JPH0742632B2 - 無ひ織機における緯入れ部材の運動制御機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は無ひ織機における緯入れ部材の運動制御機構に
関するものである。

多くの技術分野において運動伝達機構としてねじ及びナ
ット機構を用いることは公知である。かかる機構におい
て通常は一定ピッチのねじを用いている。しかし、特定
の運動法則に従わせるべき場合には、ピッチの変化する
ねじを用いることがある。

この種の機構として、無ひ織機または緯糸連続供給装置
を有する織機において、グリッパ等の緯糸支持部材を前
進運動させるものが従来より実用に供されている。この
機構においては、グリッパの支持ストラップの運動をピ
ッチの変化するカムねじの運動によって生じさせ、カム
ねじを強制直線運動径路に沿って往復動するスライダと
交差させて配置し、さらに、そのスライダをカムねじと
接触させる手段を設けてスライダの直線運動をカムねじ
の回転運動に、またはその逆に変換するのが普通であ
る。

従来技術においては、スライダをカムねじと接触させる
手段を、スライダにより支持されてカムねじのねじ山と
接触する転動部材、特にローラで構成している。この場
合には満足すべき作動特性が得られ、無ひ織機の性能を
向上することが可能となるが、最近における織機の高速
化に伴って種々の不都合が顕在化するに至っている。例
えば、スライダとカムねじとの接触部は織機のある回転
速度以上においては転動性能の劣化や転動不能を生じる
に至る等の理由から極度に摩耗し、したがって織機の高
速化を阻げている。

かかる問題点を解決すべく本発明者が鋭意検討したとこ
ろ、ねじ山との接触面積の小さい既知の転動手段の代わ
りに揺動スライドブロックに広い支持面をもってねじ山
と係合する適宜のプロフィルを設けることにより織機の
高速化に十分に対処することが可能となり、織機の高速
作動時にも摩耗を許容限度以下に抑制できることを見出
した。

すなわち本発明は、無ひ織機におけるグリッパ等の緯入
れ部材の運動制御機構において、緯入れ部材を支持する
ストラップの制御歯車をピッチの変化するカムねじによ
り前後に回動させ、このカムねじを強制直線運動径路に
沿って変位するスライダと交差させて配置し、前記スラ
イダに、前記カムねじのねじ山と係合して該カムねじを
回動させる手段として、複数対の揺動スライドブロック
を設け、各対のスライドブロックを相互に向かい合わせ
て配置したことを特徴とするものである。

本発明の好適な実施態様において、前記スライドブロッ
クにはその揺動に際してカムねじのねじ山と接触するイ
ンボリュート形状の接触面を設ける。

以下、本発明を図示の実施例について説明する。

本発明による制御機構は、緯糸の連続供給装置を有する
図示しない無ひ織機においてグリッパＰの前進運動を制
御するものであり、第１図に示すごとく剛固な金属製フ
レーム１を具え、このフレーム内に直線運動を往復運動
に変換する機械要素を収めて例えば連接ロッド２の端部
の運動や当該機械要素を作動させるためのカム伝導装置
の運動を所要の回転運動に変換可能とし、また当該機械
要素により回転駆動される歯車３を設け、その歯４をグ
リッパＰの制御に供するストラップＮのスリットＦと係
合させてストラップＮを変位させうる構成とする。連接
ロッド２の上記端部2Aは直線径路に沿って往復変位可能
とし、他方の端部2Bはスライド６のクランクピン５と係
合させ、このスライドは連接ロッド２と共に連接ロッド
／クランク機構を形成するクランク（図示せず）上に配
設する。このクランクはスライド６と共に回転軸の軸線
Ａを中心として回転するものであり、その回転軸は織機
のメインシャフトにより又はメインシャフトと同一速度
で回転するセカンダリーシャフトにより構成することが
できる。なお、連接ロッド／クランク機構の代わりに織
機のメインシャフトでカム伝導装置を制御する構成とし
てもよい。

本発明においては、連結ロッド２の端部2Aの直線運動を
歯車３の回転往復運動に変換するための機械要素とし
て、フレーム１内に次の各要素、すなわち：一端が歯車
３にキー止めされ他端が自由回転可能とされたカムねじ
７と；このカムねじ７と交差して配置され、連接ロッド
２の端部2Aに結合されて連接ロッドによりカムねじに対
して平行移動可能とされたスライダ８と；スライダ８に
固定されてフレーム１の案内溝内でカムねじ７と平行に
摺動可能とされた一対のスライドブロック９と；スライ
ダ８によって支持され、スライダ８をカムねじ７のねじ
山と係合させてスライダ８がその直線径路に沿い移動す
るに際してカムねじ７を回転させる複数対のスライドブ
ロック10とを設ける。

本発明においては、スライドブロック10の各対をカムね
じ７のねじ山と密接させ、かつ相互に向い合わせて配置
する（第2,3図参照）。スライドブロック10は、第２図
に示すごとく、ブッシュ11内に収めて軸線12を中心に回
動可能とし、これらの軸線12は、ブッシュ11をスライダ
８に対しカムねじ７の軸線と直角に固定するピン13に関
して相互に対称的に傾斜させて配置する。スライドブロ
ック10（第3,4図参照）は、カムねじ７のねじ山と係合
するインボリュート形状の支持面15を有する金属構体14
を具え、スライドブロック10の揺動に際してスライドブ
ロック10をその外面において前記ねじ山の表面と係合さ
せるため、両者間に特に良好な接触関係を確保すること
ができる。すなわち、スライドブロック10は連続的に揺
動する間に常にねじ山の角度変化に適合し、スライドブ
ロックとカムねじとの各係合時点において所定の曲げ半
径を有する接触面を形成し、その接触面の曲げ半径はね
じ山の曲げ半径と値がほぼ等しく、かつ同一符号を有し
ている。かかる構成により、転動係合手段、特に鋼製ロ
ーラを用いる既知の機構と対比してより広い支持面積が
得られるので、接触圧力、したがって摩耗を大幅に低減
することが可能となる。

スライダの直線移動によるカムねじの回動を要約すると
以下の通りである。第４図に示すように、各スライダに
設けた１対のスライドブロック10の支持面15が、カムね
じ７の螺旋稜線の両側のカム面に接触する。このように
カムねじ７のねじ山をスライダ８の各々の１対のスライ
ドブロック10が両側から挟んだ状態で、カムねじ７の両
側の１対のスライダ８が第２図に矢印で示すように直線
移動することによって、各スライダ８の１対の揺動自在
のスライドブロック10の支持面15がカムねじ７のねじ山
を両側からしごきながら摺動することによって、第２図
に矢印で示すように回転する。

スライダ８は第２図に示すようにカムねじ７の両側に１
対設けてもよいし、第３図に示すように複数対設けても
よい。ただし第３図はカムねじ７の一方の側面における
スライダ８のみを示す。

上述のごとく構成した本発明による制御機構の利点につ
いて言及すると、ローラを用いた既知の機構においては
試験用の高速作動条件下で１日24時間運転を２週間にわ
たって継続したところ最大許容摩耗量を超えて破損を生
じたのに対し、本発明の機構では同一作動条件下で20,0
00時間を超えるまで摩耗に基づく問題は生じないことが
判明した。

特に、第３及び４図に明示されているとおり、各スライ
ドブロックは、その軸線を中心として揺動可能に配置さ
れているため、そのインボリュート形状の支持面15にお
いてカムねじ７のねじ山と良好に接触し、ねじ山のピッ
チ変化にもかかわらず広い作動範囲内で望ましい接触関
係を維持するものである。

本発明は上述の実施例のみに限定されるものではなく、
その範囲内において種々の態様をもって具体化しうるも
のである。例えば、前述の金属構体を設ける代わりにス
ライドブロックを適当な合成樹脂材料により構成し、ま
たは２種以上の金属材料もしくは合成樹脂材料と金属材
料とよりなる複合材料製の構体を設け、これらにねじ山
と係合させるためのインボリュート形状の表面を形成す
ることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例による制御機構の全体構造を
示す斜視図、 第２図はピッチの変化するカムねじとスライドブロック
対との接触部を示す斜視図、 第３図はカムねじとスライドブロック対との接触部の正
面図、 第４図は第３図に示す要部の部分断面図である。 １……フレーム、２……連接ロッド ３……歯車、６……スライド ７……カムねじ、８……スライダ 9,10……スライドブロック 15……インボリュート形状の支持面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】無ひ織機におけるグリッパ等の緯入れ部材
   の運動制御機構であって、緯入れ部材を支持するストラ
   ップの制御歯車をピッチの変化するカムねじにより前後
   に回動させ、このカムねじを強制直線運動径路に沿って
   変位するスライダと交差させて配置したものにおいて、
   前記スライダに、前記カムねじのねじ山と係合して該カ
   ムねじを回動させる手段として、複数対の揺動スライド
   ブロックを設け、各対のスライドブロックを相互に向か
   い合わせて配置したことを特徴とする運動制御機構。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項記載の運動制御機構
   において、前記スライドブロックにはその揺動に際して
   カムねじのねじ山と接触するインボリュート形状の接触
   面を設けたことを特徴とする運動制御機構。