JPH07314887A - 画像形成方法及びこれに用いるインクセットとインクジェット用機器 - Google Patents

画像形成方法及びこれに用いるインクセットとインクジェット用機器

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JPH07314887A
JPH07314887A JP6601595A JP6601595A JPH07314887A JP H07314887 A JPH07314887 A JP H07314887A JP 6601595 A JP6601595 A JP 6601595A JP 6601595 A JP6601595 A JP 6601595A JP H07314887 A JPH07314887 A JP H07314887A
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JP
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ink
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ink set
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water
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JP6601595A
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Yutaka Kurabayashi
豊 倉林
Katsuhiro Shirota
勝浩 城田
Katsuhiko Takahashi
勝彦 高橋
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 定着性及び文字品位が良好で、実用上十分な
画像濃度でブロンズ現象のない耐水性のある黒色印字物
を与えるインクセット及びこれを用いた画像形成方法と
機器類を提供する。 【構成】 カチオン性物質を含む液体組成物とイエロ−
インク、シアンインク及びマゼンタインクとを組み合わ
せたインクセットにおいて、前記3種のインクが何れも
水溶性アニオン染料を含み、且つこれらインクを併用し
て表現した被記録媒体上の黒色画像の色度:CIE L
*** が、下記の数式範囲にあることを特徴とする
インクセット、及びこれを適用した画像形成方法と機器
類である。 10≦L* ≦30 0≦a* ≦7 −10≦b* ≦0

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像形成方法、及びか
かる方法に用いるインクセットとインクジェット用機器
類に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、インクの小
滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて記録を行う
ものである。特に、特公昭61−59911号公報、特
公昭61−59912号公報、特公昭61−59914
号公報において開示された吐出エネルギー供給手段とし
て電気熱変換体を用い熱エネルギーをインクに与えて気
泡を発生させることにより液滴を吐出させる方法によれ
ば、記録ヘッドの高密度マルチオリフィス化が容易に実
現でき、高解像度、高品質の画像を高速で記録できる。
【0003】しかしながら、従来のインクジェット記録
に用いられるインクは一般に水を主成分とし、これに乾
燥防止、目詰まり防止等の目的でグリコール等の水溶性
高沸点溶剤を含有したものであり、このようなインクを
用いて普通紙に記録を行った場合、十分な定着性が得ら
れなかったり、記録紙表面の填料やサイズ剤の不均一な
分布によると推定される不均一画像が発生したりする。
また特にカラー画像を得ようとした場合には、複数の色
のインクが紙に定着する以前に次々と重ねられることか
ら、異色のインク画像の境界部分では色が滲んだり、不
均一に混ざり合って(以下、この現象をブリーディング
と呼ぶことにする)満足すべき画像が得られない。
【0004】定着性を高める手段として、特開昭55−
65269号公報には、インク中に界面活性剤等の浸透
性を高める化合物を添加することが開示されている。ま
た特開昭55−66976号公報には揮発性溶剤を主体
としたインクを用いることが開示されている。しかし、
前者の方法ではインクの記録紙への浸透性が高まる結
果、定着性、ブリーディングについてはある程度改善さ
れるものの、インクとともに色材も記録紙の奥深くまで
浸透してしまうために画像濃度、彩度が低下したりする
などの不都合が発生するほか、インクの横方向に対する
広がりも発生し、その結果、エッジのシャープさが低下
したり、解像性が低下したりする問題も発生する。他
方、後者の場合には、前者の不都合に加え、記録ヘッド
のノズル部での溶剤の蒸発による目詰まりが発生しやす
く好ましくないものである。
【0005】さらに、上述した問題点を改善するため
に、記録インクの噴射に先だって記録媒体上に画像を良
好にせしめる液体を付着させる方法が開示されている。
【0006】例えば、特開昭63−299971号公報
には1分子あたり2個以上のカチオン性基を有する有機
化合物を含有する液体を付着させた後、アニオン染料を
含有したインクを記録する方法が開示されている。ま
た、特開昭64−9279号公報には、コハク酸等を含
有した酸性液体を付着させた後、アニオン性染料を含有
したインクを記録する方法が開示されている。
【0007】さらに特開昭64−63185号公報に
は、染料を不溶化させる液体をインクの記録に先だって
行うという方法が開示されている。
【0008】しかし上記いずれの方法も染料自体の析出
により画像の滲みや耐水性を向上させようとするもので
あるが、染料を不溶化しているがために染料の凝集体が
発色性を著しく低下せしめるという問題点がある。
【0009】特に水溶性黒色染料を含む黒色のインクを
このような画像形成方法に使用した場合には、染料の凝
集による発色性の低下が顕著であり本来ならば黒色に発
色すべき印刷部分に赤味がかかる現象、すなわちブロン
ズ現象が起こり印刷物の品質に多大な影響をおよぼす。
【0010】また、イエロー、シアン、マゼンタインク
の3色混合によって形成されるプロセスブラックにおい
てもブロンズ現象が起こりやすい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記従来技術の実情に鑑みて、下記4点の技術課題を解決
することを主たる目的とする。
【0012】即ち、被記録媒体としての所謂、普通紙に
対してインクジェット記録を行う場合に、 (1)良好な定着性を有しながら文字品位も良好である
こと。 (2)十分な画像濃度が得られ、べた画像の均一性が高
いこと。 (3)ブロンズ現象を起こすことなく良好な黒色印字物
を得ること。 (4)記録画像の耐水性を完全にすること。 を達成することが本発明の主たる目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】上記の目的は、
以下の本発明によって達成される。
【0014】即ち、第一の本発明は、カチオン性物質を
含む液体組成物とイエロ−インク、シアンインク及びマ
ゼンタインクとを組み合わせたインクセットにおいて、
前記3種のインクが何れも水溶性アニオン染料を含み、
且つこれらインクを併用して表現した被記録媒体上の黒
色画像の色度:CIE L*** が、下記の数式範
囲にあることを特徴とするインクセットである。
【0015】10≦L* ≦30 0≦a* ≦7 −10≦b* ≦0
【0016】又、第二の本発明は、カチオン性物質を含
む液体組成物とイエロ−インク、シアンインク及びマゼ
ンタインクを併用して黒色部を形成する画像形成方法に
おいて、前記各インクが何れも水溶性アニオン染料を含
み、且つこれらインクを併用した被記録媒体上の黒色画
像の色度:CIE L*** が、下記の数式範囲に
あることを特徴とする画像形成方法であり、 10≦L* ≦30 0≦a* ≦7 −10≦b* ≦0
【0017】第三の本発明は、インクジェット方式によ
り液体組成物とイエロ−インク、シアンインク及びマゼ
ンタインクを被記録媒体に付与して黒色部の記録を行う
画像形成方法において、前記第一の本発明であるインク
セットを適用したことを特徴とする画像形成方法であ
る。
【0018】更に、第四の本発明は、液体組成物及びイ
ンクの収容部とこれらを滴として吐出するヘッド部とを
併有する記録ユニットにおいて、前記第一の本発明であ
るインクセットを適用したことを特徴とする記録ユニッ
トであり、第五の本発明は、液体組成物及びインクの収
容部を備えたインクカ−トリッジにおいて、前記第一の
本発明であるインクセットを適用したことを特徴とする
インクカ−トリッジである。
【0019】更には又、第六の本発明は、前記第四の本
発明である記録ユニット又は前記第五の本発明であるイ
ンクカ−トリッジを備えたことを特徴とするインクジェ
ット記録装置である。
【0020】更に別の本発明は、カチオン性物質を含む
液体組成物と、各々、水溶性アニオン染料を含むイエロ
−インク、シアンインク及びマゼンタインクとを併用し
て表現され、且つ被記録媒体上の色度:CIE L*
** が、下記の数式範囲にある黒色部を含むことを特
徴とする画像である。
【0021】10≦L* ≦30 0≦a* ≦7 −10≦b* ≦0
【0022】次に本発明の作用について述べる。
【0023】本発明では、上述した液体組成物とインク
が記録紙上あるいは記録紙に浸透した所で混合する結
果、カチオン性物質とインク中に含まれる染料のアニオ
ン性基が静電的に結合して瞬間的な凝集が起こり、イン
ク中の染料成分と溶剤成分が分離(以後、この現象を固
液分離と呼ぶ)し、溶剤成分のみ記録紙中に浸透するの
で色材である染料成分は滲みを起こさない。
【0024】以上説明した固液分離は、液体組成物がカ
チオン性物質として分子量1000以下の成分と分子量
1500以上の成分を含む場合にはより効率的に起こ
る。なお、本発明で言う分子量とは数平均分子量のこと
を意味し、これはGPC(ゲルパーミエイションクロマ
トグラフィー)等の手法を用いて測定されるものであ
る。
【0025】液体組成物中に分子量の異なる2種のカチ
オン性物質が存在した場合に前述した固液分離がより一
層効率的に起こる理由について詳細なメカニズムは不明
であるが、概ね以下のような説明が可能である。
【0026】まず、反応の第1段階として液体組成物中
に含まれているカチオン性物質の内、低分子量の成分と
インクに使用しているアニオン性基を有する水溶性染料
がイオン的相互作用により会合を起こし瞬間的に溶液相
から分離を起こす。
【0027】つぎに反応の第2段階として、上述した染
料と低分子カチオン性物質の会合体が液体組成物中に含
まれる高分子成分により吸着されるために会合で生じた
染料の凝集体のサイズがさらに大きくなり、記録紙の繊
維間の隙間に入り込みにくくなり、その結果として固液
分離した液体部分のみが記録紙中にしみこむことになり
印字品位と定着性の両立が達成される。
【0028】同時に上述したようなメカニズムにより生
成したカチオン物質の低分子成分とアニオン性染料とカ
チオン性物質とで形成される凝集体は粘性が大きくなり
液媒体の動きとともに移動することがないので従来技術
のように定着性を速めても文字又は画像のエッジのシャ
ープさが失われず良好な印字品位が得られる。また、上
記凝集体は本質的に水不溶性であり形成された画像の耐
水性は完全なものとなる。
【0029】本発明では、上記凝集体は記録紙上で結晶
化を起こす場合もあるものと推定され、インクの染料濃
度や染料種或いはインクの吐出量や紙種の違いにより、
特にインクが黒色である場合には色調に赤みがかかり黒
色を呈さない場合が起こりうる。この現象はイエロー、
シアン、マゼンタインクの3色混合によって形成される
プロセスブラックにおいても同様の問題であった。
【0030】そこで、イエロー、シアン、マゼンタイン
クの3色混合によって黒色画像を形成する際に、下記3
点に示す手段を用いた。 (1)イエロー、シアン、マゼンタの各インクに用いる
水溶性アニオン染料の組み合わせを最適化する。 (2)黒色画像を形成する際のイエロー、シアン、マゼ
ンタの各インクの打ち込み比を制御する。 (3)イエロー、シアン、マゼンタの各インクの少なく
とも1つ以上にアニオン性の界面活性剤あるいはアニオ
ン性の高分子物質を添加する。
【0031】その結果、被記録媒体上での黒色画像の色
度:CIEL***が下記数式範囲にあるような良好
な黒色画像が得られることを見出し、本発明に至った。
【0032】10≦L ≦30 0≦a ≦7 −10≦b ≦0
【0033】(好ましい実施態様)つぎに本発明の好ま
しい実施態様について述べ、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0034】まず、液体組成物について述べる。
【0035】本発明で述べる液体組成物に含有されるべ
き必須成分は、カチオン性物質である。本発明における
カチオン性物質の機能としては、後述するインク中に含
有される水溶性アニオン染料と静電的引力により結合し
凝集体を形成することである。本発明を実施するうえで
さらに好ましい実施形態は上述したように上記カチオン
性物質が下記の2成分を有することである。
【0036】(1)分子量が1000以下の低分子カチ
オン性物質 (2)分子量が1500以上10000以下の高分子カ
チオン性物質または本発明で述べるインクを構成する必
須成分は、 (3)アニオン性基を含有する水溶性アニオン染料 である。
【0037】(1)の分子量1000以下の低分子カチ
オン性物質の具体的な例を以下に列挙する。
【0038】1級ないし2級ないし3級アミン塩型の化
合物、具体的にはラウリルアミン、ヤシアミン、ステア
リルアミン、ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩等;第4
級アンモニウム塩型の化合物、具体的にはラウリルトリ
メチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベン
ジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアン
モニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム等;ピリジ
ニウム塩型化合物、具体的にはセチルピリジニウムクロ
ライド、セチルピリジニウムブロマイド等;イミダゾリ
ン型カチオン性化合物、具体的には2−ヘプタデセニル
−ヒドロキシエチルイミダゾリン等;高級アルキルアミ
ンのエチレンオキシド付加物、具体的にはジヒドロキシ
エチルステアリルアミン等である。さらに本発明では、
あるpH領域においてカチオン性を有する両性界面活性
剤も使用できる。より具体的には、アミノ酸型両性界面
活性剤、R−NH−CH2 −CH2 −COOH型の化合
物、ベタイン型の化合物、具体的にはステアリルジメチ
ルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等の
カルボン酸塩型両性界面活性剤の他、硫酸エステル型、
スルホン酸型、燐酸エステル型等の両性界面活性剤等が
ある。もちろんこれらの両性界面活性剤を使用する場合
にはそれらの等電点以下のpHになるように液体組成物
を調整するか、記録媒体上でインクと混合した場合に該
等電点以下のpHになるように調整するかのいずれかの
方法をとる必要がある。
【0039】以上低分子カチオン性化合物の例を挙げた
が本発明で使用することのできる化合物は必ずしもこれ
らに限定されないことは言うまでもない。
【0040】(1)の別の例としては、後述するカチオ
ン性高分子成分のモノマー或いはオリゴマーを利用して
もよい。
【0041】以上分子量1000以下の低分子カチオン
性物質の例を挙げたが、本発明では分子量100〜70
0の範囲にあるものが界面活性能があり、染料との反応
も早く、画像のエッジのシャープさが向上する点で特に
好ましい。
【0042】また(2)の分子量分が1500以上10
000以下のカチオン性高分子物質の本発明における作
用及び効果についてはやはり上述した通り、無色の液体
とインクの反応の第2段階として、上述した染料とカチ
オン性物質の低分子成分との会合体を分子中に吸着せし
め、会合で生じた染料の凝集体のサイズをさらに大きく
して記録紙の繊維間の隙間に入り込みにくくすることに
より、固液分離した液体部分のみを記録紙中にしみこま
せることで印字品位と定着性の両立を達成することにあ
る。これらのカチオン性高分子物質は、例えばポリアリ
ルアミン塩酸塩、ポリアミンスルホン塩酸塩、ポリビニ
ルアミン塩酸塩、キトサン酢酸塩等を挙げることができ
るが、もちろんこれらに限定されるわけではない。また
塩酸塩型、酢酸塩型に限定されるわけではない。
【0043】また別の具体例としては、ノニオン性高分
子物質の一部をカチオン化した化合物でもよい。
【0044】具体的には、ビニルピロリドンとアミノア
ルキルアルキレート4級塩との共重合体、アクリルアマ
イドとアミノメチルアクリルアマイド4級塩との共重合
体等を挙げることができるが、もちろんこれらの化合物
に限定されないことは言うまでもない。
【0045】更に、上述した高分子物質及びカチオン性
の高分子物質は水溶性であれば申し分ないが、ラテック
スやエマルションの様な分散体であってもかまわない。
【0046】これらのカチオン性高分子物質の分子量と
しては1500以上10000以下の化合物が本発明を
実施するうえで好ましいが、より好適には1500以上
7000以下の化合物が染料の発色性を低下させないと
いう点でさらに好ましい。また液体組成物をインクジェ
ット記録ヘッドを用いて記録媒体に塗布する際には、分
子量が低分子量側にある化合物ほど含有量を上げても、
溶液粘度が低く保たれるので液体組成物の吐出特性が良
好に保たれる利点もある。
【0047】なお、以上述べた分子量については、例え
ばGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)
等の分析手法により得られるポリエチレンオキシド換算
の分子量のことを指す。
【0048】液体組成物中に含有されるこれらの成分の
量としては、重量基準で0.05〜20重量%が好適な
範囲であるが、各々使用する物質の組み合わせにより、
最適な範囲を決定する必要がある。
【0049】つぎに前記液体組成物を構成するその他の
成分について具体的に述べる。前記液体組成物は前述し
た(1)、(2)の成分の他に通常、水、水溶性有機溶
剤及びその他の添加剤からなる。
【0050】水溶性有機溶剤としては、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン
等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル類、ポリエチレングルコール、ポリプロピレング
リコール等のポリアルキレングリコール類、エチレング
ルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサント
リオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、
ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エ
チレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメ
チルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテ
ル類、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチ
ルアルコール、イソブチルアルコール等の1価アルコー
ル類の他、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、トリエタノール
アミン、スルホラン、ジメチルスルホキサイド等が用い
られる。上記水溶性の有機溶剤の含有量について特に制
限はないが、1〜60重量%、さらに好ましくは、5〜
30重量%が好適な範囲である。この他、必要に応じ
て、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸
化防止剤、蒸発促進剤等の添加剤を配合してもかまわな
い。界面活性剤の選択は、液体の浸透性を調整する上で
特に重要である。
【0051】本発明で述べる液体組成物は、記録インク
の色調を変えない範囲の色調を有するものであれば、使
用可能である。又、その液体の物性として好適な範囲は
25℃付近でpHが3〜12、表面張力が10〜60d
yne/cm、粘度が1〜30cps.の範囲である。
【0052】つぎに、本発明で使用する記録インクにつ
いて説明する。
【0053】本発明で使用する記録インクは、上述した
アニオン性基を有する水溶性アニオン染料と水、水溶性
有機溶剤、及びその他の成分、例えば粘度調整剤、pH
調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等からなる。
【0054】本発明で使用するアニオン性基を含有する
水溶性アニオン染料としては、カラーインデックス(C
OLOUR INDEX)に記載されている水溶性の酸
性染料、直接染料、反応性染料であれば特に限定はな
い。また、カラーインデックスに記載のないものでも、
アニオン性基、例えばスルホン基、カルボキシル基等を
有するものであれば特に制限はない。ここで言う水溶性
アニオン染料の中には、溶解度のpH依存性があるもの
も当然含まれる。
【0055】本発明で使用するアニオン性基を含有する
水溶性シアン染料としては、カラーインデックス(CO
LOR INDEX)に記載されている水溶性の酸性染
料、直接染料、反応性染料であれば特に限定はない。
【0056】例えば、C.I.アシッドブルー1、7、
9、23、103、132、142、230、239、
258、280、C.I.ダイレクトブルー78、8
6、189、199、225、273、C.I.リアク
ティブブルー2、14、18、21、25、38、4
1、63、72、140、207、227、231等が
例示可能であるがこれらに限定されるわけではない。
【0057】また、カラーインデックスに記載のない染
料でもアニオン性基例えばスルホン基、カルボキシル基
等を有するものであれば特に問題無く使用出来る。
【0058】イエロー染料についてもシアン染料同様に
アニオン性基を有する水溶性アニオン染料であれば特に
問題無く使用することが可能である。
【0059】具体的にはC.I.ダイレクトイエロー8
6、142、144、C.I.アシッドイエロー11、
17、23、25、38、44、49、61、72、1
10、127、158、176等が例示可能であるがこ
れらに限定されるわけではない。
【0060】またマゼンタ染料についても同様にアニオ
ン性基を有する水溶性アニオン染料であれば特に問題無
く使用することが出来る。
【0061】具体的には、C.I.アシッドレッド6、
8、35、37、52、92、133、289等のカラ
ーインデックス(COLOUR INDEX)に記載さ
れている水溶性の酸性染料、直接染料、反応性染料や、
さらに下記一般式で表される染料も含まれる。
【0062】
【外3】 〔ただし、式中R1、R2、R3は下記の官能基を表わ
す。
【0063】R1、R2;H、CH3、OCH3、−SO3
M、−COOM R3;−COCH3
【0064】
【外4】 4、R5;−COOM、R6、−OR6(R6はC2〜C6
までの分岐してもよい)アルキル鎖 M;ナトリウム、リチウム、有機アミン、アンモニウ
ム〕
【0065】本発明のインクにおける上記染料の含有量
については、特に限定されるものではないが、一般的に
はインク全体の0.1〜15重量%、好ましくは0.5
〜10重量%、より好ましくは0.5〜6重量%がよ
い。尚、上記染料は単独でも、又は併用しても使用でき
る。
【0066】本発明のインクに使用するのに好適な媒体
は、水又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒である。水
としては、種々のイオンを含有する一般の水道水等でな
く、脱イオン水を使用するのが望ましい。
【0067】又、水と混合して使用する水溶性有機溶剤
としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコー
ル、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアル
コール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等の
ケトン又はケトアルコール類;ジオキサン等のエーテル
類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオー
ル、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチ
レングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子
を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの
低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメ
チルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテ
ル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テト
ラエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコ
ールの低級ジアルキルエーテル類;スルホラン、N−メ
チル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダ
ゾリジノン等が挙げられる。
【0068】本発明のインクの溶媒は、上記の有機溶剤
から適当なものを選択して使用するが、本発明のインク
の場合には、特にインクの目詰まり防止の観点から、ジ
エチレングリコール又はチオジグリコールが好適であ
る。
【0069】更に、周波数応答性の観点から、低級アル
コールや界面活性剤の使用が好ましい。
【0070】従って、本発明のインクにおける好適な溶
媒組成としては、水の他上記の如き各種の成分からな
る。
【0071】本発明のインクにおいて、該インク中にお
ける水溶性有機溶剤の含有量は、一般的にはインク全体
の2〜80重量%、好ましくは3〜70重量%、より好
ましくは4〜60重量%である。
【0072】本発明のインクにおいて、水の含有量は、
一般的にはインクの全体の10〜97.5重量%、好ま
しくは35〜97.5重量%、より好ましくは45〜9
7.5重量%である。インク中における水の量が10重
量%未満になると、形成された記録画像中に低揮発性の
有機溶剤が多く残り、染料のマイグレーションや画像の
滲み等の問題が発生する恐れがある。
【0073】本発明のインクは、前記の成分の他に必要
に応じて、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤等
を含有する。pH調整剤としては、例えば、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン等の各種の有機アミン
や、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウ
ム等のアルカリ金属の水酸化物等による無機アルカリ剤
等が挙げられる。
【0074】又、本発明のインクは、25℃における粘
度が1〜20cps、好ましくは1〜15cpsであ
り、表面張力が15dyn/cm以上、好ましくは25
dyn/cm以上であり、又、pHが6〜10程度のも
のである。
【0075】また、さらに本発明を一層効果的に実施す
るためにインクに以上説明した成分の他に、アニオン性
の界面活性剤あるいはアニオン性の高分子物質を添加し
てもよい。あるいは、前記両性界面活性剤をその等電点
以上のpHに調整して使用しても良い。アニオン性界面
活性剤の例としては、カルボシ酸塩型、硫酸エステル
型、スルホン酸塩型、燐酸エステル型等、一般的なもの
が問題なく使用出来る。また、アニオン性高分子の例と
しては、アルカリ可溶型の樹脂、具体的には、ポリアク
リル酸ソーダ、あるいは高分子の一部にアクリル酸を共
重合したもの等を挙げることができるが、もちろんこれ
らに限定されない。
【0076】本発明を実施するにあたって使用する被記
録媒体については特に制限されるものではなく、従来か
ら使用されているコピー用紙、ボンド紙等のいわゆる普
通紙が好適に使用される。もちろんインクジェット記録
用に特別に作成したコート紙やOHP用透明フイルムも
好適に使用されるし、一般の上質紙や光沢紙にも好適に
使用可能である。
【0077】本発明の画像形成方法の好ましい実施態様
は、前記液体組成物をインクに先だって、記録媒体の画
像形成領域あるいは画像形成領域とその近傍に付着せし
めた後、インクを付着せしめることである。ここで画像
の形成領域とは、インクのドットが付着する領域のこと
であり、画像形成領域の近傍とは、インクのドットが付
着する領域の外側の1から5ドット程度離れた領域のこ
とを指す。
【0078】液体組成物を被記録媒体に付着せしめる方
法としては、スプレー、ローラー等によって、被記録媒
体の全面に付着せしめる方法が考えられるが、インクが
付着する画像形成領域及び画像形成領域の近傍にのみ選
択的且つ均一に付着せしめることが可能なインクジェッ
ト方式により行われるのが好ましい。液体組成物を被記
録媒体に付着せしめてから、インクを付着させるまでの
時間については特に制限されるものではない。
【0079】液体組成物及びインクを被記録媒体に付着
せしめる方法としては、種々のインクジェット方式を用
いることは上述した通りであるが、特に好ましいのは、
熱エネルギーによって発生した気泡を用いて液滴を吐出
する方式である。
【0080】次に、本発明においてのイエローインク、
シアンインク、マゼンタインクの3色インク混合による
黒色画像(以下プロセスブラックという)の形成法につ
いて説明する。
【0081】本発明においては、被記録媒体上における
プロセスブラックの色度CIEL*** が、10≦
* ≦30、0≦a* ≦7、−10≦b* ≦0の範囲と
する好適な手段として下記3点を例示する。 (1)イエロー、シアン、マゼンタの各インクに用いる
水溶性アニオン染料の組み合わせを最適化する。 (2)黒色画像を形成する際のイエロー、シアン、マゼ
ンタ各インクの打ち込み比を制御する。 (3)イエロー、シアン、マゼンタの各インクの少なく
とも1つ以上にアニオン性の界面活性剤あるいはアニオ
ン性の高分子物質を添加する。
【0082】上記3点のような操作を行うことで、イエ
ロー、シアン、マゼンタインクの3色混合によって形成
されるプロセスブラックにおいて問題となるブロンズ現
象を改善することができ、CIEL***が上記範囲
となる良好な黒色画像が得られる。
【0083】上記項目(2)については次の2通りの手
法によって行うことができる。 (2−a)黒色画像を形成する際のマゼンタインクの打
ち込みデューティーを他の2色インクの打ち込みデュー
ティーの50〜80%に制限する。 (2−b)黒色画像を形成する際のイエローインク及び
シアンインクの被記録媒体への付与量をマゼンタインク
と比較して10〜50%増加させる。
【0084】インクの付与量を相対的に増加させる方法
としては、記録ヘッドの温調温度を上げる、ヘッドに与
えるエネルギーをパルス幅、電圧等で増加させる等の方
法が例示できる。
【0085】次に本発明のインクを用いて記録を行なう
のに好適なインクジェット記録装置の一例を以下に説明
する。その装置の主要部であるヘッド構例を図1、図2
及び図3に示す。
【0086】ヘッド23はインクを通す溝24を有する
ガラス、セラミックまたはプラスチック板等と、感熱記
録に用いれる発熱ヘッド25(図ではヘッドが示されて
いるが、これに限定されるものではない。)とを接着し
て得られる。発熱ヘッド25は酸化シリコン等で形成さ
れる保護膜26、アルミニウム電極27−1、27−
2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層28、蓄熱層
29、アルミナ等の放熱性の良い基板30より成ってい
る。
【0087】インク31は吐出オリフィス(微細孔)3
2まで来ており、圧力Pによりメニスカス33を形成し
ている。
【0088】今、電極27−1、27−2に電気信号情
報が加わると、発熱ヘッド25のnで示される領域が急
激に発熱し、ここに接しているインク31に気泡が発生
し、その圧力でメニスカス33が突出し、インク31が
吐出し、オリフィス32より記録小滴34となり、被記
録材33に向って飛翔する。図3には図1に示すヘッド
を多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘ
ッドはマルチ溝36を有するガラス板37と、図1に説
明したものと同様の発熱ヘッド26を密着して制作され
ている。
【0089】尚、図1は、インク流路に沿ったヘッド2
3の断面図であり、図2は図1のA−B線での断面図で
ある。
【0090】図4に、上記ヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示す。
【0091】図4において、61はワイピング部材とし
てのブレードであり、その一端はブレード保持部材によ
って保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をな
す。ブレード61は記録ヘッドによる記録領域に隣接し
た位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッドの移動
経路中に突出した形態で保持される。62はキャップで
あり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設
され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して吐
出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更
に63はブレード61に隣接して設けられる吸収体であ
り、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突
出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ
62、吸収体63によって吐出回復式64が構成され、
ブレード61及び吸収体63によってインク吐出口面に
水分、塵挨等の除去が行われる。65は吐出エネルギー
発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被
記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66
は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行
うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸
67としゅう動可能に係合し、キャリッジ66の一部は
モータ68によって駆動されるベルト69と接続(不図
示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸6
7に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記
録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0092】51は被記録材を挿入するための給送部、
52は不図示のモータにより駆動する送りローラであ
る。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向
する位置へ被記録材が供給され、記録が進行するにつれ
て排出ローラ53を配した排出部へ排出される。
【0093】上記構成において記録ヘッド65が記録終
了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64の
キャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避して
いるが、ブレード61は移動経路中に突出している。こ
の結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされ
る。なお、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当
接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘ
ッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0094】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62、及びブレー
ド61は上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出口面はワイピングされる。
【0095】上述の記録ヘッドのホームポジションへの
移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘ
ッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔
で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この
移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0096】図5は、ヘッドへのインク供給部材、例え
ば、チューブを介して供給されるインクを収容したイン
クカートリッジの一例を示す図である。ここで、40は
供給用インクを収容したインク収容部、例えば、インク
袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられてい
る。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、
インク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめ
る。44は廃インクを受容する吸収体である。インク収
容部としては、インクとの接液面がポリオレフィン、特
にポリエリレンで形成されているものが本発明にとって
好ましい。本発明で使用されるインクジェット記録装置
としては、上記のごときヘッドとインクカートリッジと
が別体となったものに限らず、図6に示すごときそれら
が一体になったものにも好適に用いられる。
【0097】図6において、70は記録ユニットであっ
て、この中にはインクを収容したインク収容部、例え
ば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収
体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71
からインク滴として吐出される構成になっている。イン
ク吸収体の材料としては、ポリウレタン、セルロースま
たはポリビニルアセタールを用いることが本発明にとっ
て好ましい。72は記録ユニット内部を大気に連通させ
るための大気連通口である。この記録ユニット70は、
図4で示す記録ヘッドに代えて用いられるものであっ
て、キャリッジ66に対し着脱自在となっている。
【0098】本発明を実施する際のヘッドの構成として
は、液体組成物をインクジェットヘッドにより吐出させ
る方式を利用する場合には、インク吐出用のヘッドをキ
ャリッジの移動方向すなわち記録媒体の走査方向に対し
て直角方向に並列でおいても良いし、また縦列でおいて
もよい。縦列で配置する場合には1つのヘッドのノズル
を上半分と下半分に分けてインクと液体組成物の流路を
分離して供給する構成にしても良い。もちろん液体組成
物とインクの記録順が逆になるような構成をとっても良
い。
【0099】
【実施例】以下に実施例及び比較例を用いて、さらに本
発明を具体的に説明する。
【0100】(実施例1〜24)まず、表1に示した成
分を混合溶解した後、さらにポアサイズが0.22μm
のメンブレンフィルター(商品名 フロロポアフィルタ
ー、住友製)にて加圧濾過し、液体組成物;M−1〜4
を得た。
【0101】
【表1】
【0102】但し、表1中の略号で示した化合物の構造
を以下に記載する。
【0103】PAA−HCL−3L;ポリアリルアミン
塩酸塩 分子量:10000 日東紡績製 PAS−A−5;ポリアミンスルホン塩酸塩 分子量:3500 日東紡績製 BTBAC;ベンジルトリブチルアンモニウムクロライ
ド 東京化成製 G−50;塩化ベンザルコニウム 三洋化成製 DEG;ジエチレングリコール
【0104】つぎに表2に示した各インクの着色剤成
分、アニオン性活性剤とDEG(10部)及び水(残
部)を混合し、さらにポアサイズが0.22μmのメン
ブレンフィルター(商品名;フロロポアフィルター、住
友電工製)にて加圧濾過してインクの組合せI−1〜5
を得た。
【0105】
【表2】
【0106】但し、表2中の略号で示したアニオン性界
面活性剤の構造を以下に記載する。
【0107】SLS−30;ラウリル硫酸ナトリウム
(日光ケミカルズ製) SSS;ステアリル酸ナトリウム(日光ケミカルズ製) サンデットEN;ポリオキシエチレンラウリルエーテル
硫酸ナトリウム(三洋化成製) AY:C.I.アシッドイエロー、AR:C.I.アシ
ッドレッド DY:C.I.ダイレクトイエロー、DBL:C.I.
ダイレクトブルー AB:C.I.アシッドブルー
【0108】つぎに、上記のようにして得られた液体組
成物及びインクを用いて、市販のコピー用紙に記録を行
った。使用したインクジェット記録装置としては、図4
に示したと同様の記録装置を用い、ヘッドはインク及び
液体組成物吐出用のヘッドをキャリッジ移動方向に対し
て並列におき常にインクの方が後から記録されるような
構成にした。尚、ここで用いた記録ヘッドは、360d
piの記録密度を有し、駆動条件としては、駆動周波数
5kHzとした。また、1ドットあたりの吐出体積は、
55plであった。これらの記録条件は本発明の実施
例、比較例を通じて一定である。また、印字テストの際
の環境条件は、25℃/55%RHに統一してある。
【0109】記録画像の評価は、つぎの方法で行った。
【0110】(1)画像濃度 ブラックのベタ画像を液体組成物とシアン、マゼンタ、
イエローの各インクで形成し、12時間放置後の反射濃
度計を反射濃度計マクベスRD915(マクベス社製)
にて測定した。評価基準は以下の通り。
【0111】◎;反射濃度が、1.25以上。
【0112】〇;反射濃度が、1.20以上〜1.2
4。
【0113】△;反射濃度が、1.10〜1.19。
【0114】×;反射濃度が、1.09以下。
【0115】(2)定着性 液体組成物と、シアンインク、マゼンタインク、イエロ
ーインクを併用してプロセスブラックのベタ画像を形成
した。画像を形成した後、印字部を指で擦っても画像の
流れが生じなくなる時間を測定した。評価基準は、以下
の通り。
【0116】◎;定着性が10秒以内。
【0117】〇;定着性が20秒以内〜11秒。
【0118】△;定着性が21秒〜30秒以内。
【0119】×;定着性が30秒以上。
【0120】(3)文字品位 上記プロセスブラックの英数文字を印字し、目視にて評
価した。フェザリングが目立たないものを〇として、そ
れ以下のレベルのものについては、×とした。
【0121】(4)耐水性 (1)で得られた画像を30分放置後、水温;20℃の
水道水中へ3秒間浸漬して画像の残存状態を目視にて評
価した。画像の流れのまったく生じないものを〇とし
た。それ以外のレベルのものは×とした。
【0122】(5)色調 上記プロセスブラックのベタ画像を形成した。目視評価
にて、ブラックとして色調が良好な場合を〇とした。赤
みがかったりしている場合を×とした。
【0123】尚、本発明の実施例、比較例を通じて、液
体組成物の被記録媒体への付着領域は、インクの画像形
成領域と同一領域であり、印字のデューティは100
%、さらに液体組成物とインク全ての印字方向は片方向
であり常に液体組成物がインクよりも先に打ち込まれて
いる。
【0124】また、実施例においては、マゼンタインク
の打ち込みデューティを減少させるか、あるいはシアン
インク、またはイエローインク、またはその両者のイン
クの吐出量を増加させることによって、3色のインクの
打ち込み量を相対的に変化させている。インクの打ち込
み量の調整は、記録ヘッドのヒーターに与えるパルス幅
を調整することで行った。
【0125】実施例に使用した液体組成物とインクの組
み合わせを表3及び表4に示した。同時に以上(1)〜
(5)の評価結果を表3及び表4に合わせて示した。
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】但し、表3、表4中で使用したインクの打
ち込み方法の略号について以下に記載する。 A;プロセスブラックを、イエローインク、シアンイン
ク、マゼンタインクの3色インクを100%デューティ
ーで打ち込み形成する。 B;プロセスブラックを形成する際に、マゼンタインク
の打ち込みデューティーを他の2色インクの70%に制
御する。 C;プロセスブラックを形成する際のイエローインク、
シアンインクの吐出量をマゼンタインクと比較して20
%増加させる。
【0129】以上の実施例においては、プロセスブラッ
クべた画像の濃度も高く、また色調も良好であった。
【0130】(比較例1)インク組成I−5を用いて、
液体組成物を使用しないことを除いては、実施例と同様
の印字試験を行い、実施例と全く同様の評価を行った。
その結果を以下に示す。
【0131】
【表5】
【0132】上記比較例では画像の濃度も低く、又プロ
セスブラックべたの色調も赤みをおびて良好ではなかっ
た。
【0133】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば黒
色画像部の色調が良好で画像濃度が高く、文字品位に優
れた耐水性の完全な印刷物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図
である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図
である。
【図3】インクジェット記録装置のヘッド部の外観斜視
図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図5】インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】記録ユニットの斜視図である。
【符号の説明】
13 ヘッド 15、28 発熱ヘッド 21 インク 25 記録媒体 40 インク袋 44 インク吸収体 45 インクカートリッジ 61 ワイピング部材 65 記録ヘッド 66 キャリッジ 70 記録ユニット 71 ヘッド部 72 大気連通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06P 5/00 111 A

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン性物質を含む液体組成物とイエ
    ロ−インク、シアンインク及びマゼンタインクとを組み
    合わせたインクセットにおいて、前記3種のインクが何
    れも水溶性アニオン染料を含み、且つこれらインクを併
    用して表現した被記録媒体上の黒色画像の色度:CIE
    *** が、下記の数式範囲にあることを特徴と
    するインクセット。 10≦L* ≦30 0≦a* ≦7 −10≦b* ≦0
  2. 【請求項2】 前記アニオン染料が、酸性染料、直接染
    料、又は反応性染料の何れかである請求項1に記載のイ
    ンクセット。
  3. 【請求項3】 前記各インク中に、インク全重量に対し
    て0.1〜15重量%の前記アニオン染料を含有する請
    求項1に記載のインクセット。
  4. 【請求項4】 前記液体組成物が、低分子カチオン性物
    質と高分子カチオン性物質とを併有する請求項1に記載
    のインクセット。
  5. 【請求項5】 前記液体組成物が、分子量:1000以
    下のカチオン性物質と分子量:1500以上のカチオン
    性物質とを併有する請求項1に記載のインクセット。
  6. 【請求項6】 前記低分子カチオン性物質が、分子量:
    100〜700の範囲にある請求項4に記載のインクセ
    ット。
  7. 【請求項7】 前記高分子カチオン性物質が、分子量:
    1500〜10000の範囲にある請求項4に記載のイ
    ンクセット。
  8. 【請求項8】 前記各インクが、更に水及び水溶性有機
    溶剤を含有する請求項1に記載のインクセット。
  9. 【請求項9】 前記液体組成物が、更に水及び水溶性有
    機溶剤を含有する請求項1に記載のインクセット。
  10. 【請求項10】 前記各インク中に、水をインク全重量
    に対して10〜97.5重量%の範囲で含む請求項1に
    記載のインクセット。
  11. 【請求項11】 前記各インク中に、水溶性有機溶剤を
    インク全重量に対して2〜80重量%の範囲で含む請求
    項1に記載のインクセット。
  12. 【請求項12】 前記各インクの、25℃における粘度
    が1〜20cpsの範囲にある請求項1に記載のインク
    セット。
  13. 【請求項13】 前記各インクの表面張力が30dyn
    /cm以上の範囲にある請求項1に記載のインクセッ
    ト。
  14. 【請求項14】 前記各インクのpH値が6〜10の範
    囲にある請求項1に記載のインクセット。
  15. 【請求項15】 前記イエロ−インク又はシアンインク
    が、染料以外のアニオン性物質を0.05〜10重量%
    の範囲で含有する請求項1に記載のインクセット。
  16. 【請求項16】 前記アニオン性物質が、界面活性剤で
    ある請求項15に記載のインクセット。
  17. 【請求項17】 前記マゼンタインクが、下記の構造式
    で表される染料を含有する請求項1に記載のインクセッ
    ト。 【外1】 〔ただし、式中R1、R2、R3は下記の官能基を表わ
    す。 R1、R2;H、CH3、OCH3、−SO3M、−COO
    M R3;−COCH3、 【外2】 4、R5;−COOM、R6、−OR6(R6はC2〜C6
    までの分岐してもよいアルキル鎖) M;ナトリウム、リチウム、有機アミン、アンモニウ
    ム〕
  18. 【請求項18】 カチオン性物質を含む液体組成物とイ
    エロ−インク、シアンインク及びマゼンタインクを併用
    して黒色部を形成する画像形成方法において、前記各イ
    ンクが何れも水溶性アニオン染料を含み、且つこれらイ
    ンクを併用した被記録媒体上の黒色画像の色度:CIE
    *** が、下記の数式範囲にあることを特徴と
    する画像形成方法。 10≦L* ≦30 0≦a* ≦7 −10≦b* ≦0
  19. 【請求項19】 インクジェット方式により液体組成物
    とイエロ−インク、シアンインク及びマゼンタインクを
    被記録媒体に付与して黒色部の記録を行う画像形成方法
    において、請求項1乃至請求項17の何れかに記載のイ
    ンクセットを適用したことを特徴とする画像形成方法。
  20. 【請求項20】 インクジェット方式が、インクに熱エ
    ネルギ−を作用させてインク滴を発生させる方式である
    請求項19に記載の画像形成方法。
  21. 【請求項21】 前記イエロ−インク及びシアンインク
    の前記被記録媒体への付与量が前記マゼンタインクのそ
    れよりも10〜50%多い請求項19に記載の画像形成
    方法。
  22. 【請求項22】 前記マゼンタインクの打ち込みデュ−
    ティ−を前記イエロ−インク及びシアンインクのそれの
    50〜80%の範囲に調整して行う請求項19に記載の
    画像形成方法。
  23. 【請求項23】 液体組成物及びインクの収容部とこれ
    らを滴として吐出するヘッド部とを併有する記録ユニッ
    トにおいて、請求項1乃至請求項17の何れかに記載の
    インクセットを適用したことを特徴とする記録ユニッ
    ト。
  24. 【請求項24】 前記ヘッド部に、熱エネルギ−の作用
    により滴を発生させるジェット方式を適用した請求項2
    3に記載の記録ユニット。
  25. 【請求項25】 液体組成物及びインクの収容部を備え
    たインクカ−トリッジにおいて、請求項1乃至請求項1
    7の何れかに記載のインクセットを適用したことを特徴
    とするインクカ−トリッジ。
  26. 【請求項26】 請求項23又は請求項24に記載の記
    録ユニットを備えたことを特徴とするインクジェット記
    録装置。
  27. 【請求項27】 請求項25に記載のインクカ−トリッ
    ジを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  28. 【請求項28】 更に、インクジェット方式によりイン
    ク滴を発生させるヘッド部を備えた請求項27に記載の
    インクジェット記録装置。
  29. 【請求項29】 請求項1乃至請求項17の何れかに記
    載のインクセットを備えたことを特徴とするインクジェ
    ット記録装置。
  30. 【請求項30】 更に、インクジェット方式によりイン
    ク滴を発生させるヘッド部を備えた請求項29に記載の
    インクジェット記録装置。
  31. 【請求項31】 カチオン性物質を含む液体組成物と、
    各々、水溶性アニオン染料を含むイエロ−インク、シア
    ンインク及びマゼンタインクとを併用して表現され、且
    つ被記録媒体上の色度:CIE L*** が、下記
    の数式範囲にある黒色部を含むことを特徴とする画像。 10≦L* ≦30 0≦a* ≦7 −10≦b* ≦0
  32. 【請求項32】 インクジェット方式に適用される請求
    項1乃至請求項17の何れかに記載のインクセット。
  33. 【請求項33】 熱エネルギ−を利用するインクジェッ
    ト方式に適用される請求項1乃至請求項17の何れかに
    記載のインクセット。
JP6601595A 1994-03-30 1995-03-24 画像形成方法及びこれに用いるインクセットとインクジェット用機器 Withdrawn JPH07314887A (ja)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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