JPH0744196A - 音声符号化復号化装置 - Google Patents

音声符号化復号化装置

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JPH0744196A
JPH0744196A JP5188064A JP18806493A JPH0744196A JP H0744196 A JPH0744196 A JP H0744196A JP 5188064 A JP5188064 A JP 5188064A JP 18806493 A JP18806493 A JP 18806493A JP H0744196 A JPH0744196 A JP H0744196A
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JP
Japan
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input
speech
signal
sound source
synthesis filter
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JP5188064A
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English (en)
Inventor
Hidetoshi Yamada
秀俊 山田
Takashi Yoshihara
隆史 吉原
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】少ない演算量で零入力応答の影響を考慮して良
好な音質を得る。 【構成】音声符号化装置においては、線形予測分析器1
が入力音声信号を線型予測し合成フィルタ係数を算出
し、符号帳7,8が音源信号ベクトルを出力し、乗算器
9,10が上記音源信号ベクトルにゲインを乗算し、重
み付け合成フィルタ12が上記音源信号ベクトルに短期
間平均スペクトル特性を付与し、歪み評価器6が上記入
力音声信号と合成音声信号との誤差と次区間の音声信号
と零入力応答との誤差とを併せて評価し、こうして最適
音源信号を符号化する。そして、音声復号化装置におい
ては、符号帳7,8が音源信号ベクトルを出力し、乗算
器9,10が上記音源信号ベクトルにゲインを乗算し、
合成フィルタ15が上記音源信号ベクトルに短期間平均
スペクトル特性を付与し、これにより符号化デ―タによ
り音声を合成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音声信号を符号化・復
号化する装置に関し、特にCELP(Code-Excited Lin
ear Prediction coding )型符号化方式を採用した音声
符号化復号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、企業内通信システムやディジタル
伝送システム、音声蓄積システム、そして留守番電話等
において、情報の高能率な圧縮を行う音声符号化方式が
必要とされている。そして、これらの用途において、音
声品質を保ちつつ情報圧縮を実現する技術としてCEL
P型符号化方式等の分析合成方式による音声符号化技術
が採用されている。
【0003】ここで、従来のCELP型符号化方式を採
用した音声符号化装置の一般的な構成は図15に示す通
りである。即ち、入力音声信号を受ける線型予測分析器
1の出力は零入力応答算出器2と聴覚重み付けフィルタ
4、重み付け合成フィルタ12の入力にそれぞれ接続さ
れ、この零入力応答算出器2及び聴覚重み付けフィルタ
4の出力はそれぞれ減算器3の入力に接続されている。
そして、この減算器3と上記重み付け合成フィルタ12
の出力はそれぞれ減算器13の入力に接続され、該減算
器13の出力は誤差電力評価器16を介して適応符号帳
7、確率符号帳8、乗算器9,10の入力にそれぞれ接
続されている。さらに、この適応符号帳7と確率符号帳
8の出力は乗算器9,10を介して加算器11の入力に
接続され、該加算器11の出力は上記重み付け合成フィ
ルタ12の入力に接続されると共にフレーム遅延器14
を介して適応符号帳7の入力に接続されている。
【0004】このような構成において、CELP型符号
化方式を採用した音声符号化装置は符号帳に記録されて
いるベクトルを音源信号とする音声合成装置であり、通
常は適応符号帳7及び確率符号帳8の2種類の符号帳を
有している。そして、適応符号帳7が出力する音源信号
ベクトル(ピッチベクトル)、及び確率符号帳8が出力
する音源信号ベクトル(コ―ドベクトル)に対し、乗算
器9,10において各々の利得(ピッチゲイン及びコ―
ドゲイン)を乗算して、加算器11にて両者を加算する
ことにより駆動音源信号を得る。
【0005】この適応符号帳7が出力するピッチベクト
ルは音声信号の周期性に依存する合成を含んだベクトル
であり、確率符号帳8が出力するコ―ドベクトルは非周
期的な成分を含んだベクトルであり、複数のベクトルの
パタ―ンから成る各々の符号帳からベクトルを一つづつ
選択して出力する。さらに、入力音声信号は所定のフレ
―ム区間毎に分割され、線型予測分析器1に入力されて
合成フィルタ係数が求められる。そして、この得られた
合成フィルタ係数を用いて零入力応答算出器2により合
成フィルタの零入力応答が算出される。こうして入力音
声信号は聴覚重み付けフィルタ4により聴覚重み付け処
理がなされ、減算器3により零入力応答が差し引かれ
る。
【0006】上記駆動音源信号は聴覚重み付け合成フィ
ルタ12に供給され、線形予測法等による短期的予測処
理がなされ合成音声が生成される。この合成音声は減算
器13に供給され、聴覚重み付け処理と零入力応答減算
がなされた入力信号との誤差が求められ、この誤差は誤
差電力評価器16に供給される。この誤差電力評価器1
6は各フレ―ム毎に適応符号帳7と確率符号帳8の出力
を走査し、乗算器9,10における利得を制御すること
により、誤差を最小にする駆動音源信号を最適駆動音源
信号として決定する。そして、この決定された最適駆動
音源信号はフレ―ム遅延器14に供給され、ピッチ周期
成分に対応する遅延量を与えて生成パタ―ンを適応符号
帳7に供給し、この内容を次フレ―ムのために更新す
る。
【0007】そして、上記最適駆動音源信号の決定時に
おいて適応符号帳7から出力されるピッチベクトル及び
確率符号帳8から出力されるコ―ドベクトルの各々のイ
ンデックスと、乗算器9,10で各々のベクトルに乗じ
る各々の利得値のパラメ―タと、聴覚重み付け合成フィ
ルタ12におけるフィルタ係数を入力音声信号の符号化
された情報として復号側へ伝送する。
【0008】一方、この図15に示した音声符号化装置
からの音声信号を復号する音声復号化装置の構成は図1
6に示す通りである。即ち、適応符号帳7及び確率符号
帳8の出力は乗算器9,10を介して加算器11の入力
に接続され、この加算器11の出力は符号化データを受
ける合成フィルタ15の入力に接続されると共にフレー
ム遅延器14を介して適応符号帳7に接続されている。
【0009】このような構成において、音声復号化装置
では、上記のパラメ―タ及びフィルタ係数を受信して、
適応符号帳7及び確率符号帳8と各々の符号帳から出力
されるベクトルに利得を乗ずる各々の乗算器9,10や
短期的予測処理による合成フィルタ15、フレ―ム遅延
器14を、受信したパラメ―タ及び合成フィルタ係数に
基づいて動作させることにより、入力音声信号を最も良
く近似する再生信号を得る。
【0010】以上の他にも、最良の音質を得るために、
複数のフレ―ムに渡ってその相互の影響を考慮しなが
ら、最適な音源やそのゲインを決定するディレ―ドディ
シジョンの方法について文献「木符号化を用いたディレ
―ドディシジョンCELP符号化」(電子情報通信学会
論文誌A:1991年4号619〜627ペ―ジ)や特
開平2−75000号公報に提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】一般に、音声分析合成
符号化で用いられる合成フィルタには、無限応答フィル
タ(IIR)が採用されている。この為、あるフレ―ム
区間の駆動音源信号を決定すると、この影響は次のフレ
―ムにも生じてしまう。ここで、ある区間のフィルタ入
力をゼロと置いたときに、それ以前のフィルタの内部状
態の影響により生じるフィルタの出力は零入力応答と称
されている。そして、ある区間の実際のフィルタ出力
は、フィルタの内部状態をリセットして駆動音源信号を
入力した時の出力(零状態応答)と零入力応答との和で
与えられる。
【0012】さらに、前述した符号化方式において、合
成フィルタ係数や最適駆動音源信号、利得値などのパラ
メ―タは一定の順序で逐次的に決定される。従って、あ
るフレ―ムの最適駆動音源を決定した時に、それが次の
フレ―ムにも最適な結果を与えるとは限らない。そし
て、次のフレ―ムの音声信号を符号化するときには、入
力音声信号からこの零入力応答を差し引き得られた信号
を符号化する。ここで、入力音声信号と零入力応答とが
大きく異なっている場合には、符号化を効率的に行なう
ことが難しく、このために音質が低下するといった欠点
がある。
【0013】また、前述した文献「木符号化を用いたデ
ィレ―ドディシジョンCELP符号化」(電子情報通信
学会論文誌A:1991年4号619〜627ペ―ジ)
や特開平2−75000号公報により提案された技術に
は計算量が極めて多くなるといった問題がある。
【0014】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、少ない演算量で零入力応
答の影響を考慮して良好な音質を得ることができる音声
符号化復号化装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明の音声符号化復号化装置では、入力音声信号
を線型予測し合成フィルタ係数を算出する線形予測分析
器と、音源信号ベクトルを出力する符号帳と、上記音源
信号ベクトルにゲインを乗算する乗算器と、上記音源信
号ベクトルに短期間平均スペクトル特性を付与する合成
フィルタと、上記入力音声信号と合成音声信号との誤差
を評価する誤差電力評価器とを有し、最適音源信号を符
号化する音声符号化装置と、音源信号ベクトルを出力す
る符号帳と、上記音源信号ベクトルにゲインを乗算する
乗算器と、上記音源信号ベクトルに短期間平均スペクト
ル特性を付与する合成フィルタとを有し、符号化デ―タ
により音声を合成する音声復号化装置とからなり、上記
入力音声信号と上記零入力応答との比較値に応じて上記
音源信号を決定することを特徴とする。
【0016】
【作用】即ち、本発明の音声符号化復号化装置では、音
声符号化装置において、線形予測分析器が入力音声信号
を線型予測し合成フィルタ係数を算出し、符号帳が音源
信号ベクトルを出力し、乗算器が上記音源信号ベクトル
にゲインを乗算し、合成フィルタが上記音源信号ベクト
ルに短期間平均スペクトル特性を付与し、誤差電力評価
器が上記入力音声信号と合成音声信号との誤差を評価
し、こうして最適音源信号を符号化する。そして、音声
復号化装置において、符号帳が音源信号ベクトルを出力
し、乗算器が上記音源信号ベクトルにゲインを乗算し、
合成フィルタが上記音源信号ベクトルに短期間平均スペ
クトル特性を付与し、これにより符号化デ―タにより音
声を合成する。こうして、上記入力音声信号と上記零入
力応答との比較値に応じて上記音源信号を決定する。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。先ず第1の実施例について説明する。第1
の実施例は符号化時の音源信号を、原音声と合成音声と
の誤差と併せて、次の区間の音声信号と零入力応答との
差分を評価規準に用いて決定することに特徴を有してい
る。
【0018】この第1実施例に係る音声符号化装置の構
成は図1に示す通りである。即ち入力音声信号を受ける
バッファ5の出力は線型予測分析器1の入力に接続さ
れ、該線型予測分析器1の出力は零入力応答算出器2と
聴覚重み付けフィルタ4、重み付け合成フィルタ12の
入力にそれぞれ接続されている。そして、この重み付け
合成フィルタ12の出力は上記零入力応答算出器2と減
算器13の入力にそれぞれ接続されている。さらに、上
記零入力応答算出器2と聴覚重み付けフィルタ4の出力
は減算器3の入力に接続され、該減算器3の出力は上記
減算器13と歪み評価器6の入力にそれぞれ接続されて
いる。そして、この歪み評価器6の出力は適応符号帳
7、確率符号帳8、乗算器9,10の入力にそれぞれ接
続されている。また、この適応符号帳7、確率符号帳8
の出力は乗算器9,10を介して加算器11の入力に接
続され、該加算器11の出力は上記重み付け合成フィル
タ12の入力に接続されると共にフレーム遅延器14を
介して上記適応符号帳11の入力に接続されている。
【0019】このような構成において、適応符号帳7及
び確率符号帳8にて、音声信号の周期性に依存する成分
を含むピッチベクトルCA と、非周期的な成分を含んだ
コ―ドベクトルCS とをそれぞれ生成し、乗算器9,1
0において各々の利得(ピッチゲインGA 及びコ―ドゲ
インGS )を乗算して加算器11で両者を加算すること
により駆動音源信号Yを発生する。この駆動音源信号Y
は内部状態がリセットされた重み付け合成フィルタ12
に供給され平均的スペクトル特性が与えられて合成音声
が生成される。この合成音声は減算器13に供給され、
聴覚重み付け処理と零入力応答減算がなされた入力信号
1 ″との誤差が求められ、この誤差D1 は歪み評価器
6に供給される。
【0020】また、入力音声信号Xは先ずバッファ5に
入力され、所定のフレ―ム区間当り2区間の信号X1
2 に対して符号化が行なわれる。即ち先ず入力音声信
号X1 が線型予測分析器1に入力され合成フィルタ係数
1 が求められる。そして、得られた係数L1 とフィル
タの内部状態を用いて合成フィルタの零入力応答Z1
算出され、減算器3に入力されて聴覚重み付けフィルタ
4において聴覚重み付けされた音声信号X1 ′から零入
力応答Z1 が差し引かれる。
【0021】同様に入力音声信号X2 は線型予測分析器
1に入力され合成フィルタ係数L2が求められる。そし
て、ここで得られた係数L2 と、上記駆動音源信号Yに
よるフィルタの内部状態を用いて次の区間の零入力応答
2 が算出される。さらに、聴覚重み付けフィルタ4に
おいて聴覚重み付けされた音声信号X2 ′と零入力応答
2 は減算器3に入力されてそれらの差分D2 が求めら
れ、歪み評価器6に供給される。
【0022】この歪み評価器6は適応符号帳7の出力、
確率符号帳8の出力を示すインデックスIA ,IS を走
査し、その都度、乗算器9,10における最適利得G
A ,GS を算出する。そして、各々のインデックス毎に
誤差D1 と差分D2 の値が定まると、歪み評価器6はこ
れらの値を評価し歪みを最小にする駆動音源を探索す
る。この歪み評価値には、一例としてD=|D12
α|D22 で定まる値を用いる。ここで、係数αは例
えば0.1から0.2程度に設定する。
【0023】これにより、図2に示すように、フレーム
区間1における音声信号X′と合成音声との誤差D1
と、フレーム区間2における音声信号X″と零入力応答
との差分D2 とを合わせて評価し、重み付けされた歪み
が最小となるように音源が決定され、この歪みを最小に
するように決定される最適駆動音源信号はフレ―ム遅延
器14に供給される。こうしてピッチ周期成分に対応す
る遅延量を与えて生成したパタ―ンを適応符号帳7に供
給し、その内容を次フレ―ムのために更新する。
【0024】そして、音声符号化装置は、適応符号帳7
から出力されるピッチベクトル及び確率符号帳8から出
力されるコ―ドベクトルの各々のインデックスIA ,I
S と、乗算器9,10で各々のベクトルに乗じる利得値
のパラメ―タGA ,GS と、合成フィルタ12における
フィルタ係数L1 とを入力音声信号の符号化された情報
として復号側へ伝送する。
【0025】一方、図1に示した音声符号化装置からの
音声信号を復号する音声復号化装置の構成は図3に示す
通りである。即ち、適応符号帳7及び確率符号帳8の出
力は乗算器9,10を介して加算器11の入力にそれぞ
れ接続され、該加算器11の出力は合成フィルタ15の
入力に接続されていると共に、フレーム遅延器14を介
して上記適応符号帳7に接続されている。
【0026】このような構成において、音声復号化装置
は符号化データを受信し、1フレ―ム毎に復号化する。
即ち、受信した音源信号のインデックスIA ,IS に従
って適応符号帳7と確率符号帳8から音源信号ベクトル
(ピッチベクトルとコ―ドベクトル)を出力し、各々に
対して乗算器9,10において受信した利得GA ,GS
を乗算して、加算器11で両者を加算して駆動音源信号
を発生する。この駆動音源信号は受信したフィルタ係数
1 が与えられた合成フィルタ15に供給され、スペク
トル特性が付加されて合成音声として再生される。
【0027】以上説明したように、第1の実施例は、符
号化時の音源信号を原音声と合成音声との誤差と併せて
次の区間の音声信号と零入力応答との差分を評価規準に
用いているため、相互の影響を考慮しながら最適な音源
を決定することができるので、少ない演算量で高い音質
を得ることができる。
【0028】次に第2の実施例について説明する。第2
の実施例は符号化時に零入力応答の補償を行なうか否か
をフレ―ム区間毎に選択する。即ちある区間の音源信号
による次区間の零入力応答の影響が好ましくない場合、
それを入力信号から減算せずに符号化を行ない復号時に
次区間への影響を打ち消すことに特徴を有している。
【0029】この第2実施例に係る音声符号化装置の構
成は図4に示す通りである。即ち入力音声信号を受ける
線型予測分析器1の出力は零入力応答算出器2と聴覚重
み付けフィルタ4、重み付け合成フィルタ12の入力に
それぞれ接続されている。そして、この重み付け合成フ
ィルタ12の出力は上記零入力応答算出器2と減算器1
3の入力にそれぞれ接続されている。さらに、上記零入
力応答算出器2と聴覚重み付けフィルタ4の出力は減算
器3の入力に接続され、該減算器3の出力は上記減算器
13と差分評価器17の入力にそれぞれ接続されてい
る。そして、この差分評価器17の出力は上記零入力応
答算出器2の入力に接続されている。そして、上記減算
器13の出力は誤差電力評価器16の入力に接続されて
おり、該誤差電力評価器16の出力は適応符号帳7、確
率符号帳8、乗算器9,10の入力にそれぞれ接続され
ている。また、この適応符号帳7、確率符号帳8の出力
は乗算器9,10を介して加算器11の入力に接続さ
れ、該加算器11の出力は上記重み付け合成フィルタ1
2の入力に接続されると共にフレーム遅延器14を介し
て上記適応符号帳11に接続されている。
【0030】このような構成において、音声符号化装置
は上記第1の実施例と同様に適応符号帳7、確率符号帳
8にてピッチベクトルCA とコ―ドベクトルCS を生成
し、乗算器9、10にて各々の利得(ピッチゲインGA
及びコ―ドゲインGS )を乗算して加算器11にて両者
を加算することにより駆動音源信号Yを発生する。
【0031】また、入力音声信号Xは線型予測分析器1
に入力され、合成フィルタ係数L1が求められる。そし
て、得られた合成フィルタ係数L1 と、前区間の音源に
よるフィルタの内部状態を用いて合成フィルタの零入力
応答Z1 が算出される。さらに、聴覚重み付けフィルタ
4において聴覚重み付けされた音声信号X′と零入力応
答Z1 は減算器3に入力されて、それらの差分D2 が求
められ、このD2 は差分評価器17に供給される。
【0032】この差分評価器17は差分値D2 の該当区
間の絶対値和を求め、所定の閾値と比較し、閾値より大
きい場合には零入力応答を減算しない符号化を行なうも
のとする。さらに、零入力応答を減算するか否かの情報
は符号化情報と併せて復号化装置に伝送される。ここ
で、閾値は経験的に固定値を用いても良いし、入力音声
信号に応じて適応的に設定してもよい。例えば入力音声
信号Zの該当区間の絶対値和を求め、この値に0.8か
ら0.9の係数をかけた値を用いてもよい。即ち入力音
声信号から零入力応答を減算した結果が入力音声信号に
近いか、或いは入力音声信号より大きくなる場合には、
零入力応答が次の区間の符号化には効果的でないので、
この影響を除くようにする。ここで、零入力応答を減算
する符号化が行なわれる場合には、減算器3において聴
覚重み付けされた音声信号X′から零入力応答Z1 が差
し引かれる。そして、零入力応答を減算しないように判
定されている場合には、零入力応答Z1 の減算処理は行
なわれず、聴覚重み付けされた音声信号X′そのものが
誤差電力評価器16に供給される。
【0033】上記駆動音源信号Yは内部状態がリセット
された合成フィルタ15に供給され、平均的スペクトル
特性が与えられて合成音声が生成される。そして、この
合成音声は減算器13に供給され、聴覚重み付け処理が
なされた入力信号との誤差が求められる。そして、この
誤差D1 は誤差電力評価器16に供給される。さらに、
誤差電力評価器16は適応符号帳7の出力、確率符号帳
8の出力を示すインデックスIA ,IS を走査し、その
都度、乗算器9,10における最適利得GA ,GS を算
出する。そして、各々のインデックス毎に誤差を評価
し、これを最小にする駆動音源を探索する。
【0034】こうして誤差を最小にするように決定され
た最適駆動音源信号はフレ―ム遅延器14に供給れる。
ここで、ピッチ周期成分に対応する遅延量を与えて生成
したパタ―ンを適応符号帳7に供給し、その内容を次フ
レ―ムのために更新する。
【0035】そして、適応符号帳7から出力されるピッ
チベクトル及び確率符号帳8から出力されるコ―ドベク
トルの各々のインデックスIA ,IS と、乗算器9及び
19で各々のベクトルに乗じる利得値のパラメ―タG
A ,GS と、合成フィルタ12におけるフィルタ係数L
1 を、入力音声信号の符号化された情報として復号側へ
伝送する。
【0036】さらに、入力音声信号X2 は線型予測分析
器1に入力され、合成フィルタ係数L2 が求められる。
得られた係数L2 と、駆動音源信号Yによるフィルタの
内部状態を用いて次の区間の零入力応答Z2 が算出され
る。そして、聴覚重み付けフィルタ4において聴覚重み
付けされた音声信号X2 ′と零入力応答Z2 は減算器3
に入力され、それらの差分D2 が求められる。そして、
2 は差分評価器17に供給される。さらに、差分評価
器17は差分値D2 を所定の閾値と比較し、閾値より大
きい場合には零入力応答を減算しない符号化を行なうも
のとする。そして、零入力応答を減算するか否かの情報
は次の区間の符号化に備えて保持されると共に符号化情
報と併せて復号化装置に伝送される。
【0037】一方、この図4に示した音声符号化装置か
らの音声信号を復号する音声復号化装置の構成は図5に
示す通りである。即ち、適応符号帳7及び確率符号帳8
の出力は乗算器9,10を介して加算器11の入力にそ
れぞれ接続され、この加算器11の出力は合成フィルタ
15の入力に接続されていると共にフレーム遅延器14
を介して上記適応符号帳7に接続されている。
【0038】このような構成において、音声復号化装置
は符号化データを受信し、1フレ―ム毎に復号化する。
即ち先ずフィルタ係数L1 が合成フィルタ15に与えら
れると共に零入力応答を減算するか否かの情報に従っ
て、零入力応答が減算されていない場合には合成フィル
タ15の内部状態をリセットする。続いて情報音源信号
のインデックスIA ,IS に従って適応符号帳7と確率
符号帳8から音源信号ベクトル(ピッチベクトルとコ―
ドベクトル)を出力し、各々に対して乗算器9,11に
おいて受信した利得GA ,GS を乗じ、加算器11で両
者を加算して駆動音源信号を発生する。この駆動音源信
号は合成フィルタ15に供給され、スペクトル特性が付
加された1フレ―ムの信号が得られて合成音声として再
生される。
【0039】このようにして、零入力応答が減算されな
い符号化が行なわれた場合には復号側で零入力応答の補
償が行われる。尚、補償する手段としては上記のように
フィルタをリセットする他、符号化時と同様に零入力応
答を求め、これを合成フィルタ出力から差し引いてもよ
い。
【0040】以上説明したように、第2の実施例では、
符号化時にある区間の音源信号による次区間の零入力応
答の影響を考慮して零入力応答の減算を行なうか否かを
フレ―ム区間毎に選択し、減算を行なわない場合には復
号時に零入力応答の補償することにより、零入力応答の
影響にかかわらず、最適な音源信号で符号化できるので
符号化音質を向上することができる。
【0041】次に第3の実施例について説明する。第3
の実施例は零入力応答の補償を符号化時と復号化時とで
行ない、両者の比率を適応的に切り替えることに特徴を
有している。
【0042】この第3実施例に係る音声符号化装置の構
成は図6に示す通りである。即ち、入力音声信号を受け
る線型予測分析器1の出力は零入力応答算出器2と聴覚
重み付けフィルタ4、重み付け合成フィルタ12、係数
設定器19の入力にそれぞれ接続されている。そして、
この零入力応答算出器2と係数設定器19の出力は利得
調節器18の入力に接続され、該利得調節器18と上記
聴覚重み付けフィルタ4の出力は減算器3の入力に接続
されている。さらに、重み付け合成フィルタ12と減算
器3の出力は減算器13の入力にそれぞれ接続されてい
る。そして、この減算器13の出力は誤差電力評価器1
6の入力に接続され、該誤差電力評価器16の出力は適
応符号帳7、確率符号帳8、乗算器9,10の入力にそ
れぞれ接続されている。また、この適応符号帳7、確率
符号帳8の出力は乗算器9,10を介して加算器11の
入力に接続され、該加算器11の出力は上記重み付け合
成フィルタ12の入力に接続されると共にフレーム遅延
器14を介して上記適応符号帳11に接続されている。
【0043】このような構成において、入力音声信号X
は所定のフレ―ム区間毎に線型予測分析器1に入力され
合成フィルタ係数Lが求められ、得られた合成フィルタ
係数を用いて零入力応答算出器2により合成フィルタの
零入力応答Zが算出される。この零入力応答Zは利得調
節器23により所定の係数aが乗算された後減算器3に
入力され、聴覚重み付けフィルタ4により聴覚重み付け
された音声信号X′から零入力応答が差し引かれる。
【0044】ここで、係数aは係数設定器17により合
成フィルタ係数の前フレ―ムと現フレ―ムとの差分に応
じて設定される。即ちフレ―ム間でフィルタ係数がそれ
ほど変化しない場合には、音声スペクトル特性の相関性
が高いため入力音声信号と零入力応答とは類似性が高
い。そこで、係数aを大きい値として符号化を行なう。
【0045】また、フレ―ム間でフィルタ係数が大きく
変化する場合には、入力音声信号と零入力応答とは類似
性が低いので、係数aを小さくして符号化する。そし
て、重みづけされた零入力応答が差し引かれた音声信号
は、聴覚重み付け処理がなされて減算器13に供給され
る。また、駆動音源信号は合成フィルタ12に供給さ
れ、平均的スペクトル特性が与えられて合成音声として
減算器13に供給され音声信号との誤差が求められる。
この誤差は誤差電力評価器16に供給される。
【0046】誤差電力評価器16は適応符号帳7の出
力、確率符号帳8の出力を走査し、乗算器9,10にお
ける最適利得を算出することにより、誤差を最小にする
駆動音源信号を最適駆動音源信号として決定する。そし
て、決定された最適駆動音源信号はフレ―ム遅延器14
に供給され、ピッチ周期成分に対応する遅延量を与えて
生成したパタ―ンを適応符号帳7に供給し、適応符号帳
7の内容を次フレ―ムのために更新する。こうして、音
声符号化装置はピッチベクトル及びコ―ドベクトルの各
々のインデックスIA ,IS と、各々のベクトルに乗じ
る利得値のパラメ―タGA ,GS 、合成フィルタ12に
おけるフィルタ係数Lとを符号化情報として復号側へ伝
送する。
【0047】一方、図6に示した音声符号化装置からの
音声信号を復号する音声復号化装置の構成は図7に示す
通りである。即ち、適応符号帳7及び確率符号帳8の出
力は乗算器9,10を介して加算器11の入力にそれぞ
れ接続され、この加算器11の出力は合成フィルタ15
の入力に接続されていると共にフレーム遅延器14を介
して上記適応符号帳7に接続されている。さらに、零入
力応答算出器18と係数設定器19の出力は利得調節器
21の入力に接続され、上記合成フィルタ15と利得調
節部21の出力は減算器20の入力にそれぞれ接続され
ている。
【0048】このような構成において、音声復号化装置
は符号化情報を受信し、1フレ―ム毎に復号化する。即
ち、先ず受信した合成フィルタ係数Lにより合成フィル
タの零入力応答Zが算出される。続いて、音源信号のイ
ンデックスIA ,IS に従って適応符号帳7と確率符号
帳8から音源信号ベクトルを出力し、各々に対して乗算
器9,10において受信した利得GA ,GS を乗算し
て、加算器11で両者を加算して駆動音源信号を発生す
る。この駆動音源信号は合成フィルタ15に供給され、
合成音声が得られる。そして、この合成音声から利得調
節器21により所定の係数(1−a)が乗算された零入
力応答が減算され再生音声とされる。
【0049】ここで、係数aは符号化時と同様に合成フ
ィルタ係数の前フレ―ムと現フレ―ムとの差分に応じて
符号化時と同様に算出される。具体的な係数の求め方と
しては、例えばi番目のフレ―ムの合成フィルタをLi
(Li =(l1 ,l2 ,…lj ,…);lj はj次の係
数成分)とすると次式で示される。
【0050】 a=1−‖Li −Li-1 ‖/‖Li +Li-1 ‖ 以上説明したように、第3の実施例では零入力応答の補
償を符号化時と復号化時とで行ない両者の比率を適応的
に切り替える。これにより、音声の区間毎の相関性に応
じてフィルタ応答を考慮した符号化を実現し、音質を向
上させることができる。
【0051】次に第4実施例について説明する。第4実
施例は入力信号と合成音声との誤差が大きい区間に音源
信号を追加する適応処理を行ない、この追加信号に対し
て復号側で零入力応答の補償を行なうことに特徴を有し
ている。
【0052】この第4実施例に係る音声符号化装置の構
成は図8に示す通りである。即ち、線型予測分析器1の
出力は零入力応答算出器2と聴覚重み付けフィルタ4、
重み付け合成フィルタ12の入力に接続されており、該
零入力応答算出器2と聴覚重み付けフィルタ4の出力は
減算器3を介してバッファ22の入力に接続されてい
る。さらに、このバッファ22及び重み付け合成フィル
タ12の出力は減算器13の入力に接続され、該減算器
13の出力は誤差電力評価器16に接続されている。そ
して、この誤差電力評価器16の出力は適応符号帳7、
確率符号帳8、符号帳23、乗算器9,10,24の入
力に接続されている。この適応符号帳7、確率符号帳
8、符号帳23の出力は乗算器9,10,24を介して
上記重み付け合成フィルタ12の入力に接続されると共
に、フレーム遅延器14を介して上記適応符号帳7の入
力に接続されている。さらに、上記重み付け合成フィル
タ12、誤差電力評価器16の出力はメモリ25の入力
にも接続されている。
【0053】このような構成において、入力音声信号X
は所定のフレ―ム区間毎に線型予測分析器1に入力され
合成フィルタ係数Lが求められる。そして、この得られ
た合成フィルタ係数Lを用いて合成フィルタの零入力応
答Zが算出され、当該零入力応答Zが減算器3に入力さ
れて、聴覚重み付けフィルタにより重み付けされた音声
信号X′から零入力応答Zが差し引かれる。さらに、零
入力応答が差し引かれた音声信号X″は、バッファ22
に保持される共に減算器13に供給される。
【0054】また、駆動音源信号は聴覚重み付け合成フ
ィルタ12に供給され、平均的スペクトル特性が与えら
れて合成音声として減算器13に供給され、音声信号
X″との誤差が求められ、この誤差は誤差電力評価器1
6に供給される。そして、誤差電力評価器16は適応符
号帳7の出力、確率符号帳8の出力を走査し、乗算器
9,10における最適利得を算出することにより、誤差
を最小にする駆動音源信号を決定する共に誤差絶対値D
を記録する。そして、決定された最適駆動音源信号はフ
レ―ム遅延器14に供給され、ピッチ周期成分に対応す
る遅延量を与えて生成したパタ―ンを適応符号帳7に供
給し、適応符号帳7の内容を次フレ―ムのために更新す
る。音声符号化装置は、ピッチベクトル及びコ―ドベク
トルの各々のインデックスと、各々のベクトルに乗じる
利得値のパラメ―タと、合成フィルタ12におけるフィ
ルタ係数とを符号化情報としてメモリ25に記録する。
【0055】以上の符号化処理が所定のフレ―ム数(例
えば8フレ―ム)行なわれた後、この区間内で誤差電力
評価器に記憶されている符号化誤差Dの大きい順番に所
定数(例えば“3”)の区間に再度音源信号を追加す
る。
【0056】即ち図9に示すように、8フレ―ム中で符
号化誤差の大きい2、3、6フレ―ムに追加処理を行な
う。メモリ25から先ず2フレ―ム目のピッチベクトル
及びコ―ドベクトルのインデックスIA2,IS2と利得値
A2,GS2とフィルタ係数L2 が読み出される。これに
従って適応符号帳7、確率符号帳8から音源信号ベクト
ルを出力し、各々に対して利得を乗じると共に符号帳3
2からもコ―ドベクトルを出力し駆動音源信号を生成す
る。この駆動音源信号を聴覚重み付け合成フィルタ12
に通して減算器13に入力し、バッファ22から読み出
した該当フレ―ムの合成音声信号との誤差が求められ
る。
【0057】こうして、誤差電力評価器16は符号帳2
3を走査し、乗算器24における最適利得を算出するこ
とにより、誤差を最小にする追加音源信号のインデック
スIS2′と利得GS2′を決定し記録する。そして、同様
の処理が3、6フレ―ムに対しても行なわれ、追加音源
信号IS3′,GS3′,IS6′,GS6′が決定される。
【0058】一方、図8に示した音声符号化装置からの
音声信号を復号する復号化装置の構成は図10に示す通
りである。即ち、適応符号帳7、確率符号帳8、符号帳
23の出力は乗算器9,10,24を介して合成フィル
タ15の入力に接続されると共にフレーム遅延器14を
介して上記適応符号帳7の入力に接続されている。そし
て、この合成フィルタ15と零入力応答器18の出力は
減算器20の入力に接続されている。
【0059】このような構成において、音声復号化装置
は符号化情報を受信し、1フレ―ム毎に復号化する。即
ち、該当フレ―ムkの一つ前のフレ―ム(k−1)に追
加音源信号ISk-1′,GSk-1′がある場合には、この音
源信号と更新された合成フィルタ係数Lにより合成フィ
ルタの零入力応答Zが算出される。そして、一つ前のフ
レ―ムに追加音源信号がない場合はこの処理は行なわれ
ない。
【0060】続いて、音源信号のインデックスIA ,I
S ,ISk′に従って適応符号帳7、確率符号帳8と符号
帳23から音源信号ベクトルを出力し、各々に対して乗
算器9,10,24において受信した利得GA ,GS
Sk′を乗じ、加算器11で加算して駆動音源信号を発
生する。この駆動音源信号は合成フィルタ15に供給さ
れる。この出力から先に求めた零入力応答Zが減算器1
9で差し引かれ、合成音声として再生される。そして、
一つ前のフレ―ムに追加音源信号がない場合には、この
処理は行なわれず合成フィルタ出力がそのまま合成音声
出力とされる。以下、同様に追加音源信号の有無により
適応的に処理が行なわれる。
【0061】以上説明したように、第4の実施例では、
追加信号に対してのみ復号側で零入力応答の補償を行な
うため、適応符号化を行なう際のビットレ―ト制御が容
易になるといった利点がある。
【0062】ところで、音声符号化装置において入力信
号と合成音声との誤差が大きい区間のみ音源情報を追加
することは、少ない情報量で音質を向上する点で効果的
であるが、この際にビットレ―トを一定にするために
は、実施例で述べたように複数のフレ―ム区間にわたっ
て符号化した後に音源追加するフレ―ムを一定数選択す
る必要がある。
【0063】このときに、従来のように符号化時に零入
力応答の補償を行なうと、追加音源によりフィルタ状態
が変化し、再度音源の最適化を行なう必要があるが、本
手法によれば一回目の符号化を行なった後に音源信号追
加処理を行なうことができるため、効率的な符号化が可
能である。
【0064】尚、上記の実施例では追加音源のために専
用の符号帳を用いたが、これは同じ符号帳を用いてその
中から別のインデックスのコ―ドを指定するようにして
も良い。また音源を追加するフレ―ムの判定に音声信号
と符号化音声との誤差を用いたが他の値を用いても良
い。
【0065】ここで、上記第4実施例の変形例について
説明する。第4実施例の変形例に係る音声符号化装置の
構成は図11に示す通りである。即ち入力音声信号を受
ける線型予測分析器1の出力は零入力応答算出器2と聴
覚重み付けフィルタ4、重み付け合成フィルタ12の入
力に接続されており、該零入力応答算出器2と聴覚重み
付けフィルタ4の出力は減算器3を介してバッファ22
の入力に接続されている。さらに、このバッファ22及
び重み付け合成フィルタ12の出力は減算器13の入力
に接続されており、該減算器13の出力は誤差電力評価
器16に接続されている。そして、この誤差電力評価器
16の出力は適応符号帳7、確率符号帳8、乗算器9,
10の入力に接続されている。また、この適応符号帳
7、確率符号帳8の出力は乗算器9,10を介して上記
重み付け合成フィルタ12の入力に接続されると共に、
フレーム遅延器14を介して上記適応符号帳7の入力に
接続されている。
【0066】このような構成において、入力音声信号X
は所定のフレ―ム区間毎に線型予測分析器1に入力さ
れ、合成フィルタ係数Lが求められ、得られた係数Lを
用いて合成フィルタの零入力応答Zが算出され、当該零
入力応答Zは減算器3に入力されて、聴覚重み付けフィ
ルタにより重み付けされた音声信号X′から零入力応答
Zが差し引かれる。そして、零入力応答Zが差し引かれ
た音声信号X″は、バッファ22に保持されるとともに
減算器13に供給される。
【0067】また、駆動音源信号は聴覚重み付け合成フ
ィルタ12に供給され、平均的スペクトル特性が与えら
れて合成音声として減算器13に供給され、音声信号
X″との誤差が求められる。この誤差は誤差電力評価器
16に供給される。そして、誤差電力評価器16は適応
符号帳7の出力、確率符号帳8の出力を走査し、乗算器
9,10における最適利得を算出することにより、誤差
を最小にする駆動音源信号を決定する。さらに、この決
定された最適駆動音源信号はフレ―ム遅延器14に供給
され、ピッチ周期成分に対応する遅延量を与えて生成し
たパタ―ンを適応符号帳7に供給し、適応符号帳7の内
容を次フレ―ムのために更新する。
【0068】そして、音声符号化装置は、ピッチベクト
ル及びコ―ドベクトルの各々のインデックスと、各々の
ベクトルに乗じる利得値のパラメ―タと、合成フィルタ
12におけるフィルタ係数を符号化情報としてメモリに
記録する。
【0069】以上の符号化処理が所定のフレ―ム数(例
えば8フレ―ム)行なわれた後、この区間内で符号化誤
差の大きい順番に所定数(例えば“3”)の区間に再度
音源信号を追加されるが、この判定にはバッファ22に
記憶されている入力音声と零入力応答との差分の絶対値
和が用いられる。即ち、この値は過去の音源信号の応答
が現在の入力音声にどれだけ良い近似になっているかを
示すので、この値が大きいフレ―ムから順に音源信号を
追加する。
【0070】仮に、この値が最大のフレ―ムを第4フレ
―ムとすると、メモリ25からまず4フレ―ム目のピッ
チベクトル及びコ―ドベクトルのインデックスIA4,I
S4と利得値GA4,GS4とフィルタ係数L4 が読み出され
る。これに従って、適応符号帳7、確率符号帳8から音
源信号ベクトルを出力し、各々に対して利得を乗じる共
に符号帳8から再度コ―ドベクトルを出力し駆動音源信
号を生成する。この駆動音源信号を聴覚重み付け合成フ
ィルタ12に通して減算器13に入力し、バッファ22
から読み出した該当フレ―ムの合成音声信号との誤差が
求められる。そして、誤差電力評価器16は符号帳8を
走査し、乗算器24における最適利得を算出することに
より、誤差を最小にする追加音源信号のインデックスI
S4′と利得GS4′を決定し記録する。以下、同様の処理
が行なわれる。
【0071】以上説明したように、第4の実施例の変形
例では、入力音声と零入力応答との差分を適応的な信号
配分の指標に用いることにより、過去の音源信号による
応答と現在の入力音声との違いに応じた信号配分ができ
る。この値は過去の音声と現在の音声との相違を示し、
音声の非定常部では大きく、定常部では小さくなる。
【0072】このため、音声の非定常部に効果的に情報
が追加でき、音質を向上することができる。尚、入力音
声と零入力応答との差分の絶対値をとる代わりに自乗和
を用いても良く、要は入力音声と零入力応答との差を示
す尺度を用いれば良い。
【0073】次に第5の実施例について説明する。第5
の実施例は、復号時に合成フィルタの零入力応答を補償
して音声合成することに加えて、ピッチ情報を強調する
処理を行なうことに特徴を有している。尚、このピッチ
とは、音声の有声部(母音区間)に存在する声帯から発
生する音の高さから生じる周期であり、この情報を強調
することが音質向上に大きな効果を持つことが確認され
ている。
【0074】この第5実施例に係る音声符号化装置の構
成は図12に示す通りである。即ち、入力音声信号を受
ける線型予測分析器1の出力は聴覚重み付けフィルタ4
と重み付け合成フィルタ12の入力に接続されており、
該聴覚重み付けフィルタ4と重み付け合成フィルタ12
の出力は減算器3を介して誤差電力評価器16の入力に
接続されている。そして、この誤差電力評価器16の出
力は適応符号帳7、確率符号帳8、乗算器9,10の入
力に接続されている。また、この適応符号帳7、確率符
号帳8の出力は乗算器9,10を介して上記重み付け合
成フィルタ12の入力に接続されると共に、フレーム遅
延器14を介して上記適応符号帳7の入力に接続されて
いる。
【0075】このような構成において、音声符号化装置
は適応符号帳7及び確率符号帳8の二種類の符号帳を有
しており、音声信号の周期性に依存する成分を含むピッ
チベクトルと、非周期的な成分を含んだコ―ドベクトル
を生成し、乗算器9,10において各々の利得(ピッチ
ゲイ及びコ―ドゲイン)を乗じて両者を加算することに
より駆動音源信号を発生する。
【0076】入力音声信号は所定のフレ―ム区間毎に線
型予測分析器1に入力され、合成フィルタ係数が求めら
れる。また、前記の駆動音源信号は内部状態がリセット
された合成フィルタ12に供給され、平均的スペクトル
特性が与えられて合成音声が生成される。この合成音声
は減算器13に供給され、聴覚重み付け処理がなされた
入力信号との誤差が求められる。
【0077】さらに、この誤差は誤差電力評価器16に
供給される。誤差電力評価器16は適応符号帳7の出
力、確率符号帳8の出を走査し、乗算器9,10におけ
る最適利得を算出することにより、誤差を最小にする駆
動音源信号を最適駆動音源信号として決定する。この決
定された最適駆動音源信号はフレ―ム遅延器14に供給
され、ピッチ周期成分に対応する遅延量を与えて生成し
たパタ―ンを適応符号帳7に供給し、その内容を次フレ
―ムのために更新する。
【0078】音声符号化装置は、適応符号帳7から出力
されるピッチベクトルおよび確率符号帳8から出力され
るコ―ドベクトルの各々のインデックスと、乗算器9,
10で各々のベクトルに乗じる利得値のパラメ―タと、
合成フィルタ12におけるフィルタ係数を、入力音声信
号の符号化された情報として復号側へ伝送する。
【0079】一方、図12に示した音声符号化装置から
の音声信号を符号する音声復号化装置の構成は図13に
示す通りである。即ち、適応符号帳7、確率符号帳8の
出力は乗算器9,10を介して加算器11の入力に接続
されており、該加算器11の出力は合成フィルタ15の
入力に接続されると共に、加算器30の入力にも接続さ
れている。そして、この加算器30の出力はバッファ2
6、フレーム遅延器14の入力に接続されており、該フ
レーム遅延器14の出力は適応符号帳7の入力に接続さ
れている。そして、上記バッファ26の出力はスライス
回路27の入力に接続されており、該スライス回路27
の出力は乗算器29を介して上記加算器30の入力に接
続されている。この他、上記バッファ26の出力は立上
がり判定器31を介してピッチ強調器32の入力にも接
続されており、該ピッチ強調器32の出力は上記合成フ
ィルタ15の入力に接続されている。そして零入力応答
器18と合成フィルタ15の出力は減算器20の入力に
接続されている。
【0080】このような構成において、音声復号化装置
は符号化情報を受信し、1フレ―ム毎に復号化する。即
ち、先ず受信した音源信号のインデックスに従って適応
符号帳7と確率符号帳8から音源信号ベクトル(ピッチ
ベクトル及びコ―ドベクトル)を出力し、各々に対して
乗算器9,10において受信した利得を乗じて、加算器
11で両者を加算して駆動音源信号を発生する。そし
て、この駆動音源信号はバッファ26に蓄積される。
【0081】さらに、図14(a)に示すように一定フ
レ―ム数蓄積された駆動音源信号はスライス回路27に
入力され、図14(b)に示すように顕著なピ―クだけ
が取り出される。そして、この取り出されたピ―クの周
期性が自己相関回路28で判定される。即ちピッチ周期
の範囲にしきい値以上のピ―クがあればピッチ周期性が
あるものと判定される。さらに、この判定された場合に
は、図14(c)に示すように適当な係数が乗算器29
により乗算されたピ―ク成分が加算器30により駆動音
源信号に加算されてピッチが強調される。
【0082】さらに、一定フレ―ム数蓄積された駆動音
源信号に対して音声の立ち上がり部か否かの判定がなさ
れる。これは、立ち上がり判定部31により隣接フレ―
ム間での駆動音源のパワ―の差が閾値と比較され、閾値
より大きい場合に立ち上がりと判定される。この判定が
された場合には立ち上がりに対するピッチ強調処理が行
なわれる。即ち、音声の立ち上がり部では適応符号帳の
遅延特性のため、図14(d),(e)に示すように最
初のピッチのピ―クが符号化されにくい。
【0083】これを補うために、後半のフレ―ムで検出
されたピッチ周期に従って、図14(f)に示すよう
に、ピッチ強調器32により前半のフレ―ムにピ―クが
補われる。後半のフレ―ムでのピッチ検出は前述したピ
ッチ強調処理と同様に行なわれる。以上のピッチ強調処
理がされた駆動音源信号は内部状態がリセットされた合
成フィルタ12に供給され、スペクトル特性が付加され
た1フレ―ムの合成音声が再生される。つまり、音声復
号化装置は符号化情報を受信して、適応符号帳7及び確
率符号帳8と、各々の符号帳から出力されるベクトルに
利得を乗じる各々の乗算器9,10と、短期的予測処理
による合成フィルタ12と、フレ―ム遅延器14を、受
信したパラメ―タ及びフィルタ係数に従って動作させる
ことにより符号化された入力音声信号を最も良く近似す
る合成音声を再生する。
【0084】以上説明したように、第5の実施例では、
零入力応答の補償を復号時に行なっているため、符号化
時の演算量を減らすことができる。即ち、一般的に符号
化過程は最適音源探索のために、復号化過程に比較して
演算量が非常に多くなるが、本方式を用いれば符号化時
と復号化時とで演算量のバランスをとることができ、録
音機等の符号化と復号化を同時に行なわない用途では最
大演算量を減らすことができる。
【0085】また、復号時にピッチ情報を強調する処理
を行なうことにより、主観的な音質を著しく向上させる
ことができる。さらに、ピッチ強調処理を符号化過程に
比較して演算量が少ない復号化時に行なうことができる
ため、録音機等の用途ではピ―ク演算量を増やさないで
処理が可能である。
【0086】以上詳述したように、本発明ではCELP
型符号化方式のような音源信号成分発生手段を備えたコ
―ド駆動音源符号化復号化装置において、入力音声信号
と零入力応答との比較を行ない、この比較値に応じて音
源信号を決定し、或いは復号時に合成フィルタの零入力
応答を補償して音声合成することにより、複数のフレ―
ム間での零入力応答の影響を考慮することができ、少な
い演算量で良好な音質を得ることができる。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、少ない演算量で零入力
応答の影響を考慮して良好な音質を得ることができる音
声符号化復号化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例における音声符号化装置の構成を示
す図である。
【図2】歪み評価方式を説明する図である。
【図3】第1実施例における音声復号化装置の構成を示
す図である。
【図4】第2実施例における音声符号化装置の構成を示
す図である。
【図5】第2実施例における音声復号化装置の構成を示
す図である。
【図6】第3実施例における音声符号化装置の構成を示
す図である。
【図7】第3実施例における音声復号化装置の構成を示
す図である。
【図8】第4実施例における音声符号化装置の構成を示
す図である。
【図9】適応的音源信号追加処理を説明する図である。
【図10】第4実施例における音声復号化装置の構成を
示す図である。
【図11】第4実施例の符号化装置の変形例を示す図で
ある。
【図12】第5実施例における音声符号化装置の構成を
示す図である。
【図13】第5実施例における音声復号化装置の構成を
示す図である。
【図14】(a)乃至(f)はピッチ強調処理を説明す
る図である。
【図15】従来の音声符号化装置の構成を示す図であ
る。
【図16】従来の音声復号化装置の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…線型予測分析器、2…零入力応答算出器、3,1
3,20…減算器、4…聴覚重み付けフィルタ、5,2
2,26…バッファ、6…歪み評価器、7…適応符号
帳、8…確率符号帳、9,10,24,29…乗算器、
11,30…加算器、12…重み付け合成フィルタ、1
4…フレーム遅延器、15…合成フィルタ、16…誤差
電力評価器、17…差分評価器、18…利得調節器、1
9…係数設定器、21…利得調節器、23…符号帳、2
5…メモリ、27…スライス回路、28…自己相関器、
31…立上がり判定器、32…ピッチ強調器。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力音声信号を線型予測し合成フィルタ
    係数を算出する線形予測分析器と、音源信号ベクトルを
    出力する符号帳と、上記音源信号ベクトルにゲインを乗
    算する乗算器と、上記音源信号ベクトルに短期間平均ス
    ペクトル特性を付与する合成フィルタと、上記入力音声
    信号と合成音声信号との誤差を評価する誤差電力評価器
    とを有し、最適音源信号を符号化する音声符号化装置
    と、 音源信号ベクトルを出力する符号帳と、上記音源信号ベ
    クトルにゲインを乗算する乗算器と、上記音源信号ベク
    トルに短期間平均スペクトル特性を付与する合成フィル
    タとを有し、符号化デ―タにより音声を合成する音声復
    号化装置と、からなり、上記入力音声信号と上記零入力
    応答との比較値に応じて上記音源信号を決定することを
    特徴とする音声符号化復号化装置。
JP5188064A 1993-07-29 1993-07-29 音声符号化復号化装置 Withdrawn JPH0744196A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100389692B1 (ko) * 1995-05-17 2003-11-17 프랑스 뗄레꽁(소시에떼 아노님) 단기지각검량여파기를사용하여합성에의한분석방식의음성코더에소음마스킹레벨을적응시키는방법
US6859775B2 (en) 2001-03-06 2005-02-22 Ntt Docomo, Inc. Joint optimization of excitation and model parameters in parametric speech coders

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100389692B1 (ko) * 1995-05-17 2003-11-17 프랑스 뗄레꽁(소시에떼 아노님) 단기지각검량여파기를사용하여합성에의한분석방식의음성코더에소음마스킹레벨을적응시키는방법
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