JPH0742576Y2 - 電気製品組立用パレット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、コンベアラインにおいて電気製品の組立を行
う場合に用いるパレットの改良に関するものである。

〈従来の技術〉 ロール式コンベアラインにおいて、電気製品を組立てる
場合、そのコンベアにより走行されるパレットを作業台
として流れ作業により部品の組込み、製品試験等を行っ
ている。従って、パレットの裏面側には、コンベアの給
電ロールからの受電手段として摺電板を埋着し、表面側
には電気製品の通電端部を接触させるためのレセプタク
ルを埋着し、それらの間を電気的にリード線により導通
している。

ところで、電気製品がテレビ、ビデオ、ビデオカメラ、
OA機器等の電子機器である場合、摩擦により発生する静
電気が上記電気的試験あるいは半導体、ICデバイスに悪
影響を与えるおそれがあり、パレットに帯電防止処理が
必要である。

〈解決しようとする課題〉 而るに、上記電気製品組立用パレットにおいては、帯電
防止面であるパレット表面を上記した摺電板、給電ロー
ルから絶縁しなければならず、従来においては、パレッ
ト表面のみを導電性にしてその絶縁を確保している。し
かし、パレットの表面は頻繁に摩擦を受ける部分であ
り、表面が磨耗すれば、導電性層が消失して、早期に帯
電防止効果が喪失してしまう。

本考案の目的は、パレットのほぼ全体を導電性にし得
て、パレット表面が磨耗してもパレットとして使用可能
である以上、帯電防止効果を保証できる電気製品組立用
パレットを提供することにある。

〈課題を解決するための手段〉 本考案に係る電気製品組立用パレットは、支持板の表面
には通電用レセプタクルを、裏面には互いに平行な摺電
板をそれぞれ備え、これら摺電板と上記レセプタクルと
を電気的に導電せるパレットにおいて、各摺電板の長さ
を支持板の長さよりも短くし、各摺電板の左右側近傍並
びに背面側近傍の支持板部分と各摺電板の長手方向各端
から支持板の長手方向各端までの支持板部分とを絶縁性
とし、残りの支持板部分を導電性としたことを特徴とす
る構成である。

〈実施例の説明〉 以下、図面により本考案の実施例について説明する。

第１図Ａは本考案の一実施例を示す底面図、第１図Ｂ並
びに第１図Ｃはそれぞれ第１図Ａにおけるｂ−ｂ断面図
並びにｃ−ｃ断面図である。第１図Ａ乃至第１図Ｃにお
いて、１は支持板、２・２は支持板の裏面に埋着した一
対の互いに平行な摺電板（例えば、銅合金、アルミ合金
製）であり、長さｌを支持板の長さよりも短くしてあ
る。３は支持板の表面に埋着したレセプタクル（例え
ば、ソケット、コンセント）であり、摺電板２・２にリ
ード線（絶縁被覆線）４によって導通してある。５・５
……は位置決め用のピン孔である。11は摺電板の左右側
近傍並びに背面側近傍の支持板部分を、12は摺電板の長
手方向各端から支持板の長手方向各端までの支持板部分
をそれぞれ示し、絶縁性としてある。10は残りの支持板
部分を示し、帯電防止を可能とする導電性としてあり、
通常体積抵抗が10⁸Ω以下である。

上記の支持板は、繊維強化プラスチックにより成形する
ことが好ましく、導電性部分については、繊維の一部ま
たは全部にカーボン繊維等の導電性繊維を使用するか、
あるいはカーボン、グラファイト、金属粉末等の導電性
粉末を添化すればよい。摺電板の長さは、コンベアライ
ンの試験作業区における給電ロールの間隔より長くし
て、この作業区の通過中、中断なく受電させ得るように
してある。摺電板両端の支持板部分12には、コンベアロ
ールに対するガイド溝６を設けることが望ましい。ま
た、摺電板左右の絶縁と支持板絶縁部分との間の距離ｄ
は、沿面絶縁距離上10mm以上とすることが望ましい。

上記において、支持板表面が磨耗により薄くなっても、
磨耗が摺電板背面側の支持板導電性部分の下端ｅ（第１
図Ｃ）に達するまで、支持板表面を導電性に保持でき、
この場合、摺電板端21が支持板絶縁性部分12で覆われて
いるから、上記の下端ｅ位置と摺電板２との間の絶縁強
度を充分に保証できる。

上記支持板の絶縁性部分には、例えば、不飽和ポリエス
テル樹脂15〜40重量％、無機質充填剤25〜60重量％、ガ
ラス短繊維５〜30重量％の組成物を使用でき、導電性部
分には、例えば不飽和ポリエステル樹脂20〜40重量％、
無機質充填剤40〜60重量％、ガラス短繊維10〜30重量
％、カーボン繊維またはグラファイトまたはカーボン粉
末２重量％以上の組成物を使用できる。

本考案に係るパレットの製造には、例えば、第２図に示
すように、予備加熱した下金型71上に摺電板２・２をセ
ットし、予備成形した絶縁性組成物帯片1aを各摺電板２
上に載置し、それらの上に予備成形した導電性組成物シ
ート1bを載置し、上型72を覆せ、プレス８による加熱加
圧下で、上記帯片1a、シート1bを成形硬化する方法を使
用でき、加熱温度は通常120〜160℃、硬化時間は通常10
分〜20分である。

〈考案の効果〉 本考案に係る電気製品組立用パレットは、上述した通り
の構造であり、各摺電板周囲の支持板部分を絶縁性とし
て残りの支持板部分を導電性としているから、その導電
性部分と摺電板との間を電気的に非導電にし得る。ま
た、支持板の長手方向各端から摺電板各端までの間を絶
縁性としているから、コンベアラインの給電ロールと支
持板導電性部分との導通も回避できる。更に、摺電板各
端を絶縁性部分で覆っているから、摺電板背面のごく直
上の位置まで導電性部分にしても、摺電板端と支持板導
電性部分との間に充分な絶縁強度を付与できる。従っ
て、摺電板並びに給電に対する絶縁をよく保証しつつ支
持板の表面から摺電板のごく直上までを導電性になし
得、支持板表面が磨耗してもその磨耗が摺電板直上に達
するまでは、帯電防止機能を持続させ得る。また、プレ
ス成形による一次加工のみで製造でき、二次加工が不要
であるから、製造が容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは本考案の一実施例を示す説明図、第１図Ｂ並
びに第１図Ｃはそれぞれ第１図Ａにおけるｂ−ｂ断面図
並びにｃ−ｃ断面図、第２図は本考案パレットの製造装
置を示す説明図である。 １……支持板、11……摺電板の左右側並びに背面側の支
持板部分、12……摺電板各端と支持板各端との間の支持
板部分、10……残りの支持板部分、２……摺電板、３…
…レレセプタクル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】支持板の表面には通電用レセプタクルを、
   裏面には互いに平行な摺電板をそれぞれ備え、これら摺
   電板と上記レセプタクルとを電気的に導通せるパレット
   において、各摺電板の長さを支持板の長さよりも短く
   し、各摺電板の左右側近傍並びに背面側近傍の支持板部
   分と各摺電板の長手方向各端から支持板の長手方向各端
   までの支持板部分とを絶縁性とし、残りの支持板部分を
   導電性としたことを特徴とする電気製品組立用パレッ
   ト。