JPH07331366A - 超高温用Fe−Ni−Al合金 - Google Patents

超高温用Fe−Ni−Al合金

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JPH07331366A
JPH07331366A JP12765194A JP12765194A JPH07331366A JP H07331366 A JPH07331366 A JP H07331366A JP 12765194 A JP12765194 A JP 12765194A JP 12765194 A JP12765194 A JP 12765194A JP H07331366 A JPH07331366 A JP H07331366A
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Shigeru Tokura
茂 戸倉
Nobuo Otsuka
伸夫 大塚
Kiyohito Ishida
清仁 石田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Al2O3 からなる酸化被膜の密着性に優れ1000
℃以上の超高温下で使用されても優れた耐酸化性を呈
し、超高温用合金として広く適用可能な超高温用Fe−Ni
−Al系 (β+γ) 2相合金を提供する。 【構成】 C:0.1 %以下、Si:1.0 %以下、Mn:0.2
〜3.0 %、S:0.01%以下、Al:10〜15%、Fe:20〜50
%、残部Niおよび不可避的不純物からなる合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐酸化性、特に酸化ス
ケールの密着性に優れ、かつ加工性が良好で超高温用と
して広く適用可能なFe−Ni−Al合金に関する。
【0002】
【従来の技術】耐熱鋼は、各種の高温環境下で使用され
ても適当な強度、酸化性および耐高温腐食性を示す合金
鋼であり、温度や雰囲気といった諸条件により多数の鋼
種に別けられている。これらの耐熱鋼は、いずれも高Cr
化を図ってその表面に保護性のCr2O3 からなるスケール
を生成させることにより、耐酸化性および耐高温腐食性
を向上させている。
【0003】しかし、これらの耐熱鋼を1000℃を超える
ような超高温の環境下で使用すると、Cr2O3 からなるス
ケール (以下、「酸化被膜」という) の保護性が徐々に
失われるため、超高温での保護性がより優れたAl2O3
らなる酸化被膜が表面に生成するような高Al鋼が適用さ
れるようになってきた。例えば、家電厨房熱器具用SUH2
1(19Cr−3Al)や自動車メタル担体用20Cr−5Al鋼は、と
もに高Al化を図ってAl2O3 からなる酸化被膜を保護性の
酸化被膜として利用した耐熱鋼である。高Al化により耐
酸化性は向上するものの酸化被膜の形成により加工性が
著しく低下してしまう。
【0004】そこで、このような加工性の低下防止を図
ったものとして、特開平1−108316号公報には、C:0.
03%以下 (以下、本明細書においては特にことわりがな
い限り「%」は「重量%」を意味するものとする) 、C
r:16.0〜26.0%、Al:2.0 〜6.0 %、残部Feおよび不
可避的不純物からなるFe−Cr−Al系合金に熱間圧延を行
って仕上板厚:3.5mm 以下としてから急冷することによ
り、靭性に優れたFe−Cr−Al系合金材料を製造する方法
が、また特開平1−47816 号公報には、C:0.2%以
下、Si:2.0 %以下、Mn:2.0 %以下、Ni:15〜35%、
Cr:12〜25%、Al:2.0 %以上 (望ましくは6%以
下)、残部Feおよび不可避的不純物よりなるオーステナ
イト系ステンレス鋼鋼片を1150℃以上に加熱し、900 ℃
以上で熱間圧延を終了し、その直後600 ℃以下まで急冷
する方法がそれぞれ提案されている。
【0005】これらの提案からも分かるように、鍛造合
金では、せいぜい5〜6%までしかAlを添加することが
できず、これ以上にAl添加量を増加すると、例えばガス
タービン用として用いられる高Al−Ni基合金のように鋳
造合金としてしか製造することができない。
【0006】近年、自動車メタル担体用合金箔に代表さ
れるような使用環境がさらに過酷な製品の耐酸化性をよ
り一層向上させることが要求されるようになってきた
が、加工性の維持という観点からこれ以上の高Al化は不
可能である。
【0007】そのため、例えば特開平1−11946 号公報
には、C:0.03%以下、Si:1.0 %以下、Cr:13〜27
%、Al:3.5 〜8%、Zr:C含有量の8倍以上であって
0.30%以下、残部Feおよび不可避的不純物であって、さ
らにCeを除く希土類元素:0.05%以上0.20%以下を含む
耐酸化性に優れたFe−Cr−Al系合金が提案されている。
このFe−Cr−Al系合金は、主に自動車排ガス浄化用触媒
に用いるメタル担体への適用を考えたものであって、熱
間加工性および耐酸化性を劣化させるCe以外の希土類元
素を適量添加することによりAl2O3 からなる酸化被膜の
密着性向上を図って、補助的に耐酸化性をより一層向上
させるものである。
【0008】また、特開平1−194942号公報には、自動
車排ガス浄化用触媒に用いるメタル担体素材である高Al
含有ステンレス鋼箔の表面の高Al化により耐酸化性をよ
り一層向上させるために、急冷凝固により形成されるス
テンレス鋼箔の冷却過程において、表面の少なくとも一
面にAlまたはAl合金箔を圧着してなる層を有するメタル
担体素材が提案されている。しかし、この提案にかかる
メタル担体素材は、製造工程が増加するとともに製造コ
ストも上昇してしまうため、母材自体の高Al化による耐
酸化性の改善が望まれる。
【0009】一方、Al含有量が15〜26%の高Al鋼を用
い、その加工性を改善する試みが、実験室レベルではあ
るものの、Fe−Ni−Al系合金、Co−Ni−Al系合金、Cr−
Ni−Al系合金およびCu−Ni−Al系合金で (β+γ) 2相
領域で行われている (Metallugical Transactions A vo
l.22A Feb(1991) P441〜446)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一般に高Al材の耐酸化
性は優れることから、一見すると、このようなFe−Ni−
Al系(β+γ)2相合金も高Al化により耐酸化性が改善
されるのではとも考えられる。しかし、高Al化のために
耐酸化性が優れるのは安定なAl2O3 からなる酸化被膜が
表面に生成されるためであり、この酸化被膜の生成のた
めに必要なAl量はFe−Al系またはNi−Al系のような二元
系とFe−Cr−Al系のような三元系とでは大きく異なる。
また、耐酸化性は他の微量添加元素量にも大きく左右さ
れる。したがって、Fe−Ni−Al系(β+γ)2相合金の
開発では、使用環境等を正確に反映した成分設計とその
耐酸化性の見極めとを行うことがともに必要である。
【0011】さらに、Al2O3 からなる酸化被膜はCr2O3
からなる酸化被膜と同様に母材に比較すると熱膨張係数
が小さいため、母材との間で熱膨張係数差に起因した大
きな応力が発生し酸化被膜が剥離してしまうため、耐酸
化性が劣化することがある。したがって、Fe−Ni−Al系
(β+γ)2相合金を実用化するには至っていないのが
現状であった。
【0012】ここに、本発明の目的は、加工性に優れた
Fe−Ni−Al系(β+γ)2相合金を高温部材へ適用する
ため、Al2O3 からなる酸化被膜の密着性に優れ1000℃以
上の超高温下で使用されても優れた耐酸化性を呈し、超
高温用合金として広く適用可能な超高温用Fe−Ni−Al系
(β+γ) 2相合金を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため種々検討を重ね、以下に列記する内容の
知見を得て、本発明を完成した。 Fe−Ni−Al系(β+γ)2相合金系で1000℃以上の使
用温度でも十分な耐酸化性を確保するためには、10%以
上Alを添加する必要がある。
【0014】加熱および冷却が繰り返される過酷な環
境下では、酸化被膜の剥離に起因した異常酸化が生ずる
が、Mnを適量添加することにより密着性に優れたAl2O3
からなる酸化被膜が生成し、前述のような環境下でも異
常酸化を生じない。
【0015】この理由は、Mnは、O2との親和力が大きい
ために酸化の初期段階ではO2のゲッター材として表面へ
の安定なAl2O3 からなる酸化被膜の生成を促進し、この
段階で生成したMn酸化物は酸化被膜の生成後にはその中
へ固溶して酸化被膜の塑性変形能を高めることにより母
材とAl2O3 からなる酸化被膜との間の応力、すなわち繰
り返し環境下での酸化被膜の剥離の原因の一つとして考
えられる酸化被膜と母材との間の熱膨張率差に起因した
応力を緩和してAl2O3 からなる酸化被膜の密着性を改善
するためである。
【0016】更に酸化被膜/メタル界面へのSの濃化
も密着性を損なう原因の一つと考えられているが、Mnは
SをMnSとして固定する作用も有するため、Mnを 0.2〜
3.0 wt%添加すると本発明のFe−Ni−Al合金の他の諸性
質を損なうことなく、応力緩和とS固定の相乗効果によ
りAl2O3 被膜の密着性を飛躍的に改善できることが判明
した。
【0017】ここに、本発明の要旨とするところは、
C:0.1 %以下、Si:1.0 %以下、Mn:0.2 %以上3.0
%以下、S:0.01%以下、Al:10%以上15%以下、Fe:
20%以上50%以下、残部Niおよび不可避的不純物からな
る合金であることを特徴とするAl2O3 からなる酸化被膜
の密着性に優れた超高温用Fe−Ni−Al合金である。
【0018】本発明において、γ相を安定化して加工性
を向上するためには、さらに、Cr:0.1 %以上5%以
下、Co:0.1 %以上5%以下、およびCu:0.1 %以上5
%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含
有することが望ましい。
【0019】本発明において、γ' 相 (Ni3Al)を析出さ
せて高温強度を高めるためには、さらに、Ti:0.1 %以
上5%以下、およびV:0.1 %以上5%以下からなる群
から選ばれた1種または2種を含有することが望まし
い。
【0020】本発明において、基地を強化して高温強度
を高めるためには、さらに、W:1%以上10%以下、お
よびMo:0.5 %以上5%以下からなる群から選ばれた1
種または2種を含有することが望ましい。
【0021】本発明において、内部酸化物の形成により
Al2O3 からなる酸化被膜の密着性を向上するためには、
さらに、Y:0.01%以上0.25%以下、La:0.01%以上0.
25%以下、およびCe:0.01%以上0.25%以下からなる群
から選ばれた1種または2種以上を合計で0.25%以下含
有することが望ましい。
【0022】本発明において、Sを固定して、熱間加工
性および酸化被膜の密着性をそれぞれ改善するために
は、さらに、Mg:0.001 %以上0.02%以下を含有するこ
とが望ましい。
【0023】
【作用】以下、本発明を作用効果とともに詳述する。ま
ず、本発明にかかる超高温用Fe−Ni−Al合金の組成を上
述のように限定する理由を説明する。
【0024】C:0.1 %以下 Cは、鋼中へは不可避的に含有される元素であるが、0.
1 %超含有されると、延性および靱性それぞれの低下を
招く。そこで、本発明では、C含有量は、0.1%以下と
限定する。
【0025】Si:1.0 %以下 本発明にかかる超高温用Fe−Ni−Al合金の場合、Siを1.
0 %超含有すると加工性が劣化する。そこで、本発明で
は、Siを脱酸剤として用いる場合であっても、Si含有量
は1.0 %以下に限定する。
【0026】Mn:0.2 %以上3.0 %以下 本発明にかかる超高温用Fe−Ni−Al合金では、Mn含有量
が0.2 %以上であるとAl2O3 からなる酸化被膜の密着性
の改善に有効であり、また (β+γ) 2相構造を安定化
して加工性も改善するが、3.0 %超含有すると逆に耐酸
化性を悪化させる。そこで、本発明では、Mn含有量は0.
2 %以上3.0 %以下と限定する。好ましくは 0.5〜2.5
%、より好ましくは 0.7〜2.0 %である。
【0027】S:0.01%以下 Sは、0.01%超含有されると、酸化被膜と母材との界面
に偏析して酸化被膜の密着性を損なう。そこで、本発明
では、S含有量は0.01%以下と限定する。
【0028】Al:10%以上15%以下 Alは、10%以上添加されることにより、Al2O3 からなる
酸化被膜を形成して耐酸化性を高め、さらにNi、Feとと
もに (β+γ) 2相構造を保って加工性を改善する。し
かし、15%超添加されると加工性が劣化する。そこで、
本発明では、Al添加量は、10%以上15%以下と限定す
る。好ましくは10〜14%である。
【0029】Fe:20%以上50%以下 Feは、 (β+γ) 2相構造の安定化のために20%以上添
加するが、50%超添加すると逆に相安定性が失われ加工
性が悪化する。そこで、本発明では、Fe添加量は、20%
以上50%以下と限定する。好ましくは25〜45%である。
【0030】上記以外の組成は、Niおよび不可避的不純
物である。Ni含有量は50%以上である必要はないが、本
発明にかかる超高温用Fe−Ni−Al合金を構成する元素の
うちで最も多い含有量である。
【0031】本発明にかかる超高温用Fe−Ni−Al合金
は、さらに、以下に列記する元素を任意添加元素として
添加してもよい。以下、これらの任意添加元素について
説明する。
【0032】Cr:0.1 %以上5%以下、Co:0.1 %以上
5%以下、およびCu:0.1 %以上5%以下からなる群か
ら選ばれた1種または2種以上 いずれの元素もγ相を安定化して加工性を改善するた
め、本発明にかかる超高温用Fe−Ni−Al合金では0.1 %
以上添加するが、5%超添加すると相安定性が損なわれ
加工性が低下する。そこで、Cr、CoおよびCuの1種また
は2種以上を添加する場合には、Cr:0.1 %以上5%以
下、Co:0.1 %以上5%以下、Cu:0.1 %以上5%以下
とそれぞれ限定する。
【0033】Ti:0.1 %以上5%以下、およびV:0.1
%以上5%以下からなる群から選ばれた1種または2種 これらの元素は、ともに0.1 %以上含有することにより
γ' 相の析出により高温強度を高めるが、5%超含有す
ると靱性および耐酸化性が低下する。そこで、Tiおよび
/またはVを添加する場合には、Ti:0.1 %以上5%以
下、V:0.1 %以上5%以下と限定する。
【0034】W:1%以上10%以下、およびMo:0.5 %
以上5%以下からなる群から選ばれた1種または2種 これらの元素は、適量であると基地を強化し高温強度を
高めるが、過剰に添加すると相安定性が損なわれ加工性
が低下する。そこで、Wおよび/またはMoを添加する場
合には、W:1%以上10%以下、Mo:0.5 %以上5%以
下と限定する。
【0035】Y:0.01%以上0.25%以下、La:0.01%以
上0.25%以下、およびCe:0.01%以上0.25%以下からな
る群から選ばれた1種または2種以上を合計で0.25%以
これらの元素は、適量含有することにより、内部酸化物
の形成によりAl2O3 からなる酸化被膜の密着性を向上さ
せるが、単体および総量で過剰に含有すると加工性が悪
化するとともに耐酸化性の向上効果も飽和する。そこ
で、Y、LaおよびCeの1種または2種以上を添加する場
合には、Y:0.01%以上0.25%以下、La:0.01%以上0.
25%以下、Ce:0.01%以上0.25%以下であって、合計で
0.25%以下と限定する。
【0036】Mg:0.001 %以上0.02%以下 Mgは、0.001 %以上含有されることにより、Sを固定
し、熱間加工性およびAl2O3 からなる酸化被膜の密着性
を改善することができる。しかし、0.02%超添加する
と、Niとの低融点化合物を形成し加工性が劣化する。そ
こで、Mgを添加する場合には、0.001 %以上0.02%以下
と限定する。
【0037】以上の組成を有する本発明にかかる超高温
用Fe−Ni−Al合金は、耐酸化性、特にAl2O3 からなる酸
化被膜の密着性に優れるとともに加工性が良好であっ
て、例えば超高温用の鍛造合金として広く適用可能な
(β+γ) 2相超高温用Fe−Ni−Al合金である。さら
に、本発明を実施例を参照しながら詳述するが、これは
本発明の例示であり、これにより本発明が限定されるも
のではない。
【0038】
【実施例】表1および表2に示す組成の各種合金を17kg
真空溶解で溶製し、1200〜1250℃の温度域での熱間鍛造
によって厚さ25mm、幅100 mmのスラブにし、次いで仕上
温度:1200℃で3mmの板厚まで熱間圧延を行った。その
後、冷間圧延および焼鈍 (1200℃×5分) を複数回行っ
て、厚さが0.5mm の金属箔を製造した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】これらの金属箔を、1200℃に加熱された大
気中で30分間加熱した後室温で30分間冷却する操作を1
サイクルとし、これを200 サイクル行う繰り返し酸化試
験を行った。表1および表2には、熱間加工性の評価結
果、および繰り返し酸化試験結果を併せて示す。
【0042】なお、熱間加工性の評価は、熱間鍛造後の
スラブの外表面を目視観察し、割れがない場合は◎、軽
微な割れが生じたが熱間圧延できた場合は○、割れ発生
が著しく熱間圧延不可となった場合は×として評価し
た。
【0043】また、繰り返し酸化試験の結果は試験実施
前後の重量変化から計算した酸化増量を示し、耐酸化性
を評価した。すなわち、Al2O3 からなる酸化被膜の密着
性が不足すると冷却時に酸化被膜は剥離を繰り返すため
重量が減少するが、密着性が優れる場合はAl2O3 からな
る酸化被膜の生成に対応するわずかな重量増加を示す。
【0044】また、高温強度を1150℃での高温引張試験
により行い、表1および表2にはこれらの試験結果も併
記した。表1および表2から、本発明例(試料No.1ない
し試料No.53)は、熱間加工性が優れるとともに僅かな酸
化増量しか示さず、表面に生成したAl2O3 からなる酸化
被膜は密着性に優れており、優れた耐酸化性を有するこ
とがわかる。
【0045】特に、試料No.6、試料No.7、試料No.8、試
料No.16 、試料No.17 、試料No.18、試料No.19 、試料N
o.26 ないし試料No.31 、試料No.35 ないし試料No.38
、さらには試料No.40 、41、42、45、48、50〜52は、
それぞれ、Cr:0.1 %以上5%以下、Co:0.1 %以上5
%以下、およびCu:0.1 %以上5%以下からなる群から
選ばれた1種または2種以上を含有するため、γ相が安
定化して加工性を向上することができた。
【0046】試料No.9、試料No.10 、試料No.16 、試料
No.17 、試料No.20 ないし試料No.24 、試料No.26 ない
し試料No.30 、さらには試料No.32 ないし試料No.40 、
46、48、49、51、52は、それぞれ、Ti:0.1 %以上5%
以下、およびV:0.1 %以上5%以下からなる群から選
ばれた1種または2種を含有するため、γ' 相を析出さ
せて高温強度を高めることができた。
【0047】試料No.11 、試料No.12 、試料No.18 、試
料No.21 、試料No.23 、試料No.25、試料No.27 、試料N
o.29 、試料No.31 ないし試料No.35 、さらには試料No.
37ないし試料No.40 、41、43、46〜50、52は、それぞ
れ、W:1%以上10%以下、およびMo:0.5 %以上5%
以下からなる群から選ばれた1種または2種を含有する
ため、基地を強化して高温強度を高めることができた。
【0048】試料No.13 ないし試料No.15 、試料No.19
、試料No.22 、試料No.24 、試料No.25 、試料No.28
、試料No.30 、試料No.31 、試料No.33 、試料No.34
、さらには試料No.36 ないし試料No.40 、44、45、4
7、49〜52は、それぞれ、Y:0.01%以上0.25%以下、L
a:0.01%以上0.25%以下、およびCe:0.01%以上0.25
%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を合
計で0.25%以下含有するため、内部酸化物の形成により
Al2O3 からなる酸化被膜の密着性を向上することができ
た。
【0049】試料No.16 、試料No.18 さらには試料No.2
0 、42〜52は、それぞれ、Mg:0.001 %以上0.02%以下
を含有するため、Sを固定して、熱間加工性および酸化
被膜の密着性を改善することができた。これに対し、試
料No.54 は、Al含有量が本発明の範囲の下限を下回って
いるため、酸化被膜が安定せず剥離したため、酸化増量
が負の値を示した。
【0050】試料No.55 は、Mn含有量が本発明の範囲の
上限を上回っているため、酸化増量が負の値を示した。
試料No.56 ないし試料No.58 は、いずれも、Mn含有量が
本発明の範囲の下限を下回っているため、熱間加工性が
劣化した。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、加
工性および耐高温酸化性に優れたFe−Ni−Al合金を提供
でき、高温環境用部材として広く適用できることとなっ
た。特に、Al2O3 からなる酸化被膜の密着性に優れてお
り、加熱および冷却が繰り返される過酷な環境下での使
用に適している。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.1 %以下、Si:1.0 %
    以下、Mn:0.2 〜3.0 %、S:0.01%以下、Al:10〜15
    %、Fe:20〜50%、残部Niおよび不可避的不純物からな
    る合金であることを特徴とするスケール密着性に優れた
    超高温用Fe−Ni−Al合金。
  2. 【請求項2】 さらに、重量%で、Cr:0.1 〜5%、C
    o:0.1 〜5%、およびCu:0.1 〜5%からなる群から
    選ばれた1種または2種以上を含有する請求項1記載の
    超高温用Fe−Ni−Al合金。
  3. 【請求項3】 さらに、重量%で、Ti:0.1 〜5%、お
    よびV:0.1 〜5%からなる群から選ばれた1種または
    2種を含有する請求項1または2記載の超高温用Fe−Ni
    −Al合金。
  4. 【請求項4】 さらに、重量%で、W:1〜10%、およ
    びMo:0.5 〜5%からなる群から選ばれた1種または2
    種を含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
    超高温用Fe−Ni−Al合金。
  5. 【請求項5】 さらに、重量%で、Y:0.01〜0.25%、
    La:0.01〜0.25%、およびCe:0.01〜0.25%からなる群
    から選ばれた1種または2種以上を合計で0.25%以下含
    有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の超高温
    用Fe−Ni−Al合金。
  6. 【請求項6】 さらに、重量%で、Mg:0.001 〜0.02%
    を含有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の超
    高温用Fe−Ni−Al合金。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115491561A (zh) * 2022-08-23 2022-12-20 西安工业大学 一种用于柴油机缸盖的高韧高导三组元合金及制备方法

Cited By (1)

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CN115491561A (zh) * 2022-08-23 2022-12-20 西安工业大学 一种用于柴油机缸盖的高韧高导三组元合金及制备方法

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