JPH0738015B2 - 磁気抵抗効果素子の評価方法及びそれに使用される装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子の評価方法及びそれに使用される装置

Info

Publication number
JPH0738015B2
JPH0738015B2 JP62110973A JP11097387A JPH0738015B2 JP H0738015 B2 JPH0738015 B2 JP H0738015B2 JP 62110973 A JP62110973 A JP 62110973A JP 11097387 A JP11097387 A JP 11097387A JP H0738015 B2 JPH0738015 B2 JP H0738015B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic field
orthogonal
magnetic
value
resistance value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP62110973A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63275972A (ja
Inventor
祥司 石坂
安司 金田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP62110973A priority Critical patent/JPH0738015B2/ja
Publication of JPS63275972A publication Critical patent/JPS63275972A/ja
Publication of JPH0738015B2 publication Critical patent/JPH0738015B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Hall/Mr Elements (AREA)
  • Testing Of Individual Semiconductor Devices (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、磁気抵抗効果素子(以下、MR素子という)の
評価方法及びそれに使用される評価装置に関する。
〔従来の技術〕
磁気抵抗効果素子は、磁気記録の再生手段として種々の
応用があるが、ここでは近年普及しつつある磁気エンコ
ーダに使用される例について説明する。
磁気エンコーダは、磁気スケールと磁気ヘッドから構成
され、スケールは板状、円盤状又は円筒状の磁気記録媒
体に磁気目盛としてN極、S極を交互に着磁したもので
ある。
磁気ヘッドは、スケールに着磁された目盛を読み取るも
のであり、一般にはMR素子、場合により固定抵抗、増幅
回路、矩形波変換回路などからなる。MR素子は目盛であ
るN極又はS極が近づくと電気抵抗が低下し、磁気ヘッ
ドをスケールに接触させた状態で又は近接した状態で相
対的に移動させると、MR素子の抵抗が目盛に応じて変化
し、そこを流れる電流を一定にした場合、MR素子の両端
間の電圧Vは、V=IRより抵抗Rの変化に応じて変化
し、第4A図に示すような擬似正弦波(以下、原信号とい
う)が得られる。しかし、実際には、この定電流駆動方
式は定電流電源の応答速度が遅いので、定電圧駆動方式
が用いられる。後者の場合には、MR素子と固定抵抗とを
直列に連結する。
原信号の波の数はN極とS極の和に相当するので、原信
号を増幅回路で増幅した後、矩形波変換回路で矩形波信
号に変換し、信号の数を数えれば磁気ヘッドとスケール
との相対的な移動量又はこれと相関々係にある物理量例
えば回転角が知れるのである。
MR素子は、例えば第2図に示すように、非磁性絶縁性基
板21(例えばガラス板)上にNiFe合金やNiCo合金などの
強磁性体材料を蒸着することにより薄膜を形成した後、
ホトリソエッチングにより一本又は複数本の直線状にパ
ターニングして得られ、本質的に直線状のもの22であ
り、複数本の場合には同一材料又は異種の金属材料で電
気的に直列又は並列に連結される。
そして、磁気ヘッドを固定するときには、MR素子の長手
方向が磁気スケールの磁気目盛からの磁場の方向Hに対
して直交するように固定される。
ところで、MR素子から得られる原信号を増幅回路で増幅
した後、矩形波変換回路で矩形波信号に変換した場合、
矩形波のデューテイ比が変動することがあり、この変動
があると、エンコーダの精度が低下する。
矩形波のデューテイ比が変動する原因は、種々考えられ
る。例えば増幅回路、矩形波変換回路、電源、磁気スケ
ール上の信号源、温度変動、電源変動、磁気ヘッドとス
ケールとの間のギャップ変動、磁気ヘッドとスケールと
の相対位置の位置決め不良、MR素子などである。
従って、エンコーダを製造して初めて矩形波のデューテ
イ比の変動が知れる訳で、変動があると磁気ヘッドは不
良品として廃棄される。仮にMR素子に原因があったとし
ても、磁気ヘッド全体が廃棄される訳で商業的に製造す
る場合には、全体の製造コストを高くするという問題点
があった。
そこで、仮にMR素子に原因があるとすれば、MR素子の段
階でこれを評価して不良品を見い出し、これを廃棄する
ことが望ましいのである。
また、出力の増大及び温度補償を目的として、同一基板
上に複数本のMR素子を同時に形成することがあるが、こ
の場合、各素子の磁気特性が揃っていないと、精度向上
の工夫が却って精度低下をもたらすこともある。従っ
て、この場合にもMR素子自身の磁気特性を測定する必要
がある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、これまでMR素子を評価する適当な方法が
なかった。
従って、本発明の目的は、エンコーダの精度を表す1つ
の指標である矩形波のデューテイ比の変動及び矩形波の
回転精度の低下の原因となる因子に関してMR素子を評価
する方法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
MR素子は、ヒステリシスのない優れた磁気特性を得るた
めパターンに起因する形状異方性Ksが最も大きく作用す
るように設計され、他の諸々の磁気異方性Kt(制御し難
い因子……4種以上の因子)が作用し難いように設計さ
れる。つまり、膜厚を厚く、幅を狭く、長さ/幅の比
(アスペクト比)を大きくするように設計される。しか
し、MR素子の感度は、形状異方性(Ks)が小さい方が良
好である。
そのため、一般には、磁気特性と感度の両者の中間をと
って、厚さ300〜1000Å、幅10〜60μm、長さ100〜2mm
のMR素子が多い。このような形状では、通常、KsがKtよ
り一桁位大きいものの、蒸着条件、基板状態、組成など
によりKtがKsの数分の一位までに大きくなり、その方向
もKsと一致しないことがある。この場合には、MR素子全
体としての異方性(Ki)は両者の合成となり、形状異方
性のベクトルをKsとし、他の諸々の磁気異方性のベクト
ルをKtとし、両者の合成ベクトルをKiとすると、三者の
関係は、第13図に示すようになる。
ベクトルKsの方向は、当然にMR素子の長手方向(素子内
部を流れる電流の方向Eに同じ)と一致するが、ベクト
ルKtのために、合成ベクトルKiの方向は、ベクトルKs及
びEに対して角度β1傾斜する。
そして、合成ベクトルKiに対して垂直に磁場(方向H)
を印加したときに初めて、MR素子は第3図の如くヒステ
リシスのない特性を示す。仮に垂直でないと、第6図の
如きヒステリシスを示す。
本発明者らは、この合成ベクトルKiの方向が磁場の方向
Hと直交していないことが、MR素子の“矩形波のデュー
テイ比の変動の原因となる最も大きな因子”であること
を突き止めた。
また、例えば信号強度を向上させ、温度補償を行なうこ
とを目的として、複数本のMR素子を幾何学的に並列に配
置し、電気的に並列又は直列に連結することがある。例
えば、円板状のスケールで磁気目盛が円周に沿って付与
されている場合、一つの目盛(磁区)は扇形を呈するの
で、複数のMR素子も各目盛に合わせて第9図に示すよう
に放射状に配置され、各MR素子の長手方向(電流方向E
と同一方向)が目盛からの磁場の方向Hと直交させるよ
うにしている。
しかしながら、各MR素子のベクトルKtが一致することは
極めて希で、大きさ、方向とも異なり、そのため合成ベ
クトルKiも大きさ、方向が異なることになる。複数本の
MR素子を製作する(一度に全部の素子を製作する)前
に、各素子の合成ベクトルKiを知ることは不可能である
から、結局複数本の素子全部についてKiの方向と磁場の
方向Hとを直交させることは不可能である。
そのため4本の素子を第9図のように配置し、第10図の
ように結線し、そして、第11図のように回路をつないで
磁気ヘッドを完成させると、各素子から得られる信号の
合成となる原信号は、矩形波変換回路Cで矩形波に変換
されるが、その矩形波は第12図に示す如きものとなる。
つまり、4本の素子全部のKiの方向が磁場の方向Hと直
交していない場合は、原信号の波形が正弦波と大きく
異なり、時間と共に変化するという結果を招く。前者
の結果は、矩形波のデューテイ比(l0:l1)が1波長
の中で1:1にならないという問題を生じ、後者の結果
は、矩形波の回転位置精度を大きく変動させる原因とな
る。
従って、結局、Kiの方向が、「磁場の方向Hと直交する
方向Y」に対し、どの程度〔この尺度をここではβ
2(=1/2π−β1)と置く〕外れているかをみれば、MR
素子の評価が可能な訳で、このβ2ができるだけ小さいM
R素子が望ましい。
本発明者らは、このKiの方向を求める方法として、この
方向に磁場方向Hを直交させると理論的にヒステリシ
スがなくなること及び異方性磁界(Hk)の+側の値
(Hk+)と−側の値(Hk-)が一致することに着目し、MR
素子を評価する尺度であるβ2を、一旦MR素子をその長
手方向(電流方向Eに同じ)が磁場方向Hと直交する方
向Yに置いた後、少しずつMR素子を傾けて磁気−抵抗特
性を求める行為を繰り返すことにより、ヒステリシス
が最も少ない位置(方向Z)又は異方性磁界(Hk)の
+側の値(Hk+)と一側の値(Hk-)が一致する位置(方
向Z)を見い出し、この位置ZにおけるMR素子の傾き角
β0とほぼ等しく(β0≒β2)、従ってβ0を以ってMR素
子を評価できることを見い出し、本発明を成すに至っ
た。
よって、本発明は、第一に、β0を求め、β0を以ってMR
素子を評価する評価方法を提供する。
また、本発明は、第二に、この評価方法に使用される次
の2つの評価装置を提供する。
第1の評価装置: (1)磁場発生手段1、 (2)手段1で発生する磁場中に置かれる磁気抵抗効果
素子を、「該素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方向
Hが形成する平面」内で前記素子を回転させる回転手段
2、 (3)該素子を「電流の方向Eと磁場の方向Hが直交す
る直交位置Y」から微小角β回転させたときの回転角β
を測定する回転角測定手段3、 (4)前記素子を前記磁場内で手段2により微小角β回
転させたときの、該素子の磁気−抵抗特性を測定する測
定手段4からなることを特徴とする、磁気抵抗効果素子
の評価装置。
第2の評価装置: (1)磁場発生手段1、 (2)手段1で発生する磁場中に置かれる磁気抵抗効果
素子を、「該素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方向
Hが形成する平面」内で前記素子を少なくとも2π回転
させる回転手段2、 (3)手段2の「ある基準位置X」からの回転角θを測
定する回転角測定手段と兼用された:該素子を「電流の
方向Eと磁場の方向Hが直交する直交位置Y」から微小
角β回転させたときの回転角βを測定する回転角測定手
段3、 (4)前記素子を前記磁場内で手段2により回転させた
ときの該素子の電気抵抗値又はそれと相関関係のあるパ
ラメーターρの変化を測定する測定手段と兼用された磁
気−抵抗特性測定手段4、 (5)前記θが少なくとも2πとなるように前記素子を
回転させたとき、 手段4から得られる抵抗値又はそれと相関関係のある
パラメーターの変化関数をρ(θ)とし、前記素子内
を流れる電流の方向Eと磁場の方向Hとが直交するとき
の前記θの値をθ0とするとき、 に相当する演算を行ないθ0に相当する信号を出力する
演算手段5 からなることを特徴とする、磁気抵抗効果素子の評価装
置。
〔作用〕
本発明では、まずMR素子を「該素子の内部を流れる電流
の方向Eと、該素子に印加した磁場の方向Hとが直交す
るときの直交位置Y」に置く。
この直交位置Yの検知方法(該素子を直交位置Yに位置
決めする方法を含む)は、なかなか困難であり、例えば
次の方法で検知又は位置決めすることが好ましい。
飽和磁場を与えたときには第4A図に示すようにMR素子を
流れる電流の方向Eと、磁場の方向Hとのなす角α(第
4B図参照)によって抵抗値Rが変化する。一般には、第
5図に示す如き電気回路を形成して、定電流電源24から
定電流駆動を行なうとV=IRから抵抗値Rと電圧値Vと
が比例関係になることから、抵抗値Rと相関関係にある
パラメーターとして電圧値V(抵抗値Rの比例関係にあ
る)を採用し、電圧の変化を見ることが多く、抵抗値R
の代わりに電圧値Vとしても第4A図の関係が成立する。
この角度αによる抵抗値又は電圧の変化を示す関数をρ
(α)で表すが、この関数ρ(α)は飽和以上の磁場を
加えたとき第4A図に示すようにsin及びcos曲線に類似の
ものとなる。
そして、第4A図に示すようにMR素子の電流方向Eと磁場
の方向Hが直交する(角度α=1/2π)とき、MR素子の
抵抗は最小となり、平行になる(角度α=0又はπの)
とき、最大となるので、前記関数を見ると、前者と後者
はそれぞれ関数ρ(α)の極値(前者:最小値又は後
者:最大値)の位置に相当する。
そこで、第1の検知方法では、 (1)飽和磁場中にMR素子を置き、 (2)該素子内に電流を流し、 (3)「該素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方向H
が形成する平面」内で前記素子を回転させ、 (4)該素子の電気抵抗値又はそれと相関関係のあるパ
ラメーターρの変化を測定し、 (5)前項(4)の測定値の極値**を示す該素子の「位
置」を求め、 前記「位置」を以って前記電流の方向Eと磁場の方向H
とが直交する直交位置Yとするのである。
なお、ここで極値**としたのは、パラメーターρによっ
ては、直交位置Yで最小にならずに最大になることもあ
り得るからである。
この直交位置Yの検知方法で、MR素子の電気抵抗値又は
それと相関関係(一般には比例関係)にあるパラメータ
ーρが極値を示す「位置」を求める方法には、例えば次
の3通りが考えられる。
第1の方法: 直交する位置Yは、関数ρ(α)で最小値を示すときの
角度αに相当するので、MR素子を回転手段により「ある
基準位置X」からθ角回転させながら、MR素子の抵抗値
R(又はそれと相関関係一般には比例関係のあるパラメ
ーター)を測定していくと、抵抗値Rは第7A図のように
変化し、MR素子が直交位置Yにきたとき、抵抗値Rは最
小になるので、抵抗値Rが最小になったときのθを読み
取り、そのときのθ(=θ0)をもって「位置」とする
(第7B図参照)。
しかし、この第1の方法は、周囲の微妙な温度変化や駆
動電源の変動があると、抵抗値Rが最小になったときの
検知が困難で、測定(位置検出)精度が余り高くない。
第2の方法: MR素子を「ある基準位置X」から少なくとも回転角θ=
2πとなるように前記素子を回転させ、そのとき得ら
れる抵抗値又はそれと相関関係(一般には比例関係)の
あるパラメーターρの変化関数をρ(θ)とし、前記
素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方向Hとが直交す
るときの前記θの値をθ0とするとき、 に相当する演算を行ない、θ0の位置を以って、前記
「位置」とする。
この原理を説明すると次の通りである。
MR素子を飽和磁場の下で「ある基準位置X」から少なく
とも2π回転させ、そのときMR素子の抵抗値Rの変化を
測定する。そのとき抵抗値Rの変化を関数ρ(θ)で表
現すると、 ρ(θ)=ρ+sin2θ+ρcos2θ となる。ただし、ρ+は電流の方向Eと磁場の方向Hと
が直交するときの抵抗値(定数)で、ρ=はEとHが平
行のときの抵抗値(定数)である。この式を変形する
と、 ρ(θ)=1/2(ρ=+ρ+) となる。従って、MR素子を一回転(θ=2π)回転させ
ると、ρ(θ)は第7A図の如く変化する。
ここで、MR素子の電流方向Eと磁場の方向Mとが直交し
たときの回転角θを「θ0」とすると、θ0のときにはρ
(θ)が最小になるから、第7A図のcos波は、正規のcos
波から位相がθ0ずれていることになるので、先のρ
(θ)の式は次のように変形される。
式1:ρ(θ)=Acos2(θ−θ0)+B ただし、A=−1/2(ρ−ρ+) B=1/2(ρ+ρ+) ここで、式1をフーリェ変換すると、 従って、 となり、これを変形すると、 となり、θ0が求まる。
そこで、第2の方法では、抵抗値R(又はそれと比例関
係のあるパラメーター)の変化関数ρ(θ)をθ=0〜
2πまで求め、下記3式: に相当する演算を行なうのである。この演算は、具体的
にはコンピーター(演算手段の一種)に行わせることが
実用的であり、そのような演算を行なうソフトウエアの
入手又は開発は現在では容易である。
この演算手段からの出力は、θ0に相当する信号である
ので、このθ0を具体的にラジアン単位又は度単位又は
無単位で表示してもよく、その場合には別に表示手段が
必要になる。例えば、同一基板上に複数のMR素子が形成
されている場合、素子間の平行度を見るため、個々の素
子について具体的にθ0を求め、各素子間でそれが一致
していれば平行であると判定し、一致しなければ非平行
であると判断することに利用できる。
しかし、演算手段からの出力信号は、具体的に表現する
ことなく、θ0に相当する出力信号をそのまま直交位置
Yの設定処理に利用してもよい。
第3の方法: MR素子を該素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方向H
とがほぼ直交する仮直交位置Y′に置き、次いで仮直交
位置Y′から素子を僅かな回転角θづつ回転させ、その
都度得られる抵抗値又はそれと相関関係(一般には比例
関係)のあるパラメーターρを測定する行為をN回繰り
返し、次いで次の方程式1: を解いて得られたxの値を以って、前記「位置」とす
る。ρ0は比例係数である。
この方法の原理は次の通りである。
第7A図のcos波の磁場に依存する部分は、 ρ(θ)∝cos2(θ−θ0) で表される。
θ−θ0となるところでは、 ρ(θ)∝cos2(θ−θ0) 1−1/2〔2(θ−θ0)〕2 =1−2(θ−θ02 となる。そこで、θ0の値を約±10°以内に見当をつけ
て、ρ(θ)∞1−2(θ−θ02であることを利用す
る。つまり、θ0の近傍で仮直交位置Y′を決め、そこ
から角度を変えて抵抗値又はそれと相関関係のあるパラ
メーターρをN点測定し、各位置におけるρをρ(θ
i)で示し(i=1,2,3……N)とき、 F(x)=Σ{ρ(θi)−ρ0(1−2(θi−
x)2)}2 を最小にするxを求めて、そのx(=θ0)をもって
「位置」とする。
最小値は、 から、 を解くことに帰着する。そこで、この方程式を解析的又
はコンピューターで解いてx(=θ0)を求める。
第4の方法: MR素子を「ある基準位置X」に置き、その位置Xにおけ
る回転角をθ1とし、その位置Xを中心として微小角±
Δθだけ回転させて抵抗値又はそれと相関関係のあるパ
ラメーターρ(θ1±Δθ)を測定し、 ρの極小位置を求めるとき: ρ(θ1+Δθ)>ρ(θ1−Δθ)のときには素子を
位置Xより−Δθだけ回転させ、その位置における回転
角をθ2とし、また、 ρ(θ1+Δθ)<ρ(θ1−Δθ)のときには素子を
位置Xより+Δθだけ回転させ、その位置における回転
角をθ2とし、 ρの極大位置を求めるとき: ρ(θ1+Δθ)>ρ(θ1−Δθ)のときには素子を
位置Xより+Δθだけ回転させ、その位置における回転
角をθ2とし、また、 ρ(θ1+Δθ)<ρ(θ1−Δθ)のときには素子を
位置Xより−Δθだけ回転させ、その位置における回転
角をθ2とし、 その位置(θ2)を中心として微小角±Δθだけ回転さ
せて抵抗値又はそれと相関関係(一般には比例関係)の
あるパラメーターρ(θ2±Δθ)を測定する行為をN
回繰り返し、下記式2: ρ(θN+Δθ)=ρ(θN−Δθ) が成立するθNを求め、このθNの位置を以って、前記
「位置」とする。
とりわけ、第1〜4の方法の中でも、特に第2の方法
が、人為的な読み取り操作が不要で、温度変動や外部ノ
イズに強く、高精度に直交位置Yを検知し得るので好ま
しい。
こうして、直交位置Yが知れると、例えば、第2の方法
では、回転角測定手段がθ0に相当するθを検知するま
で、MR素子を「ある基準位置X」から回転させ、それに
より、MR素子を直交位置Yで停止させる。そして、その
後、所定の微小角±β(例えば±1°)回転させた上で
磁気−抵抗特性を測定する。この測定は、磁場の大きさ
を正負に変化させながらMR素子の抵抗値R又はそれと相
関関係(一般には比例関係)にあるパラメーターρを測
定するものである。そして、第8図に示すように、βを
変えて磁気−抵抗特性を測定し、その特性に第6図の如
きヒステリシスが最小となる位置Zに於けるβを求め、
このときのβの値:β0をもってMR素子の評価指標とす
る。
なお、ヒステリシスが最小となる位置Zに於けるβ
0は、比較的有効数字が小さい低精度であるので、より
高精度でβ0が欲しいときには、異方性磁界(Hk)の+
側の値(Hk+)と−側の値(Hk-)が一致する位置を求
め、これをβ0としてもよい。異方性磁界については、
編者:桜井良文、昭和52年6月30日丸善株式会社発行の
「磁性薄膜工学」第80〜88項を参照されたい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。
〔実施例〕
第1図は、本実施例にかかる「磁気抵抗効果素子の評価
装置」の構成を示す概念図である。
MR素子は、載置台6の上に着脱可能に固定され、しかも
周囲の温度変動を避けるため恒温槽7の内部に置かれ
る。
載置台6は回転軸8の上端に取り付けられ、回転軸8の
途中には回転角測定手段3としてのエンコーダが取りつ
けられ、回転軸8の下端には回転手段2としてのモータ
が取り付けられている。従って、試料としてのMR素子
は、このモータによって回転可能であり、「ある基準位
置X」からの回転角θはエンコーダの出力信号として測
定又は検出される。
エンコーダとモータは、モータードライバー9と電気的
に連結されており、両者は一元的にコントロールされ、
所定のθでMR素子を止めることも、θを0から2πまで
変化させることも可能である。
磁場発生手段1としての一対のコイル(ヘルムホルツコ
イル)は、発生する磁場中にMR素子が介在するように配
置され、コイルに流す電流の供給源であるコイル用電流
源10と連結されており、ここからコイルに電流を供給す
ることにより磁場の大きさ及び向きをコントロールでき
る。外にソレノイドコイル、電磁石、超伝導磁石なども
利用できる。
載置台6に載せられたMR素子は、両端にリード線が接続
され、これは抵抗測定手段4としての抵抗計に導かれ、
抵抗値Rが測定される。実際には、例えば第5図の如き
回路を組んで抵抗変化を電圧変化に置き換え、電圧変化
を測定する電圧計を用いることが好ましい。
一方、恒温槽7は温度コントローラー11によって制御さ
れており、一般には20℃に保持される。
そして、演算手段5としてコンピュータがあり、これは
抵抗測定手段4としての抵抗計、モータードライバー
9、コイル用電流源10、温度コントローラー11と電気的
に連結されている。
そして、まず、コンピュータ5が温度コントローラー11
に指令を出して所定の温度に恒温槽7を設定し、次にコ
イル用電流源10に指令を出して、コイル1に所定の大き
さと向きの電流を流して、所定方向の磁場(H)を発生
させ、次にモータードライバー9に指令を出して、モー
タ2を回転させ、かつエンコーダ3で監視してMR素子を
「ある基準位置X」から少なくとも2π回転させ、その
とき抵抗計4から出力される抵抗値の変化ρ(θ)をコ
ンピュータ5が受信すると、コンピュータ5は下記の3
式: に相当する演算を行ない、コンピュータ5はθ0に相当
する信号を出力する。
この出力は表示手段12に入力され、具体的な角度θ0
ラジアン単位又は度単位又はその他の単位又は無単位で
表示する。
それと同時にコンピュータ5はモータードライバー9に
指令を出して、モータ2を「ある基準位置X」から回転
させ、かつエンコーダ3で監視してMR素子がθ0回転さ
せたところで回転を止める。この位置が直交位置Yであ
る。
すると、次にコンピュータ5はモータードライバー9に
指令を出して、モータ2を回転させ、かつエンコーダ3
で監視してMR素子を直交位置Yから微小角β(例えば1
°)だけ回転させて止める。
その上でコンピュータ5は、コイル用電流源10に指令を
出して磁場(H)の大きさを正負に変化させ、同時に抵
抗計4に駆動を命じて、磁気−抵抗特性を測定する。こ
の結果は、特性グラフとして、図示していないプリンタ
ーによって出力される。
この一連の動作は、例えばβ=+1°,−1°,+2
°,−2°,+3°,−3°,+4°,−4°……と続
けられ、その結果、多数の特性グラフが得られる。
そこで、このグラフを見て測定者がヒステリシスが最小
となるときのβの値を抽出**し、このβの値を評価指標
β0とする。尚、この抽出**及びβ0の算出をコンピュー
タに実行させてもよい。
以上の実施例では、1本のMR素子を想定して説明した
が、実際には同一基板上に形成された複数本のMR素子に
ついて、各β0を測定し、各β0が一致又はほぼ一致した
ときに、この基板上のMR素子全体を合格にするのであ
る。
〔発明の効果〕
以上の通り、本発明によれば、MR素子の適正な評価、特
に同一基板上に形成された複数本のMR素子の評価が初め
て可能になったので、磁気ヘッド及びエンコーダに組み
立てることなく、MR素子の製造段階でMR素子を評価で
き、従って、磁気ヘッド及びエンコーダの量産の際に検
査コストが大幅に軽減される外、磁気ヘッド及びエンコ
ーダの良品率が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例にかかる位置検出装置の構成
を示す概念図である。 第2図は、MR素子の一例を示す概略斜視図である。 第3図は、磁場の大きさとMR素子の抵抗値Rとの関係を
示すグラフ(ヒステリシスのない場合)である。 第4A図は、MR素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方
向Hとのなす角αと該素子の抵抗値Rとの関係を示す
関数ρ(α)のグラフである。 第4B図は、MR素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方向
Hとのなす角αを説明する説明図である。 第5図は、抵抗値Rをそれと比例関係にある電圧値Vに
変換するための回路の一例を示す回路図である。 第6図は、磁場の大きさとMR素子の抵抗値Rとの関係を
示すグラフ(ヒステリシスのある場合)である。 第7A図は、MR素子を「ある基準位置X」からθ回転させ
たときの、MR素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方
向Hとのなす角θと該素子の抵抗値Rとの関係を示す
関数ρ(θ)のグラフである。 第7B図は、MR素子を「ある基準位置X」からθ回転させ
たときの、MR素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方
向Hとのなす角θ、EとHとが直交する位置Y、及び
MR素子が位置Yにあるときのθの値θ0を説明する説
明図である。 第8図は、MR素子を直交位置Yから微小角β回転させた
ときと、ヒステリシスを示さない位置Zにおける回転角
β0との関係を説明する説明図である。 第9図は、複数本のMR素子を同一基板上に形成した磁気
ヘッドの主要部分の概略平面図である。 第10図は、第9図のMR素子の配線説明図である。 第11図は、第9図の磁気ヘッドの回路配線説明図であ
る。 第12図は、原信号と矩形波との関係を示す波形図であ
る。 第13図は、各ベクトルの関係を説明する説明図である。 〔主要部分の符号の説明〕 1……磁場発生手段又はその一例としてのコイル 2……回転手段又はその一例としてのモータ 3……回転角測定手段又はその一例としてのエンコーダ 4……抵抗測定手段又はその一例としての抵抗計 5……演算手段 6……MR素子載置台 7……恒温槽 8……回転軸 9……モータードライバー 10……コイル用電流源 11……温度コントローラー 12……表示手段 21……基板 22……取出し電極 23……MR素子 E……MR素子内を流れる電流の方向(MR素子の長手方向
に同じ) H……磁場の方向 Y……電流方向Eと磁場方向Hが直交する位置 Z……ヒステリシスが最小となるときの電流方向Eの位

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)磁場中に磁気抵抗効果素子を置き、 (2)該素子内に電流を流し、 (3)該素子を該素子内を流れる電流の方向Eと磁場の
    方向Hが直交する直交位置におき、 (4)該素子を、電流の方向Eと磁場の方向Hが形成す
    る平面内で前記直交位置から微小角β回転させた後、磁
    気−抵抗特性を測定し、 (5)飽和磁場の下で前記磁気抵抗効果素子を「ある基
    準位置X」から少なくとも回転θ=2πとなるように前
    記素子を回転させ、そのとき得られる抵抗値又はそれ
    と相関関係のあるパラメーターρの変化関数をρ(θ)
    とし、前記素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方向
    Hとが直交するときの前記θの値をθ0とするとき、 に相当する演算を行い、θ0の位置を以て直交位置と
    し、 前記θ0の値を以て磁気抵抗効果素子の特性評価するこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果素子の評価方法。
  2. 【請求項2】磁場発生手段1、 手段1で発生する磁場中に置かれる磁気抵抗効果素子
    を、「該素子内を流れる電流の方向Eと磁場の方向Hが
    形成する平面」内で前記素子を少なくとも2π回転させ
    る回転手段2、 手段2の「ある基準位置X」からの回転角θを測定する
    回転角測定手段と兼用された:該素子を「電流の方向E
    と磁場の方向Hが直交する直交位置」から微小角回転さ
    せたときの回転角βを測定する回転角測定手段3、 前記素子を前記磁場内で手段2により回転させたときの
    該素子の電気抵抗値又はそれと相関関係のあるパラメー
    ターρの変化を測定する測定手段と兼用された磁気−抵
    抗特性測定手段4、 前記θが少なくとも2πとなるように前記素子を回転さ
    せたとき、 手段4から得られる抵抗値又はそれと相関関係のある
    パラメーターの変化関数をρ(θ)とし、前記素子内
    を流れる電流の方向Eと磁場の方向Hとが直交するとき
    の前記θの値をθ0とするとき、 に相当する演算を行いθ0に相当する信号を出力する演
    算手段5からなることを特徴とする、磁気抵抗効果素子
    の評価装置。
JP62110973A 1987-05-07 1987-05-07 磁気抵抗効果素子の評価方法及びそれに使用される装置 Expired - Fee Related JPH0738015B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62110973A JPH0738015B2 (ja) 1987-05-07 1987-05-07 磁気抵抗効果素子の評価方法及びそれに使用される装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62110973A JPH0738015B2 (ja) 1987-05-07 1987-05-07 磁気抵抗効果素子の評価方法及びそれに使用される装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63275972A JPS63275972A (ja) 1988-11-14
JPH0738015B2 true JPH0738015B2 (ja) 1995-04-26

Family

ID=14549186

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62110973A Expired - Fee Related JPH0738015B2 (ja) 1987-05-07 1987-05-07 磁気抵抗効果素子の評価方法及びそれに使用される装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0738015B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10036140C1 (de) * 2000-07-25 2001-12-20 Infineon Technologies Ag Verfahren und Anordnung zum zerstörungsfreien Auslesen von Speicherzellen eines MRAM-Speichers
JP6948182B2 (ja) * 2017-08-04 2021-10-13 株式会社アドバンテスト 磁気センサ試験装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57190278A (en) * 1981-05-20 1982-11-22 Canon Inc Method and apparatus for measuring magnetic anisotropy

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
「実験物理学講座17磁気」pp.401−417共立出版昭和43年6月1日発行

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63275972A (ja) 1988-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS601514A (ja) 変位量検出器
JPS61258161A (ja) 無接触検知方法及び検知器
JPH10221114A (ja) 検出装置
JPH11304414A (ja) 磁気検出装置
US2903645A (en) Magnetic thickness gauge
JPH0738015B2 (ja) 磁気抵抗効果素子の評価方法及びそれに使用される装置
JP4418986B2 (ja) 磁界検出素子およびこれを利用した磁界検出方法
RU2279737C1 (ru) Магниторезистивный датчик
JPH0720218A (ja) 磁気センサ
US9679549B2 (en) Precision solid state position transducer using magnetic fields, method for detecting the position of a spot on an elongate member, and musical instrument
US3387377A (en) Magnetometer utilizing a magnetic core rotated within a stationary coil perpendicular to the coil axis
US4683535A (en) Thin film magnetometer
USH585H (en) Anisotropic magnetoresistance measurement apparatus and method thereof
JPH0734033B2 (ja) 磁気抵抗効果素子の直交位置検知方法及びそれに使用される装置
US3534254A (en) Method for measuring the magnetoelastic coefficient and difference in anisotropy field in ferromagnetic material
Groenland et al. Measurement system for two-dimensional magnetic field distributions, applied to the investigation of recording head fields
Miller A Recording Torque Magnetometer
JPH09197030A (ja) 磁気センサの出力特性計測装置、および磁気センサの出力特性調整方法
TWI705262B (zh) 磁場感測裝置
JPS62106382A (ja) 磁性薄膜の磁歪定数測定装置
Claassen et al. A simple system to measure magnetostriction in soft magnetic materials
RU2238572C2 (ru) Приставной ферромагнитный коэрцитиметр
RU2312429C1 (ru) Магниторезистивный датчик
JP2630008B2 (ja) 磁気抵抗素子測定装置
JP3353589B2 (ja) 磁気ヘッドの検査方法及びその装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees