JPH0747516B2 - 菌糸体肥料及びその製法 - Google Patents

菌糸体肥料及びその製法

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JPH0747516B2 JP29680190A JP29680190A JPH0747516B2 JP H0747516 B2 JPH0747516 B2 JP H0747516B2 JP 29680190 A JP29680190 A JP 29680190A JP 29680190 A JP29680190 A JP 29680190A JP H0747516 B2 JPH0747516 B2 JP H0747516B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は菌糸体肥料及びその製法に係り、その目的は
作物の成育に寄与する耐熱性放線菌を優勢に含有する有
害性のない菌糸体肥料と、この菌糸体肥料の製造方法の
提供にある。
(従来技術及びその問題点) 従来より行なわれている農作物に対する除草剤、殺菌剤
等の散布、或いは化学肥料の多用化に伴って土中微生物
は減少し、この結果地力の低下や各種作物の病弱化、或
いは環境汚染という問題が近年強く重要視されている。
この対策としては堆肥等の有機肥料を用いて土壌有効微
生物の活性化をはかる動きが各地で行なわれている。
しかしながらこれら従来における土中有効微生物を利用
した有機肥料は予めバチルス層や放線菌等の菌株を植菌
して得た培養物を担体に混合して得られるものであり、
これら技術においては微生物培養液を得るため特定微生
物の菌株を保存機関等からの分譲によって賄わなければ
ならないため生産コスト性、或いは予め培養物を得ると
いう煩雑さを伴うものであった。
そこでこの発明者はこれら欠点を解消する優れた「菌糸
体肥料」を既に開示した。
この発明は、この発明者自身によって既に開示された技
術、特開平1-264987号、発明の名称「菌糸体肥料及びそ
の製法」の改良技術に係るものである。
この技術は耐熱放線菌からなる菌糸体であって、この菌
糸体がpH7.5〜9.5の多孔質担体に担持されてなる菌糸体
肥料とこの菌糸体を製造するための方法で、pH7.5〜9.5
で粒度が粒度6〜30メッシュの多孔質担体を70〜80重量
部用い、この担体に炭素率15%以下で含水率が25〜60%
の有機物を20〜30重量部用いて混練し、この混練物を系
内温度15℃以上に維持できる雰囲気中に静置して醗酵さ
せ、この醗酵温度をエアレーションにより55〜80℃に維
持しながら少なくとも5日間醗酵させることからなる菌
糸体肥料の製法であった。
(発明の解決課題) この発明者の既開示技術は成程優れた菌糸体肥料である
が、より一層生産性に極めて優れた、且つ有害性のない
土壌及び植物の成長に効果的に寄与する土壌改良剤、肥
料等の改良技術の創出が望まれていた。
(発明の解決手段) この発明は以上のような欠点を回避せんとしてpH7.5〜
9.5の多孔質担体中に耐熱性放線菌を優勢とする菌糸体
を培養、醗酵させてなり、精製木酢液を含有することを
特徴とする菌糸体肥料及びpHを7.5〜9.5に調製した粒度
6〜30メッシュの多孔質担体50〜78重量部を用い、この
担体に炭素率15%以下で含水率が25〜60%の有機物を20
〜30重量部及び木材を乾留して得られる粗木酢液からタ
ール分・樹脂成分を分離した精製木酢液2〜20重量部を
用いて混練し、この混練物を系内温度15℃以上に維持で
きる雰囲気中に静置して耐熱性放線菌を優勢とする菌糸
体を培養、醗酵させ、この培養、醗酵温度をエアレーシ
ョンにより55〜80℃に維持しながら少なくとも2日間耐
熱性放線菌による醗酵を行なうことを特徴とする菌糸体
肥料の製法を提供することにより上記従来の欠点を悉く
解消することに成功したのである。
すなわち、この発明者は鋭意研究を行なったところ近年
工業用原料、食品添加物、医薬品等の利用が増加してい
る精製木酢液に着目し、この精製木酢液を必須成分とす
ることによって耐熱性放線菌の育成、醗酵をより迅速に
且つ確実に行えることを見出し、この発明を完成したの
である。
(発明の構成) 以下、この発明に係る菌糸体肥料及びその製法について
詳述する。
この発明の必須成分である精製木酢液とは、木材や植物
を炭化する際、その熱分解時に発生する煙を補集冷却し
た時に得られる粗木酢液を精製したものをいう。
この粗木酢液は、木材の乾燥重量100重量部に対して25
〜45重量部得られ、その性状は木材の種類によっても異
なり、暗褐色の特有の刺激臭のある液体で80乃至90%は
水分である。
その他の成分はタール(3,4-ベンツピレン等の多価芳香
族成分)分、浮遊分、塵芥さらにはギ酸、酢酸、プロピ
オン酸、酪酸、吉草酸、パレロラクトン、カプロン酸等
の有機酸類及びラクトン、メチルアルコール、アリルア
ルコール等のアルコール類、酢酸メチル、ギ酸メチル等
のエステル類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、
フルフラール等のアルデヒド類、アセトン、ジエチルケ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類等である。
この発明で使用する精製木酢液とするためにはまずこの
様な粗木酢液を得た後、油性浮遊分、塵芥等を予め前処
理によって除去する。
この精製法は特に限定されず、常法によって行なわれ
る。
この精製工程においては主としてタール分や浮遊固形
分、塵芥などが除去される。
この発明で好適に使用できる耐熱性放線菌とは放線菌で
あって、特に高温55〜80℃で生育できる耐熱性放線菌で
ラセン状菌等をいい、例えばThermoactinomyces vulgar
is,Thermoactinomyces spora actinobifida(white)等
である。
耐熱性放線菌をこの発明において菌糸体肥料の主要成分
とする理由はこの発明者が特開平1-264987号で開示した
如く、耐熱性放線菌には植物に有害な作用を与える有害
菌が極めて少なく、しかも耐熱性放線菌の代謝生産物中
に含有される植物成長ホルモン、各種ビタミン、及び耐
熱性放線菌自身の分解物が窒素供給源、あるいは栄養源
として土壌中で効果を発揮して作物の生長に寄与するか
らである。
この発明において耐熱性放線菌は多孔質担体中に培養、
醗酵されてなるが、この醗酵系においては精製木酢液2
〜20重量部を混練しておくか、或いは多孔質担体中に予
め含浸させておく。
この発明において特に精製木酢液を必須成分とした理由
は、精製木酢液の存在によって、耐熱性放線菌が多孔質
担体中において極めて短時間で醗酵、生育することを本
願発明者が自らの実験的知得によって見出したからであ
る。
すなわち、この発明者が特開平1-264987号で開示した技
術では、この発明の目的とする土壌中の有効肥料たる
「菌糸体肥料」を得るまでに温度を55〜80℃に維持した
状態で少なくとも5日間の醗酵期間を必要としたが、精
製木酢液を使用することにより、前記醗酵期間は最短2
日間に減縮され、しかも所期の目的である植物の生長に
寄与される菌糸体肥料として何ら品質的に劣るものでは
なく却って優れていることを見出したのである。
この発明において精製木酢液は耐熱性放線菌を培養、醗
酵する多孔質担体中に有機物とともに混練するか、或い
は予め多孔質担体中に含浸させてなるものである。
この多孔質担体は、耐熱性放線菌の生育を有効的に行な
うためそのpHを7.5〜9.5、望ましくは8〜9に調製す
る。
多孔質担体のpHを7.5〜9.5に調製することによって糸状
菌、細菌等の菌の生育を防止できるとともに、菌糸体肥
料中の耐熱性放線菌を一定量に維持可能となる。
この発明において担体を多孔質担体に限定する理由は菌
糸体肥料の貯蔵中、或いは土壌施用時に耐熱性放線菌の
生育必須成分である水と空気を保持するためである。
係る多孔質担体の具体例としては、pHが7.5〜9.5に維持
できるものであれば、有機質、無機質のいずれの多孔質
担体も使用できる。
この発明において使用できる多孔質担体を例示すると木
炭、活性炭、石炭、コークス、活性コークス、泥炭、バ
ームキュライト、パーライト、ベントナイト、発泡性ウ
レタン等の無機質、有機質、合成樹脂等の発泡体が例示
できる。
この発明に係る耐熱性放線菌を優勢とする菌糸体は耐熱
性放線菌が菌糸体中の微生物群集として10%を占めるも
のが最も望ましいが、少なくとも微生物群集として50%
以上が耐熱性放線菌である菌糸体が望ましい。
その理由は50%未満の耐熱性放線菌である場合には、有
害菌である細菌、或いは糸状菌の繁殖が土壌施用後に発
生し悪影響を及ぼすことがあり、少なくとも菌糸体中の
微生物群集中50%以上が耐熱性放線菌である場合に土壌
施用後に耐熱性放線菌の優勢繁殖が確保でき、この発明
の所期の目的は達成できるからである。
次にこの発明に係る菌糸体肥料の好適な製造法について
詳述する。
この発明においては精製木酢液2〜20重量部をpH7.5〜
9.5、粒度6〜30メッシュの多孔質担体及び炭素率15%
以下で含水率が25〜30重量部とともに混練して使用する
のが望ましい。
この発明において多孔質担体及び有機物に精製木酢液を
混練させる理由は前述した如く、多孔質担体中に担持さ
れる耐熱性放線菌の生育が促進されるとともに確実な生
育が可能となり、しかも後期醗酵に要する期間をも短縮
することが可能となり、結果として短期間でこの発明の
目的とする菌糸体肥料を製造することが可能となるとと
もに製造された菌糸体肥料に残存する精製木酢液が肥料
に対しある影響を与えるからである。
この精製木酢液の量を2〜20重量部とした理由は2重量
部未満ではこの発明の目的とする耐熱性放線菌の生育促
進、及び耐熱性放線菌による醗酵期間の減縮効果は発現
されず、30重量部を超えると耐熱性放線菌の醗酵系全体
における水分含有率が高くなり好ましくないからであ
る。
多孔質担体は前述の如く耐熱性放線菌の好適な生育pH域
を菌糸体肥料の製造中及び保存中に確保するため、その
pH域を7.5〜9.5と限定する。
多孔質担体のpH域を限定することによってアルカリ性条
件下で生育しにくい糸状菌等の有害菌の繁殖を阻むとい
う効果をも奏する。
この多孔質担体はその粒度を6〜30メッシュとする必要
がある。
その理由は後期醗酵の際に、30メッシュを超える細かい
多孔質担体の場合には醗酵温度が40℃以上に維持するこ
とが難しく、この発明の目的である耐熱性放線菌の充分
な生育が望めず、逆に6メッシュ未満の粒度が大きい多
孔質担体においては製造時の取扱いの煩雑性があり望ま
しくないからである。
このように精製木酢液を含浸させた多孔質担体を50〜78
重量部用いる理由は多孔質担体が50重量部未満の場合に
は、後期醗酵条件において有機物の未分解率が多くなり
望ましくないとともに78重量部を超えて使用する場合に
は、有機物から供給される水分が醗酵系全体における水
分含有率として少なくなり好適な醗酵温度が得られず、
結局いずれの場合にも好ましくないからである。
この発明においては精製木酢液を含浸させた多孔質担体
に、特開平1-264987号で開示した技術に準じて炭素率15
%以下で含水率が25〜60%の有機物を20〜30重量部用い
て混練する。
炭素率を15%以下の有機物と限定する理由は、炭素率が
15%を超える有機物の場合には繊維質セルロース系の含
有物が多くなり、その結果セルラーゼの所用量が多くな
り放線菌中セルラーゼの生育が優勢となり、この発明の
所期の目的を達成できないというこの発明者の実験的知
見によるものである。
また有機物の含水率を25〜60%と限定する理由は、混練
物の醗酵系の水分が有機物からのみ供給されるとともに
醗酵物系の水分が30〜40%ないと、充分な耐熱性放線菌
の醗酵温度が得られないからである。
逆に醗酵物系に40%を超える含水率の場合や30%未満の
場合にはいずれも耐熱性放線菌を醗酵させる充分な醗酵
条件が得られず好ましくないからである。
さらに有機物を20〜30重量部使用する理由は、20重量部
未満の場合は有機物の量が少なすぎて各担体に対する菌
糸体の生長が小さく、各多孔質担体に対して均一に分散
して菌糸体が付着せず、逆に30重量部を超えて配合した
場合には、菌糸体と多孔質担体との配合バランスがくず
れ菌糸体が過剰になったり有機物の未分解率が多くなっ
たり、いずれの場合も好ましくないからである。
次いでこの混練物を系内温度15℃以上に維持できる雰囲
気内に静置する。
その理由は系内温度とと外気温を遮蔽し、一定の保温状
態を保つことにより醗酵の均一性を保持するためであ
る。
この温度が15℃以下の場合には、醗酵温度が十分に上昇
せず好ましくない。
系内温度を一定にし外気温と遮断した後、醗酵物系の温
度を55〜80℃、望ましくは60〜70℃に維持する。
醗酵温度が55℃以下の場合には醗酵を促進するために系
内の15℃以上に維持された空気を一定時間醗酵槽の底面
部等より付設されたパイプやポンプを通して送りこみ
(エアレーション)醗酵温度を55〜60℃に維持するが、
セルロース含量が炭素率15%以下の有機物を使用すると
して制限され、しかも多孔質担体が多量に混合されてい
る含水率が制限されているという理由で80℃以上に醗酵
温度が上昇することは実際上おこり得ない。
この状態で少なくとも2日間醗酵することにより精製木
酢液を含浸させたpH7.5〜9.5の多孔質担体中に耐熱性放
線菌を優勢とする菌糸体を培養、醗酵させてなることを
特徴とする菌糸体肥料が製造される。
この発明において醗酵期間は少なくとも2日間、望まし
くは5日間とするのが望ましい。
尚、醗酵温度を55〜80℃に維持する理由は55℃未満では
耐熱性放線菌が所期の目的の如く菌糸体群集中の割合で
得られず、逆に80℃を超える場合においては嫌気性菌が
生育するため、結局いずれの場合も望ましくないからで
ある。
この発明においては前述の如く炭素率15%以下の有機物
を20〜30重量部用いること、この有機物の含水率を25〜
60%と限定すること、更に多孔質担体を50〜78重量部用
い、且つ粒度を6〜30メッシュとすることによって醗酵
温度が80℃以上になることがない。
従って、通常の醗酵工程で行なわれる水を醗酵物にかけ
て醗酵温度を下げるいわゆる切り返し工程がなくとも80
℃以上に醗酵温度が上昇することがない。
(発明の効果) 以上詳述した如くこの発明に係る菌糸体肥料及びその製
法はpH7.5〜9.5の多孔質担体中に耐熱性放線菌を優勢と
する菌糸体を培養、醗酵させてなり、精製木酢液を含有
することを特徴とする菌糸体肥料及びpHを7.5〜9.5に調
製した粒度6〜30メッシュの多孔質担体50〜78重量部を
用い、この担体に炭素率15%以下で含水率が25〜60%の
有機物を20〜30重量部及び木材を乾留して得られる粗木
酢液からタール分・樹脂成分を分離した精製木酢液2〜
20重量部を用いて混練し、この混練物を系内温度15℃以
上に維持できる雰囲気中に静置して耐熱性放線菌を優勢
とする菌糸体を培養、醗酵させ、この培養、醗酵温度を
エアレーションにより55〜80℃に維持しながら少なくと
も2日間耐熱性放線菌による醗酵を行なうことを特徴と
する菌糸体肥料の製法であるから、有益菌の覆い耐熱性
放線菌を短期間で選択的に確実に肥料とすることがで
き、しかも耐熱性放線菌の代謝産物である植物ホルモ
ン、或いはビタミン等が有効な肥料として土壌中で効果
を発揮するとともに、この菌糸体の担体が木酢液を含浸
させてなるpH7.5〜9.5の多孔質担体であるため、この耐
熱性放線菌の好適な生育環境を常に保持し、糸状菌、細
菌の生育を防止するとともに、耐熱性放線菌の生育環境
に必要な空気と水を多孔質担体が保持して耐熱性放線菌
に補給するという効果を奏する。
以下この発明の実施例を記載することにより、この発明
の効果をより一層明確なものとする。
(実施例1) 多孔質担体として、pHが8.2、粒度25メッシュパス、内
部表面積が200m2/gのヤシガラ炭を60重量部用いた。
この多孔質担体にpH8.8、含水率32.9%、炭素率9.6%の
鶏糞を25重量部及び精製木酢液15重量部を用い、これら
を混練した。
この混練物の醗酵中の温度を測定し、温度の上昇開始時
及び混練物の醗酵中の温度が55℃以下になると、系内の
空気をポンプにより、醗酵物中に直接供給し、立ち上げ
時は一気に温度を上昇させその他は温度を一定に管理し
た。
この醗酵を3日間行なった。
醗酵工程を通じて醗酵物系中の温度が80℃以上に上昇す
ることはなかった。
(組成分析) この醗酵停止後、菌糸体肥料を組成分析したところpH8.
9、窒素全量1.65%、純蛋白質5.8%,ビタミンB10.01mg
%、ビタミンB20.06mg%、パントテン酸0.17mg%、ニコ
チン酸アミド0.30mg%であった。
(菌糸体肥料中の菌の特定) 菌糸体中の菌を確定するために、直径9cm、深さ1.5cmの
ペトリ皿4枚を用い、寒天と蒸留水からなる培地を充填
し、前記菌糸体粒をペトリ皿1〜3のそれぞれのペトリ
皿1枚に対し、20粒均等間隔で接種した。
尚、比較例としてペトリ皿4を25メッシュパスで未処理
のヤシガラ炭粒をそのまま用いて他のペトリ皿と同様に
処理した。
このペトリ皿1〜4を25℃で4日間培養した後、放線
菌、糸状菌を発生したコロニー数で分類分析した。
尚、この培養に際し培地は予め120℃、1気圧下で20分
間オートクレイブで殺菌した。
この結果、ペトリ皿1は試料粒1に対し、平均して耐熱
性放線菌は7.4コロニー存在したのに対し糸状菌は5.0コ
ロニーであった。
ペトリ皿2においては、試料粒1に対し、耐熱性放線菌
は平均4.2コロニー、糸状菌は0.04コロニーであった。
このうち耐熱性放線菌としてはラセン状菌が優勢してお
り、糸状菌においてはCladosporium属、Penicillium
属、Nigrospora属が見出された。
これらの糸状菌のうちCladosporium属のものとPenicill
ium属は比較例として用いたヤシガラ活性炭粒のみのペ
トリ皿からも見られることからこれらは空気中からの混
入菌であると考えられ、実質的に菌糸体肥料の微生物群
集は耐熱性放線菌が優勢しているものであった。
次にこのような耐熱性放線菌を使用した、施用例につい
て記載する。
尚、試験に際しては実施例1のみではなく、第1表に示
す如く担体、有機物の種類や精製木酢液の使用量を種々
変化させた実施例、及び比較例とを使用したがこれらの
醗酵条件については実施例1と全く同様に処理した。
(施用例1) 方法 1)試験の規模 ポット試験(1/5000a ポット) 2)供試品目 コウライシバ (Zoysia tenuifolia Willd.) 3)供試土壌 砂土 4)試験時期 4月〜10月 5)試験区分 対照区 3ポット 各実施例区 土壌中10% 施用各3ポット 土壌中20% 施用各3ポット 各比例区 土壌中10% 施用各3ポット 土壌中20% 施用各3ポット 加えて、普遍化成肥料3gをそれぞれのポットに施用し
た。
尚、供試土壌は粗砂90.1%、細砂9.0%、シルト0.0%、
粘土0.9%、塩基置換容量0.44me/100g、pH6.8であっ
た。
6ケ月後の茎の重量を測定した。それぞれの平均価をま
とめて第2表に示す。
(施用例2) 方法 1)試験の規模 土壌栽培試験 (1区10m2 1区制) 2)供試品目 真珠 100アムスメロン 3)供試土壌 砂土 4)試験時期 3月 5)供試作型 初夏どり栽培 (1)栽植密度 畦幅1.5m 株間45cm 中央1条植 (2)整枝 子づる2本各々2果着果 22節摘芯 上位節子づる1本残し (3)仕立型 立作り 5)試験区分 対照区 各実施例区 土壌中10% 土壌中20% 各比例区 土壌中10% 土壌中20% 上記条件にてメロン栽培における施用試験を行なった。
1ケ月後の真珠100アムスメロンのつる長、葉数の値を
測定し、それぞれの平均価をまとめて第3表に示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】pH7.5〜9.5の多孔質担体中に耐熱性放線菌
    を優勢とする菌糸体を培養、醗酵させてなり、精製木酢
    液を含有することを特徴とする菌糸体肥料。
  2. 【請求項2】pHを7.5〜9.5に調製した粒度6〜30メッシ
    ュの多孔質担体50〜78重量部を用い、この担体に炭素率
    15%以下で含水率が25〜60%の有機物を20〜30重量部及
    び木材を乾留して得られる粗木酢液からタール分・樹脂
    成分を分離した精製木酢液2〜20重量部を用いて混練
    し、この混練物を系内温度15℃以上に維持できる雰囲気
    中に静置して耐熱性放線菌を優勢とする菌糸体を培養、
    醗酵させ、この培養、醗酵温度をエアレーションにより
    55〜80℃に維持しながら少なくとも2日間耐熱性放線菌
    による醗酵を行なうことを特徴とする菌糸体肥料の製
    法。
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