JPH07310172A - 洗濯槽及びその槽壁面の形成方法 - Google Patents
洗濯槽及びその槽壁面の形成方法Info
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- JPH07310172A JPH07310172A JP6124398A JP12439894A JPH07310172A JP H07310172 A JPH07310172 A JP H07310172A JP 6124398 A JP6124398 A JP 6124398A JP 12439894 A JP12439894 A JP 12439894A JP H07310172 A JPH07310172 A JP H07310172A
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Abstract
で長期間にわたって美麗な状態を維持し、酵素配合洗剤
の使用にも耐える全自動洗濯機用の洗濯槽を提供するこ
と。 [構成] ホローカソード方法によるイオンプレーティ
ング装置1のコーティング室2に基材として深絞り加工
して成形したステンレス鋼製洗濯槽Sをセットし、真空
排気する。アルゴンガスを導入しつつホローカソード1
3と水冷銅ハース11上の蒸発原料(Ti)12との間
にプラズマ電子ビーム放電を生起させ、かつ反応ガスと
してN2 ガスを導入して、バイアス電圧を印加したステ
ンレス鋼製洗濯槽Sの内面に厚さ1〜10μmのTiN
の被膜を形成させる。
Description
ものであり、更に詳しくは槽壁面に硬質被膜を形成させ
たステンレス鋼または炭素鋼製洗濯槽及びその槽壁面の
形成方法に関するものである。
のための洗濯槽と遠心脱水のための脱水槽とからなる2
槽式のものから、洗濯・水すすぎと遠心脱水とを洗濯槽
で行なう1槽式の全自動洗濯機へ移行しつつあり、かつ
その高性能化がはかられつつある。
来からプラスチックで製造されているが(一部に塗装鋼
板のものもある)、プラスチック製のものは傷がつき易
い上、洗剤カスをはじめとする汚れが付着し、主として
黒カビからなるカビが発生し易いこと、遠心脱水時の回
転数は毎分800回転とするのが限度であることから、
最近はステンレス鋼板製のものが採用され始めている。
そしてこれによって、洗濯・水すすぎ時には洗濯槽内壁
と水との間に毎秒2mの相対速度を生じ、遠心脱水時に
は、モータ駆動されている洗濯槽は毎分1000回転の
速度で回転されている。
なまし処理したもので約5μmの表面粗度を有している
ので、ステンレス鋼製であっても約2年間の使用で汚れ
が付着し、発生したカビが脱落して衣料を黒く汚すとい
う欠点がある。そのため、ステンレス鋼製洗濯槽にも抗
菌剤コートが行われたりしている程である。また、洗濯
槽をプラスチック製からステンレス鋼製とし、洗濯槽の
遠心脱水時の回転数を毎分800回転から毎分1000
回転として脱水性能の向上がはかられたが(一部では毎
分1100回転のものまで市販されている)、洗濯・水
すすぎ時における洗濯槽内壁と水との相対速度の増大
や、遠心脱水時における含水衣料によるこすれ、押圧の
増大のため、元来が硬度の低いステンレス鋼の摩耗を無
視できない。
料用洗剤が使用されるようになっている。この種の洗剤
は酵素の作用によって洗浄力は増大しているものの、洗
濯槽内でpH8.5〜9.5のアルカリ性の洗濯水とな
って攪拌されるので、長期間使用するとステンレス鋼は
粒界腐食を発生し、その耐食性にも問題を生じている。
に鑑みてなされ、平滑な面を有して汚れやカビが付着せ
ず、硬度が高くて耐摩耗性があり、かつ耐食性を有して
酵素配合洗剤の使用にも耐え得る洗濯槽を提供すること
を目的とする。
カソード放電方法によるイオンプレーティングによっ
て、ステンレス鋼または炭素鋼の槽壁面窒化チタンまた
は窒化クロムからなる厚さ1〜10μmの硬質被膜が形
成されていることを特徴とする洗濯槽、によって達成さ
れる。
炭素鋼板を深絞りして成形した洗濯槽の表面に、ホロー
カソード方法によるイオンプレーティングによって、厚
さ1〜10μmの窒化チタンまたは窒化クロムの被膜を
形成させることを特徴とする洗濯槽壁面の形成方法、に
よって達成される。
素鋼の平板の片面または両面と、ステンレス鋼または炭
素鋼の凹面状丸皿板の内面または全面とのそれぞれに、
ホローカソード方法によるイオンプレーティングによっ
て、厚さ1〜10μmの窒化チタンまたは窒化クロムの
被膜を形成させ、次いで前記平板の被膜面を内側にし
て、折り曲げ圧接によって前記平板を前記凹面状丸皿板
と同等の直径を有する円筒状成形品とし、更に該円筒状
成形品と被膜を形成させた前記凹面状丸皿板とを折り曲
げ圧接によって繋ぎ合わせて洗濯槽に成形することを特
徴とする洗濯槽壁面の形成方法、によって達成される。
たは窒化クロムをイオンプレーティングして、槽壁面に
硬質被膜を形成させたステンレス鋼または炭素鋼製洗濯
槽は表面が平滑であり、硬度が高く耐摩耗性に優れてい
るので、高性能化された全自動洗濯機の洗濯槽として長
期間使用しても汚れやカビが全く付着せず、美麗さが維
持される。また、耐食性にも優れており、洗濯時にアル
カリ性の洗濯水となる酵素配合洗剤の使用にも充分に耐
える。
の槽壁面の形成方法について、図面を参照して説明す
る。
用したホローカソード方法によるイオンプレーティング
装置1の概略断面図である。コーティング室2は真空排
気管3から真空バルブ4を介して真空ポンプ5に接続さ
れており、上壁には真空計6が設けられている。イオン
プレーティングされる基材Sの直下方に配置された水冷
銅ハース11には蒸発原料12が充填され、これに臨む
ようにホローカソード(中空陰極)13が配設されてい
る。このホローカソード13は内径8mm、外径10m
m、長さ60mmのタンタル(Ta)製の中空管であ
り、コーティング室2の側壁に挿入されている陰極ホー
ルダ14によって支持され、外部のプラズマ電子ビーム
放電用直流電源15の陰極と接続されている。その直流
電源15の陽極には水冷銅ハース11が接続されてお
り、水冷銅ハース11上の蒸発原料12をホローカソー
ド13に対して正電位とする。更には、ホローカソード
13へプラズマ用のアルゴン(Ar)ガスを導入するた
めに、アルゴンガスボンベ18から流量計17、流量調
節弁16を経由する配管が陰極ホールダ14に挿着され
ている。また更には、反応ガスとしての窒素(N2 )ガ
スをコーティング室2へ導入するために、窒素ガスボン
ベ23から流量計22、流量調節弁21を経由する配管
がコーティング室2の側壁に挿入されている。基材Sは
外部のバイアス用直流電源19によって水冷銅ハース1
1に対し負のバイアス電圧が印加されるようになってい
るほか、基材Sの周囲には外部の商用電源32と接続さ
れた加熱ヒータ31が設けられている。
鋼板を温間で深絞り加工して、脱水孔、その他必要な開
口や凹凸を有する直径450mm、深さ300mmの洗
濯槽に成形した。変形量の大きいところでは板厚0.6
mmになった。このステンレス鋼製洗濯槽を基材Sとし
てイオンプレーティングするに当たり、前処理としてそ
の内面を脱脂洗浄し、水洗し、乾燥してからコーティン
グ室2内へ内面を下向きにしてセットした。水冷銅ハー
ス11には蒸発原料12としてチタン(Ti)45gを
充填してから真空ポンプ5によってコーティング室2内
を圧力0.1Pa以下に排気した。
濯槽を加熱ヒータ31で200°Cに加熱した後、アル
ゴンガスボンベ18からホローカソード13へArガス
を導入すると共に、正電位にある蒸発原料12としての
Tiとホローカソード13との間にプラズマ電子ビーム
放電を開始させた。この時、Arガス流量0.2リット
ル/min、電圧26V、電流210Aとして放電が持
続された。同時に窒素ガスボンベ23からコーティング
室2内へN2 ガスを0.35リットル/minの流量で
導入すると共に基材Sとしてのステンレス鋼製洗濯槽に
(−)20Vのバイアス電圧を印加した。これらの条件
下においてコーティング室2の圧力は約15Paであっ
た。
オン化されたTiはプラズマ空間で活性化されたN2 ガ
スと反応しつつ、バイアス電圧によって加速されて、基
板Sとしてのステンレス鋼製洗濯槽の内面に衝突し生長
してTiN(窒化チタン)被膜を形成する。このイオン
プレーティングを15分間行なうことによって、ステン
レス鋼製洗濯槽の内面に黄金色を有する厚さ4.2〜
5.6μmのTiN被膜が形成された。図2はその洗濯
槽の写真である。
たステンレス鋼製洗濯槽は、全自動洗濯機に組み込んだ
試験、すなわち、洗濯・水すすぎ時の洗濯槽内壁と水と
の相対速度毎秒2m、遠心脱水時の洗濯槽の回転数毎分
1050回転、及び乾燥状態を長期間繰り返す試験にお
いて、内面の摩耗は認められずTiNの黄金色の光沢を
維持し、汚れやカビの付着もなく、また結晶粒界の腐食
も認められなかった。
ソード方法によるイオンプレーティングの条件設定のた
めにテストを実施したが、そのテストにおいては、ステ
ンレス鋼の平板(厚さ0.8mm×縦40mm×横40
mm)をテストピースとし、実施例1のホローカソード
放電方法によるイオンプレーティング装置1の洗濯槽内
面に相当する位置にセットしてTiN被膜を形成させ
た。実施例1で採用したと同じ条件において、厚さ4.
8μmのTiN被膜が形成されたが、被膜形成前のステ
ンレス鋼板はビッカース硬度(Hv)155kg/mm
2 、表面粗度5μmであったに対し、TiN被膜を形成
させたものはビッカース硬度1730kg/mm2 、表
面粗度0.8μm以下であった。
被膜であっても、厚さ1μm以下のものは耐食性が不十
分であり、厚さ10μm以上のものは生産性とコスト面
から不都合と判定された。
から深絞り加工して成形した洗濯槽にTiN被膜を形成
させたが、被膜形成の効率化、洗濯槽のコスト低減を考
慮して、本実施例ではステンレス鋼板に被膜形成させた
後に、これを洗濯槽に成形することを行なった。
00mmのステンレス鋼の平板、及び図3に示すような
板厚0.8mmで直径450mm、深さ30mmの凹面
状丸皿板Bを用意し、それぞれを前処理してから基材S
として、実施例1で使用したホローカソード放電方法に
よるイオンプレーティング装置1によって、平板の片
面、及び凹面状丸皿板Bの内面に厚さ4.0〜6.0μ
mのTiN被膜を形成させた。
折り曲げ圧接(いわゆる「かしめ」加工)によって直径
450mm、高さ300mmの円筒状に成形し、続い
て、その円筒状成形品と内面にTiN被膜の形成された
凹面状丸皿板Bとを、同じく折り曲げ圧接によって繋ぎ
合わせ、内面にTiN被膜を有する直径450mm、深
さ300mmのステンレス鋼製洗濯槽に成形した。繋ぎ
合わせ時の折り曲げ圧接は片側の折り曲げ長さをそれぞ
れ15mmとしている。
させたステンレス鋼製洗濯槽も高性能化された全自動洗
濯機に組み込む長期テストで、内面に汚れやカビが付着
せず、耐摩耗性、耐食性にも優れていた。
深絞り加工して成形ずみのステンレス鋼性洗濯槽を基材
Sとし、その内面に窒化クロム(CrN)の被膜を形成
させた。すなわち、ホローカソード放電方法によるイオ
ンプレーティング装置1の水冷銅ハース11に充填する
蒸発原料12をクロム(Cr)とした以外は、他は全く
実施例1と同様の方法、同様の条件で、ステンレス鋼製
洗濯槽の内面に厚さ5.5〜6.3μmの銀白色のCr
N被膜を形成させた。このCrN被膜はビッカース硬度
2400kg/mm2 を示したほか、緻密で優れた耐摩
耗性、耐食性を有しており、全自動洗濯機での、洗濯・
水すすぎ時の洗濯槽内壁と水との相対速度毎秒2m、遠
心脱水時の洗濯槽の回転数毎分1050回転とする長期
テストにも耐えた。
が、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発
明の技術的思想に基いて種々の変形が可能である。
前処理としてステンレス鋼からなる基材Sに脱脂洗浄、
水洗、乾燥を施したが、この前処理に加え、コーティン
グ室2内においてアルゴンガスによるスパッタクリーニ
ングを行えば、より清浄なステンレス鋼面に被膜を形成
させることができ、ステンレス鋼と被膜との密着に一層
の向上が期待される。
製洗濯槽の内面にTiNまたはCrNの被膜を形成させ
たが、これらを洗濯槽の全面に形成させてもよく、これ
によって洗濯槽の外面に汚れやカビが付着することを防
ぎ得る。
平板および凹面状丸皿板にTiNの被膜を形成させた後
に洗濯槽に成形したが、被膜形成前の平板および凹面状
丸皿板にあらがじめ脱水孔や凹凸を付したものについて
被膜を形成させ、次いでそれら平板と凹面状丸皿板とか
ら折り曲げ圧接によって洗濯槽としてもよい。
にTiNまたはCrNの硬質被膜を形成させたが、ステ
ンレス鋼板に代えて、絞り加工の可能な炭素鋼板にTi
NまたはCrNの被膜を形成させて洗濯槽としても同様
な効果が得られるほか、それによってコストの低減が可
能である。
方法によるイオンプレーティングによってTiNまたは
CrNの硬質被膜を形成させたステンレス鋼または炭素
鋼製洗濯槽は表面が平滑であり、かつ耐摩耗性を有して
いるので長期間の使用によっても汚れやカビが全く付着
せず美麗な状態が維持され、全自動洗濯機の一層の高性
能化(例えば、遠心脱水時における洗濯槽の回転数毎分
1100回転)にも対応し得る。また、酵素配合洗剤の
使用によるアルカリ性下での洗濯に対しても粒界腐食を
発生しない。
硬質被膜が形成されているので、洗濯中の衣料がステン
レス鋼に含有されているニッケル(Ni)と直接に擦れ
合うことがなく、従ってNiによるアレルギの発生の恐
れがないなど、健康上のメリットも期待される。
ソード放電方法によるイオンプレーティング装置の概略
断面図である。
せたステンレス鋼製洗濯槽を示す写真である。
って洗濯槽とする場合の、底面部となる凹面状丸皿板の
断面図である。
ィング装置 2 コーティング室 5 真空ポンプ 11 水冷銅ハース 12 蒸発原料(TiまたはCr) 13 ホローカソード 15 プラズマ電子ビーム放電用直流電源 18 アルゴンガスボンベ 19 バイアス電圧印加用直流電源 23 窒素ガスボンベ 31 加熱ヒータ S 基材(ステンレス鋼製洗濯槽)
Claims (3)
- 【請求項1】 ホローカソード放電方法によるイオンプ
レーティングによって、ステンレス鋼または炭素鋼の槽
壁面に窒化チタンまたは窒化クロムからなる厚さ1〜1
0μmの硬質被膜が形成されていることを特徴とする洗
濯槽。 - 【請求項2】 ステンレス鋼板または炭素鋼板を深絞り
して成形した洗濯槽の表面に、ホローカソード方法によ
るイオンプレーティングによって、厚さ1〜10μmの
窒化チタンまたは窒化クロムの被膜を形成させることを
特徴とする洗濯槽壁面の形成方法。 - 【請求項3】 ステンレス鋼または炭素鋼の平板の片面
または両面と、ステンレス鋼または炭素鋼の凹面状丸皿
板の内面または全面とのそれぞれに、ホローカソード方
法によるイオンプレーティングによって、厚さ1〜10
μmの窒化チタンまたは窒化クロムの被膜を形成させ、
次いで前記平板の被膜面を内側にして、折り曲げ圧接に
よって前記平板を前記凹面状丸皿板と同等の直径を有す
る円筒状成形品とし、更に該円筒状成形品と被膜を形成
させた前記凹面状丸皿板とを折り曲げ圧接によって繋ぎ
合わせて洗濯槽に成形することを特徴とする洗濯槽壁面
の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6124398A JPH07310172A (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 洗濯槽及びその槽壁面の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6124398A JPH07310172A (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 洗濯槽及びその槽壁面の形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07310172A true JPH07310172A (ja) | 1995-11-28 |
Family
ID=14884456
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6124398A Pending JPH07310172A (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 洗濯槽及びその槽壁面の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07310172A (ja) |
-
1994
- 1994-05-13 JP JP6124398A patent/JPH07310172A/ja active Pending
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