JPH07303973A - 抵抗溶接機の制御装置及び制御方法 - Google Patents

抵抗溶接機の制御装置及び制御方法

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JPH07303973A
JPH07303973A JP9765494A JP9765494A JPH07303973A JP H07303973 A JPH07303973 A JP H07303973A JP 9765494 A JP9765494 A JP 9765494A JP 9765494 A JP9765494 A JP 9765494A JP H07303973 A JPH07303973 A JP H07303973A
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resistance welding
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真吾 河合
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NA DETSUKUSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極間の距離によってワークの真の膨張率を
判断できるようにして、その真の膨張率に基づいて溶接
電流の制御を行うことができるようにする。 【構成】 2つの電極によってワークを挟圧し該両電極
間に溶接電流を通電してそのジュール熱によって該ワー
クの溶接を行う抵抗溶接機の制御を行う抵抗溶接機の制
御装置であって、前記両電極間に前記ワークの溶接をす
るための本通電を行う本通電手段と、その本通電を行う
前に、前記ワークと前記電極とがなじむまで前記両電極
間に予備的な通電を行う予備的通電手段とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、2つの電極間にワー
クを挟圧し両電極間に溶接電流を流してそのワークの溶
接を行う抵抗溶接機の制御を行う抵抗溶接機の制御装置
及び制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】抵抗溶接機において良好な溶接を行うた
めには、ワークに応じて両電極間に適切な溶接電流を流
す必要がある。そして、適切な溶接電流を自動的に流す
ようにする従来の装置として、特公昭62−18273
号公報に記載されているものがある。その装置は、時間
とともに変化する両電極間の抵抗値の目標カーブを設定
し、その実際の両電極間の抵抗値がその目標カーブに沿
うように両電極間を流れる溶接電流の値を制御するもの
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、適切な溶接
電流値は、ワークの材質,板厚,枚数等の溶接条件によ
って異なってくる。そのため、前述の従来の装置におい
ても、適切な抵抗値のカーブはワークの材質等の溶接条
件によって異なるため、溶接条件ごとに各々抵抗値の目
標カーブ(基準となる値)を設定する必要があり、煩雑
である。
【0004】そこで、請求項1,請求項2,請求項1
4,請求項15に係る発明は、ワークの材質,板厚,枚
数等の溶接条件が異なっても、それに応じて溶接電流値
を各々設定することなく、両電極間に自動的に適切な溶
接電流を流すことが可能であり、溶接条件が異なっても
ワークの溶接を自動的かつ適切に行うことができる制御
装置及び方法を提供することを課題とする(第1の課
題)。
【0005】第1の課題を解決するために、請求項1,
請求項2,請求項14,請求項15に係る発明がなされ
たのであり、それによれば一般的には適切な溶接が行わ
れる。しかしながら、さらなる改良の余地があることが
判明した。すなわち、上記の発明においては、後述する
ようにワークの膨張率や抵抗値に基づいて制御される
が、ワークの膨張率や抵抗値は、電極間の距離や電極間
の抵抗値に基づいて判断されることが一般的である。し
かしながら、次のような場合は、ワークの膨張率(又は
抵抗値)と電極間の距離(又は抵抗値)とが一致せず、
電極間の距離(又は抵抗値)によっては適切な制御をす
ることができないのである。
【0006】すなわち、多数回の使用によって電極の先
端部が欠けたりして平面状でなくなって突起部等が発生
していると、溶接の初期の段階においてはその突起部に
おいて電極がワークに沈み込んでいき、その分電極間の
距離は接近する。このため、電極間の距離によってワー
クの膨張率を判断すると、通電による発熱によってワー
クが実際には膨張していても、その沈み込み分が相殺さ
れてしまい、ワークの膨張率は実際の膨張率よりも小さ
く判断されてしまう。そのため、従来の制御をそのまま
適用すると、本来流すべき電流以上の大きな溶接電流を
流すこととなってしまい、スパッタが生じる場合もあ
る。
【0007】また、このようなことは次の場合にも生じ
る。すなわち、電極とワークとの間に異物が存在してい
る場合においては、通電による発熱によってその異物が
燃焼又は溶解することにより、電極がワークの側へさら
に接近するように移動する。このため、電極間の距離を
基準に判断するとワークはその分収縮しているように判
断され、ワークの膨張率が実際の膨張率よりも小さく判
断されてしまうのである。なお上記2点については、
「ワークの膨張率」を「ワークの抵抗値」と置き換えて
も同様のことがいえる。
【0008】そこで、請求項3〜請求項11,請求項1
6に係る発明は、電極間の距離(又は抵抗値)によって
ワークの真の膨張率(又は抵抗値)を判断することが可
能であり、その真の膨張率(又は抵抗値)に基づいて溶
接電流の制御を行うことができる制御装置及び方法を提
供することを課題とする(第2の課題)。
【0009】また、請求項12,請求項13に係る発明
は、上記第1・第2の両方の課題のを解決するものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決す
るために、請求項1に係る発明は、2つの電極によって
ワークを挟圧し該両電極間に溶接電流を通電してそのジ
ュール熱によって該ワークの溶接を行う抵抗溶接機の制
御を行う抵抗溶接機の制御装置であって、前記ワークの
膨張速度又は抵抗値増加速度に基づいて前記溶接電流の
電流値を制御する電流値制御手段を有することを特徴と
する。
【0011】また、請求項2に係る発明は、2つの電極
によってワークを挟圧し該両電極間に溶接電流を通電し
てそのジュール熱によって該ワークの溶接を行う抵抗溶
接機の制御を行う抵抗溶接機の制御装置であって、前記
ワークの膨張速度又は抵抗値増加速度がほぼゼロとなっ
た時点以降に前記溶接電流の通電を終了する通電終了手
段を有することを特徴とする。
【0012】また、上記第2の課題を解決するために、
請求項3に係る発明は、2つの電極によってワークを挟
圧し該両電極間に溶接電流を通電してそのジュール熱に
よって該ワークの溶接を行う抵抗溶接機の制御を行う抵
抗溶接機の制御装置であって、前記両電極間に前記ワー
クの溶接をするための本通電を行う本通電手段と、その
本通電を行う前に、前記ワークと前記電極とがなじむま
で前記両電極間に予備的な通電を行う予備的通電手段と
を有することを特徴とする。なお、ここで、電極の先端
部がワークに「なじむ」とは、電極の先端部がワークに
対して全面的にかつ直接的に接触することをいうことと
する。
【0013】また、請求項4に係る発明は、請求項3に
係る発明であって、前記予備的通電によって前記ワーク
と前記電極とがなじんだか否かを、前記両電極間の距離
が前記ワークの膨張に伴って離隔し始めたか否かをもっ
て判断するものであることを特徴とする。
【0014】また、請求項5に係る発明は、請求項3に
係る発明であって、前記予備的通電によって前記ワーク
と前記電極とがなじんだか否かを、前記両電極間の前記
ワークの抵抗値が減少から増加へと転じたか否かをもっ
て判断するものであることを特徴とする。
【0015】また、請求項6に係る発明は、請求項3に
係る発明であって、前記予備的通電手段における通電が
間欠的なものであることを特徴とする。なお、「間欠
的」とは、複数回の予備的通電の間に(正確にはそのう
ちの実質的な通電がされる複数の時間帯の間において)
無通電状態の時間があるということであるが、その「無
通電状態」とは、電流値がゼロの場合に限らず、上記の
予備的通電の電流値と比較して相当に低い値の電流が通
電される場合も含まれることとする。
【0016】また、請求項7に係る発明は、請求項3又
は請求項6に係る発明であって、前記予備的通電手段に
おける電流値が、時間の経過とともに徐々に大きくなる
ものであることを特徴とする。なお、請求項6に係る発
明に関する場合においては、予備的通電のうちの実質的
に通電されている期間の電流値(すなわち、その間の無
通電状態を含まずに)が徐々に大きくなるものである。
【0017】また、請求項8に係る発明は、請求項3に
係る発明であって、前記予備的通電と前記本通電との間
において通電を休止する通電休止手段を有することを特
徴とする。なお、「通電の休止」とは、電流値がゼロの
場合に限らず、上記の予備的通電の電流値と比較して相
当に低い値の電流が通電される場合も含まれることとす
る。
【0018】また、請求項9に係る発明は、請求項8に
係る発明であって、前記通電休止手段による通電の休止
が、前記ワークの収縮速度又は抵抗値減少速度がほぼゼ
ロとなった時点以降に終了されるものであることを特徴
とする。
【0019】また、請求項10に係る発明は、請求項7
に係る発明であって、前記本通電の初期の電流値が、前
記予備的通電の終期の電流値を基準に定められるもので
あることを特徴とする。
【0020】また、請求項11に係る発明は、請求項3
に係る発明であって、前記本通電の初期の電流値が、前
記予備的通電の通電時間又は通電量に基づいて定められ
るものであることを特徴とする。なお、「通電量」と
は、電流値を通電時間で積分した値をいう。
【0021】また、上記第1・第2の両方の課題を解決
するために、請求項12に係る発明は、請求項3に係る
発明であって、前記両電極間の離隔速度又は抵抗値増加
速度に基づいて前記本通電の電流値を制御する電流値制
御手段を有することを特徴とする。なお、「両電極間の
離隔速度」とは、両電極間の距離が離隔する速度のこと
をいう。
【0022】また、請求項13に係る発明は、請求項3
に係る発明であって、前記両電極間の離隔速度又は抵抗
値増加速度がほぼゼロとなった時点以降に前記本通電を
終了する通電終了手段を有することを特徴とする。
【0023】また、上記第1の課題を解決するために、
請求項14に係る発明は、2つの電極によってワークを
挟圧し該両電極間に溶接電流を通電してそのジュール熱
によって該ワークの溶接を行う抵抗溶接機の制御を行う
抵抗溶接機の制御方法であって、前記ワークの膨張速度
又は抵抗値増加速度に基づいて前記溶接電流の電流値を
制御する電流値制御段階を有することを特徴とする。
【0024】また、請求項15に係る発明は、2つの電
極によってワークを挟圧し該両電極間に溶接電流を通電
してそのジュール熱によって該ワークの溶接を行う抵抗
溶接機の制御を行う抵抗溶接機の制御方法であって、前
記ワークの膨張速度又は抵抗値増加速度がほぼゼロとな
った時点以降に前記溶接電流の通電を終了する通電終了
段階を有することを特徴とする。
【0025】また、上記第2の課題を解決するために、
請求項16に係る発明は、2つの電極によってワークを
挟圧し該両電極間に溶接電流を通電してそのジュール熱
によって該ワークの溶接を行う抵抗溶接機の制御を行う
抵抗溶接機の制御方法であって、前記両電極間に前記ワ
ークの溶接をするための本通電を行う本通電段階と、そ
の本通電を行う前に、前記ワークと前記電極とがなじむ
まで前記両電極間に予備的な通電を行う予備的通電段階
とを有することを特徴とする。
【0026】
【作用】請求項1,請求項14に係る発明によれば、ワ
ークの材質,板厚,枚数等の条件にかかわらず、両電極
間に適切な電流が流され、適切に溶接できることが判明
した。すなわち、ワークの材質,板厚,枚数等の条件が
異なっても、ワークの膨張速度と溶接電流値との間には
同様な相関関係があることが判明したのであり、ワーク
の膨張速度を基準にフィードバック的に溶接電流値を制
御することによって、適切に溶接できるのである。すな
わち、膨張速度が小さければ電流値を増加させ、膨張速
度が大きければ電流値を減少させるのである。なお、こ
の制御は、溶接のうちの初期において有効である。ま
た、ワークの膨張率とワークの抵抗値との間にはほぼ正
の相関関係があるため、抵抗値の増加速度に基づいても
同様な作用が得られるのである。
【0027】請求項2,請求項15に係る発明によれ
ば、ワークの材質,板厚,枚数等の条件にかかわらず、
通電の適切な終了タイミングが得られ、適切に溶接でき
ることが判明した。すなわち、ワークの膨張速度がほぼ
ゼロになったということは、ワークが十分に溶解してそ
れ以上は溶解せず、それ以上の体積の膨張がないと推察
されるのであり、それを基準に通電の適切な終了タイミ
ングが得られるのである。また、前述したように、ワー
クの膨張率とワークの抵抗値との間にはほぼ相関関係が
あるため、抵抗値の増加速度に基づいても同様な作用が
得られるのである。
【0028】請求項3,請求項16に係る発明によれば
適切な溶接が行われることが判明した。その理由は次の
とおりであると推察される。電極の先端部に突起部が生
じている場合においては、予備的通電による発熱によっ
てワークが軟らかくなり、電極の先端部の突起部がワー
クに対して沈み込んでいき、電極の先端部がワークに対
してなじむようになる。すなわち、ワークの当該電極に
対する部分の形状が電極の形状に沿ったものとなり、電
極の先端部とワークとが全面的に接触することとなる。
また、電極とワークとの間に異物が存在する場合等にお
いても、予備的通電による発熱によって、その異物が燃
焼又は溶解して、電極とワークとが直接的に接触する
(なじむ)こととなる。このように、電極の先端部とワ
ークとがなじむまで予備的通電を行うと、本通電の際に
おいてワークの膨張率と電極間の距離の変化とが一致す
ることとなり、電極間の距離の変化に基づいてワークの
膨張率を正確に把握することが可能となる。このため、
電極間の距離に基づいて、ワークの膨張率に対応した溶
接電流の制御をすることが可能となり、適切な溶接を行
うことが可能となるのである。
【0029】請求項4に係る発明によれば、請求項3に
係る発明の作用を効果的に得ることができる。電極とワ
ークとがなじむと、ワークの膨張率と電極間の距離の変
化とが一致することから、通電による発熱に基づくワー
クの膨張によって、両電極間の距離が離隔し始めるので
ある。すなわち、両電極間の距離が離隔し始めたか否か
によって電極とワークとがなじんだか否かが判断され得
るのであり、それを基準に予備的通電の終了タイミング
を得ることができるのである。
【0030】また、請求項5に係る発明によっても、請
求項3に係る発明の作用を効果的に得ることができる。
電極とワークとがなじむと、両電極間のワークの抵抗値
が、減少から増加へと転じることが判明したのである。
すなわち、電極とワークとがなじむ前は、電極間の通電
によるジュール熱によって電極間抵抗値が一旦増加し、
その後、前述したように、電極がワークに沈み込んだり
電極とワークとの間の異物が燃焼したりして、両電極間
の距離が短くなって、電極間の抵抗値が減少していく。
そして、電極とワークとがなじむと、両電極間の距離が
ワークの膨張に伴って離隔し、また、ワークが高温とな
ることも伴って、ワークの抵抗値が増加し始める。この
ため、両電極間のワークの抵抗値が減少から増加へと転
じたか否かによっても、電極とワークとがなじんだか否
かが判断され得るのであり、それを基準に予備的通電の
終了タイミングを得ることができるのである。
【0031】請求項6に係る発明によれば、請求項3に
係る発明よりもさらに適切な溶接が行われることが判明
した。その理由は次のとおりであると推察される。予備
的通電が間欠的であるということは、予備的通電と予備
的通電との間(正確には、予備的通電のうちの通電期間
と通電期間との間)に通電休止期間があるのである。こ
のため、先の予備的通電によって電極がワークに沈み込
んだ場合に、通電休止期間においてワークの熱が放散さ
れて、ワークの硬さが回復し、電極がそれ以上沈み込む
ことが防止される。そして、次の予備的通電によって再
度電極が所定の度合いだけ沈み込む。このように、電極
がワークに対して少しずつ沈み込むため、電極がワーク
に対して一度に過度に沈み込む(最悪の場合ワークに孔
があく)ようなことが防止され、電極がワークになじむ
のに必要な分だけ電極がワークに沈み込む。このように
して、電極とワークとが適切になじむことが担保される
と推察されるのである。
【0032】請求項7に係る発明によれば、請求項3や
請求項6に係る発明よりもさらに適切な溶接が行われる
ことが判明した。その理由は次のとおりであると推察さ
れる。予備的通電の初期においては電極とワークとの接
触面積が小さいが、予備的通電によって徐々に電極がワ
ークになじんできてその接触面積が大きくなっていきジ
ュール熱が分散されるようになっていく。このため、予
備的通電の電流値が徐々に大きくなっていくことによっ
て、そのジュール熱の分散が補完され、ワークが常に適
切な高温状態とされると推察されるのである。
【0033】請求項8に係る発明によれば、請求項3に
係る発明よりもさらに適切な溶接が行われることが判明
した。その理由は次のとおりであると推察される。予備
的通電によってワークには徐々に熱の蓄積が生じるが、
予備的通電の初期から発熱していた部分と、後になって
から電極と接触して発熱した部分とでは、温度が不均一
となる場合がある。そこで、一旦ワークが冷却されるこ
とによって、その温度の不均一状態が解消され、本通電
においてはワークが均一的に高温となり、適切な溶接が
行われるのである。
【0034】請求項9に係る発明によれば、請求項8に
係る発明よりもさらに適切な溶接が行われることが判明
した。その理由は次のとおりであると推察される。予備
的通電の後に通電が休止されるとワークの温度が低下し
ていく。このため、ワークの厚さや抵抗値の上昇ピーク
を過ぎた後に、ワークの厚さは薄くなっていき(収縮し
ていき)、ワークの抵抗値も減少していく。そして、十
分ワークの温度が低下した際には、ワークの収縮や抵抗
値の減少も収まっていく(収縮速度や抵抗値減少速度が
ほぼゼロとなる)。このため、ワークの収縮速度や抵抗
値減少速度がほぼゼロとなった時点以降においては、ワ
ークが十分低下していることから、本通電においてワー
クが均一的に高温になることが担保されるのである。
【0035】請求項10に係る発明によれば、請求項7
に係る発明よりもさらに適切な溶接が行われることが判
明した。その理由は次のとおりであると推察される。予
備的通電において徐々に電流値が大きくされていった結
果のその終期の電流値は、電極とワークとがなじむのに
適した大きさであるわけであるから、その電流値を基準
とした電流値で本通電が開始されるのが好ましいと考え
られるからである。
【0036】請求項11に係る発明によっても、請求項
3に係る発明よりもさらに適切な溶接が行われることが
判明した。その理由は、請求項10に係る発明と同様
に、予備的通電において電極とワークとがなじむまで通
電した通電時間や通電量は、本通電の初期の電流値の基
準になり得ると推察されるからである。
【0037】また、請求項12に係る発明によれば、請
求項3及び請求項1に係る発明の両方の作用が得られ
る。すなわち、予備的通電において、電極の先端部とワ
ークとがよくなじんで、ワークの膨張率(又は抵抗値)
と電極間の距離(又は抵抗値)とが一致するようにな
る。そして、本通電において、電極間の離隔速度(又は
抵抗値増加速度)を基準にフィードバック的に溶接電流
値を制御することによって、ワークの材質,板厚,枚数
等の条件にかかわらず、自動的に適切な溶接をすること
ができるのである。なお、この制御は、本通電の初期に
おいて有効である。
【0038】また、請求項13に係る発明によれば、請
求項3及び請求項2に係る発明の両方の作用が得られ
る。すなわち、予備的通電において、電極の先端部とワ
ークとがよくなじんで、ワークの膨張率(又は抵抗値)
と電極間の距離(又は抵抗値)とが一致するようにな
る。そして、本通電において、電極間の離隔速度(又は
抵抗値増加速度)がほぼゼロになったことに基づいて、
本通電の適切な終了タイミングが得られ、適切に溶接で
きるのである。
【0039】
【実施例】
<第1実施例>次に、請求項1〜請求項4,請求項6〜
請求項10,請求項12〜請求項16の発明を具体化し
た実施例を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示
すように、この抵抗溶接機10は、本体部12に対し
て、横方向に張り出すように下側支持部20及び上側支
持部30が設けられている。下側支持部20には下側プ
ラテン22が固定され、上側支持部30には上側プラテ
ン32がシリンダ31によって上下動可能に設けられて
いる。各プラテン22,32にはシャンク24,34が
設けられ、各シャンク24,34には電極26,36が
設けられている。また、上側支持部30には変位センサ
38が設けられており、上側プラテン32の位置(変
位)を始終認識するようにされている。そして、シリン
ダ31の駆動によって、上側プラテン32を下降させ、
両電極26,36によってワークW1,W2を挟圧し、
電源回路42からの溶接電流を両電極26,36間に流
して両ワークW1,W2の溶接がされるようにされてい
る。
【0040】本体部12には、制御装置が設けられてい
る。制御装置はCPU40を有し、CPU40には電源
回路42や変位センサ38が接続されている。また、C
PU40には、クロック44,起動回路46,メモリ4
8も接続されている。起動回路46はシリンダ31の駆
動を制御する。メモリ48には次述の制御内容のプログ
ラム等が記憶されている。
【0041】制御装置の制御内容は、図3及び図4のフ
ローチャートや図5のタイミングチャートのとおりであ
る。また、その際の電極36やワークW1の状態を図6
に示す。なお、両電極26,36間の挟圧力は常に一定
であるとする。図6(a) に示すように、両電極26,3
6によってワークW1,W2を挟圧した後に、まず、ス
テップS2において1パルスの予備的通電が行われる。
その時間は10ミリ秒程度である(以下同様である)。
これによって、ワークW1のうちの電極36の突出部に
対応する部分がジュール熱によって高温となる。
【0042】そして、ステップS4において、電極36
の移動方向が判断される。すなわち、電極36が下降中
であれば、両電極26・36間の距離が減少中であり、
電極36が上昇中であれば、両電極26・36間の距離
が増加中であることを意味する。
【0043】ステップS4において電極36が下降中
(上下動しない場合も含む)である場合においては、ス
テップS6において、所定時間(20ミリ秒程度であ
り、以下同様である)だけ通電を休止する。電極36が
下降中であってワークW1に沈み込んでいるということ
は、次の現象が生じていると推察される。すなわち、図
6(a) に示すように、電極36の先端部には突起部37
等が生じており、電極36の先端部とワークW1(その
表面は平面状である)との当接は全面的なものではな
く、電極36の突起部37の先端部という小さな面積に
よって行われている。このため、その部分での単位面積
あたりの圧力が大きく、通電による発熱によって軟らか
くなっているワークW1に電極36(突起部37)が沈
み込む度合いが、ワークW1が熱膨張によって電極36
を上方へ押し上げようとする度合いよりもまさっている
のである。そして、図6(b) に示すように、この電極3
6がワークW1に対して少し沈み込むことによって、電
極36とワークW1とがなじむようになる。すなわち、
ワークW1の表面の形状が電極36の先端部の形状(突
起部37を有する形状)にやや沿ったたものとなる。ま
たは、次のように推察される場合もある。ワークW1と
電極36との間に異物が存在し、通電による発熱によっ
てその異物が燃焼または溶解し、それによって電極36
が下降する度合いが、ワークW1(W2)が熱膨張によ
って電極36を上方へ押し上げようとする度合いよりも
まさっているのである。そして、電極36がワークW1
に対して少し沈み込むことによって、電極36とワーク
W1とがなじむようになる。すなわち、ワークW1・電
極36間の異物が小さくなり、ワークW1と電極36の
先端部とがより直接的に接するようになるのである。そ
して、このステップS4における通電の休止によって、
ワークW1の熱が放散されて、ワークW1の当該部分の
温度が下がり、ワークW1の硬さが回復する。このた
め、電極36がそれ以上沈み込むことがほぼ阻止され
る。
【0044】次に、ステップS8において、前回よりも
やや大きな電流で1パルスの予備的通電が行われる。前
回よりやや大きな電流が通電されるのは、実験的にその
方が好ましい結果が得られたからなのであるが、その理
由は次のとおりであると推察される。すなわち、ワーク
W1の表面は前回の予備的通電(ステップS2又はS
8)及び休止(ステップS6)によって電極36の先端
部とワークW1とがややなじむようになり、電極36の
先端部との接触面積が前回よりも大きくなっている場合
が多い。そのため、前回よりも大きな電流によって大き
なジュール熱が発生しても、その熱は前回よりもワーク
W1(W2)の広い面積部分に分散される。このため、
前回よりも大きな電流を通電することによって、ワーク
W1の当該部分が前回と同様の適切な高温状態となるの
である。
【0045】そして、ステップS4に戻り、ステップS
4〜ステップS8のループが繰り返される。このループ
の繰り返しによって、電極36の先端部とワークW1と
がよくなじんでいく。すなわち、電極36の先端部に突
起部37がある場合には、図6(a) →(b) →(c) のよう
に、ワークW1の形状が、電極36の先端部の形状に沿
った形状となっていく。また、電極36・ワークW1間
に異物が存在する場合には、その異物が徐々に小さくな
っていき、電極36が直接的にワークW1に対して当接
するようになっていく。なお、ステップS2及びステッ
プS4〜ステップS8のループが、予備的通電をする予
備的通電手段(予備的通電段階)(請求項3〜請求項1
3,請求項16)に該当する。
【0046】ステップS4において電極36が上昇中と
判断された場合は、ステップS10へ移行して、所定の
時間の間通電が休止される。電極36が上昇中であると
いうことは、電極36の沈下よりもワークW1(W2)
の熱膨張の方が大きいことから、電極36とワークW1
とがよくなじんでいると推察される。このため、この時
点以後においては、電極36の位置(電極26・36間
の距離)とワークW1,W2の膨張度合いが対応するこ
とから、電極36の位置を認識することによってワーク
W1,W2の膨張度合いを認識することができるように
なるのである。このため、もう予備的通電をする必要が
なくなったため、予備的通電は終了され、次の段階へと
進むのである。すなわち、電極36の位置が上昇するこ
と(電極26・36間の距離が増加すること)をもっ
て、予備的通電の終了タイミングを適切に得ることがで
きるのである。
【0047】ステップS10では、ある一定時間通電が
休止され、ステップS12,S14において電極36の
変位(ワークW1,W2の膨張収縮)について判断され
る。通電が休止されると、ワークW1,W2が冷却され
て、ワークW1,W2が、膨張のピークを過ぎた後に収
縮するからである。なお、まず膨張のピークがあるの
は、それまでの通電による遅れ現象であると考えられ
る。ワークW1,W2が膨張中(電極36が上昇ピーク
を越えていない)場合は、ステップS12でNoとなっ
てステップS10へ戻る。そして、ステップS12でY
esとなるまで、ステップS10及びステップS12の
ループが繰り返される。ステップS12でYesとなっ
た(電極36が上昇ピークを越えた)後は、ステップS
14でワークW1,W2の収縮速度(電極36の下降速
度)がほぼゼロになったか否か、すなわちワークW1,
W2の収縮が収まったか否かが判断される。Noの場合
はステップS10へ戻り、ステップS14でYesとな
るまでステップS10,S12,S14のループが繰り
返される。このようにして、電極36の下降速度がほぼ
ゼロとなるまで、すなわちワークW1,W2の収縮が収
まるまで、通電が休止される。ワークW1,W2の収縮
が収まった時点で、ワークW1,W2が十分に冷却され
たと考えられるからである。このような休止時間を設け
る方が好ましい結果が得られた理由は、次のとおりであ
ると推察される。すなわち、ステップS4〜ステップS
8のループが何回も繰り返される際に、ステップS6で
の休止時間があるとはいえ徐々に熱の蓄積が起きる。そ
して、その際に、ワークW1(W2)のうち当初から電
極36と当接していて当初から発熱していた部分と、後
になってから電極に当接してその時点から発熱し始めた
部分とが存在し、ワークW1(W2)の温度が不均一で
ある場合もある。そこで、一旦ワークW1,W2がこの
通電停止によって冷却されることによって、その温度の
不均一状態が解消され、次述の本通電においてワークW
1,W2は均一的に高温となり、適切な溶接が行われる
のである。このステップS10,S12,S14が、通
電休止手段(請求項8)に該当する。
【0048】そして、ステップS20から本通電が行わ
れる。本通電は予備的通電のような間欠的なものではな
く、連続的なものである。最初の電流値から徐々に上げ
ていく。本通電の最初の電流値は、予備的通電のうちの
最後のパルスの電流値を基準に設定される。すなわち、
その予備的通電によって、熱膨張による電極36の押し
上げがなされているのであるから、必要な発熱が生じる
ほど十分に大きな電流であると判断されるからである。
また、支障なく予備的通電量を徐々に大きくしていった
結果の電流値であるから、大きすぎる電流値でもないと
判断されるからである(過大な電流を通電するとスパッ
タが生じてしまい好ましくないのである)。しかし、さ
らに念を入れるために、予備的通電のうちの最後のパル
スの電流値よりはやや小さな電流から本通電を開始す
る。
【0049】ステップS22においては本通電開始時か
ら所定時間以内か否かが判断される。所定時間以内にお
いてはワークW1,W2の膨張度合いに応じて溶接電流
値がフィードバック制御され、所定時間経過後ではその
ような制御はされないため、まず、この判断がされる。
【0050】本通電開始時から所定時間以内の場合に
は、ステップS24,S26,S28,S30におい
て、ワークW1,W2の膨張速度に基づくフィードバッ
ク制御によって、溶接電流値が制御される。すなわち、
ステップS24及びステップS26においては、電極3
6の上昇速度が所定値であるか、それより大きいか、小
さいかが判断される。その際、前述の予備的通電によっ
て、ワークW1,W2の膨張度合いと電極36の上昇速
度とが対応しているため、電極36の上昇速度を認識す
ることによって、ワークW1,W2の膨張度合いを認識
することができるのである。電極36の上昇速度が所定
値より小さく、ワークW1,W2の膨張度合いが所定値
より小さい場合(ステップS24でNo,ステップS2
6でYesとなる)は、ステップS30で溶接電流値が
増加され、ステップS22へ戻る。また、電極36の上
昇速度が所定値より大きく、ワークW1,W2の膨張度
合いが所定値より大きい場合(ステップS24でYes
となる)は、ステップS28で溶接電流値が増加され、
ステップS22へ戻る。また、電極36の上昇速度が所
定値と一致しており、ワークW1,W2の膨張度合いが
所定値と一致している場合(ステップS24及びステッ
プS26でともにNoとなる)は、その溶接電流値のま
まステップS22へ戻る。このようにして、電流値が適
切な値になるように導かれていく。なお、ステップS2
4〜S30が、電流値制御手段(電流値制御段階)(請
求項1,請求項12,請求項14)に該当する。
【0051】本通電開始後所定の時間が経過した以降
は、適切な電流値であっても、徐々に、ワークW1,W
2の膨張速度が小さくなっていくので、ワークW1,W
2の膨張速度に基づく溶接電流値のフィードバック制御
はされず、ステップS32へ移行する。ステップS32
では、電極36の上昇速度がほぼゼロとなったか否かが
判断される。すなわち、ワークW1,W2の膨張が飽和
し、ワークW1,W2の膨張速度がほぼゼロになったか
否かが判断される。経験上、ワークの膨張が飽和した際
にはワークの溶接が完了しているからである。そして、
ワークW1,W2の膨張速度が飽和するまで、ステップ
S32及びステップS22のループを循環して、その
間、前述のようにして定められた値の溶接電流が通電さ
れる。
【0052】そして、ワークW1,W2の膨張が飽和し
た際には、ステップS32でYesとなり、ステップS
34において溶接電流の通電(本通電)が停止される。
なぜなら、ワークW1,W2の膨張速度がほぼゼロにな
ったということは、ワークW1,W2が十分に溶解して
それ以上は溶解せず、それ以上の体積の膨張がないと推
察されるからである。すなわち、それを基準にすること
によって本通電の適切な終了タイミングが得られるので
ある。なお、ステップS32及びS34が、通電終了手
段(通電終了段階)(請求項2,請求項13,請求項1
5)に該当する。
【0053】以上のように、この制御装置及び方法で
は、本通電される前に予備的通電されることによって、
電極36とワークW1とがよくなじみ、電極36の位置
(電極26・36間の距離)によって、ワークW1,W
2の真の膨張度合いを知ることが可能となる。このた
め、本通電の際に、電極36の位置に基づいて、ワーク
W1,W2の膨張度合いに対応した適切な溶接電流を流
すことができることが担保されるのである。
【0054】<第2実施例>次に、請求項1〜請求項
3,請求項5〜請求項10,請求項12〜請求項16の
発明を具体化した実施例を、第1実施例との相違点(請
求項5,請求項9に対応する事項)を中心に説明する。
図7に示すように、この制御内容は、図3のフローチャ
ートの制御内容と比較して、ステップS4,S12,S
14の部分がステップS104,S112,S114と
なっている点において異なる。すなわち、ステップS2
の後に、ステップS104において、両電極26・36
間の抵抗値が減少から増加へ転じたか否かが判断され
る。なぜなら、次のことが実験的に判明したからであ
る。電極36とワークW1とがなじむ前は、電極26・
36間の通電によるジュール熱によって電極26・36
間の抵抗値が一旦増加し、その後、前述したように、電
極36がワークW1に沈み込んだり電極36とワークW
1との間の異物が燃焼したりして、両電極26・36間
の距離が短くなって、電極26・36間の抵抗値が減少
していく。そして、電極36とワークW1とがなじむ
と、両電極26・36間の距離がワークW1,W2の膨
張に伴って離隔し、また、ワークW1,W2が高温とな
ることも伴って、ワークW1,W2の抵抗値が増加し始
める。このため、両電極26・36間のワークW1,W
2の抵抗値が減少から増加へと転じるまで(ステップS
104でYesとなるまで)、ステップS2,S10
4,S6,S8のループが繰り返されるのである。
【0055】通電休止手段に該当するステップS10,
S112,S114では、次のように制御される。ステ
ップS10では、ある一定時間通電が休止され、ステッ
プS112,S114において電極26・36間の抵抗
値について判断される。通電が休止されると、ワークW
1,W2の抵抗値が、その上昇ピークを過ぎた後に減少
するからである。すなわち、ワークW1,W2への通電
が休止されることによって、ワークW1,W2が冷却さ
れるとともに、その冷却に伴って収縮する(厚さが薄く
なる)ことによって抵抗値が減少すると考えられるので
ある。なお、まず上昇ピークがあるのは、それまでの通
電による遅れ現象であると考えられる。抵抗値が上昇ピ
ークを越えていない場合は、ステップS112でNoと
なってステップS10へ戻る。そして、ステップS11
2でYesとなるまで、ステップS10及びステップS
112のループが繰り返される。ステップS112でY
esとなった後は(抵抗値が上昇ピークを越えた後
は)、ステップS114で抵抗値の減少速度がほぼゼロ
になったか否か(抵抗値の減少が収まったか否か)が判
断される。Noの場合はステップS10へ戻り、ステッ
プS114でYesとなるまでステップS10,S11
2,S114のループが繰り返される。このようにし
て、抵抗値の減少が収まるまで通電が休止される。抵抗
値の減少が収まった時点で、ワークW1,W2が十分に
冷却されたと考えられるからである。以上のようにし
て、ワークW1,W2が十分冷却された後に、第1実施
例と同様に、図4のフローチャートのステップS20へ
移行して、本通電が行われるのである。
【0056】<その他の実施例>本発明は、以上の実施
例に限られるのではなく、その他種々の実施例が考えら
れる。すなわち、予備的通電は必ずしも間欠的なもので
なくてもよく、予備的通電の初期から終期まで常に通電
されていてもよい(請求項6に関する事項)。また、予
備的通電の電流値は、上記第1・第2実施例のように複
数の矩形的なものに限らず、複数の三角波的なものや、
滑らかに電流値が増減するものも含まれる。また、予備
的通電の電流値は必ずしも徐々に大きくなるものでなく
てもよい(請求項7に関する事項)。また、予備的通電
と本通電との間に必ずしも通電休止期間が設けられなく
てもよい(請求項8に関する事項)。
【0057】また、本通電の初期の電流値は、上記第1
・第2実施例(請求項10)のように予備的通電の終期
の電流値に基づくのではなく、予備的通電の時間や予備
的通電の通電量に基づいて設定される場合でもよい(請
求項11に対応)。すなわち、予備的通電の時間が長い
場合には本通電の初期の電流値は大きく、予備的通電の
時間が短い場合には本通電の初期の電流値は小さく、と
いうように予備的通電の時間に応じて本通電の初期値を
設定してもよい。また、予備的通電の通電量が大きい場
合には本通電の初期の電流値は大きく、予備的通電の通
電量が小さい場合には本通電の初期の電流値は小さく、
というように予備的通電の通電量に応じて本通電の初期
値を設定してもよい。
【0058】また、本通電の電流値の制御や終了タイミ
ングについては、前述したようにワークの膨張率と抵抗
値との間に正の相関関係があることから、次のことがい
える。すなわち、本通電の電流値は、ワークの膨張速度
(両電極間の離隔速度)に基づいて制御するものに限ら
ず、ワークの抵抗値増加速度(両電極間の抵抗値増加速
度)に基づいて制御されてもよい(請求項1,請求項1
2,請求項14に関する事項)。また、本通電の終了
は、ワークの膨張速度(両電極間の離隔速度)がほぼゼ
ロになった時点以降に行われるものに限らず、ワークの
抵抗値増加速度(両電極間の抵抗値増加速度)がほぼゼ
ロになった時点以降に行われるものであってもよい(請
求項2,請求項13,請求項15に関する事項)。すな
わち、図4のフローチャートにおけるステップS24・
S26やステップS32における「電極36の上昇速
度」を、「両電極26・36間の抵抗値の増加速度」と
置き換えた制御をしてもよい。
【0059】また、電極とワークとが最初からなじんで
いる場合においては、予備的通電は不要であり、最初か
ら本通電(通電)をしてもよい。
【0060】
【発明の効果】請求項1〜請求項16に係る発明によれ
ば、適切な溶接が行われるため、溶接ミスが生じにく
く、溶接作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の制御対象となる抵抗溶接機
の全体を示す側面図である。
【図2】図1中の要部を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例の制御内容を示すフローチ
ャートの一部である。
【図4】本発明の第1・第2実施例の制御内容を示すフ
ローチャートの一部である。
【図5】図3のフローチャートに対応するタイミングチ
ャートである。
【図6】図3〜図5の内容の制御によるワークの各段階
の状態を推察して示す図である。
【図7】本発明の第2実施例の制御内容を示すフローチ
ャートの一部である。
【符号の説明】
10 抵抗溶接機 26,36 電極 W1,W2 ワーク S2〜S8 予備的通電手段(予備的通電段階) S10,S12,S14 通電休止手段 S10,S112,S114 通電休止手段 S24〜S30 電流値制御手段(電流値制御段階) S32,S34 通電終了手段(通電終了段階)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの電極によってワークを挟圧し該両
    電極間に溶接電流を通電してそのジュール熱によって該
    ワークの溶接を行う抵抗溶接機の制御を行う抵抗溶接機
    の制御装置であって、 前記ワークの膨張速度又は抵抗値増加速度に基づいて前
    記溶接電流の電流値を制御する電流値制御手段を有する
    ことを特徴とする抵抗溶接機の制御装置。
  2. 【請求項2】 2つの電極によってワークを挟圧し該両
    電極間に溶接電流を通電してそのジュール熱によって該
    ワークの溶接を行う抵抗溶接機の制御を行う抵抗溶接機
    の制御装置であって、 前記ワークの膨張速度又は抵抗値増加速度がほぼゼロと
    なった時点以降に前記溶接電流の通電を終了する通電終
    了手段を有することを特徴とする抵抗溶接機の制御装
    置。
  3. 【請求項3】 2つの電極によってワークを挟圧し該両
    電極間に溶接電流を通電してそのジュール熱によって該
    ワークの溶接を行う抵抗溶接機の制御を行う抵抗溶接機
    の制御装置であって、 前記両電極間に前記ワークの溶接をするための本通電を
    行う本通電手段と、 その本通電を行う前に、前記ワークと前記電極とがなじ
    むまで前記両電極間に予備的な通電を行う予備的通電手
    段とを有することを特徴とする抵抗溶接機の制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の抵抗溶接機の制御装置
    であって、 前記予備的通電によって前記ワークと前記電極とがなじ
    んだか否かを、前記両電極間の距離が前記ワークの膨張
    に伴って離隔し始めたか否かをもって判断するものであ
    ることを特徴とする抵抗溶接機の制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の抵抗溶接機の制御装置
    であって、 前記予備的通電によって前記ワークと前記電極とがなじ
    んだか否かを、前記両電極間の前記ワークの抵抗値が減
    少から増加へと転じたか否かをもって判断するものであ
    ることを特徴とする抵抗溶接機の制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の抵抗溶接機の制御装置
    であって、 前記予備的通電手段における通電が間欠的なものである
    ことを特徴とする抵抗溶接機の制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項3又は請求項6に記載の抵抗溶接
    機の制御装置であって、 前記予備的通電手段における電流値が、時間の経過とと
    もに徐々に大きくなるものであることを特徴とする抵抗
    溶接機の制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載の抵抗溶接機の制御装置
    であって、 前記予備的通電と前記本通電との間において通電を休止
    する通電休止手段を有することを特徴とする抵抗溶接機
    の制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の抵抗溶接機の制御装置
    であって、 前記通電休止手段による通電の休止が、前記ワークの収
    縮速度又は抵抗値減少速度がほぼゼロとなった時点以降
    に終了されるものであることを特徴とする抵抗溶接機の
    制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項7に記載の抵抗溶接機の制御装
    置であって、 前記本通電の初期の電流値が、前記予備的通電の終期の
    電流値を基準に定められるものであることを特徴とする
    抵抗溶接機の制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項3に記載の抵抗溶接機の制御装
    置であって、 前記本通電の初期の電流値が、前記予備的通電の通電時
    間又は通電量に基づいて定められるものであることを特
    徴とする抵抗溶接機の制御装置。
  12. 【請求項12】 請求項3に記載の抵抗溶接機の制御装
    置であって、 前記両電極間の離隔速度又は抵抗値増加速度に基づいて
    前記本通電の電流値を制御する電流値制御手段を有する
    ことを特徴とする抵抗溶接機の制御装置。
  13. 【請求項13】 請求項3に記載の抵抗溶接機の制御装
    置であって、 前記両電極間の離隔速度又は抵抗値増加速度がほぼゼロ
    となった時点以降に前記本通電を終了する通電終了手段
    を有することを特徴とする抵抗溶接機の制御装置。
  14. 【請求項14】 2つの電極によってワークを挟圧し該
    両電極間に溶接電流を通電してそのジュール熱によって
    該ワークの溶接を行う抵抗溶接機の制御を行う抵抗溶接
    機の制御方法であって、 前記ワークの膨張速度又は抵抗値増加速度に基づいて前
    記溶接電流の電流値を制御する電流値制御段階を有する
    ことを特徴とする抵抗溶接機の制御方法。
  15. 【請求項15】 2つの電極によってワークを挟圧し該
    両電極間に溶接電流を通電してそのジュール熱によって
    該ワークの溶接を行う抵抗溶接機の制御を行う抵抗溶接
    機の制御方法であって、 前記ワークの膨張速度又は抵抗値増加速度がほぼゼロと
    なった時点以降に前記溶接電流の通電を終了する通電終
    了段階を有することを特徴とする抵抗溶接機の制御方
    法。
  16. 【請求項16】 2つの電極によってワークを挟圧し該
    両電極間に溶接電流を通電してそのジュール熱によって
    該ワークの溶接を行う抵抗溶接機の制御を行う抵抗溶接
    機の制御方法であって、 前記両電極間に前記ワークの溶接をするための本通電を
    行う本通電段階と、 その本通電を行う前に、前記ワークと前記電極とがなじ
    むまで前記両電極間に予備的な通電を行う予備的通電段
    階とを有することを特徴とする抵抗溶接機の制御方法。
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