JPH0746532B2 - 透明導電性被膜が形成された基材 - Google Patents

透明導電性被膜が形成された基材

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JPH0746532B2
JPH0746532B2 JP31065186A JP31065186A JPH0746532B2 JP H0746532 B2 JPH0746532 B2 JP H0746532B2 JP 31065186 A JP31065186 A JP 31065186A JP 31065186 A JP31065186 A JP 31065186A JP H0746532 B2 JPH0746532 B2 JP H0746532B2
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通郎 小松
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、耐擦傷性、耐久性、基材の密着性に優れた透
明性の高導電性被膜を表面に形成されたガラスまたはプ
ラスチック等の基材に関する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示
機器用の前面基板をはじめとする各種の透明基材として
用いられているガラスあるいはプラスチックは、絶縁体
であるため、その表面に静電気を帯やすく、このため基
材表面にゴミ、ホコリなどが付着しやすい。また液晶デ
ィスプレイ(LCD)等のエレクトロディスプレイ装置
は、静電気によって誤動作を起こすことがある。このよ
うな問題点を解決するため、ガラス、プラスチックなど
の基材表面に導電性を付与させて、基材の帯電防止を図
ることが多くなっている。
基材に導電性を付与させるには、基材表面に、金属薄膜
あるいは導電性の無機酸化物被膜を、CVD法、PVD法蒸着
法などの気相法によって被着させる方法が用いられてい
る。ところが気相法にって基材表面に導電性を付与しよ
うとすると、真空蒸着装置が必要であり、しかもその装
置の大きさによって被膜が形成される基材の面積あるい
は形状が制限されるという問題点がある。
このため、導電性物質をバインダー樹脂に分散させてな
る導電性塗料を、基材表面に塗布することによって、基
材に導電性を付与する方法が提案されている。
ところが、導電性物質がアクリル系樹脂、プチラール樹
脂、メラミン樹脂、塩ビ・酢ビ共重合体樹脂などのバイ
ンダー樹脂に分散されてなる導電性塗料を用いて、基材
に導電性被膜を形成しようとすると、得られる導電性被
膜は、導電性は充分優れているが、透明性、耐擦傷性、
耐溶剤性あるいは基材との密着性に劣るという大きな問
題点があった。
したがって、透明性に優れるとともに、耐擦傷性、耐溶
剤性、基材との密着性に優れた導電性被膜を形成しうる
ような導電性被膜形成用塗布液の出現が強く望まれてい
た。
なお、特開昭57−100943号公報には、基材上に導電性被
膜を形成する目的ではないが基材表面の保護および反射
防止などの目的で、酸化ジルコニウムを1〜30モル%含
む酸化珪素被膜が提案されている。この特開昭57−1009
43号公報に記載された酸化ジルコニウム−酸化珪素被膜
では、ジルコニウム化合物として、ZrCl2、ZrCl3、ZrCl
4などの塩化ジルコニウム、Zr(NO3)4・5H2Oなどの硝酸
ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウ
ムジケトネードが用いられると記載されている。
しかしながら塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、ジ
ルコニウムアルコキシドあるいはジルコニウムジケトネ
ートおよびシリコンアルコキシドを含む塗布液を用いて
酸化ジルコニウム−酸化珪素被膜を形成しようとする
と、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウムが水に対して
不安定であるため、塗布液を長時間にわたって保存する
ことができず、ポットライフが短いという大きな問題点
があることが本発明者らによって見出された。しかも、
上記のような塩化ジルコニウムなどを含む塗布液を用い
て酸化ジルコニウム−酢酸珪素被膜を形成しようとする
と、やはり少なくとも450℃以上の温度で塗布膜を焼成
しなければならなかった。また、上記のような塗布液
は、シリコンアルコキシドの加水分解に際して、新たに
塩酸などの鉱酸を塗布液に添加してpHを2〜6に調整し
なければならないという問題点があった。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術に伴なう問題点を解決
しようとするものであって、透明性に優れるとともに、
耐久性、基材との密着性に優れた導電性被膜を形成され
たガラス、プラスチックなどの基材を提供することを目
的としている。
発明の概要 本発明に係る第1の透明導電性被膜が形成された基材
は、ジルコニウムのオキシ塩と、シリコンアルコキシド
またはその誘導体と、導電性物質とが、水および有機溶
媒からなる混合溶媒中に均一に混合された導電性被膜形
成用塗布液から形成された透明導電膜を基材表面に有す
ることを特徴としている。
本発明に係る第2の透明導電性被膜が形成された基材
は、ジルコニウムのオキシ塩と、シリコンアルコキシド
またはその誘導体と、非沈降性シリカ液と、導電性物質
とが、水および有機溶媒からなる混合溶媒中に均一混合
された導電性被膜形成用塗布液から形成された透明導電
膜を基材表面に有することを特徴とする。
本発明に係る透明導電性被膜を基材上に形成する際に用
いられる導電性被膜形成用塗布液は、ジルコニウムのオ
キシ塩と、シリコンアルコキシドまたはその誘導体と、
導電性物質と、必要に応じて非沈降性シリカとが、水お
よび有機溶媒からなる混合溶媒中に均一に混合されてい
るので、この塗布液は安定性に優れ長時間にわたって保
存することができ、しかもこの塗布液から形成される導
電性被膜は、透明性に優れるとともに耐擦傷性、基材と
の密着性、耐久性に優れている。しかも被膜の形成時
に、塗布液に新たな酸を添加する必要がなく、かつ塗布
膜を450℃以上もの高温で焼成する必要もない。
発明の具体的説明 以下、透明導電体被膜を基板上に形成するために用いら
れる導電性被膜形成用塗布液について具体的に説明す
る。
本発明で用いられる導電性被膜形成用塗布液は、ジルコ
ニウムオキシ塩と、シリコンアルコキシドまたはその誘
導体と、導電性物質と、必要に応じて非沈降性シリカ液
とが、水および有機溶媒からなる混合媒体中に溶解また
は均一に分散されて構成されているが、以下に各成分に
ついて説明する。
ジルコニウムオキシ塩としては、オキシ塩化ジルコニウ
ム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウ
ム、オキシシュウ酸ジルコニウムなどが用いられ、この
うち特にオキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニ
ウムが好ましい。このようなジルコニウムオキシ塩は、
水およびアルコールなどの有機溶媒に溶解し、溶液中に
水が存在すると酸性を示す。
シリコンアルコキシドまたはその誘電体としては、炭素
数1〜8のアルコキシ基1〜4個を有するSiHa(OR)
b(a=0〜3,b=1〜4,a+b=4,Rはアルキル基)また
は(R′O)aSi(OR)b、R′aSi(OR)b(a=0〜3、b
=1〜4、a+b=4、R′はアルキル基)で示される
化合物または縮合体(5量体まで)あるいは上記式にお
いてHの一部をClまたはビニル基等で置換した誘導体が
用いられる。このうち特にSi(OR)4(式中、RはCH3、C2
H5、nおよびiso−C3H7、n−,iso−,sec−およびtert
−C4H8)で示される化合物の1種または2種以上の混合
液が好ましい。
非沈降性シリカ液は、必要に応じて、上記のようなジル
コニウムオキシ塩と、シリコンアルコキシドまたはその
誘導体と、ともに用いられる。この非沈降性シリカ液を
シリコンアルコキシドと一部に代えて用いると、得られ
る誘導性被膜の全光線透過率が高まり透過性が向上す
る。
本発明で用いられる非沈降性シリカ液とはSiO2濃度2.0
重量%の水溶液を250,000Gで1時間遠心沈降させたと
き、沈降物が全SiO2の30重量部以下であるものをいう。
このような非沈降性シリカ液が、珪酸アルカリ水溶液か
ら大部分のアルカリを除去した非沈降性シリカ分散液に
成長防止剤を加え、これが希釈剤に分散されてなるもの
である。成長防止剤としては、エチレングリコール、N
−メチル−2−ピロリドン、モルホリン、エチレングリ
コールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメ
チルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミドなどが単独
でまたは組み合せて、非沈降性シリカ1モルに対して少
なくとも0.5モル以上の量で知られている。
この非沈降性シリカ液においては、SiO2/M2O(式中M
はアルカリ金属を示す)で示される残留アルカリ量は20
0以上好ましくは1000以上であることが望ましい。
このような非沈降性シリカ液は、たとえば、珪酸アルカ
リ水溶液を水素型陽イオン交換樹脂と接触させて大部分
のアルカリを除去した後、成長防止剤を添加し、次いで
大部分の水を除去し、あるいは除去せずに希釈剤を添加
して分散させることによって製造することができる。
非沈降性シリカ液に用いられる希釈剤としては、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノー
ル、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール
等のアルコール、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエス
テル等の酸性エステル、ジエチルエーテル等のエーテ
ル、アセトンなどが単独でまたは組み合せて用いられ
る。
なお上記のような非沈降性シリカ液は、本出願人が先に
出願した特願昭61−187835号に詳細に説明されている。
本発明で用いられる導電性物質としては、酸化錫、また
はアンチモン、フッ素などがドープされた酸化錫、ある
いは酸化インジウム、または錫がドープされた酸化イン
ジウムなどの従来公知の導電性物質が用いられうる。こ
れらの導電性物質は、平均粒径0.4μm以下の微粒子状
であることが好ましい。
また、CRTやLCD等の表示装置の前面ガラスや複写機用ガ
ラス等の曇価(ヘーズ)の低い高透明を要求される用途
には、平均粒径0.01〜0.1μmのものが好ましい。
本発明では、導電性物質としては、本出願人が先に出願
した「導電性微粉末の製造法」(特願昭61−50233)ま
たは「酸化錫ゾルおよびその製造方法」(特願昭61−75
283)に基づいて得られるものを用いることが、特に好
ましい。すなわち、第1の導電性物質としては、錫化合
物またはインジウム化合物の水溶性を、8〜12のpH条件
下に保持して液中の化合物を徐々に加水分解することに
より、コロイド粒子を含有するゾルを生成させ、次いで
このゾルを乾燥、焼成した後粉砕することによって得ら
れる導電性微粉末である。
出発原料としては水溶性でしかもpH8〜12の範囲で加水
分解可能な錫化合物またはインジウム化合物が使用さ
れ、具体的には、錫酸カリウム、錫酸ナトリウムなどの
錫化合物あるいは硝酸インジウム、硫酸インジウムなど
のインジウム化合物が使用可能である。
錫化合物またはインジウム化合物の水溶液(以下、原料
液ということがある)に含まれる金属種が錫またはイン
ジウムのいずれか1種である場合、得られる微粉末は、
それぞれ錫酸化物またはインジウム酸化物で構成される
が、原料液に少量の異種元素化合物を溶存させること
で、異種元素がドープされた導電性微粉末を得ることが
できる。たとえば、錫化合物を含有する原料液に、少量
の吐酒石(酒石酸アンチモニルカリウム)または弗化ア
ンモニウムを溶解させておくことにより、錫酸化物にア
ンチモンまたは弗素がドープされた導電性微粉末を得る
ことができ、インジウム化合物を含有する原料液に、少
量の錫化合物を溶解させることにより、インジウム酸化
物に錫がドープされた導電性微粉末を得ることができ
る。
異種元素がドープされた導電性微粉末は、また、上記の
ようにして得られる錫酸化物またはインジウム酸化物
に、異種元素の化合物を含む水溶液を含浸させて焼成す
ることによっても得ることができる。
原料液に含まれる錫化合物またはインジウム化合物の濃
度は、任意に選ぶことができるが、一般に5〜30重量%
の範囲にあることが好ましい。
加水分解の反応温度は通常30〜90℃の範囲で任意に選ぶ
ことができる。
ゾル調整後は、このゾルを濾過してコロイド粒子を回収
し、このコロイド粒子を洗浄することによって粒子に付
着する副生塩その他を除去した後、乾燥し、さらに焼成
した後粉砕することによって、導電性微粉末を得ること
ができる。このようにして得られる微粉末は、焼成工程
である程度焼結して、粉末の平均粒径は20〜50μm程度
になるが、粉砕により容易にその焼結状態を解き放つこ
とができ、通常の粉砕手段によって塗料中での平均粒子
が約0.4μm以下の本発明の目的にかなった導電性微粉
末を得ることができる。そして、こうして得られる微粉
末には、たとえば0.8μm以上の粗大粒子は少量しか含
まれていない。
なお、導電性物質の粉砕は、ジルコニウムオキシ塩など
の他の成分との混合前に行なってもよく、あるいはジル
コニウム塩などの他の成分との混合後に行なってもよ
い。導電性物質の粉砕は、従来公知の粉砕方法によって
行なうことができ、たとえばアトライター、サンドミ
ル、ボールミル、三本ロールなどの機器が利用できる。
第2の好ましい導電性物質としては、酸化錫または異種
元素がドープされた酸化錫の微粉末を、酸水溶液または
アルカリ水溶液中で加熱処理することによって得られる
導電性酸化錫ゾルである。
ここで用いられる酸化錫または異種元素ドーピング酸化
錫の微粉末は、導電性を付与するために高温焼結された
もので、上記第1の方法で得られたものでもよく、また
従来公知の方法で得られたものでも良い。
この導電性酸化錫ゾルを得るには、上記酸化錫微粉末を
鉱酸または有機酸などの酸水溶液あるいはアルカリ金属
水酸化物または第4級アンモニウム塩などのアルカリ水
溶液中で加熱処理し、導電性酸化銀ゾルとする。加熱温
度は約200℃以下が好ましい。また酸またはアルカリの
量は、処理すべ微粉末の少なくとも5重量%が適当であ
る。こうして得られた導電性酸化錫ソル中の分散粒子の
平均粒径は0.1μm以下で、全粒子の60%以上が0.1μ以
下の粒子で占められている。
このようにして得られた導電性物質は、粉末の場合は、
そのまま用いることもでき、あるいは水または有機溶媒
に分散させて用いることもできる。前記の導電性酸化錫
ゾルは通常、水性ゾルであるが、水性ゾルとして用いる
こともできるし、必要に応じて水の一部または全部をア
ルコール等の有機溶媒で置換した有機ゾルを用いること
もできる。
本発明に係る導電性被膜形成用塗布液中に用いられる有
機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパ
ノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタ
ノール、t−ブタノール等のアルコール類、酢酸メチル
エステル、酢酸エステル等のエステル類、ジエチルエー
テル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテルな
どが単独または組み合せて用いられる。
本発明に係る導電性被膜形成用塗布液では、ジルコニウ
ムオキシ塩と、シリコンアルコキシドまたはその誘導体
とは、それぞれ酸化物換算でZrO2/SiO2が(モル比)が
0.05〜2.0好ましくは0.2〜1.0の範囲となるような量で
用いられる。このZrO2/SiO2が(モル比)が0.05未満で
は、得られる被膜の耐久性が充分でないため好ましくな
く、一方ZrO2/SiO2が(モル比)が2.0を越すと、被膜
の基材への密着性、被膜の光学的特性(ヘーズ、全光線
透過率)が低下するため好ましくない。
非沈降性シリカ液を用いる場合には、非沈降性シリカ液
中のSiO2と、シリコンアルコキシドまたはその誘導体中
の換算SiO2との重量比である(非沈降性シリカ液中のSi
O2)/シリコンアルコキシドまたはその誘導体中の換算
SiO2)が9以下であることが好ましい。この値が9を越
えると、得られる被膜の透明性はさらに増すが、被膜の
耐久性を向上させるための塗布膜の焼成温度を約300℃
以上にしなければならないという新たな問題点が生ずる
ため好ましくない。
非沈降性シリカを用いた場合であっても、塗布液中のZr
O2と全SiO2との比などの条件は、前述のシリコンアルコ
キシドまたはその誘導体のみを用いた場合と同様であ
る。
なお本発明では成長防止剤の含まれた非沈降性シリカ液
が用いられるが、場合によっては、成長防止剤が添加さ
れていない非沈降性シリカ液を、ジルコニウムオキシ
塩、シリコンアルコキシドまたはその誘導体、水、有機
溶媒と混合した後、得られた混合液中にこの成長防止剤
を添加してもよい。
本発明に係る導電性被膜形成用塗布液では、水はシリコ
ンアルコキシドの加水分解反応のために必要である。塗
布液中の水の量は、混合液中のシリコンアルコキシドま
たはその誘導体の量に応じて決定されることが好まし
く、混合液中のH2Oとシリコンアルコキシドまたはその
誘導体の換算SiO2とのモル比H2O/SiO2が少なくとも2
以上となるような量で水が塗布液中に含まれることが好
ましい。この値が2満では、被膜形成後も未分解のシリ
コンアルコキシドまたはその誘導体が未分解のまま残留
するため被膜が得られない。
本発明に係る導電性塗布液中での導電性物質の含有量
が、導電性物質を酸化物に換算したMOxとして表わした
場合に、MOxと/(SiO2+ZrO2)が0.5〜5.0(重量比)
であるような量であることが好ましい。この値が0.5未
満では、得られる導電性被膜の導電性が低すぎるため好
ましくない。一方この値が5.0を越えると、得られる導
電性被膜の基材への密着性が低下するため好ましくな
い。
導電性塗布液中の固形分濃度(導電性物質+ZrO2+Si
O2)は、約20重量%以下であれば本発明の目的にかなっ
た被膜が得られる。しかし、20重量%を越すと塗布液の
安定性が低下し、長期保存に耐えなくなる。また、あま
り薄くなると目的の膜厚を得るのに数回の塗布操作をく
り返さなければならない等の不便が生ずることから約0.
1重量%以上が実用的である。
また本発明で用いられる塗布液中には上記のように水お
よびアルコールなどの有機溶媒が存在するため、ジルコ
ニウムオキシ塩がこれらに溶解し、塗布液はpH2以下の
酸性を示すようになる。このため、塗布液中にシリコン
アルコキシドまたはその誘導体を加水分解させるための
塩酸、硝酸などの酸触媒を特に添加する必要がない。
次に本発明で用いられる導電性被膜形成用塗布液の製造
方法について説明する。
ジルコニウムオキシ塩と、シリコンアルコキシドまたは
その誘導体と、導電性物質と、必要に応じて非沈降性シ
リカを水および有機溶媒中に均一に混合させる。この際
の溶解または分解順序は特に限定されることはなく、た
とえばジルコニウムオキシ塩の水溶液と、アルコールな
どの有機溶媒とを混合し、得られた混合物のシリコンア
ルコキシドまたはその誘導体のアルコール溶液を添加し
てもよく、また上記のような溶液を一挙に混合してもよ
い。また混合に際して、界面活性剤を塗布液に含ませる
ことによって分解粒子の安定性を増すこともできる。
このようにして得られた塗布液は、ガラスまたはプラス
チックなどの基材上に従来公知の方法たとえばスピンナ
ー法、スプレー法、バーコート法、ロールコータ法など
によって塗布される。次いで常温〜120℃程の温度で乾
燥硬化させれば、基材との密着性、耐擦傷性、透明性に
優れた被膜が得られる。この被膜をさらに250℃程度ま
での温度で焼成すれば、耐アルカリ性などの耐久性がさ
らに向上された被膜が得られる。もちろん必要ならば25
0℃以上の温度たとえば500℃以上の温度で焼成しても本
発明においてなんら不都合を生じない。
このように本発明に用いられる導電性被膜形成用塗布液
では、250℃程度以下の温度で被膜を乾燥または焼成す
るだけで優れた特性を有する被膜を形成することができ
るため、プラスチックなどの耐熱性に優れていない基材
上にも被膜を形成することができる。
本発明に係る塗布液をガラス等の透明基材に塗布して得
られる導電性被膜は、SiO2源としてシリコンアルコキシ
ドまたはその誘導体を用いて被膜を形成すると、たとえ
ば全光線透過率85%以上、光沢度(G値)190%以下、
ヘーズ12%以下と極めて透明性に優れている。またこの
導電性被膜は、表面抵抗値が103〜109Ω/□と導電性に
も優れている。しがたって、本発明により得られる透明
導電性被膜は形成された基材を、CRTあるいはLCD等の帯
電防止ディスプレイ、複写機用天板ガラス板、計器表示
パネル、透明デジタイザー、テレライティングターミナ
ルなどへの適用が可能である。
発明の効果 本発明に用いられる導電性被膜形成用塗布液は、ジルコ
ニウムオキシ塩と、シリコンアルコキシドまたはその誘
導体と、導電性物質と、必要に応じて非沈降性シリカと
が、水および有機溶媒からなる混合溶媒中に均一に混合
されているので、この塗布液は安定性に優れて長期間に
わたって保存することができ、しかもこの塗布液を用い
て基材表面上に形成される透明導電性被膜は、透明性に
優れるとともに耐擦傷性、基材との密着性、耐久性に優
れている。さらにこの透明導電性被膜は、無機質の被膜
であるため、耐溶剤性にも優れている。しかも被膜の形
成時に、塗布液に新たな酸を添加する必要がない。
以下本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれ
ら実施例に限定されるものではない。
実施例1 (導電性酸化錫ゾルの調製) 錫酸カリウム316gと吐酒石38.4gとを、水686gに溶解し
て原料液を調製した。50℃に加温されて攪拌下にある10
00gの水に、前記の原料液を硝酸とともに12時間かかて
添加し、系内のpHを8.5に保持して加水分解させてゾル
を得た。このゾルからコロイド粒子を濾別し、洗浄して
副生塩を除去した後粒子を乾燥し、空気中350℃で3時
間焼成し、さらに空気中650℃で2時間焼成して微粉末
(粉末I)を得た。得られた粉末400gを水酸化カリウム
水溶液1600g(KOH40g含有)中に加え、この混合液を30
℃に保持しながらサンドミルで3時間攪拌しながら導電
性酸化錫ゾルを得た。
次いでこの導電性酸化錫ゾルをイオン交換樹脂で処理す
ることにより、脱アルカリされた導電性酸化錫ゾルを得
た。この脱アルカリされた導電性酸化錫ゾルは沈澱物を
含まず、固形分濃度は20重量%であって、コロイド粒子
の平均粒径は0.07μmであった。そして0.1μm以下の
粒子の量は、全粒子の87%であった。
なお、粒子の平均粒径は、超遠心粒度測定装置(堀場製
作所製CAPA−5000)を用い、測定試料中の固形分濃度を
0.5重量%に調整して、5000rpmの遠心沈降で測定した。
(導電性塗布液の調製) エチルシリケート28を100g、ZrO2として25重量%のオキ
シ硝酸ジルコニウム水溶液112g、純水84g、エタノール8
24gを攪拌混合して、ベースとなる塗布液(A液)を調
製した。
前記の導電性酸化錫ゾル560gをエタノール,680gに加え
て攪拌混合して導電性酸化錫分散液(B液)を調製し
た。
上記のようにして得られたA液とB液とを混合して導電
性塗布液を得た。
この導電性塗布液の性質を表1に示す。
実施例2 実施例1において、A液の組成を、エチルシリケート4
0、50g、オキシ塩化ジルコニウム水溶液10g、メタノー
ル−ブタノール混合液(重量比=1)688.5g、純水1.5g
とし、B液の組成を導電性酸化錫ゾル562.5g、メタノー
ル−ブタノール混合液3,187.5gとした以外は、実施例1
と同様の方法で導電性塗布液を得た。
この導電性塗布液の性質を表1に示す。
実施例3 実施例1において、A液の組成を、エチルシリケート2
8、30g、オキシ硝酸ジルコニウム水溶液(ZrO2:25重量
%)55g、エチレングリコールモノメチルエーテル−酢
酸エチル混合液(重量比=1:1)137gとし、B液の組成
を導電性酸化錫ゾル66.6g、エチレングリコールモノメ
チルエーテル−酢酸エチル混合液66.4gとして以外は、
実施例1と同様の方法で導電性塗布液を得た。
この導電性塗布液の性質を表1に示す。
実施例4 (導電性酸化錫微粉末分散液の調製) 実施例1で得られた粉末1を純水に分散させ、サンドミ
ルで3時間処理し、平均粒径0.2μm、固形分濃度20重
量%の導電性酸化錫の水分散液を得た。
(導電性塗布液の調製) エチルシリケート28を50g、オキシ塩化ジルコニウム水
溶液(ZrO2:25重量%)137.8g、純水16.8g、エタノール
763.4gの混合液(A液)を得た。
別に前記の導電性酸化錫分散液484g、エタノール1936g
の混合液(B液)を得た。
このA液とB液とを、攪拌混合し、導電性塗布液を得
た。
この導電性塗布液の性質を表1に示す。
実施例5 (導電性酸化インジウム微粉末分散液の調製) 硝酸インジウム79.9gを、水686gに溶かした溶液と、錫
酸カリウム12.7gを10重量%水酸化カリウム水溶液に溶
かした溶液を調製した。50℃に加温されて攪拌下にある
1000gの水に、前記の硝酸インジウム溶液と錫酸カリウ
ム溶液を2時間かけて添加し、系内のpHを11に保持して
加水分解を行ないゾルを得た。
このゾルからコロイド粒子を濾別し、洗浄して副生塩を
除去後、粒子を乾燥し、空気中350℃で3時間焼成し、
さらに空気中600℃で2時間焼成して導電性酸化インジ
ウム微粉末を得た。
こうして得られた粉末をエチレングリコールモノメチル
エーテルに分散させ、サンドミル3時間粉粋処理し、平
均粒径0.3μm、固形分濃度30重量%のエチレングリコ
ールモノメチルエーテル分散液(A液)を得た。
(導電性塗布液の調製) エチルシリケート40を50g、オキシ硝酸ジルコニウム水
溶液(ZrO225重量%)295g、純水48g、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル2733.5gの混合液(B液)を調
製した。上記の導電性酸化インジウム分散液(A液)93
8gにさらにエチレングリコールモノメチルエーテルを88
42g加えよく混合したのち、これを前記の混合液(B
液)に加えて攪拌混合し、導電性塗布液を得た。
この導電性塗布液の性質を表1に示す。
実施例6 (非沈降性シリカ液の調製) SiO2として5重量%のケイ酸ナトリム水溶液(SiO2/Na
2O=3モル/モル)を約15℃で保持し、水素型陽イオン
交換樹脂カラムに空間速度5で通し、非沈降性シリカ溶
液を得た。この液に成長防止剤としてN−メチル−2−
ピロリドンを、非沈降性シリカ液100g当り44.5g加え、
攪拌混合したのち、ロータリーエバポレーターを用い
て、80℃に加熱し、大部分の水を留去し、安定化された
非沈降性シリカ液(C液)を得た。この液のSiO2濃度は
10重量%、水分含有量は1.0重量%であった。
(導電性塗布液の調製) エチルシリケート28を100g、オキシ硝酸ジルコニウム水
溶液(ZrO225重量%)112g、エタノール939g、純水84
g、前記C液31gの混合液を調製した。(D液)。
別に実施例1の導電性酸化錫ゾル591gとエタノール1773
gの混合液を調製した(E液) D液とE液とを攪拌混合し、導電性塗布液を得た。
この導電性塗布液の性質を表1に示す。
実施例7 実施例6において、D液の組成のうち、エタノールを11
04gとし、C液を280gとし、E液の組成のうち、導電性
酸化錫ゾルを840gとし、エタノールを3192gとした以外
は、実施例6と同様にして、導電性塗布液を得た。
この導電性塗布の性質を表1に示す。
実施例8 実施例6において、D液の組成のうち、エタノールを33
44g、C液を2520gとし、E液の組成のうち、導電性酸化
錫ゾルを3080gとし、エタノールを9240gとした以外は、
実施例6と同様にして、導電性塗布液を得た。
この導線性塗布液の性質を表1に表す。
この導電性塗布液の性質を表1に示す。
実施例9 実施例1〜8で得られた導電性塗布液をスピンナーを使
用して2,000rpmでガラス板に塗布したのち、110℃で乾
燥し、その後250℃で焼成して、ガラス板上に導電性被
膜を形成した。
得られた被膜について、下記の試験を行った。
結果を表2に示す。
・全光線透過率(Tt)およびヘーズ(H): ヘーズコンピューター(スガ試験機製) ・光沢度(G値):JIS K7105−81の光沢度測定法におい
て測定角度60°で評価した。
・密着性テスト :市販の12mm幅セロテープの一部を被
膜にはりつけ、残りを被膜に対して直角に保ち、瞬間的
に引きはがしガラス上の被膜の有無を目視した。
・鉛 筆 硬 度:JIS D0202−71に基づき評価した。
・耐久性テスト :下記の試験を行ない、試験前後の密 着性、全光線透過率を比較した。
耐アルカル性 :15重量%アモニア水に室温で120時間 浸漬。
耐塩 水 性 :10重量%NaCl水溶液に室温で120時間 浸漬。
・表面抵抗、電極セル(YHP製)で測定。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−46405(JP,A) 特開 昭60−39710(JP,A) 特開 昭60−81704(JP,A) 特開 昭61−277113(JP,A) 特開 昭61−253724(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジルコニウムのオキシ塩と、シリコンアル
    コキシドまたはその誘導体と、導電性物質とが、水およ
    び有機溶媒からなる混合溶媒中に均一に混合された導電
    性被膜形成用塗布液から得られる透明導電性被膜を、表
    面に有することを特徴とする基材。
  2. 【請求項2】ジルコニウムのオキシ塩と、シリコンアル
    コキシドまたはその誘導体と、非沈降性シリカ液と、導
    電性物質とが、水および有機溶媒からなる混合溶媒中に
    均一に混合された導電性被膜形成用塗布液から得られる
    透明導電性被膜を、表面に有することを特徴とする基
    材。
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