JPH0738780Y2 - 電磁弁の弁部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は開弁時の応答性並びに閉弁時の遮断性能を向上
させると共に小型化し且つ製造コストの低減を図った電
磁弁の弁部構造に関するものである。

〔従来の技術〕

第４図は従来の電磁弁の弁部構造を示す断面図であり、
環状に配設された電磁コイル16の中心にプランジャ１を
設けて成る電磁弁において、該プランジャ１の先端にス
テム17を螺合により固定し、該ステム17の先端に球面状
の摺接部18を有した復帰用頭部19を一体に形成してあ
り、該頭部19の裏面には平面状のばね受け部20を設けて
ある。

そして、該復帰用頭部19は、弁体子21を頭部収容室22の
底壁23と該頭部収容室22に螺挿したロックナット24の間
に弁ばね25を介して遊動自在に保持している。

即ち、該弁体子21は略円柱形状を呈し、プランジャばね
受けである一端26より同心に頭部収納室22を設け、該収
容部22の内壁にロックナット螺合用の雌螺子部27を形成
すると共に、他端に弁ゴム冠着用の鍔部28を形成してあ
る。

図中24で示すロックナットは、前記ステム17の外径より
大きな内径部を形成し、外周に雄螺子部29並びに係止鍔
部30を設けて成る。

そして、プランジャばね12の押圧力によって弁体31の弁
座13に押しつけて流体の遮断をする。

また、電磁コイル16の励磁によりプランジャ１がヨーク
31に吸引されると、ステム17の頭部19が弁バネ25を圧縮
すると共にプランジャばね12に抗してロックナット24を
吸引方向に引き上げるから、該ロックナット24に連続し
た弁体31が弁座13を開口する。

そして、閉弁時において、弁座13と弁体31の平行度が悪
かったり、弁座13に塵等が付着した場合には、ステム頭
部19の球面部18を支点として弁体31が揺動し弁ゴム４と
弁座13との密着を保つことが出来る。

また、弁ばね25はこの際、ステム17が浮くのを防止して
いる。

しかしながら、上記の構造においては、開弁時即ちプラ
ンジャ１がヨーク32に吸引され、ステム17を引き上げる
際に、該弁ばね25を圧縮するロスが生じてステム17の初
速が遅くなるために応答性が悪いという欠点がある。

また、弁ばね25を収容するスペースが大きく弁部構造が
大型化することや、ロックナット24による組み付けに時
間がかかるという問題もある。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は、上記の点に鑑み、閉弁時の流体遮断性並びに
開弁時の応答性を向上させると共に小型で且つ組立に手
間のかからない電磁弁の弁部構造を提供することを目的
とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、プランジャ駆動
部本体内をスライド可能なプランジャの先端にステムを
設け、該ステムの先端方に、弁体子と弁ゴムとから成る
弁体を設け、該プランジャ駆動部本体に一端を弾接させ
るプランジャばねを該弁体との間において介在させて該
弁体を弁座に押圧させる電磁弁において、該ステムの先
端に円錐状の弁体掛持部を形成し、該弁体掛持部に対向
して球面部を有した弁体押圧部材を該ステムに設け、該
弁体押圧部材に前記プランジャばねの他端を弾接させ、
該球面部に対向して断面円弧状の接触面を有した前記弁
体子を該球面部と該弁体掛持部との間において間隙を存
して一定範囲遊動自在に支持させて成ることを特徴とす
る電磁弁の弁部構造を採用する。

〔作用〕

開弁に際しては、ステム２の弁体掛持部８が一定範囲遊
動自在に組み付いた弁体５をその間隙における空走によ
って衝撃的にリフトするから、弁座13に密着した弁体５
を瞬時に離間させることが出来る。

また、閉弁に際しては、ステム２に設けた弁体押圧部材
６が弁体５をその間隙における空走によって衝撃的に押
圧するから、弁座13に対する強い密着を可能とする。

この際、弁体５は弁体押圧部材６に対し、その球面で揺
動自在に接触するから、例え弁座13と弁体部５の平行度
が悪くても完全に密着して確実な遮断作用をなす。

〔実施例〕

第１図は本考案の電磁弁の弁部構造を示す断面図であ
り、プランジャ１の先端部中央に雌螺子部11′を設け、
該雌螺子部11′に、ステム２の一方に形成した雄螺子部
11を螺挿して固定してある。

該ステム２の他方には、円錐形状の弁体掛持部８を一体
に形成してある。

そして、該弁体掛持部８に対向して、球面部９を有する
環状の弁体押圧部材６を該ステム２に対し同心に嵌入し
てある。

該弁体押圧部材６には球面部９に連続してフランジ状の
プランジャばね受け部10を一体に形成してある。

さらに、該弁体押圧部材６の球面部９と前記弁体掛持部
８の間に、該弁体押圧部材６との接触面を断面円弧状と
すると共に前記弁体掛持部８との接触部を滑らかな曲面
とした線輪部７を遊動自在に設けてある。

該線輪部７の外径方向にはフランジ状（環状）の弁体子
３を一体に形成し、該弁体子３には弁ゴム４を冠着して
弁体５を形成している。

該線輪部７は、第２図に示す様に、弁座13の開口部先端
と該線輪部７の中心ｃを結んだ線Ａに対して、弁体押圧
部材６の球面部９の中心ｄが内側にオフセットされてお
り、図のａ点とｂ点は遊動自在に装着された弁体５の最
大首振り時において一致するように設定して、滑らかな
首振り作用を可能にしている。

図中ｅは衝撃復帰用間隙であり、開弁時に該間隙ｅ内を
ステム２が空走し、弁体掛持部８が線輪部７に衝接する
から、弁ゴム４と弁座13の密着部が瞬時に開口する。

第３図はその状態における弁部の要部断面図であり、図
中ｆで示す衝撃遮断用間隙は、閉弁時において弁体５に
対するハンマリング作用を可能にしている。

そして、プランジャばね受け部10とプランジャ駆動部本
体15の間にプランジャばね12を適宜圧縮した状態で装着
してある（第１図）。

上記構造より成る弁部の組立てに際しては、ステム２の
雄螺子11側より環状の弁体子３並びに弁体押圧部材６を
挿入セットし、該弁体押圧部材６をステム２の弁体掛持
部基部14に圧入して、プランジャばね12を介在させた状
態でステム２をプランジャ１に螺挿固定すると共に、弁
体子３に弁ゴム４を冠着することによってなされるが、
従来のような複雑な形状のロックナット24の締め付け作
業がないから作業が楽であると共に、弁ばね25がなく構
造が簡単であるから弁部構造を小型化することが出来
る。

さらに、本考案の弁部構造の構成部品は全てプレス成形
が可能であるから、従来よりも構成部品の原価を安くす
ることが出来る。

〔考案の効果〕

本考案は、上記の如くに、組立工数が減少すると共に構
成部品の原価低減を可能にして採算性を向上させること
が出来る。

また、弁部構造の小型化を可能にしたと共に開弁時の応
答性を高め、さらに弁座に対する密着度を高めたから、
より精度を要求する機器類等に対しての適用が可能とな
った。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の電磁弁の弁部構造を示す縦断面図、 第２図は本考案の弁部構造の要部断面図、 第３図は同じく要部断面図、 第４図は従来の弁部構造を示す縦断面図である。 １…プランジャ、２…ステム、５…弁体、６…弁体押圧
部材、７…線輪部、８…弁体掛持部、９…球面部、12…
プランジャばね、13…弁座。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プランジャ駆動部本体内をスライド可能な
   プランジャの先端にステムを設け、該ステムの先端方
   に、弁体子と弁ゴムとから成る弁体を設け、該プランジ
   ャ駆動部本体に一端を弾接させるプランジャばねを該弁
   体との間において介在させて該弁体を弁座に押圧させる
   電磁弁において、 該ステムの先端に円錐状の弁体掛持部を形成し、該弁体
   掛持部に対向して球面部を有した弁体押圧部材を該ステ
   ムに設け、該弁体押圧部材に前記プランジャばねの他端
   を弾接させ、該球面部に対向して断面円弧状の接触面を
   有した前記弁体子を該球面部と該弁体掛持部との間にお
   いて間隙を存して一定範囲遊動自在に支持させて成るこ
   とを特徴とする電磁弁の弁部構造。