａは、同心円状に複数条設けて環状パッキン１１の内外周面を 拡開し易くするようにしてもよい。

【００１３】 環状パッキン１１の内外周面には、管９の外周面及び継手本体１のパッキン収 容部５内面との間を密封するリップ部Ｌが周方向に連続して形成されている。 これらのリップ部Ｌは、管９の外周面及び収容部５の内周面と小さな面積で当 接するため、これらの内外周面の形状に沿って柔軟に変形し弾力性に富んでいる 。

【００１４】 この実施例ではリップ部Ｌは継手本体１のパッキン収容部５の内周面よりも管 ９の外周面の部分の方が加工時の歪みや取付時の傾き等により水漏れを起こしや すくなることを考慮して、受圧部１１Ａの内周側に２条、外周側に１条形成され ている。

【００１５】 図４は本考案の他の実施例であって、リップ部Ｌを環状パッキン１１の内外周 面両方に複数条ずつ設けている。 また、リップ部Ｌは、環状パッキン１１の内外周面のうち、どちらか一方の水 漏れを起こしやすい周面だけに形成してもよく、同図の実施例のように、管内の 圧力がリップ部Ｌを引き起こす方向に作用するように、環状溝１１ａの開口する 端面側に傾斜して設けることが望ましい。

【００１６】 また、リップ部Ｌを複数配列している場合には、合フランジ６に近い側のリッ プ部Ｌの傾斜を環状溝１１ａの開口する端面端に近い側のものと反対に形成し、 管内が負圧になった場合にもシール機能が保たれるようにしてもよい。

【００１７】 環状パッキン１１の内外径は、継手本体１に組み込んだ場合にリップ部Ｌが常 にパッキン収容部５内周面または管９の外面に弾性的に密着するような径とする 。

【００１８】 図３及び図４に示したの実施例では、環状溝１１ａが設けられている受圧部１ １Ａと中間部１１Ｂを介して連結されている反対側の端面近傍は着座部１１Ｃと なっており、この実施例ではここに補強リング１１ｂが埋設され、また環状パッ キン１１の着座部１１Ｃ側の端面Ｆは、合フランジ６の環状突起部６ｃへの当接 面となっている。

【００１９】 補強リング１１ｂは、金属、硬質プラスチックなどの剛性及び強度の大きな材 料が用いられ、受圧部１１Ａの環状溝１１ａに大きな管内圧力が作用する場合に 、環状パッキン１１全体がその圧力を受けて変形し着座部１１Ｃ側が合フランジ ６の環状突起部６ｃと管９との間の隙間に入り込んで水漏れを生じることを防止 する。

【００２０】 なお、リップ部Ｌは弾力性を有するから、環状パッキン１１自体を剛性の高い 材料で成形してもシール性が損なわれることがないため、環状パッキン１１を剛 性の高い材料で形成し、補強リング１１ｂを省略してもよい。

【００２１】 また、着座部１１Ｃの端面Ｆ全体と当接する端面を有する金属などの剛性の高 い材料で形成されたバックアップリングを介して環状パッキン１１が合フランジ ６側に支持されるようにして、環状パッキン１１の変形を防止してもよい。

【００２２】 本考案の環状パッキン１１は上記のような構成であるので、管内に水圧などの 圧力が加わっていない場合においては、その内外周面のリップ部Ｌがその弾発力 によって管９の外周面及びパッキン収容部５の内周面と密着して水漏れを防止し ている。

【００２３】 次に管内の圧力が上昇すると、その圧力はソケット部２内の管嵌合部４と管９ との隙間を抜けて環状パッキン１１の環状溝１１ａ内に作用しこれを内外に押し 拡げる。

【００２４】 これにより、環状パッキン１１の外周面側のリップ部Ｌはパッキン収容部５に 押しつけられてさらに密着力が強まり、その内周面のリップ部Ｌも管ｂの外周面 に押しつけられて密着力が増加するため管内の圧力に伴ってパッキン１１の密封 性能が向上する。

【００２５】 なお、上記実施例においては、管内を流れる流体が水の場合で説明したが、こ れに限定されるものではなく本考案の環状パッキンの材質も用途に応じて現在用 いられている様々なシール材料の中から適宜選択できるものである。

【００２６】

【考案の効果】

本考案によれば、一方の端面に環状溝が形成された環状パッキン周面にリップ 部を形成したので、管内圧力が低い場合にはリップ部の弾力性によってシール性 を維持できるとともに、管内圧力が高くなった場合にはこれに応じて環状溝が拡 開して、環状パッキンの内外周面のリップ部の密着性を高めることができるから 高い圧力や変動する圧力のかかる管路の継手部に用いた場合に水漏れ等を生じる ことがない。

【００２７】 また、リップ部がシール作用に必要な十分な柔軟性、弾力性を有するため、連 結する管どうしの軸線が多少の角度曲がっていてもシール性能が損なわれること がない。

【００２８】 しかも環状パッキン自体は圧力によって変形しにくい剛性の高い材料で形成す ること可能となるから長期間にわたって高い信頼性シール性を維持することがで きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例である環状パッキンを適用し
た管継手部の斜視切欠断面図である。

【図２】本考案の一実施例である環状パッキンを適用し
た管継手部の部分断面図である。

【図３】本考案の環状パッキンの一実施例を示す部分断
面図である。

【図４】本考案の環状パッキンの他の実施例を示す部分
断面図である。

【符号の説明】

１ 継手本体 ２ ソケット部 ３ フランジ部 ４ 管嵌合部 ５ パッキン収容部 ６ 合フランジ ６ａ 孔 ６ｂ 係合面 ６ｃ 環状突起部 ７ ボルト ８、９ 管 １０ 膨出部 １１ 環状パッキン １１ａ 環状溝 １１ｂ 補強リング １１Ａ 受圧部 １１Ｂ 中間部 １１Ｃ 着座部 Ｌ リップ部

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】弾性材料により構成された環状をなし、そ
   の一方の端面には環状溝が形成されているとともに、そ
   の外周面及び内周面の少なくとも一方には、周方向に連
   続した一つ以上のリップ部が形成されていることを特徴
   とする環状パッキン。
2. 【請求項２】リップ部が外周面及び内周面の両方に形成
   されていることを特徴とする請求項１の環状パッキン。
3. 【請求項３】リップ部が環状溝の開口する端面側に傾斜
   して形成されていることを特徴とする請求項１の環状パ
   ッキン。
4. 【請求項４】外周面にはリップ部が１条、内周面にはリ
   ップ部が２条形成されていることを特徴とする請求項３
   の環状パッキン。
5. 【請求項５】複数条配列されたリップ部のうち、環状溝
   の開口する端面に近い側のものは該端面側に傾斜し、遠
   い側のものは反対側に傾斜していることを特徴とする請
   求項１記載の環状パッキン。