JPH0732776B2 - 超音波媒体特性値測定装置 - Google Patents

超音波媒体特性値測定装置

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JPH0732776B2
JPH0732776B2 JP61252887A JP25288786A JPH0732776B2 JP H0732776 B2 JPH0732776 B2 JP H0732776B2 JP 61252887 A JP61252887 A JP 61252887A JP 25288786 A JP25288786 A JP 25288786A JP H0732776 B2 JPH0732776 B2 JP H0732776B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 本発明は超音波パルスを生体等の不均質媒体に送信し、
その反射波(エコー)を受信し、受信信号を解析して媒
体の不均質性に起因する誤差を減少するため、先ず、瞬
時周波数、エコー信号の対数の包絡線、瞬時スペクトラ
ムモーメント等のエコー信号からの誘導量を深さの関数
として求め、この誘導量の所定時刻の前後の範囲Tの窓
内に於ける該誘導量自体の以上変動値を除去又は抑圧す
る手段か、受信エコー信号から算出される重み関数を用
いて重み付平均を行う手段か、受信エコー信号から算出
される重み関数を用いた重み付最小自乗法によって特定
関数を該誘導量に回帰して該特定関数の微係数を求める
手段のいずれかの手段を設けることにより、減衰係数傾
斜をはじめとする音響特性値への不均質性に起因する誤
差を減少することを可能としたものである。
〔産業上の利用分野〕
本発明は生体等の不均質媒体の音響特性値を超音波パル
スを用いて定量的に測定する装置に関する。超音波パル
スを生体に送信し、その反射波からレーダの如く生体の
内部構造を映像化する所謂超音波エコー診断装置は広く
用いられているが、その表示輝度には定量性がなく構造
を示すにとどまり、生体組織の室(病変状況)を示すた
めに、音響的減衰係数、反射係数、音響インピーダン
ス、非線形伝播係数等の特性値を定量的に測定する要望
が強い。これらに於いて最も基礎となるものは減衰係数
で、その他の特性値を求めるには先ず減衰係数分布を知
ることが必要である。生体中には超音波パルス長よりも
短い間隔で不均質に多数の反射体が存在し、それぞれか
らの反射波は互いに重畳干渉して波形に著しい歪を生
じ、この重畳歪が減衰係数値より詳しくは後述する減衰
係数傾斜値に大きな誤差を生じる。また、血管壁や臓器
の壁からは上記多数の反射体から返ってくる反射波より
もはるかに大きな振幅を持った反射波が戻ってくる。こ
のため血管のある部位、臓器の周辺部ではさらに大きな
誤差を生じる。これらの誤差を極力抑圧して、精度よく
測定するために従来種々の方法が考案された。本発明は
このなかで、a)対数振幅、及び中心周波数を用いた方
法(以後、対数振幅周波数法と略称する。)、b)非正
規化スペクトラルモーメント法、c)正規化スペクトラ
ルモーメント法、4)位相法(瞬時周波数法とも呼ばれ
る)の精度向上に関するものである。
〔従来の技術〕
時刻t=0に体長(z=0)から体内に向かって送信さ
れたパルスは、深さ方向に進行すると共にそれぞれの深
さで反射波(エコー)を送り返す。エコーが再び体長で
受信される時間tと、そのエコーの発生深さzとは音速
cを介して次式で与えられる。
t=2π/c (1) したがって以下の説明で時刻と深さは同義語である。
各深さからはほとんど全てエコーをかえすので、送信は
パルス波であるにもかかわらず受信信号(エコー信号)
は時間の連続関数である。
ここで生体では減衰係数αは周波数に比例することが知
られておりβはその比例係数として定義される。
α=βf (2) βのディメンジョンは一般に〔dB/MHz/cm〕が用いられ
る。生体の減衰係数傾斜は0.3〜1.0dB/MHz/cmであると
いわれている。さて、この減衰係数傾斜によって受信エ
コーは深さとともに減衰してゆく。逆に受信エコーから
生体の減衰係数傾斜求め、映像化することによって診断
に役立てようとする試みが行われてきた。この試みを一
般的な式で表すと次式のようになる。
ここでkは定数、A(z)、B(z)はエコー信号x
(t)から算出される深さに関する関数、−は短時間平
均を示す。それぞれの手法においてk,A(z),B(z)
を具体的に示す。
a) 対数振幅周波数法(略称) k:8.686/2 ▲▼:中心周波数(ゼロクロス法等で得る) B(z):エコー信号の包絡線の対数 log(env(x(t)) または、エコー信号の対数の包絡線 env(log(x(t)) b) 非正規化スペクトルモーメント法 k:8.686/4 A(z):瞬時n+1次スペクトラルモーメント Mn+1(z) B(z):瞬時n次スペクトラルモーメント Mn(z) (但しn=0の場合、即ちA(z)=M0(z),B(z)
=M1(z)とする場合が最も精度が高い。) c) 正規化スペクトラルモーメント法 k:8.686/4 d) 瞬時周波数法(位相法とも呼ばれる) k:8.686/4 ▲▼:分散周波数 (パワスペクトラムの分散、既知の値を用いる) B(z):瞬時周波数 M1/M0 〔発明が解決しようとする問題点〕 ここで、 エコー信号の包絡線の対数 log(env(x(t)) エコー信号の対数の包絡線 env(log(x(t)) 瞬時n次スペクトラルモーメント Mn(z) 瞬時周波数 M1/M0 等はすべてエコー信号x(t)から算出出来る量であり
これらを誘導量と称することとする。
従来は第11図に示すように、誘導量を単なる時間窓平均
を行ったうえで式(3)にしたがってβを求めていた。
本図において、1は誘導量計算回路、22は時間窓平均回
路、3はβ平均回路である。すなわち、これらの誘導量
は最終的に減衰係数傾斜を求めるまでに、短時間の平均
が行われる。実際の生体を診断するために必要な分解能
は1cm程度であると一般に考えられているため、上記誘
導量も約1cmの幅で平均される。しかしながら、前述の
生体の不均質性からくる誤差が残ってしまい十分に正確
な減衰係数傾斜の推定値が得られなかった。さらに、 エコー信号の包絡線の対数 log(env(x(t)) エコー信号の対数の包絡線 env(log(x(t)) 瞬時n次スペクトラルモーメントMn(z) においてはエコー信号の振幅が大きく影響する量である
ため、前述の血管壁、臓器の壁等による大振幅の反射波
による誤差が問題となっている。
〔問題点を解決するための手段〕
誘導量を時間の関数として眺めた時、通常のランダムに
変動する部分と、異常にスパイク状に変動する部分とが
混在すること、又その異常部ではエコー信号の振幅が異
常に減少、増大をしていることが分かっている。本発明
はこれらの性質を利用して、時間関数としての誘導量に
対し、所定時刻の前後の範囲Tに窓内に於ける該誘導量
自体の以上変動値を除去又は抑圧する処理か、受信エコ
ー信号から算出される重み関数を用いて重み付平均を行
う処理か、受信エコー信号から算出される重み関数を用
いた重み付最小自乗法によって特定関数を該誘導量に回
帰して該特定関数の微係数を求める処理のいずれかの処
理を施すことにより、重量歪みによる誤差、散乱強度が
著しく低いことによる誤差、および大振幅の信号混入に
よる誤差を抑圧するものである。
〔作用〕
先ず、 エコー信号の包絡線の対数 log(env(x(t)) エコー信号の対数の包絡線 env(log(x(t)) 瞬時周波数 M1/M0 においては、スパイク状に異常変動する部分がみられ
る。この部分では元々受信エコーの音圧レベルが極端に
小さい部分に相当しており、このような部分は反射エコ
ー同士が打ち消し合っている場所と考えられ、従ってそ
の波形自体のS/N比も悪いし、そこから得た誘導値の精
度も悪いと考えられる。従ってそのような部分での情報
は無視し、S/N比の良い部分のみの情報を用いることに
より、正確な減衰係数傾斜βを求めることが出来る。誘
導値が時間データ列として得られている時、例えば時間
窓内の単純平均から時間窓内の変動の標準偏差の2〜3
倍以上離れたデータを棄却するような日線形処理を施す
ことにより、スパイクを除去することができる。このよ
うにして非線形処理で異常変動を除去又は抑圧された平
滑化誘導値からβを求めるには、さらに式(3)から求
めてもよいし、式(3)の微分の代わりに、適当な時間
幅で直線を最小二乗法で回帰させ、その傾斜を用いても
良い。つぎにエコー信号から重み関数を算出しておき、
誘導値の異常変動部分の重みを小さくしてβ算出に用い
る方法について述べる。誘導値が異常変動をおこすとこ
ろはエコー信号の振幅が異常に小さい場合と異常に大き
い場合とに分離して考えられる。前者は、生体が不均質
な多数の反射体であることにより誤差を産み出す場合、
及び血管内や嚢胞性病変部のようにエコーがほとんど返
って来ないことによって信号振幅が雑音に埋もれてしま
うことによる誤差が生ずる場合で、後者は血管壁、臓器
の壁等の強烈な反射体が存在することによる誤差を産み
出す場合である。簡単のため以後、上記三つの誤差をそ
れぞれ重畳誤差、低エコー誤差、境界誤差と呼ぶことに
する。重畳誤差および低エコー誤差はエコー信号の包絡
線の振幅が小さくなる場所で起きている。したがって包
絡線振幅の大なる部位の誘導値を重視し、小なる部位の
誘導値を軽視するように誘導値に重み付けして処理する
と誤差を低減出来、本発明のもう一つの概念を構成する
ものである。
包絡線波形をe(t)=env(x(t))とすると、重
み関数w(t)はe(t)の関数として単調増加する一
価関数で有ればよい。単純な一例として w(t)=e(t)n (n>0) (4) 等を用いることが出来る。
誘導量Q(t)に幅Tの時間窓での重み付平均操作 によって得られたQ(t)を用いて式(3)より減衰係
数傾斜βを求められる。勿論式(3)の微分の代わり
に、適当な時間幅で直線を最小二乗法で回帰させ、その
傾斜を用いても良い。
重み関数を用いる方法としては、次に述べる重み付最小
二乗法も有用である。
特定の関数f(t)、例えばtのn次式 f(t)=antn+an-1tn-1+……+a1t+a0 (6) を幅Tの時間窓内でw(t)を自乗誤差の重みとして最
小自乗法を用いて誘導量Q(t)に回帰させ、係数ai
(i=0〜n)を決定し、時刻tでの傾きを として得、式(3)で微分値として式(7)の値を用い
て減衰係数傾斜βを得ることが出来る。なお一般的には
特定の関数f(t)は一次式を用いると計算が簡単とな
る。勿論指数関数等の他の関数形を用いても良い。
次に境界誤差を低減する方法としてエコー信号のCFAR出
力を使って重み関数w(t)を作り出し、上記包絡線関
数をw(t)とした計算と同様の方法を用いる場合につ
いて説明する。CFAR処理系は第7図の如くに表される。
CFARはConstant False Alarm Rateの頭文字をとったも
ので、境界において反射してきたエコー信号の場所を容
易に判別できるべく開発された手法である。物理的には
エコー信号の対数の包絡線、もしくはエコー信号の包絡
線の対数から、それ自身の短時間平均を差し引いた信号
であると考えれば良い。実際にはCFAR出力は上記信号を
対数から真数に変換したものである。
CFAR処理系については電子通信学会技術研究報告US84−
38奥島、大槻、他「不均質媒体からのエコーの統計的性
質」に詳細に述べられている。
第7図においてエコー信号の包絡線、即ち所謂Aモード
信号a(t)をまず遅延回路14に入力する。この遅延回
路14はNケのタップ出力を持っており、1つのタップに
おいてd秒の遅延があるとそれぞれのタップからはa
(t−d),a(t−2d),a(t−3d),………,a(t−
Nd)が出力される。このNケの信号の積を乗算回路15に
よって得、さらにN乗根計算回路17でN乗根を求め、除
算回路16においてこのN乗根でa(t)を除することに
よってCFAR出力を得る事ができる。CFAR出力z(t)を
式で表すと次式のようになる。
CFAR出力z(t)は無次元の量である。両辺の対数をと
ると次式のようになる。
すなわちCFAR出力の対数(以後対数CFAR出力と称する)
は包絡線の対数log(a(t))から直前のNd秒の平均
値を減じたものである。よって臓器内部の比較的均一な
部分からのエコーの対数CFAR出力はほぼ一定値零とな
り、血管壁や臓器の壁のような境界からのエコーの部分
で対数CFAR出力は大きく跳ね上がる。一般的な目安とし
て、CFAR出力で4以上となる部分は境界からのエコーが
存在すると考えて良い。また、血管内では血液からのエ
コーだけが存在するが、血液は散乱強度が生体組織にく
らべて桁違いに小さいので対数CFAR出力は負の値をと
る。
ここでCFAR出力の例について第9図を用いて説明する。
第9図の横軸は時刻、縦軸は(i)包絡線の対数、(i
i)対数CFAR出力、(iii)CFAR出、(iv)重み関数を示
す。
第9図の(iii)のCFAR出力z(t)において、y
(t)=4なる直線を重ね画きしてある。z(t)がこ
の直線より高くなる時刻において第9図の(iv)の重み
関数の値を零と設定し、z(t)がこの直線より低くな
る時刻においては第9図(iv)の重み関数の値を1と設
定する。このようにすることによって、境界からのエコ
ーが存在する時刻のデータの重みを低くする重み関数を
作り出せる。
ここで、CFAR出力が第9図の如く例えば4以上となる時
刻の重み関数を零とし、その他の時刻の重み関数を1と
した上で重み付平均〔式(5)〕または重み付最小二乗
〔式(6),式(7)〕を用いると、境界等からの比較
的強烈なエコー信号による誤差を受けることなく減衰係
数傾斜βを正確に求めることが出来る。
次に、他のCFAR出力の例について第10図を用いて説明す
る。
第10図の横軸は時刻、縦軸は(i)包絡線の対数、(i
i)対数CFAR出力、(iii)CFAR出力、(iv)重み関数を
示す。
第10図の(ii)の対数CFAR出力log(z(t))におい
て、y(t)=−1.2なる直線を重ね画きしてある。log
(z(t))がこの直線より高くなる時刻において第10
図の(iv)の重み関数の値を1と設定し、log(z
(t))がこの直線より低くなる時刻においては第10図
(iv)の重み関数の値を零と設定する。このようにする
ことによって、血管内部からのエコーが存在する時刻の
データの重みを低くする重み関数を作り出せる。
第10図の如く、例えば対数CFAR出力が例えば−1.2以下
となる時刻の重み関数を零とし、その他の時刻の重み関
数を1とした上で重み付平均〔式(5)〕または重み付
最小二乗〔式(6),式(7)〕を用いるとS/N比の悪
い部分、例えば血管内の血液からのエコー信号を無視し
て計算するために減衰係数傾斜βを正確に求めることが
出来る。
以上重み関数は3種類の例を上げた。さらにこの3種類
のうち2種類、もしくは3種類の重み関数の積を求め、
新しい重み関数として用いても良い。このようにすれば
重畳誤差、低エコー誤差、境界誤差を同時に取り除くこ
とが出来る。
〔実施例〕
第1図は本発明の原理図である。
不均質媒体からの反射波であるエコー信号を誘導量計算
回路1において、誘導量を計算し、非線形平滑回路2に
おいて非線形平滑処理を施し、β計算回路3において減
衰係数傾斜βを得るものである。
ここに誘導量とは、エコー信号の対数の包絡線、エコー
信号の包絡線の対数、瞬時周波数、瞬時スペクトラルモ
ーメントをさす。
第2図,第3図,第4図に本発明の実施例としてメディ
アンフィルタ、重み付平均回路、重み付最小二乗特定関
数適合回路を用いた場合を示す。上記3例において用い
られている誘導量計算回路とは、前述のエコー信号から
の誘導量を算出する回路である。
メディアンフィルタには離散時間データが入力され、離
散時間データが出力されるものとする。時刻t−T/2か
ら時刻t+T/2の区間のNケの入力データを値の大きさ
の順に並べ変え、N/2番目の入力データをメディアンフ
ィルタの時刻tの出力とする。
重み関数w(t)を用いた誘導量Q(t)の重み付平均
は式(5)のように表される。これはまずw(t)とQ
(t)の積を求め、さらに幅Tの移動平均を行うことに
よって式(5)の分子を求める。同時にw(t)を幅T
の移動平均を行うことによって式(5)の分母を求め
る。次に分子を分母で除することによってQ(t)の重
み付平均が得られる。
重み関数w(t)は第5図,第6図,第8図に示した3
種類の方法で得る。
重み付最小自乗計算回路の目的は時刻tの前後Tの区間
において、特定関数f(t)を誘導量Q(t)に適合す
ることである。すなわち、重み関数w(t)と誘導量Q
(t)を入力し、特定関数 の係数an,an-1,……,a1,a0を出力する。
誘導量Q(t)から比較的滑らかな量であるf(t)が
決定されるということは時刻tの前後Tの区間において
誘導量Q(t)が平滑化されるということと同一であ
る。特定関数f(t)は上式のような形でもよいし、指
数関数でもよい。理想的には誘導量の期待値と同一の関
数形とするべきである。すなわち誘導量が対数の包絡線
であれば2次関数、瞬時周波数であれば一次関数、瞬時
スペクトラルモーメントであれば指数関数となる。重み
関数w(t)を用いた特定関数f(t)の誘導量Q
(t)への重み付最小自乗回帰計算は具体的には次のよ
うになる。簡単のためf(t)が一次関数の場合につい
て考える。また総ての信号を離散時間でサンプリングし
たものとして考える。区間内の時刻も離散時刻 t1,t2,………,tN で考える。これより として求まる。上記2つの係数をつぎのβ計算回路4に
入力する。β計算回路4では誘導値を平滑化した信号f
(t)の微係数で求め、さらにβを算出する。f(t)
は一次関数であるから時刻tにおける微係数はa1とな
る。時刻tが変化するに従ってa1,a0も変化してゆく。
重み関数w(t)は第5図,第6図,第8図に示した3
種類の方法で得る。
誘導量の例として、エコー信号の包絡線の対数、もしく
はエコー信号の対数の包絡線は、対数増幅器と包絡線検
波回路で容易に得ることができる。また、誘導量の別の
例として、瞬時スペクトラルモーメントは、直交検波回
路と微分フィルタと乗算器、加算器、減算器によって容
易に得られる。FFTプロセッサを用いてもよいし、90゜
フエィズシフタによって前述の直交検波の代わりとして
用いてもよいことは周知の事実である。瞬時周波数は瞬
時スペクトラルモーメントの1次を0次で除することに
よって容易に得られる。以上、誘導値計算回路は容易に
構成できるので、説明はこの程度にとどめる。
また重み付平均回路は、重み関数と信号の積の移動平均
を重み関数の移動平均で除することによって容易に構成
出来る。さらに重み付最小二乗特定関数適合回路も、乗
算器、加算器、減算器、移動平均回路、除算器によって
容易に構成できる。
ここで、各々の誘導量である対数の包絡線、包絡線の対
数、瞬時周波数、瞬時スペクトラムモーメントにつき、
これらを求めるための手段について説明を施す。
(対数の包絡線) エコー信号を対数アンプに通したあと、両波整流回路、
次に平滑回路を順に通して得る。これは超音波診断装置
のAモード信号を得るための一般的な回路であり広く知
れわたっている。
尚、“Aモード信号”という用語は、上記のように振幅
が対数の場合と、時には真数の場合との2種類を区別せ
ずに使っている。
(包絡線の対数) エコー信号を、両波整流回路、平滑回路を通したあと、
対数アンプに通して得る。両波整流回路、平滑回路の代
わりに直交検波回路を用いてもよい。
(瞬時周波数) FUJITSU Scientific and Technical Journal Vol.21,N
o.2,(June 15,1985)に掲載されている論文、H.Miwa
“Attenuation Extraction from Quadrature−Detected
Phase of an Ultrasonic Echo in Bio−Tissue Charac
terization"に詳述されている。
簡単にいうと、直交検波回路にエコー信号を入力し、そ
の出力の同相出力i(t)及び直交出力q(t)から 但し・は時間微分 として求まる。
(瞬時スペクトラルモーメント) 上記資料にも述べられている。p179−p180のreference
の(6)−(16)において詳述されている。また、特願
昭58−77226(特開昭59−203549号)の中山、司波「超
音波診断装置」に具体的な回路構成が示されている。但
し、瞬時という意味はスペクトラルモーメントを得る際
に解析区間幅を零にもっていったということを示してい
る。
簡単に計算方法を述べると、直交検波回路にエコー信号
を入力し、その出力の同相出力i(t)及び直交出力q
(t)から を求め、 と求まる。
重み付平均回路、重み付最小二乗特定関数適合回路の為
に重み関数を用意しなければならない。第5図に包絡線
の巾乗を重みとして得る回路の構成を示す。
この図は重み関数をエコー信号から算出するための重み
関数計算回路の構成を示す図である。重み関数としてエ
コー信号の包絡線の巾乗を用いる場合にこの構成をと
る。
包絡線検波回路は、両波整流回路と平滑回路で構成して
もよいし、直交検波回路の2出力の自乗和の平方根を求
めてもよい。包絡線検波回路はいろいろな方式がある
し、広く知れ渡った技術である。巾乗については、包絡
線をa(t)とすると、 を決算する。mは正の実数である。mはたとえば1,2,3,
4の4種類に限定すると、入力xに対して出力がxのm
乗となるような回路をROM等を利用して構成することが
できる。
まず、エコー信号を包絡線検波回路8に通し、得られた
包絡線を出力が入力の巾乗となる入出力特性を持った増
幅器9を通すことによって、重み関数w(t)を得るこ
とができる。また、第6図にはCFAR処理系を利用した重
み関数計算回路の構成を示す。エコー信号を包絡線検波
回路8に通し、得られた包絡線を第7図のCFAR処理系に
通すことによってCFAR出力を得ることが出来る。これを
2ケのコンパレータ11に入力する。一方のコンパレータ
に許容できるCFAR出力の下限を設定しておき、他方に
は、上限を設定しておく。コンパレータはそれぞれ設定
値よりもCFAR出力が大となる間は1を出力し、小となる
間は0を出力する。よって上限を設定したコンパレータ
の出力をNOT回路12に通し、下限を設定したコンパレー
タの出力とNOT回路12の出力のAND回路13でとることによ
って、CFAR出力が上限と下限の間にある間のみ1となる
重み関数を得ることができる。このCFAR処理系を利用し
た重み関数計算回路は前述したように、第8図のように
構成することも出来る。まずエコー信号を対数増幅器18
に通し、その出力を包絡線検波回路8に入れることによ
って、包絡線の対数と等価な信号が得られる。さらに遅
延回路14、加算回路20、定数倍回路21によって短時間平
均を求め、減算回路19によって包絡線の対数からそれ自
身の短時間平均を差し引いた信号が得られる。これはCF
AR出力の対数をとったもの(対数CFAR出力)である。あ
とは第6図と同様に、対数CFAR出力が上限と下限の間だ
け1となりその他の時刻は0となるように構成してあ
る。この構成ではエコー信号の対数の包絡線が得られる
ので、対数振幅周波数法に適した方法である。また、出
力された重み関数に適当な時間幅の移動平均をかけ、ス
レシホールドレベル1のコンパレータを通すことによっ
て、重み関数が0となる部分を一定幅だけ増加させ、第
9図のように血管内でわずかに下限設定値を越える部分
で重みが1となってしまう誤差を避けることができる。
重み関数は1と0の2値をとるようにしたが、例えば上
限を越えた場合は0.2として下限を下回った場合は0.3と
する、ということも簡単に出来る。この場合、AND回路
は乗算回路に置き換える必要があるのはもちろんであ
る。また、CFAR処理系は、包絡線の対数から直前のNデ
ータの平均を差し引いたものとしているが、もちろん前
後N/2データの平均を差し引くように構成してもかまわ
ない。これは包絡線の対数をN/2データ分の遅延回路を
通すことによって実現出来る。
ここで以上のように重み関数を用いた場合、解析区間の
中に重みの低い部分が大きく占める場合も有りえる。例
えば太い血管が存在する場合には、血管壁−血液−血管
壁の部分が重み零となり、解析区間の中の有効なデータ
数が非常に少なくなる。この結果最終的に算出される減
衰係数傾斜のばらつきが増大する。このような不都合を
避けるために、例えば有効なデータ数が一定となるよう
に解析区間長を可変とすることによって実質的な分解能
を犠牲にしたうえで精度の低下を避けることが出来る。
以上の実施例ではいずれも時間即ち深さの関数として減
衰係数傾斜βが求まる。このβの値を輝度や色に変換
し、1本の走査線上に表示させ、走査線を順次移動走査
することによってβの2次元分布画像を得ることができ
る。
〔発明の効果〕
本発明によれば誘導値に混在するその異常変動値の影響
を除去、または抑制することが出来るので誘導値から得
られる減衰係数傾斜等の情報の変動を抑圧し、精度を上
昇することが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の原理を示す図、第2図,第3図,第4
図は具体的な構成を示す図、第5図,第6図は重み関数
を算出する回路の構成を示す図、第7図はCFARの原理を
示す図、第8図は第6図の変形例を示す図、第9図,第
10図ではCFAR処理系を利用して重みを計算する方法を説
明する図、第11図は従来例を説明する図。 図中、1は瞬時周波数、エコー信号の対数の包絡線等の
エコー信号からの誘導量を計算する回路、2は非線形平
滑回路、3は式(3)に基づいて減衰係数傾斜βを求め
る回路、4は所謂メディアンフィルタ、5は重み付平均
回路、6はエコー信号から重み関数を計算する回路、7
は特定関数を誘導量に重み付最小乗適合する回路、8は
包絡線検波回路、9は巾乗計算回路、10はCFAR処理系、
11はコンパレータ、12はNOT回路、13はAND回路、14は遅
延回路、15は乗算回路、16は除算回路、17はN乗根計算
回路、18は対数増幅器、19は加算回路、20は加算回路、
21は1/N倍する回路、22は時間窓平均回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 勇 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 志村 孚城 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 林 治 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−179745(JP,A) 特開 昭59−95036(JP,A) 特開 昭60−259252(JP,A) 特公 昭6−13027(JP,B2)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超音波パルスを媒体に送信し、その反射波
    を受信し、受信エコー信号を解析して、媒体の音響特性
    を測定する装置において、 受信エコー信号から算出した誘導量を時間の関数として
    求める手段、 該誘導量に対し、所定時刻の前後の範囲Tの窓内におけ
    る該誘導量自体の異常変動値を除去又は抑圧する平滑化
    処理を施す手段、 該平滑化された誘導量の時間による変化から減衰係数の
    周波数依存傾斜を求める手段、 を有することを特徴とする超音波媒体特性値測定装置。
  2. 【請求項2】超音波パルスを媒体に送信し、その反射波
    を受信し、受信エコー信号を解析して、媒体の音響特性
    を測定する装置において、 受信エコー信号から算出した誘導量を時間の関数として
    求める手段、 該誘導量に対し、受信エコー信号から算出される重み関
    数を用いて重み付平均を行う平滑化処理を施す手段、 該平滑化された誘導量の時間による変化から減衰係数の
    周波数依存傾斜を求める手段、 を有することを特徴とする超音波媒体特性値測定装置。
  3. 【請求項3】超音波パルスを媒体に送信し、その反射波
    を受信し、受信エコー信号を解析して、媒体の音響特性
    を測定する装置において、 受信エコー信号から算出した誘導量を時間の関数として
    求める手段、 受信エコー信号から算出される重み関数を用いて重み付
    最小自乗法によって特性関数を該誘導量に回帰し、該特
    性関数の微係数を求めることにより減衰係数の周波数依
    存傾斜を求める手段、 を有することを特徴とする超音波媒体特性値測定装置。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第(3)項において該特性
    関数が、1次関数であることを特徴とする超音波媒体特
    性値測定装置。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第(1)項乃至第(3)項
    において、該特性関数が、瞬時周波数であることを特徴
    とする超音波媒体特性値測定装置。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第(1)項乃至第(3)項
    において、該誘導量が、エコー信号の包絡線の対数であ
    ることを特徴とする超音波媒体特性値測定装置。
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第(1)項乃至第(3)項
    において、該誘導量が、エコー信号の対数の包絡線であ
    ることを特徴とする超音波媒体特性値測定装置。
  8. 【請求項8】特許請求の範囲第(1)項乃至第(3)項
    において、該誘導量が、エコー信号の瞬時スペクトラム
    モーメントであることを特徴とする超音波媒体特性値測
    定装置。
  9. 【請求項9】特許請求の範囲第(2)項において、該重
    み関数が、エコー信号の包絡線の関数であることを特徴
    とする超音波媒体特性値測定装置。
  10. 【請求項10】特許請求の範囲第(9)項において、包
    絡線の関数が包絡線振幅のn乗で、且つnが正の実数で
    あることを特徴とする超音波媒体特性値測定装置。
  11. 【請求項11】特許請求の範囲第(2)項において、該
    重み関数が、エコー信号のCFAR出力の振幅が前もって設
    定した範囲を超える部分で値が低い重み関数であること
    を特徴とする超音波媒体特性値測定装置。
  12. 【請求項12】特許請求の範囲第(2)項において該重
    み関数から有効データ数が一定となるように解析区間長
    を算出する手段を持ち、かつその可変解析区間長に応じ
    て重み付け平均を行う手段を持つことを特徴とする超音
    波媒体特性値測定装置。
  13. 【請求項13】特許請求の範囲第(3)項において、該
    重み関数が、エコー信号の包絡線の関数であることを特
    徴とする超音波媒体特性値測定装置。
  14. 【請求項14】特許請求の範囲第(13)項において、包
    絡線の関数が包絡線振幅のn乗で、且つnが正の実数で
    あることを特徴とする超音波媒体特性値測定装置。
  15. 【請求項15】特許請求の範囲第(3)項において、該
    重み関数が、エコー信号のCFAR出力の振幅が前もって設
    定した範囲を超える部分で値が低い重み関数であること
    を特徴とする超音波媒体特性値測定装置。
  16. 【請求項16】特許請求の範囲第(3)項において該重
    み関数から有効データ数が一定となるように解析区間長
    を算出する手段を持ち、かつその可変解析区間長に応じ
    て重み付最小自乗法を行う手段を持つことを特徴とする
    超音波媒体特性値測定装置。
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