JPH0741370B2 - 黒鉛鋳型 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋳造用黒鉛鋳型、特に
大型鋳造物の押湯の機能を改善して鋳造物の欠陥となる
巣を減少して鋳造物の構造的完全性を改良する黒鉛鋳型
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】鋳造物は長年にわたり砂型、永久鋳型及
び黒鉛鋳型等、種々の成形鋳型によって製造されてき
た。鋳造される物質は、青銅、黄銅、鉄、アルミニウム
及び鋼鉄並びに他の元素及び合金である。鋳造法は、鋳
造すべき物質の性質、最終鋳造物の所望の表面特性及び
鋳造法のコストに適合するように発展してきた。鋳造作
業の最初の代表的工程では、砂で作った鋳型内に粗鉱溶
解炉又は溶鉱炉から溶湯を注入した。鋳造作業は、融解
物質の化学的成分、湯出し温度、鋳造温度、注入温度、
とりべ装置及びその他の鋳造及び注出条件の良好な制御
を行うため改善された。鋳型の寿命を延長し、熱伝達率
を良好に制御しかつ鋳放し（as-cast）製品に滑らかな
表面を与える鋳型材料を選択することが進歩的な実施方
法である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】鋳型１個当りの鋳造個
数の増加、鋳型内の鋳造品を迅速に冷却できる効果的熱
伝導性と、摩耗及び腐食に対する比較的高い抵抗性とを
得るため、鋳造工場では黒鉛鋳型を使用して鋳造作業を
行っている。更に、二次的な仕上加工工数を減少すると
共に、後加工なしで出荷できる鋳放し製品に対して鋳造
時に大きな寸法制御が可能な黒鉛鋳型が鋳造工業ではし
ばしば使用される。多くの鋳造鋳型と鋳造装置では、黒
鉛鋳型に注入ゲートと押湯が設けられ、鋳造時及び固化
時に発生するガス及び蒸気が排出される。黒鉛鋳型で
は、高い熱伝達率により融解金属からの迅速な熱伝達が
可能となる利点がある反面、固化鋳造物に巣が発生し易
い欠点もある。

【０００４】従って、鋳造品全体の冷却制御のみならず
鋳造品の種々の区域で局部的に冷却を制御することも必
要であることが判明した。換言すれば、鋳型内の鋳造品
の部分的冷却と固化が均一の速度で行われるように、薄
い鋳造品でも厚い鋳造品でも冷却速度を変えることが有
利である。

【０００５】Ｒ.Ｅ.Ｗendt著「Ｆoundry Ｗork」第４
版、１９４２及びＪ.Ｇerin Ｓylvia著「Ｃast Ｍetals
Ｔechnelogy」、１９７２等の文献に開示される通り、
鋳型、鋳型構造体及び鋳型装置には広範囲の変化があ
る。前記文献には３０年間の技術が記載され、多くの方
法と装置は同一又は類似である。前記「Ｃast Ｍetals
Ｔechnelogy」に記載された技術の改良は鋳造の運動学
と化学的分析値であり、ゲート、押湯、鋳型キャビテ
ィ、特に上型と下型等の鋳型の構成要素は殆ど変更され
ない。前記基本的構成に殆ど変更はなかったが、最終製
造、内部構造及び最終表面の性質を改良するため不断の
研究が行われている。

【０００６】米国特許第３,６１４,０５３号（ペック名
義：Peck）は２部品鋳型に使用する押湯装置に関する鋳
造法を改善する一例を示し、押湯は各鋳型部品に弾性的
に軸回転可能に装着された１対の押湯部品を有する。鋳
型部品は連結されて鋳造用キャビティを形成する際に押
湯部品も同時に連結されて密封された押湯キャビティを
形成する。前記押湯装置は鋳型の鋳造サイクル速度の促
進に使用される。

【０００７】別型式の鋳型押湯構造は米国特許第３,４
０９,２６７号（ウゾレック名義：Ｗszolek）、第３,４
９８,３６６号（メリックその他名義：Ｍerrick et a
l）及び再発行米国特許第２４,６５５号（シルベスター
名義：Ｓylvester）の明細書に開示されている。再発行
米国特許第２４,６５５号明細書は鋳型の押湯開口部に
形成した複数の押湯カップを焼成する技術に関する。押
湯カップは中子砂等の不燃性物質と乾式結合剤で構成さ
れ、乾式結合剤は焼成されて滑らかで強固な壁をカップ
に形成すると共に、融解金属と黒鉛との間の反応で発生
するガスを通気する。米国特許第３,４９８,３６６号明
細書は、鋳放し鋳造品に良好な表面状態を与えると共
に、黒鉛接触部分に冷硬耐摩表面を発生し、鋳造品の砂
接触部分に軟質表面を発生する黒鉛鋳型の樹脂結合砂部
分を開示している。比較的大型で再使用可能な上部部品
を有する黒鉛製押湯は米国特許第３,４０９,２６７号明
細書に記載されている。

【０００８】鋳型寿命を延長しかつ良好な鋳造物を得る
他の鋳造技術として、米国特許第３，６８４,００４号
（ジャーマンその他名義：Ｇermain et al）に開示され
た鋳型の鋳造面を被覆する鋳型上塗を利用する方法があ
る。中央にゲートを有する鋳型面上の上塗の厚さは鋳型
の中央線からの距離に反比例して変化する。鋳型上塗は
通常、鋳型鋳造面に石英、ジルコン、クリストバライト
等の被覆材料のスラリを噴霧して塗布される。前記米国
特許明細書には鋳型被覆技術で発生するラップ、即ちま
くれ、しわ及び不連続を防止する手段が記載されてい
る。

【０００９】良好な鋳造品に対する要求は、鋳造品の化
学的組成、結晶学的構造、物理的性質、表面仕上状態、
最小の材料損失、研磨要求及び構造均一性等、鋳造品の
総ての性質に関連する。機械加工及び摩耗を受ける鋳造
品又は間欠的若しくは連続的負荷を受ける鋳造品にとっ
て、構造均一性の要求は特に重要である。改良された性
質が要求される例は、摩耗、苛酷な垂直及びねじれ負荷
を受ける鋳造鉄道用車輪である。これらの困難な物理的
要求に対して優れた鋳造設備が奨励され、構造的強度を
有する鋳造物の重要な特性の一つは鋳造物のボイド、即
ち巣を最小にすることである。鋳造品の構造的欠陥は超
音波試験装置で監視され、超音波試験を通過した鋳造品
のみが、激しい使用環境に対する高品質の鉄道用車輪と
して利用される。鉄道用鋳造車輪の構造的完全性を改善
する従来の鋳造法では、鋳造物が冷却しかつ収縮する際
にボイド、即ち巣を充填する高温金属源を与える押湯の
数を増加すると共に、鋳型キャビティのウェブ部に押湯
を配置してガスと蒸気を良好に排出していた。従来は鋳
造物の巣を減少するため、鋳造キャビティを連続的に高
温金属で充填することが必要と考えられていた。

【００１０】本発明は、鋳型内で融解金属を均一に冷却
して鋳造物の巣の発生を減少する黒鉛鋳型を提供するこ
とを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明による黒鉛鋳型は
ゲート及び第１形状の上部表面とが形成された下型と、
外側表面及び第２形状の下部表面とを有する上型とを備
えている。上型と下型との接触により上型の下部表面及
び下型の上部表面を相互に接近させて、下型の第１形状
と上型の第２形状との間に鋳造用キャビティが形成され
る。上型は外側表面と下部表面との間を連絡する少なく
とも２つの押湯と、隣接する一対の押湯の間で上型の下
部表面に設けられた帯状溝部とを備えている。断熱物質
により形成されたスリーブライナが各押湯及び帯状溝部
に設けられる。各押湯内のスリーブライナは底面におい
て環状部及びポートを備えている。スリーブライナは上
型の下部表面とほぼ連続的な面を形成しかつ押湯と帯状
溝部において鋳型による熱伝達を最小にする。本発明の
実施例では、上型は複数の押湯を有し、帯状溝部は隣接
する一対の押湯の間に伸びる。押湯は円筒形通路であ
り、帯状溝部は少なくとも円筒形通路の直径と同じ幅を
下方表面に有する。

【００１２】本発明による鉄道車輪鋳造用黒鉛鋳型は、
第１形状を有する上部表面を備えた下型と、頂部表面と
第２形状とを有する下部表面を備えた上型とを有し、上
型と下型とを結合したとき、第１形状及び第２形状は整
列して鋳造用キャビティを形成する。上型は、頂部表面
と下部表面との間を連絡する少なくとも２つの押湯と、
下部表面内の帯状溝部を有する。帯状溝部は隣接する押
湯間で上型の下部表面に形成される。一定の断面の直径
を有するほぼ円筒形の少なくとも１０個の押湯を上型に
設け、押湯は下部表面で開放し、帯状溝部は上型の下部
表面内に設けられかつ各隣接する押湯間に伸びる。凹型
の帯状溝部は、押湯の直径にほぼ等しい幅を下部表面で
有する。帯状溝部は、下部表面で決められる押湯の直径
のほぼ半分である帯の深さを有する。帯状溝部は、押湯
の直径のほぼ半分の半径の半球状断面を有する。各押湯
は下部表面上に端ぐり孔を有し、帯状溝部は各隣接端ぐ
り孔間を連絡する。各押湯内に断熱物質のスリーブライ
ナが設けられ、断熱物質は各端ぐり孔と凹部内に下部表
面で連続表面を与える。

【００１３】

【作用】本発明は鋳造用黒鉛鋳型、特にディーゼル車両
用鉄道車輪の鋳造に関連する。鉄道車輪はウェブ、フラ
ンジ及び車輪リムに対して連続的に融解金属を供給する
ため複数の押湯を有する鋳型で鋳造され、これらの車輪
部分は最初に冷却され、収縮して縮む。上型に形成され
る複数の押湯は上型の上部表面と鋳型キャビティとを連
絡し、耐火材料の断熱スリーブが上型の押湯の底部に設
けられる。複数の押湯は通常、車輪のハブと同心状の円
形パターンに配置される。鋳型面の押湯の開口部は複数
のポートとして形成され、それぞれ環状のスリーブライ
ナにより包囲され、かつ隣接する一対の押湯の開口部の
間は、円周上に配置された帯状溝部により接続される。
本発明では、押湯及び湾曲した帯状溝部は耐火材料の断
熱物質で形成されたスリーブライナで充填され、スリー
ブライナは、金属固化間の鋳型キャビティ内の融解金属
の熱伝達速度を抑制すると共に、車輪のウェブの迅速な
冷却により発生する巣を減少する。好適実施例では、帯
状溝部は、湾曲する若しくは丸みのある凹部として形成
され、半球状断面を有するから、鋳造品を鋳型キャビテ
ィから除去した後に、耐火材料で形成されたスリーブラ
イナを容易に除去でき、次の鋳造への鋳型準備が完了す
る。

【００１４】

【実施例】以下、本発明による鉄道車輪鋳造用黒鉛鋳型
の実施例を図１〜図７について説明する。

【００１５】図１は、底注ぎ鋳造装置１２に装着されか
つ鋳型キャビティ２０内で鉄道車輪を鋳造する黒鉛鋳型
１０を示す。図面では鋳物を鋳造する特定の注入方法と
鋳造装置を図示するが、本発明の構造体を限定するもの
ではない。黒鉛鋳型１０は湯口、即ちゲート１４と、鋳
造装置１２内の金属浴１７と鋳型キャビティ２０とを連
絡する管状部材１５とを有する。黒鉛鋳型１０の上型１
６と下型１８はパーティングライン（分離線）２２で連
結され、上型１６の下部表面２４と下型１８の上部表面
２６は並置されてキャビティ２０を形成する。押湯２８
は上型１６の下部表面２４から頂上面３０まで伸び、押
湯２８はガスと蒸気の排出路となると同時に、鋳造間に
キャビティ２０を充填して鋳造車輪の巣を最小限にする
融解金属の溜めになる。図６は、車輪のハブ３４からリ
ム３６まで鉄道車輪３２の断面の一例を部分的に示す。
図示の鋳造法では浴１７内の融解金属は管状部材１５と
金属浴１７を通って鋳型キャビティ２０に送られるが、
例えば、上注ぎ鋳造法に、黒鉛鋳型１０を利用すること
も可能である。

【００１６】下型１８は上部表面、即ちキャビティ面２
６を有し、キャビティ面２６はハブ孔３８以外は不連続
部がない。キャビティ面２６は車輪３２の内面４０の表
面形状と一致し、滑らかな車輪表面、重力による最小の
巣（ボイド）発生及び鋳造物の冷却及び収縮間に発生す
る巣を充填する高温融解金属を連続的に供給する。鋳造
物の冷却を促進しかつ鋳造物の生産性を向上するため、
下型１８は高い熱伝達率を有する黒鉛製である。黒鉛鋳
型の摩耗率は非常に小さく、黒鉛は殆ど侵食を受けず、
合金の炭素と同様の粒界内に炭素又は介在物として黒鉛
が存在するから、鉄鋳物又は鋼鉄鋳物の化学的特性に影
響を与えない。

【００１７】上記のように、上型１６と下型１８は、上
型１６と下型１８のほぼ外縁のパーティングライン２２
で連結される。図２〜図４に示す上型１６は凸型形状を
有する下部表面２４を有し、下部表面２４は下型１８の
上部表面２６の凹型形状に並置される。上型１６の下部
表面２４と下型１８の上部表面２６はキャビティ２０を
形成する。図６に示す鉄道車輪の輪郭図では、比較的薄
いウェブ部４０はリム部３６をハブ部３４に連結し、外
側のリム部３６付近に押湯２８がキャビティ２０に開放
する。上型１６内の押湯２８の正確な位置及びキャビテ
ィ２０に対する押湯２８の位置を設計上任意に選択でき
るが、図示の鉄道車輪の例では押湯２８の位置は上記の
通りである。

【００１８】鋳造工業では、押湯２８は鋳型キャビティ
２０を通気すると共に、インゴット鋳型に巣又は「パイ
プ」を発生する冷却間の鋳造物の収縮に対応して高温金
属の溜めとなる。「パイプ」は金属の凝固に伴う収縮に
よってインゴット又は鋳造品に形成される空洞又は凹部
をいう。インゴット又は鋳型鋳造物の鋳造物に拘らず、
巣は鋳造物に自然に発生し、鋳放し製品でも二次仕上加
工を受ける最終生成物でも構造的欠陥となる。従って車
輪鋳造工業では絶えず車輪製造法を改善する方法、装置
及び化学的組成に対する研究が継続されている。

【００１９】図１に示す押湯２８は、側壁５２（図１）
及び砂等の耐火材により形成されたスリーブライナ５４
を有する円筒形通路５０によって形成される。押湯２８
は頂上面３０から上型１６を通して鋳型キャビティ２０
に達し、円筒形通路５０の上端５１と下端５３の各表面
と同一平面内にある。即ち、スリーブライナ５４は円筒
形通路５０の上端５１と下端５３では同一平面内として
形成される。図２に示す上型１６内の押湯２８は末端部
に下部表面２４を有し、図３〜図５の下部表面２４に形
成された端ぐり孔（凹部）５６はスリーブライナ５４の
拡大座部を形成する。図示の実施例では、結合剤又はそ
の他の感熱性反応体を含む耐火物質を押湯２８及び端ぐ
り孔５６に充填することによりスリーブライナ５４を形
成する。黒鉛鋳型１０は通常、前の高温金属鋳造のため
室温より高い温度に加熱され又は鋳造時に発生する問題
を回避するため、耐火性混合物を硬化するのに充分な所
定の温度に予め加熱されている。円筒形通路５０内の耐
火物質は所定の時間経過で硬化し、耐火物質は所定の壁
厚を形成する。所定の時間経過後、上型１６を反転する
と、未硬化耐火物質は排出され、円筒形通路５０が形成
される。しかし下部表面２４と端ぐり孔５６内の耐火物
質は通常全部硬化するから、穿孔工程等により押湯通路
５０から耐火物質を除去して、端ぐり孔５６内のスリー
ブライナ５４の環状部５７に溶融金属が通過するポート
５８を形成する必要がある。添付図面では、耐火物質で
充填された端ぐり孔５６内のスリーブライナ５４は鋳造
物の冷却中に優れた断熱材として作用する環状座部とな
る。

【００２０】従来は、巣が少なく構造的に完全な鋳造物
を作るために押湯の数を増加した。これは特に動作安全
性と共に構造完全性が要求される鉄道車輪工業で著し
い。従って、多数の押湯を使用して冷却鋳造物の収縮に
対して十分な融解金属を供給すると共に、最終鋳造車輪
に形成される巣を最小にするディーゼル機関車の車輪製
造に関する別の鋳造方法が開発された。押湯２８の数を
増加する鋳造法は、巣を減少する点で成功した。また、
耐火物質で充填された隣接端ぐり孔５６間にはスリーブ
ライナ５４の耐火物質と黒鉛鋳型１０の黒鉛の熱伝導率
の差に起因する温度勾配が存在する。従って、断熱物質
により形成された帯状溝部６４内のスリーブライナ５４
の半円形充填部６０はキャビティ２０からの不均一な放
熱を防止する作用があり、図３の下部表面２４に埋設し
て形成された帯状溝部６４内のスリーブライナ５４の半
円形充填部６０は、隣接端ぐり孔５６間の温度勾配を最
小にする。複数の添付図面で帯状溝部６４は下部表面２
４の全周にわたって伸び、隣接端ぐり孔５６を連結する
１連のアーク部６２が形成される。図２に示す好適実施
例では、帯状溝部６４は丸められ、１回の鋳造後、耐火
物質を容易に除去できるが、帯状溝部６４の正確な断面
形状は図示の実施例に限定されない。

【００２１】下部表面２４に帯状溝部６４を形成すると
き、図７に示す所定の半径の切断縁部７２を有する加工
工具７０を使用して、下部表面２４に所望の深さと凹ん
だ丸味のある帯状溝部６４を形成する。帯状溝部６４を
形成した後、同時硬化する結合剤を混合した耐火物質を
帯状溝部６４と押湯通路５０に充填して、スリーブライ
ナ５４を形成する。次に上型１６を反転して未硬化耐火
物質を排出し、上型１６内の押湯２８に連絡用の開口部
となるポート５８を穿孔、パンチその他の方法でスリー
ブライナ５４の環状部５７に形成する。

【００２２】詳記すれば、多数の鋳造物の製造に再使用
される半永久鋳型である黒鉛鋳型は摩耗と腐食を受ける
ので、一定期間使用後に、黒鉛鋳型１０は分解され、上
型１６と下型１８の各々は旋盤のチャックに固定され
る。次の鋳造のためフライス盤等の加工装置（図示せ
ず）によって、下部表面（下方鋳型面）２４及び上部表
面（上方鋳型面）２６の輪郭はそれぞれ黒鉛鋳型１０の
所望の鋳型表面に再び機械加工されて再生される。ま
た、下部表面２４と上部表面２６上に種々の輪郭面を形
成する工具７０を中ぐり棒に装着して、隣接する押湯２
８の間の下部表面２４に湾曲した凹部の帯状溝部６４を
再生する。

【００２３】鋳造の際は、黒鉛鋳型１０は従来と同様の
外観を有し、下部表面２４の端ぐり孔５６に連結された
帯状溝部６４内にスリーブライナ５４の半円形充填部６
０が形成され、半円形充填部６０はキャビティ２０内の
融解金属に対して連続的な耐火性又は断熱性環状部にな
る。従って端ぐり孔５６及び押湯２８の周辺区域内の熱
的冷却効果は更に均一になり、温度勾配のある冷却効果
を抑制して更に鋳造物の均一冷却を促進し、鋳造による
微細な巣の発生を防止することができる。冷却後、キャ
ビティ２０から鋳造物を取り出し、黒鉛鋳型１０の上型
１６と下型１８は通常の鋳造技術に従って処理され、耐
火物質は黒鉛鋳型１０から排出される。

【００２４】上記に本発明の特定の実施例について説明
したが種々の変更が可能なことは明らかである。当業者
には図示の実施例の中でもある種の変化が可能であるこ
とは理解出来よう。

【００２５】

【発明の効果】本発明では、前記のように、鋳造用鋳型
の隣接する複数の押湯間に耐火物質を充填したスリーブ
ライナによって融解金属を均一に冷却し、鋳造物内の巣
の発生を減少する効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 黒鉛鋳型を装着した底注ぎ鋳造装置の正面断
面図

【図２】 図１に示す黒鉛鋳型の鋳型キャビティ表面を
形成する上型の下部表面を示す部分拡大斜視図

【図３】 押湯、端ぐり孔及び帯状溝部に耐火物質を充
填した図２の上型の下部表面を示す部分拡大斜視図

【図４】 図３とは異なる鋳型表面の斜視図

【図５】 図４の鋳型表面に形成された帯状溝部によっ
て連結された２つの押湯と端ぐり孔の拡大図

【図６】 代表的な鉄道車輪のハブ中心線からリムに達
する断面図

【図７】 黒鉛鋳型の表面での帯状溝部の形成に使用す
る工具の正面図

【符号の説明】

１０．．．黒鉛鋳型、 １２．．．底注ぎ鋳造装置、
１４．．．ゲート、１５．．．管状部材、 １６．．上
型、 １７．．．金属浴、 １８．．．下型、２
０．．．キャビティ、 ２２．．．パーティングライ
ン、 ２４．．．下部表面、 ２６．．．上部表面、
２８．．．押湯、 ３０．．．頂上面、 ３２．．．鉄
道車輪、 ３４．．．ハブ、 ３６．．．リム部、 ３
８．．．ハブ孔、 ４０．．．内面、 ５４．．．スリ
ーブライナ、 ５６．．．端ぐり孔（凹部）、 ６
０．．．帯状溝部（湾曲凹部）、

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゲート及び第１形状の上部表面とが形成
   された下型と、外側表面及び第２形状の下部表面とを有
   する上型とを備え、上型と下型との接触により上型の下
   部表面及び下型の上部表面を相互に接近させて、下型の
   第１形状と上型の第２形状との間に鋳造用キャビティを
   形成する金属鋳造用黒鉛鋳型において、上型は外側表面
   と下部表面との間を連絡する少なくとも２つの押湯と、
   隣接する一対の押湯の間で上型の下部表面に設けられた
   帯状溝部とを備え、断熱物質により形成されたスリーブ
   ライナが各押湯及び帯状溝部に設けられ、各押湯内のス
   リーブライナは底面において環状部及びポートを備え、
   スリーブライナは上型の下部表面とほぼ連続的な面を形
   成しかつ押湯と帯状溝部において鋳型による熱伝達を最
   小にすることを特徴とする黒鉛鋳型。
2. 【請求項２】 上型は複数の押湯を有し、帯状溝部は隣
   接する一対の押湯の間に伸びる「請求項１」に記載の黒
   鉛鋳型。
3. 【請求項３】 押湯は円筒形通路であり、帯状溝部は少
   なくとも円筒形通路の直径と同じ幅を下方表面に有する
   「請求項２」に記載の黒鉛鋳型。
4. 【請求項４】 鉄ベース金属を鋳造する「請求項１」に
   記載の黒鉛鋳型。
5. 【請求項５】 第１形状を有する上部表面を備えた下型
   と、頂部表面と第２形状とを有する下部表面を備えた上
   型とを有し、上型と下型とを結合したとき、第１形状及
   び第２形状は整列して鋳造用キャビティを形成し、上型
   は、頂部表面と下部表面との間を連絡する少なくとも２
   つの押湯と、下部表面内の帯状溝部を有し、帯状溝部は
   隣接する押湯間で上型の下部表面に形成されることを特
   徴とする鉄道車輪鋳造用黒鉛鋳型。
6. 【請求項６】 一定の断面の直径を有するほぼ円筒形の
   少なくとも１０個の押湯を上型に設け、押湯は下部表面
   で開放し、帯状溝部は上型の下部表面内に設けられかつ
   各隣接する押湯間に伸びる「請求項５」に記載の鉄道車
   輪鋳造用黒鉛鋳型。
7. 【請求項７】 凹型の帯状溝部は、押湯の直径にほぼ等
   しい幅を下部表面で有する「請求項６」に記載の鉄道車
   輪鋳造用黒鉛鋳型。
8. 【請求項８】 帯状溝部は、下部表面で決められる押湯
   の直径のほぼ半分である帯の深さを有する「請求項７」
   に記載の鉄道車輪鋳造用黒鉛鋳型。
9. 【請求項９】 帯状溝部は、押湯の直径のほぼ半分の半
   径の半球状断面を有する「請求項７」に記載の鉄道車輪
   鋳造用黒鉛鋳型。
10. 【請求項１０】 下部表面上の各押湯に端ぐり孔を有
    し、帯状溝部は各隣接端ぐり孔間を連絡する「請求項
    ５」に記載の鉄道車輪鋳造用黒鉛鋳型。
11. 【請求項１１】 各押湯内に断熱物質のスリーブライナ
    が設けられ、断熱物質は各端ぐり孔と凹部内に下部表面
    で連続表面を与える「請求項１０」に記載の鉄道車輪鋳
    造用黒鉛鋳型。