JPH07314318A - 多機能研磨装置 - Google Patents

多機能研磨装置

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JPH07314318A
JPH07314318A JP10861894A JP10861894A JPH07314318A JP H07314318 A JPH07314318 A JP H07314318A JP 10861894 A JP10861894 A JP 10861894A JP 10861894 A JP10861894 A JP 10861894A JP H07314318 A JPH07314318 A JP H07314318A
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Yutaka Imai
裕 今井
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晴男 坂本
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 研磨部材のオービタル動作とダブルアクショ
ン動作とを容易に切り換えでき、寸法及び重量の増加を
可及的に防止した多機能研磨装置を提供する。 【構成】 研磨装置10は、本体12と、駆動軸14を
有して本体12に支持される駆動部16と、駆動軸14
に対し偏心した位置で自転可能に駆動軸14に連結され
る研磨部材18と、研磨部材18の自転運動を選択的に
解放及び係止できる係合手段20とを備える。係合手段
20は、研磨部材18を支持する偏心軸32に同心に取
着される第2の軸受34と、本体12に固定されるとと
もに第2の軸受34を介して研磨部材18に相対回転可
能に連結される弾性連結部材36と、弾性連結部材36
と研磨部材18との間に配置され、研磨部材18の自転
運動を解放する第1位置とその自転運動を係止する第2
位置との間で移動する係合部材38とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多機能研磨装置に関
し、特に、装置本体に対する研磨部材の運動の種類を随
時に切り換えて、作用の異なる研磨処理を1台の装置で
実施できる多機能研磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】研磨装置、特に手持形の研磨装置は、例
えば自動車車体外板の仕上げ作業や補修作業等、多様な
立体的広がりを有する物体表面を所望形状に研削したり
所望粗さに磨いたりする作業において、手軽に操作でき
ることから広く使用されている。この種の研磨装置は、
装置本体に対する研磨部材の運動の種類によって、異な
る研磨作用を物体表面に及ぼす幾つかの異なる形式の装
置に分類される。特に、作用面を板状研磨部材の軸方向
端面に有するとともに、研磨部材の軸を研磨装置の駆動
軸に対し偏心して配置し、研磨部材の作用面が一平面上
で所定の回転運動を行なうことにより研磨作用を生じる
形式のものは、一般に高能率の研磨装置として知られて
いる。このような偏心配置された研磨部材を備える研磨
装置では、駆動軸を中心に偏心距離を半径とした円軌道
に沿って移動する偏心軸線に対し、研磨部材が固定され
たものと自転するものとがある。本明細書では便宜的
に、前者をオービタル式研磨装置、後者をダブルアクシ
ョン式研磨装置と称し、また前者の研磨部材の動作をオ
ービタル動作、後者の研磨部材の動作をダブルアクショ
ン動作と称する。
【0003】オービタル式及びダブルアクション式研磨
装置はいずれも、駆動軸に対して所定距離だけ偏心した
位置に研磨部材の軸を配置して構成される。研磨部材の
軸は、駆動軸の回転に伴って駆動軸の周りを公転運動す
る軸受に支持される。この軸受は通常、釣合い重り部分
を有して駆動軸に直結された釣合い部材に第1軌道輪が
固定され、第2軌道輪が研磨部材の軸に固定される。こ
のとき、第2軌道輪が第1軌道輪に対し自由回転可能な
状態では、第2軌道輪に支持された研磨部材等の各質量
部分の慣性により、第1軌道輪が公転すると同時に第2
軌道輪及び研磨部材は第1軌道輪に対して公転と同一方
向への自転を生じる。このような作用を利用して、研磨
部材に遊星(自公転)運動を行なわせるものがダブルア
クション式研磨装置であり、駆動軸から見た研磨部材の
自転運動を強制的に止め、研磨部材に公転運動のみ行な
わせるものがオービタル式研磨装置である。したがって
オービタル動作では、軸受の第2軌道輪は第1軌道輪に
対して公転の逆方向へ回転する。オービタル式研磨装置
において研磨部材の自転を止める機構は、一般に、装置
本体と研磨部材との間を研磨部材の偏心移動を可能にし
つつ連結する弾性部材から構成される。
【0004】オービタル式研磨装置は、研磨部材が駆動
軸に対する公転運動のみを行なうので、比較的研磨量が
少なく、一般に物体表面の仕上げ加工に使用される。こ
れに対しダブルアクション式研磨装置は、研磨部材が駆
動軸に対する遊星運動を行なうので、比較的研磨量が多
く、荒研ぎや面取り等の荒加工に使用される。したがっ
て一般に作業者は、研磨作業の加工種類に応じてこれら
の異なる研磨装置を使い分けていた。
【0005】加工種類に応じた研磨装置の使い分けに伴
う作業効率や経済性の低下を解消するために、研磨部材
のオービタル動作とダブルアクション動作とを随時に切
り換えて作業できる多機能の研磨装置に対する利用者の
要求は高く、幾つかの解決策が既に提案されている。例
えば、特開昭60−135171号公報に開示される研
磨装置は、研磨部材の自転運動を強制的に止めるための
弾性支柱を、研磨部材に連結される作用位置と研磨部材
から離脱される非作用位置との間で移動させることによ
り、オービタル動作とダブルアクション動作との切り換
えを可能にしている。この装置は、弾性支柱を移動させ
るためのエアシリンダ装置を本体に組み込んでいる。ま
た、米国特許第4,924,636号では、ダブルアク
ション式研磨装置において、軸受を介して研磨部材を支
持する釣合い部材に対し、研磨部材の回転を止める構造
が開示される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開昭60−1351
71号公報に開示される研磨装置では、研磨部材とその
自転を係止する弾性支柱との連結部分を直接的に開閉す
るので、自転係止時に弾性支柱の連結部位すなわち研磨
部材に接触する先端部に応力が集中し易く、オービタル
動作での作業中に弾性支柱と研磨部材との連結が外れた
り、長期に使用するうちに弾性支柱の特に先端部が破損
したりする恐れがあった。また、弾性支柱と研磨部材と
は凹部及び凸部からなる噛み合い構造により連結される
が、研磨部材のトルクに対する充分な係止力を得るため
に凹部及び凸部は研磨部材の周縁部近傍に配置されるの
で、凹部と凸部とを正確に噛み合わせるための研磨部材
と弾性支柱との相対的位置合せが困難であった。さら
に、弾性支柱を移動させるためのエアシリンダ装置を搭
載するので、研磨装置の寸法及び重量が手持形装置とし
ては不適当なまでに増加する課題があった。
【0007】米国特許第4,924,636号に開示さ
れる研磨装置は、ボルトによって偏心軸に取着される研
磨部材の交換を容易にするために、偏心軸を釣合い部材
に対して固定するものである。したがってこの研磨装置
では、研磨部材のオービタル動作を実現することはでき
ない。
【0008】本発明の目的は、研磨部材の動作をオービ
タル動作とダブルアクション動作との間で容易かつ正確
に切り換え可能であって、装置の寸法及び重量の増加を
可及的に防止できる単純構造かつ耐久性に優れた切り換
え機構を有し、仕上げ加工と荒加工とを1台の装置で随
時に切り換えて実施できる多機能研磨装置を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、本体と、駆動軸を有して本体に支持され
る駆動部と、駆動軸に対し偏心した位置で自転可能に駆
動軸に連結されるとともに、駆動部の作動により駆動軸
を中心として公転運動する研磨部材と、研磨部材の自転
運動を選択的に解放及び係止できる係合手段とを具備し
た多機能研磨装置において、係合手段は、研磨部材に連
結される第1要素と、第1要素に対して回転する第2要
素とを備えて、研磨部材に同心配置される軸受手段と、
軸受手段の第2要素に固定的に連結されるとともに本体
に固定され、以て軸受手段を介して研磨部材に相対回転
可能に連結され、研磨部材の公転運動に伴って弾性変形
する弾性連結部材と、弾性連結部材と研磨部材との間に
配置され、軸受手段の第2要素のみに係合して研磨部材
の自転運動を解放する第1位置と、第2要素及び第1要
素の双方に係合して自転運動を係止する第2位置との間
で移動する係合部材とを具備したことを特徴とする多機
能研磨装置を提供する。
【0010】本発明の1つの実施例によれば、軸受手段
は、半径方向に並置された一対の軌道輪を有する軸受を
具備し、軸受手段の第1要素は、軸受の第1軌道輪と、
駆動軸に対し偏心した位置で自転可能に駆動軸に連結さ
れるとともに第1軌道輪に固定される偏心軸とを備え、
偏心軸が研磨部材の自転軸線を有して研磨部材に連結さ
れる。同様に軸受手段の第2要素は、軸受の第2軌道輪
と、研磨部材の自転軸線を包囲して第2軌道輪と弾性連
結部材とに固定される環状支持部材とを備えることが好
ましい。
【0011】本発明の他の実施例によれば、軸受手段
は、半径方向に並置された3つの軌道輪を有する複式軸
受を具備し、軸受手段の第1要素は、駆動軸に対し偏心
した位置で自転可能に駆動軸に連結される複式軸受の中
間軌道輪を備え、中間軌道輪が研磨部材の自転軸線を有
して研磨部材に連結される。同様に軸受手段の第2要素
は、複式軸受の外側軌道輪と、研磨部材の自転軸線を包
囲して外側軌道輪と弾性連結部材とに固定される環状支
持部材とを備えることが好ましい。
【0012】弾性連結部材は、研磨部材の自転軸線を包
囲して軸方向に延びる弾性部分を有することができる。
或いは弾性連結部材は、研磨部材の自転軸線を包囲して
半径方向に延びる弾性部分を有することができる。係合
部材は、軸受手段の第1要素に設けた第1溝部と第1溝
部に対して整列可能に第2要素に設けた第2溝部との双
方に係合可能な凸部を備えることが好ましい。また、係
合部材を第1位置と第2位置とのそれぞれに位置決めす
る位置決め手段をさらに備えることは好都合である。
【0013】
【作用】係合部材は第1位置において、軸受手段の第2
要素のみに係合する。このとき軸受手段の第1要素は、
第2要素に対し自由に回転する。したがって研磨部材
は、駆動軸を中心として公転運動すると同時に、研磨部
材の慣性により駆動軸に対し偏心した位置で自転運動す
る。このようにして研磨部材のダブルアクション動作が
得られる。係合部材を第2位置に配置すると、係合部材
は軸受手段の第2要素及び第1要素の双方に係合する。
それにより、第1要素は第2要素に固定的に連結され
る。したがって研磨部材は、軸受手段の第1要素及び第
2要素、並びに弾性連結部材を介し、自転運動に関して
本体に固定的に連結される。他方、弾性連結部材は弾性
変形により研磨部材の公転運動を許容する。このように
して研磨部材のオービタル動作が得られる。
【0014】
【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明をその好
適な実施例に基づき詳細に説明する。全図を通して、同
一又は類似の構成要素には共通の参照番号を付す。図面
を参照すると、図1及び図2は本発明の第1実施例によ
る多機能研磨装置10を示す。多機能研磨装置10は、
本体12と、駆動軸14を有して本体12に支持される
駆動部16と、駆動軸14に対し偏心した位置で自転可
能に駆動軸14に連結される研磨部材18と、研磨部材
18の自転運動を選択的に解放及び係止できる係合手段
20とを備える。
【0015】多機能研磨装置10は、従来の研磨装置と
同様に手持ち作業に適した構成を有する。例えば本体1
2は、作業者が好ましくは片手で握持可能な握持部22
を備える。また駆動部16は、例えばエアモータ等の周
知の駆動装置からなる。駆動部16に適用される駆動装
置としては、電動機や油圧モータ等も利用できるが、構
造が簡単で小形化及び軽量化が容易な点でエアモータが
好適に利用される。さらに研磨部材18は、従来の手持
形研磨装置に使用可能な周知の部材であり、研磨布紙を
担持する円板状又は矩形板状のパッド部24とパッド部
24を支持する基部26とを備える。
【0016】駆動軸14には、釣合い重り部分を有した
釣合い部材28が固定される。釣合い部材28は、駆動
軸14の下方で駆動軸14に対し距離dだけ偏心して軸
方向に延びる円筒状の凹部29を備え、凹部29内に第
1の軸受30が配置される。第1の軸受30は、好まし
くは転がり軸受であり、半径方向に並置された一対の軌
道輪を有する。この実施例では、第1の軸受30の外輪
30aが釣合い部材28の凹部29に固定され、内輪3
0bには研磨部材18を支持する偏心軸32が固定され
る。したがって偏心軸32は、駆動軸14の軸線に平行
にかつ相互に距離dだけ離間して延びる軸線を有して、
第1の軸受30を介して釣合い部材28に回転可能に連
結される。研磨部材18は、研磨装置10の作動時に研
磨部材18と偏心軸32との間の相対移動が生じないよ
うに、偏心軸32に強固に連結される。
【0017】ここまでの構成は従来のオービタル式又は
ダブルアクション式研磨装置と同様であり、駆動部16
の作動により、偏心軸32及び研磨部材18は駆動軸1
4を中心として公転運動する。前述のように、偏心軸3
2が釣合い部材28に対して自由に回転する場合、偏心
軸32及び研磨部材18は公転運動と同時に自転運動を
生じる。
【0018】多機能研磨装置10は、研磨部材18の自
転運動を選択的に解放及び係止できる係合手段20とし
て、研磨部材18に同心に取着される第2の軸受34
と、本体12に固定されるとともに第2の軸受34を介
して研磨部材18に相対回転可能に連結される弾性連結
部材36と、弾性連結部材36と研磨部材18との間に
配置され、研磨部材18の自転運動を解放する第1位置
とその自転運動を係止する第2位置との間で移動する係
合部材38とを備える。係合手段20の構成を、図3及
び図4を参照して以下に詳述する。
【0019】第2の軸受34は、好ましくは転がり軸受
であり、半径方向に並置された一対の軌道輪を有する。
図示実施例では、玉軸受からなる第2の軸受34は、偏
心軸32の外周面に固定される内輪40と、環状支持部
材42に固定される外輪44とを備える。環状支持部材
42は、内周面に軸受34の外輪44を支持するととも
に外周面に環状の係合部材38を支持するスリーブ部4
6と、スリーブ部46の一端から半径方向外方に延びる
フランジ部48とを備える。
【0020】弾性連結部材36は、上端で例えば締着帯
50によって本体12に固定される円筒状の弾性部分5
2と、弾性部分52の下端から半径方向内方に延長され
る環板状の剛性部分54とを備える。弾性部分52は、
好ましくはゴムからなり、偏心軸32及び研磨部材18
の公転運動に伴って弾性変形する(図1参照)。剛性部
分54は、好ましくはアルミニウム等の金属材料からな
り、偏心軸32の公転運動を弾性部分52に確実に伝達
する。弾性部分52と剛性部分54とは、ボルト留め、
接着、溶接等の周知の方法によって固定できるが、好適
な実施例では弾性部分52の射出成形時に剛性部分54
をインサートすることによって両者が一体的に連結され
る。
【0021】環状支持部材42のフランジ部48は、例
えばねじ56によって弾性連結部材36の剛性部分54
に固定される。なお、剛性部分54を省略して、弾性部
分52を直接に環状支持部材42のフランジ部48に連
結することもできる(図8参照)。また、弾性連結部材
36の弾性部分52は、ベローズ状部材、複数の柱状部
材、複数のつる巻ばね等から構成することもできる。い
ずれの場合も、偏心軸32及び研磨部材18の公転運動
に追従して変形できるとともに、それらの自転運動を係
止可能な弾性力を有することが肝要である。また、回転
部分の振動を減衰するために、弾性連結部材36の弾性
部分52に粘弾性材料を用いることは好都合である。
【0022】環状の係合部材38は、内周面に少なくと
も1つのキー溝58を備え、キー溝58に例えばボルト
60によってキー62が固定される。環状支持部材42
のスリーブ部46は、その外周面にキー溝58に対応し
て、キー62が係合する少なくとも1つの溝64を備え
る。これにより係合部材38は、環状支持部材42のス
リーブ部46の外周面に沿って軸方向へのみ摺動可能に
スリーブ部46に取着される。さらに係合部材38は、
例えば止めねじ66によって、スリーブ部46の外周面
上で軸方向の所望位置に固定できる。
【0023】偏心軸32は、第2の軸受34の内輪40
に固定されるスリーブ部68と、スリーブ部68の一端
から半径方向外方に延長されるフランジ部70とを備え
る。偏心軸32のフランジ部70は、環状支持部材42
のスリーブ部46との間に僅かな隙間を有して延び、そ
の外縁部に複数の切欠き72を備える。切欠き72は、
偏心軸32の所定の自転位置で、環状支持部材42のス
リーブ部46の溝64に対し軸方向へ整列配置されるよ
うになっている。環状支持部材42の溝64と偏心軸3
2の切欠き72とを整列配置した状態で、係合部材38
を環状支持部材42のスリーブ部46に沿って偏心軸3
2のフランジ部70の方向へ移動させると、係合部材3
8のキー62は偏心軸32の切欠き72に係合する。
【0024】したがって係合手段20によれば、係合部
材38を、そのキー62が環状支持部材42の溝64の
みに係合する第1位置(図3に実線で示す)に配置した
ときに、偏心軸32及び研磨部材18は自由に自転運動
を行うことができ、このとき研磨装置10はダブルアク
ション式研磨装置として作用する。また、係合部材38
を、そのキー62が環状支持部材42の溝64と偏心軸
32の切欠き72との双方に係合する第2位置(図3に
破線で示す)に配置したときに、偏心軸32及び研磨部
材18は係合手段20を介して弾性連結部材36の作用
により自転運動を係止され、このとき研磨装置10はオ
ービタル式研磨装置として作用する。ただし従来のオー
ビタル式研磨装置と同様に、自転運動の係止時にも、研
磨部材18は釣合い部材28に対し第1の軸受30を介
して公転の逆方向へ回転する。
【0025】上記構成を有する係合手段20は、研磨部
材18の偏心軸32と弾性連結部材36との間に第2の
軸受34を配置し、第2の軸受34の内輪40と外輪4
4との相対移動を、それら内外輪に直接に固定された偏
心軸32及び環状支持部材42に選択的に係合する環状
の係合部材38によって解放又は係止する構成としたの
で、係合部材38のキー62の個数を増やす等の方法に
よって自転係止時の係止部位への応力集中を容易に防止
することができる。また、係合部材38を偏心軸32に
近接して配置したので、キー62の対応係止要素である
環状支持部材42のキー溝58と偏心軸32の溝64と
の位置合せが容易である。また、係合部材38は第1位
置と第2位置との間を手作業で容易に移動できるので、
エアシリンダ等の駆動装置を研磨装置10に搭載する必
要がなく、装置の小形化及び軽量化が促進される。な
お、偏心軸32、第2の軸受34、弾性連結部材36の
剛性部分54、係合部材38、及び環状支持部材42
を、ジュラルミン等のアルミニウム合金、硬質プラスチ
ック、セラミック等の軽量で機械的強度の高い材料から
形成することにより、係合手段20の機械的強度を損な
うことなく研磨装置10の軽量化がさらに促進される。
【0026】上記構成において、偏心軸32は、2つの
軸受30,34を同心に取着する観点から、軸方向へ2
つの部分32a,32bに分割されることが望ましい。
この場合、これらの部分32a,32bは例えばボルト
74によって相互に固定される。また研磨部材18は、
基部26に形成されたねじ部76又は別体のボルト(図
示せず)によって偏心軸32に固定されるが、その場
合、多様なねじ部を有する研磨部材を偏心軸32に取着
できるように、研磨部材18と偏心軸32との間にアダ
プタ78を介在させることができる。このとき、研磨部
材18はアダプタ78に固定され、アダプタ78が別体
のねじ80やアダプタ自体に設けたねじ部82(図5)
によって偏心軸32に固定される。このように研磨部材
18は、研磨装置10の作動時には偏心軸32に強固に
固定されるが、休止時には適宜、脱着や交換が可能なも
のである。
【0027】本発明の研磨装置において、係合手段は、
上記以外の様々な構成を有することができる。例えば図
5に示すように、係合部材38を第1位置及び第2位置
のそれぞれに固定する止めねじ66の代わりに、ボール
プランジャ84等の周知の固定手段を用いることができ
る。ボールプランジャ84によれば、係合部材38の第
1位置又は第2位置への固定作業がさらに容易になる。
またキー構造の代わりに、ピン、スプライン、噛み合い
クラッチ等の周知の係合構造も利用できる。
【0028】さらに、偏心軸32の周囲で軸方向へ移動
する係合部材38の代わりに、図6(a),(b)に示
すような半径方向へ移動する係合部材86を用いること
もできる。係合部材86は、断面略T字状の小片であ
り、環状支持部材42に同心回転可能に取着された環状
受け部88の内部に少なくとも1つ配置される。環状受
け部88の底壁90には、偏心軸32を中心とする円弧
に交差して直線状に延びる溝92が設けられ、係合部材
86の底部94が溝92に嵌入される。係合部材86の
半径方向延長部96は、環状支持部材42のスリーブ部
46に設けた穴98を貫通する。偏心軸32のスリーブ
部68には、環状支持部材42のスリーブ部46の穴9
8に対し半径方向へ整列可能な溝穴100が設けられ
る。
【0029】係合部材86を図6(b)の位置(第1位
置)に配置し、環状支持部材42の穴98と偏心軸32
の溝穴100とを整列させた後、環状受け部88を半時
計方向(矢印で示す)へ回転すると、係合部材86はそ
の底部94が溝92に沿って動くことにより半径方向内
方へ移動し、延長部96が溝穴100に進入する(第2
位置)。それにより、偏心軸32及び研磨部材18の自
転運動が係止される。係合部材86を第1位置及び第2
位置のそれぞれに固定するために、環状受け部88にボ
ールプランジャ102が配設される。また図6(b)に
は、環状受け部88と環状支持部材42のフランジ部4
8とを連結するボルト(図示せず)を通す穴104が示
されている。
【0030】図7(a),(b)は、同様に半径方向へ
移動する他の係合部材106を示す。係合部材106
は、環状支持部材42に固定された軌条部108に沿っ
て直接的に半径方向へ移動される。係合部材86,10
6のように、係合部材を第1位置と第2位置との間で半
径方向へ移動させる構成は、係合手段の軸方向寸法の低
減に寄与する。それにより、作業者の手元から研磨され
る物体表面までの距離が短くなり、研磨装置の作業性が
向上する。
【0031】図8及び図9は、本発明の第2実施例によ
る多機能研磨装置110を示す。多機能研磨装置110
では、第1実施例の多機能研磨装置10における第1の
軸受30及び第2の軸受34の代わりに、それらの作用
を1つの軸受で実現可能な複式軸受112が使用され
る。複式軸受112は、好ましくは転がり軸受であり、
半径方向に並置された3つの軌道輪を有する。また、駆
動軸14に固定される釣合い部材114は、駆動軸14
の下方で駆動軸14に対し距離dだけ偏心して軸方向に
突出する円筒状の凸部115を備える。
【0032】複式軸受112の内輪116は、釣合い部
材112の凸部115の外表面に固定される。複式軸受
112の外輪118は、環状支持部材42のスリーブ部
46の内表面に固定される。複式軸受112の中間輪1
20は、駆動軸14の軸線に平行にかつ相互に距離dだ
け離間して延びる軸線を有して、内輪116及び釣合い
部材112に対して回転する部材であり、第1実施例の
多機能研磨装置10における偏心軸32に相当する。し
たがって多機能研磨装置110では、研磨部材18は複
式軸受112の中間輪120に固定的に連結される。な
お研磨部材18は、複式軸受112の中間輪120のみ
によって支持されるので、中間輪120に充分な剛性を
付与するとともに、アンギュラ構造等のスラスト荷重に
耐える構造を複式軸受112に適用することが望まし
い。
【0033】多機能研磨装置110は、弾性部分のみか
らなる弾性連結部材122を備える。なお、研磨装置1
10における係合手段の構成は、複式軸受112及び弾
性連結部材122以外は実質的に図1の研磨装置10と
同じである。弾性連結部材122の下端には、環状支持
部材42のフランジ部48が例えばねじ56によって直
接に固定される。研磨部材18はアダプタ124に固定
され、アダプタ124が例えばねじ80によって複式軸
受112の中間輪120に固定される。アダプタ124
は、外縁部に軸方向へ延びる環状壁126を備える。ア
ダプタ124を複式軸受112に取着すると、環状壁1
26は環状支持部材42のスリーブ部46の下方に僅か
な隙間を介して配置される。環状壁126の外表面に
は、複式軸受112の中間輪120及び研磨部材18の
所定の自転位置で、環状支持部材42のスリーブ部46
の溝64に対し軸方向へ整列配置される溝128が形成
される。
【0034】したがって、係合部材38を図示の第1位
置に配置し、環状支持部材42の溝64とアダプタ12
4の溝128とを整列させた後、係合部材38を環状支
持部材42のスリーブ部46に沿ってアダプタ124の
環状壁126の方向へ移動させると、係合部材38のキ
ー62はアダプタ124の溝128に係合する。図1の
研磨装置10と同様に、係合部材38を第1位置に配置
したときは、複式軸受112の中間輪120及び研磨部
材18は自由に自転運動を行うことができ、このとき研
磨装置110はダブルアクション式研磨装置として作用
する。また、係合部材38を、キー62が環状支持部材
42の溝64とアダプタ124の溝128との双方に係
合する第2位置に配置したときに、中間輪120及び研
磨部材18は弾性連結部材122の作用により自転運動
を係止され、このとき研磨装置110はオービタル式研
磨装置として作用する。このような構造によれば、釣合
い部材の軸方向寸法を低減できるので、作業者の手元か
ら研磨される物体表面までの距離が短くなり、研磨装置
の作業性が向上する。
【0035】図10及び図11は、本発明の第3実施例
による多機能研磨装置130を示す。多機能研磨装置1
30では、本体12は釣合い部材28を包囲しつつ軸方
向へ延びる略円筒状の延長部132を有する。そして延
長部132の下端と環状支持部材42のフランジ部48
との間に、駆動軸14及び偏心軸32に略直交して延び
る弾性連結部材134が配置される。弾性連結部材13
4は弾性部分のみからなる環状の円板部材であり、その
外縁部及び内縁部で例えばねじ136及び138によっ
て延長部132及びフランジ部48にそれぞれ固定され
る。
【0036】好ましくは、弾性連結部材134に設けた
各ねじ136及び138の貫通穴140及び142への
応力集中を防止するために、金属等からなる環状の補強
部材144及び146が弾性連結部材134の外縁部及
び内縁部にそれぞれ配置される。また弾性連結部材13
4は、波板状部材、複数の帯状部材、複数のつる巻ばね
等から構成することもできる。なお、研磨装置130に
おける係合手段の構成は、弾性連結部材134以外は実
質的に図1の研磨装置10と同じである。
【0037】このような構造によれば、例えば図8の研
磨装置110の複式軸受112を使用することにより、
釣合い部材28の軸方向寸法をさらに低減することがで
きる。その場合、本体12の延長部132によって釣合
い部材28の周囲に充分な空間を形成できるので、釣合
い部材28の釣合い重り部分を半径方向へ延長すること
により、確実な釣合い作用を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、研磨装置の本体に固定される弾性連結部材と回転駆
動される研磨部材との間に、研磨部材に固定的に連結さ
れる第1要素と弾性連結部材に固定的に連結される第2
要素とを備える軸受手段を研磨部材の自転軸線に同心配
置し、これら第1要素と第2要素との相対回転を係合部
材によって選択的に係止する構成としたので、係合部材
を研磨部材の自転軸線の近傍に配置でき、その結果、自
転係止時の係合部材への応力集中が軽減されるととも
に、第1要素及び第2要素に対する係合部材の位置決め
が容易になる。また、係合部材は第1位置と第2位置と
の間を手作業で容易に移動できるので、エアシリンダ等
の駆動装置を研磨装置に搭載する必要がなく、装置の小
形化及び軽量化が促進される。したがって本発明によれ
ば、研磨部材の動作をオービタル動作とダブルアクショ
ン動作との間で容易かつ正確に切り換え可能であって、
装置の寸法及び重量の増加を可及的に防止できる単純構
造かつ耐久性に優れた切り換え機構を有し、仕上げ加工
と荒加工とを1台の装置で随時に切り換えて実施できる
高性能の多機能研磨装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による多機能研磨装置の部
分断面正面図である。
【図2】図1の多機能研磨装置の部分断面側面図であ
る。
【図3】図1の多機能研磨装置の軸受手段と係合部材と
を示す拡大部分断面図で、中心線の右側が図1に対応
し、中心線の左側が図2に対応する。
【図4】図1の多機能研磨装置の係合手段を示す分解斜
視図である。
【図5】図1の多機能研磨装置の係合部材の変形例を示
す拡大部分断面正面図である。
【図6】図1の多機能研磨装置の係合部材の他の変形例
を示す図で、(a)図3に対応する拡大部分断面図、及
び(b)線b−bに沿った断面平面図、である。
【図7】図1の多機能研磨装置の係合部材のさらに他の
変形例を示す図で、(a)拡大部分断面正面図、及び
(b)線b−bに沿った断面平面図、である。
【図8】本発明の第2実施例による多機能研磨装置の部
分断面正面図である。
【図9】図8の多機能研磨装置の部分断面側面図であ
る。
【図10】本発明の第3実施例による多機能研磨装置の
部分断面正面図である。
【図11】図10の多機能研磨装置の部分断面側面図で
ある。
【符号の説明】
10,110,130…多機能研磨装置 12…本体 14…駆動軸 16…駆動部 18…研磨部材 20…係合手段 28…釣合い部材 30…第1の軸受 32…偏心軸 34…第2の軸受 36,122,134…弾性連結部材 38,86,106…係合部材 40,116…内輪 42…環状支持部材 44,118…外輪 62…キー 66…止めねじ 72…切欠き 78,124…アダプタ 84,102…ボールプランジャ 112…複式軸受 120…中間輪 132…延長部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体と、駆動軸を有して該本体に支持さ
    れる駆動部と、該駆動軸に対し偏心した位置で自転可能
    に該駆動軸に連結されるとともに、該駆動部の作動によ
    り該駆動軸を中心として公転運動する研磨部材と、該研
    磨部材の自転運動を選択的に解放及び係止できる係合手
    段とを具備した多機能研磨装置において、 前記係合手段は、 前記研磨部材に連結される第1要素と、該第1要素に対
    して回転する第2要素とを備えて、該研磨部材に同心配
    置される軸受手段と、 前記軸受手段の前記第2要素に固定的に連結されるとと
    もに前記本体に固定され、以て該軸受手段を介して前記
    研磨部材に相対回転可能に連結され、該研磨部材の公転
    運動に伴って弾性変形する弾性連結部材と、 前記弾性連結部材と前記研磨部材との間に配置され、前
    記軸受手段の前記第2要素のみに係合して該研磨部材の
    自転運動を解放する第1位置と、該第2要素及び前記第
    1要素の双方に係合して該自転運動を係止する第2位置
    との間で移動する係合部材、とを具備したことを特徴と
    する多機能研磨装置。
  2. 【請求項2】 前記軸受手段は、半径方向に並置された
    一対の軌道輪を有する軸受を具備し、該軸受手段の前記
    第1要素は、該軸受の第1軌道輪と、前記駆動軸に対し
    偏心した位置で自転可能に該駆動軸に連結されるととも
    に該第1軌道輪に固定される偏心軸とを備え、該偏心軸
    が前記研磨部材の自転軸線を有して該研磨部材に連結さ
    れる請求項1に記載の多機能研磨装置。
  3. 【請求項3】 前記軸受手段は、半径方向に並置された
    一対の軌道輪を有する軸受を具備し、該軸受手段の前記
    第2要素は、該軸受の第2軌道輪と、前記研磨部材の自
    転軸線を包囲して該第2軌道輪と前記弾性連結部材とに
    固定される環状支持部材とを備える請求項1又は2に記
    載の多機能研磨装置。
  4. 【請求項4】 前記軸受手段は、半径方向に並置された
    3つの軌道輪を有する複式軸受を具備し、該軸受手段の
    前記第1要素は、前記駆動軸に対し偏心した位置で自転
    可能に該駆動軸に連結される該複式軸受の中間軌道輪を
    備え、該中間軌道輪が前記研磨部材の自転軸線を有して
    該研磨部材に連結される請求項1に記載の多機能研磨装
    置。
  5. 【請求項5】 前記軸受手段は、半径方向に並置された
    3つの軌道輪を有する複式軸受を具備し、該軸受手段の
    前記第2要素は、該複式軸受の外側軌道輪と、前記研磨
    部材の自転軸線を包囲して該外側軌道輪と前記弾性連結
    部材とに固定される環状支持部材とを備える請求項1又
    は4に記載の多機能研磨装置。
  6. 【請求項6】 前記弾性連結部材は、前記研磨部材の自
    転軸線を包囲して軸方向に延びる弾性部分を有する請求
    項1〜5のいずれか1つに記載の多機能研磨装置。
  7. 【請求項7】 前記弾性連結部材は、前記研磨部材の自
    転軸線を包囲して半径方向に延びる弾性部分を有する請
    求項1〜5のいずれか1つに記載の多機能研磨装置。
  8. 【請求項8】 前記係合部材は、前記軸受手段の前記第
    1要素に設けた第1溝部と該第1溝部に対して整列可能
    に前記第2要素に設けた第2溝部との双方に係合可能な
    凸部を備える請求項1〜7のいずれか1つに記載の多機
    能研磨装置。
  9. 【請求項9】 前記係合部材を前記第1位置と前記第2
    位置とのそれぞれに位置決めする位置決め手段をさらに
    備える請求項1〜8のいずれか1つに記載の多機能研磨
    装置。
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