JPH0744754U - 電着塗装装置 - Google Patents
電着塗装装置Info
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- JPH0744754U JPH0744754U JP005715U JP571595U JPH0744754U JP H0744754 U JPH0744754 U JP H0744754U JP 005715 U JP005715 U JP 005715U JP 571595 U JP571595 U JP 571595U JP H0744754 U JPH0744754 U JP H0744754U
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 塗装の品質を維持しつつ電着塗装内の酸の量
を容易に調整することが可能な電着塗装装置を提供する
こと。 【構成】 電着浴槽内に配設された第1の電極部として
の被塗物と該被塗物に対応して配設された複数の電極か
らなる第2の電極部とを備え、塗膜形成物質の水溶液を
介して通電することにより塗膜形成物質を被塗物に電着
する電着塗装装置において、第2の電極部を成す複数の
各電極として、当該各電極を前記水溶液から分離する隔
膜部を有する隔膜電極装置を使用する。そして、この内
の一部の隔膜電極装置が、耐食性部材から成る電極と,
該電極に吸引される水溶液中の中和剤中におけるイオン
の流れの大部分を阻止する第1の隔膜部とを有し、残り
の隔膜電極装置が中和剤を浸透抽出する第2の隔膜部を
備えていること。
を容易に調整することが可能な電着塗装装置を提供する
こと。 【構成】 電着浴槽内に配設された第1の電極部として
の被塗物と該被塗物に対応して配設された複数の電極か
らなる第2の電極部とを備え、塗膜形成物質の水溶液を
介して通電することにより塗膜形成物質を被塗物に電着
する電着塗装装置において、第2の電極部を成す複数の
各電極として、当該各電極を前記水溶液から分離する隔
膜部を有する隔膜電極装置を使用する。そして、この内
の一部の隔膜電極装置が、耐食性部材から成る電極と,
該電極に吸引される水溶液中の中和剤中におけるイオン
の流れの大部分を阻止する第1の隔膜部とを有し、残り
の隔膜電極装置が中和剤を浸透抽出する第2の隔膜部を
備えていること。
Description
【0001】
本考案は、電着塗装装置に係り、更に詳述すると、第1の電極部を成す被塗物 とこれに対応して配設される第2の電極部とを備えた電着塗装装置において、第 2の電極部として隔膜電極装置が使用される電着塗装装置に関する。
【0002】
電着塗装には、大別してアニオン型塗料を用いたものと、カチオン型塗料を用 いたものとがあるが、そのいずれにおいても、被塗物における塗膜の均一性およ び密着性が優れており且つ公害の発生が少ないことから、昨今においては、特に 金属塗装の下塗り若しくは1コート仕上げ等に好適なものとして、例えば自動車 ボディの自動塗膜処理等に広く応用されている。
【0003】 このような電着塗装に用いられる塗料の内、前述したアニオン型塗料としては 、例えば分子量2000の樹脂にカルボキシル基を付着せしめて水容性としたも のが使用され、また、前記カオチン型塗料としては、当該塗料の樹脂成分にアミ ノ基を付着せしめて水溶性としたものが使用されている。一方、これらの水溶性 塗料であっても水中に溶解した後の電離度は微弱である。このため、現在では、 アオニン型塗料の場合は例えばトリエチルアミン等のアルカリ性中和剤を混入し 、また、カオチン型塗料の場合は酢酸等の酸性中和剤を混入し、それぞれ中和せ しめて水中での電離度の増大を図ったものが使用されている。
【0004】 このように、各塗料の樹脂成分の性質に応じて電離度の増大を図るための中和 剤が混入されるが、一方、被塗物の電着処理が進み溶液中の塗料の樹脂成分が減 少すると、前記塗料を外部から順次補給しなければならないため、前述した溶液 中には中和剤としてのアミン又は酢酸が連続的に蓄積されて塗面の再溶解もしく はピンホールの発生等の現象が生じ、電着塗装の効率が著しく害されるという事 態が生じる。
【0005】 このため、昨今においては、例えば特公昭45−22231号公報にみられる ように、一方の電極としての被塗物および水容液から、イオン交換膜等によって 他方の電極を分離するとともに、当該イオン交換膜等によって前記水溶液中から アミン又は酢酸を浸透抽出して当該水溶液中の中和剤の増加を防止するという所 謂pH管理が行われ実効が図られている。
【0006】 ここで、カチオン型塗料を用いたカチオン電着について説明する。 従来より、カチオン電着においては、隔膜としてアニオン交換膜が使用されて いる。このアニオン交換膜は、通常酸除去の電気効率(酸のクーロン除去率)と して、8〜10×10-6〔モル/クーロン〕の値を有している。 電着浴層内の電着用水溶液(ED浴塗料)に加えられる酸(中和剤)としては 、電着浴層に補給される塗料に含まれる量Aだけである。
【0007】 一方、ED浴塗料から外部に持ち出される酸としては、 電着塗装後に水洗液として用いられるUF濾液に含まれて持ち出されるAの1 0〜20〔%〕 塗膜に含まれて持ち出されるAの5〜10〔%〕 隔膜電極によって除去されるAの70〜80〔%〕 の合計の量Bである。 量Aと量Bが等しくなるのが理想的ではあるが、調整が困難なため、一般には 「B>A」となるようにして、不足気味になる酸を外部から補給している場合が 多い。
【0008】 かかる理由により、電着浴層内に装備された電極の全てを酸抽出用の隔膜電極 にした場合、極端に酸の除去が過剰となって中和剤である酸の欠乏を惹起し、定 期的に外部より酸の補給が必要になる等,ED浴塗料中の中和剤管理が面倒にな るとともに、酸の無駄な消費にもなる。このため、昨今にあっては、一部の電極 を隔膜を持たない所謂裸電極で構成することにより、酸除去のバランスをとって いる。
【0009】 上述したように、8〜10×10-6〔モル/クーロン〕の除去率では酸の除去 が過剰となり、5〜6×10-6〔モル/クーロン〕ではおよそ理想的な酸除去の バランスとなるため、かかる酸除去率を有する中性膜が使用される場合もある。
【0010】
しかしながら、上記従来例の裸電極を一部に使用する手法には、最近における 高品質な塗装の仕上がり要求に応える上で、次のような重大な不都合が有る。
【0011】 即ち、裸電極の表面に析出する無機顔料を主成分とするスラッジが問題となり 、また、塗料中の有用成分の内に電極(通常SUS316が使用される場合が多 い)の電食を促進させる成分がふくまれることが多く、通電により激しい電食を 起こす。通常、SUS316の電食率は流れる電流に対して、2〜3×10-6〔 グラム/クーロン〕程度であるが、上記の場合には100〜150×10-6〔グ ラム/クーロン〕にも達することがある。
【0012】 このようにして、電食によって極から溶出した重金属イオン(鉄,クロム,ニ ッケル等)等が塗料に混入し、塗装面の肌荒れ,防錆力低下,重金属による着色 問題等の障害が生じていた。 また、上記従来例の中性膜使用の場合にあっても、中性膜は、電食を促進させ る成分,重金属イオン等を通過させるため、同様の不都合が生じていた。
【0013】
本考案は、かかる従来例の有する不都合を改善し、とくに、塗装の品質を維持 しつつ電着塗装内の酸の量を容易に調整することが可能な電着塗装装置を提供す ることを、その目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】 本考案では、電着浴槽内に配設された第1の電極部としての被塗物と,この被 塗物に対応して配設された複数の電極からなる第2の電極部とを備え、被塗物と 第2の電極部との間に、電着浴槽内に収容された塗膜形成物質の水溶液を通じて 電流を通ずることによって塗膜形成物質を前述した被塗物に電着するようになっ ている。ここで、第2の電極部を構成する各電極として、当該各電極を水溶液か ら分離する隔膜部を有する隔膜電極装置を使用し、この内の一部の隔膜電極装置 が、耐食性部材からなる電極と,当該電極に吸引される水溶液中の中和剤中にお けるイオンの流れの大部分を阻止する第1の隔膜部とを有し、残りの隔膜電極装 置が中和剤を浸透抽出する第2の隔膜部を備えているという構成を採っている。 これによって前述した目的を達成しようとするものである。
【0015】
本考案にかかる電着塗装装置を、カチオン電着塗装に使用した場合について説 明する。 まず、被塗物を負極とすると共に第2の電極部を構成する各隔膜電極装置を正 極として直流電圧を印加すると、通常と同様直ちに電極塗装が開始され、電着塗 装用水溶液中で正電荷を有する塗料樹脂成分と顔料のコロイド分子が負極の被塗 物に向かって移動し、被塗物の表面に付着して放電したのち、塗料の固形物が凝 集して塗膜が形成される。
【0016】 一方、電着塗装用水溶液中には、負電荷を有する酢酸が蓄積される状態となる が、この酢酸は、前述した電着塗装の開始と同時に各隔膜電極装置の電極に向か って移動を開始する。そして、一部の隔膜電極装置に装備された第1の隔膜部と してのカチオン交換膜の作用により水溶液中の中和剤である酸(陰イオン)の流 れは、このカチオン交換膜により大部分阻止されて電極側に到達することができ ず、酸が電着用水溶液内に蓄積される。但し、このカチオン交換膜では酢酸を完 全に阻止することはないので、一部が電極に到達し放電する。この場合、耐食性 部材からなる電極が陽極に使用されているため、当該陽極からの陽イオンの溶出 は殆ど生じることがない。
【0017】 一方、残りの隔膜電極装置が負電荷を備えた酢酸分子を容易に通過せしめる第 2の隔膜部としてのアニオン膜を備えているため、正電位の当該隔膜電極装置の 電極に吸引される酸の分子は、電子力線に沿って当該アニオン交換膜を容易に通 過して電極に達して放電する。この場合、アニオン交換膜の作用により電極より 溶出した重金属イオンの電着用水溶液側への流出は効果的に阻止される。
【0018】
以下、本考案の第1実施例を第1図ないし第4図に基づいて説明する。 この実施例は、本考案をカチオン型塗料を使用するカチオン電着塗装装置に実 施した場合を示すものである。
【0019】 この第1図に示す実施例は、電着浴槽100内に配設された第1の電極部とし ての被塗物1とこの被塗物1に対応して配設された複数の電極装置からなる第2 の電極部2とを備えている。この第2の電極部2を構成する各電極として、中和 剤抽出型の一方の隔膜電極装置3,3,……及び中和剤阻止型の他方の隔膜電極 装置4,4,……が使用されている。これらの隔膜電極装置3,4は一本おきに 交互に配設されている。
【0020】 中和剤抽出型である一方の隔膜電極装置3としては、電着浴槽100内に収容 された電着塗装用水溶液(カチオン型塗料の水溶液)W中の中和剤を浸透抽出す る隔膜部を備えているものが使用されている。また、中和剤阻止型である他方の 隔膜電極装置4としては、耐食性部材(例えばチタン合金上に酸化イリジウム等 をコーティングしたもの,フェライト材等の良質材料が用いられる。)からなる 管状電極を有し、この管状電極に吸引される水溶液W中の中和剤中におけるイオ ンの流れの大部分を阻止する第1の隔膜部を備えたものが使用されている。
【0021】 これを更に詳述すると、他方の隔膜電極装置4は、第2図に示すように、本体 部11と,電極部12と,この両者間に設定された通水機構14とを備えて構成 されている。
【0022】 本体部11は、同軸上に所定間隔をおいて配設された第1および第2の絶縁管 15,16と、これらの各絶縁管15,16を連結する比較的硬質の隔膜支持部 材17と、この隔膜支持部材17の外周に巻装された第1の隔膜部としてのカチ オン交換膜9と、このカチオン交換膜9の外面にさらに巻装された外布18とに より構成されている。この外布18は、例えば化学繊維等から成り且つ張力に対 し充分耐久性がある通水性を備えたものが使用されている。
【0023】 隔膜支持部材17は、非導電性の網状部材もしくは通水性ある多孔質部材によ って比較的長い管状に形成され、第1および第2の絶縁管15,16をその両端 部の内径側にて連結するように配設されている。 又、カチオン交換膜9は、第3図に示すように、それぞれ円筒状に形成される とともに,後述するようにして、隔膜支持部材17の外周に巻装されている。
【0024】 そして、このカチオン交換膜9は、隔膜支持部材17に巻回されているため、 外圧に対して機械的強度が著しく増強された状態となっている。さらに、このカ チオン交換膜9の外周面には、その全域にわたって前述した如く外布18が螺線 状に巻装され、これによって内圧に対しても充分な耐圧強度が付加されたものと なっている。
【0025】 カチオン交換膜9および外布18が巻装された隔膜支持部材17の両端部の外 周側には、所定間隔をおいて第2図に示す如く第1および第2の枠体20,21 が配設され、同時にこの枠体20,21の内径側にポッテイング材41が充填さ れ、これによって、各絶縁管15,16と隔膜支持部材17およびカチオン交換 膜9,外布18とが同時に且つ強固に一体化された構造となっている。この場合 、前記第1の枠体20は筒状に形成されており、前記ポッテイング材41の充填 に際しては当該固形化前のポッテイング材41が流出するのを防止するためにリ ング部材22が第1の枠体20内に配設されている。
【0026】 また、第2の枠体21は、有底筒状に形成され、その内側に隔膜支持部材17 および絶縁管16等が挿入された状態で前述した如くポッテイング材41が充填 され、その全体が同時に一体的に固着された構造となっている。 ポッテイング材41としては、本実施例ではエポキシ樹脂が使用されているが 、ウレタン樹脂,若しくはフェノール樹脂等であってもよい。
【0027】 第1および第2の絶縁管15,16としては、本実施例では硬質の塩化ビニー ル管が使用されている。この内、第1の絶縁管5には、第2図に示す如く排水部 13が設けられ、その上方端部にはキャップ24が着脱自在に装備されている。 符号15Aは絶縁管15の上端部内径側に固着されたスペーサを示す。
【0028】 一方、電極部12は、チタン製で管状に形成されその表面に酸化イリジウム等 をコーティングしてなる管状電極30と、この管状電極30の第2図における上 端部に装着された電極垂下係止用の金属製蓋部材31と、この蓋部材31に設け られた電源用接続端子32および給水部33とにより構成されている。この内、 管状電極30は、その外径が前述した本体部11の第1および第2の各絶縁管1 5,16の内径よりも更に小さく形成されている。このため、本体部11に対す る当該管状電極30の着脱が容易となっており、同時に当該本体部11と管状電 極30との間に通水機構14の一部が形成されるようになっている。
【0029】 また、金属製の蓋部材31は、その外周端縁が管状電極30から突設されてお り、これによって管状電極30が第2図に示すように第1の絶縁管15により係 止されるようになっている。このため、電極部12は、外部から本体部11内に 極く容易に挿入配設され、また必要に応じて極く容易に外部へ離脱せしめること ができるようになっている。
【0030】 通水機構14は、カチオン交換膜9と管状電極30との間に蓄積される酢酸な どを外部へ排出するためのもので、具体的には上述した電極部12と本体部11 とにより構成されている。すなわち、電極部12の給水部33から流入される水 は、第3図中の矢印にて示すように、管状電極30内を流下し、下方から管状電 極30の外周側へ流動してゆき、同時に該管状電極30の外周側を上昇しながら カチオン交換膜9の内側を流動して不純物と共に排出部13から外部へ強制的に 流出されるようになっている。
【0031】 本体部11の一方の枠体20部分には、電着塗装に際し浴槽へ装着するための 装着用金具11Aが巻装される。また、カチオン交換膜9の外面に巻装した外布 18は、必ずしも布状のものに限定されず、同一の補強機能および通水性を備え たものであれば、他の部材で置き換えてもよい。更にカチオン交換膜9は、接合 部を防水することを前提として螺旋状に巻き付けても或いは輪切り状に形成した ものを装着してもよい。
【0032】 ここで、前述した本体部11の主要部をなすカチオン交換膜9の固定方法につ いて更に詳述する。
【0033】 まず、隔膜支持部材17の外周にカチオン交換膜9を巻装し、その当接端部を 重ねるか或いは当接端縁を突き合わせるかして、第4図に示す如くにほぼ断面円 形状に固着する。続いて、このカチオン交換膜9の外面に、外布18を螺線状に 巻きつけ、これによって隔膜支持部材17とカチオン交換膜9との一体化が完了 する。次に、このようにして形成された円筒状隔膜部材の両端部に、前述した第 1および第2の絶縁管15,16を第2図に示す如く嵌合せしめ、同時にこの各 嵌合部の外側には第11よび第2の枠体20,21を前述した如く所定間隔をお いて配置する。そして、この各枠体20,21内に各々ポッテイング材41を充 填して固形化せしめ、これによって本体部11の一体化が完了する。
【0034】 なお、第1の枠体20の第2図における下端部内側に配設されたシール部材2 2は、前述した如く固形化前のポッテイング材41の流出を防止するためのもの であり、当該ポッテイング材 41が固形化した後は取り除いてもよい。
【0035】 また、一方の隔膜電極装置3は、前述した他方の隔膜電極装置4とほぼ同様に 構成されているが、カチオン交換膜9に換えて第2の隔膜部としてのアニオン交 換膜が使用され、管状電極30の代わりに通常のステンレス製の管状電極が使用 されている。その他の構成は、前述した隔膜電極装置4と同一となっている。
【0036】 次に、この実施例の全体的動作を説明する。 まず、被塗物1を負極とすると共に一方の隔膜電極装置3,3,……及び他方 の隔膜電極装置4,4,……の各管状電極を正極として直流電圧を印加すると、 通常と同様直ちに電極塗装が開始され、水溶液中で正電荷を有する塗料樹脂成分 と顔料のコロイド分子が負極の被塗物1に向かって移動し、被塗物の表面に付着 して放電したのち、塗料の固形物が凝集して塗膜が形成される。
【0037】 一方、水溶液中には、負電荷を有する酢酸が蓄積される状態となるが、この酢 酸は、前述した電着塗装の開始と同時に各隔膜電極装置3,3……,4,4…… の各管状電極に向かって移動を開始する。ここにおいて、一方の各隔膜電極装置 3では負電荷を備えた酢酸分子を容易に通過せしめるアニオン膜が使用されてい るため、正電位の当該隔膜電極装置3の管状電極に吸引される酢酸分子は、電子 力線に沿って当該アニオン交換膜を容易に通過して管状電極の周囲から該管状電 極に達して放電する。この場合、放電した中和剤も低濃度では殆ど全量が電離し ているため、通電中は陽極に引かれているので、管状電極とアニオン交換膜との 間に集積される。
【0038】 ところで、この管状電極とアニオン交換膜との間には、前述したように例えば 純水が強制的に流通されているため、集積された酢酸は純水とともに連続的に外 部へ排出される。
【0039】 これに対し、他方の各隔膜電極装置4では、カチオン交換膜9が使用されてい るため、酸のクーロン除去効率は1×10-6〔グラム/クーロン〕以下と非常に 低く、水溶液W中の中和剤である酢酸(陰イオン)の流れは、このカチオン交換 膜9により大部分阻止されて電極30側に到達することができず、酢酸が電着用 水溶液W内に蓄積される。この場合、水溶液W側から管状電極30側にはマイナ ス(−)の電荷は移動できないが、予め管状電極30とカチオン交換膜9との間 に満たされている極液中の酸の電離によって生じた水素イオン〔H+ 〕が被塗物 1に吸引されカチオン交換膜9を通過するため、この水素イオンがプラス〔+〕 の電荷を運ぶことにより電流が流れている。
【0040】 但し、このカチオン交換膜9では酢酸を完全に阻止することはないので、一部 が電極30に到達し放電する。前述した場合と同様にして、管状電極30と隔膜 部9との間には酢酸が集積され、集積された酢酸は純水とともに連続的に外部へ 排出される。
【0041】 他方の隔膜電極装置4の管状電極30はチタン製でその表面に酸化イリジウム をコーティングしたものが使用されていることから、当該管状電極30より重金 属イオンが殆ど溶出することがない。
【0042】 以上説明したように、本第1実施例によると、酸の除去率を抑制するとともに ,極が殆ど溶出することがない他方の隔膜電極装置4と、酸を有効に除去し得る とともに極の溶出による陽イオンの流れを阻止するアニオン膜を備えた一方の隔 膜電極装置3とを使用しているので、従来問題となっていた中和剤である酸の過 剰除去を防止できるとともに、電着用水溶液中の塗料成分(ED浴塗料)中に極 の溶出による重金属イオンが混入するのを略完全に阻止することができるという 利点がある。また、この一方の隔膜電極装置3と他方の隔膜電極装置4とを適当 に組み合わせることにより、酸の除去率を所望の値に設定し得るという利点をも 有している。
【0043】 尚、上記実施例における一方の隔膜電極装置3,3,……及び他方の隔膜電極 装置4,4,……の配置を、第5図に示すように入槽部に他方の隔膜電極装置4 ,4,……を並べ、その下流側に隔膜電極装置3,3,……を並べてもよい。 また、他方の隔膜電極装置4の極液循環系を一方の隔膜電極装置3の極液循環 系より分離すると、一方の隔膜電極装置3の極液が他方の隔膜電極装置4に供給 されることがないので、ほぼ完全に重金属の浴塗料への混入を防止することがで きる。
【0044】 次に、第2実施例を第6図に基づいて説明する。 ここで、前述した第1実施例と同等の構成部材については、同一の符号を用い るものとする。
【0045】 この第6図に示す第2実施例では、前述した第1実施例における一方の隔膜電 極装置3,3,……と被塗物1との間に印加される電圧を調整する電圧調整手段 40が設けられている点に特徴を有する。その他の構成は前述した第1実施例と 同一になっている。
【0046】 このように構成しても、第1実施例と同等の作用・効果を得られる他、電圧調 整手段40の作用により一方の各隔膜電極装置3と被塗物1との間に印加される 電圧を調整ことができるので、一層容易に電着浴槽100内の酸の量を調整でき るという利点がある。
【0047】 尚、上記実施例においては、第2の電極部を成す各電極として管状電極を使用 する場合を例示したが、本考案はこれに限定されるものではなく、箱形電極等を 使用してもよく、この場合にも全く同一の効果を奏するものである。
【0048】
本考案は以上のように構成され機能するので、例えば上記実施例のように、こ れをカチオン電着塗装に使用した場合、第1の隔膜部を備えた一部の隔膜電極装 置の作用により水溶液中の中和剤である酸の過剰除去を抑制することができ、同 時に第2の隔膜部を備えた残りの隔膜電極装置の作用により水溶液中の酸を浸透 抽出して除去することができ、上記一部の隔膜電極装置が耐食性部材からなる電 極を備えているので当該電極が溶出することがないので、重金属イオン等が水溶 液中に流出することがない。 従って、電着塗装の品質を維持しつつ、電着浴槽内の中和剤である酸の量を容 易に調整することができるという従来にない実用的な電着塗装装置を提供するこ とができる。
【0049】
【図1】本考案の第1実施例における各隔膜電極装置の
配置を示す図で、図1(1)は上方からみた配置を示す
説明図、図1(2)は浴槽の断面内における各隔膜電極
装置の配置を示す説明図である。
配置を示す図で、図1(1)は上方からみた配置を示す
説明図、図1(2)は浴槽の断面内における各隔膜電極
装置の配置を示す説明図である。
【図2】図1における第1の隔膜部を備えた一部の隔膜
電極装置の具体的構成を示す断面図である。
電極装置の具体的構成を示す断面図である。
【図3】図2の装置内における水の流通経路を示す説明
図である。
図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図1の各隔膜電極装置の他の配置例を示す説明
図である。
図である。
【図6】本考案の第2実施例の構成を示す説明図であ
る。
る。
1 第1の電極としての被塗物 2 第2の電極 3 第1の隔膜部を備えた一部の隔膜電極装置 4 第2の隔膜部を備えた残りの隔膜電極装置 9 第1の隔膜部としてのカチオン交換膜 30 耐食性部材からなる電極としての管状電極 100 電着浴槽 W 塗膜形成物質の水溶液としてのカチオン型塗料
の水溶液
の水溶液
Claims (1)
- 【請求項1】 電着浴槽内に配設された第1の電極部と
しての被塗物と該被塗物に対応して配設された複数の電
極からなる第2の電極部とを備え、 前記被塗物と第2の電極部との間に前記電着浴槽内に収
容された塗膜形成物質の水溶液を介して通電することに
よって前記塗膜形成物質を前記被塗物に電着する電着塗
装装置において、 前記第2の電極部を成す複数の各電極として、当該各電
極を前記水溶液から分離する隔膜部を有する隔膜電極装
置を使用し、 この内の一部の隔膜電極装置が、耐食性部材から成る電
極と,当該電極に吸引される前記水溶液中の中和剤中に
おけるイオンの流れの大部分を阻止する第1の隔膜部と
を有し、残りの隔膜電極装置が前記中和剤を浸透抽出す
る第2の隔膜部を備えていることを特徴とした電着塗装
装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP005715U JPH0744754U (ja) | 1995-05-18 | 1995-05-18 | 電着塗装装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP005715U JPH0744754U (ja) | 1995-05-18 | 1995-05-18 | 電着塗装装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0744754U true JPH0744754U (ja) | 1995-11-28 |
Family
ID=18527797
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP005715U Pending JPH0744754U (ja) | 1995-05-18 | 1995-05-18 | 電着塗装装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0744754U (ja) |
-
1995
- 1995-05-18 JP JP005715U patent/JPH0744754U/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 19970401 |