JPH0733377Y2 - 密閉型鉛蓄電池 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、密閉形鉛蓄電池の性能改良に関するものであ
る。

従来の技術 従来より、充電中に陽極から発生する酸素ガスを陰極で
吸収することで密閉化されている密閉形鉛蓄電池は、一
般的な鉛蓄電池と同仕様の二酸化鉛を活物質とする陽極
板、海綿状の鉛を活物質とする陰極板、合成繊維やガラ
ス繊維で構成されるセパレータと、密閉形鉛蓄電池の特
徴である遊離液がなく極板とセパレータ中に含有された
電解液、あるいはゲル状に固定された電解液で構成され
ている。そして、この極板群をABS等で成形された電槽
中に収納し、安全弁を有する蓋を接着して電池としてい
る。このようにして製作された密閉形鉛蓄電池は、補充
電された後、種々用途に使われている。

例えば、サイクル・サービス用の機器に組み込まれた場
合には、定抵抗放電あるいは定電流放電等で使われた
後、定電圧充電されており、最近は急速充電で行なわれ
る場合も多い。

考案が解決しようとする問題点 上記のサイクル・サービス用の使用状態に関し、短時間
で充電してかつ充・放電回数が多い場合には、電池容量
が徐々に低下する傾向にある。このため必要な充・放電
回数を達成することができず、使用者の装置全体への信
頼性をなくしたり、また電池の有効使用を妨げる原因と
なっている。

上記の容量が低下した電池を解体して調査したところ、
容量低下の原因が陽極板の容量低下にあり、極板群を構
成する陰極板のうち、最も外側の陰極板に問題があるこ
とが判った。さらに外側陰極板を詳細に分析したとこ
ろ、極板群の外側にあたる陰極板の表面に、極板の周辺
と極板群の上部にあたる所に硫酸鉛が多く残存している
ことが判り、したがって外側陰極板の充電が最も重要な
問題であることが判った。

問題点を解決するための手段 本考案は上記の問題を解決して、くり返し使用された場
合でも陰極板の容量低下が少なく、つまり電池の容量低
下を抑制できる方式を提供するもので、極板群の端に位
置する陰極板の外側に、該陰極板の外側表面充電用の電
極を設けたことを特徴とするものである。

作用 本考案は上記の特徴を有することにより、極板群の最も
外側の陰極板の容量低下を抑制できるので、電池のサイ
クル使用における容量低下が少なくなり、長寿命タイプ
の密閉形鉛蓄電池にすることができる。

実施例 本考案の一実施例を説明する。

密閉式鉛蓄電池として２ボルト３アンペア・アワー電池
を製作した。その構造はABS樹脂製の電槽１に、直径30
μｍ以下のガラス繊維の不織布よりなるセパレータ２を
介して陽極板３と陰極板４から成る極板群を収納した。
この極板群の外側の陰極板４にさらにセパレータ２を当
て、それと電槽１内壁との間に充電用電極５として厚さ
0.7mmの鉛板を配置した。これら３種の電極の接続は一
般的なブリッジ方式を用い、陽極用、陰極用そして充電
用の３つの端子を電池上面に作った。この電池を６アン
ペアで1.7ボルトまで放置し、つづいて2.45ボルトの定
電圧充電（最大電流３アンペア）にて90分充電後、充電
用端子と陰極用端子間で補充電（2.45ボルト定電圧、最
大電流１アンペア）を10分実施した。この試験の充放電
と放置を４時間入れた時を１サイクルとし、25±１℃の
気相中でサイクル寿命試験を実施した。その結果、寿命
までの期間は、上記220サイクルであったものが、本考
案の仕様電池では285サイクルと約30％増加した。

ところで、充電用電極としては陽極板または陰極板、鉛
又は鉛−カルシウム合金の格子やシートなどが十分に使
用できる。また２ボルト電池をシリーズに接続して６ボ
ルトや12ボルトにする場合は、セル間につけた切替スイ
ッチで、通常の充電と充電用電極を使った補充電の切替
えを行なうようにした。

考案の効果 上述のように本考案は、極板群の外側に充電用の電極を
設けたので、極板群の外側の電極の充電を完全に行なえ
るようになる点、実用的価値大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す説明断面図である。 １は電槽、２はセパレータ、３は陽極板、４は陰極板、
５は充電用電極

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】極板群の端に位置する陰極板の外側に、該
   陰極板の外側表面充電用の電極を配置したことを特徴と
   する密閉型鉛蓄電池。