JPH073902U - タレット旋盤の機内計測装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 計測可能なワーク径を大きくでき、またセン
サと堆積切粉との干渉が回避でき、さらに断続加工の振
動の影響をセンサが受け難いものとする。 【構成】 タレット２は、その前面の中心に非回転部材
２０を有し、この非回転部材２０にセンサ取付アーム２
１をタレット２と同軸で旋回自在に取付ける。センサ取
付アーム２１は、タレット２の各工具取付面Ｓに取付け
られる工具５０よりも半径方向の外方に延びるものであ
り、その先端に機内計測センサ２２を取付ける。また、
前記非回転部材２０にはセンサ取付アーム２１を垂直上
向きの退避角度で保持するボールデテント等の退避維持
機構２４を設け、タレット２の回転部分の前面にはセン
サ取付アーム２１を係脱可能に連結する旋回用連結機構
２３を設ける。この機構２３は、連結ピン３３をアーム
２１の連結孔３４にシリンダ駆動で係脱させる機構等で
構成される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、加工済みワークの外径等を主軸に装着したままで計測するタレッ ト旋盤の機内計測装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、図４に示す機内計測装置付きのタレット旋盤が使用されている。このタ レット旋盤１では、タレット２を搭載したクロススライド３が、ベッド４のレー ル５上に、主軸６の軸方向（Ｚ軸方向）と直交する方向（Ｘ軸方向）に移動自在 に設置されている。主軸６は、ベッド４に設置した主軸台７に支持され、主軸チ ャック６ａが装着されている。 クロススライド３には、その上面に設けられたレール上にＺ軸方向に移動自在 にインデックスハウジング８が設置してあり、このインデックスハウジング８に タレット２が回転自在に支持されている。インデックスハウジング８は、タレッ ト２の割り出し回転機構と前後送り機構とを内蔵している。クロススライド３の Ｘ軸方向への移動は、送りねじ９を介してサーボモータ（図示せず）により行わ れる。タレット２は正面形状が多角形のドラム状のものであり、各周面部分から なる工具取付面Ｓに、バイトやドリル等の各種の工具が装着される。

【０００３】 このようなタレット旋盤１において、タレット２の工具取付面Ｓの１箇所に、 工具に代えて機内計測センサ１０を取付けている。機内計測センサ１０は、タッ チセンサからなり、主軸６に把持されたワークに接触させることにより、加工後 のワーク径を計測する場合などに使用される。 ワーク外径の計測では、通常は図５に示すようにワークＷの直径方向（Ｘ軸方 向）に離れた２点Ｐ１，Ｐ２を計測し、これら２点Ｐ１，Ｐ２のセンサオン座標 の差からセンサ校正値を引いた値をワーク外径とする。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 しかし、機内計測センサ１０がタレット２の工具取付面Ｓに固定されているた め、次のａ〜ｃに示す各問題点が生じる。 ａ．機械のコンパクト化等のため、図６に示すように機内計測センサ１０の移 動可能な機内ストロークＬは、タレット２と反対側に対しては僅かな範囲に限ら れている。すなわち、タレット２の各工具による加工は、ワーク中心よりもタレ ット２側で行えるため、タレット２から離れる方向には大きくストロークを得る ように設計されない。そのため、ワーク径が同図に示すように大きい場合、タレ ット２の反対側の計測点Ｐ２（図５）の計測が行えず、前記の通常の計測方法が 採れない。このような場合、例えばワークＷの片方の計測点Ｐ１と主軸チャック ６ａの外径面とに機内計測センサ１０を接触させ、両点の座標差の２倍の値を既 知のチャック外径から差し引くことでワーク外径を求めている。しかし、この計 測方法では、熱変位量が含まれるために、計測誤差が大きくなる。

【０００５】 ｂ．タレット２の割り出しに伴って、機内計測センサ１０は図６に鎖線で示す 旋回エリアＲで旋回するが、この旋回により、機体カバー１１上の堆積切粉５２ 内を機内計測センサ１０が通過することがある。そのため、機内計測センサ１０ の先端を損傷する恐れがある。なお同図において、１２はチップコンベヤ、１２ ａはチップコンベヤ１２の開口を示す。 ｃ．断続切削加工等を行うときに、機内計測センサ１０がワーク位置に割り出 されていなくても、工具に生じる振動がタレット２を介して機内計測センサ１０ に伝わり、センサ１０の先端（タッチプローブ）が振動する。そのため、機内計 測センサ１０の先端にある電気信号検知部の寿命を早める。

【０００６】 この考案の目的は、計測可能なワーク径を大きくでき、またセンサと堆積切粉 との干渉が回避でき、さらに断続加工の振動の影響をセンサが受け難いタレット 旋盤の機内計測装置を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この考案のタレット旋盤の機内計測装置は、タレットの前方でタレット中心の 非回転部材に旋回可能にセンサ取付アームを設けたものである。センサ取付アー ムは、タレットの装着工具よりも外方に延びるものとする。このアームの先端に 、主軸のワークを計測する機内計測センサを取付ける。また、センサ取付アーム を主軸前方から離れる退避角度で保持する退避維持機構を設け、かつセンサ取付 アームをタレットの回転部分に係脱可能に連結する旋回用連結機構を設ける。

【０００８】

【作用】

センサ取付アームは、非使用時は、主軸前方から離れる退避角度で退避維持機 構により保持しておく。計測時は、旋回用連結機構によりセンサ取付アームをタ レットの回転部分に連結し、タレット２を割り出し回転させて、センサ取付アー ムを主軸対応角度に位置させる。この状態で、タレットを移動させて、センサ取 付アームの先端の機内計測センサにより、主軸に保持されているワークの外径等 の計測を行う。 機内計測センサは、タレットと別に設けたセンサ取付アームに取付けるので、 このアームの長さを長くすることで、計測可能なワーク径を大きくすることがで きる。また、センサ取付アームは退避角度で保持しておくため、タレットの回転 に伴って機内計測センサが堆積切粉等に干渉することが防止できる。センサ取付 アームは、タレット中心の非回転部材に設けられるため、断続加工時などに工具 に生じる振動が機内計測センサに伝わり難い。

【０００９】

【実施例】

この考案の一実施例を図１ないし図３に基づいて説明する。タレット旋盤１の 基本構造は図４の例と同様であるため、対応部分に同一符号を付してその説明を 省略する。 タレット２は、その前面の中心に非回転部材２０を有し、この非回転部材２０ にセンサ取付アーム２１をタレット２と同軸で旋回自在に取付ける。センサ取付 アーム２１は、タレット２の各工具取付面Ｓに取付けられる工具５０よりも半径 方向の外方に延びるものであり、その先端に機内計測センサ２２を取付ける。ま た、前記非回転部材２０にはセンサ取付アーム２１を垂直上向きの退避角度で保 持する退避維持機構２４を設け、タレット２の回転部分の前面にはセンサ取付ア ーム２１を係脱可能に連結する旋回用連結機構２３を設ける。 また、センサ取付アーム２１の旋回に連動して機内計測センサ２２の角度を変 えるセンサ角度変更機構３０を設け、かつ機内計測センサ２２を覆うセンサカバ ー３１を設ける。

【００１０】 タレット２の非回転部材２０は、この種のタレット旋盤において、クーラント ノズル（図示せず）の取付けや、回転工具への駆動伝達機構（図示せず）の取付 等のために一般に設けられるものであり、図３のようにタレット軸２ａを貫通し た固定軸５１の先端に固定されている。固定軸５１はクーラントパイプ等からな り、インデックスハウジング８の後方に突出した部分でインデックスハウジング ８に固定されている。 この非回転部材２０の前面にアーム支軸２５を突出させ、軸受２６を介してセ ンサ取付アーム２１を旋回自在に支持してある。退避維持機構２４はボールデテ ント形式のものであり、非回転部材２０に形成した孔内にボール２７を収容して コイルばね２８で突出付勢すると共に、ボール２７に係合する係合凹部２９をセ ンサ取付アーム２１に設けて構成される。

【００１１】 旋回用連結機構２３は、タレット２内に形成したピン駆動シリンダ３２で突没 操作される連結ピン３３と、アーム２１に設けられて連結ピン３３を係合させる 連結凹部３４とで構成される。 機内計測センサ２２はタッチセンサからなり、センサ取付アーム２１の先端に センサ支軸３５と共に、アーム先端側に向く退避角度（図１の角度）と主軸方向 （Ｚ軸方向）に向く使用角度（図３の角度）との間で９０°の角度変更が可能に 支持されている。

【００１２】 センサ角度変更機構３０は、非回転部材２０の中心に設けられた固定傘歯車３ ６と、センサ取付アーム２１内に軸受４０で回転自在に支持されて一端の傘歯車 ３７で前記固定歯車３６に噛み合う連動軸４１と、連動軸４１の他端およびセン サ支軸３５に各々設けられて互いに噛み合う傘歯車３８，３９（図２）とで構成 される。センサ支軸３５は、軸受４２でセンサ取付アーム２１に回転自在に支持 されている。 図１において、センサカバー３１は、カバー開閉シリンダ４３に より支軸４４回りで回動駆動される開閉蓋４５を有している。開閉蓋４５は、開 閉カバー３１の開放状態とされた主軸対向面を開閉するものである。

【００１３】 上記構成の動作を説明する。センサ取付アーム２１は、常時は図１示す垂直上 向きの退避角度で、ボールデテント形式の退避維持機構２４により角度保持され ている。機内計測センサ２２を使用するときは、まず旋回用連結機構２３におけ る連結ピン３３が垂直角度のセンサ取付アーム２１のピン連結凹部３４の位置に 来るようにタレット２を割り出し、ピン駆動シリンダ３２で連結ピン３３をピン 連結凹部３４に係合させる。このとき、カバー開閉シリンダ４３も動作し、開閉 蓋４５を開く。

【００１４】 このようにセンサ取付アーム２１をタレット２に固定した状態でタレット２を 回転させ、センサ取付アーム２１を主軸６と対応する水平角度とする。退避維持 機構２４のボール２７はばね２８の圧縮により係合凹部２９から外れる。センサ 取付アーム２１がこのように旋回すると、固定傘歯車３６等からなるセンサ角度 変更機構３０の連動作用により、機内計測センサ２２が主軸方向（Ｚ軸方向）に 合わされる。

【００１５】 この状態で、タレット２を自由に移動させてワークＷのＸ軸方向に沿う直径上 の２点（図５のＰ１，Ｐ２）の座標を機内計測センサ２２の接触により計測し、 校正値と共に演算して外径（直径）を求める。校正値は、センサ先端形状やセン サ感度等により適宜設定される値である。

【００１６】 このように計測を行った後、前記と逆にタレット２の回転でセンサ取付アーム ２１を上向きの待機角度に旋回させ、連結ピン３３の連結を解除する。この解除 動作と同時に、カバー開閉シリンダ４３が駆動して開閉カバー４５が閉じる。セ ンサ取付アーム２１は、待機角度に旋回させたときに退避維持機構２４のボール ２７が再度係合して退避角度に維持される。

【００１７】 この機内計測装置によると、このようにタレット２と別に設けたセンサ取付ア ーム２１に機内計測センサ２２を取付けたので、このアーム２１の長さを長くす ることで、計測可能なワーク径を大きくすることができる。また、センサ取付ア ーム２１は上向きの退避角度に保持しておくため、タレット２の回転に伴って機 内計測センサ２２が、ベッド４の下部前方等に堆積した切粉に干渉することが防 止でき、機内計測センサ２２の損傷が回避できる。また、機内計測センサ２２は センサカバー３１で覆われるので、これによっても切粉やクーラント等から保護 できる。さらに、センサ取付アーム２１は、タレット中心の固定部材２０に設け られるため、断続加工時などで工具５０に生じる振動が機内計測センサ２２まで 伝わり難く、機内計測センサ２２のプローブ先端が振動することがなくて、セン サ寿命が向上する。また、タレット２の工具取付面Ｓには機内計測センサ２２を 取付けないので、全工具取付面Ｓに切削用の工具を取付けることができる。

【００１８】 なお、前記実施例ではセンサカバー３１を設けたが、このカバー３１は必ずし も設けなくても良い。また、機内計測センサ２２は、センサ取付アーム２１に対 する取付角度を固定状態としても良い。

【００１９】

【考案の効果】

この考案のタレット旋盤の機内計測装置は、タレットの前方でタレット中心の 非回転部材に旋回可能にセンサ取付アームを設け、このアームを退避角度で保持 する退避維持機構と、タレットの回転部分に係脱可能に連結する旋回用連結機構 とを設けたため、計測可能なワーク径を大きくすることができる。しかも、セン サと堆積切粉との干渉が回避でき、また断続加工の振動の影響をセンサが受け難 く、センサの損傷防止、寿命向上が図れるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例にかかる機内計測装置の破
断正面図である。

【図２】そのセンサ角度変更機構の破断正面図である。

【図３】同機内計測装置とタレットとの関係を示す破断
平面図である。

【図４】従来の機内計測装置付きタレット旋盤の斜視図
である。

【図５】その計測動作の説明図である。

【図６】同じくその作用説明図である。

【符号の説明】

２…タレット、３…クロススライド、４…ベッド、６…
主軸、６ａ…主軸チャック、８…インデックスハウジン
グ、２０…非回転部材、２１…センサ取付アーム、２２
…機内計測センサ、２３…旋回用連動機構、２４…退避
維持機構、２５…アーム支軸、２７…ボール、２８…コ
イルばね、２９…係合凹部、３０…センサ角度変更機
構、３１…センサカバー、３２…ピン駆動シリンダ、３
３…連結ピン、３４…連結凹部、４５…開閉蓋、５０…
工具、Ｗ…ワーク

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 タレットの前方でタレット中心の非回転
   部材に旋回可能に支持されてタレットの装着工具よりも
   外方に延びるセンサ取付アームを設け、このアームの先
   端に主軸のワークを計測する機内計測センサを取付け、
   前記アームを主軸から離れる退避角度で保持する退避維
   持機構と、前記アームをタレットの回転部分に係脱可能
   に連結する旋回用連結機構とを設けたタレット旋盤の機
   内計測装置。