JPH0735003U - 木材等の回転加工機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 刃物台に位置決部材を取替え可能に設けて精
度のよい良好な切削加工を安全に行うと共に、機体の小
型化を図ることのできる木材等の回転加工機を提供す
る。 【構成】 機台２上に支架した回転軸４にチャック部３
を設けると共に、支柱１３に支持させた刃物台５を上記
チャック部３に対して遠近移動調節可能に設けた回転加
工機において、上記刃物台５の前縁に木片或いはプラス
チック材からなる位置決部材１６を取替え可能に設置
し、刃物台５を前記支柱１３に取付軸１５，９を介して
上下及び旋回調節可能に取り付けている。また、刃物台
５に平面視で広巾面がチャック部３側となる三角形状
で、且つ側面視でチャック部３側に高くなるように傾斜
させた受面５ａと、該受面５ａの広巾な上端部に刃物Ｋ
を載置する載面５ｂとを形成し、載面５ｂに位置決部材
１６を取り付けて構成している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は木材等のワークを回転させ刃物等を押接して加工する回転加工機の刃 物台に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、木材等のワークを回転軸のチャックに把持して回転させ木皿、茶托、椀 等の加工品を切削或いは研摩、又は着色等の加工を行う回転加工機は地上設置型 の木工用旋盤が広く用いられ、この木工用旋盤で刃物を載置してワークを加工す る刃物台は、チャックの下方に敷設される木製台板上において、摺動移動させる 枕形状の木片で行われている。 然し、この枕木状の刃物台を移動する方式は機体全体が大型化すること、及び 刃物台が切削加工中に不測に動いて不安定であることから、本願出願人は刃物台 を金属製の小型化に構成すると共に、該刃物台をチャックに対し遠近移動調節可 能とした支柱に支持させる小型の木工用旋盤の製作を試みた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

この結果、上記刃物台はチャックに対し適正な位置と高さに安定よく設置でき て使用し易くなり、また機体の小型化が可能となり卓上型の木工用旋盤に具合よ く構成し得た。然しその反面以下の問題点を把握することができた。 即ち、金属製の刃物台上に把持した刃物の首部を直接的に載置して刃先を回転 中のワークに接当させると、該刃物はワークの回転力及び切削抵抗を受けて刃物 台との間で反発振動し、騒音を発したり手に微小な振動を伝えて使用し難いこと 、及び刃物は金属の載面で滑り易く精度のよい加工に熟練が求められる。また該 載面に傷がつくとその修正が困難で刃物台全体の交換を要する問題がある。 そこで本考案は上記従来の欠点並びに金属製の刃物台の問題点を解決して、機 体の小型化を図りながら使用し易く、且つ精度のよい良好な切削加工を行うこと のできる木材等の回転加工機を提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するための本考案による木材等の回転加工機は、機台２上に支 架した回転軸４にチャック部３を設けると共に、支柱１３に支持させた刃物台５ を上記チャック部３に対して遠近移動調節可能に設けた回転加工機において、上 記刃物台５の前縁に木片或いはプラスチック材からなる位置決部材１６を取替え 可能に設置し、刃物台５を前記支柱１３に取付軸１５，９を介して上下及び旋回 調節可能に取り付けている。 また、上記刃物台５に平面視で広巾面がチャック部３側となる三角形状で、且 つ側面視でチャック部３側に高くなるように傾斜させた受面５ａと、該受面５ａ の広巾な上端部に刃物Ｋを載置する載面５ｂとを形成し、載面５ｂに位置決部材 １６を取り付けるようにするとよい。

【０００５】

【作用】

以上の構成により、刃物Ｋを支受する位置決部材１６は、ワークＷの切削時に 生ずる刃物Ｋの振動を具合よく吸収すると共に、刃物Ｋを滑り過ぎのない状態で 所望位置に位置決めでき、精度のよい切削加工を能率よく安全に行うことができ る。 また位置決部材１６は交換が簡単であり、交換された位置決部材１６の高さに 応じて、刃物台５は加工適正位置の高さに簡単且つ自在に変えることができるの で、常に良好な作業を容易且つ安全に行うことができる。

【００１４】 そして刃物Ｋを把持した手は位置決部材１６に刃物Ｋを載せた状態で、平面視 三角形状で且つ側面視でチャック部３側に高くなるように斜設した受面５ａ上に 、回転するチャック部３から遠ざかる方向で安定よく支持でき、安定よく安全な 切削作業を行ことができるように作用する。 さらに上記刃物台５を支持する支柱１３は、機台２上でチャック部３に対し前 後方向に遠近移動調節できるから、様々なワークＷの大きさや形状に対し所望の 作業姿勢に具合よく設定できる。

【０００６】

【実施例】

本考案の一実施例を図面に基づき説明する。図１，図２において回転加工機（ 木工旋盤）１は偏平な機台２の左側にチャック部３を備えた回転軸４を設け、こ れに対向する他側には加工空間６を隔てて刃物台５、及びセンター押装置７を一 体的に構成して卓上に載置可能に小型化している。 上記回転軸４はアングル部材を前後に枠組みした機台２に立設する箱枠８の天 板上で軸受４ａにより軸架され、軸端に設けたプーリー４ｂとモータ９のプーリ ー９ａ間にベルト９ｂを張架して回動するようにしている。

【０００７】 チャック部３の構成は図３〜５に示すように、前記回転軸４に取付ネジ４ｃで 固定されるチャック本体１０端部内に錐形台状の取付孔１０ａを形成し、該取付 孔１０ａ内に木材又はプラスチック材料からなる補助チャック１１と、ワークＷ を挟持状に締め付け把持可能なコレットチャック１２とを挿脱交換可能に装着す るようにしている。 即ち補助チャック１１は図４に示すように、その取付部１１ａを前記チャック 本体１０の取付孔１０ａに合致して接合装着される円錐台状に形成すると共に、 他端の加工側端面にワークＷの取着面１１ｂを形成している。この取着面１１ｂ にはワークＷの外径を嵌合係止する係合孔１１ｃ、或いはこれを差し込み係止す る係合針１１ｄを植設している。

【０００８】 またコレットチャック１２は、円柱状（棒状）のワークＷが嵌挿可能な口径の 取付孔２０ａとしたチャック筒２０と、該チャック筒２０の頭部２１に形成され る締付面２２に外嵌するブッシュ２３とで構成している。 上記チャック筒２０の端部には鍔状の接合面２４を形成すると共に、他端部に 向けて割溝２５を複数条（実施例では円周方向に６等分してある）穿設し、円錐 状に傾斜した傾斜締付面２２を有する頭部２１を形成している。 またチャック筒２０の上記割溝２５の基部近傍の肉厚は、頭部２１近傍のそれ より薄肉部２５ｂとすると共に、割溝２５基部には該割溝２５の巾より大きな切 欠孔２５ａを形成して、各頭部２１を軽い力で的確且つ均等に撓ませてワークＷ の把持を良好に行うと共に、大径なワークＷを把持可能なチャック筒２０の製作 を容易にしている。

【０００９】 そして既述の補助チャック１１を除去した状態のチャック本体１０の取付孔１ ０ａ内に、チャック筒２０の端部に形成した鍔状の接合面２４を挿入接当させる と共に、前記ブッシュ２３はその内部に形成した締付面２３ａを頭部２１の締付 面２２に嵌合させて、雌ネジ部２３ｂをチャック本体１０の外周端に形成した雄 ネジ（ネジ部）１０ｂに螺合させている。 それ故コレットチャック１２の取付孔２０ａ内に挿入されたワークＷは、ブッ シュ２３が締め付け方向へ回動されて図５矢印の締め付け方向に移動することに より、ブッシュ２３の締付面２３ａがチャック筒２０の締付面２２を傾斜面に沿 って軸芯方向に押圧するので、各頭部２１で均等且つ強固にその径に適応させて 的確に把持することができる。

【００１０】 従って図４に示す補助チャック１１に装着した皿状のワークＷは、裏面の円柱 突起部を切削成形した後に、補助チャック１１が取り外されて装着されるコレッ トチャック１２に、前記ワークＷの円柱突起部が図５に示すように把持されるこ とにより、的確且つ強固に把持することができて、精度のよい切削加工等を安全 且つ能率よく行うことができる。 尚、実施例において補助チャック１１を用いる場合には、雄ネジ１０ｂにカバ ーブッシュ１０ｃを螺合させることにより、その露出を防止して安全を図ること が簡単にできる。

【００１１】 次に刃物Ｋを載せてワークＷを加工する刃物台５の構成について説明する。こ の刃物台５の下面にはパイプ状の支柱１３にガタツキなく挿入される取付軸１５ が設けられ、該取付軸１５の中間部には下方を小径としたテーパー面１５ａが形 成され、このテーパー面１５ａを支柱１３に螺合した調節ネジ１３ａで締緩する ことにより、上記刃物台５の上下高さ並びに軸芯回動方向の取付け姿勢を任意且 つ簡単に変更し、加工に適した作業を適切に行うようにしている。

【００１２】 そして刃物台５の形状は、刃物Ｋを把持した手を載せる受面５ａを平面視で三 角形状に形成し、且つ側面視で加工空間６側に高くなるように傾斜させて切削作 業を行い易くしている。また該受面５ａの上端には刃物Ｋを受け止めて接当移動 させる載面５ｂを水平な平坦面状に形成し、これに連なる側端面５ｃを垂直面に 形成している。 この実施例（図３）において、鉄部材で構成される上記載面５ｂには位置決部 材１６が両面テープ又は接着剤等で取替え可能に貼着している。

【００１３】 上記位置決部材１６は欅，樫，ほうの木等の木材、或いは適当な硬さで振動吸 収性のあるプラスチック材を、所定巾の適宜な厚さに板状或いは枕状に形成する ことにより、位置決部材１６で支持される刃物Ｋが、回転するワークＷを切削す る際に生ずる振動を具合よく吸収すると共に、刃物Ｋの滑り過ぎのない状態で所 望位置に良好に位置決めできて、精度のよい切削加工を能率よく安全に行うこと を可能としている。 また位置決部材１６はその磨滅時における交換、或いはワークＷの加工上から 新品なもの、又はその高さの異なるものを用いたい場合に、上記構成した刃物台 ５は取付軸１５及び取付ネジ１３ａ等の調節により、加工位置の高さを簡単且つ 自在に変えることができ、刃物ＫをワークＷの回転中心近傍の適正位置に臨ませ て常に良好な作業を容易且つ安全に行うことを可能としている。

【００１４】 さらに上記刃物台５を支持する支柱１３は、機台２上に横設したガイドレール １７にスライド可能に係合する取付台１８に固着した取付軸１９に嵌挿し調節ネ ジ１３ｂで固定することにより、刃物台５を高さ調整自在で且つ着脱可能にして いる。また取付台１８に設けた調節ネジ１８ａの操作で刃物台５を前後方向に移 動調節できるように構成し、様々なワークＷの大きさや形状に対して所望の作業 姿勢に設定できる。 上記ガイドレール１７はそのレールベース１７ａと挟持板１７ｂでアングル状 の機台２を挟み調節ネジ１７ｃにより緊緩可能に締着し、刃物台５がチャック部 ３に対し左右に遠近調節できるようにしている。

【００１５】 また機台２の右端には取付ネジ７ａによりセンター押装置７の機台７ｂを着脱 可能に固定している。この機台７ｂには上部にネジ付きホルダ７１を備えた支柱 ７０が立設され、該ホルダ７１にはハンドル７２付きのネジ杆７３を螺挿し、ネ ジ杆７３の前端に遊動回転可能なワーク押接支持用のセンタ７４を設けている。 また上記ホルダ７１はその取付軸７１ａを支柱７０内に嵌挿して、取付ネジ７０ ａにより上下高さを調節可能に構成されている。 これによりチャック部３に取り付けられたワークＷの中心部を適正に押圧支持 して、棒柱形状の長もののワークＷの加工を容易に可能としている。さらに上記 センター押装置７は機台２に着脱可能であり便利に使用できる。 ３０はモータ９用の正逆回転切換用の回転スイツチであり、３１はその電源ス イツチである。３２は機台２，７ｂに夫々設けた運搬用の把手である。

【００１６】 次に上記構成した実施例の使用態様、並びに動作について、図４の点線に示す 皿状のワークＷを切削加工する場合について説明する。 先ず刃物台５を図示の作業勝手側に設置し、加工を要するワークＷをチャック 本体１０に装着した補助チャック１１の取着面１１ｂに嵌合させて取り付け、回 転スイツチ３０をモータ９が左回転をするように操作し、回転軸４と共にワーク Ｗを左回転させる。

【００１７】 この状態において鑿或いは穴削り刃等の刃物Ｋを握った手を刃物台５上に支持 させながら、刃物Ｋの首部を載面５ｂに設けた位置決部材１６上に安定載置して 、その刃先をワークＷの加工形状に合わせて前後左右或いは上下に押動させて所 望の製品形状に切削加工を行う。 上記ワークＷの裏面加工を完了した後は、補助チャック１１を取り外しコレッ トチャック１２をチャック本体１０に装着し、該コレットチャック１２に前記ワ ークＷの裏面に形成した円柱部を把持させ表面の加工を前述と同様に行う。

【００１８】 このとき刃物Ｋを支受する位置決部材１６は、回転するワークＷを切削する際 に生ずる刃物Ｋの振動を具合よく吸収すると共に、手で握り操作される刃物Ｋを 滑り過ぎのない状態で所望位置に良好に位置決めできるので、精度のよい切削加 工を能率よく安全に行うことができる。 また位置決部材１６はその交換が簡単であり、また位置決部材１６の高さによ って、刃物台５は加工位置の高さを簡単且つ自在に変えることができるので、刃 物ＫをワークＷの回転中心近傍の適正位置に臨ませて常に良好な作業を容易且つ 安全に行うことができる。

【００１９】 本考案第２実施例の刃物台５を図６において説明する。この実施例では載面５ ｂを形成する受部材５０は、受面５ａを形成した本体の先端部に取付ネジ５１に より着脱可能で且つ反転可能に取り付けられると共に、受部材５０の一側面に凹 溝５３を刻設し、該凹溝５３に嵌合止着されるように形成した位置決部材１６を 着脱交換可能に挿入している。 従ってこの実施例によれば、位置決部材１６の磨滅時における交換が容易にな ると共に、受部材５０を同図（Ａ）の状態から逆向きに反転させて取り付けるこ とにより、滑動し易い金属表面の受面５ａに刃物Ｋを滑りよく載置させて、荒削 りの際に能率よく便利に使用することを可能としている。

【００２０】 次に図７に示す第３実施例について説明する。この刃物台５は載面５ｂ部分先 端に段部５４を形成し、該段部５４に適宜な形状と大きさに形成した位置決部材 １６を取付ネジ５５により着脱可能に取着するように構成している。 これによれば点線で示すように、受面５ａより広巾な受部材に形成した位置決 部材１６ａ等が簡単に装着できるので、ワークＷの内部を筒状に加工する場合等 において、刃物台５本体を取替えて変更することなく、上記位置決部材１６ａ端 をその内部に挿入接近させることができて、精度のよい穴加工を安全で能率よく 且つ廉価に遂行できる利点がある。

【００２１】

【考案の効果】

以上のように構成される本考案によれば、以下のような技術的効果を奏するも のである。 刃物を支受する位置決部材は、回転するワークを切削する際に生ずる刃物の振 動を具合よく吸収すると共に、手で握り操作される刃物を滑り過ぎのない状態で 所望位置に良好に位置決めできるので、精度のよい切削加工を能率よく安全に行 うことができる。 また位置決部材は取替え可能に取着されるので、この損耗時に刃物台はそのま まに維持した状態で位置決部材のみを交換することができ、直ちに元の作業姿勢 に復帰できて便利であると共に加工作業を廉価に能率よく遂行できる。

【００２２】 さらに、高さや巾等大きさ或いは形状の異なる位置決部材を簡単に取り付ける ことができて、種々の加工作業を多様に行うことが容易となり、またこの位置決 部材の高さ姿勢を取付軸の調節により最適位置に簡単に調節できて、精度のよい 作業を安全に行うことができる。 また上記の刃物台は簡潔な構成で廉価に製作できるので、個人が趣味で行う木 工品製作用の卓上型旋盤用の刃物台として最適化できる特徴がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例に係わるチャック部を備えた回転
装置の側面図。

【図２】図１の平面図。

【図３】チャック部の分解斜視図。

【図４】チャック本体に補助チャックを取り付けた断面
図。

【図５】チャック本体にコレットチャックを取り付けた
断面図。

【図６】刃物台の第２実施例を示し、（Ａ）は刃物台の
分解斜視図。（Ｂ）は受部材を反転可能に取り付ける状
態を示す断面図。

【図７】刃物台の第３実施例を示す分解斜視図。

【符号の説明】

２ 機台 ３ チャック部 ４ 回転軸 ５ 刃物台 ５ａ 受面 ５ｂ 載面 １３ 支柱 １５，９ 取付軸 １６ 位置決部材 Ｋ 刃物

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機台（２）上に支架した回転軸（４）に
   チャック部（３）を設けると共に、支柱（１３）に支持
   させた刃物台（５）を上記チャック部（３）に対して遠
   近移動調節可能に設けた回転加工機において、上記刃物
   台（５）の前縁に木片或いはプラスチック材からなる位
   置決部材（１６）を取替え可能に設置し、刃物台（５）
   を前記支柱（１３）に取付軸（１５），（９）を介して
   上下及び旋回調節可能に取り付けたことを特徴とする木
   材等の回転加工機。
2. 【請求項２】 刃物台（５）に平面視で広巾面がチャッ
   ク部（３）側となる三角形状で、且つ側面視でチャック
   部（３）側に高くなるように傾斜させた受面（５ａ）
   と、該受面（５ａ）の広巾な上端部に刃物（Ｋ）を載置
   する載面（５ｂ）とを形成し、載面（５ｂ）に位置決部
   材（１６）を取り付けた請求項１記載の木材等の回転加
   工機。