JPH07335025A - 誘電体磁器材料および誘電体共振器 - Google Patents
誘電体磁器材料および誘電体共振器Info
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- JPH07335025A JPH07335025A JP6126177A JP12617794A JPH07335025A JP H07335025 A JPH07335025 A JP H07335025A JP 6126177 A JP6126177 A JP 6126177A JP 12617794 A JP12617794 A JP 12617794A JP H07335025 A JPH07335025 A JP H07335025A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、マイクロ波領域における無負荷の
Ｑ値が高く、そのバラツキを小さく、比誘電率（εｒ）
を安定化し、共振器における共振周波数の温度係数（τ
ｆ）が小さく、かつ所望の値に精度よく設定することが
容易で安定な誘電体磁器材料、およびこの誘電体磁器材
料を用いた誘電体磁器材料および誘電体共振器を提供す
ることを目的とする。 【構成】 本発明の誘電体磁器材料は一般式Ｂａ｛Ｚｎ
1/3（ＮｂxＴａ(1-x)）2/3｝Ｏ3（ただし０＜ｘ＜１）
で表わされる基本組成物に対して、添加物成分としてＣ
ｏ3Ｏ4換算で０．０１〜０．０８重量％のＣｏを添加し
たことを特徴とする。また誘電体磁器材料から形成され
たことを特徴とする誘電体共振器である。
Ｑ値が高く、そのバラツキを小さく、比誘電率（εｒ）
を安定化し、共振器における共振周波数の温度係数（τ
ｆ）が小さく、かつ所望の値に精度よく設定することが
容易で安定な誘電体磁器材料、およびこの誘電体磁器材
料を用いた誘電体磁器材料および誘電体共振器を提供す
ることを目的とする。 【構成】 本発明の誘電体磁器材料は一般式Ｂａ｛Ｚｎ
1/3（ＮｂxＴａ(1-x)）2/3｝Ｏ3（ただし０＜ｘ＜１）
で表わされる基本組成物に対して、添加物成分としてＣ
ｏ3Ｏ4換算で０．０１〜０．０８重量％のＣｏを添加し
たことを特徴とする。また誘電体磁器材料から形成され
たことを特徴とする誘電体共振器である。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、誘電体共振器等の材料
として利用される誘電体磁器材料および誘電体共振器に
関するものである。
として利用される誘電体磁器材料および誘電体共振器に
関するものである。
【０００２】
【従来の技術】近年、波長が数センチメートル以下のマ
イクロ波やミリ波（以下これらをマイクロ波と総称す
る）の高周波領域において、誘電体磁器材料は、誘電体
共振器や高周波集積回路基板等に広く利用されてきてい
る。ところで、この種の誘電体磁器材料においては、
ａ）比誘電率（εｒ）が大きく、かつ安定しているこ
と。ｂ）無負荷Ｑ値（Ｑｕ）が高く、かつバラツキが小
さいこと。ｃ）共振周波数の温度係数（τｆ）が小さ
く、かつ所望の値を精度よく設定することが容易である
ことが要望されており、この条件を満たす誘電体磁器材
料として、従来から複合ペロブスカイト型構造（Ａ（Ｂ
1/3Ｂ′2/3）Ｏ3にて示される）を有する酸化物が広く
検討されている。
イクロ波やミリ波（以下これらをマイクロ波と総称す
る）の高周波領域において、誘電体磁器材料は、誘電体
共振器や高周波集積回路基板等に広く利用されてきてい
る。ところで、この種の誘電体磁器材料においては、
ａ）比誘電率（εｒ）が大きく、かつ安定しているこ
と。ｂ）無負荷Ｑ値（Ｑｕ）が高く、かつバラツキが小
さいこと。ｃ）共振周波数の温度係数（τｆ）が小さ
く、かつ所望の値を精度よく設定することが容易である
ことが要望されており、この条件を満たす誘電体磁器材
料として、従来から複合ペロブスカイト型構造（Ａ（Ｂ
1/3Ｂ′2/3）Ｏ3にて示される）を有する酸化物が広く
検討されている。
【０００３】例えば、特公平２−５３８８４号公報にお
いては、一般式（１−ｘ）Ｂａ（Ｚｎ1/3Ｔａ2/3）Ｏ3
−ｘＢａ（Ｃｏ1/3Ｎｂ2/3）Ｏ3と表わされたとき、そ
の成分組成がモル分率で０＜ｘ＜１の範囲内にあり、特
性として比誘電率（εｒ）が３１〜３３、無負荷（Ｑ
ｕ）が９４２０〜１００５０、共振周波数（τｆ）が−
０．２〜−１０．８ｐｐｍ／℃の特性値を得る誘電体磁
器組成物が開示されている。この組成物からなる誘電体
磁器材料は、誘電体共振器として帯域通過フイルターや
局部発振器として組み込まれ、９００ＭＨｚ〜１．５Ｇ
Ｈｚ帯の自動車電話、携帯電話等においてはその小型化
に貢献し、さらに１．２ＧＨｚ〜１２ＧＨｚ帯のＧＰＳ
や衛星放送・衛星通信の周波数コンバータの温度安定化
等に貢献している。
いては、一般式（１−ｘ）Ｂａ（Ｚｎ1/3Ｔａ2/3）Ｏ3
−ｘＢａ（Ｃｏ1/3Ｎｂ2/3）Ｏ3と表わされたとき、そ
の成分組成がモル分率で０＜ｘ＜１の範囲内にあり、特
性として比誘電率（εｒ）が３１〜３３、無負荷（Ｑ
ｕ）が９４２０〜１００５０、共振周波数（τｆ）が−
０．２〜−１０．８ｐｐｍ／℃の特性値を得る誘電体磁
器組成物が開示されている。この組成物からなる誘電体
磁器材料は、誘電体共振器として帯域通過フイルターや
局部発振器として組み込まれ、９００ＭＨｚ〜１．５Ｇ
Ｈｚ帯の自動車電話、携帯電話等においてはその小型化
に貢献し、さらに１．２ＧＨｚ〜１２ＧＨｚ帯のＧＰＳ
や衛星放送・衛星通信の周波数コンバータの温度安定化
等に貢献している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】ところで最近の通信分
野、とくに移動体通信分野においては、利用周波数がマ
イクロ波帯の高周波化となるのに伴い送・受信電力の高
出力化が図られている。しかし、従来の誘電体磁器材料
で作られたフイルターは発熱のためこの領域での使用が
制限され、より低誘電損失の材料、いいかえるなら無負
荷Ｑ値（Ｑ＝１／ｔａｎδ）が高い材料であって、しか
もそのバラツキの小さな安定した材料が望まれている。
また誘電体共振器の高周波領域での応用面の研究も活発
になってきており、無負荷Ｑ値が高く共振周波数の温度
係数（τｆ）が小さく、かつ所望の値を精度よく設定す
ることが容易である安定した材料が望まれている。
野、とくに移動体通信分野においては、利用周波数がマ
イクロ波帯の高周波化となるのに伴い送・受信電力の高
出力化が図られている。しかし、従来の誘電体磁器材料
で作られたフイルターは発熱のためこの領域での使用が
制限され、より低誘電損失の材料、いいかえるなら無負
荷Ｑ値（Ｑ＝１／ｔａｎδ）が高い材料であって、しか
もそのバラツキの小さな安定した材料が望まれている。
また誘電体共振器の高周波領域での応用面の研究も活発
になってきており、無負荷Ｑ値が高く共振周波数の温度
係数（τｆ）が小さく、かつ所望の値を精度よく設定す
ることが容易である安定した材料が望まれている。
【０００５】しかしながらこの要望に対し従来材料は、
特に無負荷Ｑ値が最高で１００５０程度でありマイクロ
波帯ではまだ十分でなく、特性にはバラツキがありしか
も共振周波数の温度係数（τｆ）が小さくなると無負荷
Ｑ値も同時に低くなるためマイクロ波領域でこの二つの
特性を満たす材料を選択することは困難視されていた。
その主な原因として考えられることは、基本組成物にＺ
ｎ成分が含まれており、このＺｎ成分は焼成時に蒸発し
やすくなる傾向をもっており、その結果成分アンバラン
スが生じ安定した磁器素子が得がたく、そのため特に製
造時に於いて特性値のバラツキが大きくなることであっ
た。
特に無負荷Ｑ値が最高で１００５０程度でありマイクロ
波帯ではまだ十分でなく、特性にはバラツキがありしか
も共振周波数の温度係数（τｆ）が小さくなると無負荷
Ｑ値も同時に低くなるためマイクロ波領域でこの二つの
特性を満たす材料を選択することは困難視されていた。
その主な原因として考えられることは、基本組成物にＺ
ｎ成分が含まれており、このＺｎ成分は焼成時に蒸発し
やすくなる傾向をもっており、その結果成分アンバラン
スが生じ安定した磁器素子が得がたく、そのため特に製
造時に於いて特性値のバラツキが大きくなることであっ
た。
【０００６】そこで本発明は前記問題点を解決するため
に、マイクロ波領域における無負荷Ｑ値が高く、その無
負荷Ｑ値のバラツキを示す標準偏差値（бｎ−１）が著
しく小さく、比誘電率（εｒ）が高くかつ安定化でき、
共振器における共振周波数の温度係数（τｆ）が小さ
く、かつ所望の値を精度よく設定することができ、製造
時の歩留を向上させ、生産性コスト削減を大幅に改善で
きる誘電体磁器材料を提供することを目的とする。
に、マイクロ波領域における無負荷Ｑ値が高く、その無
負荷Ｑ値のバラツキを示す標準偏差値（бｎ−１）が著
しく小さく、比誘電率（εｒ）が高くかつ安定化でき、
共振器における共振周波数の温度係数（τｆ）が小さ
く、かつ所望の値を精度よく設定することができ、製造
時の歩留を向上させ、生産性コスト削減を大幅に改善で
きる誘電体磁器材料を提供することを目的とする。
【０００７】また誘電体共振器は共振周波数の温度係数
（τｆ）値を所望の値に精度よく設定することが容易な
誘電体共振器を提供することを目的とする。
（τｆ）値を所望の値に精度よく設定することが容易な
誘電体共振器を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明の誘電体磁器材料
は、上記目的を達成するために、一般式Ｂａ｛Ｚｎ1/ 3
（ＮｂxＴａ(1-x)）2/3｝Ｏ3（ただし０＜ｘ＜１）で表
わされる基本組成物に対して、添加物成分としてＣｏ3
Ｏ4換算で０．０１〜０．０８重量％のＣｏを添加した
ことを特徴とする。ここでＣｏの炭酸化物、水酸化物、
酸化物等は焼結後に酸化物になることから、Ｃｏ3Ｏ4換
算とはＣｏの量を基準にしてこれらの量を換算するもの
である。
は、上記目的を達成するために、一般式Ｂａ｛Ｚｎ1/ 3
（ＮｂxＴａ(1-x)）2/3｝Ｏ3（ただし０＜ｘ＜１）で表
わされる基本組成物に対して、添加物成分としてＣｏ3
Ｏ4換算で０．０１〜０．０８重量％のＣｏを添加した
ことを特徴とする。ここでＣｏの炭酸化物、水酸化物、
酸化物等は焼結後に酸化物になることから、Ｃｏ3Ｏ4換
算とはＣｏの量を基準にしてこれらの量を換算するもの
である。
【０００９】また、前記の誘電体磁器材料を用いたこと
を特徴としている誘電体共振器である。
を特徴としている誘電体共振器である。
【００１０】
【作用】一般式Ｂａ｛Ｚｎ1/3（ＮｂxＴａ(1-x)）2/3｝
Ｏ3（ただし０＜ｘ＜１）で表わされた組成物を基本組
成物とするからマイクロ波領域において比誘電率（ε
ｒ）が高くすることができる。また添加物成分としてＣ
ｏ3Ｏ4換算で０．０１〜０．０８重量％の範囲内でＣｏ
を添加するからＺｎ成分があっても広い焼成温度幅で焼
結性が良くなり、比誘電率（εｒ）が高く安定化し共振
周波数の温度係数（τｆ）が小さく、かつ所望の値に精
度よく設定することができる。さらに無負荷Ｑ値を高く
そのバラツキを表す標準偏差値（бｎ−１）を小さくす
ることができる。
Ｏ3（ただし０＜ｘ＜１）で表わされた組成物を基本組
成物とするからマイクロ波領域において比誘電率（ε
ｒ）が高くすることができる。また添加物成分としてＣ
ｏ3Ｏ4換算で０．０１〜０．０８重量％の範囲内でＣｏ
を添加するからＺｎ成分があっても広い焼成温度幅で焼
結性が良くなり、比誘電率（εｒ）が高く安定化し共振
周波数の温度係数（τｆ）が小さく、かつ所望の値に精
度よく設定することができる。さらに無負荷Ｑ値を高く
そのバラツキを表す標準偏差値（бｎ−１）を小さくす
ることができる。
【００１１】また誘電体磁器材料を用いることによって
必要な範囲で所望の温度係数（τｆ）をもつ誘電体共振
器を作ることができる。
必要な範囲で所望の温度係数（τｆ）をもつ誘電体共振
器を作ることができる。
【００１２】
【実施例】以下本発明の一実施例の誘電体磁器材料につ
いて、次の（表１）、（表２）に基づいて詳細に説明す
る。
いて、次の（表１）、（表２）に基づいて詳細に説明す
る。
【００１３】
【表１】
【００１４】
【表２】
【００１５】（表１）は基本組成が一般式Ｂａ｛Ｚｎ
1/3（ＮｂxＴａ(1-x)）2/3｝Ｏ3、（ｘ＝０．０６）の
組成物に添加物成分としてＣｏを添加し、その添加量と
焼成条件を変化させた一実施例の誘電体磁器材料とその
特性値である。
1/3（ＮｂxＴａ(1-x)）2/3｝Ｏ3、（ｘ＝０．０６）の
組成物に添加物成分としてＣｏを添加し、その添加量と
焼成条件を変化させた一実施例の誘電体磁器材料とその
特性値である。
【００１６】（表２）は基本組成が一般式Ｂａ｛Ｚｎ
1/3（ＮｂxＴａ(1-x)）2/3｝Ｏ3、（ｘ＝０．０４）の
組成物に添加物成分としてＣｏを添加し、その添加量と
焼成条件を変化させた一実施例の誘電体磁器材料とその
特性値である。
1/3（ＮｂxＴａ(1-x)）2/3｝Ｏ3、（ｘ＝０．０４）の
組成物に添加物成分としてＣｏを添加し、その添加量と
焼成条件を変化させた一実施例の誘電体磁器材料とその
特性値である。
【００１７】本発明の一実施例の誘電体磁器材料の特性
を比較しえるように実施例間で同じ５ｍｍ直径で厚さ２
ｍｍの円柱形の試料を用いて測定をしている。これは後
述する誘電体共振器として使用できるものである。
を比較しえるように実施例間で同じ５ｍｍ直径で厚さ２
ｍｍの円柱形の試料を用いて測定をしている。これは後
述する誘電体共振器として使用できるものである。
【００１８】そこでこの試料作製の手順から説明する。
なお実施例間では共通の製造条件で製造する。出発原料
は化学的に高純度のＢａＣＯ3、ＺｎＯ、Ｎｂ2Ｏ5、Ｔ
ａ2Ｏ 5、Ｃｏ3Ｏ4、ＣｏＣＯ3、Ｃｏ（ＯＨ）2、ＣｏＯ
の各原料粉末を用い、最終製品である誘電体磁器材料の
組成が（表１）および（表２）に示されるような組成と
なるように配合量を計算し、基本組成物１００重量％に
対し添加物を添加する方法を用いそれぞれの原料粉末を
所定量秤量した後、それらの各原料粉末を、ウレタン製
ポットミル中にジルコニア玉石および純水と共に投入し
て、２０時間の湿式混合処理を施す。そして各混合物を
取り出し乾燥させた後、アルミナ坩堝に入れ、空気中に
おいて１１００℃の温度で２時間仮焼を行ない、更にそ
の仮焼物を、ウレタン製ポットミル中にジルコニア玉石
および純水と共に、２０時間湿式粉砕処理を施すもので
ある。そして粉砕泥しょうを濾過、乾燥したのち、粉末
にバインダーとして濃度７％のポリビニールアルコール
溶液８重量％を添加して均質としたのち、３２メッシュ
の篩を通して造粒を行なう。造粒粉末は金型と油圧プレ
スを用いて成形圧力８００Ｋｇ／ｃｍ2で直径１３ｍ
ｍ、厚さ約６ｍｍの円板に成形する。成形体を高純度の
マグネシアさや鉢の中に入れ、組成に応じ空気中におい
て１４００〜１５５０℃の範囲内の温度で２０時間保持
して焼成し各誘電体磁器材料を得るものである。
なお実施例間では共通の製造条件で製造する。出発原料
は化学的に高純度のＢａＣＯ3、ＺｎＯ、Ｎｂ2Ｏ5、Ｔ
ａ2Ｏ 5、Ｃｏ3Ｏ4、ＣｏＣＯ3、Ｃｏ（ＯＨ）2、ＣｏＯ
の各原料粉末を用い、最終製品である誘電体磁器材料の
組成が（表１）および（表２）に示されるような組成と
なるように配合量を計算し、基本組成物１００重量％に
対し添加物を添加する方法を用いそれぞれの原料粉末を
所定量秤量した後、それらの各原料粉末を、ウレタン製
ポットミル中にジルコニア玉石および純水と共に投入し
て、２０時間の湿式混合処理を施す。そして各混合物を
取り出し乾燥させた後、アルミナ坩堝に入れ、空気中に
おいて１１００℃の温度で２時間仮焼を行ない、更にそ
の仮焼物を、ウレタン製ポットミル中にジルコニア玉石
および純水と共に、２０時間湿式粉砕処理を施すもので
ある。そして粉砕泥しょうを濾過、乾燥したのち、粉末
にバインダーとして濃度７％のポリビニールアルコール
溶液８重量％を添加して均質としたのち、３２メッシュ
の篩を通して造粒を行なう。造粒粉末は金型と油圧プレ
スを用いて成形圧力８００Ｋｇ／ｃｍ2で直径１３ｍ
ｍ、厚さ約６ｍｍの円板に成形する。成形体を高純度の
マグネシアさや鉢の中に入れ、組成に応じ空気中におい
て１４００〜１５５０℃の範囲内の温度で２０時間保持
して焼成し各誘電体磁器材料を得るものである。
【００１９】この各誘電体磁器材料の試料について、特
性の測定は次のように行った。比誘電率（εｒ）と無負
荷Ｑ値の値は、それぞれ、公知の平行導体板型誘電体共
振器法を用いて測定した。また無負荷Ｑ値のバラツキを
示す標準偏差値（бｎ−１）は統計管理手法を用いｎ＝
１００個を次式（Ｖ＝ｓ／ｎ−１、ｎ−１＝√Ｖ）を用
い計算した。共振周波数の温度係数（τｆ）は−２５〜
７５℃の温度範囲における共振周波数の温度変化から計
算により求めた。そして共振周波数は１０〜１２ＧＨｚ
の範囲でありこれら結果を（表１）、（表２）に示し
た。なお（表１）、（表２）において＊印をした試料は
本発明範囲外の比較例である。
性の測定は次のように行った。比誘電率（εｒ）と無負
荷Ｑ値の値は、それぞれ、公知の平行導体板型誘電体共
振器法を用いて測定した。また無負荷Ｑ値のバラツキを
示す標準偏差値（бｎ−１）は統計管理手法を用いｎ＝
１００個を次式（Ｖ＝ｓ／ｎ−１、ｎ−１＝√Ｖ）を用
い計算した。共振周波数の温度係数（τｆ）は−２５〜
７５℃の温度範囲における共振周波数の温度変化から計
算により求めた。そして共振周波数は１０〜１２ＧＨｚ
の範囲でありこれら結果を（表１）、（表２）に示し
た。なお（表１）、（表２）において＊印をした試料は
本発明範囲外の比較例である。
【００２０】（表１）より明かなように試料番号３〜
７、１１〜１５の材料で示される実施例の誘電体磁器材
料はいずれも比誘電率（εｒ）は高く安定で、共振周波
数の温度係数（τｆ）は小さい。無負荷Ｑ値は高い値を
示し、そのバラツキを示す標準偏差値（бｎ−１）は著
しく小さくなっている。また同一組成において焼成温度
を１５３０℃と１４５０℃に変化させているが範囲内の
添加量では充分に特性改善の効果がえられている。特に
添加量が０．０２〜０．０４重量％の範囲が良好であつ
た。比較のための試料番号１、９の材料はＣｏ3Ｏ4が無
添加で無負荷Ｑ値は低く標準偏差値（бｎ−１）が大き
い。また試料番号２、１０の材料は添加量が０．０１重
量％以下で効果は少し認められるが特性値を改善する迄
にはいたっていない。試料番号８、１６の材料は添加量
の多い場合で比誘電率（εｒ）は少し大きくなるが共振
周波数の温度係数（τｆ）も大きく負になり負側にシフ
トする傾向を示した。さらに無負荷Ｑ値も低くそして標
準偏差値（бｎ−１）も大きくなるためバラツイて好ま
しくない。
７、１１〜１５の材料で示される実施例の誘電体磁器材
料はいずれも比誘電率（εｒ）は高く安定で、共振周波
数の温度係数（τｆ）は小さい。無負荷Ｑ値は高い値を
示し、そのバラツキを示す標準偏差値（бｎ−１）は著
しく小さくなっている。また同一組成において焼成温度
を１５３０℃と１４５０℃に変化させているが範囲内の
添加量では充分に特性改善の効果がえられている。特に
添加量が０．０２〜０．０４重量％の範囲が良好であつ
た。比較のための試料番号１、９の材料はＣｏ3Ｏ4が無
添加で無負荷Ｑ値は低く標準偏差値（бｎ−１）が大き
い。また試料番号２、１０の材料は添加量が０．０１重
量％以下で効果は少し認められるが特性値を改善する迄
にはいたっていない。試料番号８、１６の材料は添加量
の多い場合で比誘電率（εｒ）は少し大きくなるが共振
周波数の温度係数（τｆ）も大きく負になり負側にシフ
トする傾向を示した。さらに無負荷Ｑ値も低くそして標
準偏差値（бｎ−１）も大きくなるためバラツイて好ま
しくない。
【００２１】次に試料番号１７〜１９の材料で示される
実施例はＣｏ3Ｏ4以外のＣｏ添加成分を０．０１〜０．
０８重量％の範囲内の添加量で添加したものでいづれも
良好な特性値を示している。これはＣｏ3Ｏ4換算で０．
０４重量％を各々添加したものである。これはＣｏの炭
酸化物、水酸化物、酸化物等は焼成後に酸化物になるか
ら添加成分の当初の形態はあまり影響しないと考えられ
るから良い結果がえられている。
実施例はＣｏ3Ｏ4以外のＣｏ添加成分を０．０１〜０．
０８重量％の範囲内の添加量で添加したものでいづれも
良好な特性値を示している。これはＣｏ3Ｏ4換算で０．
０４重量％を各々添加したものである。これはＣｏの炭
酸化物、水酸化物、酸化物等は焼成後に酸化物になるか
ら添加成分の当初の形態はあまり影響しないと考えられ
るから良い結果がえられている。
【００２２】（表２）より明らかなように試料番号２２
〜２６、３０〜３４、３６〜３８の材料で示される実施
例ではいずれも比誘電率（εｒ）は安定している。共振
周波数の温度係数（τｆ）も添加量と共にわずかに負側
にシフトするが安定している、さらに無負荷Ｑ値は高い
値を示し、そのバラツキを示す標準偏差値（бｎ−１）
は小さくなっている。
〜２６、３０〜３４、３６〜３８の材料で示される実施
例ではいずれも比誘電率（εｒ）は安定している。共振
周波数の温度係数（τｆ）も添加量と共にわずかに負側
にシフトするが安定している、さらに無負荷Ｑ値は高い
値を示し、そのバラツキを示す標準偏差値（бｎ−１）
は小さくなっている。
【００２３】試料番号３６〜３８の材料で示される実施
例はＣｏ3Ｏ4以外のＣｏ添加成分を範囲内の添加量で添
加したものでいづれも良好な特性値を示している。これ
はＣｏ3Ｏ4換算で０．０４重量％を各々添加したもので
ある。比較のための試料番号２０、２８の材料はＣｏ3
Ｏ4が無添加で無負荷Ｑ値は低く標準偏差値（бｎ−
１）が大きい。また試料番号２１、２９の材料は添加量
が０．０１重量％以下のもので効果は少し認められるも
特性値を改善する迄にはいたっていないものである。試
料番号２７、３５の材料は添加量の多い場合で共振周波
数の温度係数（τｆ）が大きく負になり負側にシフトす
る傾向を示している。しかも無負荷Ｑ値が低く標準偏差
値（бｎ−１）が大きくなるため好ましくない。
例はＣｏ3Ｏ4以外のＣｏ添加成分を範囲内の添加量で添
加したものでいづれも良好な特性値を示している。これ
はＣｏ3Ｏ4換算で０．０４重量％を各々添加したもので
ある。比較のための試料番号２０、２８の材料はＣｏ3
Ｏ4が無添加で無負荷Ｑ値は低く標準偏差値（бｎ−
１）が大きい。また試料番号２１、２９の材料は添加量
が０．０１重量％以下のもので効果は少し認められるも
特性値を改善する迄にはいたっていないものである。試
料番号２７、３５の材料は添加量の多い場合で共振周波
数の温度係数（τｆ）が大きく負になり負側にシフトす
る傾向を示している。しかも無負荷Ｑ値が低く標準偏差
値（бｎ−１）が大きくなるため好ましくない。
【００２４】このようにＣｏ3Ｏ4換算で添加成分として
０．０１重量％〜０．０８重量％のＣｏを添加するから
磁器材料の焼結性が良くなる。これは基本組成物中のＺ
ｎ成分の蒸発をＣｏが防止するからであると考えられ
る。これによって比誘電率（εｒ）が高く安定になり、
共振周波数の温度係数（τｆ）を小さく、かつ所望の値
に精度よく設定することが容易になる。さらに無負荷Ｑ
値が高くそのバラツキを示す標準偏差値（бｎ−１）は
小さく安定したものになっている。
０．０１重量％〜０．０８重量％のＣｏを添加するから
磁器材料の焼結性が良くなる。これは基本組成物中のＺ
ｎ成分の蒸発をＣｏが防止するからであると考えられ
る。これによって比誘電率（εｒ）が高く安定になり、
共振周波数の温度係数（τｆ）を小さく、かつ所望の値
に精度よく設定することが容易になる。さらに無負荷Ｑ
値が高くそのバラツキを示す標準偏差値（бｎ−１）は
小さく安定したものになっている。
【００２５】次に上記した誘電体磁器材料を使用した本
発明の一実施例である誘電体共振器について説明する。
図１は本発明の一実施例における誘電体共振器の斜視図
である。
発明の一実施例である誘電体共振器について説明する。
図１は本発明の一実施例における誘電体共振器の斜視図
である。
【００２６】図１に於いて、１は誘電体共振器本体であ
る。誘電体共振器本体１は上記した誘電体磁器材料を用
いて形成され、円柱状の形状をしている。その特性は５
ｍｍ直径で厚さ２ｍｍの場合（表１）、（表２）のデー
タが示すとおりである。２はガラス接合層で、誘電体共
振器本体１とフォルステライト磁器材料の支持台３を接
着させるものである。このガラス接合層２に使用したガ
ラス材料は、その熱膨張係数が誘電体共振器本体１に用
いた誘電体磁器材料の熱膨張係数と支持台３に用いたフ
ォルステライト磁器材料の熱膨張係数とほぼ近いもので
あって、接合時のヒビ割れを防ぐ目的で珪酸塩系の材料
を用い接合温度８００℃で接着するものである。支持台
３は誘電体共振器本体１を保持するためのもので、支持
台３に用いたフォルステライト磁器材料はマイクロ波帯
の領域で無負荷Ｑ値が高い円筒状のものを用いている。
る。誘電体共振器本体１は上記した誘電体磁器材料を用
いて形成され、円柱状の形状をしている。その特性は５
ｍｍ直径で厚さ２ｍｍの場合（表１）、（表２）のデー
タが示すとおりである。２はガラス接合層で、誘電体共
振器本体１とフォルステライト磁器材料の支持台３を接
着させるものである。このガラス接合層２に使用したガ
ラス材料は、その熱膨張係数が誘電体共振器本体１に用
いた誘電体磁器材料の熱膨張係数と支持台３に用いたフ
ォルステライト磁器材料の熱膨張係数とほぼ近いもので
あって、接合時のヒビ割れを防ぐ目的で珪酸塩系の材料
を用い接合温度８００℃で接着するものである。支持台
３は誘電体共振器本体１を保持するためのもので、支持
台３に用いたフォルステライト磁器材料はマイクロ波帯
の領域で無負荷Ｑ値が高い円筒状のものを用いている。
【００２７】本実施例において誘電体共振器本体１は前
記に示す円柱状で共振モードは一般に知られているＴＥ
０１δを採用している。この寸法の円柱状とすることで
共振周波数が約１２ＧＨｚ程度のものになる。このほか
誘電体共振器本体１の形状としては円筒状の同軸形共振
器、板状のストリップ線路共振器等のものがあり共振モ
ードはＴＥＭで、これらは共振周波数が比較的低い９０
０ＭＨｚ帯から高い１０ＧＨｚ帯にあるので自動車電
話、携帯電話さらには衛星放送等への利用ができる。
記に示す円柱状で共振モードは一般に知られているＴＥ
０１δを採用している。この寸法の円柱状とすることで
共振周波数が約１２ＧＨｚ程度のものになる。このほか
誘電体共振器本体１の形状としては円筒状の同軸形共振
器、板状のストリップ線路共振器等のものがあり共振モ
ードはＴＥＭで、これらは共振周波数が比較的低い９０
０ＭＨｚ帯から高い１０ＧＨｚ帯にあるので自動車電
話、携帯電話さらには衛星放送等への利用ができる。
【００２８】この実施例の誘電体共振器はマイクロ波領
域での無負荷Ｑ値が高く、共振周波数の温度係数（τ
ｆ）が選択できるから半導体等、他の部品と組み合わせ
たとき回路の温度補償作用を安定化するのに有用で、小
型高性能のフイルターや発振器等を作ることができる。
また、本発明の誘電体磁器材料は誘電体共振器のみなら
ず高周波用の基板等に用いても有用なものである。
域での無負荷Ｑ値が高く、共振周波数の温度係数（τ
ｆ）が選択できるから半導体等、他の部品と組み合わせ
たとき回路の温度補償作用を安定化するのに有用で、小
型高性能のフイルターや発振器等を作ることができる。
また、本発明の誘電体磁器材料は誘電体共振器のみなら
ず高周波用の基板等に用いても有用なものである。
【００２９】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
一般式Ｂａ｛Ｚｎ1/3（ＮｂxＴａ(1-x )）2/3｝Ｏ3（た
だし０＜ｘ＜１）で表わされた組成物を基本組成物とす
るからマイクロ波領域において比誘電率（εｒ）が高く
することができる。また添加物成分としてＣｏ3Ｏ4換算
で０．０１〜０．０８重量％の範囲内でＣｏを添加する
からＺｎ成分があっても広い焼成温度幅で焼結性が良く
なり、特性値は１０〜１２ＧＨｚのように高い周波数帯
において、比誘電率（εｒ）が高く安定化になり、共振
周波数の温度係数（τｆ）を小さく、かつ所望の値に精
度よく設定することが容易である。さらに無負荷Ｑ値が
１２０００以上と極めて高くそのバラツキを示す標準偏
差値（бｎ−１）を小さく安定した値をもたせることが
できる。
一般式Ｂａ｛Ｚｎ1/3（ＮｂxＴａ(1-x )）2/3｝Ｏ3（た
だし０＜ｘ＜１）で表わされた組成物を基本組成物とす
るからマイクロ波領域において比誘電率（εｒ）が高く
することができる。また添加物成分としてＣｏ3Ｏ4換算
で０．０１〜０．０８重量％の範囲内でＣｏを添加する
からＺｎ成分があっても広い焼成温度幅で焼結性が良く
なり、特性値は１０〜１２ＧＨｚのように高い周波数帯
において、比誘電率（εｒ）が高く安定化になり、共振
周波数の温度係数（τｆ）を小さく、かつ所望の値に精
度よく設定することが容易である。さらに無負荷Ｑ値が
１２０００以上と極めて高くそのバラツキを示す標準偏
差値（бｎ−１）を小さく安定した値をもたせることが
できる。
【００３０】また焼成温度を低下させることができるの
で磁器材料の焼結性が良くなり製造時の歩留の向上、製
造コスト削減を大幅に改善することができ工業的に利用
価値の大きいものである。
で磁器材料の焼結性が良くなり製造時の歩留の向上、製
造コスト削減を大幅に改善することができ工業的に利用
価値の大きいものである。
【００３１】また誘電体共振器は誘電体磁器材料を用い
ることによって必要な範囲で共振周波数の温度係数（τ
ｆ）を持たせた誘電体共振器を作ることができ価値の大
きいものである。
ることによって必要な範囲で共振周波数の温度係数（τ
ｆ）を持たせた誘電体共振器を作ることができ価値の大
きいものである。
【図１】本発明の一実施例における誘電体共振器の斜視
図
図
１ 誘電体共振器本体 ２ ガラス接合層 ３ 支持台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤丸 琢也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内
Claims (2)
- 【請求項１】一般式Ｂａ｛Ｚｎ1/3（ＮｂxＴａ(1-x)）
2/3｝Ｏ3（ただし０＜ｘ＜１）で表わされる基本組成物
に対して、添加物成分としてＣｏ3Ｏ4換算で０．０１〜
０．０８重量％のＣｏを添加したことを特徴とする誘電
体磁器材料。 - 【請求項２】請求項１に記載された誘電体磁器材料から
形成されたことを特徴とする誘電体共振器。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12617794A JP3303525B2 (ja) | 1994-06-08 | 1994-06-08 | 誘電体磁器材料および誘電体共振器 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12617794A JP3303525B2 (ja) | 1994-06-08 | 1994-06-08 | 誘電体磁器材料および誘電体共振器 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07335025A true JPH07335025A (ja) | 1995-12-22 |
| JP3303525B2 JP3303525B2 (ja) | 2002-07-22 |
Family
ID=14928596
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP12617794A Expired - Fee Related JP3303525B2 (ja) | 1994-06-08 | 1994-06-08 | 誘電体磁器材料および誘電体共振器 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3303525B2 (ja) |
-
1994
- 1994-06-08 JP JP12617794A patent/JP3303525B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3303525B2 (ja) | 2002-07-22 |
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| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |