JPH0738834Y2 - 温度検出器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、物質の熱処理に用いられる熱処理炉の温度測
定に使用される熱電対、測温抵抗体またはサーミスタ等
の温度検出素子等によって形成された温度検出器に関
し、特に、温度検出素子の劣化を検出するのに適した温
度検出器に関する。

従来の技術 従来における熱電対を用いた温度検出器には下記種類が
知られている。

、保護管先端部に１本の熱電対が入っているごく一般
的に使用されているもの。

、保護管先端部に電気的に絶縁された２本の熱電対を
挿入したダブルエレメント形であって、検出温度は原理
的に同一温度を測定するもの。

、拡散炉などに使用される熱電対であって、同じ保護
管内に複数の熱電対を一定間隔に配置し、長さ方向の均
熱度を同時に測定するための熱電対。

考案が解決しようとする課題 しかしながら、特に、高温測定をする熱電対は時間と共
に起電力特性が劣化する。例えばＲ熱電対では1400℃で
半年に20℃、1600℃では半年に60℃相当の起電力劣化が
発生するとのデータもある。

本考案は、従来の上記実情に鑑みてなされたものであ
り、従って本考案の目的は、上記の如き劣化を容易に検
出できる新規な温度検出器を提供することにある。

課題を解決するための手段 上記目的を達成する為に、本考案に係る温度検出器は、
熱処理炉の炉壁に固定され一部が炉外に露出された保護
管を有し、該保護管内に計測温度を炉外温度に向けて熱
流を導く伝熱導体を設け、該伝熱導体の長さ方向にある
距離をおいて複数の温度検出素子を熱的に接続し端子部
に導くように構成される。

実施例 次に本考案をその好ましい一実施例について図面を参照
しながら具体的に説明する。

第１図（ａ）、（ｂ）は本考案に係る温度検出器の一実
施例を示す概略構成図、測定温度曲線図である。図示さ
れた実施例は温度検出素子として熱電対を用いた場合の
ものである。

第１図（ａ）を参照するに、参照番号11は物質の熱処理
に用いられる熱処理炉の炉壁を示し、該炉壁11には測定
データの取出しをする端子部12aを有する保護管12が支
持部13により支持固定されている。保護管12は、端子部
12aを含む一部が炉壁11の外部（外気）に露出されてい
る。

保護管12内には、炉内の温度を強制的に炉外に導く伝熱
導体10が設けられている。伝熱導体10は金属とか高温に
耐え高熱伝導特性を有するセラミックが考えられる。

温度計測用の熱電対は該伝熱導体10の熱流にそって主熱
電対14と、副熱電対15、16が熱的に接続されている。

副熱電対16は炉外温度の検出用であり、副熱電対15は主
熱電対14と副熱電対16の中間温度の計測用である。

熱電対の起電力劣化の原因は種々考えられるが、主には
使用温度と使用時間に起因している。第１図（ａ）、
（ｂ）からも判るように、主熱電対14は他の熱電対（熱
電対15、熱電対16）より高温にさらされているためにそ
の劣化は速い。

本実施例では、使用開始時の各熱電対（熱電対14、熱電
対15、熱電対16）の関係を計測してこれを基準値として
おく。基準値の関係は計測温度が変わると伝熱導体の特
性変化等により変わるので、熱電対劣化検出の補償精度
の関係から全測定範囲内の何点か計測する必要がある。

熱電対は高温度で長時間使用すると劣化する。本考案で
は主熱電対14を温度計測の目的の個所におき、副熱電対
16は炉外の外気温度を計測する。更に副熱電対15は例え
ば炉内温度と外気温度の中間温度に近い個所に設置され
る。

今、熱流の流れが一定とすれば、主熱電対14、副熱電対
16、15の関係はある一定の値となるが、高温にさらされ
ている熱電対が劣化するとこの関係がずれる形となり、
この関係を利用して熱電対の劣化を検出しようとするも
のである。

この劣化検出または劣化補償は主熱電対と副熱電対の信
号を取り込んだ信号処理回路（図示せず）で行われる。

ここで、伝熱導体10の効果は炉内温度から炉外温度に強
制的に熱流を導く為のものである。伝熱導体10が設けら
れていない場合でも熱流は熱電対の保護管12を経由して
導かれるが、保護管12の腐食等により熱流の流れが変わ
ると劣化検出に誤差を生じる等の不都合を生じる。伝熱
導体10の効果はこの解消にあり、より精度の良い熱電対
劣化検出を行う為のものである。

第１図（ａ）の構成例では炉内温度と炉外温度とその中
間に各１対の熱電対を配置する例を示したが、主熱電対
（熱電対14）の劣化補正をより正確に推定するためには
中間熱電対の本数を更に増やす事で容易に実現できる。

以上説明した実施例においては温度検出素子として熱電
対が使用されているが、熱電対の代わりに測温抵抗対ま
たはサーミスタ等を使用することも可能である。

考案の効果 以上説明したように、本考案による温度検出器を使用す
れば、炉内に配置された温度検出素子の劣化を容易にし
かも的確に検出できる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）、（ｂ）は本考案の一実施例を示す概略構
成図、測定温度曲線図である。 10……伝熱導体、11……炉壁、12……熱電対保護管、12
a……端子部、13……支持部、14……主熱電対、15、16
……副熱電対

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】熱処理炉の温度を測定する検出器であっ
   て、前記熱処理炉の炉壁に固定され一部が炉外に露出さ
   れた保護管を有し、該保護管内に計測温度を炉外に向け
   て熱流を導く伝熱導体を設け、該伝熱導体と熱的に接続
   された複数の温度検出素子を、炉内温度検出用として前
   記保護管の先端部と、外気温度検出用として前記保護管
   の前記炉外露出部と、中間温度検出用として該露出部お
   よび前記先端部の中間にそれぞれ少なくとも１個設けら
   れた素子によって構成したことを特徴とする温度検出
   器。