JPH07303968A - アルミニウム駆動軸 - Google Patents

アルミニウム駆動軸

Info

Publication number
JPH07303968A
JPH07303968A JP9624794A JP9624794A JPH07303968A JP H07303968 A JPH07303968 A JP H07303968A JP 9624794 A JP9624794 A JP 9624794A JP 9624794 A JP9624794 A JP 9624794A JP H07303968 A JPH07303968 A JP H07303968A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drive shaft
content
aluminum
shaft component
weld bead
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9624794A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3151696B2 (ja
Inventor
Harumichi Hino
治道 樋野
Hiroyuki Mochizuki
浩行 望月
Hajime Kamio
一 神尾
Yoichi Ebe
陽一 江部
Akira Kojima
昭 小島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jidosha Buhin Kogyo Co Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Jidosha Buhin Kogyo Co Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jidosha Buhin Kogyo Co Ltd, Nippon Light Metal Co Ltd filed Critical Jidosha Buhin Kogyo Co Ltd
Priority to JP09624794A priority Critical patent/JP3151696B2/ja
Publication of JPH07303968A publication Critical patent/JPH07303968A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3151696B2 publication Critical patent/JP3151696B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)
  • Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)
  • Arc Welding In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱処理型のAI−Si−Mg系合金によって
つくられる第1駆動軸部品(ヨーク)と第2駆動軸部品
(軸本体)を相互溶接して得られる車両用アルミニウム
駆動軸であって、安定的に溶接ビード部における溶接割
れのない駆動軸、特に、全体剛性を高めた駆動軸を提供
する。 【構成】 第1駆動軸部品2をCu,Si及びMnの量
を高めたAI−Si−Mg系の高強度の鍛造用合金で形
成すると共に、第2駆動軸部品3をAI−Si−Mg系
合金に酸化アルミニウム粒子を分散させた粒子分散複合
合金で形成し、AI−Mg系合金溶接棒でイナートガス
アーク溶接するに際し、溶接ビード部4のCu含有量を
0.35%以下になるように制御して割れの原因となる
晶出物の生成を抑制し、また、TiとBを含有させた溶
接棒を用いて溶接ビード部4の結晶粒を微細化させるこ
とにより、割れを安定的に防止した駆動軸とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はAl−Si−Mg系合金
で形成された駆動軸部品を相互溶接して構成する自動車
用駆動軸に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の駆動軸はジョイント部における
ヨークとなる第1駆動軸部品と駆動軸本体となる第2駆
動軸部品を接合して構成される。このような第1駆動軸
部品と第2駆動軸部品を溶接により接合してつくられる
アルミニウム駆動軸及びそのイナートガスアーク溶接方
法については、例えば、特公平5−80316号公報及
び特開平3−99780号公報に開示されているが、こ
れらの公報では、そのアルミニウム駆動軸の強度を配慮
した材質については言及されていない。駆動軸本体につ
いては、実公昭56−52409号公報において、アル
ミニウム等軽合金管の表層に繊維強化金属層を形成して
その剛性を強化する提案もなされているが、高価であ
り、材料のリサイクルについても問題を有している。
【0003】このようなアルミニウム駆動軸の強度及び
材質を配慮した技術としては、第1駆動軸部品を、重量
比で、Si 0.40〜0.8%、Mg 0.8〜1.
2%、のほか、Cu 0.15〜0.40%、Cr
0.04〜0.35%を含む熱処理型のAl−Si−M
g系合金の6061合金(JIS H 4080,41
40)によってつくると共に、第2駆動軸部品をこの6
061合金に酸化アルミニウム(Al2 3 )粒子を体
積%で約20%添加した粒子分散複合材料(アルキャン
・インターナショナル・リミテッド 商品名 ジュラル
キャン W6A20A;以下、W6A20A合金と称す
る)でつくり、Mn 0.05〜0.20%、Mg
4.5〜5.5%、Cr 0.05〜0.20%及びT
i 0.06〜0.20%を含む5356合金(JIS
Z 3232)からなるアルミニウム合金溶接棒を使
用してイナートガスアーク溶接により接合した全体剛性
の高いアルミニウム駆動軸が報告され、このW6A20
A合金が、加工後の熱処理によっても低下しない高剛性
率を有し駆動軸本体即ち第2駆動軸部品として有用であ
ることが報告されている(William Hoover : "Duralcan
composite driveshafts" , AUTOMOTIVE TECHNOLOGY IN
TERNATIONAL '92(1992) ,P191) 。
【0004】前記6061合金を初めとする熱処理型の
Al−Si−Mg系合金は、Mg2Siの分散析出によ
って強度を確保すると共にCu,Mn,Cr等を添加し
てマトリックスの強化による強度の向上を図っているも
のであるが、このようなAl−Si−Mg系合金に金属
酸化物、炭化物等耐火材粒子を強制分散させることによ
りさらに強度を改善した前記W6A20A合金のような
粒子分散複合材料及びその製造方法については、米国特
許第4759995号公報、米国特許第4786467
号公報及び特表平5−502057号公報に開示されて
いる。
【0005】また、これまで、このAl−Si−Mg系
合金については、溶接した際に溶接ビード部にミクロ割
れが観測されることがあるとの指摘がなされているが、
上記の先行技術にあっても、高い生産性で深い溶け込み
を得る方法を開示したものはあっても、安定的に前記ミ
クロ割れの防止方法を開示したものはない。
【0006】一方、従来の前記6061合金のようなA
l−Si−Mg系合金においては、鍛造等加工後の熱処
理において結晶粒の粗大化に伴う強度低下があって中強
度合金に止まることから、この改善を図った、重量比
で、Si 1.0〜1.5%、Cu 0.4〜0.9
%、Mn 0.2〜0.6%、Mg 0.8〜1.5
%、Cr 0.3〜0.9%、Ti 0.03〜0.0
5%、Zr 0.1〜0.2%、B 0.0001〜
0.01%を含有し、Fe含有量を0.2%未満に規制
すると共に、Mn+Crの含有率を1.2%以下に設定
した鍛造用高強度アルミニウム合金(日本軽金属株式会
社 商品名 HS60:以下、HS60合金と称する)
が特開平5−59477号公報に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、第1駆
動軸部品と第2駆動軸部品とを接合してつくる自動車用
アルミニウム駆動軸について、前記6061合金のみを
利用したものではその全体剛性が比較的低く、剛性率の
高い前記W6A20A合金を第2駆動軸部品に利用して
前記6061合金を第1駆動軸部品に利用しようとする
と、負荷の高い大型車両等に適用するには、全体剛性の
バランスの点から、強度が比較的低いこの第1駆動軸部
品を大型化する必要があって、スペースの少ない車体の
レイアウトの関係からは採用が難しい等の問題があり、
また、前記HS60合金については、すぐれた機械的性
質についての期待があるものの、その溶接性、特に、前
記の溶接ビード部のミクロ割れ防止に関しての技術は開
示されていないという問題がある。このように、その全
体剛性の面からはいろいろな構造用Al−Si−Mg系
合金の組み合わせが配慮され得るにかかわらず、この系
の合金において、前記のように、溶接ビード部のミクロ
割れを安定的に防止するめたの技術は開示されておら
ず、特に、アルミニウム駆動軸のように、高強度、高剛
性率が志向される場合には、この溶接欠陥の存在は深刻
な問題となる懸念があった。
【0008】本発明は、以上のような状況に鑑み、Al
−Si−Mg系合金によってつくられる第1駆動軸部品
と第2駆動軸部品を相互溶接して得られる自動車用アル
ミニウム駆動軸であって、安定的に溶接ビード部におけ
る溶接割れのない駆動軸、特に、全体剛性を高めた駆動
軸の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、Cuを含むAl−Si−Mg系合金によ
る第1駆動軸部品と第2駆動軸部品をAl−Mg系合金
の溶接棒を用いて、イナートガスアーク溶接によって接
合してつくったアルミニウム駆動軸であって、溶接ビー
ド部内のCu含有量が0.35重量%以下(以下、成分
%で示す含有率は、特に断りなき場合は重量%を表すも
のとする)で、前記Cu含有量は、aを溶接ビード部断
面における余盛部と開先隙間の断面積の合計、bを第1
駆動軸部品の溶け込み部の断面積、cを第2駆動軸部品
の溶け込み部の断面積、Aを溶接棒のCu含有率、Bを
第1駆動軸部品のCu含有率、Cを第2駆動軸部品のC
u含有率とした場合、(a×A+b×B+c×C)/
(a+b+c)で算出されるところのアルミニウム駆動
軸を、また、前記第1駆動軸部品と前記第2駆動軸部品
と前記溶接棒の各Cu含有量を調整することによって前
記溶接ビード部内のCu含有量を制御したアルミニウム
駆動軸を、またさらに、前記第1駆動軸部品と前記第2
駆動軸部品との接合部に対する溶接トーチの位置を調整
することによって前記溶接ビード部内のCu含有量を制
御したアルミニウム駆動軸を、そして、前記第1駆動軸
部品と前記第2駆動軸部品との接合部において開先を設
けることによって前記溶接ビード部内のCu含有量を制
御したアルミニウム駆動軸を、そしてまた、前記第1駆
動軸部品と前記第2駆動軸部品との接合部における突き
合わせギャップを調整することによって前記溶接ビード
部内のCu含有量を制御したアルミニウム駆動軸を、ま
た、前記溶接ビード部と前記第1駆動軸部品の基地の境
界部近傍の結晶粒の粒径が30ミクロンメートル以下で
あるところのアルミニウム駆動軸を、さらに、前記イナ
ートガスアーク溶接において、Cuを0.10%以下に
規制する共に、Tiを0.06〜0.2%とBを0.0
03〜0.01%含有するAl−Mn−Mg系合金溶接
棒を用いることにより、前記結晶粒の粒径を制御したと
ころのアルミニウム駆動軸を、またさらに、前記第1駆
動軸部品が、Siを1.0〜1.5%、Cuを0.4〜
0.9%、Mnを0.2〜0.6%、Mgを0.8〜
1.5%、Crを0.3〜0.9%、Tiを0.03〜
0.05%、Zrを0.1〜0.2%及びBを0.00
01〜0.01%含有し、Fe含有量を、0.2%未満
に規制すると共に、MnとCrの合計含有量を1.2%
以下に設定した鍛造用アルミニウム合金でつくられてい
るところのアルミニウム駆動軸を、そしてまた、前記第
2駆動軸部品が、Cuを0.15〜0.40%、Siを
0.40〜0.8%、Mgを0.8〜1.2%及びCr
を0.04〜0.35%含有するアルミニウム合金に酸
化アルミニウム粒子を体積%で15〜25%分散させた
粒子分散複合材料でつくられているところのアルミニウ
ム駆動軸を提案する。
【0010】
【作用】溶接ビードを形成するアルミニウム駆動軸の構
成部品について、Cu含有量の調整を行うか、各構成部
品のCu含有量の多少に応じて、溶接トーチの位置を調
整し、また、開先の形状を変え、あるいは、突き合わせ
ギャップの幅を調整し、さらに、これらの手段を組み合
わせることにより、溶接ビード部のCu含有量を0.3
5%以下に制御することができる。
【0011】そして、溶接ビード部内のCu含有量を
0.35%以下とすることにより、ミクロ割れの原因と
なるMg−Si−Cu系晶出物の量を低減して、ミクロ
割れを安定的に防止することができる。
【0012】溶接棒にTi及びBを含有させることによ
り、TiB2 の核生成効果によって、溶接ビード部の境
界部近傍の結晶粒径を30ミクロン以下とすることがで
き、このように結晶粒を30ミクロン以下にすることに
よって溶接ビード部の境界部に晶出してミクロ割れの原
因となるMg−Si−Cu系晶出物とSi−Fe−Cr
系晶出物をネットワーク状に分散晶出させ、ミクロ割れ
を安定的に防止できる。
【0013】溶接ビード部内のCu含有量を0.35%
以下に規制し、またさらに、溶接ビード部境界部の結晶
粒を30ミクロンメートル以下に規制することにより、
該境界部におけるミクロ割れの発生を懸念することな
く、Al−Si−Mg系合金を組み合わせてアルミニウ
ム駆動軸を構成できる。特に、第1駆動軸部品に高強度
で、疲労強度を改善したCu含有量の高い、高強度アル
ミニウム合金(HS60合金)を用いることができ、ま
た、第2駆動軸部品として剛性率の高い粒子分散複合ア
ルミニウム合金材(W6A20A合金)を用いることが
でき、全体構造を大きくすることなく、全体剛性の高い
アルミニウム駆動軸をつくることができる。なお、W6
A20A合金において、酸化アルミニウム粒子の含有量
が15体積%未満では効果が少なく、25体積%以上で
は材料の押出し加工性及び引抜加工性に難があるので好
ましくない。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本発明のアルミニウム駆動軸1は、図1のよう
に、第1駆動軸部品(ヨーク)2と第2駆動軸部品(駆
動軸本体=シャフト)3を溶接によって接合してなり、
第1駆動軸部品2と第2駆動軸部品3は溶接ビード部4
の生成によって一体化されるものである。
【0015】Si 1.2%、Cu 0.8%、Mn
0.3%、Mg 1.0%、Cr0.4%、Ti 0.
03%、Zr 0.1%及びB 0.002%を含み、
不純物としてFe 0.15%含むHS60合金による
ビレットを450℃で熱間鍛造し、T6 熱処理、即ち、
530℃で2時間の加熱による溶体化処理を行い、水冷
後、175℃で8時間時効させる処理を行った後、機械
加工を施して図1に示したような第1駆動軸部品2を得
た。この第1駆動軸部品2の機械的性質を表1に示し
た。また、従来例として、6061合金によって同様に
してつくった第1駆動軸部品の機械的性質を表1に併記
した。
【0016】
【表1】
【0017】表1に示されたように、HS60合金によ
るものは、6061合金によるものに較べて、ヨークと
して必要な引張り強さと耐力において約1.5倍であ
り、特に、疲労強さにおいて従来品の6061合金の疲
労強さの123N/mm2 に対して約1.3倍の157
N/mm2 を示している。
【0018】次に、前記米国特許第4759995号公
報等に開示された手段により、Cu0.35%、Si
0.6%、Mg 1.1%、Cr 0.1%、Fe
0.2%、Mn 0.01%、Ti 0.02%を含む
6061合金の溶湯に、酸化アルミニウムを20体積%
を混入させて溶製し、鋳造したW6A20A合金のビレ
ットを押出し加工の後、T8 熱処理、即ち、530℃、
2時間の溶体化処理の後、水冷し、次いで、5%未満の
加工度で引抜き加工を行い、約160℃で14時間の人
工時効処理を行って、外径101.6mmで肉厚3mm
の第2駆動軸部品3を得た。なお、このT8 熱処理で溶
体化処理後の加工度を5%未満に抑えたのは、5%以上
の引抜き加工では、6061合金の基地と酸化アルミニ
ウム粒子との界面が破壊して剛性率が低下するからであ
る。得られた第2駆動軸部品3の機械的性質を表2に示
した。また、従来例として6061合金によって同様に
してつくった第2駆動軸部品の機械的性質を表2に併記
した。
【0019】
【表2】
【0020】表2に示されたように、W6A20A合金
によるものは、6061合金によるものに較べて、引張
り強さと耐力は若干上回る程度であるが、駆動軸本体と
して必要とされる剛性率において98300N/mm2
で6061合金の68600N/mm2 に比べて1.5
倍に近い数値を示している。
【0021】次に、HS60合金による前記第1駆動軸
部品2と前記第2駆動軸部品3をプレス嵌めによって嵌
合し、図2のようにMIG溶接した。
【0022】溶接姿勢としては、図2(a)に示したよ
うに、溶接トーチ5を駆動軸方向に垂直な方向から見て
90度で、図2(b)に示したように、平行な方向から
見て15度の角度に配置させ、直径1.6mmの535
6合金による溶接棒6を用い、駆動軸を矢印の方向に1
回転させることによって溶接を完了させるようにした。
そして、溶接電流は、ベース電流140A、ピーク電流
320〜340A、平均電流260〜280Aでパルス
幅(tp)は1.1〜1.3ミリ秒とし、溶接電圧は2
4〜27V、溶接速度1.2m/分で、アルゴン流量は
27リットル/分とした。なお、実施例に使用した53
56合金による溶接棒の成分は、Mn0.13%、Mg
5.0%、Cr 0.13%、Ti 0.13%で、
不純物としてCuを0.01%含んでいた。
【0023】なお、上記の溶接条件で予備テストを行っ
たところでは、、前記第1駆動軸部品2と前記第2駆動
軸部品3との嵌合代を0.4mm以上としたとき、第2
駆動軸部品3の熱影響部に割れが生じた。これは、0.
4mm以上の嵌合代の場合、プレス嵌めで生じた応力が
第2駆動軸部品3の溶接時の高温強度を越えることに起
因するものであって、嵌合代としては0.25〜0.3
5mmの範囲が適当であることがわかった。従ってま
た、第2駆動軸部品3が外径101.6mm及び肉厚3
mmに較べて外径または肉厚が小さい場合は、嵌合代
は、この0.25〜0.35mmの範囲よりも小さく設
定することが好ましいことがわかった。
【0024】嵌合代を0.25〜0.35mmとし、第
1駆動軸部品2と第2駆動軸部品3との間の突き合わせ
ギャップを0とし、上記の溶接条件でMIG溶接して得
られた溶接部の断面を顕微鏡観察した結果を、図3に示
した。なお、溶接平均電流は280A、溶接電圧は27
Vであった。図のように、溶接ビード部4と第1駆動軸
部品2との界面部分に沿って割れ7が観測された。
【0025】次いで、図3に示された溶接部の割れ7の
部分を、電子顕微鏡で観察することにより、図4に示し
た拡大組織を見ることができた。この組織により割れに
沿って矢印Aで示す灰色晶出物と、矢印Bに示す白色の
晶出物が観察され、これらの晶出物が割れの起点にな
り、また、割れの進展通路となっていることがわかっ
た。
【0026】これらの晶出物を、電子線マイクロアナラ
イザ(EPMA)で定性分析した結果、図5(a)及び
(b)に示すように、灰色晶出物AはMg−Si−Cu
系晶出物であり、白色晶出物BはSi−Fe−Mn−C
r系晶出物であることがわかった。
【0027】次に、溶接ビード部内のCu含有量が前記
Mg−Si−Cu系晶出物の長さと幅に及ぼす影響を調
査した。前記HS60合金のCu含有量を0.4、0.
6、0.8及び1.0%に変えて、図6のように試験用
のブロック材8をつくり、平面に仕上げたその上面に前
記5356合金による溶接棒6を用いてMIG溶接の手
法で、溶接ビード部9を形成させるビードオン試験を行
った。溶接ビード部9の断面の顕微鏡観察で割れの有無
を調査すると共に、前記Mg−Si−Cu系晶出物の長
さを測定し、また、溶接ビード部内のCu含有量を算出
した。
【0028】この溶接ビード部内のCu含有量は、図6
のように、ブロック材8の表面線から上部の盛り上がり
部分即ち余盛部の断面積aが溶接棒6からの溶加分に相
当し、ブロック材8の表面線から下部の部分の断面積b
がブロック材8の溶け込み分に相当すると考えられるの
で、次式により算出した。 Cu含有量(%)=(溶接棒のCu%×a+ブロック材
のCu%×b)/(a+b)
【0029】図6の溶接ビード部9におけるCu含有量
(%)と、図のC部分の境界部近傍で観測されたMg−
Si−Cu系晶出物の長さとの関係を図7に示したが、
このMg−Si−Cu系晶出物の長さが約2.5mmを
越える場合に割れが見られること、溶接ビード部9のC
u含有量と前記Mg−Si−Cu系晶出物の長さとの間
に明らかな相関関係が見られること、そして、溶接ビー
ド部8のCu含有量が0.35%を越える場合に割れを
生じることがわかった。
【0030】次に、第1駆動軸部品2と第2駆動軸部品
3とを嵌合したアルミニウム駆動軸1について、前記図
3の場合に準じた溶接条件で、溶接ビード部のCu含有
量(%)と割れとの比較調査をしたが、その結果を図8
に示す。
【0031】図8(a)は、第1駆動軸部品2を、Cu
を特に1.0%としたHS60合金でつくり、第2駆動
軸部品3との突き合わせギャップdを1.6mmとし
た。この場合平均溶接電流は270A、溶接電圧は24
Vで溶接速度は1.4m/分である。図8(b)及び
(c)の場合は、前記図3の場合と同様に第1駆動軸部
品2をCuが0.8%のHS60合金でつくり、突き合
わせギャップは0mmとしたが、溶接トーチ5の位置を
僅かづつ第2駆動軸部品3側にずらせて、溶接ビード部
4への溶入Cu量が少なくなるようにした。得られた溶
接駆動軸について、その溶接ビード部4の顕微鏡観察を
行い、Cu含有量を算出した。
【0032】溶接ビード部4内のCu含有量(%)の算
出は、前記ビードオン試験の場合に準じて行った。即
ち、図9に示すように、溶接ビード部4内における図示
の断面積a,b,cの比率は、概ね、5356合金によ
る溶接棒6による溶加分、HS60合金による第1駆動
軸部品2の溶入分、W6A20A合金による第2駆動軸
部品3の溶入分の比率と考えることができるので、溶接
ビード部4内のCu含有量は、次式により算出できる。
なお、開先を設けた場合、aは余盛部と開先隙間の断面
積を加えたものになる。 Cu含有量(%)={(溶接棒のCu%×a)+(第1
駆動軸部品のCu%×b)+(第2駆動軸部品のCu%
×c)}/(a+b+c)
【0033】上記溶接の結果、図8(a)において第2
駆動軸側に割れ7が観察されたが、図8(b)と(c)
においては割れはなかった。また、これらの溶接ビード
部4におけるCuの算出量は、それぞれ(a)0.51
0%、(b)0.350%及び(c)0.312%であ
って、Cu含有量が0.35%以下のものについては、
割れがなかったことを示した。
【0034】さらに、溶接時における溶接ビード部のC
u含有量の制御手段の検討のために、駆動軸の溶接試験
を行った。即ち、第1駆動軸部品2をCu含有量0.8
%としたHS60合金によってつくると共に、この第1
駆動軸部品2に、開先角度45°の開先面10を形成
し、且つ、W6A20A合金による第2駆動軸部品3と
の間の突き合わせギャップdを0〜2mmの範囲内で適
宜変えると共に溶接トーチ5の位置を変え、前記実施例
と同じ5356合金溶接棒で溶接した。この溶接条件は
前記図3の場合と同様とした。
【0035】得られた8試料の駆動軸試料について、溶
接ビード部4の断面を顕微鏡観察し、割れの有無を調査
すると共に、溶接ビード部4内のCu含有量(%)を算
出した。8試料の観察結果を、図10(a)〜(h)に
示した。図10(a)〜(b)の場合は溶接トーチ5を
開先部中央に位置させ、(e)〜(h)の場合は第2駆
動軸部品の端部に位置させた。また、ギャップdは、
(a)と(e)で0mm、(b)と(f)で0.5m
m、(c)と(g)で1.0mm、(d)と(h)で
2.0mmとした。
【0036】図10(a)〜(c)の試料には図示矢印
の個所に割れ7が見られた。図10(d)〜(h)の試
料には割れは見られなかった。各試料のCu含有量は、
それぞれ、(a)0.385%、(b)0.360%、
(c)0.352%、(d)0.351%、(e)0.
327%、(f)0.325%、(g)0.301%、
及び(h)0.255%で、割れ7の見られた試料のC
u含有量は何れも0.35%を越えていた。また、溶接
トーチ5はCu含有量の少ない第2駆動軸3側に寄せる
ことにより、また突き合わせギャップdを大きくするこ
とによりCu含有量を低減し、割れを制御することがで
きた。
【0037】さらに、図11(a)のようにCuを0.
8%含有するHS60合金による第1駆動軸部品2に開
先角度を約55度とする開先面11を設け、Cuを0.
35%含有するW6A20A合金による第2駆動軸部品
3についても、開先角度を約55°とする開先面12を
設け、突き合わせギャップを0mmとし、またCuを不
純物として0.01%含有する5356合金による溶接
棒6を用い、前記の溶接条件によってMIG溶接した結
果、溶接ビード部4内のCu含有量は約0.25%で割
れは見られなかった。
【0038】図11(b)のように、前記と同じ材質の
材料の組合せとし、第1駆動軸部品2の開先を約55度
とし、第2駆動軸部品3との突き合わせギャップを0m
mとすると共に、溶接トーチ5の位置を僅かに第2駆動
軸部品3側にずらせた他は前記(a)の場合と同じ条件
でMIG溶接した。その結果、溶接ビード部4内のCu
量は0.33重量%で割れは見られなかった。
【0039】また、図11(c)のように、同じ材質の
組合せにより第1駆動軸部品2の開先を約60度とし、
第2駆動軸部品3との突き合わせギャップを約1.5m
mとし、溶接トーチ5を第2駆動軸部品端に合わせた他
は、前記(a)の場合と同じ条件で溶接した結果、溶接
ビード部4内のCu量は約0.31%で、割れのない溶
接ビード部4が得られた。
【0040】従って、溶接ビード部内のCu量を0.3
50%以下にすることによって溶接ビード部内のミクロ
割れの原因となるMg−Si−Cu系晶出物の量が低減
され、ミクロ割れを安定的に防止することができる。溶
接ビード部におけるCu含有量は、第1駆動軸部品と第
2駆動軸部品と溶接棒の材質におけるCu含有量と、溶
接ビード部におけるそれら材料の構成比率によって制御
でき、構成部品特に第1駆動軸部品のCu含有量の調整
による制御が最も容易であるが、HS60合金及びW6
A20A合金のベースとなる6061合金のCu成分は
強度上必要な成分であることから、溶接ビード部のCu
含有量の制御は、前記の図11に示されたように、Cu
含有量の多い第1駆動軸部品の開先を大きくして第1駆
動軸部品の溶入を抑えると共に、5356合金の溶接棒
によるCu成分希釈効果を考慮し、さらには、比較的C
u含有量の少ない第2駆動軸部品の溶入が多くなるよう
に、突き合わせギャップ又は溶接トーチ位置の調整を図
るようにすることが望ましい。溶接ビード部の形成即ち
溶接時の溶け込み状況は溶接条件を一定にすることによ
り略一定に制御することができ、従って、上記の手段に
より、溶接ビード部のCu含有量を制御することは比較
的容易に行える。なお、開先形状については、任意であ
る。
【0041】割れのメカニズムを調べるために、前記図
3に示した溶接ビード部4と第1駆動軸部品2との境界
部における割れ7の部分のミクロ組織を拡大して観察し
た。その結果を図12に写真で示した。この図の写真か
ら、溶接ビード部4と第1駆動軸部品2の基地の境界に
割れ7が発生すること、及び、この境界部近傍の結晶の
粒径が20〜100ミクロンメートルの範囲に不均一に
なっていることがわかる。
【0042】また、図10(d)に示した溶接ビード部
内のCu含有量が0.351%で割れのなかった溶接ビ
ード部4を、同じように観察した結果、図13に示すよ
うに、溶接ビード部4と第1駆動軸部品2の基地の境界
部近傍の結晶粒の粒径は同様に不均一であった。割れが
発生しなかった理由はあきらかでないが、結晶粒の分布
にやや蛇行が見られ、割れ応力が抑制されたように思わ
れる。
【0043】次に、溶接トーチ位置と開先と突き合わせ
ギャップとを配慮して溶接ビード部のCu含有量を制御
すると共に、結晶微細化剤として作用するTiを0.0
6〜0.2%と、Bを0.003〜0.01%含有する
5356合金による溶接棒を用いてMIG溶接を行っ
た。得られた溶接ビード部についてミクロ組織を観察し
た。その結果、図14と図15に示すようなミクロ組織
写真が得られた。
【0044】溶接ビード部内のCu含有量は、図14の
ものにおいて0.340%で、図15のものにおいて
0.30%で、共に割れは見られず、溶接ビード部と第
1駆動軸部品の基地の境界部近傍の結晶の粒径は30ミ
クロンメートル以下で略均一であり、狭い幅で蛇行状に
分布しており、Mg−Si−Cu系晶出物とSi−Fe
−Mn−Cr系晶出物は細かくネットワーク状に分散し
ているのが観察できた。
【0045】即ち、前記の図12と図13の場合のよう
に、結晶粒径が不均一で、粗い粒径のものを含む場合
は、強度が低いことにより割れが発生することと、粒界
が直線的であることによって割れが進展し易いことが考
えられ、図14と図15のように、Tiを0.06〜
0.2%とBを0.003〜0.01%含む5356合
金の溶接棒を用いてイナートガスアーク溶接を行うこと
により、TiB2 の核生成効果によって、溶接ビード部
と第1駆動軸部品の基地との境界部及びその近傍の結晶
粒径を略均一に微細化することができ、溶接ビード部に
生ずる割れの原因となるMg−Si−Cu系晶出物及び
Si−Fe−Mn−Cr系晶出物をネットワーク状に分
散晶出させることにより、溶接ビード部に生じる割れを
安定的に防止できることがわかった。
【0046】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1の発明によれば、溶接ビード部のCu含有量を0.3
5%以下に抑制するようにしたので、溶接ビード部に生
じるミクロ割れの原因となるMg−Si−Cu系晶出物
の量を低減することによって、溶接ビード部に生じる割
れを安定的に防止することができる。
【0047】請求項2の発明によれば、接合部におい
て、溶接ビード部を形成する第1駆動軸部品と第2駆動
軸部品と溶接棒とからなる構成材料のCu成分を調整す
ることにより、溶接ビード部のCu含有量を制御するこ
とができる。
【0048】請求項3〜5の発明によれば、溶接ビード
部を形成する上記の構成材料の構成比を調整することに
より、溶接ビード部のCu含有量を制御できる。
【0049】請求項6の発明によれば、溶接ビード部と
第1駆動軸部品の基地の境界部近傍の結晶粒径を30ミ
クロンメートル以下となるようにし、溶接ビード部に生
じる割れの原因となるMg−Si−Cu系晶出物及びS
i−Fe−Mn−Cr系晶出物をネットワーク状に分散
晶出させることによって、溶接ビード部に生じる割れを
安定的に防止することができる。
【0050】請求項7の発明によれば、Cu含有量が少
なく、TiとBを含むAl−Mn−Mg系合金溶接棒を
用いることにより、TiB2 の核生成効果により、溶接
ビード部と第1駆動軸部品の基地の境界部近傍のMg−
Si−Cu系晶出物の生成を抑制すると共に結晶粒径を
効果的に30ミクロンメートル以下に微細化し割れを安
定的に防止することができる。
【0051】請求項8の発明によれば、第1駆動軸部品
の疲労強度を著しく向上でき、第2駆動軸部品と共に全
体剛性の向上を図ることができる。また、従来品の全体
剛性を維持しながら、第1駆動軸部品の形状を約20%
コンパクトにすることができる。
【0052】請求項9の発明によれば、溶接ビード部に
おける割れの懸念なく、従来のAl−Si−Mg系合金
に酸化アルミニウム粒子を分散させた粒子分散複合材料
で第2駆動軸部品をつくるようにしたので、剛性率を高
めることができ、アルミニウム駆動軸の全体剛性を向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミニウム駆動軸の一実施例を示す
部分断面図である。
【図2】図1のアルミニウム駆動軸における溶接姿勢を
示す部分略断面図で、(a)は横断面図で、(b)は縦
断面図である。
【図3】溶接を施された図1のアルミニウム駆動軸の溶
接部を示す部分断面図である。
【図4】図3の溶接部における割れ部分の拡大写真であ
る。
【図5】図4における晶出物の分析結果を示す電子線マ
イクロアナライザによる写真であって、(a)は灰色晶
出物Aの写真で、(b)は白色晶出物Bの写真である。
【図6】ビードオン試験における溶接部の略断面図であ
る。
【図7】ビードオン試験の結果による溶接ビード部内の
Cu含有量と晶出物の長さとの関係を示す図表である。
【図8】図1のアルミニウム駆動軸における他の例によ
る溶接部の略断面図であって、(a)は突き合わせギャ
ップを設けた例で、(b)と(c)は溶接トーチの位置
を変えた例である。
【図9】図1のアルミニウム駆動軸の溶接における溶接
ビード部の略断面図である。
【図10】(a)〜(h)は図1のアルミニウム駆動軸
において、開先を形成すると共に、突き合わせギャップ
及び溶接トーチ位置を変えた実施例による溶接部の略断
面図である。
【図11】(a)〜(c)は、図1のアルミニウム駆動
軸において、開先を形成し、突き合わせギャップを変え
溶接トーチ位置を変えた他の例による略断面図である。
【図12】図3における溶接部の割れ部分を示す拡大写
真である。
【図13】図10(d)における溶接ビード部の境界部
近傍部分を示す拡大写真である。
【図14】Ti及びBを含有するアルミニウム合金溶接
棒を用いて溶接した図1のアルミニウム駆動軸の溶接ビ
ード部の境界部近傍部分を示す拡大写真である。
【図15】他の例における図14相当拡大写真である。
【符号の説明】
1 アルミニウム駆動軸 2 第1駆動軸部品 3 第2駆動軸部品 4 溶接ビード部 5 溶接トーチ 6 溶接棒 7 割れ 8 ブロック材 9 溶接ビード部 10 開先面 11 開先面
【手続補正書】
【提出日】平成6年9月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】 図3の溶接部における割れ部分の金属組織を
表す顕微鏡写真である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】 図4における晶出物の電子線マイクロアナラ
イザによる状態分析結果を示す図表であって、(a)は
灰色晶出物Aの図表で、(b)は白色晶出物Bの図表
ある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】 図1のアルミニウム駆動軸において、開先
を形成し、突き合わせギャップを変え溶接トーチ位置を
変えた実施例による溶接部の略断面図である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】 図3における溶接部の割れ部分の金属組織
を表す顕微鏡写真である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】 図10(d)における溶接ビード部の境
界部近傍部分の金属組織を表す顕微鏡写真である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】 Ti及びBを含有するアルミニウム合金溶
接棒を用いて溶接した図1のアルミニウム駆動軸の溶接
ビード部の境界部近傍部分の金属組織を表す顕微鏡写真
である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正内容】
【図15】 他の例における図14相当の金属組織を表
す顕微鏡写真である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神尾 一 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 株式会社日軽技研内 (72)発明者 江部 陽一 東京都港区三田3丁目13番12号 日本軽金 属株式会社内 (72)発明者 小島 昭 神奈川県海老名市上郷2400番地 自動車部 品工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cuを含むAl−Si−Mg系第1駆動
    軸部品と第2駆動軸部品を、Al−Mg系合金による溶
    接棒を用いてイナートガスアーク溶接により接合してつ
    くったアルミウニム駆動軸であって、下記式により算出
    された溶接ビード部のCu含有量が0.35重量%以下
    であることを特徴とするアルミニウム駆動軸。 溶接ビード部のCu含有量(重量%)=(a×A+b×
    B+c×C)/(a+b+c) 但し、aは溶接ビード部断面における余盛部と開先隙間
    の断面積の合計、 bは第1駆動軸部品の溶け込み部の断面積、 cは第2駆動軸部品の溶け込み部の断面積、 Aは溶接棒のCu含有率(重量%)、 Bは第1駆動軸部品のCu含有率(重量%)、 Cは第2駆動軸部品のCu含有率(重量%) である。
  2. 【請求項2】 前記第1駆動軸部品と前記第2駆動軸部
    品と前記溶接棒の各Cu含有量を調整することによって
    前記溶接ビード部内のCu含有量を制御したことを特徴
    とする請求項1記載のアルミニウム駆動軸。
  3. 【請求項3】 前記第1駆動軸部品と前記第2駆動軸部
    品との接合部に対する溶接トーチ位置を調整することに
    よって前記溶接ビード部内のCu含有量を制御したこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム駆動
    軸。
  4. 【請求項4】 前記第1駆動軸部品と前記第2駆動軸部
    品との接合部において開先を設けることによって前記溶
    接ビード部内のCu含有量を制御したことを特徴とする
    請求項1乃至3に記載のアルミニウム駆動軸。
  5. 【請求項5】 前記第1駆動軸部品と前記第2駆動軸部
    品との接合部における突き合わせギャップを調整するこ
    とによって前記溶接ビード部内のCu含有量を制御した
    ことを特徴とする請求項1乃至4に記載のアルミニウム
    駆動軸。
  6. 【請求項6】 前記溶接ビード部と前記第1駆動軸部品
    の基地の境界部近傍の結晶粒の粒径が30ミクロンメー
    トル以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミ
    ニウム駆動軸。
  7. 【請求項7】 前記イナートガスアーク溶接において、
    Cuを0.10重量%以下に規制すると共に、Tiを
    0.06〜0.2重量%とBを0.003〜0.01重
    量%含有するAl−Mg系合金の溶接棒を用いることに
    より前記結晶粒を制御したことを特徴とする請求項6記
    載のアルミニウム駆動軸。
  8. 【請求項8】 前記第1駆動軸部品が、重量比で、Si
    を1.0〜1.5%、Cuを0.4〜0.9%、Mnを
    0.2〜0.6%、Mgを0.8〜1.5%、Crを
    0.3〜0.9%、Tiを0.03〜0.05%、Zr
    を0.1〜0.2%、Bを0.0001〜0.01%含
    有し、Fe含有量を0.2%未満に規制すると共に、M
    nとCrの合計含有量を1.2重量%以下に設定した鍛
    造用アルミニウム合金でつくられていることを特徴とす
    る請求項1記載のアルミニウム駆動軸。
  9. 【請求項9】 前記第2駆動軸部品が、重量比で、Cu
    を0.15〜0.4%、Siを0.40〜0.8%、M
    gを0.8〜1.2%及びCrを0.04〜0.35%
    含有するアルミニウム合金に酸化アルミニウム粒子を1
    5〜25体積%分散させた粒子分散複合材料でつくられ
    ていることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム駆
    動軸。
JP09624794A 1994-05-10 1994-05-10 アルミニウム駆動軸 Expired - Fee Related JP3151696B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09624794A JP3151696B2 (ja) 1994-05-10 1994-05-10 アルミニウム駆動軸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09624794A JP3151696B2 (ja) 1994-05-10 1994-05-10 アルミニウム駆動軸

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07303968A true JPH07303968A (ja) 1995-11-21
JP3151696B2 JP3151696B2 (ja) 2001-04-03

Family

ID=14159896

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09624794A Expired - Fee Related JP3151696B2 (ja) 1994-05-10 1994-05-10 アルミニウム駆動軸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3151696B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0763396A3 (en) * 1995-09-18 1998-01-28 American Axle & Manufacturing Inc. Method of welding aluminium drive shaft components
WO2010119925A1 (ja) * 2009-04-15 2010-10-21 本田技研工業株式会社 アルミニウム合金部材の溶接継手

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0763396A3 (en) * 1995-09-18 1998-01-28 American Axle & Manufacturing Inc. Method of welding aluminium drive shaft components
WO2010119925A1 (ja) * 2009-04-15 2010-10-21 本田技研工業株式会社 アルミニウム合金部材の溶接継手

Also Published As

Publication number Publication date
JP3151696B2 (ja) 2001-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3299956B2 (ja) アルミニウム−マグネシウム溶加材合金
US11267081B2 (en) Aluminum welding filler composition suitable for formation into wire used for fusion welding
EP1169177B9 (en) Weldable aluminium alloy structural component
WO2009150904A1 (ja) 異材接合用鋼材、異材接合体および異材接合方法
JP2005526901A (ja) 溶接可能な高強度Al−Mg−Si合金
JP3967515B2 (ja) マフラー用チタン合金材およびマフラー
EP0756916A2 (en) Method for resistance welding with dilution metal and product thereof
US20170136584A1 (en) Aluminum Welding Filler Metal
WO2013068533A1 (en) Aluminium alloy
JP5297099B2 (ja) 異材接合体および異材接合方法
WO1998010109A1 (fr) Alliage, alliage d'aluminium et element d'alliage d'aluminium ayant une excellente resistance a la fatigue thermique
CN114850728B (zh) 一种适用于7a52高强铝合金的焊丝及焊接方法
JPH07303968A (ja) アルミニウム駆動軸
JP7275336B1 (ja) アルミニウム合金材の製造方法及びアルミニウム合金材
EP2592165A1 (en) Aluminium alloy
AU2015202303A1 (en) Aluminum welding filler metal, casting and wrought metal alloy
JP6679269B2 (ja) 高エネルギービーム溶接用Al合金材
CN117139922A (zh) 一种钎焊复合板的制造方法
JPH03122247A (ja) 耐応力腐食割れ性に優れた溶接用高力アルミニウム合金
JP3123682B2 (ja) 溶接用高力アルミニウム合金材
JPH0543980A (ja) 溶接部靱性に優れた自動車用高強度電縫鋼管
JPH0413833A (ja) 耐応力腐食割れ性に優れた溶接構造材用高力アルミニウム合金
CN116529407A (zh) 焊接接头及其制造方法
JPH042741A (ja) 耐応力腐食割れ性に優れた溶接構造材用高力アルミニウム合金
CN115087511A (zh) 具有优异的焊接部疲劳强度的焊件及其制造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees